説明

木質材の連結構造と連結方法

【課題】 柱と梁、梁と桁などの木質材同士の連結構造として容易にその補強構造を得て、確実に木質材同士の引抜き方向の耐力を向上させることを可能とする。
【解決手段】 隣り合う木質材1,2同士を連結する木質材の連結構造において、両木質材1,2の各外側面1a,2aに形成される所定内径及び所定深さの円形凹部5,5と、両木質材1,2にわたり、両木質材1,2の外側面に沿う所定長さの連結体9と、連結体9の両端に、連結体9の長手方向に直交して突設され、円形凹部5の内径及び深さと略同等となる外径及び長さに形成される嵌入部11,11とを具備し、嵌入部11,11を各円形凹部5,5に嵌入し、両木質材1,2にわたる連結体9にて木質材1,2同士を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、柱と土台、柱と梁、梁と桁などの木質材同士を連結する構造及びその連結方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木質材、例えば、柱と土台、柱と梁、梁と桁など、これらを連結する部分は、図8,9,10に示すような各種連結構造101,111,121、所謂仕口や継手を各木質材102,103,112,113,122,123の端面や側面などに予め形成し、互いを連結させている。そして、これら連結部分には、各種金物が組み付けられ、連結構造としての補強が行われるようになっている。
【0003】
例えば、図6(a),(b)に示すような、短冊板形状の部材131では、両木質材142,143にわたってこの金物を配置し、両端近傍に釘132などを打ち付けることで両木質材142,143の連結を行っている。
また、図7(a),(b)に示すような、固定片152を一端に備え、軸状部材153が延設された羽子板状の部材151では、図7(b)に示すように、一方の木質材161を貫通するボルト171、及びナット172によって固定片152が固定され、軸状部材153は他方の木質材162を貫通し、その端部の雄ねじ部154にナット155を螺着させることで固定し連結するようになっている。このような部材を用いることで、木質材同士の連結状態を補強して、接合耐力の向上を図っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の木質材同士の連結構造では、木質材同士を連結する仕口や継手などの形状によっては、互いに嵌め合う構造、例えば図8に示すような腰掛け鎌継ぎなどの継手構造となることで、引抜き方向の耐力を得られ、また、上記したような補強部材を用いることでその耐力の向上を図れるが、この引抜き方向の外力が大きくなると、これら補強部材を備えていても、例えば上記した短冊板状の部材では、各釘などの固定部材が木質材内部で曲がったり、木質材にめり込んだり、固定部材が抜けてしまうなどの不具合が発生し、釘を多数用いても、両木質材が離間してしまうおそれがある。また、ボルトを用いた上記のような羽子板状部材の場合でも、木質材を貫通しているボルトが曲がってしまうおそれがあるとともに、木質材の内部にて、ボルトの全長にわたって木質材にめり込んでしまうなどの不具合が発生し、このようなことから、木質材同士の接合部分が離間し、最悪の場合木質材同士の連結状態が破壊されることがある。
【0005】
また、上述した連結構造では、短冊板状の部材では、多数の釘を打設するなど、工数が多いとともに、これら打設される釘が木質材同士の引抜き方向の耐力を担うことから、所定の位置、所定の数を打設することが必須となり、さらに、羽子板状部材では、ボルトを貫通させる孔を、両木質部材に形成しなくてはならず、施工性が良好ではなかった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、柱と梁、梁と桁などの木質材同士の連結構造として容易にその補強構造を得ることができるとともに、確実に木質材同士の引抜き方向の耐力を向上させることができる木質材同士の連結構造を提供することを目的としている。また、上記補強構造を煩雑な作業を要せずに簡素に得ることができる木質材同士の連結方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の木質材の連結構造は、隣り合う木質材1,2同士を連結する木質材の連結構造において、
前記両木質材1,2の少なくとも一方の木質材1(2)の外側面1a(2a)に形成される所定内径及び所定深さの円形凹部5と、
前記両木質材1,2にわたり、該木質材1,2の外側面に沿う所定長さの連結体9(19)と、
前記連結体9(19)の端部に、該連結体9(19)の長手方向に直交して突設され、前記円形凹部5の内径及び深さと略同等となる外径及び長さに形成される嵌入部11と、
を具備し、
