説明

木質化粧板の製造方法

【課題】優れた外観や高度な寸法精度を有し、且つ良好な品質が安定的に維持され得る、使用耐久性に優れた木質化粧板を有利に製造し得る方法を提供する。
【解決手段】基材18の表面に化粧シート22が固着された被塗膜形成材40に対して、化粧シート22の被切除部分と基材18の被切除部分の表層部位とを切除する予備切除加工を行って、化粧シート22の切除部32の切断面にて側面の一部が構成された凹部42を、被塗膜形成材40に形成した後、化粧シート22の表面に、凹部42を埋めるようにクリア塗膜24を形成し、その後、凹部42を埋めるクリア塗膜部分46を、凹部42の側面を被覆する部分38を残して切除すると共に、予備切除加工で切除されなかった基材18の被切除部分の残余部位を完全に切除する仕上げ切除加工を行う木質化粧板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質化粧板の製造方法に係り、特に、基材表面に、突板を含む化粧シートとクリア塗膜とが、順次、積層形成されてなる木質化粧板の有利な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、木目等の美しい模様を有する突板の表面にて意匠面が形成された化粧シートを基材の表面に固着して、仕上げた木質化粧板は、高級な木質の表面を手軽に且つ低コストに得ることが出来るところから、自動車用内装部品や家具、建築材、家電製品等の様々な製品の表面材として、広く利用されてきている。また、そのような木質化粧板においては、化粧シートの基材側とは反対側の面からなる意匠面上に、クリア塗膜が形成されており、このクリア塗膜によって、木質化粧板の表面(意匠面)の傷付き等が防止され、更には、木質化粧板の表面に光沢や深みが付与されて、高度な意匠性が効果的に発揮されるようになっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
そして、かかる木質化粧板を製造する際には、一般に、真空圧着により、化粧シートを、樹脂製や金属製の基材の表面に接着剤層を介して接着させた後、化粧シートの意匠面上にクリア塗膜を形成して、目的とする木質化粧板を得る方法と、化粧シートをインサート品として用いたインサート射出成形を実施して、化粧シートと基材の一体積層品を形成した後、この一体積層品の化粧シートの意匠面上にクリア塗膜を形成して、目的とする木質化粧板を得る方法の何れかが、採用されている。
【0004】
ところで、上記のようにして木質化粧板を製造する場合には、最終的に得られる木質化粧板の寸法精度を高めるために、或いは成形上の理由等から、不可避的に化粧シートよりも一周り大きな寸法で成形された基材を、化粧シートの大きさと一致させるため等に、基材表面に化粧シートとクリア塗膜とが積層形成されてなる木質化粧板の化粧シートの外周部と、かかる化粧シートの外周部が固着する部分を含む基材の外周部とを、例えばNC・レーザー等の工作機械を用いて切除する切除加工が、実施されることがある。
【0005】
また、様々な用途に使用される木質化粧板には、板厚方向に貫通する透孔や窓部等が形成されたもの、或いは基材にまで達する深さの凹所や溝部等が設けられたものがあるが、これらの木質化粧板も、通常、基材表面に化粧シートとクリア塗膜とが積層形成されてなる木質化粧板の化粧シートの一部と、それが固着する基材部分の全部又はその表層部位が、NC・レーザー等の工作機械を用いて切除されることによって製造されている。
【0006】
このように、従来では、目的とする木質化粧板を得るに際して、基材表面に化粧シートとクリア塗膜とを積層形成した後の仕上げ加工として、化粧シートの一部と、それが固着する基材部分の全部又はその表層部位とを切除する切除加工を実施することにより、木質化粧板の外観や寸法精度の向上、或いは用途に応じた形状として使用範囲の拡大等を図る方策が、しばしば採られている。
【0007】
ところが、そのような仕上げ加工を含む従来手法によって得られた木質化粧板の長期使用に伴う経時変化を調べるために、本発明者等が、かかる木質化粧板を用いて、例えば耐湿試験や冷熱繰返し試験等の幾つかの促進試験を実施したところ、従来手法によって製造された木質化粧板には、以下のような問題が内在していることが、判明した。
【0008】
すなわち、上記の如き仕上げ切除加工が行われてなる木質化粧板においては、化粧シートの切除部の切断面が、外部に露出せしめられた状態となる。そのため、そのような切断面から化粧シートの突板の内部に水分が染み込み、またそれが乾燥することで、突板が伸縮する。このとき、突板が、例えば接着剤層を介して基材に接着されている場合には、その接着剤層が、突板の伸縮に伴って経時的に劣化する。また、接着剤層は、化粧シートの切断面での水分との接触により加水分解を起こす可能性がある。それ故、従来手法にて製造された木質化粧板は、長期使用によって、突板が、基材から部分的に剥離してしまう事態が生ずる恐れがあり、また、突板と基材との間に接着剤層が無くとも、突板への水分の浸入によって、突板の木目模様の見栄えが低下するといった懸念があったのである。
