説明

本質安全防爆機器における二次電池の放電方法および本質安全防爆機器

【課題】 二次電池の残存電力を機器内部において安全に強制放電させることができ、従って、二次電池のメモリー効果を回復することのできる本質安全防爆機器における二次電池の放電方法および当該放電方法が実行されて二次電池本来の機能を長時間の間にわたって維持することのできる本質安全防爆機器を提供すること。
【解決手段】 二次電池の放電方法は、駆動用電源として二次電池が用いられ、当該二次電池よりの電力を電流制限手段を介して各構成部材に供給する本質安全防爆機器において実行されるものであって、二次電池の電池電圧を監視しながら、電流制限手段を介して回路短絡させることにより二次電池の残存電力を強制放電させる。本質安全防爆機器は、上記放電方法が実行される特定の構成の充放電回路を具えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動用電源として、例えばニッケル水素(NiMH)電池やニッケルカドミウム(NiCd)電池などの二次電池が用いられる本質安全防爆機器における二次電池の放電方法および本質安全防爆機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば地下の工事現場や坑道、その他の人が立ち入る場所や作業領域などにおいて、その環境の空気中に一酸化炭素ガスや硫化水素ガスなどの危険性ガスが含有されるおそれがある場合や、空気中の酸素ガス濃度が低下しているおそれがある場合など、環境雰囲気の空気が危険な状態となっている可能性あるいは危険な状態となる可能性がある場合が少なくない。
そして、環境雰囲気の空気において、含有される危険性ガスの濃度が高いことにより、または酸素ガス濃度が低いことにより、人に対して危険な状態となったときには、そのことを直ちに知ることが必要であり、このような要請から、現在までに種々のタイプの可搬式のガス警報器が提案されている。
【0003】
近年においては、環境保全に対する意識が高まっていることから、乾電池の使用をできるだけ低減することが望まれており、このような可搬式のガス警報器においては、例えばニッケル水素電池などの二次電池が駆動用電源として内蔵され、充電動作を行うことによって繰り返し使用可能に構成されている。
【0004】
一般に、ニッケル水素電池のような二次電池は、完全に放電しない状態で再充電を行うと、電力が残っているにもかかわらず、電力供給を停止してしまうメモリー効果が発生することが知られており、メモリー効果を回復させるためには、ある一定の電圧まで強制放電(リフレッシュ)させることが必要とされている。
二次電池を強制放電させる方法としては、通常、二次電池を駆動源とする機器に対応する、リフレッシュ機能を有する充電器を利用した方法が一般的に利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
而して、上記のような可搬式のガス警報器においては、可燃性のガスや蒸気を含む爆発性雰囲気の存在により、引火、爆発が発生し得る環境で使用されるため、二次電池とガスセンサーや信号処理回路との間に、例えば抵抗や、PTCサーミスタあるいはヒューズ等の電流制限手段を挿入してガスセンサーや信号処理回路等での短絡によっても可燃性ガスへの引火を可及的に防止して電力を供給する、いわゆる「本質安全防爆」の規格を満足する構成であることが必要とされている。
【0006】
そして、本質安全防爆型のガス警報器においては、外部にエネルギーを放出することができないため、強制放電(リフレッシュ)機能を有する充電器を利用して二次電池の強制放電を行うことができず、充放電が繰り返し行われることにより生ずるメモリー効果を回復することができないのが実情であった。
また、二次電池を強制放電させる際には、電池性能を劣化させる等の不具合が生じることを防止するために、電池容量に応じた放電電流で放電させ、かつ、電池電圧を一定の値以下に低下させないことが必要とされる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−106632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、二次電池の残存電力を機器内部において安全に強制放電させることができ、従って、二次電池のメモリー効果を回復することのできる本質安全防爆機器における二次電池の放電方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、二次電池のメモリー効果を回復することができて二次電池本来の機能を長時間の間にわたって維持することのできる本質安全防爆機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の本質安全防爆機器における二次電池の放電方法は、駆動用電源として二次電池が用いられ、当該二次電池よりの電力を電流制限手段を介して各構成部材に供給する本質安全防爆機器において実行されるものであって、
