説明

末端アミノ基を有するポリマーおよび亜鉛もしくは亜鉛合金電着浴用添加剤としてのその用途

亜鉛または亜鉛合金層の電着のための電解質浴のための添加物が記載されている。この添加物は末端にアミノ基を持つポリマーである。これらのポリマーは少なくとも1種のジアミノ化合物(2つの3級アミノ基を持つ)を、少なくとも1種の(疑似)ハロゲン化合物と反応させることによって得ることができる。その際、ジアミノ化合物は化学量論的に過剰で用いられる。この添加物は、特に亜鉛または亜鉛合金層の電着において層厚の均一な分布のみならず気泡形成能が殆どなく且つ燃焼もまれである、作用を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛もしくは亜鉛合金層の電着のための電解質浴用添加剤に関する。この添加剤は末端アミノ基を有するポリマーである。この添加剤は、特に気泡形成性が低く且つ燃焼性が低く、さらに、亜鉛もしくは亜鉛合金の電着中の層厚の均一分布をもたらす。
【背景技術】
【0002】
永い年月に亘り、N,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)ウレア−α,ω−ジハロゲンアルキルコポリマーは電着浴の添加剤として広範囲の利用を見い出していた。これらの化合物は特に、アルカリ性亜鉛電解質における列理精製剤(grain refiner)として用いられてきた。
特許文献1、特許文献2および特許文献3はアルカリ性亜鉛または亜鉛合金電解質におけるN,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)ウレア−α,ω−ジクロロ−ジエチルエーテルコポリマーの使用を記載している。
特許文献4はN,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)ウレア−α,ω−ジハロゲンアルキルコポリマー類および四級化ビリジン−3−カルボン酸並びに芳香族アルデヒドからなり、亜鉛堆積中に頻繁に記載された気泡形成を回避できる点で優れている配合物を記載している。しかしながら、比較実験は、幾つかの場合には長期間の経過後気泡形成が起ることを示している。
特許文献5および特許文献6は、同様に、四級化ニコチンアミドおよびトリピリジニウム誘導体と共に添加剤として上記したポリマーを亜鉛もしくは亜鉛合金浴に用いることを記載している。
特許文献7は、N−(ジアルキルアミノアルキル)−ウレアと、N,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)−ウレアまたはそれぞれそのグアニジンもしくはチオウレア類縁体からなる混合物を、ジハロゲンアルカンまたはエピクロロヒドリンと反応させて得られる四級化窒素ポリマーの使用を記載している。上記した添加剤は、アルカリ性亜鉛電解質からの亜鉛層の無気泡堆積に使用できることが明らかとなった。
【0003】
上記したコポリマーは特許文献8に従ってN,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)ウレアをα,ω−ジハロアルカンと1:1で反応させて製造することができる。モノハロアルカンまたは酸の如き適切なアルキル化剤の添加によって、重合を停止することができ、分子量分布は所望の用途に従って定めることができる。
上記した停止の可能性にもかかわらず、反応の制御はポリマー組成に関して極端に難しく、非常に再現するのが困難な生成混合物を与える。これは、用途によって、方法と生成物に大きな変動を与えることになる。すなわち、特に電着法において、ポリマーの分子量分布は、層特性に関して電解質の性能に重大な影響を持つことが知られている。すなわち、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されているような、上記したポリマー添加剤を用いると、長期間の経過後気泡を生成するようになる亜鉛層が得られることが多い。さらに、このようにして生成されたコポリマーは加えて電解質によってはAOX汚染を惹き起す、有機的に結合したハロゲンを含有することが多い。さらに、特許文献8に記載された製造方法を用いると、異なるジハロ化合物類またはジアミノ化合物類を交互の順番で含有する混合コポリマーまたはオリゴマーを製造することはできない。
【0004】
特許文献9および特許文献10は、多成分重合によって製造できる、亜鉛または亜鉛合金電解質用添加剤としての混合ポリマーの製造と使用を記載している。この場合、N,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)ウレア誘導体(特にウレア、チオウレアおよびグアニジン誘導体)の他に、それぞれ、さらなるアミンまたはポリアミン、あるいはイミダゾールの如き複素環化合物が用いられる。この場合、アミン成分対ハロゲン成分の比は、好ましくは1:1である。両文献に記載されている製造法を用いると、反応成分の任意の分布および堆積された金属層の質に有害な分子量を持つポリマーの生成がしばしば起る。反応時間、加熱速度、反応器の形状、容積−表面積比等の如き、用いる反応条件によって、再現することが困難であり、そして添加剤性能において、堆積結果に大きな影響を与える、生成物組成に到達することになる。いわゆる注文通りのポリマーの製造と堆積される層の目標通りの制御とはこのように複雑である。
特許文献11は、アルカリ性亜鉛電解質の堆積された亜鉛層の明るさの度合いへのN,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)グアニジン誘導体の有益な効果を記載している。これらの誘導体の欠点は、比較的大きい光沢が、特にドラム電着の場合に、大きな欠点となる、一層悪化した堆積分布で生じることが多いということである。
【0005】
製造方法によって、上記した(カチオン性)コポリマーはカウンターイオンとしてハライドイオンを含有することが多い。N,N’−ビス(ジアルキルアミノアルキル)チオウレア誘導体を用いると、特にアルカリ性媒体中で安定性が低く且つ分解するので、亜鉛堆積に負の影響を与えるチオロニウム化合物が重合で得られることが多い。
上記した添加剤および相当する電解質の他の欠点は、亜鉛富化電解質(>10g/Lの亜鉛含量)の場合の高電流密度の範囲において、強い燃焼あるいは燃焼した堆積が起ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,405,523号明細書
【特許文献2】米国特許第5,435,898号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/044269A2号パンフレット
【特許文献4】欧州特許第1,114,206B1号
【特許文献5】国際公開第2007/747604A2号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2007/147605A2号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2007/025606A1号パンフレット
【特許文献8】米国特許第4,157,388号明細書
【特許文献9】米国特許公開第2008/0223726A1号
【特許文献10】欧州特許第1,315,849B1号
【特許文献11】米国特許公開第2008/0223729A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かくして、本発明の目的は、その使用の間中上記の如き欠点が起らない、亜鉛または亜鉛合金層の電着用電解質浴を提供することである。
本発明の電解質浴は、特に、殆どの場合均一な層厚分布と高い光沢を持つ、気泡と難燃性の無い亜鉛または亜鉛合金層を与えることが殆どである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、電解質浴が下記式I

A−[−L−A−]−L−A (I)

ここで、Aは下記式II〜VIIの1つのジアミノ化合物に由来する単位であり、
【0009】
【化1】

【0010】
ここで、XおよびYは同一もしくは異なり、OまたはNRを表わし、RはHまたはC〜C−アルキルであり、
Zは同一もしくは異なり、OまたはSを表わし、
R1、R2、R5およびR6はそれぞれ同一もしくは異なり、炭素数1〜10の置換または未置換炭化水素残基、好ましくはメチル、エチル、ヒドロキシエチルまたは−CHCH(OCHCH−OHであり、yは0と4の間であり、そして
R3、R4、R8はそれぞれ同一もしくは異なり、(CHを表わし、pは2〜12の整数であり、好ましくはエチレン基もしくはプロピレン基、または−[CHCHO]−CHCH−基であり、nは1と40の間であり、好ましくは−(CH−O−(CH−または−(CH−O−(CH−O−(CH−基である、