【0009】
なお、そのような化粧シートの切断部の切断面の外部への露出によって生ずる問題を解消するには、例えば、基材表面に化粧シートを固着した後、化粧シートの一部とそれが固着する基材部分とを切除し、その後、化粧シートの意匠面と化粧シートの切除部の切断面とを所定の厚さで覆うようにして、クリア塗膜を形成することが、考えられる。しかしながら、そのように、単に、切削加工を行った後に、化粧シートの切除部の切断面をクリア塗膜にて所定の厚さで被覆するだけの場合には、クリア塗料が、表面張力により、化粧シートの切除部の開口周縁部に溜まって、所謂額縁現象が生じ、それによって、化粧シート、ひいては最終的に得られる木質化粧板全体の外観の低下が惹起される可能性があったのである。
【0010】
【特許文献1】特開2002−347007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、目的とする木質化粧板を製造するに際して、化粧シートの一部と、かかる化粧シートの一部が固着する基材部分の少なくとも表層部位とを切除する加工を行うことにより、外観や寸法精度の向上等が有効に図られ得るだけでなく、そのような切除加工において形成される化粧シートの切除部の切断面からの水分の浸入に起因した使用耐久性の低下が効果的に防止され、更にはクリア塗膜の形成時における額縁現象の発生が未然に防止されて、品質の向上が、更に一層有利に達成され得るようにした木質化粧板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして、本発明にあっては、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0013】
<1> 基材の表面に化粧シートが固着される一方、該化粧シートの基材側とは反対側の面にクリア塗膜が形成され、且つ該化粧シートの一部と該化粧シートの一部が固着する基材部分とが切除されてなる木質化粧板を製造する方法であって、(a)前記基材の表面に前記化粧シートが固着された被塗膜形成材を準備する工程と、(b)該被塗膜形成材に対して、切除されるべき前記化粧シートの被切除部分と前記基材の被切除部分の表層部位とを切除する予備切除加工を行って、該被塗膜形成材に、該化粧シートの切除された部位の切断面にて側面の一部が構成され、且つ該基材の切除されずに残存せしめられた被切除部分の残余部位にて底部が構成された凹部を形成する工程と、(c)前記被塗膜形成材に対して、前記クリア塗膜を、前記化粧シートの前記基材側とは反対側の面に、前記凹部を埋めた状態で形成する工程と、(d)前記凹部を埋めるクリア塗膜部分を、該凹部の側面を被覆する部分を残して切除し、且つ該凹部の底部を構成する、前記基材の被切除部分の残余部位を切除することにより、前記化粧シートの切除部の切断面を被覆するクリア塗膜部分を形成すると共に、該基材の被切除部分を完全に切除する仕上げ切除加工を行う工程とを含むことを特徴とする木質化粧板の製造方法。
【0014】
<2> 基材の表面に化粧シートが固着される一方、該化粧シートの基材側とは反対側の面にクリア塗膜が形成され、且つ該化粧シートの一部と該化粧シートの一部が固着する基材部分の表層部位とが切除されてなる木質化粧板を製造する方法であって、(a)前記基材の表面に前記化粧シートが固着された被塗膜形成材を準備する工程と、(b)該被塗膜形成材の切除されるべき前記化粧シートの被切除部分と、該化粧シートの被切除部分が固着する前記基材部分の表層部位とを切除して、該被塗膜形成材に、該化粧シートの切除された部位の切断面にて側面の一部が構成された凹部を形成する工程と、(c)前記被塗膜形成材に対して、前記クリア塗膜を、前記化粧シートの前記基材側とは反対側の面に、前記凹部を埋めた状態で形成する工程とを含むことを特徴とする木質化粧板の製造方法。
【0015】
<3> 前記クリア塗膜が、ポリエステル樹脂塗料を用いて形成されている上記態様<1>又は<2>に記載の木質化粧板の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従う木質化粧板の製造方法にあっては、基材表面に化粧シートが固着されてなる被塗膜形成材に対して、化粧シートの被切除部分と基材の被切除部分の表層部位とを切除する加工を行うものであるところから、そのような切除加工により切除される化粧シート及び基材の各被切除部分を被塗膜形成材の所望の箇所に設定することで、最終的に得られる木質化粧板の外観や寸法精度の向上が有効に達成され、また、かかる木質化粧板が、用途に応じた所望の形状とされて、その使用範囲の拡大が有利に実現され得る。
【0017】
