説明

木造建築物の耐震壁材

【課題】十分な強度と好適な復元力特性を備えかっ軽量で設置も容易な木造建築物の耐震壁材を提供する。
【解決手段】本発明の木造建築物の耐震壁材は、木造建築物の軸組み部材で囲われる空間にはめる弾性変形可能な壁材であって、樹脂製リングを複数個同一面上で相互に接触状態で一体に組み合わせて構成したことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材建築物の耐震壁材に関し、特に軸組部材で形成される空間に簡昜に設置できて理想的な復元力を得ることができる耐震壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の耐震構造としては図5に示すように、柱21,22と横架材23,24で囲まれた内部空間に設置される木製の筋交い板25が一般的である。
この場合、筋交い板の両端は柱と梁あるいは土台とのコーナ部に木ネジで固定された筋交いプレートに結合されている。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−317125
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の筋交い構造では全体強度が筋交いプレートの取付け強度によって決定されるため、引張力によって筋いプレートが剥がれる等により十分な強度を確保することが困難であるという問題がある。また理想的な復元特性を得ることは原理的に不可能であるという問題もあった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点を解決するもので、十分な強度と好適な復元特性を備え、かっ軽量で設置も容易な木造建築物の耐震壁材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためには、本発明が提供する木造建築物の耐震壁材は、木造建築物の軸組み部材で囲われる空間にはめる弾性変形可能な壁材であって、樹脂製リングを複数個同一面上で相互に接触状態で一体に組み合わせ構成したことを特徴とするものである。なお、本発明の耐震壁材は四角形に形成された横フレームと縦フレームで形成した枠材に組み込むことで簡昜に木造家屋に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0006】
地震動によって軸組部材で囲われる空間が平行四辺形に変形すると合成樹脂製の耐震壁材が弾性変形と復元力で地震動を吸収して耐震性が格段に向上して、木造家屋の倒壊を未然に防止する。
【0007】
以上のように、本発明の木造建築物の耐震壁材は十分な弾性変形力と好適な復元力を備えているので地震動を吸収することができる。また設置も容易なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を実施例によって図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0009】
図1において、横架材として土台6の左右位置に公知の軸組み工法で左右の柱3、4が立設され、これら柱3,4上に横架材として梁5が結合載置されて柱3,4と上下の土台6及び梁5に囲まれた四角形の柱の空間が形成されている。
【0010】
柱の空間内にはそれぞれ左右の柱3,4の内側に沿って合成樹脂製の縦フレームf1、f2が配置されるとともに、土台6と梁5の内側にはこれらに沿ってそれぞれ合成樹脂製の横フレームf3,f4が配置されている。
これらは一方の側壁が適宣箇所で木ネジ51によって柱3,4や梁5あるいは土台6に固定されている。
【0011】
このような縦フレームf1,f2と横フレームf3,f4に囲まれて、上記柱の空間と相似形の四角形の内部空間が形成されており内部空間には円形リング2,1が取り付けられている。本実施例では耐震壁材は大円形リング2と小円形リング1を備えていて各円形リングは面接触でボルトで結合されている。また円形リングは縦フレームと横フレームに当接する部位は木ネジで固定されている。なお、上記実施例の縦フレームf1,f2と横フレームf3,f4は必要に応じて使用するとよい。
【0012】
このような耐震壁材において地震動が作用すると、図4に示すように、左右の柱3,4が梁5の略水平姿勢を保ちつつ起立姿勢から同方向へ傾斜しこれに伴って四辺形の壁空間が平行四辺形に変形する。このとき縦フレームf1,f2も上側横フレームf3の水平姿勢を保ちつつ同様に起立姿勢から同方向へ傾斜して四角形の内部空間が平行四辺形に変形する。
これにより内部空間に配置された耐震壁材の円形リング2,1が歪むことにより振動減衰力を生じる、これにより耐震壁材が発揮する弾性力との復元力を得ることができ木造家屋の耐震性が格段に向上する。
【0013】
本実施例において、大小円形リング2,1を内部空間に備え四角形に成形された横フレームf3,f4と縦フレームf1,f2を柱3,4と土台6、梁5で形成された空間内に取り付けることで耐震壁材を簡昜に木造家屋に組み込むことができる。加えて上述した好適な復元力も実現することができる。また全体を合成樹脂製とし、これをボトルで結合することによって十分な強度を確保することができる。
[その他の実施形態]
【0014】
耐震壁材は内部空間の変形に応じて弾性変形可能なものであれば上記実形態に示した形のものに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の耐震壁材を備えた軸組み構造の正面図である。
【図2】図1−1線の断面拡大図である。
【図3】図2−2線の断面図である。
【図4】実施例の耐震壁材の動作説明図である。
【図5】従来の耐震構造の正面である。
【符号の説明】
【0016】
1 小円形リング
2 大円形リング
3,4 柱
5 梁
6 土台
51 木ネジ
f1,f2 縦フレーム
f3,f4 横フレーム
21,22 立柱
23,24 横架材
25 筋交い板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建築物の軸組部材で囲われる空間にはめる弾性変形可能な壁材であって、樹脂製リングを複数個同一面上で相互に接触状態で一体に組み合わせて構成したことを特徴とする木造建築物の耐震壁材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−53582(P2010−53582A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218947(P2008−218947)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(394027135)
【Fターム(参考)】