説明

杭頭部ハツリ作業用バスケット

【課題】上部工の撤去作業における杭頭部のハツリ作業を円滑に行うと共に、ハツリ作業用足場の設置及び撤去作業を、より簡単に行う。
【解決手段】床板14と杭バンド16と柵18とが、床板14の開口の中心を通る縦断面によって二分割されている。又、二分割された一方の柵18Aと他方の柵18Bとの上端部同士が、ピボット22によって軸着されている。杭頭部3に対する足場の設置作業の際には、(a)に示されるように、二分割された杭頭部ハツリ作業用バスケット12をクレーンによって吊り下げ、ピボット22を中心として下方を開いた状態で杭頭部3に被せる。その後、(b)に示されるように、二分割されたバスケットの一方12Aと他方12Bとを閉じることにより、杭バンド16A、16Bによって杭2をクランプする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭頭部ハツリ作業時の足場を構成するバスケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4及び図5に示される桟橋1は、杭2を支持体として備える港湾構造物である。具体的には、杭頭部3と、隣り合う鋼管杭2の杭頭部3同士を連結する梁部4と、これら梁部4及び杭頭部3を上方から覆う床版部5とからなる上部工10が、各杭2によって支持された構造を有している。杭2は、円筒状の鋼管により形成され、桟橋1の長手方向及び幅方向に等間隔に複数立設されている。また、杭頭部3は、各杭2の上端に、コンクリートによって所定厚の多角柱状に形成され、梁部4も、コンクリートによって略四角柱状に形成されている。そして、各杭頭部3及び各梁部4の上面に、コンクリートからなる板状の床版部5が形成され、床版部5の上面にはコンクリート舗装6が施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−169769号公報(〔0015〕、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、桟橋1の老朽化や劣化が進んだ場合には、諸条件を勘案した上で、全体を解体し、新たな桟橋1を建設する場合と、杭2を残して上部工10のみを撤去し、既存の杭2上に、新たな上部工10を構築する場合とがある。そして、いずれの場合においても、杭頭部3のハツリが必要な場合には、ハツリ作業を円滑に行うために、足場を設置することが必要である。従って、作業効率を高めるためには、足場の設置作業及び撤去作業が円滑に行われることが望ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上部工の撤去作業における杭頭部のハツリ作業を円滑に行うと共に、ハツリ作業用足場の設置及び撤去作業を、より簡単に行うことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)杭を挿通するための開口が形成された床板と、該床板の下面から前記開口に沿って下方へと延びる筒状の杭バンドと、前記床板の外周に沿って上方へと延びる柵と、該柵に載置される足場とを備える杭頭部ハツリ作業用バスケットであって、前記床板と、前記杭バンドと、前記柵とが、前記床板の開口の中心を通る縦断面によって二分割され、かつ、二分割された一方の柵と他方の柵との上端部同士が、ピボットによって軸着されている杭頭部ハツリ作業用バスケット(請求項1)。
【0007】
本項に記載の杭頭部ハツリ作業用バスケットは、床板の開口に杭を挿通した状態で、床板の下面から下方へと伸びる杭バンドによって杭をクランプすることで、床板を杭の円筒壁面に固定するものである。又、床板の外周に沿って上方へと延びる柵が設けられ、該柵に足場を載置することで、杭頭部の周囲の適切な高さに、ハツリ作業を円滑に行うための足場を設置することが可能となる。
【0008】
しかも、床板と杭バンドと柵とが、床板の開口の中心を通る縦断面によって二分割され、かつ、二分割された一方の柵と他方の柵との上端部同士が、ピボットによって軸着されていることから、杭頭部に対する足場の設置作業の際には、二分割された杭頭部ハツリ作業用バスケットをクレーンによって吊り下げ、ピボットを中心として下方を開いた状態で杭頭部に被せた後、二分割されたバスケットの一方と他方とを閉じることにより、床板の下面から下方へと伸びる杭バンドによって杭をクランプすることができる。このように、杭を杭バンドでクランプすることによって、杭頭部ハツリ作業用バスケットを杭に固定することから、足場の設置に伴って杭を傷めることがない。しかも、杭頭部は、杭頭部ハツリ作業用バスケットに抱え込まれた状態となり、作業者は、バスケット内で円滑に杭頭部のハツリ作業を行うことができる。又、杭頭部から足場を撤去する際にも、二分割された杭頭部ハツリ作業用バスケットの下方を、ピボットを中心として開いた状態で、クレーンによって吊り上げることにより、撤去作業を完了することができる。
