説明

板状モジュールの固定構造

【課題】太陽電池モジュール等の板状モジュールの施工性を高めることが可能な板状モジュールの固定構造を提供する。
【解決手段】スライド支持部材20の摺動溝21に挿入された雌ねじ部材30の雌ねじ部に、スライド支持部材20の載置部23と当接した固定部材40の当接片41の貫通孔41a及びスライド支持部材20のスリット22を通して、雄ねじ部材50の雄ねじ部51を螺合させると共に、雄ねじ部材50の頭部52が固定部材40における当接片41の凹部41bへ収容されるように雄ねじ部材50によってスライド支持部材20に固定部材40を締結固定し、固定部材40の当接片41と支持片43との間に板状モジュール2の側面を挿入させた板状モジュール2の固定構造1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上等に設置される太陽熱温水器や太陽電池モジュール等の板状モジュールを屋根上等に固定するための板状モジュールの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば板状モジュールとしての太陽電池モジュールを、屋根上に設置するための固定構造としては、レール溝を備え屋根材上に取付けられる基台と、基台のレール溝内に頭部が挿入され雄ねじ部が基台から上方へ突出したボルトと、ボルトが通過可能な孔を有し太陽電池モジュールのフランジ部と係止可能な固定部材(押圧部材)と、固定部材の上側からボルトの雄ねじ部に螺合されるナットとを備え、ボルトにナットを締結することで、固定部材によってフランジ部を基台へ押圧して太陽電池モジュールを固定するものが提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1のものでは、固定部材の両側で夫々太陽電池モジュールを同時に押圧して固定することができるようになっている。
【0003】
また、屋根材上に固定するための固定孔を有した板状の固定部と、固定部の一端側に形成された所定高さの台座部と、台座部の略中央から上方へ立上る立上り部と、立上り部の上端から台座部と略平行に延びる板状の被接合部とを備えた固定部材の被接合部と台座部との間に太陽電池モジュールの側面を挿入することで太陽電池モジュールを固定するものも提案されている(例えば、特許文献2)。この特許文献2のものでは、立上り部の両側に夫々太陽電池モジュールを挿入固定することができると共に、複数の太陽電池モジュールを、一方側(軒側)から他方側(棟側)へ向かって順次固定することができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の太陽電池モジュールを屋根材上に固定する際に、屋根材の状態によっては、太陽電池モジュールの上面が一様な面とならず、見栄えが悪くなることがあった。そのため、従来では、固定部材の下側にスペーサを挿入して太陽電池モジュールの固定高さを調整するようにしていた。しかしながら、特許文献1のような固定構造では、固定部材を基台から突出したボルトによって固定するようにしているので、スペーサの高さによってはボルトにナットを螺合させることができなくなる場合がある。そのため、基台のレール溝に挿入されたボルトを、長いボルトと交換しなければならず、手間がかかる問題があった。
【0005】
また、特許文献1の固定構造では、両側の太陽電池モジュールを同時に押圧固定しているので、複数の太陽電池モジュールを固定する前に、予め各太陽電池モジュールを位置決めする必要があり、設置に手間がかかる問題がある。これに対して、特許文献1の固定構造に対して、特許文献2の固定部材を用いることが考えられる。