二次電池の電池電圧を監視しながら、電流制限手段を介して回路短絡させることにより二次電池の残存電力を強制放電させることを特徴とする。
【0010】
本発明の本質安全防爆機器は、駆動用電源として二次電池が用いられ、当該二次電池よりの電力を電流制限手段を介して各構成部材に供給する本質安全防爆機器であって、
各構成部材に対して動作指令信号を発するCPUが第1の電流制限手段が挿入された状態で二次電池に接続されると共に二次電池からの供給電力により動作される負荷が第2の電流制限手段が挿入された状態で二次電池に接続された主動作制御回路と、前記第2の電流制限手段と負荷との間の位置を二次電池と短絡させる強制放電回路と、二次電池の電池電圧を監視する電池電圧監視回路とを有する充放電回路を具えてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の本質安全防爆機器においては、二次電池としてニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池が用いられた構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の本質安全防爆機器における二次電池の放電方法は、二次電池の残存電力を、電流制限手段を介して意図的に回路短絡させて強制放電させるものであるが、当該電流制限手段は仮に電流制限手段より先の回路で短絡故障が起きた場合であっても、抵抗自身で電力を消費することにより、着火源に至るような危険な温度上昇や火花の発生を防止するものであるので、二次電池の充放電を繰り返し行うことによって生ずるメモリー効果による二次電池の残存電力を機器内部において安全に強制放電(リフレッシュ)することができ、しかも、二次電池の強制放電が電池電圧が監視されながら行われることにより、電池性能を劣化させる等の不具合が生じることを防止することができる。
【0013】
上記二次電池の放電方法が実行される本発明の本質安全防爆機器によれば、二次電池のメモリー効果を確実に回復することができるので、二次電池本来の機能を長時間の間にわたって維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、本質安全防爆型のガス警報器(以下、単に「防爆型ガス警報器」という。)を例に挙げて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る防爆型ガス警報器の一例における構成を示す正面図、図2は、図1に示す防爆型ガス警報器の上面図、図3は、図1に示す防爆型ガス警報器の背面図、図4は、図1におけるB−B線断面図、図5は、図2におけるC−C線断面図である。
この防爆型ガス警報器10は、裏面側ハウジング部材12と、この裏面側ハウジング部材12に枠状のパッキンPを介して連結固定される、例えば透明な樹脂材料よりなる表面側ハウジング部材13とにより構成される、全体が略箱型形状のハウジング11を具えている。このハウジング11は、手で握って保持することのできる大きさとされている。
【0015】
ハウジング11の内部には、必要な種々の機能素子が実装された平板状の動作制御用回路基板30がハウジング11の正面および背面に沿って延びるよう配設されており、この動作制御用回路基板30の表面側において、中央領域にパネル状表示機構31が設けられていると共に、裏面側において、動作制御用回路基板30等の電子部品が配置される空間と互いに水密状態で区画された空洞部25Aを有する区画室25が形成されていると共にこの区画室25の左右両側に、駆動用電源である円柱状の二次電池(蓄電池)50が配置されている。
【0016】
区画室25の内部空間は、表面側ハウジング部材13における表示部18の下方位置に形成された警報音放音用開口(以下、「前方放音用開口」という。)15に設けられた防塵ネット(図示せず)を介して外部に連通していると共に、区画室25の一部を形成する裏面側ハウジング部材12の上壁に形成された警報音放音用開口(以下、「上方放音用開口」という。)16およびこの上方放音用開口16に設けられた防塵ネット(図示せず)を介して外部に連通している。
【0017】
ハウジング11の下部には、互いに異なる種類のガスを検知する例えば4つのボタン型のガスセンサーが、当該ガスセンサーを面方向に並んだ状態で保持するセンサー保持部が形成されたセンサーホルダー37と、内部に各々のセンサー保持部に通ずるガス流路が形成されたセンサーキャップ38とによって、固定された状態で保持されてなるセンサユニット35が着脱自在に装着されたセンサユニット装着部17が形成されている。符号39は、センサー基板である。
ガスセンサーとしては、例えば、ガルバニ型ガスセンサー素子よりなる酸素ガス検知用のガスセンサー36A、例えば接触燃焼式ガスセンサー素子よりなる炭化水素ガスを%LEL(爆発下限界濃度)の測定レンジで検知するガスセンサー36B、例えば定電位電解式ガスセンサー素子よりなる一酸化炭素ガス検知用のガスセンサー36C、例えば定電位電解式ガスセンサー素子よりなる硫化水素ガス検知用のガスセンサー36Dなどを挙げることができる。
