説明

松葉抽出物

松葉から抽出物として得られ、治療活性を有し、0.01wt%未満の量でイソキュプレシン酸化合物類を含み、さらに1種または複数の有機酸を含む組成物を、食料品、医薬組成物および食物サプリメントとして使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関し、この組成物を含む食料品、食物サプリメントまたは医薬組成物に関し、この組成物の使用に関し、この組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
松葉は、Pinus属を含めて、マツ科植物の葉である。特定のタイプの松葉が十分な供給量で入手可能であり、様々な目的に使用されている。松葉抽出物は、日本国特許出願JP08107778Aおよび日本国特許JP07059538に、特定の飲料に有用であると記載されている。松葉抽出物を含む餅が日本国特許出願JP01218562Aに記載されている。
【0003】
松葉からのタクソールの抽出方法が、国際特許出願WO94/15483に記載されている。
【0004】
高血圧(high blood pressureまたはhypertension)は、多くの医療上の問題に関連していることが知られている。高血圧は冠状動脈性心臓病および脳卒中の危険を直接的に増大させる。高血圧は主として35歳を超えた人に起こるが、環境上および遺伝的要因、ならびに治療を要するいくつかの病状(例えば、真性糖尿病、痛風または腎臓疾患)により、全ての年代の人における高血圧の危険が増大し得る。
【0005】
国際特許出願WO98/28990は、濃度を高めたマグネシウム、カルシウムおよびカリウムの1種または複数と一緒に植物ステロールおよび/またはスタノールを用いる調味料、食物成分および食品の製造方法を開示する。この食物の摂取により、コレステロールのレベルと血圧の両方が下がると記載されている。
【0006】
高血圧を低下させ得る活性材料、特に、食物サプリメントとして、または食料品に使用され得る、天然に産する材料が依然として求められている。
【0007】
米国特許US6329000は、特定の松葉抽出物を様々な疾患(心筋炎、狭心症、不整脈、糖尿病、老人性痴呆、突発性難聴および高血圧が含まれる)の治療に用いることを開示する。松葉抽出物は、水とアルコールを溶剤として用いる比較的簡単な抽出方法によって得られている。
【0008】
米国特許US5607971は、メタノール、ジエチルエーテルおよび塩化メチレンを用いる、ポンデローサマツ(Pinus ponderosa)からの血管作動性脂質の抽出を開示する。単離されたこれらの化合物はエステル化されたアルカンジオール類である。
【0009】
米国特許US5690984は、圧力容器中、高圧で、松葉を他の天然産物の混合物と共に水中で煮ることによって松葉から製造される飲料を記載する。
【0010】
松葉とその抽出物はイソキュプレシン酸(isocupressic acid)類を含み得る。イソキュプレシン酸類は肉牛に毒性の問題を生じると記載されている。米国特許US6329000、米国特許US5607971、および米国特許US5690984では、かなりの量のイソキュプレシン酸が抽出物に残っていることが見出されている。
【0011】
米国特許US5466453はマツ抽出物の味を改善する方法を教示する。米国特許US6254858は、他の成分の中に、松の汁を含むヘアトリートメント組成物に関連する。米国特許US187802は、カエデ糖と松葉抽出物とネズの実(juniper berry)とを含む消毒組成物を記載する。その発明者等は、これらの製品は、かなりの量のイソキュプレシン酸を含むであろうと考えている。
【特許文献1】日本国特許出願JP08107778A
【特許文献2】日本国特許JP07059538
【特許文献3】日本国特許出願JP01218562A
【特許文献4】国際特許出願WO94/15483
【特許文献5】国際特許出願WO98/28990
【特許文献6】米国特許US6329000
【特許文献7】米国特許US5607971
【特許文献8】米国特許US5690984
【特許文献9】米国特許US5466453
【特許文献10】米国特許US6254858
【特許文献11】米国特許US187802
【非特許文献1】Fette, Seifen, Anstrichmittel, 80 (1978), 180-186
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
驚くべきことに、松葉抽出物からイソキュプレシン酸類を除去して、治療活性を依然として示す(例えば、血圧を下げることができる)抽出物を生成し得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、松葉からの抽出物として得ることができ、治療活性を有し、イソキュプレシン酸化合物類を0.01wt%(組成物の全重量に対する重量)未満の量で含み、1種または複数の有機酸(例えば、シキミ酸および/またはキナ酸)を好ましくはさらに含む組成物が提供される。
【0014】