Lは−(CH−、ここでpは1と12の間、好ましくは1と6の間、最も好ましくは2と4の間であり、
−CH−CH(OH)−CH−および−[CHCHO]−CHCH−、ここでqは1と40の間であり、好ましくは−(CH−O−(CH−または−(CH−O−(CH−O−(CH−よりなる群から選ばれる2価残基を表わし、
上記複数の単一単位Aは同一もしくは異なり、
上記複数の単一単位Lは同一もしくは異なり、
nは整数を表わし、n>0、好ましくは>3、より好ましくは>5、最も好ましくは>10であり、そして
このポリマー鎖は単位Aを両末端に有する、
のポリマーを含有する、亜鉛または亜鉛合金層の電着用電解質浴によって、本発明により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
R1、R2、R5およびR6は、上記したように、炭素数1〜10の置換もしくは未置換の炭化水素残基、好ましくはメチル、エチル、ヒドロキシエチルまたは−CHCH(OCHCH−OH、ここでyは0と4の間である、を表わす。上記の炭化水素残基は、特に、C〜Cアルキル(好ましくは−CH、−CHCH)、アリール(好ましくはフェニル)またはアラルキル(好ましくはベンジル)で置換されることができる。
用語“ポリマー”は、本発明に関して広い意味で理解されなければならない。それは少なくとも2つのモノマー分子の反応によって形成された如何なる化合物も包含する。用語“ポリマー”は、特に、オリゴマーとして典型的に呼ばれている化合物を包含する。用語“ポリマー”は、本発明と関係してポリ“縮合”反応によって形成される化合物にも適用される。
【0012】
式Iのポリマーは式II〜VIIの1つまたはそれ以上のジアミノ化合物を下記式VIIIの1つまたはそれ以上の化合物と反応させることによって得ることができる。
P−L−Q (VIII)
ここで、Lは式Iにおけると同義であり、PおよびQは同一もしくは異なり、Cl、BrおよびIの如きハロゲンまたはOMs(メシレート)、OTf(トリフレート)、ONf(ノナフレート)またはOTs(トシレート)の如き疑似ハロゲン(pseudohalogen)を表わし、そして式VIIIの化合物の物質全量(n)に対する、式II〜VIIの化合物の使用物質全量(n)の比(n:n)は、少なくとも1.1:1、好ましくは1.3:1、より好ましくは少なくとも1.5:1である。
【0013】
式VIIIの化合物は有機ジ(疑似)ハロゲン化合物である。
これは、式Iのポリマーの製造において、式VIIIのジ(疑似)ハロゲン化合物が式II〜VIIの化合物に対して化学量論的量で用いられることを意味している。すなわち、式Iのポリマーの鎖は両末端にアミノ基を持つ単位Aを持つことになる。これらの末端アミノ基は最初3級(式II〜VIIの化合物におけるように)であるが4級化されてもよい。酸性溶液中では、アミノ基は完全にまたは部分的にプロトン化された形態で存在する。
【0014】
単位Aと残基Lの間の結合は、4級アンモニウム基を介して起る。これは式VIIIの化合物の基PおよびQを、式II〜VIIの化合物の3級アミノ基によって置換することによって形成される。
これらの末端3級アミノ基は、ベンジルクロライド、アリルクロライド、アルキルクロライドまたはそれらの相当するブロマイドの如き有機モノハライドを用いることによって、あるいは塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸または硫酸の如き適当な鉱酸を用いることによって、所望の特性に従って、4級化され得る。
【0015】
式Iのポリマーは、好ましくは、少なくとも500(g/mol)の分子量を有する。
式II〜VIIのジアミノ化合物と式VIIIの化合物との反応は、好ましくは、それぞれ、水性もしくは水アルコール性の溶液中あるいは無溶媒物質中で、好ましくは20〜100℃の温度で実施される。
式Iのポリマーは有機的に結合したハロゲンを示さない。
【0016】
好ましくは、式Iのポリマーに対して、もし電解質浴用添加剤として用いるのであれば、ハライドイオンが添加される。ハライドイオンの添加は、この場合、相当する鉱酸特に塩酸の添加によって、あるいは末端3級アミノ官能基を相当するアルキルハライドで4級化することによって、あるいはアルカリ、アルカリ土類、亜鉛もしくはアンモニウムハライドの添加によって起る。この場合、未置換アンモニウムハライドの他に、アンモニウムハライドとして、US3,960,697に記載されているようなテトラアルキルアンモニウムクロライドまたはアンモニウム塩の如きアルキルアンモニウムハライドを用いることもできる。好ましくは、式Iのポリマーは塩酸を用いて酸性化される。好ましくは、1当量のポリマーに対し約2当量の塩酸が添加される。
驚いたことに、堆積結果はハライドイオンの添加によって改善されることが明らかとなった。特に、電解質の分散および燃焼へ向かう傾向が少なくなる。加えて、低電流密度域での電流効率の増加がハライドイオンの添加によって達成される。さらに、ハライドイオンの添加によって輝き度合の変化が可能となる。
【0017】
式Iのポリマーは、望ましい所望の目的に従って選択的に且つ再現的に製造される。要求どおりのブロックポリマーを形成する可能性が特に有利なことである。これらのポリマーは、1種またはそれ以上のハライドと一緒に、それぞれ、種々のダイマー、トリマーまたはオリゴマーの目標とする組合せによって連続して形成される。式Iのポリマーは特に、セグメント制御法で式VIIIのジハライドおよび凝ハライドの1種またはそれ以上と一緒にダイマーおよび/またはトリマーの如き異なるオリゴマー形成ブロックの連続的結合によって形成することもできる。
【0018】
式IIとVの化合物はJP04−198160中にジアミノウレア類のケースのために、またDE3003978A1中にジアミノグアニジン類のケースのために記載されている。式IIIとVIの化合物は相当するジアミンをナトリウムジシアナミドと反応させることによって得られる。この種の反応は、とりわけUS4183958Aに、記載された反応に類似して実施することができる。式IVとVIIの化合物は、相当するジカルボン酸ハライドを相当するジアミンと反応させることによって得られる。
【0019】
式VIIの化合物はそれ自体知られており、商業的に入手可能であることも多い。式IIIの化合物から誘導される単位Aを含有する式Iのポリマーは、これに対して、新規であり、本発明により初めて提供される。
式Iのポリマーは、以下においてさらに詳しく記述される、種々の亜鉛浴または亜鉛合金浴中で用いられる。本発明による電解浴は、酸性もしくはアルカリ性の亜鉛または亜鉛合金浴である。好ましくは、本発明の電解浴はシアン化物を含まない。
【0020】
本発明の浴中に、式Iのポリマーは、好ましくは0.01〜50g/L、好ましくは0.25〜10g/Lの量で含有される。この浴は式Iの種々のポリマーの組合せを含有することができる。
シアン化物を含まない亜鉛電解質浴およびそれらの合金浴は、2つのタイプすなわち弱酸性亜鉛電解質(それぞれ塩化亜鉛および/または硫酸亜鉛を含有する)とアルカリ性亜鉛電解質に分けられる。均質に輝く亜鉛層は弱酸性亜鉛浴から堆積されるが、これらはそれらの電流効率が、常に、広い電流密度範囲を超えて100%であるという欠点を有している。簡単な形態を持つ工作物の場合、これは電流が専ら亜鉛堆積のために使い切られるので、利点として判断される。しかしながら、複雑な形態を持つ工作物の場合には、これは、高電流密度域では熱い亜鉛層をもたらしそして低電流密度域では非常に薄い亜鉛層をもたらす。
【0021】
高電流密度域の亜鉛層の厚み対低電流密度域の亜鉛層の厚みの比は層厚分布
(分布係数)と呼ばれ、理想的場合には1である。技術的機能的観点から、被覆されるべき工作物上の亜鉛層はどこでも高輝度で同じもしくはほぼ同じ層厚を持つべきである。
高電流密度域における電流効率の低下によって、層厚の望ましい分布が達成されるが、他方低電流密度域における電流効率は維持される。広範囲の電流密度に亘って亜鉛層厚を並べる方法は、これまでに、アルカリ性、シアン化物のない電解質から亜鉛を堆積する場合に達成される。
容易に調整できる、適切な鎖長を持つ式Iのポリマーを用いることによって、堆積層の層特性を調節することができ、しかも泡のない、燃焼しない、亜鉛層および亜鉛合金層が得られることが明らかになった。
【0022】
アルカリ性電解質浴