また、本発明に係る木質化粧板の製造方法は、被塗膜形成材に対する切除加工を行った後、かかる切除加工によって形成された凹部を埋めるようにして、被塗膜形成材の化粧シートにクリア塗膜を形成するものである。それ故、単に、切削加工を行った後に、化粧シートの切除部の切断面を所定の厚さで被覆するように、クリア塗膜を形成するだけの場合とは異なって、クリア塗膜の形成時に、クリア塗料が、表面張力により、化粧シートの切除部の開口周縁部に溜まって、所謂額縁現象が生ずることが、有利に皆無ならしめられ得る。しかも、切除加工後に形成されるクリア塗膜によって、化粧シートの切除部の切断面が被覆されるため、かかる切断面から化粧シートの突板の内部への水分の浸入により、突板と基材との間に介在せしめられる接着剤層が劣化したり、加水分解したりして、突板が基材から部分的に剥離する事態が生ずることや、突板の木目模様の見栄えが低下するようなことが、効果的に解消され得る。
【0018】
従って、かくの如き本発明に従う木質化粧板の製造方法によれば、優れた外観や高度な寸法精度を有すると共に、より広い用途に使用出来、しかも、長期使用によっても、良好な品質が安定的に維持され得る、使用耐久性に優れた木質化粧板が、極めて有利に製造され得ることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0020】
先ず、図1及び図2には、本発明手法に従って製造された木質化粧板の一例として、自動車用内装部品として用いられる木質化粧板10が、その上面形態と断面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、木質化粧板10は、全体として、筐体形状を呈し、上方に向かって凸となる湾曲板形状を呈する上板部12と、この上板部12の外周縁部に、上板部12の裏面(下面)から突出する状態で周設された側板部14とを備えている。かかる木質化粧板10の上板部12と側板部14は、何れも、2.5〜6mm程度の厚さを有している。また、この木質化粧板10の中心部には、矩形の透孔16が、板厚方向に貫通して設けられている。
【0021】
そして、かかる木質化粧板10は、その裏面側部分を構成する基材18と、かかる基材18の表面に、接合層20を介して固着された化粧シート22と、この化粧シート22の表面に積層形成されて、木質化粧板10の上板部12と側板部14のそれぞれの最外層を構成するクリア塗膜24とを有して、構成されている。即ち、木質化粧板10は、基材18上に、接合層20と化粧シート22とクリア塗膜24とが、順に積層形成されてなる一体積層品にて構成されている。
【0022】
そこにおいて、基材18は、全体として、木質化粧板10の形状に対応した筐体形状を呈し、2〜4mm程度の厚さを有している。そして、かかる基材18の中心部には、木質化粧板10に形成される透孔16に対応した大きさを有する矩形の貫通孔19が設けられている。また、この貫通孔19の内周面の深さ方向の中間部には、基材18の表面(上面)側の開口部を裏面(下面)側の開口部よりも一周り大きく為す段付面21が設けられている。
【0023】
なお、かかる基材18は、例えば、自動車用内装部品の形成材料としてよく用いられるABS樹脂やポリカーボネート/ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ノリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂材料や、フェノール樹脂やメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂材料、或いはアルミニウム等の金属材料を用いて形成される。
【0024】
また、基材18上に固着される化粧シート22は、全体として、木質化粧板10や基材18の形状に対応した薄肉の筐体形状を呈し、突板26と、この突板26の裏面に固着されて、積層された不織布28とからなる一体積層品にて、構成されている。そして、突板26の表面にて与えられる化粧シート22の表面が、意匠面30とされており、この化粧シート22の意匠面30によって、木質化粧板10の上板部12の表面からなる意匠面が構成されている。また、かかる化粧シート22の中心部には、基材18に設けられた貫通孔19よりも一周り大きな矩形の貫通孔32が、設けられている。
【0025】
このような化粧シート22の意匠面30を与える突板26には、通常、木質化粧板の突板として一般的に採用されている、クラロウォールナットやオバンコール、バーズアイメープル、カーリーメープル、ブビンガ、ホワイトアッシュバール、タモ、サペリマホガニー、チェリー、チーク、スギ、ヒノキ等の木目の美しい木材からなり、且つ表面に、板目や柾目、杢目等の所望の木目が現われた薄い平板が、用いられる。なお、突板26の厚さは、一般には、0.1〜1mm程度とされる。
【0026】
また、突板26の裏面に固着される不織布28は、0.05〜0.5mm程度の厚さを有して、突板26の裏面の全面に接着されている。この不織布28は、突板26の搬送工程における損傷等を防止すると共に、木質化粧板10の製造後に、突板26が乾燥して、割れ破損や波打ち変形が惹起されることを防ぐ裏打ち層として、突板26の裏面に設けられるものである。従って、そのような裏打ち層としての機能を十分に発揮する織布等の布帛や、クラフト紙や樹脂含浸紙等の紙、或いは樹脂フィルムや金網等を、不織布28に代えて、突板26の裏面に固着しても良い。