別の態様において、本発明は、本発明の組成物を含む食料品(例えば、乳製品)、食物サプリメントまたは医薬組成物を提供する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、硬さ、テクスチャ、エアレーション、展延性、経口特性(oral properties)、口あたり、香り、色、粘性、加工性、および健康に関連する性質から選択される1つまたは複数の食品の性質を改善する方法であり、この方法は、松葉から抽出物として得ることができ、1種または複数の有機化合物を含む組成物を、食品に組み入れることを含む。これらの性質は、本発明の材料を含まないこと以外は全く同じである食品に比べて改善される。
【0016】
本発明はまた、哺乳動物、特にヒトの血圧を下げるために使用される本発明の組成物、食料品、食物サプリメント、医薬組成物または乳製品もまた提供する。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、硬さ、テクスチャ、エアレーション、展延性、経口特性、口あたり、香り、色、粘性、加工性、および健康に関連する性質から選択される1つまたは複数の食品の性質を改善するための、松葉から抽出物として得ることができ、1種または複数の有機化合物を含む材料の使用を提供する。これらの性質は、本発明の材料を含まないこと以外は全く同じである食品に比べて改善される。
【0018】
本発明のさらなる態様は、本発明の組成物の製造方法であり、この方法は、
水、有機溶剤およびこれらの混合物から選択される溶剤(水が好ましい)により、好ましくは40℃から110℃の高温で松葉を処理して、第1抽出物を生成させる工程と
前記第1抽出物からイソキュプレシン酸化合物類を、好ましくはイオン交換樹脂および/または活性炭による処理によって(好ましくは、第1抽出物が水溶液である間に、より好ましくは高温で)除去する工程と、
任意選択で、処理された抽出物を濾過し濃縮して、粉末または濃厚液として本発明の組成物を得る工程と
を含む。好ましくは、工程(a)の前に、松葉は非極性溶剤(例えば、4から10個の炭素原子を有するアルカン、例えばヘキサン)により、より好ましくは40℃から90℃の温度で、前処理される。この前処理により、通常、イソキュプレシン酸類の少なくとも一部が除去される。
【0019】
本発明の組成物と、この組成物を含む製品は、哺乳動物、特にヒトの血圧を下げることができる。こうして、本発明はまた、本発明の組成物、食料品、食物サプリメント、医薬組成物または乳製品の投与を含む、哺乳動物の血圧を下げる(および/または高血圧を治療する)方法にも関する。本発明はまた、高血圧の治療および/または防止のための組成物の製造における、本発明の組成物、食料品、食物サプリメント、医薬組成物または乳製品の使用にも関する。
【0020】
本発明の組成物は固体状、または溶液、懸濁液および分散体を含めて、液体状であり得る。好ましくは、本発明の組成物は、粉末または水溶液の形態である。
【0021】
イソキュプレシン酸化合物類は血圧を下げる活性を有することが見出されているので、本発明の組成物がイソキュプレシン酸化合物類を0.01wt%未満の量で含む程にまで処理されているにも関わらず、それが治療活性を保っていることは驚きである。本願において、治療活性という用語は、疾患または障害の治療、抑制もしくは防止における有用性を意味する。疾患および障害には、これに限定されないが、高血圧が含まれる。
【0022】
本発明は、次の作用の1つまたは複数に関連し得る:血圧降下;収縮期および/または拡張期の血圧降下;心拍数低下;交感神経活動低下;冠状動脈性心臓病の可能性の低下;動脈瘤の可能性の低下;脳卒中の可能性の低下;血液循環の改善;心臓血管系の改善;血管の健康の改善;平滑筋組織ストレスの低下;胸痛の可能性の低下;健康的な生活スタイルの一部の提供;健康的な血液循環の機会の増大;血管への加齢の影響の低下;心臓ストレスの低下;および運動後の回復時間の改善。
【0023】
本発明の組成物は、好ましくは、0.005wt%未満、より好ましくは0.003wt%未満、より一層好ましくは0.002wt%未満、例えば、0.001wt%未満の量で、イソキュプレシン酸化合物類を含む。「イソキュプレシン酸化合物類」および「イソキュプレシン酸類」という用語は、本明細書では、同じ意味で使用されており、イソキュプレシン酸それ自体と、酸松葉およびその抽出物に見出される好ましくは関連するジテルペン酸(例えば、インブリカトルン酸(imbricatoloic acid)、アガシン酸(agathic acid)、ジヒドロアガシン酸(dihydroagathic acid)、およびテトラヒドロアガシン酸(tetrahydroagathic acid)とを表す。イソキュプレシン酸類は、これらの酸の誘導体の形、例えば、アセチルインブリカトロン酸(acetylimbricatoloic acid)、およびアセチルイソキュプレシン酸(acetylisocupressic acid)であり得る。こうして、好ましくは、本発明の組成物は、イソキュプレシン酸、インブリカトルン酸、アガシン酸、ジヒドロアガシン酸、テトラヒドロアガシン酸、アセチルインブリカトロン酸、およびアセチルイソキュプレシン酸を、0.005wt%未満、より好ましくは0.003wt%未満、より一層好ましくは0.002wt%未満、例えば0.001wt%未満の量で含む。好ましくは、本発明の組成物は、イソキュプレシン酸類を含まないか、イソキュプレシン酸類を実質的に(すなわち、イソキュプレシン酸類の存在を通常の方法によっては検出できない、および/または、本発明の組成物の性質に影響を及ぼさない程度にしか)含まない。イソキュプレシン酸類の濃度は、例えばGCMSにより求めることができる。
【0024】