式Iの本発明の化合物の使用はアルカリ性電着浴中における実施態様で行われる。アルカリ性亜鉛電着浴は、一般にアルカリ金属水酸化物の存在下、亜鉛カチオンの水溶液を基本としてなる。DE2525264とUS3884774はそのような電解質を記載しているものの、しかしながらそれを用いて得られた亜鉛層は層厚の均一分布を示さない。そのような浴は無機アルカリ性成分、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、特に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび/または水酸化リチウムを含有し、pH値を少なくとも10、好ましくは少なくとも11に調節する。この場合、50〜約250g/L、特に好ましくは90〜130g/Lの量のアルカリ成分が用いられる。
本発明の電解質浴は、通常約0.1〜約100g/Lの範囲の濃度で亜鉛カチオンを含有し、その中4〜30g/Lの濃度が好ましい。亜鉛イオンは本発明の浴中に可溶性塩例えば酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、スルファミン酸亜鉛、水酸化亜鉛あるいは酒石酸亜鉛の形態で存在する。
【0023】
合金金属として、本発明の浴は約0.1〜50g/Lの金属イオンを含有する。適切な合金金属塩は、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硫酸アンモニウム塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、蟻酸塩およびハライド好ましくは塩化物と臭化物である。適当な合金金属として、好ましくはコバルト、ニッケル、マンガンおよび/または鉄を考慮できる。本発明の浴中の合金金属イオンの濃度は広い範囲で変化でき、0.01〜100g/Lにもなる。腐蝕抵抗を改善するために、異なるタイプの合金には異なる合金含量が必要とされるので、この濃度は金属イオンによって変化する。
好ましくは、本発明の浴は、合金金属として、0.1〜50g/Lのニッケルイオンを含有する。適当なニッケル塩は、水酸化ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸アンモニウムニッケル、スルファミン酸ニッケル、酢酸ニッケル、蟻酸ニッケルおよび塩化ニッケルである。
好ましい態様において、電解質浴は0.1〜30g/Lの量の亜鉛並びに10〜120mg/Lの量のコバルト、0.3〜3g/Lの量のニッケル、10〜100g/Lの量のマンガンおよび/または10mg/L〜30g/Lの量の鉄を含有する。
一方、式Iのポリマーの他に、増白剤として、US6,652,728に記載されているような、ピリジニウム誘導体例えばニコチン酸またはニコチン酸アミドが用いられる。
【0024】
本発明の浴が上記付加金属イオンを含有する場合、堆積能力を制御するためおよび存在する亜鉛イオンでの共還元をするために、これらの付加的金属イオンを可溶化する錯化剤をこれらの浴にさらに添加することが適切である。そのような錯化剤として、キレート化剤が好ましい。適当な錯化剤の例は、グルコン酸ナトリウムの如きヒドロキシカルボキシレート、トリエタノールアミンの如きアミノアルコール、ポリエチレンジアミンの如きポリアミン、EDTAやトリロンM(Trilon M)の如きアミノカルボキシレート、アミノ−トリス(メチレンホスホン酸)の如きアミノホスホネートおよびソルビトールやスクロースの如き多価アルコールである。この錯化剤は、本発明の浴中に、好ましくは2〜200g/Lの範囲の量で、単独であるいは混合物で、含有される。
【0025】
さらに、本発明の浴は、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールおよび/またはチオウレアの如き均展剤(levelling agent)を含有することができる。均展剤の濃度は亜鉛浴の普通濃度に相当し、例えば0.01〜0.50g/Lの量になる。本発明の浴に対するさらなる添加剤は、芳香族アルデヒドまたはそれらの重亜硫酸塩付加物である。
好ましい芳香族アルデヒドは、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシベンズアルデヒドおよびこれらの混合物である。濃度が0.005〜1.0g/L、好ましくは0.01〜0.5g/Lの範囲にあるこれらの添加物は、それ自体知られているように、増白剤として作用する。
【0026】
さらに、本発明の浴は、増白剤として、同様に、硫黄化合物、アルデヒド、ケトン、アミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、蛋白質またはハロヒドリンと脂肪族アミン、ポリアミンもしくは複素環窒素化合物の反応生成物、またはこれらの混合物から選ばれる他の物質を含有することもできる。
【0027】
さらに、本発明の浴は、さらに、本発明の電解質の異金属イオン特に水道水からのカルシウムやマグネシウムイオンへの感度を、それを用いることで、低減させる硬水軟化剤を含有していてもよい。このような硬水軟化剤の例は、EDTA、硅酸ナトリウムおよび酒石酸である。
【0028】
本発明の浴は、約15℃〜50℃の範囲の普通の温度、好ましは20℃〜30℃、特に好ましくは約25℃でブランク、平面および延性の亜鉛また亜鉛合金層を堆積に有効である。この温度において、本発明の浴は0.01〜10A/dm、特に好ましくは0.5〜4A/dmの広い電流密度範囲に亘って安定且つ効果的である。
実施例12および13に示したとおり(表3)、式Iのポリマーは、驚くべきことに、アルカリ性亜鉛ニッケル堆積の場合に得に有利な効果を示す。
【0029】
酸性電解質浴
式Iに従う本発明の化合物の使用は、さらなる実施態様に従って、酸性電着浴中で起る。
慣用の酸性亜鉛浴は、方法の種類によって、しばしば燃焼を起す。式Iのポリマーを用いることによって、この欠点が解消される。これは実施例14〜22に示されている(表4)。
【0030】
本発明の酸性浴は、亜鉛イオンを、約0.2〜80g/L、好ましくは10〜50g/Lの濃度で含有する。
本発明の酸性亜鉛または亜鉛合金電解質は、導電性を増すために、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、硫酸カリウム、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび/または硫酸アンモニウムの如き塩の一種またはそれ以上を、50〜300g/Lの量あるいはそれ以上の量で含有する。
ある場合には、本発明のスズ−亜鉛電解質は当該分野で知られた増白剤の1種またはそれ以上を含有する。一実施態様によれば、浴は芳香族カルボニル化合物から選ばれる少なくとも1種のさらなる増白剤を含有する。芳香族カルボニル化合物は広い範囲の電流密度に亘って最良の平坦化および増白効果を与える増白剤として作用する。芳香族カルボニル化合物は芳香族アルデヒド、アセトフェノンおよびカルボニル化合物であることができる。
【0031】
芳香族アルデヒドの例としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−アミノベンズアルデヒド、ベラトラアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、3,4−ジクロロベンズアルデヒド、3,5−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、トルアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−エポキシ−1−ナフトアルデヒド、4−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、4−エトキシ−1−ナフトアルデヒドおよび4−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒドがある。幾つかの化合物、ナフトアルデヒドとベンズアルデヒドの組合せ、例えば1−ナフトアルデヒドと2,6−ジクロロベンズアルデヒドの組合せの場合、基質上への秀れた堆積が提供される。他のカルボニル化合物の例としては、ベンジリデンアセトン、クマリン、アセトフェノン、プロピオフェノンおよび3−メトキシベンズアセトフェノンの如き芳香族アルデヒドまたはケトンがある。さらなるカルボニル化合物には、フルフリデンアセトン、3−インドールカルボキサルデヒドおよびチオフェンカルボキサルデヒドがある。本発明の浴中において、カルボニル含有化合物に対する芳香族アルデヒドの量は、最大で約2g/L浴、好ましくは約0.005〜約2g/L浴の範囲にある。増白剤は、一般に、重亜硫酸塩付加生成物として電解メッキ浴に添加される。
【0032】
さらに、脂肪族アルデヒドと上記芳香族アルデヒドの混合物およびナフタルアルデヒドとベンズアルデヒドの混合物も同様に適切である。適切な組合せの例は次のとおりである:酸アルデヒドと4−メトキシ−1−ナフタルアルデヒドの混合物、ホルムアルデヒド、1−ナフタルアルデヒドと2,6−ジクロロベンズアルデヒドの混合物など。
