説明

材料丸め装置

【課題】
すりみ材料を適正に且つ効率的に丸める。
【解決手段】
ベルトコンベア12と、該ベルトコンベア上で材料mを転動させることにより、材料を球形にするための材料転動装置14とを備える。材料転動装置は、回転駆動リング18上に周方向に配置して固定された複数のリング部材20を備え、回転駆動リング18を回転することにより、各リング部材が順次、上記受入れ位置F、放出位置D、受入れ位置Fの順に回転するようになっている。受入れ位置Fでリング部材内に受入れられた材料は、ベルトコンベア及びリング部材の両方から回転力a,bを受けて丸め作用を受け、放出位置で該リング部材から放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は練り材料等を球形に丸めるための材料丸め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚肉すりみ等の材料をベルトコンベアなどの上で転動させることにより球形に丸める装置は種々開発されてきている(例えば、下記特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭54-95595号
【特許文献2】特許第2849993号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、丸めの程度や作業効率等の点から、より良いものが求められてきており、本発明は、そのような要求を満たす材料丸め装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明に係る材料丸め装置は、
ベルトコンベアと、
該ベルトコンベア上で材料を転動させることにより、材料を球形にするための材料転動装置と、
を備える材料丸め装置であって、
材料転動装置が、上記ベルトコンベアの面に接し若しくは近接した状態にされたリング状底面を有する複数のリング部材と、
該リング部材を、該リング部材がベルトコンベア上の位置とされ、当該リング部材の中に所定量の材料を受入れるための受入れ位置から、同リング部材内においてベルトコンベア上で転動されて球形とされた材料をベルトコンベアの縁の外側位置に動かして下方へ落下させるための放出位置を経て、再度受入れ位置に至る循環経路に沿って動かすリング部材移動装置と
を有することを基本的特徴とする。
【0005】
この材料丸め装置においては、従来装置にあるように、ベルトコンベア上に供給された材料が単に、該ベルトコンベアの回転力を受けて転動するのとは異なり、リング部材の移動に伴った転動も加えられるので、当該材料をより適正に且つ効率よく丸めることができる。
【0006】
具体的には、上記リング部材移動装置が、上記循環経路に沿った複数のリング部材を有し、各リング部材が順次、上記受入れ位置、放出位置、受入れ位置の順に移動するようにすることができる。
【0007】
このようにすることにより、複数のリング部材が材料を順次丸め成形することができるので、効率的な作業を行うことができる。
【0008】
また、リング部材移動装置は、受入れ位置から放出位置へリング部材を移動するときに放出位置へ向けて一定距離だけ前進させた後、該距離よりも短い距離だけ後退させ、同様に前進及び後退を繰り返すようにして、次第に材料を放出位置に移動するようにすることもできる。
【0009】
このようにすることにより、受入れ位置から放出位置までの実際の間隔は短いものであっても、受入れ位置から放出位置までの間で材料が転動される距離は、上記間隔よりもかなり長いものとすることができ、従って当該装置の設定スペースが小さくても、丸め成形に必要な十分な行程を与えることができる。
【0010】
更に具体的には、上記複数のリング部材が、所定の位置を中心に周方向に配置され、
上記リング部材移動装置が、上記リング部材を上記中心の周りで回動させるようにすることができる。
【0011】
要するに、リング部材移動装置は、複数のリング部材を所定の中心の周りで回動させれば良いのであり、複雑な制御を必要とせずに適正な丸め作業を行うことができる。
【0012】
また、上記中心を上記ベルトコンベアの移動方向後端縁に隣接して配置し、上記受入れ位置が上記後端縁に隣接した上記ベルトコンベア上の位置とされ、上記放出位置が受入れ位置から所定角度だけ離されて上記後端縁の後側位置とされるようにすることができる。
【0013】
すなわち、このようにすることによりリング部材移動装置は、リング部材を回動してやるだけで、材料の受け入れ、丸め、放出を行うことができる。
【0014】
好ましくは、上記リング部材の高さが、高さが丸められる材料の球形の直径の0.6乃至0.9程度とされる。
これは、高さをこれ以下にすると、材料がリング部材の外側に出てしまう虞があり、また、これ以上にすると、丸められる材料がその高さ方向中央部分でリング部材の内壁面に当接することにより平坦な形状になる虞があるので、これを回避するためである。
【0015】
より具体的には、上記材料を魚肉すりみとし、上記放出位置の下方に、丸められた魚肉すりみを受入れて加熱するための湯槽または油槽が設けられるようにすることもできる。
魚肉すりみは、加熱を受けると直ちに固化が始まるので、本発明に係る丸め装置において丸められた魚肉すりみ材料は、丸めた後に余り変形を受けることなく、丸められたままの状態で固化されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る材料丸め装置の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る材料丸め装置の概略平面図であり、図2は同装置のリング部材内に受入れられた材料が丸め作用を受けている状態を示し、図3は同装置のベルトコンベア上で材料が丸め作用を受ける状態を示す斜視図である。
【0017】
この材料丸め装置10は、魚肉すりみの丸め成形に適用したものであり、図示のように、ベルトコンベア12と、該ベルトコンベア上で材料を転動させることにより、材料を球形にするための材料転動装置14と、を備える。
【0018】
ベルトコンベア12は、その上部移動部分が矢印Aで示される方向に駆動されるようになっており、材料転動装置14は、該ベルトコンベア12の移送方向後端縁12−1近くに設定されている。
【0019】
すなわち、材料転動装置14は、ベルトコンベア12の後端縁12−1に隣接して同ベルトコンベア12の幅方向の中心に回転中心をもつ回転駆動リング18と、該回転駆動リング18に30度間隔で固定されたリング部材20を有している。該リング部材20は、円形断面を有しており、その底面20−1がベルトコンベアの表面にほぼ接するようにして設定されている(図2)。