前記嵌入部11を前記円形凹部5に嵌入し、前記両木質材1,2にわたる連結体9(19)にて木質材1,2同士を連結することを特徴としている。
【0008】
この木質材の連結構造によれば、隣り合う木質材1,2同士、例えば、柱と梁、梁と桁などの木質材同士を、少なくとも一方の木質材1に形成した円形凹部5に、嵌入部11を嵌入して連結体9(19)にて連結されることとなり、この連結体9(19)が両木質材1,2にわたって、この木質材1,2の外側面に沿い、連結体9(19)に設けられた嵌入部11の外周面が円形凹部5の内周面に当接状態となるので、両木質材1,2が離間する方向に働く外力(引抜き力)が加わった場合、その外力を木質材の円形凹部5と嵌入部11とで受け、すなわち木質材1,2間の引抜き方向の外力に対して、連結体9(19)に固定された嵌入部11が、円形凹部5にてその連結状態を維持することとなり、従来のような細径なビスや釘などと比べ、木質材1,2への食い込みが、外力の働く方向に幅広となり、面で受けることとなるので、めり込み長さが小さくなり、木質材1,2に割れなどが生じにくく、このことから耐力が向上することとなる。そして、木質材1,2同士の連結状態が、大きく離間するようなことが無くなり、また、容易に離間するようなことがない。
【0009】
請求項2記載の木質材の連結方法は、隣り合う木質材同士を連結する木質材の連結方法において、
前記両木質材1,2の少なくとも一方の木質材1の外側面1aに、所定の内径で、且つ所定の深さとなる円形凹部5を形成し、
前記円形凹部5の内径及び深さと略同等となる外径及び長さの嵌入部11が、長手方向に直交して端部に突設される連結体9(19)を用い、該連結体9(19)を前記両木質材1,2にわたって沿わせ、
前記嵌入部11を前記円形凹部5に嵌入させて、前記両木質材1,2を連結させることを特徴としている。
【0010】
この木質材の連結方法によれば、嵌入部11を円形凹部5に嵌め込むのみの施工で完了でき、木質材1,2同士の連結部分における補強構造として、煩雑な作業を必要とせずに、施工が簡素なものとなる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明による木質材の連結構造では、隣り合う木質材同士を、少なくとも一方の木質材に形成した円形凹部に、嵌入部を嵌入して連結体にて連結されることとなり、この連結体が両木質材にわたって、この木質材の外側面に沿い、連結体に設けられた嵌入部の外周面が円形凹部の内周面に当接状態となるので、両木質材が離間する方向に働く外力(引抜き力)が加わった場合、その外力を木質材の円形凹部と嵌入部とで受け、すなわち木質材間の引抜き方向の外力に対して、連結体に固定された嵌入部が、円形凹部にてその連結状態を維持することとなり、従来のようなビスや釘などの細径な部材に比べ、木質材への食い込みが、外力の働く方向に幅広となり、面で受けることとなるので、めり込み長さが小さくなり、木質材に割れなどが生じにくく、このことから耐力が向上することとなる。そして、木質材同士の連結状態が、大きく離間するようなことが無くなり、また、容易に離間するようなことがない。
【0012】
以上説明したように本発明による木質材の連結方法では、嵌入部を、木質材に形成される円形凹部に嵌め込むのみの施工で完了でき、木質材同士の連結部分における補強構造として、煩雑な作業を必要とせずに、施工が簡素なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第一の実施の形態
図1は本発明による木質材の連結構造の第一の実施の形態を示す分解斜視図、図2は同連結構造の側断面図である。
本発明の木質材の連結構造は、隣り合う木質材同士を連結する構造であって、木質材1,2としては、例えば、柱と土台、柱と梁、梁と桁など、略水平方向に配置される木質材と略垂直方向に配置される木質材との連結、略水平方向に並設或いは直列されてそれぞれが配置されての連結、或いは略垂直方向に並設或いは直列されてそれぞれが配置されての連結などとされるこれら連結部分の構造である。
これら木質材1,2同士のみの連結する部分は、従来の技術でも述べた各種連結の構造(図8,9,10参照)、所謂仕口や継手を、各木質材1,2の端面や側面などに予め形成し、互いを連結させていることとしてもよく、あるいは平滑な端面や側面を突き合わせて、所謂突き付けにてこれらを連結することとしてもよい。
【0014】
これら木質材1,2には、図1に示すように、円形凹部5が形成される。この円形凹部5は、所謂座彫り穴であり、所定の内径で所定の深さに切削形成されることで得られる。本実施の形態では、例えば、木質材1,2の厚み及び幅長が、105〜120mmの場合では、内径が約60mmとされ、またその深さは約25mmに形成され、例えばホールソーなどの工具を用いることで得られる。
なお、図2に示すように、木質材1,2の反対側の面にも同様に、上記と同等の大きさの円形凹部5,5をそれぞれ形成することとしても良い。