【0027】
基材18と化粧シート22との間に介在せしめられる接合層20は、例えば、ウレタン系接着剤等にて形成されており、一般に、0.01〜0.2mm程度の厚さを有している。そして、かかる接合層20により、化粧シート22が、不織布28の突板26側とは反対側の面において、基材18の表面に固着されている。この接合層20の中心部にも、化粧シート22に設けられる貫通孔32に対応した大きさを有する矩形の貫通孔34が、設けられている。
【0028】
なお、接合層20は、ウレタン系接着剤以外に、例えばエポキシ樹脂系接着剤等の公知の各種の接着剤からなる接着剤層として構成され得る。また、化粧シート22をインサート品として用いたインサート射出成形を実施することにより、化粧シート22の裏面に基材18を形成して、固着する場合には、例えば、天然織布や、導管の粗い天然木(例えば、マンガシロノやクロラウォールナット等)からなる本杢シート、金属繊維が編織されたシート等の基材18を形成する樹脂材料が絡みやすいシート材、或いは基材18を形成する樹脂材料に溶着可能な樹脂フィルム等を化粧シート22の不織布28の突板26側とは反対側の面に接着し、それらのシート材やフィルム材等にて、接合層20を構成しても良い。
【0029】
一方、クリア塗膜24は、ポリエステル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、アミノアルキド樹脂系等のクリア塗料を用いて形成された、硬質の透明樹脂層からなっている。そして、かかるクリア塗膜24が、化粧シート22の意匠面30を含む表面全体を被覆するように形成されている。
【0030】
かくして、木質化粧板10の上板部12と側板部14のそれぞれの最外層が、硬質の透明樹脂層からなるクリア塗膜24にて構成されている。そして、それにより、木質化粧板10の上板部12の表面からなる意匠面に対して、より十分な光沢感が付与されていると共に、木質化粧板10の意匠面や側面の硬度が有利に高められて、木質化粧板10全体の耐候性や耐久性、耐傷付き性等が効果的に向上せしめられている。つまり、ここでは、クリア塗膜24が、木質化粧板10に対して、その意匠性の向上と表面全体の保護とを図るトップコート層として、形成されているのである。
【0031】
また、クリア塗膜24の中心部にも、木質化粧板10の透孔16に対応した大きさを有する矩形の貫通孔36が設けられている。即ち、ここでは、基材18と接合層20と化粧シート22とクリア塗膜24のそれぞれの中心部の全てに貫通孔19,34,32,36が設けられて、それら各貫通孔19,34,32,36にて、木質化粧板10の中心部を貫通する透孔16が形成されている。そして、クリア塗膜24の貫通孔36の化粧シート22側の開口周縁部には、化粧シート22と接合層20の各貫通孔32,34の内周面の全面と、基材18の貫通孔19の段付面21よりも上側(化粧シート22側)に位置する内周面部分とを被覆する筒部38が一体形成されている。
【0032】
なお、このようなクリア塗膜24の膜厚は、特に限定されるものではないものの、好ましくは0.02〜1.0mm程度とされる。クリア塗膜24の厚さが0.02mm未満とされる場合には、クリア塗膜24にて、突板26の伸縮による、化粧シート22の意匠面30からなる木質化粧板10の表面の荒れを防いだり、耐候性や耐久性、耐傷付き性等を十分に確保することが困難となるからである。また、クリア塗膜24の厚さが1.0mmを超える過度に厚い厚さとされる場合には、特に、木質化粧板10の角部や曲線部においてクリア塗膜24の樹脂感が目立ち、木質化粧板10表面の美感が損なわれる恐れがあるからである。
【0033】
ところで、かくの如き構造を有する木質化粧板10を製造する際には、例えば、以下に示す如き手順に従って、その作業が進められる。
【0034】
すなわち、先ず、図3に示されるような構造を有する化粧シート22を準備する。この化粧シート22は、突板26の裏面に、裏打ち層としての不織布28を固着することにより、作製されて、準備されるが、その際には、通常、突板26として、所定の木材から薄くスライスされた後、乾燥処理等の処理が施されたものが、用いられる。また、かかる突板14に対しては、化粧シート22の作製時やその後の作業の進行時において、表面や裏面から気泡が発生しないように、乾燥処理後に、減圧又は加圧下で、フェノール樹脂やメラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂を含浸せしめる含浸処理が施されることが、望ましい。更に、好ましくは、突板26に対して、その色調を整えるために、各種の染料や顔料、塗料を用いた着色処理が実施されて、突板26の表面上に着色層が形成される。また、有利には、そのような着色層上に、或いは着色層の代わりに、突板26の表面に、例えば、ウレタン樹脂系塗料やアクリル樹脂系塗料、アミノアルキド樹脂系塗料等を用いた塗膜層からなるプライマー層が形成される。これによって、突板26の表面へのクリア塗膜層24の付着性が効果的に高められ得る。