しかしながら、この場合、固定部材の固定部における固定孔に、基台から突出したボルトを挿通させてナットにより固定することとなるので、ボルトの先端が固定部から太陽電池モジュール側へ突出した状態となり、ボルトの長さによっては、ボルトが太陽電池モジュールに当ってしまい太陽電池モジュールを固定することができなくなる虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、太陽電池モジュール等の板状モジュールの施工性を高めることが可能な板状モジュールの固定構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る板状モジュールの固定構造は、「所定長さの雄ねじ部、及び該雄ねじ部の一端側に形成された頭部を有する雄ねじ部材と、該雄ねじ部材の前記雄ねじ部と螺合可能な雌ねじ部を備えた本体、及び該本体の一端側から前記雌ねじ部の軸方向に対して直角方向へ延出したフランジ状の鍔部を有し、該鍔部及び前記本体の少なくとも一方の外形が非円形状とされた雌ねじ部材と、該雌ねじ部材を前記雌ねじ部の軸周りに対して回転不能且つ軸方向へ移動不能に支持すると共に該ねじ部の軸方向に対して直角方向へ摺動可能に支持する摺動溝、該摺動溝における前記雌ねじ部の軸方向両側に夫々形成され前記雄ねじ部材の前記雄ねじ部が通過可能なスリット、一方の該スリットを挟んで前記摺動溝と反対側に形成された略平坦な載置部、及び所定の構造物に取付けるための取付部を有し、略一定断面で長尺状のスライド支持部材と、該スライド支持部材の前記載置部と当接し前記雄ねじ部材の前記雄ねじ部が通過可能な貫通孔と該貫通孔における前記載置部と当接する側とは反対側に形成され前記雄ねじ部材の前記頭部を収容可能な凹部を有した板状の当接片、該当接片における前記凹部を有した側の所定位置から前記当接片に対して直角方向へ延びる軸部、及び該軸部の先端から前記当接片と略平行に延び該当接片との間に太陽電池モジュールを含む板状モジュールの側面を挿入可能とされた板状の支持片を備えた固定部材とを具備し、前記スライド支持部材の前記摺動溝に挿入された前記雌ねじ部材の前記雌ねじ部に、前記載置部と当接した前記固定部材における前記当接片の前記貫通孔及び前記スライド支持部材の前記スリットを通して、前記雄ねじ部材の前記雄ねじ部を螺合させると共に、前記雄ねじ部材の前記頭部が前記凹部へ収容されるように前記雄ねじ部材によって前記スライド支持部材に前記固定部材を締結固定し、該固定部材の前記当接片と前記支持片との間に前記板状モジュールの側面を挿入させた」ことを特徴とする。
【0008】
ここで、「板状モジュール」としては、「板状の太陽電池パネルの外周を枠体で囲った太陽電池モジュール」、「太陽熱温水器パネル」、「太陽熱集熱パネル」、「防音パネル」、「遮光パネル」、等を例示することができる。
【0009】
また、「雄ねじ部材」としては、「六角ボルト」、「六角穴付ボルト」、「ナベ頭ボルト」、「皿ボルト」、等を例示することができる。また、「雌ねじ部材」としては、「鍔付ナット(フランジナット)」、「円筒状の一端側をバーリング加工又はプレス加工により拡径して鍔部を形成すると共に、筒内に雌ねじ部を形成したもの」、「外形が多角形状の板材に雌ねじ部を形成したもの」、等を例示することができる。
【0010】
更に、「スライド支持部材」としては、「板状モジュールよりも長尺状のもの(桟状のもの)」、「板状モジュールよりも短いもの」、等を例示することができ、長手方向から見た全体の形状が、箱枠状、或いは、ハット状、とすることが望ましい。また、「スリット」としては、「スライド支持部材の全長に亘って延びたもの」、「スライド支持部材の全長よりも短く延びたもの」、等を例示することができる。なお、スリットをスライド支持部材の全長に亘って延びるようにした場合は、スライド支持部材の一部がスリットを境に分かれた状態となるので、スライド支持部材の所定位置にスリットによって分かれた両側を繋ぐ補強部を備えることが望ましい。
【0011】
また、「所定の構造物」としては、「屋根の表面を形成する屋根材」、「屋根材が取付けられる屋地板」、「屋根を形成するための垂木等の屋根構造部材」、「板状モジュールを設置する対象物に取付けられた長尺状の桟部材」、「板状モジュールを設置する対象物に取付けられた架台」、「板状モジュールを設置する対象物との間に介装された取付金具」、「壁面」、「壁面を構成するための胴縁」、等を例示することができる。
【0012】
また、「固定部材」としては、「軸部の両側で板状モジュールを挿入することができるもの(例えば、断面形状がエ字状のもの)」、「軸部の一方側のみで板状モジュールを挿入することができるもの(例えば、断面形状がコ字状のもの)」、「スライド支持部材へ締結固定することで、当接片と支持片とで板状モジュールを挟持することができるもの」、等を例示することができる。