本発明の組成物は、松葉から得ることができ、好ましくは得られる。松葉は、好ましくは、ポンデローサマツ以外のマツの種からのものである。マツの種には、Pinus albicaulis、イガゴヨウ(Pinus aristata)、Pinus attenuata、Pinus balfouriana、バンクスマツ(Pinus banksiana)、シロマツ(Pinus bungeana)、ヨーロッパハイマツ(Pinus cembra)、Pinus cembroides、Pinus clausa、ロッジポールマツ(Pinus contorta)、オオミマツ(Pinus coulteri)、アカマツ(Pinus densiflora)、エキナタマツ(Pinus echinata)、Pinus edulis、スラッシュマツ(Pinus elliottii)、Pinus engelmannii、フレキシマツ(Pinus flexilis)、Pinus glabra、ボスニアマツ(Pinus heldreichii)、Pinus jeffreyi、サトウマツ(Pinus lambertiana)、ブリスルコーンパイン(Pinus longaeva)、タイワンアカマツ(Pinus massoniana)、アメリカヒトツバマツ(Pinus monophylla)、アメリカミヤマゴヨウ(Pinus monticola)、モンタナマツ(Pinus mugo)、ビショップマツ(Pinus muricata)、ヨーロッパクロマツ(Pinus nigra)、ダイオウマツ(Pinus palustris)、ゴヨウマツ(Pinus parviflora)、Pinus pungens、Pinus quadrifolia、ラジアータマツ(Pinus radiata)、レジノサマツ(Pinus resinosa)、リギダマツ(Pinus rigida)、Pinus sabiniana、Pinus serotina、Pinus strobiformis、ストローブマツ(Pinus strobus)、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、チュウゴクアカマツ(Pinus tabulaeformis)、テーダマツ(Pinus taeda)、クロマツ(Pinus thunbergiana)、Pinus torreyana、バージニアマツ(Pinus virginiana)、Pinus yuannensis、およびPinus washoensisが含まれる。好ましくは、本発明の組成物は、タイワンアカマツ、チュウゴクアカマツ、または、Pinus yuannensisからのものであり、より好ましくは、本発明の材料はタイワンアカマツからのものである。本発明の組成物は、好ましくは、1種または複数の有機化合物、より好ましくは2種以上の有機化合物を含む。有機化合物は、炭素、水素および酸素原子と、任意選択で他の原子(例えば、窒素、リンおよび硫黄)とを含む化合物である。
【0025】
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも2種の化合物AおよびBを含み、Aは、100%メタノールを溶離液として用いるシリカカラムからの溶出によってAとBの混合物から得ることができる化合物であり、Bは、メタノール/水の混合物(5〜40体積%)を用いる同じシリカカラムから一連の溶出物として得ることができる化合物である。Aは、好ましくは、フィトステロール、ポリフェノール、バイオフラボノイド、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体からなる群から選択される。Bは、好ましくは、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される。本発明の組成物は、1種または複数の化合物Aと、1種または複数の化合物Bとを含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、A(または、2種上のA化合物が存在する場合、全A化合物)を、組成物の重量に対して、5から60wt%、好ましくは10から50wt%、最も好ましくは15から40wt%の量で含み、本発明の組成物は、B(または、2種上のB化合物が存在する場合、全B化合物)を、1から15wt%、好ましくは2から12wt%、最も好ましくは3から10wt%の量で含む。
【0026】
したがって、一実施形態において、本発明の組成物は、フィトステロール、ポリフェノール類、バイオフラボノイド類、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含む。
【0027】
本発明の組成物は、好ましくは、シキミ酸および/またはキナ酸を含む。好ましくは、シキミ酸は、本発明の組成物中に、組成物の重量に対して少なくとも10%、好ましくは少なくとも12%、より好ましくは少なくとも15%、例えば少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、もしくは、少なくとも20%の量で存在する。シキミ酸の量の上限は、通常、やはり組成物の50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、例えば、30重量%以下、または、25重量%以下である。シキミ酸は、塩または他の誘導体(例えばアセチルエステル)として存在していてもよい。
【0028】