【0009】
(2)前記ピボット及び前記二分割された一方の柵と他方の柵とに、夫々、ワイヤーを掛ける釣金具が設けられている杭頭部ハツリ作業用バスケット(請求項2)。
本項に記載の杭頭部ハツリ作業用バスケットは、ピボット及び二分割された一方の柵と他方の柵とに、夫々、ワイヤーを掛ける釣金具が設けられていることから、ピボットに設けられた釣金具に親巻きクレーンのワイヤーを掛け、二分割された各部分の柵に子巻きクレーンのワイヤーを掛けることで、杭頭部ハツリ作業用バスケットを吊り下げた状態で、ピボットを中心として、二分割された一方及び他方の開閉を行うことが可能である。
なお、ピボット及び二分割された一方の柵と他方の柵とに直接ワイヤーを掛けることとすれば、釣金具は不要となる。この場合には、ピボット及び柵自体が、ワイヤー掛け部となる。
【0010】
(3)前記二分割された一方及び他方の各床板上面を囲む周壁が設けられている杭頭部ハツリ作業用バスケット(請求項3)。
本項に記載の杭頭部ハツリ作業用バスケットは、二分割された一方及び他方の各床板上面を囲む周壁によって、各床板が無蓋箱状をなすことから、ハツリ作業によって杭頭部から落下するコンクリートガラを、床板上に受止め、かつ、床板からの落下を防ぐことができる。しかも、ハツリ作業の終了後、杭頭部から当該バスケットを撤去する際に、二分割されたバスケットの下方をピボットを中心として開いた状態においても、周壁によって床板上のコンクリートガラが落下することを防ぐことができる。すなわち、杭頭部ハツリ作業用バスケットは、ハツリ作業の足場としてのみならず、コンクリートガラの回収、運搬手段としても機能するものである。
【0011】
(4)前記二分割された一方及び他方の各床板と柵とが、適宜分離可能である杭頭部ハツリ作業用バスケット(請求項4)。
本項に記載の杭頭部ハツリ作業用バスケットは、二分割された一方及び他方の各床板を、各柵から取外し、異なる杭径用の開口が形成された床板を柵に取り付けることで、杭頭部ハツリ作業用バスケットに汎用性を持たせるものである。
【0012】
(5)前記ピボットは、前記床板の開口の中心を通る杆材により構成され、杭天端に載置された状態で、該杭頭部ハツリ作業用バスケット及びコンクリートガラの重量を受けることが可能な強度を有する杭頭部ハツリ作業用バスケット。
本項に記載の杭頭部ハツリ作業用バスケットは、ピボットを杭天端に載置した状態で、床板の下面から下方へと伸びる杭バンドによって杭をクランプすることにより杭に設置し、ハツリ作業中の、杭頭部ハツリ作業用バスケット及び発生するコンクリートガラの重量を、前記ピボットにより受けるものである。
【0013】
(6)上記(5)項において、前記杭バンドは、二分割された一方及び他方の各床板と柵の開放を阻止し得るだけの拘束力を発揮するものである杭頭部ハツリ作業用バスケット。
本項に記載の杭頭部ハツリ作業用バスケットは、ピボットが杭頭部ハツリ作業用バスケット及びコンクリートガラの重量を受けることが可能な強度を有し、ピボットが杭天端に載置されることから、必ずしも、杭バンドによって杭をクランプすることのみにより、杭頭部ハツリ作業用バスケットを杭に固定する必要は無くなる。そこで、杭バンドを、二分割された一方及び他方の各床板と柵の開放を阻止し得るだけの拘束力を発揮するものとして、簡略化したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明はこのように構成したので、上部工の撤去作業における杭頭部のハツリ作業を円滑に行うことが可能となる。又、ハツリ作業用足場の設置及び撤去作業を、より簡単にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係る杭頭部ハツリ作業用バスケット12は、図1、図2に示されるように、杭2を挿通するための開口15が形成された床板14と、床板14の下面から開口15に沿って下方へと延びる筒状の杭バンド16と、床板14の外周に沿って上方へと延びる柵18と、柵18に載置される足場20とを備えるものである。そして、床板14と、杭バンド16と、柵18とが、床板14の開口15の中心を通る縦断面によって、各々、床板14A、14B、杭バンド16A、16B、柵18A,18Bに二分割されている。更に、二分割された一方の柵18Aと他方の柵18Bとの上端部同士が、ピボット22によって軸着されている。又、ピボット22と、一方の柵18Aと、他方の柵18Bとに、夫々、ワイヤー42、44を掛ける釣金具24、26が設けられている。
【0016】