【0015】
次に、連結構造に用いられる連結部材7について説明する。
連結部材7は、連結体9と嵌入部11とで大略構成されている。
連結体9は、短冊板状に形成される。この連結体9は、例えば、鋼板よりなり、長手方向両端の一方の面9aに嵌入部11,11がそれぞれ設けられている。
【0016】
嵌入部11は、上記した円形凹部5に嵌入可能な大きさ、すなわち円形凹部5の内径と略同等の外径、及び円形凹部5の深さと略同等の長さに形成され、連結体9の長手方向に対して直交する方向、すなわち板面9aに突出して、連結体9の端部に設けられている。本実施の形態では、嵌入部11は、一対で構成され、図1に示すように、各嵌入部11は、それぞれ中空パイプ状に形成されており、嵌入部11の外径が上記した60mmよりやや小径とされ、また長さは約20mmとされる。これら嵌入部11は、連結体9の長手方向両端部9b,9cに位置して、溶接などの手段で固定され、その間隔距離は、上記両木質材1,2の各円形凹部5,5の間隔距離と略同等とされる。
【0017】
次に、上記構成の連結構造の施工手順について説明する。
まず、柱や土台、梁などの木質材1,2に、連結された状態で同方向の面となる両木質材1,2の外側面1a,2aに円形凹部5を形成する。この円形凹部5は、ホールソーなどの工具を用い、木質材1,2同士を連結させる以前に予め形成される。なお、木質材1,2同士の連結には、上述した仕口や継手(図8〜10参照)を形成して互いを接合することとしてもよい。
【0018】
次に、連結部材7の各嵌入部11,11を、両木質材1,2の円形凹部5,5にそれぞれ嵌入させる。これにより、連結部材7の連結体9は、木質材1,2の外側面1a,2aに沿い、各木質材1,2にわたって配置される。以上で木質材1,2同士の連結が完了となる。
【0019】
なお、この連結部材7が設けられた各木質材1,2の外側面1a,2aに対して裏面となる外側面1a,2aにも、円形凹部5,5が形成される場合には、図2に示すように、上記同様に連結部材7を固定して木質材1,2同士の連結を行うこととしてもよい。
【0020】
従ってこのように構成された木質材の連結構造では、隣り合う木質材1,2同士を、各木質材1,2に形成した円形凹部5,5に、嵌入部11を嵌入して連結体9にて連結されることとなり、この連結体9が両木質材1,2にわたって、この木質材1,2の外側面1a,2aに沿い、連結体9に設けられた各嵌入部11,11の外周面が円形凹部5,5の内周面に当接状態となるので、両木質材1,2が互いに離間する方向に働く外力(引抜き力)が加わった場合、その外力を両木質材1,2の各円形凹部5,5とそれぞれの嵌入部11,11とで受け、すなわち木質材1,2間の引抜き方向の外力に対して、連結体9の両端9b,9cに固定された嵌入部11,11が、2つの円形凹部5,5間にてその連結状態を維持することとなり、従来のような細径なビスや釘などと比べ、木質材1,2への食い込みが、外力の働く方向に幅広となり、面で受けることとなるので、めり込み長さが小さくなり、木質材1,2に割れなどが生じにくく、このことから耐力が向上することとなる。そして、この木質材1,2の連結方法によれば、嵌入部11,11を円形凹部5,5に嵌め込むのみの施工で完了でき、木質材1,2同士の連結補強としての施工が簡素なものとなる。
特に両木質材1,2の表裏両外側面1a,2aに連結部材7をそれぞれ設ける構成とすることで、引抜き方向の外力に抗する上記面積が約2倍になり、木質材1,2同士の連結状態が、大きく離間するようなことが無くなり、また、容易に離間するようなことがない。
【0021】
なお、連結部材7は、両木質材1,2にわたるよう取り付けた後に、板状の連結体9を木質材1,2側に固定させることとしてもよい。例えば、連結体9の四隅に位置して、小径な貫通孔(図示せず)を形成する構成とすることで、連結体9を木質材1,2の外側面1a,2aに沿わせた後、これら四隅の小径貫通孔に、ビスや釘などの固定部材を螺着或いは打設して、連結体9を固定することとしてもよい。或いは、木質材1,2の周囲を、連結体9とともに紐状或いはベルト状の部材で縛り止めるなどして固定させることとしてもよく、さらには、接着剤などを固定手段として固定することとしてもよい。これにより、連結体9が木質材1,2より脱落することが防止されることとなり、例えば、木質材1,2の外側面1a,2aが下向きになっている場合でも、この連結構造を構成することが可能となる。
【0022】
また、連結体9を木質材1,2の外側面1a,2aより突出させないように、この外側面1a,2aに板厚と同等の凹部を形成し、連結体9の板面(外表面)と木質材1,2の外側面1a,2aとを同一な面に形成してもよい。これにより、この木質材1,2の外側面1a,2aに、例えば壁材などを配置する際に、連結体9の厚みが干渉することがなくなる。