さらに、適切なカルボニル含有増白剤化合物は、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウムおよびニコチン酸の如き、芳香族カルボン酸およびその塩を包含する。
【0033】
本発明の酸性亜鉛および亜鉛合金浴のpH値は2〜7、好ましくは4〜6の間にある。
本発明の浴は、約15℃〜60℃、好ましくは20℃〜45℃、特に好ましくは約25℃〜40℃の各慣用温度で、白い、平坦な且つ延性のある亜鉛または亜鉛合金層の堆積に効果的である。これらの温度において、本発明の浴は、0.01〜20A/dm、好ましくは0.1〜15A/dm、そして特に好ましくは0.1〜10A/dmの広い電流密度範囲で安定且つ有効である。
適切な合金金属として、好ましくはコバルト、ニッケル、マンガン、スズおよび/または鉄が考慮されるべきである。本発明の浴中の合金金属イオンの濃度は広い範囲で変えることができ、好ましくは0.01〜300g/Lである。例えば腐蝕抵抗を改善するために、合金の異なる含量が異なる合金種について求められるので、濃度は金属イオンによって変化する。
【0034】
好ましくは本発明の酸性亜鉛ニッケル浴は、合金金属として、約0.1〜110g/L、好ましくは1〜35g/Lのニッケルイオンを含有する。適切なニッケル塩は硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸アンモニウムニッケル、スルファミン酸ニッケル、酢酸ニッケル、蟻酸ニッケルおよびニッケルハライドである。
好ましくは本発明の酸性亜鉛コバルト浴は、合金金属として、約0.01〜10g/Lのコバルトイオンを含有する。酸性亜鉛イオン電解質の場合、本発明の電解質は10〜60g/Lの鉄イオンを含有する。適切な鉄塩は、硫酸鉄、メタンスルホン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、スルファミン酸鉄、酢酸鉄、蟻酸鉄および鉄ハライドである。
好ましい態様において、電解浴は亜鉛を0.1〜30g/Lの量で、コバルトを10mg〜120mg/Lの量で、ニッケルを0.3〜3g/Lの量で、マンガンを10〜100g/Lの量でおよび/または鉄を10mg/L〜30g/Lの量で、含有する。
【0035】
さらに、本発明の式Iのポリマーは酸性スズ亜鉛合金浴で用いることもできる。一般に、本発明のスズ−亜鉛合金浴は式Iのポリマーを0.1〜10g/L、特に好ましくは0.2〜6g/Lで含有する。
本発明のスズ−亜鉛電気浴は、好ましくはスズ(II)イオンを約1g/L〜約100g/Lの濃度で、亜鉛イオンを約0.2〜80g/Lの濃度で含有する。
さらなる態様により、電解浴はスズ(II)イオンを約5g/L〜40g/Lおよび亜鉛イオンを約5〜約50g/L含有する。本発明の全ての記載において、範囲および比率制限は結合できまた変化され得るものである。
【0036】
スズ(II)イオンは、硫酸スズ(II)、メタンスルホン酸スズ(II)、塩化スズ(II)、フッ化スズ(II)、スルファミン酸スズ(II)、酢酸スズ(II)、酸化スズ(II)等の如き、適当な塩の形態で存在することができる。亜鉛イオンは、浴中に、硫酸亜鉛、メタンスルホン酸亜鉛、スルファミン酸亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、酢酸亜鉛、四フッ化ホウ酸亜鉛等の形態で存在することができる。一態様において、スズ(II)イオンのみならず亜鉛イオンは塩酸塩の形態で存在する。
スズ−亜鉛合金堆積の組成は、0〜100wt%のスズ、好ましくは20〜60wt%のスズ、特に好ましくは30〜50wt%のスズを含む。
スズ−亜鉛電解質は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、硫酸カリウム、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび/または硫酸アンモニウムの如き、モノマー塩を50〜300g/Lまたはそれを超える量で、導電性向上のために含有することができる。
本発明の一態様によれば、導電性向上のための塩は塩化物であり、スズ(II)および亜鉛塩は塩化スズ(II)および塩化亜鉛である。
【0037】
本発明の浴が上記付加的金属イオンを含有する場合、これらの付加的金属イオンと相溶性の錯化剤を、堆積ポテンシャルを制御するためおよび存在する亜鉛イオンでの共還元をさせるために、これらの浴にさらに加えることが適切である。このような錯化剤としてキレート剤が好ましい。適切な錯化剤の例は、グルコン酸ナトリウムの如きヒドロキシカルボキシレート、トリエタノールアミンの如きアミノアルコール、ポリエチレンジアミンの如きポリアミン、EDTAやトリロン(Trilon)Mの如きアミノカルボキシレート、アミノ−トリス(メチレンホスホン酸)の如きアミノホスホネートおよびソルビトールやシュークロースの如き多価アルコールである。錯化剤は、本発明の浴に、単独であるいは混合物で、好ましくは2〜200g/Lの範囲の量で、含有することができる。
【0038】
本発明の電解浴の使用
本発明の電解浴は、例えばドラム電解堆積法における、塊状部品用に、あるいは静止メッキ法における比較的大きな工作物への堆積用に、用いられる。この場合、亜鉛陽極(anode)の如き、可溶性である陽極が用いられる。この陽極は同時に、陽極で亜鉛が溶解することによって陰極上に堆積された亜鉛と置換するために、亜鉛イオン源としても作用する。合金堆積に関しては、それぞれ、合金陽極または合金の陽極および/またはスズと合金からなる2つの陽極が用いられる。
他方、不溶性陽極(例えば白金化チタン混合酸化物)を用いることができる。この場合、取出された亜鉛イオンおよび/またはさらなる金属イオンは、亜鉛溶解タンクを用いて、合金堆積の場合に、再添加されねばならない。
堆積法は、得られる被覆に対して欠点を生ずることなく、空気の注入を伴って、物品の運動を伴うかあるいは伴わずに、操作される。包含された添加物の酸化を、それぞれ回避しあるいは低減させるために、それぞれ、電極スペース同士の分離を用いてあるいは膜陽極を用いることによって、それはうまく機能する。
電力供給として、通常のDC変換機やパルス変換機が用いられる。
【0039】
本発明は特に下記態様を包含する。
(1)請求項1による、亜鉛または亜鉛合金層の電着用電解質浴。
(2)電解質浴がアルカリ性浴である上記(1)による電解質浴。
(3)電解質浴が式1のポリマーの1種またはそれ以上を0.01〜50g/L、好ましくは0.25〜10g/Lで含有する、上記(2)における電解質浴。
(4)亜鉛源が酸化亜鉛である、上記(1)による電解質浴。
(5)亜鉛イオンの濃度が0.1〜100g/L、好ましくは4〜30g/Lである、上記(1)〜(4)のいずれかによる電解質浴。
(6)電解質浴が、プロパンおよびブタンサルトンとニコチン酸またはニコチン酸アミド誘導体とを用いて、それぞれ、アルキル化または反応させて製造されうる、増白剤としての四級化ピリジニウム化合物を、0.005〜0.5gL、特に好ましくは0.01〜0.3g/Lの濃度で含有する、上記(2)および(3)のいずれかによる電解質浴。
(7)電解質浴が芳香族アルデヒドまたはその重亜硫酸塩付加物を、0.005〜1g/L、好ましくは0.01〜0.50g/Lの濃度で含有する、上記(1)〜(6)のいずれかによる電解質浴。
(8)電解質浴がアルカリ電解質浴でありそしてコバルト、ニッケル、鉄および/またはマンガンのさらなる金属イオンを含有する、上記(1)〜(7)のいずれかによる電解質浴。
(9)亜鉛が0.1〜30g/Lの濃度で存在し、コバルトが10〜120mg/Lの濃度で存在し、ニッケルが0.3〜3g/Lの濃度で存在し、マンガンが10〜100g/Lの濃度で存在し、そして鉄が10mg/L〜30g/Lの濃度で存在する、上記(8)による電解質浴。
(10)電解質浴がアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび/または水酸化カリウムを含有する、上記(2)、(3)、(6)、(8)または(9)のいずれかによる電解質浴。
【0040】
(11)アルカリ金属水酸化物が80〜250g/Lの濃度で存在する、上記(10)による電解質浴。
(12)電解質浴が錯化剤または軟水化剤を含有する、上記(1)〜(11)のいずれかによる電解質浴。
(13)電解質浴が錯化剤としてキレート化剤を含有する、上記(12)による電解質浴。
(14)キレート化剤がヒドロキシカルボキシレート、アミノアルコール、ポリアミン、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多価アルコールまたはそれらの混合物の群から選ばれる、上記(13)による電解質浴。