【0018】
ハウジング11の裏面における、区画室25に対応する位置には、正面側に向かうに従って小径となる略円柱状空間部を形成する例えば3段の階段状の凹所により構成されたブザー配置室20が形成されており、ブザー配置室20を塞ぐよう蓋体14が設けられている。
ブザー40は、例えば円板状の金属板の一面上における中央部に円板状の圧電セラミックスが貼り合わせられた振動子よりなる薄板状の圧電素子により構成されており、例えばポリカーボネイトよりなるフィルム状の緩衝部材45により、ハウジング11に対して直接的に固定されない状態で配置されている。すなわち、金属板の周縁部が樹脂よりなる緩衝部材に装着されて中央部に空隙C1が形成された状態で、固定され、さらに、当該緩衝部材45が、ブザー40が配置された位置に対応する位置においてハウジング11との間に空隙C2が介在する状態で、その周縁部がハウジング11に固定されている。
【0019】
また、ハウジング11の裏面におけるブザー配置室20に近接した位置には、ブザー配置室20とハウジング11の内部空間、具体的には、動作制御用回路基板30等の電子部品が配置される空間とを連通させる空間部28が区画室25内の空洞部25Aとは独立して形成されており、当該空間部28にブザー40と動作制御用回路基板30との接続用リード(図示せず)が配線されている。
【0020】
駆動用電源である二次電池(蓄電池)50は、例えばAAAサイズ(単4型)のニッケル水素(NiMH)電池,ニッケルカドミウム(NiCd)電池などが用いられており、金属よりなるスリーブ状放熱部材51が例えば二次電池50の外周面の全周にわたって密着して設けられて保持枠部材52によって保持された状態で、ハウジング11内に配置されている。
スリーブ状放熱部材51が設けられていることにより、短絡時における二次電池50の温度の上昇の程度を規定範囲内に抑制することができて電源部に要求される防爆仕様を満足するものとなる。
【0021】
この防爆型ガス警報器10においては、ブザー音による警報報知機構に加えて更に、警報用発光素子32の発光および警報用振動発生器33による振動による警報報知機構を具えた構成とされている(図4参照)。
【0022】
また、この防爆型ガス警報器10においては、例えば導電性熱可塑性エラストマー組成物よりなるプロテクトカバー60が装着されており、プロテクトカバー60が装着された状態においては、外部に露出されるハウジング11の連続した樹脂表面部分の大きさが所定の大きさ例えば100cm2 以下に規制され、これにより、静電気対策が十分で信頼性の高い防爆性を有するものとなる。また、プロテクトカバー60を構成する材料それ自体の耐衝撃性によって、防爆型ガス警報器10の緩衝材(保護材)としても機能するので、防爆型ガス警報器10が故障または破損することを防止することができ、適正な動作状態に維持することができる。
【0023】
以上において、図1における符号55は、「POWER」および「MODE」が二段に表示されたメインスイッチとモード切替えスイッチを兼ねた第1の操作用ボタン、56は、「AIR」と表示された、ガスセンサーの種類、すなわち当該ガスセンサーの検知対象ガスの種類に応じて警報発生基準を変更する機能調整用の第2の操作用ボタン、19は、ハウジング11の正面およびこれに続く上面、両側面領域のそれぞれに形成された警報用発光部、図2における57は、例えばガスセンサーにより検知されて動作制御用回路基板30の記憶素子に記録されたガス濃度データを読み出すための赤外線通信ポート、図3における58は、駆動用電源である二次電池50を充電するための充電端子である。
【0024】
而して、上記防爆型ガス警報器10の動作制御回路基板30においては、二次電池50からの電力が、電流制限手段を介して、各構成部材に対する動作制御を行うCPU、ガスセンサー36A〜36D、および、警報報知機構を含む負荷などの構成部材に供給されるよう主動作制御回路が構成されており、また、図6に示すように、二次電池50が外部へのエネルギーの放出を防止するためのブロッキングダイオード78を介して充電端子58に接続されており、これにより、防爆型ガス警報器10がいわゆる「本質安全防爆」の規格を満足するよう構成されている。
また、この動作制御回路基板30においては、防爆型ガス警報器10が適宜の充電器に装着されることにより充電端子58を介して二次電池50を充電すると共に、二次電池50の残存電力を強制放電するための充放電回路70が形成されている。
【0025】
充放電回路70は、互いに直列に接続された2つの二次電池50,50の一方の極(電力供給側の極)に、互いに並列に接続される第1および第2の制限抵抗素子の一方(第1の制限抵抗素子74)を介してCPU電源72が接続されると共に第2の制限抵抗素子75を介して例えば警報報知機構を構成する警報用発光素子32および警報用振動発生器33などの負荷76が接続され、当該CPU電源72および負荷76が、二次電池50の他方の極に接続されたCPU73に接続されて構成された、主動作制御回路の一部を構成するメイン回路71と、第2の制限抵抗素子75と負荷76との間の位置を二次電池50と短絡させる強制放電回路80と、二次電池50の電池電圧を監視する電池電圧監視回路85とを有する。