好ましくは、キナ酸(通常、D-キナ酸)は、本発明の組成物中に、組成物の重量に対して少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも7%、例えば少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、もしくは、少なくとも15%の量で存在する。キナ酸の量の上限は、通常、やはり組成物の30重量%以下、より好ましくは27重量%以下、例えば、25重量%以下、または20重量%以下である。キナ酸は、塩または他の誘導体(例えばアセチルエステル)として存在していてもよい。
【0029】
特定の好ましい本発明の組成物は、シキミ酸とキナ酸とを、上の2つの段落において指定された量で含む。このような組成物の例では、少なくとも10重量%のシキミ酸と少なくとも5重量%のキノ酸(例えば、10%から30%のシキミ酸と5%から20%のキノ酸)が含まれる。
【0030】
本発明の組成物は、低分子量の糖類、好ましくは、1000ダルトン未満の分子量を有する糖類をさらに含み得る。好ましい低分子量の糖類は単糖単位であり、これにはグルコース、フルクトースおよびイノシトールが含まれる。好ましくは、低分子溶の糖類の量は、組成物の15重量%から50重量%、例えば、20重量%から40重量%、または20重量%から35重量%である。
【0031】
本発明の組成物は、食料品(例えば乳製品)、食物サプリメントまたは医薬組成物に使用され得る。これらの製品は、本発明の組成物のデリバリーにとって都合のよい形態になる。本発明の組成物は、酸化に対する組成物の安定性を増す効果のある量で酸化防止剤を、また任意選択で、着色剤および/または保存剤を含み得る。
【0032】
本発明による好ましい組成物は食料品である。食料品には液体(例えば飲料)および固体のものが含まれる。適切に、食料品は、食料品として包装され、ラベルが付けられるであろう。通常の食料品は本発明の組成物を適切な量で含み得る。
【0033】
医薬組成物は、例えば、丸い錠剤(tablet)、丸薬(pill)、カプセル、細長い錠剤(caplet)、顆粒剤(顆粒、ビーズ、ペレットおよびマイクロカプセル化粒子が含まれる)、粉末、エリキシル剤、シロップ、懸濁液、ならびに、溶液の形態であり得る。医薬組成物は、薬学的に許容される希釈剤または担体を含むであろう。医薬組成物は、好ましくは、非経口的(例えば経口的)に投与されるようになっている。経口的に投与できる組成物は固体または液体状であり、錠剤、粉末、懸濁液およびシロップの形態であり得る。任意選択で、本発明の組成物は、1種または複数の芳香剤および/または着色剤を含む。このような組成物での使用に適する薬学的に許容される担体は、製薬の分野においてよく知られている。本発明の医薬組成物は、0.1〜99重量%の本発明の組成物を含み得る。本発明の医薬組成物は、通常、投薬単位の形態で調製される。
【0034】
本発明の組成物を含む製品形態のさらなる例は、ソフトゲルまたはハードカプセル状(好ましくは、ゼラチン、デンプン、変性デンプン、デンプン誘導体(例えば、グルコース、スクロース、ラクトースおよびフルクトース)からなる群から選択されるカプセル化材料を含む)であるような食物サプリメントである。カプセル化材料は、任意選択で、架橋剤または重合剤、安定剤、酸化防止剤、光に弱いフィラーを保護する光吸収剤などを含み得る。好ましくは、食物サプリメントにおける本発明の組成物の投与単位量は、1mgから1000mg(より好ましくは100mgから750mg)である。
【0035】
本発明の食料品は好ましくは乳製品である。乳製品は、本発明の組成物のドライ重量に基づいて、乳製品の全重量に対して0.01wt%から10wt%、より好ましくは0.05wt%から5wt%、より一層好ましくは0.1wt%から2wt%の量で、本発明の組成物を含み得る。乳製品には、ミルクに由来するタンパク質、脂肪、および/または糖類の1種または複数を含む食用製品が含まれる。乳タンパク質には、例えば、カゼインが含まれ、乳糖類には例えばラクトースが含まれる。好ましくは、乳製品は、乳製品の重量に対して、少なくとも0.01重量%、より好ましくは0.1重量%、より一層好ましくは1重量%の量で乳タンパク質を含む。
【0036】
好ましくは、本発明の乳製品の水含量は、0.5から99.5wt%、好ましくは20から90wt%、最も好ましくは30から85wt%である。
【0037】
乳製品は、通常、水中油型(O/W)エマルジョン、2相連続性エマルジョン、または二重W/O/W型(水中油中水)型エマルジョンである。
【0038】
本発明の特定の乳製品は脂肪相を含む。好ましくは、脂肪相は、5℃(=N5)で、10より大きい、好ましくは、20より大きい固体脂肪含量(非安定化(non-stabilized)脂肪についてNMRにより測定される)を示し、及び、35℃(=N35)で、20より小さい、好ましくは、10より小さい、最も好ましくは5未満の固体脂肪含量を示す。非安定化脂肪についてNMRにより固体脂肪含量を求める方法は当業者によく知られており、それらには、Fette, Seifen, Anstrichmittel, 80 (1978), 180-186、に記載されている方法が含まれる。非安定化とは、N-値が、80℃より高温でまず脂肪を溶融させた後(それから溶融物を0℃まで冷却し、0℃に30分間保ち、次に、脂肪を測定温度に加熱し、その温度に30分間保ち、それから、N-値を測定する)、測定されることを意味する。