(15)キレート化剤が2〜200g/Lの濃度で存在する、上記(13)または(14)のいずれかによる電解質浴。
(16)電解質浴が弱酸性アンモニウム含有電解質浴である、上記(1)による電解質浴。
(17)電解質浴が式Iのポリマーを0.001〜10g/L、好ましくは0.2〜6g/Lの濃度で含有する、上記(16)による電解質浴。
(18)電解質浴がコバルト、ニッケル、鉄、スズ、銅および/またはマンガンのさらなる金属イオンまたはこれらの混合物を含有する、上記(16)または(17)のいずれかによる電解質浴。
(19)亜鉛が0.1〜30g/Lの濃度で、コバルトが10〜120mg/Lの濃度で、ニッケルが0.3〜3g/Lの濃度で、マンガンが10〜100g/Lの濃度で、スズが1g/L〜100g/Lの濃度で、そして鉄が100mg/L〜30g/Lの濃度で、存在する、上記(18)による電解質浴。
【0041】
(20)浴のpH値が2〜7、好ましくは4〜6である、上記(16)〜(19)のいずれかによる電解質浴。
(21)電解質浴が芳香族カルボニル化合物および/またはα,β−不飽和カルボニル化合物を0.001〜2g/L、好ましくは0.1〜2g/Lの濃度で含有する、上記(16)〜(20)のいずれかによる電解質浴。
(22)電解質浴がカルボニル化合物として、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−アミノベンズアルデヒド、ベラトアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、3,4−ジクロロベンズアルデヒド、3,5−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、トルアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−エトキシ−1−ナフトアルデヒド、4−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、4−エトキシ−1−ナフトアルデヒド、4−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、ジベンジリデンアセトン、ベンザルアセトン、クマリン、アセトフェノン、プロピオフェノン、3−メトキシベンズアセトフェノン、フルフリデンアセトン、3−インドールカルボキシアルデヒド、チオフェンカルボキシアルデヒド、ケイ皮酸、安息香酸、ニコチン酸、サリチル酸またはニコチンジカルボン酸あるいはこれらの混合物を含有する、上記(21)による電解質浴。
(23)電解質浴が錯化剤を含有する、上記(16)〜(22)のいずれかによる電解質浴。
(24)錯化剤がヒドロキシカルボキシレート、アミノアルコール、ポリアミン、アミノカルボキシレート、アミノホスホネートおよび多価アルコールあるいはそれらの混合物よりなる群から選ばれる、上記(23)による電解質浴。
(25)電解質浴が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、硫酸カリウム、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび/または硫酸アンモニウムの如き、導電性を向上するための塩の1種またはそれ以上を含有する、上記(16)〜(24)のいずれかによる電解質浴。
(26)電解質浴が導電性を向上させるための塩を50〜300g/Lの濃度で含有する、上記(25)による電解質浴。
(27)上記(1)〜(26)のいずれかによる電解質浴中に、被覆されるべき基質を浸漬する工程を有する、増白且つ平坦な亜鉛もしくは亜鉛合金被覆を電着するための方法。
(28)浴が0.01〜20A/dm、好ましくは0.1〜15A/dm、特に好ましくは0.01〜10A/dmの電流密度で操作される、上記(27)による方法。
(29)浴が15〜50℃、好ましくは20℃〜45℃、特に好ましくは25℃〜40℃の温度で操作される、上記(27)または(28)のいずれかによる方法。
【0042】
(30)被覆がバレルめっき法を用いて導電性基質上に堆積される、上記(27)〜(29)のいずれかによる方法。
(31)被覆が静止めっき法を用いて導電性基質上に堆積される、上記(27)〜(29)のいずれかによる方法。
(32)亜鉛被覆が基質上に堆積される、上記(27)〜(31)のいずれかによる方法。
(33)亜鉛合金被覆が基質上に堆積される、上記(27)〜(31)のいずれかによる方法。
(34)亜鉛合金の被覆がコバルト、ニッケル、マンガン、スズ、銅および/または鉄よりなる群から選ばれる金属の一種またはそれ以上とともに基質上に被覆される、上記(33)による方法。
【実施例】
【0043】
下記実施例は本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0044】
製造実施例1
N,N’−ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]ウレア
676.43mL(5.883モル)のN,N’−ジメチルアミノエチルアミンと174.50g(2.905モル)の尿素がアンモニウムのエマルジョン下で懸濁され且つ還流するようにゆっくりと加熱された。沸点は、最初は、106℃であったが、6時間で160℃まで昇った。ガス生成が終了した後、反応混合物は室温まで冷却されそして粗生成物が高真空下で蒸留された(0.02ミリバールで150℃)。
557.16gの無色固体が得られた(理論値の94.81%)。
【0045】
製造実施例2
N,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレア
二重壁反応器中で、3.527kg(58.72モル)の尿素が14.963L(118.91モル)のN,N−ジメチルアミノプロピルアミン中に懸濁された。その後、反応混合物は1時間で110℃〜115℃まで加熱され、その点で反応が始まった。生成されたアンモニアは尿素のおだやかな注入により排出された。反応温度は6時間に亘って最終温度が160℃になるまでコンスタントに上昇させそして還流が終了するまで5時間維持された。その後、反応混合物は80℃に冷却されそして最終圧が38ミリバールになるまでゆっくりと減圧に付された。
13.406kgの明澄な粘性液体が得られた(理論値の99.10%)。
【0046】
製造実施例3
N,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]グアニジン
2Lの3首撹拌装置中に、250g(2.617モル)のグアニジン塩酸塩がガラス明澄溶融塊の形成の下で窒素気流下190℃まで加熱された。その後、200mL(1.57346モル)のN,N’−ジメチルアミノプロピルアミンが185℃で90分かかって滴下された。添加が終了した後は、それは室温まで冷却された。その後、反応混合物はもう1度185℃まで加熱されそしてさらに600mL(4.720モル)のN,N’−ジメチルアミノプロピルアミンが8時間で連続的に添加された。添加が終了した後、反応温度が160℃まで下げられそして反応混合物が激しく沸騰した。さらに274.45mL(2.159モル)のN,N’−ジメチルアミノプロピルアミンが速やかに滴下されそして反応混合物は150℃でさらに30分間撹拌された。その後、反応混合物は室温まで冷却されそして水酸化ナトリウム溶液(30wt%)、(1022gの水に溶解された、438g(10.96モル)の水酸化ナトリウム)そしてそれが30分間撹拌された。上方の有機層が分離されそして下方層が廃棄された。有機層中に残存していた揮発成分が150℃、12ミリバールで除去されそして残りが150℃で濾過された。室温まで冷却した後、354.45gの黄橙色オイルが生成された(理論値の59.05%)。
【0047】
製造実施例4
N,N’−ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]ビグアニジン
17.9g(0.144モル)のN、N’−ジメチルアミノエチルアミン塩酸塩が30mLのブタノールに懸濁されそして12.8g(0.144モル)のナトリウムジシアナミドが添加され、そして反応混合物は加熱され20時間還流した。その後、反応混合物は酢酸エチルで希釈されそして沈殿固体が濾過された。過剰の溶媒が減圧で除去された。得られた固体は一度100mlのブタノール中に取出されそして11.92g(135.25ミリモル)のN,N’−ジメチルアミノエチルアミンと32.29g(326.96ミリモル)の濃塩酸(37wt%)が添加されそして反応混合物がもう1度還流下で30時間加熱された。反応終了後、60mLのメタノールが添加されそして反応混合物は室温でさらに20時間撹拌された。その後、反応混合物は43.58g(326.95ミリモル)の30%水酸化ナトリウム溶液を用いて中和された。過剰の溶媒が減圧で除去され、残渣はジメチルホルムアミド中に取出されそして沈殿した塩化ナトリウムは分別された。その後、ジメチルホルムアミドが減圧で除去されそして減圧で100℃で乾燥された。