【0035】
そして、そのような突板26の裏面の全面に対して、不織布28が、例えば、ウレタン樹脂系接着剤や、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、尿素系接着剤等の公知の接着剤等を用いて接着される。かくして、突板26と不織布28との一体積層品からなる化粧シート22を作製して、準備するのである。
【0036】
次に、図4の(a)に示されるように、準備された化粧シート22の意匠面30とは反対側の裏面に、基材18が固着されてなる被塗膜形成材40を、作製して、準備する。この被塗膜形成材40は、例えば、化粧シート22の不織布28の突板26側とは反対側の面(裏面)に、例えば、ウレタン系接着剤を所定厚さで塗布する等して、接合層20を形成した後、射出成形等により別途に成形された基材18を、化粧シート22の裏面に、接合層20を介して、真空プレスにより圧着することにより、作製される。
【0037】
また、被塗膜形成材40の別の作製手法としては、上記せる真空圧着を利用する方法の他に、化粧シート22の裏面に接合層20を積層形成した一体積層品をインサート品として用いて、公知のインサート射出成形等を実施し、化粧シート22の裏面上に、例えばABS樹脂製の基材18を、接合層20を介して、一体成形することにより、目的とする被塗膜形成材40を作製する方法が、採用され得る。
【0038】
なお、このようなインサート射出成形を実施して、被塗膜形成材40を得る際には、接合層20が、公知の接着剤にて形成される他、前記せるように、天然織布や天然木からなるシート材、或いは金属繊維が編織されたシート材等にて構成されたものによっても形成可能である。そして、そのような天然織布や木製或いは金属繊維製のシート材からなる接合層20を化粧シート22の裏面に形成する場合、有利には、インサート射出成形の実施前に、それらの天然織布やシート材に対して、基材18を与える樹脂材料と溶着可能な樹脂材料が染み込まされて、固化せしめられる。これによって、インサート射出成形時に、接合層20に染み込んだ樹脂が、化粧シート22や射出成形される基材18に対して物理的に引っ掛かるようなアンカー効果が発揮され、以て、化粧シート22と基材18とが、より強固に接合され得ることとなる。また、被塗膜形成材40をインサート射出成形によって作製する場合には、接合層20を省略することも出来る。
【0039】
かくして被塗膜形成材40を準備したら、図4の(b)に示されるように、被塗膜形成材40に対して、目的とする木質化粧板10の透孔16の形成箇所に対応する中心部を所定深さで切除する予備切除加工を行って、かかる中心部に凹部42を形成する。
【0040】
この被塗膜形成材40に対する予備切除加工は、例えば、NC・レーザー等の公知の切削加工機を用いて、被塗膜形成材40の化粧シート22の被切除部分たる中心部(突板26と不織布28のそれぞれの中心部)と接合層20の中心部とを切除して、それら化粧シート22と接合層20とに、透孔16よりも一周り大きな矩形の貫通孔32,34をそれぞれ形成すると共に、基材18の被切除部分たる中心部の表層部位(基材18の厚さ方向における化粧シート22の固着側の部位)を、所定深さで切除して、化粧シート22と接合層20の各貫通孔32,34と同じ大きさの矩形の凹所44を形成することによって、実施される。これにより、被塗膜形成材40の中心部に、凹部42が、化粧シート22と接合層20の予備切除加工により形成される切断面たる各貫通孔32,34の内周面にて構成された開口側の側面部分と、基材18の中心部の切除されずに残存せしめられた残余部位からなる凹所44の底部にて構成された底壁部とを有して、形成されるのである。
【0041】
次に、図4の(c)に示されるように、被塗膜形成材40における化粧シート22の意匠面30を含む表面上に、クリア塗膜24を形成する。また、それと共に、被塗膜形成材40の中心部に設けられた凹部42内にも、それを埋めるようにして、クリア塗膜24を形成する。
【0042】
すなわち、化粧シート22の基材18側とは反対側の面の全面に対して、クリア塗膜24を一定の厚さで形成する一方、凹部42の底壁部を構成して、外部に露出せしめられた基材18の中心部上にも、クリア塗膜24を、化粧シート22上に形成されるクリア塗膜24部分の厚さに凹部42の深さ寸法を加えた厚さで、形成する。そうして、被塗膜形成材40の表面の全面に、クリア塗膜24が、積層形成されると共に、被塗膜形成材40の中心部の凹部42形成部位に設けられたクリア塗膜24部分が、かかる凹部42形成部位以外の部位に設けられたクリア塗膜24部分よりも膜厚の厚い厚膜部46とされた中間製品48を作製する。
【0043】