【0026】
強制放電回路80は、CPU73に対して並列状態で二次電池50,50と接続された、CPU73からの動作指令信号N1によりON−OFF制御される例えば電界効果型トランジスタ(FET)81よりなるSW素子と、第2の制限抵抗素子75とにより構成されている。
【0027】
電池電圧監視回路85は、CPU73に対して並列状態で二次電池50,50と接続された例えば負荷抵抗素子86と、第1の制限抵抗素子74とにより構成されており、CPU73によって検出される当該電池電圧監視回路85に流れる電流に基づいて電池電圧が監視される。
【0028】
充放電回路70の一構成例を示すと、例えば、二次電池50,50として、各々、容量が800mA、電圧が2.4VであるAAAサイズ(単4型)のニッケル水素(NiMH)電池2個が直列に接続されて電源部が構成されている場合において、第1の制限抵抗素子74として、抵抗値が4Ωであるもの、第2の制限抵抗素子75として、抵抗値が10Ωのものが用いられ、これにより、後述する強制放電動作時における放電電流を電池容量に応じた適正な大きさ、例えば0.3C(240mA)とすることができる。なお、第1の制限抵抗素子74が、第2の制限抵抗素子75よりも抵抗値が大きいものが用いられた構成とされていてもよい。
【0029】
上記構成の防爆型ガス警報器10においては、第1の操作ボタン55を操作して防爆型ガス警報器10を動作状態とすると、二次電池50,50よりCPU電源72を介してCPU73に電力が供給されてガスセンサー36A〜36Dおよびパネル状表示機構31が動作状態となる。この状態で環境雰囲気の空気が拡散してガスセンサー36A〜36Dに到達し、目的とするガスについてその濃度検知が行われ、その結果がパネル状表示機構31に表示される。そして、検知対象ガスの濃度が当該ガスについて設定された基準値を超えたときにはCPU73より警報動作信号N2が負荷76を構成する警報報知器機構に発せられ、これにより、例えばブザー40が作動されて前方放音用開口15および上方放音用開口16を介して警報音が外部に発せられる。
例えば、検知対象ガスが酸素ガス(O2 ガス)の場合には、基準値は例えば18.0体積%(vol%)とされ、それ以下となったときに警報動作信号が発せられる。また、基準値は、検知対象ガスが炭化水素ガス(HCガス)の場合には、例えば10%LEL(爆発下限界濃度に対するガス濃度)とされ、一酸化炭素ガス(COガス)の場合には例えば25ppmとされ、硫化水素ガス(H2 Sガス)の場合には例えば10ppmとされ、当該基準値を超えたときに警報動作信号N2が発せられる。
上記防爆型ガス警報器10においては、複数の種類の警報報知機構が設けられているが、それらの全部が一斉に駆動されることは必要ではなく、各警報報知機構が順次に所定時間だけ駆動されるサイクル的警報動作が行われることが好ましい。
【0030】
そして、防爆型ガス警報器10は、監視動作(ガス検知動作)の終了後に、次の使用機会に備えて、当該防爆型ガス警報器10に対応する(専用の)充電器に装着されて二次電池50の充電処理などが行われるが、二次電池50,50の充電処理を行うに際しては、防爆型ガス警報器10の繰り返しの使用に伴って不可避的に生ずる二次電池50,50のメモリー効果を回復する強制放電処理が必要に応じて行われる。例えば防爆型ガス警報器10の連続使用可能時間が18時間である二次電池50,50の機能が、12時間程度となるまで機能が低下した場合などに、充電処理を行う前に強制放電処理が行われる。
【0031】
強制放電処理は、第1の操作ボタン55を操作することにより、CPU73から動作指令信号N1が電界効果型トランジスタ81のゲートGに入力されて電界効果型トランジスタ81が動作状態(ON状態)とされると、二次電池50から供給される電流が電界効果型トランジスタ81のソースSからドレインDに向けて流れ、第2の制限抵抗素子75と負荷76との間の位置が二次電池50,50と短絡され、これにより、第2の制限抵抗素子75によって電力が消費されて二次電池50の残存電力が強制的に放電される。
このような強制放電動作時においては、二次電池50からの電力がメイン回路71にも供給されてCPU73が動作状態とされており、電池電圧監視回路85によって検出される当該電池電圧監視回路85に流れる電流値に基づいて電池電圧が一定の値以下、具体的には例えば電池1本あたり1.0V(上記実施例では、2本の二次電池50が直列に接続されているので、2.0V)以下にまで低下しないようCPU73によって監視される。そして、電池電圧が一定の値にまで低下したことが検出されると、CPU73から動作指令信号N1が電界効果型トランジスタ81のゲートGに入力されて電界効果型トランジスタ81が非動作状態(OFF状態)とされて強制放電動作が終了される。