30.03gの白色固体が生成された(理論値の91.2%)。
【0048】
製造実施例5
N,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]サクシンアミド
49.285g(0.3021モル)のシュウ酸ジクロライドを50mLのジエチルエーテル中に溶解しそして450mLのジエチルエーテル中の76.80mL(0.604モル)のN,N’−ジメチルアミノプロピルアミンと84.60mL(0.6042モル)のトリエチルアミンからなるエーテル溶液が、2時間に亘って最大10℃で氷冷下に添加された。添加が終了した後、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、200mLのジクロロメタンが添加されそして反応混合物が1時間還流下で加熱された。次いで、反応物は室温まで冷却されそして過剰の溶媒が減圧下で除去された。この固体残渣に対して、32.02g(0.3021モル)の炭酸ナトリウムと500mLの水が添加され、そしてそれは30分間撹拌され且つ水が除去された。固体残渣は200mLでもう一度取り出されそして反応混合物は濾過された。濾液に対し、10gの活性炭が添加され、それは30分間撹拌され、濾過されそして過剰のエタノールが減圧下で除去された。かくして生成された残渣は酢酸エチルで2回沸騰され、不活性沈殿は廃棄された。一緒にした酢酸エチル画分に対し、10gの活性炭が添加されそしてそれは還流下で10分間加熱され次いで加熱濾過された。過剰の酢酸エチルが留去されそして残渣が300mLのジエチルエーテル中で10分間撹拌された。次いで、固体が濾別されそして減圧で乾燥された。
39.08gの淡褐色固体が得られた(理論値の45.16%)。
【0049】
製造実施例6
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHO(CHのモノマーBをモル比A:B=4:3で有するポリマー
20.0g(0.099モル)のN,N’−ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]ウレアが34.33gの水に溶解された。次いで、12.01mL(0.0743モル)の1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタンが添加されそして反応混合物が4時間80℃に加熱された。冷却後、水性ポリマー溶液が得られた。
【0050】
製造実施例7
pH2に酸性化された、製造実施例6のポリマー
34.33g(50wt%)の製造実施例6の水性ポリマー溶液が2.35mLの塩酸(37wt%)を用いてpH値2に調節された。
【0051】
製造実施例8
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=4:3で用いたポリマー
20.0g(0.099モル)のN,N’−ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]ウレアが30.62gの水に溶解された。次いで、8.71mL(0.0743モル)のビス−(2−クロロエチル)エーテルが添加されそして反応混合物が4時間80℃に加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。
【0052】
製造実施例9
pH2に酸性化された、製造実施例8によるポリマー
30.62g(50wt%)の製造実施例8によるポリマー水溶液が2.52mLの塩酸(37wt%)を用いてpH=2に調節された。
【0053】
製造実施例10
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X=Cl、Y=Br、R9=(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=4:3で用いたポリマー
50.0g(0.2171モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが75.86gの水に溶解された。次いで、16.26mL(0.1628モル)の1−ブロモ−3−クロロプロパンが添加されそして反応混合物が80℃に4時間加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。かくして得られたポリマーは2.74mLの塩酸(37wt%)を用いてpH値2.5に調節された。
【0054】
製造実施例11
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X=Cl、Y=Br、R9=(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=5:4で用いたポリマー
50.0g(0.2171モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが77.90gのウレアに溶解された。次いで、17.44mL(0.1737モル)の1−ブロモ−3−クロロプロパンが溶解されそして反応混合物が80℃に4時間加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。かくして得られたポリマーは1.94mLの塩酸(37wt%)を用いてpH値2.5に調節された。
【0055】
製造実施例12
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=4:3であるモノマーBとを用いたポリマー
289.74g(1.2578モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが423.29gの水に溶解された。次いで、111.69mL(0.9433モル)のビス−(2−クロロエチル)エーテルが添加されそして反応混合物が80℃に3時間加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。
【0056】
製造実施例13
pH=2に酸性化された、製造実施例12におけるポリマー
30.62g(50wt%)の製造実施例12によるポリマー水溶液が2.52mLの塩酸(37wt%)を用いて、pH値2に調節された。
【0057】
製造実施例14
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=5:4で用いたポリマー
15.95g(0.0693モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが23.79gの水に溶解された。次いで、6.49mL(0.0554モル)のビス−(2−クロロエチル)エーテルが添加されそして反応混合物が80℃に4時間加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。
【0058】
製造実施例15
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=10:9で用いたポリマー
14.18g(0.0616モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが22.02gの水に溶解された。次いで、6.56mL(0.0554モル)のビス−(2−クロロエチル)エーテルが添加されそして反応混合物が80℃で4時間加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。
【0059】
製造実施例16
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=NHであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーB1およびX、Y=Cl、R9=CHCHOHCHであるモノマーB2とを、モル比A:B1:B2=4:2:1で用いたポリマー
50g(0.218モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが65.59gの水に溶解された。次いで、12.79mL(0.109モル)のビス−(2−クロロエチル)エーテルが添加されそして反応混合物が80℃で4時間加熱された。反応が完結した後、反応混合物が室温まで冷却されそして2.8gの水を用いて50%オリゴマー水溶液に調整した。このオリゴマー溶液に、5.25mL(0.0545モル)の1,3−ジクロロ−2−プロパノールが添加されそして反応混合物はもう一度80℃に4時間加熱された。ポリマー水溶液が形成された。
