説明

松葉杖保護カバー

【課題】 本発明は、従来の松葉杖脇当部の保護カバーを改良し、簡易に製造できる、装着・脱着が容易な松葉杖脇当部の保護カバーを提供することにある。
【解決手段】 挿入弾性繊維糸を含む伸縮性丸編地片を円筒状に折返し、丸編地片の切断端縁側開口部側を縫合することにより、松葉杖の脇当保護カバーが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩行の補助に用いられる松葉杖の脇当部の保護カバーに係り、簡素な構造を持ち、装着・脱着容易な耐久性を持つ松葉杖の脇当部保護カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
歩行の補助に用いられる松葉杖は木製あるいはアルミ製で、通常その本体と一体になった脇当部はクッション材を詰込んだ布地、あるいはウレタン等の樹脂で形成されている。脇当部は人体の脇部で頻繁にこすられるため、劣化、汚れが生じやすいのでこの部位には保護カバーが用いられる。 従来の脇当部保護カバーは、布地を裁断して立体縫製し、開口部を紐で結ぶかあるいは面結合ファスナー等で密着して閉じることで固定させた。 製造が困難であり、高価となり、装着・脱着も困難であった。 そのため、従来の保護カバーはあまり普及していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来の問題点を改良するところに本発明が解決しようとする課題が存在する。すなわち本発明は、従来の松葉杖脇当部の保護カバーを改良し、簡易に製造できる、装着・脱着が容易な松葉杖脇当部の保護カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の如き課題を解消するために、挿入弾性繊維糸を含む伸縮性丸編地片を円筒状に折返し、丸編地片の切断端縁側開口部(7)側を縫合することにより、松葉杖の脇当保護カバーが得られる。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、布地を裁断し立体縫製して、紐あるいはファスナー等で密着・固定させるという従来の松葉杖脇当部の保護カバーと比べて、伸縮性のある円筒状の編物片一片のみを使用するので、製造が簡素になり、生産性が向上する。 保護カバーは二重の編地で構成されるので、柔軟で装着感にすぐれ、保護カバーの折返し側開口部(6)に縫製が無いため、縫製糸により開口端入口の伸長が妨げられないので装着・脱着が容易であり、折返し側開口部(6)のほつれがなく耐久性も増大し、取替え易く、洗濯に至便な耐久性のある松葉杖脇当部の保護カバーである。 更に、保護カバーを形成する編地片は弾性繊維糸の収縮作用により、安定した装着形状を保持する。
【発明を実施実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、伸縮性丸編地片の地組織には任意の編物用糸を用いることができるが、吸湿性そして肌触りを考慮すると、綿糸または綿を含む糸の使用が好適である。 耐久性を求めるならポリエステル繊維糸が使用されてもよい。 挿入する弾性繊維糸に関しては装着時の安定性から伸縮性の強い丸ゴムの使用が好適である。
【0007】
編成は伸縮性に富むリブ編が最適ではあるが、生産性を考慮するなら天竺編であっても良い。
【0008】
弾性繊維糸は流し挿入され、図1で示す丸編地の幅方向に伸縮性を有する伸縮性丸編地片(1)が編成される。 この伸縮性丸編地片(1)の中央、折線A−Aaの部分から、丸編地片上部(4)の外側に丸編地片下部(5)を、丸編地片上部切断端縁(2)の外周に丸編地片下部切断端縁(3)が重ね合わさるように、円筒状に折返される。 図2に示すように丸編地片上部(4a)は内側となり、丸編地片下部(5a)は外側に、折返し部開口部(6)と切断端縁側開口部(7)の2つの開口部を持つ二重の伸縮性丸編地片(1a)が形成される。 切断端縁側開口部(7)の丸編地片上部切断端縁(2)と丸編地片下部切断端縁(3)を重ね揃えて、松葉杖脇当部の上端に沿う形状で裁断・縫合することにより図3に示す折返し側開口部(6)及び縫合部(8)を有する形状の伸縮性丸編地片が得られる。
