杭頭リング
【課題】既設杭の上端に新たな杭を継ぎ足して地盤中に打ち込む際、端板に取り付けた接合用部材を介してネジ止めする方法や、端板同士を接合する方法は作業が厄介であった。
【解決手段】本発明にかかる杭頭リングは、端板部11と、この端板部11の外周縁部からこの端板部11と直角方向へ突き出た筒体部12と、この筒体部12の中心cを通る放射線r上で筒体部12の外周面に中心cへ向けて形成された凹陥部13と、この凹陥部13内にあってボルト14の軸部15が外方から出入自在の切欠部16を有する締着板部17を備えている。この杭頭リングは、相対する杭頭リングの切欠部16にボルト14を挿入し、ナット18をボルト14に螺合して締め付けることにより、締着板部17同士を一体化して杭相互を連結するようになっている。これにより、杭相互が簡単かつ強固に連結される。
【解決手段】本発明にかかる杭頭リングは、端板部11と、この端板部11の外周縁部からこの端板部11と直角方向へ突き出た筒体部12と、この筒体部12の中心cを通る放射線r上で筒体部12の外周面に中心cへ向けて形成された凹陥部13と、この凹陥部13内にあってボルト14の軸部15が外方から出入自在の切欠部16を有する締着板部17を備えている。この杭頭リングは、相対する杭頭リングの切欠部16にボルト14を挿入し、ナット18をボルト14に螺合して締め付けることにより、締着板部17同士を一体化して杭相互を連結するようになっている。これにより、杭相互が簡単かつ強固に連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭頭リングに関する。
【背景技術】
【0002】
深礎杭の場合、既設杭の上端に新たな杭を継ぎ足して地盤中に打ち込んでいる。杭同士の接合は支持荷重に影響するため、種々の接合構造やその施工法が開発されており、例えば、端板同士を溶接するやり方が特開平10−121467号公報に、端板に取り付けたフランジ板同士をボルトで締結するやり方が特開2002−121733号公報に、また接続片とボルトを使うやり方が特開2005―299243号公報に、それぞれ開示されている。
【特許文献1】特開平10−121467号公報
【特許文献2】特開2002―121733号公報
【特許文献3】特開2005―299243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開平10−121467号公報に開示された杭の接続方法は、段落[0026]及び段落[0027]を参照すれば、次の通りである。端板2の外周に取り付けた円筒側板3にネジ穴4を設けておく。杭A同士を接合する際、端板2と2を当接させ、両者の外周面に円弧状の接続片7をあてがい、六角ボルト9を接続片7のボルト孔8を通してネジ孔4にねじ込む。これによって、相対する杭A同士が接合される。
【0004】
この公報によると、段落[0017]に、円筒側板3は端板2の面2bに溶接して構成される旨の記載があるが、溶接作業はいうまでもなく厄介な作業である。同段落の末尾に、継手部材Bにおける端板2と円筒側板3は大型の鋼材を機械加工することで削り出して形成してもよい、旨の記載があるが、切削作業も時間を要して大変な作業である。
【0005】
特開2002―121733号公報には、段落[0026]及び[0027]に、杭1の杭径より大きな径を有するフランジ板4を予め杭端部の端板2に溶接し、杭1の建て込みを行う途中で、上下の杭1a、1bのフランジ板4どうしを、小孔aを一致させて当接させ、小孔aに通したボルト5により接合する、旨の記載がある。
フランジ板4を杭端部の端板2に溶接する作業も、工場生産による現場作業の省略は可能となるとはいえ、溶接作業そのものが甚だ厄介な作業である。
【0006】
特開2005―299243号公報に示された既製コンクリート杭の端板では、杭の接合に際しては、その図4に示されているように、主リング部材3(端板部;端板)同士を溶接するようになっている。