【0039】
本発明の乳製品の例は、クリーム、ミルク、水性連続性または2相連続性スプレッド、菓子類または甘いスプレッド、チョコレート、スナックバー、栄養バー、アイスクリーム、菓子用の充填物またはトッピング、パン用の充填物またはトッピング、ヨーグルト(飲むヨーグルトが含まれる)、カードチーズ、ミルクセーキ、スリミングドリンク、チーズおよびチーズスプレッドである。
【0040】
好ましくは、本発明の乳製品は、トランス型脂肪酸(12から24個の炭素原子を含み、1つの炭素-炭素2重結合を有するカルボン酸である)を本質的に含まない、すなわち、それらは、トランス型脂肪酸を、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、例えば、0.05重量%未満、もしくは0.01重量%未満の量で含む。
【0041】
本発明の乳製品は、本発明の組成物を含まない対応する製品に比べて、好ましくは、1つまたは複数の次の性質を有する:改善された硬さ、改善されたテクスチャ、改善されたエアレーション、改善された展延性、改善された経口特性、改善された口あたり、改善された香り、より良好な色、改善された粘性、より良好な形状保持性、改善されたホイップ性、および改善された加工性。これらの性質は、本発明の材料を含まないこと以外は同じである食品に比べて改善される。本発明により改善される好ましい性質は経口特性および/または外観であり、特に、経口特性および/または外観はバターに一層類似しているようになる。
【0042】
以下の非限定的実施例は本発明を例示し、その範囲を如何なる仕方においても限定しない。実施例において、また本明細書を通して、全てのパーセンテージ、部数および比率は、そうでないと指摘されない限り、重量によるものである。
【0043】
(実施例)
実施例において図1が参照される。
【0044】
(実施例1)
松葉抽出物
タイワンアカマツからの松葉(イソキュプレシン酸(ICA)含量は0.33wt%)100gを、水で洗浄し、短く切断して(3〜4cm)、フラスコに入れた。500gのヘキサンをフラスコに加え、撹拌しながら約3から5時間加熱還流した(〜60℃)。得られた松葉溶液を、ブフナー漏斗を通して濾過し、回転エバポレータを用いてヘキサンを除去した。粗抽出物は、8wt%のイソキュプレシン酸類の化合物を含む。この後、この抽出物は実験に使用されなかった。
【0045】
ヘキサンで処理した後に残された残留物をフラスコに移し、500mlの脱イオン水を加えた。混合物を100℃で3〜5時間撹拌した。次に、ブフナー漏斗を通して抽出液を濾過し、150mlまで濃縮した。この抽出物に、12.5gの樹脂(Dowex Marathon A、Polysep Industrial Consultants)を加え、温度を50℃に3時間保った。樹脂を除去するためにブフナー漏斗を通して濾過した後、溶液を回転エバポレータで乾燥して、松葉粉末(ICA含量は、0.003wt%)を生成させた。
【0046】
(実施例2)
胸部大動脈を自然発症高血圧ラット(SHR)から得た。胸部大動脈を4から6mmの幅のリングに切断し、各リングを器官槽(organ bath)(サーモスタットで制御し、酸素付加し、改変クレブス-ヘンゼライト緩衝液が入っている)の中の張力トランスデューサに連結する。大動脈のリングの収縮を、等張状態の下で連続的に記録する。組織を平衡状態にした後、1度の投薬で1μMのフェニレフリンを与えて組織を感作し、次に洗浄した。その後、2つのフェニレフリン累積投与応答曲線を得た。抽出物のない状態で第1の投与応答曲線を得て、コントロール曲線とした。組織を十分に(7回)洗浄した後、組織を松葉抽出物で1時間インキュベートした。このインキュベーションの後、濃縮形態の抽出物の存在の下で、第2の投与応答曲線を得た。基準曲線の最大応答をコントロールとして採用しデータを分析した。
【0047】
図1は、フェニレフリンが投与量依存性のラット大動脈収縮を引き起こすことを示している(図の上側の曲線)。実施例1による松葉抽出物を用いたインキュベーションの後、フェニレフリンによるラット大動脈の収縮は明らかに抑制されている(図の下の曲線)。
【0048】
(実施例3)
抽出物の調製
2種の松葉抽出物を製造した。第1の抽出物(抽出物1)は、イソキュプレシン酸を含む比較例である。第2の抽出物(抽出物2)は、第1抽出物を精製したものであり、本発明による例である。
【0049】
抽出物1を次のようにして得た:
・ タイワンアカマツの松葉100gを洗浄し、短く切断し(約3から4cm)、フラスコに入れた。
・ 1リットルの水を加えた。
・ 混合物を加熱し、還流温度(約100℃)に5時間保った。
・ 松葉残渣を混合物から除去した。
・ 回転エバポレータを用いて水を除去することによって、松葉抽出物(抽出物1)を得た。
【0050】
次のようにして抽出物1をさらに処理することにより抽出物2を得た:
・ 抽出物2として上で得た200gの松葉抽出物(約5〜10%の水を含む)を、1.2Lの脱イオン水と混合した。これを、70℃の水浴に1時間半置いたままにして溶かした。
・ 混合物を反応容器に移し、70℃で15分間撹拌した。
・ 40gの樹脂(Dowex 50W)を加え、撹拌を50℃で3時間続け、次いで、混合物を濾過した。濾過後、この工程(すなわち、樹脂の添加、撹拌および濾過)を繰り返した。
・ 0.8gのNorit SA4活性炭を加えた。
・ 得られた混合物を1時間撹拌し、その間、温度を85℃に保った。