【0009】
二重に重ねて縫合することにより縫合部分が厚くなることを避けるために、内側に配置された丸編地片上部(4a)よりも外側に配置される丸編地片下部(5a)を長めになるように折返して、縫合部分をずらして縫合することもできる。
【0010】
次に、縫合編地片の縫合部分が内側に来るように裏返すことで、図4に示される折返し側開口部(6)及び内側に縫合部(8a)が配置された松葉杖の保護カバー(9)が得られる。 図5は本発明で得られた松葉杖カバー(9)を松葉杖(10)の脇当部に装着した態様を示す。
【実施例】
【0011】
フライス編機(下釜、上釜各216針)によって編成された綿30番手単糸2本引き揃え、70番手丸ゴムを1コースおきに流し挿入してリブ編にて編み、仕上り幅105ミリメートル、目付け71g/mの伸縮性丸編地片(1)を編成した(図1参照)。 この伸縮性丸編地片(1)を23センチに裁断し、折線A−Aaの部分から、丸編地片上部(3)の外側に編地下部(4)を、丸編地片上部切断端縁(2)の外周に丸編地片下部切断端縁(3)が重ね合わさるように円筒状に折返した。 オーバーロックミシンを使用し、切断端縁側の開口部の幅方向中心部を裁断の最深部(a)として内側に湾曲する形、松葉杖の脇当部に沿った形状に、丸編地片上部切断端縁(2)と丸編地片下部切断端縁(3)を重ね揃えて、切断端縁側開口部(7)側を裁断すると同時に縫製により結合した。 縫合した丸編地片の縫合部(8)を内側に裏返し、図4に示される折返し側開口部(6)及び内側に縫合部(8a)を有する松葉杖の保護カバー(9)を得た。 この松葉杖の保護カバー(9)を松葉杖(10)の脇当部に装着したところ、装着・脱着が容易で、使用時にズレが生じることも無く、好適な使用感のあるものであった。厚みのある編地なので装着感がよく、その開口部に縫製結合部がないので、糸のほつれが起こらず、耐久性についても申し分のない保護カバーであることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【00012】
【図1】 本発明の形成に用いられる伸縮性丸編地片を示す図である
【図2】 伸縮性丸編地片を円筒状に折返した後の編地片の構造を示す図である
【図3】 縫製後の伸縮性編地片を示す図である
【図4】 縫合部分を内側に向けて反転して裏返した態様を示す図である
【図5】 本発明松葉杖保護カバーを松葉杖の脇当部に装着した態様を示す図である
【符号の説明】
【0013】
1 伸縮性丸編地片
1a 伸縮性丸編地片
2 丸編地片上部切断端縁
3 丸編地片下部切断端縁
4 丸編地片上部
4a 丸編地片上部(内面)
5 丸編地片下部
5a 丸編地片下部(外面)
6 折返し開口部
7 切断端縁側開口部
8 縫合部
8a 縫合部
9 松葉杖保護カバー
10 松葉杖
a 裁断の最深部
A−Aa 折返し線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入弾性繊維糸を含む伸縮性丸編地片を円筒状に折返し、丸編地片の切断端縁(2)(3)側の開口部(7)を縫合してなる松葉杖保護カバー。
【請求項2】
伸縮性丸編地片が綿糸を含む編糸で編まれた請求項1の松葉杖保護カバー。
【請求項3】
伸縮性丸編地片がポリエステル糸を含む編地片である請求項1の松葉杖保護カバー。
【請求項4】
挿入弾性繊維糸が丸ゴムを使用した弾性繊維糸でなる請求項1の松葉杖保護カバー。
【請求項5】
伸縮性丸編地片がリブ編にて編まれた請求項1の松葉杖保護カバー。
【請求項6】
伸縮性丸編地片が天竺編にて編まれた請求項1の松葉杖保護カバー。
【請求項7】
縫合部(8)がオーバーロックミシンを用いて切断端縁(2)(3)側の裁断と開口部(7)の縫合が同時に行われた請求項1の松葉杖保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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