説明

板圧延機のレベリング設定方法

【課題】加熱後のスラブの表面温度を実測することなく、しかもスラブの最初のパスに適用できるキャンバの制御、低減に有効な板圧延機のレベリング設定方法を提供すること。
【解決手段】加熱後のスラブの長さとキャンバ量からスラブの長手方向曲率を求め、次いで予め定められたスラブの長手方向曲率とスラブの幅方向温度偏差の関係を用いて前記スラブの長手方向曲率から前記スラブの幅方向温度偏差を算出し、さらに予め定められたスラブの幅方向温度偏差と圧延機のレベリング量の関係を用いて前記スラブの幅方向温度偏差から圧延機のレベリング量を算出し、これをレベリング量の設定値とすることを特徴とする板圧延機のレベリング設定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼板などの板材を圧延する際の板圧延機のレベリング設定方法に関し、特に板圧延機による圧延後の板材のキャンバを制御、低減するために有効な板圧延機のレベリング設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板などの製造においてはスラブの加熱、粗圧延加工時には種々の原因によりその水平方向の曲がり、いわゆるキャンバが発生し、これが製品の歩留まり、品質を低下させるとともに圧延機や後続の付帯設備の損傷、破損にもつながるなどの悪影響を与えるため、このキャンバの発生を制御、低減することがこの分野における重要な技術課題の一つとなっている。
【0003】
従来よりこの課題を解決すべく各種の提案がなされており、その代表的な技術として、
(1)可逆式の圧延機の片方にキャンバ計を配置し、圧延後のスラブ曲率を求め、次パスの圧延機のロール開度差の調整を行う方法(特許文献1参照)、
(2)圧延開始前のスラブ端面の温度差を測定、この温度差より圧延機のレベリング設定を行う方法(特許文献2参照)、
などがある。
【0004】
しかし、(1)の方法は圧延機の最初のパスに適用できず、しかもスラブ幅方向の温度偏差が考慮されていないため、キャンバの制御、低減には不十分である問題があり、また(2)の方法は、スラブの表面温度の実測が必須となるが、加熱されたスラブの表面には炉内生成した厚い一次スケールが存在し、また高圧水によるデスケーリング後の復熱過程では温度が安定して測定できず、またその後も表面温度が高いため、スケールがすぐ浮いてくるので、実際にはこうしたスケールの影響により精度のよい温度測定値が得られず、この結果やはり、キャンバの制御、低減が不十分であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3584661号公報
【特許文献2】特公昭63-13763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の技術背景とその問題に鑑みてなされたものであって、加熱後のスラブの表面温度を実測することなく、しかもスラブの最初のパスに適用できるキャンバの制御、低減に有効な板圧延機のレベリング設定方法を提供することをその課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために完成された本発明は以下の通りである。
【0008】
すなわち、請求項1に係る本発明は、加熱炉で加熱後のスラブを圧延機で圧延する際の板圧延機のレベリング設定方法において、加熱後のスラブの長さとキャンバ量からスラブの長手方向曲率を求め、次いで予め定められたスラブの長手方向曲率とスラブの幅方向温度偏差の関係を用いて前記スラブの長手方向曲率から前記スラブの幅方向温度偏差を算出し、さらに予め定められたスラブの幅方向温度偏差と圧延機のレベリング量の関係を用いて前記スラブの幅方向温度偏差から圧延機のレベリング量を算出し、これをレベリング量の設定値とすることを特徴とする板圧延機のレベリング設定方法である。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、加熱炉で加熱後のスラブを圧延機で圧延する際の板圧延機のレベリング設定方法において、加熱前のスラブの長さとキャンバ量から加熱前のスラブの長手方向曲率を求め、また加熱後のスラブの長さとキャンバ量から加熱後のスラブの長手方向曲率を求め、次いで前記加熱前のスラブの長手方向曲率と前記加熱後のスラブの長手方向曲率との曲率差を算出し、次いで予め定められたスラブの長手方向曲率差とスラブの幅方向温度偏差の関係を用いて前記スラブの長手方向曲率差から前記スラブの幅方向温度偏差を算出し、さらに予め定められたスラブの幅方向温度偏差と圧延機のレベリング量の関係を用いて前記スラブの幅方向温度偏差から圧延機のレベリング量を算出し、これをレベリング量の設定値とすることを特徴とする板圧延機のレベリング設定方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加熱後のスラブの表面温度を実測することなく、しかもスラブの最初のパスに適用できるキャンバの制御、低減に有効な板圧延機のレベリング設定方法を提供することができるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】加熱炉から出たスラブのキャンバ量を説明するスラブの平面図である。
【図2】本発明の検証例における、加熱スラブの曲率から推定される各粗圧延(1パス目)後のスラブの曲率に相当するキャンバ量ωと、各粗圧延(1パス目)後のスラブのキャンバ量の実測値をωとの関係示したグラフである。
【図3】本発明の検証例における、実測のキャンバ量と本発明のレベリング設定実施によるキャンバ量のバラツキの関係を示したヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の内容について詳述する。
【0013】
先ず、本発明における板圧延機のレベリング設定方法の実施に当たって、必要となる関係式についてその導出過程を含めて説明する。
【0014】
スラブ加熱過程の塑性変形を無視すると、加熱前後のスラブ幅方向の温度分布により、長さ方向の伸び率に幅方向の差が生じ、スラブ平面形状の曲がりを発生させる。
【0015】
スラブ厚み方向の温度分布を無視し、幅方向の温度分布を直線と仮定すると、スラブ幅w,幅方向位置x(x=±w/2:スラブ幅端部 x=0:スラブ幅中央 軸の方向は例えば連続加熱炉の抽出方向を正にとる)、スラブ幅方向左右端の温度差ΔT,スラブ幅方向中央温度Tとしたときに、スラブ温度の幅方向分布T(x)は、式(1)で表せる。