溶接による接合は現場作業となり、作業が厄介で、屋外作業の場合は天候にも左右される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる杭頭リングは、端板部と、該端板部の外周縁部から該端板部と直角方向へ突き出た筒体部と、該筒体部の中心を通る放射線上で該筒体部の外周面に該中心へ向けて形成された凹陥部と、該凹陥部内にあってボルトの軸部が外方から出入自在の切欠部を有する締着板部を備えている。そして、相対する杭頭リングの同一軸線上に配列された該切欠部にボルトの軸部を挿入し、ナットを該ボルトに螺合して締め付けることにより締着板部同士を一体化する。これにより、杭相互が強固に連結される。
【0008】
杭は、通常のように、緊張材例えばPC鋼棒に緊張力を導入された状態で各端部を杭頭リングの円周上に穿った係止孔に係止され、コンクリートを充填されて成形されている。 杭を連結するに際し、ナットを予めボルトに螺合しておいてもよい。この場合、ボルト頭部とナット間の距離を該締着板部の二枚分の厚さより大きく取っておく。両締着板部を重ね合わせた状態で、ボルトの頭部を一方の凹陥部に向け、ナットを他方の凹陥部に向けて、軸部を該切欠部に挿入する。ここで、ボルト・ナットを締め付けるが、その締付力は適宜加減できる。
【0009】
このように、杭頭リングの連結に際し、従来のように、ボルトをボルト孔に挿通してからボルトの他端にナットを螺合して締め付ける作業は必要ない。ボルトにナットを螺合した状態でボルトの軸部を切欠部に外部から挿入するようにすすれば、ナットを締め付けるだけなので、作業が至って簡単で、締付力も適宜加減できる。
【0010】
製造には鋳造が望ましいが、板金加工でもよい。この端板部は、杭を打ち込む場合にかなりの衝撃荷重が掛かるので、衝撃に耐えられる強度が必要である。なお、適切な材質を選択することにより適度な変形機能を備えるものとすることが好ましく、そのような材質として、例えばダクタイル鋳鉄が挙げられる。
【0011】
(請求項2)該凹陥部は該放射線と直角方向の軸線を有しており、該締着板部は該軸線と直角方向をなしていてもよい。
こうすると、連結するべき杭の凹陥部同士を一直線上に配置でき、ボルトの挿入が容易となる。
【0012】
(請求項3)該凹陥部は該軸線上で該切欠部と反対側が天蓋部により閉塞されていてもよい。
こうすると、リングを杭の頭部に位置させて遠心成形したとき、コンクリートが凹陥部を通って外部へ漏出することがない。
【0013】
(請求項4)該締着板部は座金を密接に収容する凹部を有し、該凹部の壁面の周長は該座金の周長の半分を超えた範囲を覆う長さとなっていてもよい。
こうすると、座金は凹部に収めるだけで位置が特定され、杭の打ち込み中に衝撃を受けても該切欠部から抜け出ることはなく、ボルト・ナットも締結状態を維持できる。
【0014】
(請求項5)該凹陥部は外周面にリブを備えていてもよい。
こうすると、凹陥部に外部から大きな荷重が掛ったときに、その変形を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる杭頭リングによれば、該筒体部の中心を通る放射線上で該筒体部の外周面に該中心へ向けて形成された凹陥部と、該凹陥部内にあってボルトの軸部が外方から出入自在の切欠部を有する締着板部を備えているので、杭を連結する際、ボルトをボルト挿通孔に挿通する必要はなく、相対する杭頭リングの該切欠部にボルトを挿入し、ナットを該ボルトに螺合することにより締着板部同士を一体化する。これにより、杭相互が強固に連結される。
【0016】
ナットを予めボルトに螺合し、ボルト頭部とナット間の距離を該締着板部の二枚分の厚さより大きく取っておけば、両締着板部を重ね合わせた状態で、ボルトの頭部を一方の凹陥部に向け、ナットを他方の凹陥部に向けて、軸部を該切欠部に挿入し、ボルト・ナットを締め付ければよい。作業が至って簡単で、その締付力も適宜加減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明にかかる杭頭リングの具体例の正面図、図2は図1の平面図で下半分を省略してある。図3は図1の底面図で右半分を省略してあり、上半部は非締結状態、下半部は締結状態を示す。図4は図2のA部拡大図である。図5は図3の4−4線断面図で杭頭リング相互を連結した状態で示すものである。
【0018】