【0032】
而して、上記構成の防爆型ガス警報器10によれば、充放電が繰り返し行われることによって不可避的に生ずるメモリー効果に起因する二次電池50の残存電力を、適正な大きさの抵抗値を有する第2の制限抵抗素子75を介して意図的に回路短絡させて、外部へエネルギーを放出することなく機器内部において強制放電させる特定の二次電池50,50の放電方法が実行される構成とされていることにより、二次電池50,50の残存電力を安全に強制放電すること(二次電池50,50のリフレッシュを行うこと)ができ、しかも、二次電池50,50の強制放電が電池電圧が監視されながら行われることにより、電池性能を劣化させる等の不具合が生じることを防止することができ、従って、二次電池50,50本来の機能を長時間の間にわたって維持することができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明は、ガス警報器に限定されるものではなく、電池駆動型のものであって、本質安全防爆仕様が求められる機器において極めて有用である。
また、強制放電終了後、防爆機器本体と通信機能を有する専用の充電器に強制放電動作が終了した旨の動作指令信号を送り、二次電池の充電処理が自動的に開始されるよう構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る防爆型ガス警報器の一例における構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す防爆型ガス警報器の上面図である。
【図3】図1に示す防爆型ガス警報器の背面図である。
【図4】図1におけるB−B線断面図である。
【図5】図2におけるC−C線断面図である。
【図6】本発明に係る防爆型ガス警報器における二次電池の充放電回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10 防爆型ガス警報器
11 ハウジング
12 裏面側ハウジング部材
13 表面側ハウジング部材
14 蓋体
15 前方放音用開口(警報音放音用開口)
16 上方放音用開口(警報音放音用開口)
17 センサユニット装着部
18 表示部
19 警報用発光部
20 ブザー配置室
25 区画室
25A 空洞部
28 空間部
30 動作制御用回路基板
31 パネル状表示機構
32 警報用発光素子
33 警報用振動発生器
35 センサユニット
36A、36B、36C、36D ガスセンサー
37 センサーホルダー
38 センサーキャップ
39 センサー基板
40 ブザー
45 緩衝部材
50 二次電池(蓄電池)
51 スリーブ状放熱部材
52 保持枠部材
55 第1の操作用ボタン
56 第2の操作用ボタン
57 赤外線通信ポート
58 充電端子
60 プロテクトカバー
70 充放電回路
71 メイン回路
72 CPU電源
73 CPU
74 第1の制限抵抗素子
75 第2の制限抵抗素子
76 負荷
78 ブロッキングダイオード
80 強制放電回路
81 電界効果型トランジスタ(FET)
85 電池電圧監視回路
86 負荷抵抗素子
P パッキン
C1 空隙
C2 空隙
G ゲート
S ソース
D ドレイン
N1 動作指令信号
N2 警報動作信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用電源として二次電池が用いられ、当該二次電池よりの電力を電流制限手段を介して各構成部材に供給する本質安全防爆機器における二次電池の放電方法であって、
二次電池の電池電圧を監視しながら、電流制限手段を介して回路短絡させることにより二次電池の残存電力を強制放電させることを特徴とする本質安全防爆機器における二次電池の放電方法。
【請求項2】
駆動用電源として二次電池が用いられ、当該二次電池よりの電力を電流制限手段を介して各構成部材に供給する本質安全防爆機器であって、
各構成部材に対して動作指令信号を発するCPUが第1の電流制限手段が挿入された状態で二次電池に接続されると共に二次電池からの供給電力により動作される負荷が第2の電流制限手段が挿入された状態で二次電池に接続された主動作制御回路と、前記第2の電流制限手段と負荷との間の位置を二次電池と短絡させる強制放電回路と、二次電池の電池電圧を監視する電池電圧監視回路とを有する充放電回路を具えてなることを特徴とする本質安全防爆機器。
【請求項3】
二次電池として、ニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池が用いられることを特徴とする請求項2に記載の本質安全防爆機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−170278(P2009−170278A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7589(P2008−7589)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】