【0016】
ここで、Tは、たとえば加熱炉温と在炉時間から、1次元の伝熱計算で求める。
【0017】
スラブ幅中央を基準としたスラブ長さ方向の熱歪による伸び率差ε(x)は、線膨張係数αとして、

と表せる。このときのスラブ幅中央軸線の曲率ρは、ΔT≧0のとき、式(3)のようになる。

【0018】
逆方向の曲率を負で表わすことにすると、ΔT<0の場合でも式(3)で表せる。
【0019】
従って、加熱前後のスラブの曲率変化がわかれば、スラブの幅方向温度不均一の程度が推定できることになる。

【0020】
さて、圧延材の変形抵抗kは、志田の研究によれば、εを歪、ドット付εを歪速度として下記の如く定式化されている。

【0021】
ここで、
n=0.41-0.07C
C:炭素量(質量%)

t:実験温度〔K〕/1000
である。
【0022】
スラブを幅方向の温度の不均一分布は変形抵抗の不均一分布の原因となる。スラブを幅方向中心温度T〔K〕で加熱した時、左右の変形抵抗の比βは、歪・歪速度の影響項を無視すると、温度差ΔTを用いて、

【0023】
たとえば1200℃加熱で左右50℃の温度差がある場合で、圧延時に約11%の左右変形抵抗差が生ずることになる。
【0024】
ここで、スラブ圧延時の変形抵抗の幅方向分布を直線近似する。幅方向の変形抵抗分布K(x)は、スラブ幅方向中央位置の変形抵抗をk0としたとき、

と表せる。ここでγは定数である。このとき、βはγと板幅wを用いて、式(9)のように表せる。

よって、

したがって、変形抵抗の幅方向分布は式(11)で表せる。

以上の様な温度分布および変形抵抗分布を有するスラブを、以下の条件で圧延する場合を考える。
【0025】
ミル縦剛性係数Mの圧延機(左右均等な圧延機なので、左右ハウジングが独立M/2の縦剛性係数とする)の圧延機で、圧延する場合を考える。簡単のため、圧延ロールを半径Rの剛体ロールと考える。
【0026】
圧延開始前のロールギャップ左右開度差(レベリング量)は0とする。
【0027】
スラブ幅方向中央の圧延機入側スラブ厚:H,出側板厚:hで、入側スラブに幅方向板厚分布はないものとし、出側板厚の幅方向分布をh(x)とする。
【0028】
剛体ロールの場合、出側板厚分布は直線分布となって、ψを定数として、式(12)で表せる。