・ 得られた混合物を、ブフナーフィルタ(54;φ185mm)を通して3回濾過した。
・ 回転エバポレータを用いて濾液から水を蒸発させて、抽出物2を得た。
【0051】
イソキュプレシン酸(ICA)を測定する分析方法の一般的な手順は次の通りである:
【0052】
ソクスレー抽出に基づく方法により、試料を50mlの塩化メチレンで約3時間抽出する。抽出後、塩化メチレンを回転エバポレータにより除去する。この工程の後、ヘプタデカン酸を内部標準として加える。最後に定量できるようにこの成分を用いる。次に、試料を少量の塩化メチレンに溶かし、500mgのアミノプロピル吸着剤を含むSPEカラム(事前に、適切な溶剤で状態調節されている)に負荷する。試料をSPEカラムに負荷した後、存在し得る「中性」成分を、9:1(容積)のジエチルエーテル:メタノールを含む溶剤で溶出させる。この洗浄工程後、追加の1%の酢酸を含む同じ溶剤を用いて酸を溶離させる。加熱ブロックで溶剤を除去した後、エーテル中2Mのジアゾメタン(カルボン酸基のメチルエステルを生成させる)により、残っている全ての遊離の水酸基をシリル化するためのMSTFA(N-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド)を用いることによって、試料の誘導体化を行なう。この誘導体化の工程は逐次行なわれる。誘導体とした後、試料を、イソオクタンを用いて適切に稀釈し、1μlをGC-MSに注入する。GC-MSには、成分を分離するために、30mのCP-Sil 5カラム(DB-1)(内径0.25mm)を用いる。次の温度プログラムを用いる:100℃に1分間保持、40℃/minで200℃まで昇温、その後、温度を、2℃/minで250℃まで昇温。キャリアガスのヘリウムを1.0mL/minで一定に保つ(=+/-68kPaのゲージ圧、100℃)。スプリットレス注入を用い、インジェクターの温度を250℃で一定に保つ。MSトランスファーラインもまた250℃で一定に保つ。MS検出器を、70eVのイオン化エネルギーを用いるEIモードに設定した。捕集質量範囲は50から550Daであり、1250Vの電子倍増管電圧を用いた。
【0053】
松葉抽出物の血圧低下作用:この実施例では表1が参照される。
【0054】
表1は、
- フェニレフリンの50%効果濃度(EC50)、ならびに、DRC1とDRC2との間の差、
- フェニレフリンに対する最大作用(maximal effect、Emax)(この値が小さいほど、抽出物はより効果的である)、
への松葉抽出物の作用を示している。
【0055】
自然発症高血圧ラット(SHR)からの、分離された大動脈リングが、血管作動性の効果を試験するモデルとして使用された。胸部大動脈をSHRラットから得た。胸部大動脈を4から6mmの幅のリングに切断し、次に、各リングを、器官槽(サーモスタットで制御し、炭酸ガス付加し、改変クレブス-ヘンゼライト緩衝液が入っている)の中の張力トランスデューサに連結する。大動脈のリングの収縮を、等張状態の下で連続的に記録する。組織を平衡状態にした後、1度の投薬で1μMのフェニレフリンを与えて組織を感作し、次に洗浄した。フェニレフリンは、α-アドレナリンアゴニストであり、この実験では大動脈リングの収縮を誘発させるために使用されている。その後、2つのフェニレフリン累積投与応答曲線(DRC1およびDRC2)を得た。抽出物のない状態でDRC1を得てコントロール曲線とし、一方、DRC2は、50μg/mlの松葉抽出物を用いてのインキュベーション後に得られた。組織を十分に洗浄した後、組織を松葉抽出物で5分間インキュベートした。このインキュベーションの後、濃縮形態の抽出物の存在の下で、第2の投与応答曲線を得た。データを、
- 50%効果濃度(EC50)、
- フェニレフリンに対する最大作用(Emax)、
を求めて分析した。
【0056】
以下の抽出物を試験した。
1. Norit/イオン交換樹脂処理の前のタイワンアカマツ(抽出物1)
2. Norit/イオン交換樹脂処理の後のタイワンアカマツ(抽出物2)
3. 比較例: 米国特許US-B1-6329000(Ji Ling)による抽出物
4. 比較例: 米国特許US5690984(Lim Jung Geun)による抽出物
5. 比較例: 米国特許US5607971(Al-Mahmoud Mohsen)による抽出物
6. 比較例: 米国特許US5607971(Al-Mahmoud Mohsen)による、塩化メチレン抽出物
7. 比較例: 米国特許US5607971(Al-Mahmoud Mohsen)による、メタノール抽出物
【0057】
【表1】

【0058】
抽出物1を用いるインキュベーションの後、フェニレフリンによるラット大動脈の収縮は明らかに抑制されている(Emax 54)。Norit処理およびイオン交換によるイソキュプレシン酸除去の後、抽出物2は、抽出物5、6、および7(イソキュプレシン酸が高濃度である)に似た活性(Emax 79)を依然として示している。
【0059】
(実施例4)
アイスクリームの製造
2種のアイスクリーム製品を以下のレシピと手順に従って製造した。
【0060】
【表2】

【0061】
手順
・ 糖、ミルクパウダーおよびデキストロースを混ぜる。
・ 水に入れて混合する。
・ 混合物をマイクロウェーブ中で70℃まで加熱する。
・ グルコースシロップ、パーム油、乳化剤および松葉抽出物を加える。