本発明に係る杭頭リングは、端板部11と、この端板部11の外周縁部からこの端板部11と直角方向へ突き出た筒体部12と、この筒体部12の中心cを通る放射線r上で筒体部12の外周面に中心cへ向けて形成された凹陥部13と、この凹陥部13内にあってボルト14の軸部15が外方から出入自在の切欠部16を有する締着板部17を備えている。
【0019】
この杭頭リングは、相対する杭頭リングの同一直線上に配列された切欠部16に側方からボルト14の軸部15を挿入し、ナット18をボルト14に螺合して締め付けることにより、締着板部17同士を一体化して杭相互を連結するようになっている。これにより、杭相互が強固に連結される。なお、ナット18を予めボルト14の軸部15に螺合し、ボルトの頭部31とナット18間の距離を締着板部17の二枚分の厚さより大きく取っておけば、両締着板部17を突き合わせた状態で、ボルト14の頭部31を一方の凹陥部13に向け、ナット18を他方の凹陥部13に向けて、軸部15を切欠部16に挿入し、ボルト・ナットを締め付ければよい。作業が至って簡単で、その締付力も適宜加減できる。
【0020】
(請求項2)凹陥部13は放射線rと直角方向の軸線xを有しており、締着板部17は軸線xと直角方向をなしている。
この場合、連結するべき杭の凹陥部13同士を一直線上に配置でき、ボルト14の挿入が容易となる。
【0021】
(請求項3)凹陥部13は軸線x上で切欠部16と反対側が天蓋部19により閉塞されている。
この場合、杭頭リングを所定位置に配置して遠心成形したとき、コンクリートが凹陥部13を通って外部へ漏出することがない。
【0022】
(請求項4)締着板部17は座金20を密接に収容する凹部21を有し、この凹部21の壁面22の周長は座金20の周長の半分を超えた範囲を覆う長さとなっている。
この場合、座金20は杭の打ち込み中に衝撃を受けても切欠部16から抜け出ることはなく、従ってボルト14とナット18は締結状態を維持できる。
【0023】
(請求項5)凹陥部13は外周面にリブ23を備えている。
この場合、凹陥部13に外部から大きな荷重が掛ったときに、その変形を防止できる。
【0024】
なお、図面において、31は通常のようにPC鋼棒の係止穴で、PC鋼棒の頭部を挿通する大径部と頭部を抑止する小径部からなっている。32は欠肉部で、鋳造品の場合の材料を節約するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる杭頭リングの具体例の正面図である。
【図2】図1の平面図で上半分を省略してある。
【図3】図1の3−3線断面図で図2と同様に上半分を省略してあり、その左半部は非締結状態、右半部は締結状態を示す。
【図4】図3のA部拡大図である。
【図5】図4の5−5線断面図で杭頭リング相互を連結した状態で示すものである。
【符号の説明】
【0026】
11 端板部
12 筒体部
13 凹陥部
c 中心
r 放射線
14 ボルト
15 軸部
16 切欠部
17 締着板部
18 ナット
19 天蓋部
20 座金
21 凹部
22 壁面
23 リブ
31 係止孔
32 欠肉部
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭頭リングに関する。
【背景技術】
【0002】
深礎杭の場合、既設杭の上端に新たな杭を継ぎ足して地盤中に打ち込んでいる。杭同士の接合は支持荷重に影響するため、種々の接合構造やその施工法が開発されており、例えば、端板同士を溶接するやり方が特開平10−121467号公報に、端板に取り付けたフランジ板同士をボルトで締結するやり方が特開2002−121733号公報に、また接続片とボルトを使うやり方が特開2005―299243号公報に、それぞれ開示されている。
【特許文献1】特開平10−121467号公報
【特許文献2】特開2002―121733号公報
【特許文献3】特開2005―299243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開平10−121467号公報に開示された杭の接続方法は、段落[0026]及び段落[0027]を参照すれば、次の通りである。端板2の外周に取り付けた円筒側板3にネジ穴4を設けておく。杭A同士を接合する際、端板2と2を当接させ、両者の外周面に円弧状の接続片7をあてがい、六角ボルト9を接続片7のボルト孔8を通してネジ孔4にねじ込む。これによって、相対する杭A同士が接合される。