【0060】
製造実施例17
pH=2に酸性化された、製造実施例16によるポリマー
13.629g(50wt%)の製造実施例16によるポリマー水溶液が2.5mLの塩酸(37wt%)を用いて、pH値2に調節された。
【0061】
製造実施例18
式IVにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CH、R8=(CHそしてX、Y=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=4:3で用いたポリマー
5g(17.5ミリモル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]コハク酸アミドが7gの水に溶解されそして、1.87g(13.1ミリモル)のビス−(2−クロロエチル)−エーテルが添加された。次いで、反応混合物が12時間加熱還流された。ポリマー水溶液が形成された。
【0062】
製造実施例19
式IIIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX、Y=NHであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=4:3で用いたポリマー
0.9g(3.68ミリモル)のN,N’−ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]ビグアニジンが10mLの水に溶解されそして0.39g(2.76モル)のビス−(2−クロロエチル)エーテルが添加された。次いで、反応混合物が24時間加熱還流された。ポリマー水溶液が形成された。
【0063】
製造実施例20
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=2:1で用いたオリゴマー
100g(0.434モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが131.35gの水に溶解された。その後25.72mL(0.217モル)のビス−(2−クロロエチル)エーテルが添加されそして反応混合物が80℃で4時間加熱された。反応が完結した後、反応混合物が室温まで冷却された。オリゴマー水溶液が形成された。
【0064】
製造実施例21
pH=2に酸性化された、製造実施例20によるポリマー
製造実施例20により製造されたオリゴマー溶液(50wt%)50gに、濃塩酸がpH値が2となるまで添加された。
【0065】
製造実施例22
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X=Cl、Y=Br、R9=(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=2:1で用いたポリマー
50.0g(0.2171モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが66.91gの水に溶解された。次いで、17.26mL(0.1086モル)の1−ブロモ−3−クロロ−プロパンが添加されそして反応混合物が80℃で16時間加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。
【0066】
製造実施例23
式IIにおいて、R1、R2、R5、R6=メチル、R3、R4=(CHそしてX=OであるモノマーAと、X、Y=Cl、R9=(CHO(CHO(CHであるモノマーBとを、モル比A:B=4:3で用いたポリマー
10.0g(0.0436モル)のN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ウレアが16.31gの水に溶解された。次いで、5.29mL(0.0327モル)の1,2−ビス−(2−クロロエトキシ)エタンが添加されそして反応混合物が80℃に4時間加熱された。冷却後、ポリマー水溶液が得られた。
【0067】
製造実施例6〜23により製造されたポリマーを添加剤として含有する電解質浴が下記試験法に付された。
【0068】
適用実施例1〜11−アルカリ性電解質
採用した試験法
(a)高速気泡試験
気泡の生成を評価するために、EP1114206B1による気泡試験が用いられた。気泡試験において、下記の基本電解質が用いられた。
15.6g/L 亜鉛
127g/L NaOH
15mL/L Protolux Modifier 2x(登録商標)conc、(アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー)
4mL/L Protolux 3000 Additive(登録商標)conc、(アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー)
0.66g/L それぞれ、製造実施例6〜17によるポリマーまたは比較ポリマー(固体として)
10mg/L 1−ベンジル−3−カルバモイルピリジニウムクロライド
【0069】
(b)層厚分布のための試験
下記基本電解質が用いられた。
15.6g/L 亜鉛
127g/L NaOH
15mL/L Protolux Modifier 2x(登録商標)conc、(アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー)
4mL/L Protolux 3000 Additive(登録商標)、(アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー)
0.66g/L それぞれ、製造実施例6〜17によるポリマーまたは比較ポリマー(固体として)
10mg/L 1−ベンジル−3−カルバモイルピリジニウム クロライド

250mLの溶液がフル(Hull)セル中に充填された。亜鉛アノードがアノードとして機能した。カソードシートは室温、1A、15分間で被覆された。被覆が完了した後、シートは洗滌され、硝酸(0.3体積%)で10秒間つや出しされ、再度洗滌されそして加圧空気で乾燥された。層厚の測定は下端縁が3cmで、右端縁と左端縁から2.5cmでの2点において、高電流密度(2.8A/dm、HCD)と低電流密度(0.5A/dm、LCD)で行われた。測定誤差をできるだけ低く維持するために、それは、それぞれの位置において、4点XRFを用いて測定された。層厚分布は、高電流密度(HCD)と低電流密度(LCD)での層厚のための測定値の比、すなわち層厚=HCD/LCDに相当する。得られた結果は表1と表2にまとめられている。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
表1は、本発明の電解質に関して、亜鉛層の堆積のための、層厚(それ故電流効率)、輝き、燃焼性および層厚分布を示している。表1からわかるように、電気メッキ浴に添加剤として式Iのポリマーを使用すると、より良好な層厚分布が得られる。層厚分布は、表1に示されているとおり、高電流密度域(HCD)における亜鉛層の層厚対低電流密度域(LCD)における層厚の比である。2.6の値の比は実施例9(先行技術)に関するもので最も悪く、他方、本発明の添加剤を用いると、それは1.38(実施例8)と2.0(実施例1)との間になる。さらに、商品グレインリファイナー(実施例9)の場合に、見られたような高電流密度域における燃焼は、それぞれ弱いかまたはもはや存在しない。用いられたジハライドの極性によって、ポリマーは、それぞれ、一層高い重合度を持つことにならなかったり、持つことができなかったりする。
【0073】
驚いたことに、堆積結果は、さらに好ましくは元のポリマーを酸性化することによって添加され得る、さらなるハライドイオン等価物の添加によって、それぞれ、かなり影響を受けるかあるいは目的としたように変化される、ことが明らかとなった。すなわち、実施例1と2から、一方では塩酸(ポリマー1当量に対し約2当量)の添加によって、電解質の分布が、そして他方では燃焼する傾向が、低下することが、わかる。すなわち、特に、ハライドの添加によって、低電流密度域における電流効率の増加が達成される。バレル電着に関する適用に利益がある、低電流密度域での一層高い電流効率とはこれらのことである。ハライドイオンは相当する鉱酸の形態あるいは相当するアルキルハライドを用いて末端3級アミノ官能基の4級化による形態、あるいはそれぞれ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛もしくはアンモニウムハライドの付加による形態にあることができる。この場合、アンモニウムハライドに関して、未置換アンモニウムハライドの他に、例えばUS3960677に記載されているような、テトラアルキルアンモニウムクロライドまたはアンモニウム塩の如きアルキルアンモニウムハライドも用いられる。