・ ultra-turraxにより9500の速度で、室温で4分間撹拌する。
・ 氷水の入ったボールに置き、温度が21℃になるまでultra-turraxを使用し続ける。
・ エマルジョンを7℃で一夜冷蔵庫に放置する。
・ アイス製造機を一夜冷凍庫に入れる。
・ アイス製造機で40分間エマルジョンを撹拌する。
・ 処理の間に観察し、試料を-21℃の冷蔵庫に保管する。
【0062】
評価
松葉抽出物を含むアイスクリームは、より長期間形状を保つことが見出され、松葉抽出物がエマルジョンの微細構造に好ましい影響を及ぼすことが示された。
【0063】
(実施例5)
ミューズリーバーの製造
レシピ
つなぎ混合物
脂肪:Centremelt ES -HC 110 P 04* 40%
ヨーグルトパウダー 4%
全脂乳ミルクパウダー 7%
スキムミルクパウダー 5%
糖 30%
デキストロース 14%
レシチン 0.4%
* Loders Croklaan BV製
コーティング
Fat Couva 500 HD495P04* 32%
全脂乳ミルクパウダー 10%
スキムミルクパウダー 10%
糖 48%
レシチン 0.4%
Cream Vanillin DU-00569 0.03%
* Loders Croklaan BV製
【0064】
ミューズリーバーの製造
つなぎ混合物の製造:
- 700グラム(35%)のミューズリーを細かい粒子に粉砕する。
- 200グラム(10%)のライスクリスプを加える。
- 1100グラム(55%)のつなぎ混合物と混ぜる。
【0065】
約20グラムのつなぎで28グラムのコーティングバーを製造し、次の投薬量を混合した。
【0066】
【表3】

【0067】
- 成形型で混合物をプレスする。
- 冷却キャビネットに成形型を入れ固形バーとする。
- 成形型から取り出す。
- バーを白色couva 500皮膜で覆う。
- 冷却キャビネットで冷却する。
【0068】
松葉抽出物の添加は製造過程に悪影響を及ぼさなかった。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】フェニレフリンにより引き起こされたラット大動脈の収縮の投与量依存性と、本発明の松葉抽出物によるこの作用の抑制を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
松葉からの抽出物として得ることができ、治療活性を有し、イソキュプレシン酸化合物類を0.01wt%未満の量で含み、さらに1種または複数の有機酸を含む組成物。
【請求項2】
イソキュプレシン酸化合物類を、0.005wt%未満、好ましくは0.003wt%未満の量で含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも2種の成分AおよびBを含み、Aが、100%メタノールを溶離液として用いるシリカカラムからの溶出によってAとBの混合物から得ることができる化合物であり、Bが、メタノール/水の混合物(5〜40体積%)を用いる同じシリカカラムから一連の溶出物として得ることができる化合物である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
化合物Aが、フィトステロール、ポリフェノール類、バイオフラボノイド類、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体からなる群から選択される請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
化合物Bが、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
フィトステロール、ポリフェノール類、バイオフラボノイド類、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体からなる群から選択される化合物Aと、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される化合物Bとを含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
Aが、組成物の重量に対して、5から60wt%、好ましくは10から50wt%、最も好ましくは15から40wt%の量で存在し、Bが、1から15wt%、好ましくは2から12wt%、最も好ましくは3から10wt%の量で存在する請求項3から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
シキミ酸を組成物の10重量%から50重量%の量で含む請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
キナ酸を組成物の5重量%から30重量%の量で含む請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を含む食料品、食物サプリメントまたは医薬組成物。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を含む乳製品。
【請求項12】
水含量が0.5から99.5wt%、好ましくは20から90wt%、最も好ましくは30から85wt%である請求項11記載の乳製品。
【請求項13】
水中油型(O/W)エマルジョン、2相連続性エマルジョン、または二重W/O/W型エマルジョンである請求項11または12に記載の乳製品。
