説明

材料供給装置

【課題】
成形材料が入っている材料供給装置1において、ホッパー2の排出口15をシャッター6が開いた状態のまま、ホッパーユニット5を取り外してしまう場合があり、成形材料が散乱してしまうことがあった。
【解決手段】
シャッター6に、ホッパーユニット5の離脱防止手段を設け、シャッター6を閉じた時のみホッパーユニット5をホッパー台4から取り外すことができる様にすることで、排出口15開口時のホッパー2からの成形材料の散乱を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料供給装置のシャッター機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、成形材料を蓄えておくホッパーユニットを備えている。ホッパーユニットは、射出成形機に取り外し可能に備えられている。またホッパーユニットの成形材料の排出口には、これを開閉することにより材料可塑化機構への成形材料の供給を必要量に応じて遮断するシャッターが設けられている。特許文献1では、ホッパーの材料排出口を開閉可能なシャッター機構の構成が示されている。
【特許文献1】特開2007−045132号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の材料供給装置においては、ホッパー台からホッパーユニットを取り外す場合、シャッターが開いた状態でも閉じた状態でも取り外すことができた。そのため、ホッパーに成形材料が入っているとき、供給口のシャッターが開いた状態で、不用意にホッパーユニットをホッパー台から取り外してしまい、成形材料をこぼれてしまうことがあった。
【0004】
したがって、本発明は上記課題に鑑み、ホッパーユニット取り外し時に誤ってホッパーの中の成形材料をこぼしてしまうのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、材料を蓄えるホッパーと、前記ホッパーを装着する台と、を有する材料供給装置において、該材料供給装置は、前記ホッパーの開口部を開閉するシャッターと、該シャッターによる前記開口部の開閉動作に連動して、前記台からの前記ホッパーの取り外しを制限するホッパー離脱防止手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の材料供給装置によると、シャッターを開けた状態でホッパーユニットをホッパー台から取り外すことができなくなるため、ホッパーユニット取り外し時、誤ってホッパーの中の成形材料をこぼしてしまうのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。まず図9に本実施形態における射出成形機の外観斜視図を示す。射出機構部16は、後述のホッパーから供給される材料を射出機構部16の内部に設けられたヒータによって可塑化溶融しつつ、図示していないノズルへと送出し、所定量の可塑化材料を、固定側金型18と可動側金型19の間に形成されるキャビティ内に射出する。
【0008】
型締め機構部17は、型締め用モータ20を作動して可動側金型19を固定側金型18の対向方向に向かって駆動して両金型の型締めを行う。この両金型の型締め状態のときに射出機構部16による射出動作が行われる。型締めの状態を所定時間保持することによりキャビティ内の材料の冷却工程を経て、金型の型開き動作が行われる。型開き動作は型締め用モータを型締め時と逆転することによって可動側金型19を固定側金型18から離すことによって行う。なお、このような射出機構部や型締め装置を含む射出成形機の形態は一例であり、他の既知の射出成形機と同じ構成のものを自由に採用することが可能である。
【0009】
次に図1に本実施形態における材料供給装置を示す。図1より、本実施形態における材料供給装置1は、ホッパーユニット5とホッパー台4とを備える。ホッパーユニット5は、材料を蓄えるホッパー2と、ホッパー2の材料の排出口15を開閉可能なシャッター機構3とを有し、ホッパー台4に着脱可能となっている。ホッパー台4は図9に示す様な射出成形機14の本体部に設けられている。
【0010】
さらにシャッター機構3はシャッター6とシャッター押さえ7を有する。シャッター6はシャッター押さえ7によって、ホッパー2の排出口15を開閉可能に組み込まれ、図1中、左右方向にスライドして材料供給のON・OFFを行う。図1は、シャッター6がホッパーユニット5の材料供給口を閉じた状態で、ホッパーユニット5をホッパー台4から取り外したときの状態を示している。
【0011】
図2は、図1のホッパーユニット5を底面側から見たときの構成を示し、シャッター6が排出口15を閉じている状態を示している。図3にはシャッター6が排出口15を開口しているときの状態を示す。
【0012】
ホッパー2は排出口15、シャッター押さえ7は連結口11、シャッター6は開閉穴10を有しており、排出口15と連結口11は連通している。これにシャッター6がスライド移動することにより排出口15および連結口11を開閉する。図2に示す位置から図中左方向にシャッター6が移動して、開閉穴10が排出口15らの開口位置と一致することにより、ホッパー2の排出口が開口し、ホッパーユニット5が装着されるホッパー台4から射出機構部16へと成形材料が排出(供給)される。シャッター6の移動方法としては、電動駆動によっても良いし手動でも良い。
【実施例1】
【0013】
このような構成の下、シャッター6の取り外しロックの構成について説明する。図4、図5は、ホッパーユニット5をホッパー台4に装着した状態を示し、これらの取り外しをピンにより規制する構成を示す。図4はシャッター6にピンを設けた場合の構成を示し、図5はホッパー台4にピンを設けた場合を示している。図4、図5に示す状態はいずれもシャッター6が排出口15を閉じている閉位置にある状態を示している。