このように、本工程では、凹部42内に形成されるクリア塗膜24部分が厚膜部46とされることにより、クリア塗膜24の表面の全体が凹凸のない滑らかな形状とされて、かかるクリア塗膜24に、凹部42に対応した凹所が形成されることがない。それ故、かかるクリア塗膜24に対して、凹部42の開口周縁部に沿って延びる角部が設けられることがなく、そのため、本工程のクリア塗膜24の形成に際して、表面張力により、そのような角部にクリア塗料が溜まって、所謂額縁現象が生ずるようなことが、効果的に皆無ならしめられ得る。
【0044】
なお、クリア塗膜24を形成するクリア塗料としては、例えばポリエステル樹脂系のクリア塗料が好適に用いられる。このポリエステル樹脂系のクリア塗料は、塗膜が加水分解し難いといった特徴を有している。それ故、そのようなポリエステル樹脂系のクリア塗料を用いてクリア塗膜24を形成することによって、最終的に得られる木質化粧板10のクリア塗膜24による保護機能が、より長期に亘って安定的に維持され得るようになり、以て、木質化粧板10において、優れた使用耐久性が十分に確保され得ることとなる。
【0045】
次いで、図4の(d)に示されるように、中間製品48の中心部を完全に切除する仕上げ切除加工を行って、かかる中心部に、それを貫通する透孔16を形成する。
【0046】
中間製品48に対する仕上げ切除加工は、例えば、NC・レーザー等の公知の切削加工機を用いて、クリア塗膜24の厚膜部46と、この厚膜部46が内部に形成される凹部42の底壁部、つまり先の予備切除加工では切除されずに残存せしめられた、基材18の中心部に設けられる凹所44の底部とを、それぞれの外周部を残して完全に切除することによって、実施される。そうして、基材18の中心部と、かかる中心部に積層形成されたクリア塗膜24の厚膜部46とに対して、化粧シート22と接合層20の各貫通孔32,34よりも一周り小さな貫通孔19,36がそれぞれ形成され、以て、中間製品40の中心部に、基材18と接合層20と化粧シート22とクリア塗膜24の各貫通孔19,34,32,36からなる透孔16が、形成される。
【0047】
また、かかる透孔16の形成によって、基材18の貫通孔19の内周面に、前記せる如き段付面21が形成される。更に、クリア塗膜24の貫通孔36の化粧シート22側の開口周縁部に、仕上げ切除加工によって切除されずに残存せしめられたクリア塗膜24の厚膜部46の外周部からなる筒部38が一体形成される。そして、この筒部38にて、基材18の貫通孔19の段付面21よりも化粧シート22側の内周面部分と、接合層20及び化粧シート22の各貫通孔34,32の内周面とが、被覆されるようになる。
【0048】
かくして、基材18の表面上に、化粧シート22が接合層20を介して固着される一方、化粧シート22の基材18側とは反対側にクリア塗膜24が積層形成され、更に、中心部に透孔16が設けられてなる、目的とする木質化粧板10を得るのである。
【0049】
このように、本実施形態では、例えば、被塗膜形成材40に対する切除加工を行って、被塗膜形成材40の中心部に、それを貫通する透孔16を形成した後、クリア塗膜24を、被塗膜形成材40の化粧シート22の表面と、透孔16の内周面とを所定厚さで被覆するように形成する場合とは異なって、クリア塗膜24の形成時に、透孔16の開口周縁部に、表面張力によりクリア塗料が溜まって、額縁現象等を生ずることが有利に解消され得る。
【0050】
また、透孔16の内周面の一部を構成する化粧シート22と接合層20のそれぞれの貫通孔32,34の内周面が、中間製品48に対する仕上げ切除加工によって、クリア塗膜24の貫通孔36の化粧シート22側の開口周縁部に形成された筒部38により被覆される。それ故、木質化粧板10の使用時に、透孔16内に入り込んだ水が、接合層20に対して直接に接触し、それにより、かかる接合層20を構成する接着剤が加水分解され、それが原因で、化粧シート22と基材18との剥離が生ずるようなことが、未然に防止され得る。また、透孔16内に入り込んだ水が、化粧シート22の突板26や不織布28に染み込み、その結果として、突板26の木目模様の見栄えが低下するようなことも、有利に回避され得る。
【0051】
従って、かくの如き本実施形態によれば、透孔16が設けられた木質化粧板10が、優れた外観や品質を有するだけでなく、そのような優れた外観や品質を安定的に維持する、高度な耐久性をも備えた構造をもって、極めて有利に得られることとなるのである。
【0052】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0053】
すなわち、前記実施形態には、中心部に透孔16が設けられてなる木質化粧板10を製造する際に、本発明を適用した例が示されていたが、例えば、寸法精度を高めること等を目的として、端部を切除する、所謂端末処理が施されて形成される木質化粧板10の製造方法にも、本発明は、適用可能である。
【0054】