【0020】
材料転動装置14は、図示しないパルスモータを備えており、回転駆動リング18及びそれに固定されているリング部材20を30度前進/15度後退という運動(図1)を繰り返すようになっている。
【0021】
図1において、Fは各リング部材20が(図示しない)球点機すなわち、所定量の材料mをほぼ球形にして供給する装置から材料を受入れる位置を示し、Dは丸めた材料をベルトコンベア後端縁12−1よりも後側で放出する(すなわち、落下させる)ための放出位置を示す。
【0022】
図2に示すように、リング部材20は、その高さが、丸められる材料の直径の0.6乃至0.9程度の高さとされる。
【0023】
前述のように、この材料丸め装置は魚肉すりみ用であり、放出位置Dの下方には、丸められた魚肉すりみを受入れて加熱するための湯槽もしくは油槽24が設けられている。
【0024】
リング部材20及びベルトコンベア12は、丸められる材料が付着しにくくする必要があり、図示しないスプレーなどによって水が噴霧されて湿らせられた状態とされる。図示の例では、ベルトコンベアは、2層若しくはそれ以上の層材料から構成されており、丸められる材料mが接する層12−2は綿などの布材とされ水を含みやすくしている。また、リング部材は、ポリアセタールなどの材料の付着しにくい材料から形成されている。
【0025】
本発明に係る材料丸め装置による丸め操作においては、駆動装置14によって回転駆動リング18が(図1で見て)時計方向に30度前進、15度後退という回動動作を繰り返す。受け入れ位置Fとされたリング部材20は、図示しない球点機(所定量の材料をある程度丸めた状態で供給する装置)から供給される材料mを受け入れ、時計方向に進められていくが、該リング部材内に受入れられた材料mはベルトコンベア12からの矢印A方向での回転力aを受けるとともに、当該リング部材20の回動にともなって当該ベルトコンベアの幅方向での回転力bも受けながら当該ベルトコンベア上で転動する。これによって、該材料は、従来装置に見られるように単なるベルトコンベアからの回転力aだけでなく回転力bも受けるので、適正な丸め作用を受ける。
【0026】
各リング部材は、放出位置Dに来ると、ベルトコンベアの後端縁の後方位置となり、従って、丸めた材料を放出位置Dの下方に設定した油槽若しくは湯槽24内に放出する。
【0027】
以上、本発明の材料丸め装置の一実施形態につき説明したが、本発明に係る装置はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定した本発明の技術的範囲内で種々の変更を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る材料丸め装置の概略平面図である。
【図2】同装置のリング部材内で材料が丸められる状態を示すリング部材の側面図である。
【図3】同装置のベルトコンベア上で材料が丸め作用を受ける状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10 材料丸め装置
12 ベルトコンベア
12−1 ベルトコンベアの後端縁
12−2 ベルトコンベアの材料と接する層
14 リング部材移送装置
18 回転駆動リング
20 リング部材
20−1 リング部材の底面
24 湯槽(油槽)
a 材料がベルトコンベアから受ける回転力
b 材料がリング部材から受ける回転力
m 材料
A ベルトコンベアの移動方向
D 放出位置
F 受入れ位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアと、
該ベルトコンベア上で材料を転動させることにより、材料を球形にするための材料転動装置と、
を備える材料丸め装置であって、
材料転動装置が、上記ベルトコンベアの面に接し若しくは近接した状態にされた環状底面を有する複数のリング部材と、
該リング部材を、該リング部材がベルトコンベア上に位置して、その中に所定量の材料を受入れるための受入れ位置から、該リング部材内においてベルトコンベア上で転動されて球形とされた材料をベルトコンベアの縁の外側位置に動かして下方へ落下させるための放出位置を経て、再度受入れ位置に至る循環経路に沿って動かすリング部材移動装置と
を有することを特徴とする材料丸め装置。
【請求項2】
上記リング部材移動装置が、上記循環経路に沿った配置された複数のリング部材を有し、各リング部材が順次、上記受入れ位置、放出位置、受入れ位置の順に移動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の材料丸め装置。
【請求項3】
上記リング部材移動装置が、上記受入れ位置から放出位置へ上記リング部材を移動するときに上記放出位置へ向けて一定距離だけ前進させた後、該距離よりも短い距離だけ後退させ、同様に前進及び後退を繰り返すようにしたことを特徴とする請求項1若しくは2に記載の材料丸め装置。
【請求項4】
上記複数のリング部材が、所定の位置を中心に周方向に配置され、
上記リング部材移動装置が、上記リング部材を上記中心の周りで回動させるようにした
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の材料丸め装置。
【請求項5】
上記中心が上記ベルトコンベアの移動方向後端縁に隣接して配置されており、上記受入れ位置が上記後端縁に隣接した上記ベルトコンベア上の位置とされ、上記放出位置が受入れ位置から所定角度だけ離されて上記後端縁の後側位置とされていることを特徴とする請求項4に記載の材料丸め装置。
【請求項6】
上記リング部材が円形の横断面を有し、丸められる材料の球形の直径の0.6乃至0.9程度の高さとされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の材料丸め装置。
【請求項7】
上記材料が魚肉すりみとされ、上記放出位置の下方に丸められた魚肉すりみを受入れて加熱するための湯槽もしくは油槽が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の材料丸め装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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