床板14は、矩形の鋼板に開口15を形成するための切欠きが設けられたものである。そして、図2(e)および(g)に示されるように、開口15の直径が異なる床板14が、適宜選択されて、杭頭部ハツリ作業用バスケット12が組み立てられる。開口15の直径は、ハツリ作業を行う杭2の直径に合わせて決定されるものであり、予め直径の異なる開口15を有する複数種類の床板14を用意し、適宜、柵18に固定することとしてもよい。なお、床板14と柵18とは、溶接、ボルト等により固定される。
【0017】
又、杭バンド16は、円筒状の鋼管を軸方向に二分割することにより構成されている。そして、床板14の下面に対し、開口15に沿って杭バンド16の上端部が固定され、下端部が床板14に固定された補強ステー28に支えられている。更に、二分割された杭バンド16A、16Bの向かい合う端部に沿って、杭バンド16A、16B同士をボルト固定するためのフランジ30(図1(a)、図2(d))が設けられている。
【0018】
又、柵18は、図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に示されるように、角棒やL型鋼等の棒材19からなる柱19a及び横梁19bにより構成されている。そして、二分割された柵の18A、18Bは、各々の向かい合う端部に沿って、互いにボルト固定することが可能である。
なお、図1には、横梁19bが上下二段に設けられた例が示されており、図2には、横梁19bが上下三段に設けられた例が示されているが、柱19aの高さや横梁19bの段数は、ハツリ作業を行う杭2及び杭頭部3の寸法に応じ、適宜決定されるものである。
【0019】
足場20は、図2(f)に示されるように、角棒やL型鋼等の棒材を交差させて構成されたフレーム32に、メッシュプレートやパンチングメタル等のシート材34を張ったものであり、中央に、杭2を挿通させるための開口36が形成されている。図示の開口36は角形であるが、ハツリ作業によって杭頭部3から落下するコンクリートガラが床板14に落下するように、開口36の形状及び開口面積が決定されるものである。又、シート材34は、柵18の横梁の更に内側に収まるような外形を有しており、フレーム32は、柵18の横梁18bで囲まれる範囲からはみ出すような長さに形成されている。
そして、足場20は、フレーム32を柵18の横梁19b上に載置され、固定されることにより、図2(b)、(d)に示されるように、杭頭部ハツリ作業用バスケット12上に設置される。なお、柵18の横梁19bは、数段設けられていることから、杭頭部3の位置や、ハツリ作業の進行具合に応じて、足場20を載置する横梁19bの位置を変えることで、常にハツリ作業がし易い高さに、足場20を設置することが可能である。
【0020】
更に、図1(a)、(b)、図2(b)、(c)に示されるように、二分割された一方及び他方の各床板14A、14Bの上面を囲むようにして、鋼板からなる周壁38が設けられている。この周壁38は、開口15を避けるようにして、各床板14A、14Bに切れ目無く設けられることにより、各床板14A、14Bは、無蓋箱状をなしている。
【0021】
以上のような構造を有する杭頭部ハツリ作業用バスケット12を用い、桟橋1の杭頭部3に対するハツリ作業を実施する際には、桟橋1の上部工10を構成する床版部5及び梁部4が除去され、図3に実線で示されるように、杭2及び杭頭部3のみが水面に突出した状態において、1本の杭2に杭頭部ハツリ作業用バスケット12を設置する。図1に示される例では、杭頭部ハツリ作業用バスケット12の一部が水没した状態となることから、二分割された一方12A及び他方12Bの固定作業(杭バンド16A、16B同士をボルト固定する作業)は、潜水作業となる。
作業者は、杭頭部ハツリ作業用バスケット12内で足場20に乗り、杭頭部3のハツリ作業を行う。この際、杭頭部3から落下するコンクリートガラは、床板14上に落下して溜まる。そして、ハツリ作業の終了後、その杭2から当該バスケット12を撤去し、陸上のガラ置き場へと移動させて、コンクリートガラをガラ置き場へと卸す。そして、当該バスケット12を次の杭2へと移動させて、その杭2に当該バスケット12を設置し、杭頭部3のハツリ作業を行う、といった作業を繰り返す。この際、杭2に設置された当該バスケット12への、作業者の連絡通路として、例えば、浮き足場40を用いることが可能である。
【0022】
上記構成をなす、本発明の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。