すなわち、かかる木質化粧板10を製造する際には、例えば、先ず、図5の(a)に示されるように、基材18の表面上に、化粧シート22が接合層20を介して固着された被塗膜形成材40を、前記実施形態と同様な作業により作製して、準備する。なお、この図5に示される本実施形態に関しては、図1乃至図3に示された前記実施形態と同一の構造を有する部材及び部位について、図1乃至図4と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略した。
【0055】
次に、図5の(b)に示されるように、木質化粧板10において端末処理されるべき端部に対応する、被塗膜形成材40の端部に対する予備切除加工を行って、かかる端部に、切欠形態を呈する凹部42を形成する。ここでは、かかる凹部42が、化粧シート22と接合層20の対応する端部を切除し、且つそれらに対応する基材18の端部を切り欠くことによって形成される。これにより、凹部42の側面が、化粧シート22と接合層20のそれぞれの切断面50,52と基材18の切欠部54の側面とにて、構成される。また、凹部42の底壁部が、予備切除加工によって切除されずに残存せしめられた基材18の端部の残余部位にて、構成される。
【0056】
その後、図5の(c)に示されるように、被塗膜形成材40における化粧シート22の意匠面30を含む表面上に、クリア塗膜24を形成する。また、それと共に、被塗膜形成材40の端部に設けられた凹部42内にも、それを埋めるようにして、クリア塗膜24を形成する。これによって、化粧シート22の基材18側とは反対側の面の全面に対して、クリア塗膜24を一定の厚さで形成する一方、凹部42の底壁部を構成して、外部に露出せしめられた基材18の端部上にも、クリア塗膜24を、化粧シート22上に形成されるクリア塗膜24部分の厚さに凹部42の深さ寸法を加えた厚さで、形成する。以て、被塗膜形成材40の表面の全面に、クリア塗膜24が積層形成されると共に、被塗膜形成材40の端部の凹部42形成部位に設けられたクリア塗膜24部分が、かかる凹部42形成部位以外の部位に設けられたクリア塗膜24部分よりも膜厚の厚い厚膜部46とされる。そうして、クリア塗膜24の表面が、凹凸のない、被塗膜形成材40の表面に対応した滑らかな形状とされた中間製品48を作製する。
【0057】
次いで、図5の(d)に示されるように、クリア塗膜24の厚膜部46を、凹部42の側面を被覆する被覆部56を残して切除すると共に、先の予備切除加工では切除されずに残存せしめられた、基材18の端部に設けられる切欠部54の底部からなる凹部42の底壁部を、凹部42の側面側の一部を残して切除する仕上げ切除加工を実施する。
【0058】
かくして、基材18の表面上に、化粧シート22が接合層20を介して固着される一方、化粧シート22の基材18側とは反対側にクリア塗膜24が積層形成され、更に、所定の端部を切除する端末処理が施されて、寸法精度が高められた、目的とする木質化粧板10を得るのである。
【0059】
このような本実施形態においても、クリア塗膜24が、化粧シート22の表面の全面に形成されると共に、被塗膜形成材40の端部に設けられた凹部42内を埋めるようにして形成されており、また、切断による端末処理のために形成される、接合部20と化粧シート22の切断面が、かかるクリア塗膜24の被覆部56によって被覆されている。従って、かかる本実施形態にあっても、前記実施形態において奏される作用・効果と同様な作用・効果が、有効に享受され得るのである。
【0060】
また、外周部から内側に入り込んだ部分に、凹部や溝部を有するか、若しくは端部に切欠部を有するような木質化粧板、つまり厚さ方向に貫通しない凹所を有する木質化粧板を、本発明手法に従って製造することも出来る。その場合には、例えば、図4の(a)〜(c)に示される如き工程を行うことによって、前記第一の実施形態で得られる中間製品が、外周部から内側に入り込んだ部分に、凹部や溝部を有する木質化粧板の完成品として、有利に得られ、また、図5の(a)〜(c)に示される如き工程を行うことによって、前記第二の実施形態で得られる中間製品が、端部に切欠部を有する木質化粧板の完成品として、有利に製造され得ることとなる。このような製造手法を採用する場合にあっても、前記二つの実施形態において奏される作用・効果と同様な作用・効果が、極めて有効に享受され得るのである。
【0061】
前記せる全ての本実施形態の何れにあっても、予備切除加工によって切除されずに残存せしめられた基材18の残余部位からなる、凹部42の底壁部が、仕上げ切除加工によって、その一部を残して切除されるようになっていたが、かかる残余部位の全部を仕上げ切除加工によって切除しても、何等差し支えない。
【0062】
予備切除加工によって切除されずに残存せしめられる基材18の残余部位の厚さは、特に限定されるものではなく、凹部42内を埋めるようにクリア塗膜24が形成可能とされておれば良い。
【0063】
木質化粧板10の全体形状が、例示のものに、何等限定されるものではなく、また、かかる木質化粧板10を構成する基材18と化粧シート22とクリア塗膜24のそれぞれの形状も、適宜に変更され得るものであることは、言うまでもないところである。