【請求項14】
クリーム、ミルク、水連続性または2相連続性スプレッド、菓子類または甘いスプレッド、チョコレート、スナックバー、栄養バー、アイスクリーム、菓子用の充填物またはトッピング、パン用の充填物またはトッピング、ヨーグルト、飲むヨーグルト、カードチーズ、ミルクセーキ、スリミングドリンク、チーズまたはチーズスプレッドである請求項11に記載の乳製品。
【請求項15】
前記脂肪相が、5℃(=N5)で、10より大きい、好ましくは20より大きい固体脂肪含量(非安定化脂肪についてNMRにより測定した)を示し、及び、35℃(=N35)で、20未満、好ましくは10未満、最も好ましくは5未満の固体脂肪含量を示す、請求項11から14のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項16】
トランス脂肪酸を本質的に含まない請求項11から15のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項17】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を0.05wt%から10wt%含む請求項11から16のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項18】
前記組成物を含まない対応する製品に比べて、次の性質:改善された硬さ、改善されたテクスチャ、改善されたエアレーション、改善された展延性、改善された経口特性、改善された口あたり、改善された香り、より良好な色、改善された粘性、改善されたホイップ性、および改善された加工性の1つまたは複数を有する請求項11から17のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項19】
哺乳動物、特にヒトの血圧を下げるために使用される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物、請求項10に記載の食料品、食物サプリメントもしくは医薬組成物、または請求項11から17のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項20】
哺乳動物、特にヒトの血圧を下げる作用剤の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物、請求項10に記載の食料品、食物サプリメントもしくは医薬組成物、または請求項11から17のいずれか一項に記載の乳製品の使用。
【請求項21】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物、請求項10に記載の食料品、食物サプリメントもしくは医薬組成物、または請求項11から17のいずれか一項に記載の乳製品の有効量を哺乳動物に与えることを含む、哺乳動物、特にヒトの血圧を下げる方法。
【請求項22】
松葉から抽出物として得ることができ、治療活性を有し、イソキュプレシン酸化合物類を0.01wt%未満の量で含み、さらに1種または複数の有機酸を含む組成物である、1種または複数の有機化合物を含む前記組成物を食品に組み入れることを含む、硬さ、テクスチャ、エアレーション、展延性、経口特性、口あたり、香り、色、粘性、形状保持性、加工性、および健康に関連する性質から選択される1つまたは複数の食品の性質を改善する方法。
【請求項23】
硬さ、テクスチャ、エアレーション、展延性、経口特性、口あたり、香り、色、粘性、形状保持性、加工性、および健康に関連する性質から選択される1つまたは複数の食品の性質を改善するための松葉から抽出物として得ることができ、治療活性を有し、イソキュプレシン酸化合物類を0.01wt%未満の量で含み、さらに1種または複数の有機酸を含む材料である、1種または複数の有機化合物を含む前記材料の使用。
【請求項24】
a. 水、有機溶剤およびこれらの混合物から選択される溶剤により松葉を処理して、第1抽出物を生成させる工程と、
b. 前記第1抽出物からイソキュプレシン酸化合物類を、好ましくはイオン交換樹脂による処理によって除去する工程と、
c. 任意選択で、処理された抽出物を濾過し濃縮して、粉末または濃厚液として前記組成物を得る工程とを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項25】
工程(a)の前に、前記松葉が非極性溶剤により前処理される請求項24に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−509918(P2007−509918A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537426(P2006−537426)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004580
【国際公開番号】WO2005/044021
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(503352660)リピッド ニュートリション ベスローテン フェンノートシャップ (10)
【氏名又は名称原語表記】Lipid Nutrition B. V.
【住所又は居所原語表記】Hogeweg 1, NL−1521 AZ Wormerveer, Netherlands
【Fターム(参考)】