【0004】
この公報によると、段落[0017]に、円筒側板3は端板2の面2bに溶接して構成される旨の記載があるが、溶接作業はいうまでもなく厄介な作業である。同段落の末尾に、継手部材Bにおける端板2と円筒側板3は大型の鋼材を機械加工することで削り出して形成してもよい、旨の記載があるが、切削作業も時間を要して大変な作業である。
【0005】
特開2002―121733号公報には、段落[0026]及び[0027]に、杭1の杭径より大きな径を有するフランジ板4を予め杭端部の端板2に溶接し、杭1の建て込みを行う途中で、上下の杭1a、1bのフランジ板4どうしを、小孔aを一致させて当接させ、小孔aに通したボルト5により接合する、旨の記載がある。
フランジ板4を杭端部の端板2に溶接する作業も、工場生産による現場作業の省略は可能となるとはいえ、溶接作業そのものが甚だ厄介な作業である。
【0006】
特開2005―299243号公報に示された既製コンクリート杭の端板では、杭の接合に際しては、その図4に示されているように、主リング部材3(端板部;端板)同士を溶接するようになっている。
溶接による接合は現場作業となり、作業が厄介で、屋外作業の場合は天候にも左右される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる杭頭リングは、端板部と、該端板部の外周縁部から該端板部と直角方向へ突き出た筒体部と、該筒体部の中心を通る放射線上で該筒体部の外周面に該中心へ向けて形成された凹陥部と、該凹陥部内にあってボルトの軸部が外方から出入自在の切欠部を有する締着板部を備えている。そして、相対する杭頭リングの同一軸線上に配列された該切欠部にボルトの軸部を挿入し、ナットを該ボルトに螺合して締め付けることにより締着板部同士を一体化する。これにより、杭相互が強固に連結される。
【0008】
杭は、通常のように、緊張材例えばPC鋼棒に緊張力を導入された状態で各端部を杭頭リングの円周上に穿った係止孔に係止され、コンクリートを充填されて成形されている。 杭を連結するに際し、ナットを予めボルトに螺合しておいてもよい。この場合、ボルト頭部とナット間の距離を該締着板部の二枚分の厚さより大きく取っておく。両締着板部を重ね合わせた状態で、ボルトの頭部を一方の凹陥部に向け、ナットを他方の凹陥部に向けて、軸部を該切欠部に挿入する。ここで、ボルト・ナットを締め付けるが、その締付力は適宜加減できる。
【0009】
このように、杭頭リングの連結に際し、従来のように、ボルトをボルト孔に挿通してからボルトの他端にナットを螺合して締め付ける作業は必要ない。ボルトにナットを螺合した状態でボルトの軸部を切欠部に外部から挿入するようにすすれば、ナットを締め付けるだけなので、作業が至って簡単で、締付力も適宜加減できる。
【0010】
製造には鋳造が望ましいが、板金加工でもよい。この端板部は、杭を打ち込む場合にかなりの衝撃荷重が掛かるので、衝撃に耐えられる強度が必要である。なお、適切な材質を選択することにより適度な変形機能を備えるものとすることが好ましく、そのような材質として、例えばダクタイル鋳鉄が挙げられる。
【0011】
(請求項2)該凹陥部は該放射線と直角方向の軸線を有しており、該締着板部は該軸線と直角方向をなしていてもよい。
こうすると、連結するべき杭の凹陥部同士を一直線上に配置でき、ボルトの挿入が容易となる。
【0012】
(請求項3)該凹陥部は該軸線上で該切欠部と反対側が天蓋部により閉塞されていてもよい。
こうすると、リングを杭の頭部に位置させて遠心成形したとき、コンクリートが凹陥部を通って外部へ漏出することがない。
【0013】
(請求項4)該締着板部は座金を密接に収容する凹部を有し、該凹部の壁面の周長は該座金の周長の半分を超えた範囲を覆う長さとなっていてもよい。
こうすると、座金は凹部に収めるだけで位置が特定され、杭の打ち込み中に衝撃を受けても該切欠部から抜け出ることはなく、ボルト・ナットも締結状態を維持できる。
【0014】