【0013】
これにより、スライド支持部材の摺動溝に雌ねじ部材を挿入させた上で、雌ねじ部材の雌ねじ部に固定部材の貫通孔及びスライド支持部材のスリットを通して雄ねじ部材の雄ねじ部を螺合させて、スライド支持部材の載置部に固定部材を締結固定するようにしているので、板状モジュールの高さ等を調整するためにスライド支持部材と固定部材との間にスペーサを挿入した時に、雄ねじ部材の雄ねじ部が短かった場合でも、摺動溝から雌ねじ部材を取外す必要がなく最適な長さの雄ねじ部材に簡単に交換することができ、板状モジュールの設置にかかる手間を簡略化することができる。
【0014】
また、上述したように、スライド支持部材の摺動溝に雌ねじ部材を挿入するようにした上で、雌ねじ部材の雌ねじ部に螺合される雄ねじ部材の頭部を収容する凹部を、固定部材の当接片に備えているので、当接片の表面から雄ねじ部材が突出するのを防止することができ、固定部材における当接片と支持片との間に確実に板状モジュールの側面を挿入して固定することができると共に、スライド支持部材から板状モジュールの上面までの高さを可及的に低くすることができる。また、固定部材は、当接片と支持片との間に板状モジュールの側面を挿入することで、板状モジュールをスライド支持部材(所定の構造物)に固定するようにしているので、板状モジュールを一つずつ固定することができる。従って、板状モジュールを比較的簡単に設置することができ、施工性を高めてコストを抑制することができると共に、設置に係る工期を短縮することができる。
【0015】
更に、スライド支持部材の摺動溝内を雌ねじ部材がスライドできるようにしており、スライド支持部材に対して任意の位置に固定部材を締結固定することができるので、所定の構造物に対して、従来では固定部材を直接固定することができなかったような位置でも、スライド支持部材を介して固定部材を固定することができ、設置の自由度を高めて板状モジュールを設置できる対象範囲を広くすることができる。
【0016】
また、本発明に係る板状モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記スライド支持部材は、前記摺動溝を、前記雌ねじ部材の前記鍔部が前記載置部側を向く形状とした」ことを特徴としても良い。
【0017】
これにより、スライド支持部材の摺動溝に挿入された雌ねじ部材の雌ねじ部に、雄ねじ部材の雄ねじ部を螺合して、スライド支持部材に固定部材を締結固定すると、雌ねじ部材における接触面積の大きい鍔部側が、摺動溝内におけるスリットを挟んで載置部とは反対側の面と当接することとなるので、雌ねじ部材と雄ねじ部材との締結を緩み難くすることができると共に、雌ねじ部材に対する耐荷重性能を高くすることができ、スライド支持部材(所定の構造物)に対して板状モジュールを確実に固定することができる。
【0018】
更に、本発明に係る板状モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記スライド支持部材は、前記スリットの所定位置に、前記雌ねじ部材が通過可能な通過孔を有している」ことを特徴としても良い。
【0019】
ところで、スライド支持部材の摺動溝に対しては、その長手方向の両端の何れかから雌ねじ部材を挿入することとなるが、スライド支持部材が長尺状(桟状)の場合では、端部から摺動溝に挿入した雌ねじ部材を所望の位置までスライドさせなければならず、手間がかかる問題が発生する。これに対して、本発明では、スリットの所定位置に雌ねじ部材が通過可能な通過孔を備えているので、通過孔から雌ねじ部材を摺動溝へ挿入することができ、雌ねじ部材の挿入にかかる手間を簡略化して施工性を向上させることができる。
【0020】
また、上述したように、スリットつまり摺動溝の途中からでも通過孔を通して雌ねじ部材を摺動溝に挿入することができるので、長手方向の端部まで延びたスリットとする必要がなく、長手方向においてスリットを部分的に形成したものとすることができる。したがって、スリットが形成されていない部位では、摺動溝の外周全体が連続した状態とすることができるので、スライド支持部材の一部がスリットを境に分かれて全体の強度・剛性が低下してしまうの回避させることができ、スライド支持部材の強度・剛性を高めて、板状モジュールの固定強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によると、太陽電池モジュール等の板状モジュールの施工性を高めることが可能な板状モジュールの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態である板状モジュールの固定構造を部分的に断面で示す側面図である。