本発明の実施の形態に係る、杭頭部ハツリ作業用バスケット12は、床板14の開口15に杭2を挿通した状態で、床板14の下面から下方へと伸びる杭バンド16によって杭2をクランプすることで、床板14を杭2の円筒壁面に固定するものである。又、床板14の外周に沿って上方へと延びる柵18が設けられ、柵18に足場20(図2(f))を固定することで、杭頭部3の周囲の適切な高さに、ハツリ作業を円滑に行うための足場20を設置することが可能となる。又、足場20は、ハツリ作業に支障を来たすような場合には、柵18から足場20を撤去する(すなわち選択的に使用する)ことにより、作業性を向上させることもできる。
【0023】
しかも、杭頭部ハツリ作業用バスケット12は、床板14と杭バンド16と柵18とが、床板14の開口15の中心を通る縦断面によって二分割され、かつ、二分割された一方の柵18Aと他方の柵18Bとの上端部同士が、ピボット22によって軸着されていることから、杭頭部3に対する足場20の設置作業の際には、図1(a)に示されるように、この二分割された杭頭部ハツリ作業用バスケット12をクレーンによって吊り下げ、ピボット22を中心として下方を開いた状態で杭頭部3に被せた後、図1(b)に示されるように、二分割されたバスケットの一方12Aと他方12Bとを閉じることにより、杭バンド16A、16Bによって杭2をクランプすることができる。
このように、杭2を杭バンド16A、16Bでクランプすることによって、杭頭部ハツリ作業用バスケット12を杭2に固定することから、足場の設置に伴って杭2を傷めることがない。しかも、杭頭部3は、杭頭部ハツリ作業用バスケット12に抱え込まれた状態となり、作業者は、バスケット12内で円滑に杭頭部3のハツリ作業を行うことができる。又、杭頭部3から足場を撤去する際にも、二分割された杭頭部ハツリ作業用バスケット12A、12Bの下方を、ピボット22を中心として開いた状態で、クレーンによって吊り上げることにより、撤去作業を完了することができる。
【0024】
又、杭頭部ハツリ作業用バスケット12は、ピボット22及び二分割された一方の柵18Aと他方の柵18Bとに、夫々、ワイヤー42、44を掛ける釣金具24、26が設けられている。そして、ピボット22に設けられた釣金具24に親巻きクレーンのワイヤー42を掛け、二分割された各部分の柵18A、18Bの釣金具26に子巻きクレーンのワイヤー44を掛けることで、杭頭部ハツリ作業用バスケット12を吊り下げた状態で、ピボット22を中心として、二分割された一方12A及び他方12Bの開閉を行うことが可能である。
【0025】
又、杭頭部ハツリ作業用バスケット12は、二分割された一方12A及び他方12Bの各床板14A、14Bの上面を囲む周壁38によって、各床板14A、14Bが無蓋箱状をなしている。よって、ハツリ作業によって杭頭部3から落下するコンクリートガラを、床板14A、14B上に可能な限り受止め、床板14A、14Bからのコンクリートガラ落下を防ぐことができ、水中におけるコンクリートガラの回収作業が大幅に軽減されることとなる。しかも、ハツリ作業の終了後、杭頭部3から杭頭部ハツリ作業用バスケット12を撤去する際に、図1(a)に示されるように、二分割されたバスケット12A、12Bの下方を、ピボット22を中心として開いた状態でも、周壁38によって床板14A、14B上のコンクリートガラが落下することを防ぐことができる。すなわち、杭頭部ハツリ作業用バスケット12は、ハツリ作業の足場としてのみならず、コンクリートガラの回収、運搬手段としても機能するものである。
【0026】
なお、本発明の実施の形態では、ピボット22を、床板14の開口15の中心を通る杆材により構成し、かつ、このピボット22を、杭2の天端に載置させた状態で、杭頭部ハツリ作業用バスケット12及び杭頭部3から落下するコンクリートガラの重量を受けることが可能な強度を有するものとして構成してもよい。
この場合には、ピボット22を杭2の天端に載置した状態で、床板14の下面から下方へと伸びる杭バンド16によって杭2をクランプすることにより、ハツリ作業中の、杭頭部ハツリ作業用バスケット12及び発生するコンクリートガラの重量を、ピボット22により受けるようにして、杭2に設置される。
【0027】
その具体的使用例は、以下の通りである。例えば、杭頭部3に杭頭部ハツリ作業用バスケット12を設置する前に、杭頭部3から杭2の天端を露出させるハツリ作業を行い、露出された杭2の天端に、直接ピボット22を載置する。そして、釣金具24、26からワイヤー42、44を外した状態で、杭バンド16によって杭2をクランプする作業を行うことにより、設置作業の際の、クレーン作業の短縮を図ることができる。同様に、杭頭部ハツリ作業用バスケット12の撤去作業の際にも、杭バンド16のクランプ解除を行った後に、釣金具24、26にワイヤー42、44を掛けることで、クレーン作業の短縮を図ることができる。