(請求項5)該凹陥部は外周面にリブを備えていてもよい。
こうすると、凹陥部に外部から大きな荷重が掛ったときに、その変形を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる杭頭リングによれば、該筒体部の中心を通る放射線上で該筒体部の外周面に該中心へ向けて形成された凹陥部と、該凹陥部内にあってボルトの軸部が外方から出入自在の切欠部を有する締着板部を備えているので、杭を連結する際、ボルトをボルト挿通孔に挿通する必要はなく、相対する杭頭リングの該切欠部にボルトを挿入し、ナットを該ボルトに螺合することにより締着板部同士を一体化する。これにより、杭相互が強固に連結される。
【0016】
ナットを予めボルトに螺合し、ボルト頭部とナット間の距離を該締着板部の二枚分の厚さより大きく取っておけば、両締着板部を重ね合わせた状態で、ボルトの頭部を一方の凹陥部に向け、ナットを他方の凹陥部に向けて、軸部を該切欠部に挿入し、ボルト・ナットを締め付ければよい。作業が至って簡単で、その締付力も適宜加減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明にかかる杭頭リングの具体例の正面図、図2は図1の平面図で下半分を省略してある。図3は図1の底面図で右半分を省略してあり、上半部は非締結状態、下半部は締結状態を示す。図4は図2のA部拡大図である。図5は図3の4−4線断面図で杭頭リング相互を連結した状態で示すものである。
【0018】
本発明に係る杭頭リングは、端板部11と、この端板部11の外周縁部からこの端板部11と直角方向へ突き出た筒体部12と、この筒体部12の中心cを通る放射線r上で筒体部12の外周面に中心cへ向けて形成された凹陥部13と、この凹陥部13内にあってボルト14の軸部15が外方から出入自在の切欠部16を有する締着板部17を備えている。
【0019】
この杭頭リングは、相対する杭頭リングの同一直線上に配列された切欠部16に側方からボルト14の軸部15を挿入し、ナット18をボルト14に螺合して締め付けることにより、締着板部17同士を一体化して杭相互を連結するようになっている。これにより、杭相互が強固に連結される。なお、ナット18を予めボルト14の軸部15に螺合し、ボルトの頭部31とナット18間の距離を締着板部17の二枚分の厚さより大きく取っておけば、両締着板部17を突き合わせた状態で、ボルト14の頭部31を一方の凹陥部13に向け、ナット18を他方の凹陥部13に向けて、軸部15を切欠部16に挿入し、ボルト・ナットを締め付ければよい。作業が至って簡単で、その締付力も適宜加減できる。
【0020】
(請求項2)凹陥部13は放射線rと直角方向の軸線xを有しており、締着板部17は軸線xと直角方向をなしている。
この場合、連結するべき杭の凹陥部13同士を一直線上に配置でき、ボルト14の挿入が容易となる。
【0021】
(請求項3)凹陥部13は軸線x上で切欠部16と反対側が天蓋部19により閉塞されている。
この場合、杭頭リングを所定位置に配置して遠心成形したとき、コンクリートが凹陥部13を通って外部へ漏出することがない。
【0022】
(請求項4)締着板部17は座金20を密接に収容する凹部21を有し、この凹部21の壁面22の周長は座金20の周長の半分を超えた範囲を覆う長さとなっている。
この場合、座金20は杭の打ち込み中に衝撃を受けても切欠部16から抜け出ることはなく、従ってボルト14とナット18は締結状態を維持できる。
【0023】
(請求項5)凹陥部13は外周面にリブ23を備えている。
この場合、凹陥部13に外部から大きな荷重が掛ったときに、その変形を防止できる。
【0024】
なお、図面において、31は通常のようにPC鋼棒の係止穴で、PC鋼棒の頭部を挿通する大径部と頭部を抑止する小径部からなっている。32は欠肉部で、鋳造品の場合の材料を節約するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる杭頭リングの具体例の正面図である。
【図2】図1の平面図で上半分を省略してある。
【図3】図1の3−3線断面図で図2と同様に上半分を省略してあり、その左半部は非締結状態、右半部は締結状態を示す。