【0023】
なお、上述した第一の実施の形態では、隣り合う木質材1,2のそれぞれの外側面1a,2aに円形凹部5,5を形成し、各円形凹部5,5に嵌入されるように、短冊板状の連結体9の長手方向両端9b,9cに、それぞれ嵌入部11,11を設けた例について述べたが、円形凹部5,5は、少なくともいずれか一方の木質材に形成されることとすればよく、また、嵌入部11は、少なくとも連結体9の一方の端部に設けられることとすればよい。このような構成とした場合、嵌入部の設けられない連結体の他方の端部は、ビスや釘などで他方の木質材に固定されることとなる。
【0024】
第二の実施の形態
図3は本発明による木質材の連結構造の第二の実施の形態を示す分解斜視図、図4は同連結構造の側断面図である。
なお、以下に説明する第二の実施の形態において、上述した第一の実施の形態と同様若しくは同等の部分については同符号を付し説明を省略する。
この第二の実施の形態は、隣り合う木質材1,2の、同方向となる連続する両面にわたって連結体が沿うように設けられる上述した第一の実施の形態とは異なり、図4に示すように、連結された各木質材1,2によって入隅状になっている部分に構成される例である。
【0025】
これら木質材1,2には、図4に示すように、一方の木質材1には円形凹部5が形成され、他方の木質材2には細径なボルト用貫通孔4が形成される。本実施の形態では、略垂直となっている一方の木質材1の外側面1aに円形凹部5が形成され、この円形凹部5の形成される外側面1aと直交して略水平に位置する他方の木質材2に、略垂直に貫通するボルト用貫通孔4が真直に穿設される。なお、このボルト用貫通孔4の、一方の木質材側ではない外側面の開口部分には、座彫り穴6が形成され、後述するワッシャ23及びナット24が位置するようになっている。
【0026】
次に、連結構造に用いられる連結部材17について説明する。
連結部材17は、連結体19と嵌入部11とで大略構成されている。
連結体19は、板部20と杆部21とで略構成される。板部20は、矩形板状に構成されており、例えば鋼板などで構成される。杆部21は、真直な軸棒で、一端が板部20の一方の板面に溶接などの固定手段で固定され、他端には雄ネジ部22が形成されている。この雄ネジ部22にはワッシャ23が挿着されるとともにナット24が螺着される。
【0027】
嵌入部11は、上記した円形凹部5に嵌入可能な大きさ、すなわち円形凹部5の内径と略同等の外径、及び円形凹部5の深さと略同等の長さに形成され、連結体19の板部20の他方の板面に、連結体19の長手方向に対して直交する方向、すなわち板部20の板面に突出して設けられている。この嵌入部11は、連結体19の板部20に、溶接などの手段で固定されている。
【0028】
次に、上記構成の連結構造の施工手順について説明する。
まず、柱や土台、梁などの木質材1,2に、連結された状態で互いが直交位置となる各面の一方の木質材1の外側面1aに円形凹部5を形成する。またこの一方の木質材1の外側面1aに平行となるように、他方の木質材2にはボルト用貫通穴4が穿設される。
【0029】
次に、連結体19の杆部21を、他方の木質材2のボルト用貫通穴4に挿通させる。挿通後、この杆部21をやや撓ませて嵌入部11を一方の木質材1の円形凹部5に嵌入させる。これにより、連結部材17の連結体19は、一方の木質材1の外側面1aに沿うととともに他方の木質材2を貫通し、各木質材1,2にわたって配置される。
【0030】
次に、他方の木質材2を貫通した杆部21の先端である雄ネジ部22にワッシャ23を嵌着し、ナット24を螺着して締結固定する。なお、ワッシャ23及びナット24と、杆部21の先端は、座彫り穴6の深さ以内に納まるように構成されることが好ましい。
以上で木質材1,2同士の連結が完了となる。
【0031】
従ってこのように構成された木質材の連結構造では、隣り合う木質材1,2同士が、一方の木質材1に形成した円形凹部5に嵌入部11を嵌入し、他方の木質材2に杆部21を貫通させナット24にて締結固定する連結体19にて連結されることとなる。この連結体19は、一方の木質材1の外側面1aに沿って両木質材1,2にわたり、そして連結体19に設けられた嵌入部11の外周面が円形凹部5の内周面に当接状態となるので、両木質材1,2が離間する方向に働く外力(引抜き力)が加わった場合、その外力を木質材1の円形凹部5と嵌入部11とで受け、すなわち木質材1,2間の引抜き方向の外力に対して、連結体19に固定された嵌入部11が、円形凹部5にてその連結状態を維持することとなり、従来のような細径なビスや釘などと比べ、木質材1,2への食い込みが、外力の働く方向に幅広となり、面で受けることとなるので、めり込み長さが小さくなり、木質材1,2に割れなどが生じにくく、このことから耐力が向上することとなる。そして、木質材1,2同士の連結状態が、大きく離間するようなことが無くなり、また、容易に離間するようなことがない。