【0064】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用内装部品として用いられる木質化粧板の製造方法に適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用内装部品以外に用いられる各種の木質化粧板の製造方法の何れに対しても、それぞれ有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0065】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、各種の形態において実施され得るものである。従って、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明手法に従って製造された木質化粧板の一例を示す上面説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面説明図である。
【図3】本発明手法に従って、図1に示された木質化粧板を製造する際に準備された化粧シートの部分断面説明図である。
【図4】本発明手法に従って、図1に示された木質化粧板を製造する際に実施される工程例を示す説明図であって、(a)は、被塗膜形成材を作製して準備した状態を示し、(b)は、被塗膜形成材に対する予備切除加工を施して、被塗膜形成材に凹部を形成した状態を示し、(c)は、被塗膜形成材の化粧シートの表面と凹部内にクリア塗膜を形成して、中間製品を作製した状態を示し、(d)は、中間製品に対する仕上げ切除加工を行って、透孔を形成して、目的とする木質化粧板を製造した状態を、それぞれ示している。
【図5】本発明手法に従って、図1に示された木質化粧板とは構造の異なる木質化粧板を製造する際に実施される工程一例を示す説明図であって、図4に対応する図である。
【符号の説明】
【0067】
10 木質化粧板 16 透孔
18 基材 20 接合層
22 化粧シート 24 クリア塗膜
26 突板 30 意匠面
38 筒部 40 被塗膜形成材
42 凹部 46 厚膜部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に化粧シートが固着される一方、該化粧シートの基材側とは反対側の面にクリア塗膜が形成され、且つ該化粧シートの一部と該化粧シートの一部が固着する基材部分とが切除されてなる木質化粧板を製造する方法であって、
前記基材の表面に前記化粧シートが固着された被塗膜形成材を準備する工程と、
該被塗膜形成材に対して、切除されるべき前記化粧シートの被切除部分と前記基材の被切除部分の表層部位とを切除する予備切除加工を行って、該被塗膜形成材に、該化粧シートの切除された部位の切断面にて側面の一部が構成され、且つ該基材の切除されずに残存せしめられた被切除部分の残余部位にて底部が構成された凹部を形成する工程と、
前記被塗膜形成材に対して、前記クリア塗膜を、前記化粧シートの前記基材側とは反対側の面に、前記凹部を埋めた状態で形成する工程と、
前記凹部を埋めるクリア塗膜部分を、該凹部の側面を被覆する部分を残して切除し、且つ該凹部の底部を構成する、前記基材の被切除部分の残余部位を切除することにより、前記化粧シートの切除部の切断面を被覆するクリア塗膜部分を形成すると共に、該基材の被切除部分を完全に切除する仕上げ切除加工を行う工程と、
を含むことを特徴とする木質化粧板の製造方法。
【請求項2】
基材の表面に化粧シートが固着される一方、該化粧シートの基材側とは反対側の面にクリア塗膜が形成され、且つ該化粧シートの一部と該化粧シートの一部が固着する基材部分の表層部位とが切除されてなる木質化粧板を製造する方法であって、
前記基材の表面に前記化粧シートが固着された被塗膜形成材を準備する工程と、
該被塗膜形成材の切除されるべき前記化粧シートの被切除部分と、該化粧シートの被切除部分が固着する前記基材部分の表層部位とを切除して、該被塗膜形成材に、該化粧シートの切除された部位の切断面にて側面の一部が構成された凹部を形成する工程と、
前記被塗膜形成材に対して、前記クリア塗膜を、前記化粧シートの前記基材側とは反対側の面に、前記凹部を埋めた状態で形成する工程と、
を含むことを特徴とする木質化粧板の製造方法。
【請求項3】
前記クリア塗膜が、ポリエステル樹脂塗料を用いて形成されている請求項1又は請求項2に記載の木質化粧板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−149480(P2010−149480A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332997(P2008−332997)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【出願人】(593125056)フジゲン株式会社 (5)
【Fターム(参考)】