表2からわかるように、混合ポリマーを用いることによって、さらに輝きのある亜鉛堆積物が同時に改良された分布を伴って得ることができる。同様に、この場合、さらなるハライドイオンの添加によって(例えば塩酸の添加によって)、一方において分布の改良が、他方において輝きに関する改善が達成される。
【0074】
適用実施例12と13−アルカリ性亜鉛−ニッケル電解質
採用した試験法
(c)層厚分布のための試験
下記基本電解質が用いられた。
10g/L 亜鉛
2g/L ニッケル
80g/L トリエタノールアミン
36g/L テトラエチレンペンタミン
0.66g/L それぞれ、製造実施例6〜17による添加物または比較ポリマー(固体物質として)
60mg/L 1−ベンジル−3−カルボキシル−ピリジニウム−クロライド

250mLの溶液がフル(Hull)セル中に充填された。亜鉛アノードがアノードとして機能した。カソードシートは室温、1Aで15分間で被覆された。被覆が完了した後、シートは洗滌され、そして硝酸(0.3体積%)で10秒間つや出しされ、再度洗滌されそして加圧空気で乾燥された。層厚の測定は下端縁から3cmで、右端縁と左端縁から2.5cmでの2点において、高電流密度(2.8A/dm、HCD)と低電流密度(0.5A/dm、LCD)で、行われた。測定誤差をできるだけ低く維持するために、それは、それぞれの位置において、4点XRFを用いて測定された。層厚分布は、高電流密度(HCD)での層厚の測定値と低電流密度(LCD)での層厚の測定値の比、すなわち層厚分布=HCD/LCDに相当する。得られた結果は表3にまとめられている。
【0075】
【表3】

【0076】
表3は、亜鉛−ニッケル堆積物について本発明による電解質組成物の効果を強調している。表3からわかるように、輝き且つ均一な堆積物が全電流密度範囲にわたって得られる。公知のポリマーMirapol WT(登録商標)(実施例13)を用いると、均質な輝きのある層は高乃至中電流密度範囲で得られるだけである。
【0077】
適用実施例14〜22−酸性亜鉛電解質
採用された試験法
(d)光学的性能の試験
下記基本電解質が用いられた。
58g/L 塩化亜鉛
180g/L 塩化アンモニウム
3.3g/L 安息香酸ナトリウム
2.6g/L エトキシル化α−ナフトール(分子量約670g/モル)
2.65g/L アルキルナフタレンナトリウムスルホネート
1.24g/L 塩酸(33%)
2.0g/L 表4における、それぞれ、ポリマーまたは比較ポリマー(50%溶液として)
0.5g/L クロロベンズアルデヒド
pH値を5〜7に調節するためのアンモニア(30%)
250mLの溶液がフル(Hull)セル中に充填された。亜鉛アノードがアノードとして機能した。カソードシートは室温、1Aで15分間被覆された。被覆が完了した後、シートは洗滌され、硝酸(0.3体積%)で10秒間つや出しされ、再度洗滌されそして加圧空気下で乾燥された。シートの光学的性能は肉眼で評価した。得られた結果は表4にまとめられている。
【0078】
【表4】

【0079】
表4は、慣用酸性浴でしばしば発生する燃焼は式Iのポリマーによって回避できることを強調している。表4からわかるように、商品入手し得るポリマーを用いることによるよりもさらに光沢のある亜鉛堆積物が式Iのポリマーを用いて弱酸性アンモニウム含有浴から得ることができる。ハライドの添加によって、例えば塩酸の形態で、層の改良が達成できる(実施例14と15の比較:塩化物を含有する実施例15による組成物を用いることより高い光沢)。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質浴が下記式I

A−[−L−A−]−L−A (I)

ここで、Aは下記式II〜VIIの1つのジアミノ化合物に由来する単位を表わし、
【化1】

ここで、XおよびYはそれぞれ同一もしくは異なり、OまたはNRを表わし、RはHまたはC〜C−アルキルであり、Zはそれぞれ同一もしくは異なり、OまたはSを表わし、R1、R2、R5およびR6はそれぞれ同一もしくは異なり、炭素数1〜10の置換または未置換炭化水素残基であり、そしてR3、R4、R8はそれぞれ同一もしくは異なり、(CHを表わし、pは2〜12の整数であり、または−[CHCHO]−CHCH−基であり、nは1と40の間であり、
Lは−(CH−、ここでpは1と12の間であり、
−CH−CH(OH)−CH−および−[CHCHO]q−CHCH−、ここでqは1と40の間である、
よりなる群から選ばれる2価残基を表わし、
上記複数の単一単位Aは同一もしくは異なり、
上記複数の単一単位Lは同一もしくは異なり、
nは整数を表わし、n>0であり、そして
このポリマー鎖は単位Aを両末端に有する、
のポリマーを含有する、亜鉛または亜鉛合金層の電着用電解質浴。
【請求項2】
R1、R2、R5およびR6がそれぞれ同一もしくは異なりそしてメチル、エチル、ヒドロキシエチルまたは−CHCH(OCHCH−OH、ここで、yは0と4の間にある、を表わす、請求項1による電解質浴。
【請求項3】
R3、R4、R8がそれぞれ同一もしくは異なりそしてエチレン、プロピレン、−(CH−O−(CH−または−(CH−O−(CH−O−(CH−基を表わす、請求項1または2による電解質浴。
【請求項4】
Lが−(CH−、ここでpは2と4の間にある、−(CH−O−(CH−および−(CH−O−(CH−O−(CH−よりなる群から選ばれる2価の残基である、請求項1、2または3に記載の電解質浴。
【請求項5】
ポリマーが式II〜VIIのジアミノ化合物の1種またはそれ以上を下記式VIII
P−L−Q (VIII)
ここで、Lは式Iにおけると同じ定義でありそしてPとQはそれぞれ同一もしくは異なり、Cl、BrおよびIの如きハロゲンまたはOMs(メシレート)、OTf(トリフレート)、ONf(ノナフレート)またはOTs(トシレート)の如き疑似ハロゲンを表わし、
の化合物の1種または2種以上とを反応せしめることによって得ることができ、その際、式II〜VIIの化合物の用いられた物質の全量(n)対式VIIIの化合物の物質の全量(n)の比(n:n)が少なくとも1:1である、請求項1〜4のいずれかによる電解質浴。
【請求項6】
比n:nが少なくとも3:1である、請求項5による電解質浴。
【請求項7】
式Iのポリマーが有機的に結合したハロゲンを持たない、請求項1〜6のいずれかによる電解質浴。
【請求項8】
式Iのポリマーが少なくとも500g/モルの分子量を持つ、請求項1〜7のいずれかによる電解質浴。
【請求項9】
式Iのポリマーが0.01〜50g/Lの量で含有される、請求項1〜8のいずれかによる電解質浴。
【請求項10】
ハライドイオンが式Iのポリマーに加えられている、請求項1〜9のいずれかによる電解質浴。
【請求項11】
ハライドイオンの添加が、相当する鉱酸の添加により、相当するアルキルハライドで末端アミノ基を4級化することにより、あるいはアルカリハライド、アルカリ土類ハライド、亜鉛ハライドまたはアンモニウムハライドの添加により、行われる、請求項10による電解質浴。
【請求項12】
式Iのポリマーがポリマー1当量当たり約2当量の塩酸で酸性化されたものである、請求項10または11による電解質浴。
【請求項13】
Aが式IIIのジアミノ化合物から誘導される単位である、請求項1で定義されているポリマー。
【請求項14】
請求項1〜8または10〜13のいずれかで定義されているポリマーの、亜鉛または亜鉛合金層の電着用電解質浴に光沢剤として定義された、使用。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれかによる電解質浴に、被覆されるべき物質を浸漬させる工程を含む、光沢があり且つ平坦な亜鉛または亜鉛合金被覆の電着法。



【公表番号】特表2013−503968(P2013−503968A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527337(P2012−527337)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062954
【国際公開番号】WO2011/029781
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(503037583)アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (55)
【氏名又は名称原語表記】ATOTECH DEUTSCHLAND GMBH
【Fターム(参考)】