【0029】
xが正方向に設置されたハウジング1に負荷される荷重をP1,負方向に設置されたハウジング2に負荷される荷重をP2とすると、ハウジング1の伸びΔS1,ハウジング2の伸びΔS2は、

となる。
【0030】


となる。
【0031】
単位幅当たりの圧延荷重分布p(x)は、圧下力関数をQ(x)とすると、

【0032】
接触弧長の幅方向分布は、

【0033】
圧下力関数は、志田の研究によると、

【0034】
rは圧下率で、

接触弧長および圧下力関数のスラブ幅方向分布を無視すると、単位幅あたり荷重の幅方向分布は、


とすれば、

【0035】
ここで、荷重とモーメントのつりあいから、

【0036】
(21)(22)から、

【0037】
(14)(23)から、

【0038】
幅方向の板厚勾配の変化ψが発生することで、圧延による長さ方向の伸び率に幅方向の分布が生じ、板の曲がりが発生する。圧延前後のスラブ曲率変化量Δρ、調整係数をξとすると、

【0039】
実機によるξと圧下率rの関係は、例えば実験的に以下のように定式化される。

【0040】
よって、

【0041】
板の曲がりを修正するためには、傾きψを打ち消すだけのロールギャップのレベリング量δを与えてやればよく、

となって、加熱後、圧延前のスラブ曲率を測定することからスラブの偏熱量を計算し(式(4))、これを元にレベリング設定量を決める(式(27))ことができる。
【0042】
そして、実機に対しては、上式にスラブ加熱途中の熱歪・幅方向温度分布・変形抵抗の歪/歪速度依存性・ロールの弾性変形等を補正する係数λを導入した以下の式などを適用することになる。

【0043】
そこで、本発明における板圧延機のレベリング設定方法の実施形態1(請求項1記載のもの)について、これを実施する際の手順とその内容を、厚鋼板用のスラブを第一粗圧延機により粗圧延する場合を例にとり具体的に説明する。
【0044】
1)-1 加熱後のスラブの長手方向曲率の決定
先ず、加熱炉と第一粗圧延機の間に、幅計やキャンバ計などの平面形状測定器を設置しておき、この平面形状測定器によって加熱炉から出たスラブの水平方向曲がり量(キャンバ量)すなわちスラブの平面図を示す図1のωを測定する。このキャンバ量ωと指令情報から得られるスラブの長さLから幾何学的関係を利用して下式によりスラブの長手方向曲率ρを求めてこれを決定する。なお、スラブの長さLは加熱前の長さを用いても良いし、熱膨張代を計算で考慮した加熱後の長さを用いても良い。

【0045】
1)-2 スラブの幅方向温度偏差の決定
次に、スラブ長手方向曲率ρとスラブの幅方向温度偏差ΔT(スラブ幅方向左右端の温度差)の関係を示した下式(前記(4式)に相当)を用いて、上記1)で決定された長手方向曲率の値からスラブの幅方向温度偏差ΔTの値を算出、決定する。スラブ幅wは鋳造幅から計算で求める。

【0046】
ここで、スラブ線膨脹係数αはスラブの鋼種毎に求めておく。
【0047】
また、スラブは加熱過程で塑性歪を受ける場合があり、内在する温度差が全て熱歪として観察されないため、上記(B)式の修正が必要な場合想定される。このような場合には、予め定められたスラブのサイズと加熱温度毎に熱歪と塑性歪を、例えば数値計算により計算しておき、長手方向曲率差とスラブの幅方向温度偏差の関係を用いて(B)式を下式などのように修正して用いることで、温度差の推定精度を高めることができる。