【図4】図3のA部拡大図である。
【図5】図4の5−5線断面図で杭頭リング相互を連結した状態で示すものである。
【符号の説明】
【0026】
11 端板部
12 筒体部
13 凹陥部
c 中心
r 放射線
14 ボルト
15 軸部
16 切欠部
17 締着板部
18 ナット
19 天蓋部
20 座金
21 凹部
22 壁面
23 リブ
31 係止孔
32 欠肉部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端板部(11)と、該端板部(11)の外周縁部から該端板部(11)と直角方向へ突き出た筒体部(12)と、該筒体部(12)の中心(c)を通る放射線(r)上で該筒体部(12)の外周面に該中心へ向けて形成された凹陥部(13)と、該凹陥部(13)内にあってボルト(14)の軸部(15)が外方から出入自在の切欠部(16)を有する締着板部(17)を備え、相対する杭頭リングの同一直線上に配列された該切欠部(16)にボルト(14)を挿入し、ナット(18)で締め付けることにより、締着板部(17)同士を一体化して杭相互を連結するようになっていることを特徴とする杭頭リング。
【請求項2】
該凹陥部(13)は該放射線(r)と直角方向の軸線(x)を有しており、該締着板部(17)は該軸線(x)と直角方向をなしている請求項1に記載の杭頭リング。
【請求項3】
該凹陥部(13)は該軸線(x)上で該切欠部(16)と反対側が天蓋部(19)により閉塞されている請求項2に記載の杭頭リング。
【請求項4】
該締着板部(17)は座金(20)を密接に収容する凹部(21)を有し、該凹部(21)の壁面(22)の周長は該座金(20)の周長の半分を超えた範囲を覆う長さとなっている請求項1、2又は3に記載の杭頭リング。
【請求項5】
該凹陥部(13)は外周面にリブ(23)を備えている請求項1、2、3又は4に記載の杭頭リング。
【請求項1】
端板部(11)と、該端板部(11)の外周縁部から該端板部(11)と直角方向へ突き出た筒体部(12)と、該筒体部(12)の中心(c)を通る放射線(r)上で該筒体部(12)の外周面に該中心へ向けて形成された凹陥部(13)と、該凹陥部(13)内にあってボルト(14)の軸部(15)が外方から出入自在の切欠部(16)を有する締着板部(17)を備え、相対する杭頭リングの同一直線上に配列された該切欠部(16)にボルト(14)を挿入し、ナット(18)で締め付けることにより、締着板部(17)同士を一体化して杭相互を連結するようになっていることを特徴とする杭頭リング。
【請求項2】
該凹陥部(13)は該放射線(r)と直角方向の軸線(x)を有しており、該締着板部(17)は該軸線(x)と直角方向をなしている請求項1に記載の杭頭リング。
【請求項3】
該凹陥部(13)は該軸線(x)上で該切欠部(16)と反対側が天蓋部(19)により閉塞されている請求項2に記載の杭頭リング。
【請求項4】
該締着板部(17)は座金(20)を密接に収容する凹部(21)を有し、該凹部(21)の壁面(22)の周長は該座金(20)の周長の半分を超えた範囲を覆う長さとなっている請求項1、2又は3に記載の杭頭リング。
【請求項5】
該凹陥部(13)は外周面にリブ(23)を備えている請求項1、2、3又は4に記載の杭頭リング。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−57781(P2009−57781A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227432(P2007−227432)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(591116885)ジャパンライフ株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(591116885)ジャパンライフ株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
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