【図2】図1における板状モジュールを省略した状態で示すA−A断面図である。
【図3】図1における先端側の固定部材による固定構造を分解して示す斜視図である。
【図4】図1における中間側及び後端側の固定部材による固定構造の固定手順を示す説明図である。
【図5】図1のスライド支持部材とは異なる形態のスライド支持部材の例を示す斜視図である。
【図6】更に異なる形態のスライド支持部材の例を示す断面図である。
【図7】更に異なる形態のスライド支持部材の例を示す斜視図である。
【図8】図1のスライド支持部材の摺動溝にボルトの頭部を挿入した状態で示す断面図である。
【図9】図7のスライド支持部材の摺動溝にボルトの頭部を挿入した状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態である板状モジュールの固定構造について、図1乃至図4に基いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である板状モジュールの固定構造を部分的に断面で示す側面図である。図2は、図1における板状モジュールを省略した状態で示すA−A断面図である。また、図3は、図1における先端側の固定部材による固定構造を分解して示す斜視図である。更に、図4は、図1における中間側及び後端側の固定部材による固定構造の固定手順を示す説明図である。
【0024】
本実施形態の板状モジュールの固定構造1(以下単に、固定構造1とも称す)は、板状モジュール2として、薄板状の太陽電池パネルの外周を枠体で囲った太陽電池モジュール2aを屋根上に設置するための構造であり、瓦やスレート等の屋根材(図示は省略)上に所定間隔で取付けられる取付部材10と、複数の取付部材10に跨って取付けられる長尺状のスライド支持部材20と、スライド支持部材20にスライド可能に支持される雌ねじ部材30と、スライド支持部材20上に載置され板状モジュール2の側面を挿入可能なコ字状又はエ字状の固定部材40と、固定部材40をスライド支持部材20に支持された雌ねじ部材30と協働して締結固定する雄ねじ部材50と、固定部材40を挟んで両側に挿入支持された板状モジュール2同士を電気的に接続するアース金具60とを備えている。
【0025】
この固定構造1は、詳細な図示は省略するが、複数の取付部材10によって一つのスライド支持部材20を屋根材上に取付支持すると共に、少なくとも二つのスライド支持部材20上に一つの板状モジュール2が載置され、板状モジュール2の対向する二辺が固定部材40によってスライド支持部材20上に固定されるようになっている。
【0026】
本例の固定構造1における取付部材10は、図1及び図3に示すように、板状で略矩形状の底部11と、底部11の対向する二辺から上方へ延出する板状の一対の載置片12と、載置片12が延出する底部11の二辺に対して略直交する二辺から載置片12と側面が繋がった状態で上方へ延出すると共に載置片12よりも高く上方へ突出する板状の一対の取付片13と、一対の取付片13における載置片12よりも高い位置に形成され上下方向へ延びるた長孔状の取付孔14とを備えている。この取付部材10における一対の取付片13の間隔は、その間にスライド支持部材20を挿入可能な間隔とされている。
【0027】
また、取付部材10は、載置片12と取付片13とが互いの側面同士で繋がった部位(四隅)に載置片12よりも低く切欠かれた切欠き部15と、直交する二つの載置片12及び取付片13と底部11との境に、載置片12及び取付片13を夫々貫通する開口部16と、取付片13の所定位置に貫通する係止孔17と、を備えている。取付部材10の切欠き部15は、図示は省略するが、一対の取付片13の間にスライド支持部材20を挿入した時に、スライド支持部材20の下面との間に、板状モジュール2の配線ケーブルを挿通可能な隙間を形成することができるものである。また、取付部材10の開口部16は、取付部材10内に進入した雨水等を外部へ排水するためのものである。更に、取付部材10の係止孔17は、係止孔17を通してスライド支持部材20へ係止ビスをねじ込むことで、スライド支持部材20が取付部材10に対して長手方向へ相対移動するのを阻止することができるようになっている。なお、本例の取付部材10は、高耐食メッキ鋼板やステンレス板等の所定厚の板金を、プレス加工により塑性変形させることで成形されている。