【0048】
1)-3 第一粗圧延機のレベリング量の決定
そして、スラブの幅方向温度偏差と圧延機のレベリング量の関係を示した下式(C)(前記(28)式に相当)を用いて、上記2)で決定されたスラブの幅方向温度偏差ΔTの値から最終的に第一粗圧延機のロールギャップのレベリング量δを決定する。
【0049】
なお、式中のT(スラブ幅方向中央温度)は実測困難であるため、本発明では、加熱炉の炉温(加熱温度)とスラブの在炉時間から1次元の伝熱計算(例えば、日本鉄鋼協会 昭和59年9月1日発行 板圧延の理論と実際 142〜145頁 など参照)で求める。
【0050】
また、下式における補正係数λは前述のように、スラブ加熱途中の熱歪・幅方向温度分布・変形抵抗の歪/歪速度依存性・ロールの弾性変形等を考慮して設定されるが、厚鋼板用のスラブを通常の条件で加熱する場合、このλの値は0.5〜2.0であり、この範囲から対象となるスラブの鋼種や加熱条件などを加味して適宜選択すれば良い。

【0051】
w:スラブ幅 M:ミル縦剛性係数 L:ハウジングポスト間距離
:スラブ幅方向中央温度 k:スラブ幅方向中央変形抵抗
R:圧延機ロール半径 H:スラブ幅方向中央の圧延機入側スラブ厚
なお、上記kは前述の(5)式でスラブ幅方向中央の圧延条件を用いて計算により求める。h:板幅方向中央の圧延機出側板厚 λ:補正係数
次に、本発明における板圧延機のレベリング設定方法の実施形態2(請求項2記載のもの)について同様に説明する。前記実施形態1では、加熱炉から抽出された加熱後のスラブ長手方向曲率ρからスラブの幅方向温度偏差ΔTを求めてレベリング量を設定するもので、加熱炉に装入される前の、すなわち加熱前のスラブ長手方向曲率が0と仮定したものである。しかし、実際には加熱前のスラブにおいても多少ながら長手方向曲率をもっているものがあるので、本実施形態においてはかかる加熱前のスラブ長手方向曲率を加味して、これをキャンセルした上でレベリング量を設定し、さらにその設定精度を向上させようとするものである。
【0052】
2)-1 加熱前のスラブの長手方向曲率の決定
加熱炉の前の搬送経路にやはり幅計などの平面形状測定器を設置して、これによりスラブのキャンバ量ωを測定し、このキャンバ量ωと指令情報から得られるスラブの長さLから前記(A)式によりスラブの長手方向曲率ρを求めてこれを決定する。
【0053】
2)-2 加熱後のスラブの長手方向曲率の決定
また、前記1)-1と同様にして加熱後のキャンバ量ωとスラブの長さLから同(A)式によりスラブの長手方向曲率ρを求めてこれを決定する。
【0054】
2)-3 加熱前後のスラブの長手方向曲率差の決定
次に、上記2)-1及び2)-2で求められた加熱前のスラブの長手方向曲率ρと加熱後のスラブの長手方向曲率ρとからその曲率差(Δρ)を下式によって算出、決定する。
【0055】
Δρ=ρ − ρ・・・・・・(D)
2)-4 スラブの幅方向温度偏差の決定
次いで、1)-2で述べたと同様にして、スラブ長手方向曲率ρとスラブの幅方向温度偏差ΔT(スラブ幅方向左右端の温度差)の関係を示した前記(B)式を用い、すなわち上記2)-3で決定された加熱前後のスラブの長手方向曲率差(Δρ)を(B)式のスラブ長手方向曲率ρところに代入して、この曲率差に基づくスラブの幅方向温度偏差ΔTの値を算出、決定する。
【0056】
2)-5 第一粗圧延機のレベリング量の決定
そして、1)-3に述べたと同様にして、スラブの幅方向温度偏差と圧延機のレベリング量の関係を示した前記(C)式を用いて、上記2)-4で決定されたスラブの幅方向温度偏差ΔTの値から最終的に第一粗圧延機のロールギャップのレベリング量δを決定する。
【0057】
(検証例)
以下に、本発明の効果について、薄鋼板の熱間圧延における第一粗圧延機に前記実施形態1を適用した場合を想定した検証例を挙げて説明する。
【0058】
長さ:4790〜11126mm、厚:235mm、幅:838〜1463mmの鋼スラブを対象とし、これらを加熱炉で1150〜1200℃に加熱後抽出し、デスケーリングした後に、第一水平粗圧延機に供給して粗圧延(1パス目)を27回行なった。圧延後のスラブは長さ:5138〜12000mm、厚:217〜226mm、幅850〜1470mmであった。このとき第一水平粗圧延機の前後に配設された幅計により、各粗圧延前後のスラブのキャンバ量を実測した。なお、キャンバ量は図1の如く、幅計のオフセンタ量の軌跡に基づいて求めた。