更には、杭2の天端に、H型鋼その他補強材等、スペーサを載置し(必要に応じて杭2の天端にボルト等の固定具を用いて固定し)、かかるスペーサ上にピボット22を載置することとすれば、ハツリ作業用バスケット12を、杭2の天端に対し比較的上方へと設置することが可能である。このとき、杭バンド16が水面上に位置することとなり、杭バンド16による杭2のクランプ作業及びクランプ解除作業に、潜水作業が不要となる。よって、ハツリ作業用バスケット12の着脱作業が容易となり、なおかつ、クレーン作業の時間も短縮することが可能となる。
【0028】
又、ピボット22が、杭頭部ハツリ作業用バスケット12及びコンクリートガラの重量を受けることが可能な強度を有し、このピボット22が杭2の天端に載置されることから、必ずしも、杭バンド16によって杭をクランプすることのみにより、杭頭部ハツリ作業用バスケットを杭2に固定する必要が無くなる。
そこで、杭バンド16を、二分割された一方12A及び他方12Bの各床板14A、14Bと柵18A、18Bの開放を阻止し得るだけの拘束力を発揮するものとして、簡略化することとしてもよい。この場合には、床板14の開口15の直径が、必ずしも杭2の直径とほぼ一致している必要は無く、杭2に対し若干大径であってもよい。
【0029】
又、杭頭部ハツリ作業用バスケット12は、二分割された一方12A及び他方12Bの各床板14A、14Bを、各柵18A、18Bから取外し、異なる杭径用の開口が形成された床板14A、14Bを柵18A、18Bに取り付けることで、杭頭部ハツリ作業用バスケットに汎用性を持たせることが可能となる。
なお、本発明の実施の形態では、杭頭部ハツリ作業用バスケット12を、桟橋1の杭頭部3のハツリ作業に用いる場合を例示して説明したが、他の構造物に係る杭頭部のハツリ作業にも利用可能であることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る杭頭部ハツリ作業用バスケットを、杭と共に示す側面図であり、(a)は設置作業中又は撤去作業中の状態を、(b)は設置完了状態を示すものである。
【図2】本発明の実施の形態に係る杭頭部ハツリ作業用バスケットを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図、(d)はB−B断面図、(e)はC−C断面図、(f)は足場の平面図、(g)は床板の別例に係るC−C断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る杭頭部ハツリ作業用バスケットを、桟橋の杭頭部のハツリ作業に使用した様子を示す平面図である。
【図4】桟橋の一般的な構造を示す斜視図である。
【図5】桟橋の一般的な構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
2:杭、3:杭頭部、4:梁部、12、12A、12B:杭頭部ハツリ作業用バスケット、 14、14A、14B:床板、15:開口、 16、16A、16B:杭バンド、 18、18A、18B:柵、19a:柱、19b:横梁、20:足場、22:ピボット、 24、26:釣金具、38:周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭を挿通するための開口が形成された床板と、該床板の下面から前記開口に沿って下方へと延びる筒状の杭バンドと、前記床板の外周に沿って上方へと延びる柵と、該柵に載置される足場とを備える杭頭部ハツリ作業用バスケットであって、前記床板と、前記杭バンドと、前記柵とが、前記床板の開口の中心を通る縦断面によって二分割され、かつ、二分割された一方の柵と他方の柵との上端部同士が、ピボットによって軸着されていることを特徴とする杭頭部ハツリ作業用バスケット。
【請求項2】
前記ピボット及び前記二分割された一方の柵と他方の柵とに、夫々、ワイヤーを掛ける釣金具が設けられていることを特徴とする請求項1記載の杭頭部ハツリ作業用バスケット。
【請求項3】
前記二分割された一方及び他方の各床板上面を囲む周壁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の杭頭部ハツリ作業用バスケット。
【請求項4】
前記二分割された一方及び他方の各床板と柵とが、適宜分離可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の杭頭部ハツリ作業用バスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−285856(P2008−285856A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130520(P2007−130520)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)
【Fターム(参考)】