【0032】
なお、連結部材17は、両木質材1,2にわたるよう取り付けた後に、連結体19を構成する板部20を木質材1側に固定させることとしてもよい。例えば、板部20の四隅に位置して、小径な貫通孔(図示せず)を形成する構成とすることで、板部20を木質材1の外側面1aに沿わせた後、これら四隅の小径貫通孔に、ビスや釘などの固定部材を螺着或いは打設して、固定することとしてもよい。或いは、木質材1の周囲を、連結体19とともに紐状或いはベルト状の部材で縛り止めるなどして固定させることとしてもよく、さらには、接着剤などを固定手段として固定することとしてもよい。これにより、連結体19が木質材1より離脱してしまうことが防止されることとなり、例えば、一方の木質材1の外側面1aが下向きになっている場合でも、この連結構造を構成することが可能となる。
【0033】
なお、上述した第二の実施の形態では、連結体19の一方の端部側にのみ嵌入部11を設けた構成としたが、図5に示すように、杆部21の両端に板部20をそれぞれ設け、嵌入部11,11を設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、上述した第一の実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0034】
また、上述した各実施の形態では、嵌入部11の形状を、中空パイプ状に形成した例について述べたが、この嵌入部11の形状としては、中実軸状の構成としてもよい。
【0035】
さらに、上述した各実施の形態では、嵌入部11と連結体19とを、溶接などの固定手段にて構成する例について述べたが、これら嵌入部11と連結体19とは、例えば型成形などで、一体に成形されることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による木質材の連結構造の第一の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同連結構造の側断面図である。
【図3】本発明による木質材の連結構造の第二の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図4】同連結構造の側断面図である。
【図5】他の実施の形態による木質材の連結構造の斜視図である。
【図6】従来の木質材同士の連結構造を示す概略斜視図を(a)に、断面図を(b)に示した説明図である。
【図7】従来の木質材同士の連結構造を示す概略斜視図を(a)に、断面図を(b)に示した説明図である。
【図8】木質材同士を連結する構造である仕口或いは継手の構造を示す分解斜視図を(a)に、連結状態の斜視図を(b)に示した図である。
【図9】木質材同士を連結する構造である仕口或いは継手の構造を示す分解斜視図である。
【図10】木質材同士を連結する構造である仕口或いは継手の構造を示す連結した状態の平面図を(a)に、分解斜視図を(b)に示した図である。
【符号の説明】
【0037】
1…木質材(一方の木質材)
1a…外側面
2…木質材(他方の木質材)
5…円形凹部
9,19…連結体
11…嵌入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う木質材同士を連結する木質材の連結構造において、
前記両木質材の少なくとも一方の木質材の外側面に形成される所定内径及び所定深さの円形凹部と、
前記両木質材にわたり、該木質材の外側面に沿う所定長さの連結体と、
前記連結体の端部に、該連結体の長手方向に直交して突設され、前記円形凹部の内径及び深さと略同等となる外径及び長さに形成される嵌入部と、
を具備し、
前記嵌入部を前記円形凹部に嵌入し、前記両木質材にわたる連結体にて木質材同士を連結することを特徴とする木質材の連結構造。
【請求項2】
隣り合う木質材同士を連結する木質材の連結方法において、
前記両木質材の少なくとも一方の木質材の外側面に、所定の内径で、且つ所定の深さとなる円形凹部を形成し、
前記円形凹部の内径及び深さと略同等となる外径及び長さの嵌入部が、長手方向に直交して端部に突設される連結体を用い、該連結体を前記両木質材にわたって沿わせ、
前記嵌入部を前記円形凹部に嵌入させて、前記両木質材を連結させることを特徴とする木質材の連結方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−57243(P2006−57243A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237528(P2004−237528)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(595118892)株式会社ポラス暮し科学研究所 (32)
【Fターム(参考)】