【0059】
そして、上記各粗圧延(1パス目)前の加熱スラブの曲率から前記式(26)によって推定される各粗圧延(1パス目)後のスラブの曲率に相当するキャンバ量をω、各粗圧延(1パス目)後のスラブのキャンバ量の実測値をωとして、両者の関係をプロットしたグラフを図2に示す。
【0060】
図2より、ωとωには強い正の相関(相関係数R=0.80)が認められ、従って、前式(C)により決定されるレベリング量に基づいて圧延機のレベリング設定を行なって、粗圧延を実施すれば、キャンバ量は以下のように低減できる。
【0061】
すなわち、これらの実機による圧延例から、実測のωの標準偏差は2.1mm、本発明のレベリング設定実施によるωの標準偏差は1.3mmと計算され、本発明によってキャンバ量のバラツキを38%低減できることになる。この結果を、図3のヒストグラムで示した。同図に示される実測のキャンバ量のバラツキ(実線)と本発明によるキャンバ抑制後のバラツキ(点線)の比較から、本発明によるキャンバ低減の効果が優れていることが容易に知れる。なお、前式(C)における補正係数λの値は1.55とした。
【0062】
なお、以上の説明においては、簡易な圧延モデルをもとに最終的に(C)式により、板圧延機のレベリング量を決定することについて述べたが、本発明はこうした簡易な圧延モデルに基づいて導出された関係式を用いる方法に特に限定されるものではなく、例えば、
(1)スラブ加熱途中の熱歪による塑性変形を考慮したモデル、
(2)幅方向温度分布として、2次元あるいは3次元伝熱計算結果の布形状を考慮したモデル、
(3)変形抵抗の歪/歪速度依存性を考慮したモデル、
(4)圧延ロールを剛体ロールとせず、ロールの弾性変形を考慮したモデル、
(5)前の圧延材との圧延条件の変化から逐次修正を行うモデル、
(6)スラブ形状測定で推定した温度差をもとに、粗1パス開始時までの伝熱計算を行うモデル、
等各種のモデルを用いて導出された関係式によりレベリング量を決定することができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉で加熱後のスラブを圧延機で圧延する際の板圧延機のレベリング設定方法において、加熱後のスラブの長さとキャンバ量からスラブの長手方向曲率を求め、次いで予め定められたスラブの長手方向曲率とスラブの幅方向温度偏差の関係を用いて前記スラブの長手方向曲率から前記スラブの幅方向温度偏差を算出し、さらに予め定められたスラブの幅方向温度偏差と圧延機のレベリング量の関係を用いて前記スラブの幅方向温度偏差から圧延機のレベリング量を算出し、これをレベリング量の設定値とすることを特徴とする板圧延機のレベリング設定方法。
【請求項2】
加熱炉で加熱後のスラブを圧延機で圧延する際の板圧延機のレベリング設定方法において、加熱前のスラブの長さとキャンバ量から加熱前のスラブの長手方向曲率を求め、また加熱後のスラブの長さとキャンバ量から加熱後のスラブの長手方向曲率を求め、次いで前記加熱前のスラブの長手方向曲率と前記加熱後のスラブの長手方向曲率との曲率差を算出し、次いで予め定められたスラブの長手方向曲率差とスラブの幅方向温度偏差の関係を用いて前記スラブの長手方向曲率差から前記スラブの幅方向温度偏差を算出し、さらに予め定められたスラブの幅方向温度偏差と圧延機のレベリング量の関係を用いて前記スラブの幅方向温度偏差から圧延機のレベリング量を算出し、これをレベリング量の設定値とすることを特徴とする板圧延機のレベリング設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−221230(P2010−221230A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68573(P2009−68573)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】