【0014】
図4より、シャッター6はそのスライド方向と略平行に延在するピン8を有しており、またシャッター台4には、このピン8が勘合する嵌合穴12が形成されている。よってシャッター6を図中左方向にスライドさせることにより、シャッター6が排出口15を開口させる開位置に移動するとともに、ピン8が嵌合穴12に嵌合して、ホッパーユニット5がホッパー台4から取り外せない状態となる。
【0015】
図5は、ピン8をホッパー台4側に設けたときの構成を示しており、ホッパー台4にシャッター6のスライド方向と平行にピン8を圧入させている。シャッター6側にはピン8が勘合するための嵌合穴13が形成されている。よってシャッター6のスライドにより、ホッパー台4に圧入したピン8が嵌合穴13に嵌合することで、図4と同様、シャッター6が開いた状態でのホッパーユニット5の離脱を防いでいる。
【実施例2】
【0016】
図6から図8は、本発明の第二の実施例を示し、シャッター6及びホッパー台4の少なくとも一方に磁石9を装着したときの構成を示している。シャッター6を図6中の矢印方向にスライドすることにより、シャッター6とホッパー台4が吸着することで、シャッター6が開いた状態でのホッパーユニット5のホッパー台4からの離脱を防いでいる。図7および図8についても仕組みは同様である。シャッター6あるいはホッパー台4それ自体が金属などの磁性を有する部品である場合は図6、図7のように何れか一方に磁性体を設ければよいが、何れも磁性を有しない部品である場合は図8のように双方に磁性体を設けてもよい。
【0017】
以上のように簡単な構成によって、ホッパー2の排出口15の開口時に誤ってホッパーユニット5をホッパー台4から外してしまうのを防止して、材料こぼれが防止できる。なお、上述したホッパー離脱防止手段は一例であり、上述した実施形態に限らないし、上述の実施例における形状もこれに限らない。その他上述した実施形態における事項は本発明を限定するためのものではなく、本発明に直接的に関係のない構成を含め、その用途や目的などに応じて特許請求の趣旨に鑑み任意に変更し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による材料供給装置の本実施形態に係る平面図で、ホッパーユニットのホッパー台からの離脱時を示す。
【図2】ホッパーユニットの底面視図で、シャッターが閉じている状態を示す。
【図3】ホッパーユニットの底面視図で、シャッターが開いている状態を示す。
【図4】実施例1の材料供給装置において、ホッパーユニットのホッパー台への装着時を示し、シャッターにピンを設けたときの構成を示す。
【図5】図4の材料供給装置に関して、ホッパー台にピンを設けたときの構成を示す。
【図6】実施例2の材料供給装置において、シャッターに磁石を設けたときの構成を示す。
【図7】図6の材料供給装置に関して、ホッパー台に磁石を設けたときの構成を示す。
【図8】図6および図7の材料供給装置に関して、シャッターとホッパー台に磁石を設けたときの構成を示す。
【図9】本発明による材料供給装置を装着した射出成形機の一実施形態を示す。
【符号の説明】
【0019】
1 材料供給装置
2 ホッパー
3 シャッター機構
4 ホッパー台
5 ホッパーユニット
6 シャッター
7 シャッター押さえ
8 ピン
9 磁石
10 開閉穴
11 連結口
12 嵌合穴
13 嵌合穴
14 射出成形機
15 排出口
16 射出機構部
17 型締め機構部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を蓄えるホッパーと、前記ホッパーを装着し前記ホッパー内の材料をホッパーの外部へ供給する台と、を有する材料供給装置において、
該材料供給装置は、前記ホッパーの開口部を開閉するシャッターと、
該シャッターによる前記開口部の開閉動作に連動して、前記台からの前記ホッパーの取り外しを制限するホッパー離脱防止手段と、をさらに備えることを特徴とする材料供給装置。

【請求項2】
前記ホッパー離脱防止手段は、前記シャッターが前記開口部を開いているときには前記ホッパーと前記台とを結合させ、前記シャッターが前記開口部を閉じているときには前記ホッパーを前記台から離脱可能にすることを特徴とする請求項1に記載の材料供給装置。

【請求項3】
前記ホッパー離脱防止手段は、前記シャッターおよび前記台の少なくとも一方が有するピンと、
少なくとも何れか他方が有する、前記シャッターの前記開口部の開閉動作に伴って前記ピンが嵌合する嵌合穴と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の材料供給装置。

【請求項4】
前記ホッパー離脱防止手段は、前記シャッターおよび前記台の少なくとも一方が有する磁性体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の材料供給装置。

【請求項5】
材料を可塑化してこれを固定側金型と可動側金型との間に形成されるキャビティ内へ所定量ずつ射出する射出機構部と、
前記可動側金型を前記固定側金型に向かって駆動し金型の開閉を行う型締め機構部と、
請求項1から請求項4の何れかに記載の材料供給装置とを備えることを特徴とする射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−131905(P2010−131905A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311189(P2008−311189)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】