【0028】
この取付部材10は、図示は省略するが、屋根材に対して直接、又は、所定の支持金具を介して取付けられるようになっている。また、取付部材10は、一対の取付片13の間にスライド支持部材20を挿入した上で、取付片13の取付孔14を通して外側から取付ボルト3を、スライド支持部材20の後述する溝状の取付部24内に挿入された六角形の取付ナット4に螺合させて締付けることで、スライド支持部材20を取付固定することができるようになっている(図3を参照)。
【0029】
スライド支持部材20は、図2及び図3に示すように、雌ねじ部材30を回転不能且つ雌ねじ部の軸方向へ移動不能に支持すると共にスライド支持部材20の長手方向(雌ねじ部の軸方向に対して直角方向)へ摺動可能に支持する摺動溝21と、摺動溝21における雌ねじ部の軸方向両側に夫々形成され雄ねじ部材50が通過可能なスリット22と、外側のスリット22を挟んで摺動溝21と反対側の上面を形成する略平坦な載置部23と、両側面に形成され取付部材10へ取付けるための取付部24と、取付部24よりも上側で両側面同士を連結する板状の補強部25と、を有しており、断面の外形が略矩形状で箱枠状に形成されると共に同一断面形状で長尺状に形成されている。
【0030】
このスライド支持部材20の摺動溝21は、載置部23の中央下側に配置されており、雌ねじ部材30の鍔部32が載置部23側を向くように形成されている。また、スライド支持部材20の取付部24は、両側面の上下方向中央の下端付近に配置され夫々側面に開口した略十字状の溝とされており、取付部材10へ取付けるため六角形の取付ナット4を回転不能且つスライド支持部材20の長手方向へスライド可能に保持することができるようになっている。
【0031】
また、スライド支持部材20は、下面の両端近傍で逆V状に下面から上方へ窪む二つの案内溝26と、内側の上部隅部に形成され略C字形状のビス止部27と、を備えている。スライド支持部材20の案内溝26は、板状モジュール2の配線ケーブルを沿わせた状態で、スライド支持部材20ごと所定の結束バンドで締付けることで、配線ケーブルをスライド支持部材20に沿って案内するためのものである。なお、本例では、スライド支持部材20が、アルミ合金等の押出型材とされている。
【0032】
雌ねじ部材30は、外形が六角形状で貫通した雌ねじ部を備えた本体31と、本体31の一端側から雌ねじ部の軸方向に対して直角方向へ延出したフランジ状の鍔部32と、を有しており、所謂、市販の鍔付ナット(フランジ付ナット)とされている。この雌ねじ部材30は、鍔部32を上側へ向けた上でスライド支持部材20の摺動溝21内を、その長手方向へ回転不能な状態でスライドすることができるようになっている。なお、本例の雌ねじ部材30は、鍔部32が湾曲したナベ皿状に形成されている。
【0033】
固定部材40は、図示するように、先端側(屋根の軒側)に用いる断面コ字状の固定部材40Aと、中間側及び後端側(屋根の棟側)に用いる断面エ字状の固定部材40Bと、を有しており、何れの固定部材40A,40Bも基本的な構成は略同じ構成となっている。この固定部材40は、スライド支持部材20の載置部23と当接する板状の当接片41と、当接片41から直角方向上方へ延びる軸部42と、軸部42の先端から当接片41と略平行に延びると共に当接片41よりも短く延びた板状の支持片43と、を備えている。この固定部材40は、当接片41と支持片43との間に板状モジュール2の側面を挿入することで、板状モジュール2を支持することができるようになっている。
【0034】
また、固定部材40の当接片41は、図示するように、軸部42側から先端側へ向かうに従って上下方向の厚さが厚くなるように形成されている。また、当接片41には、雄ねじ部材50の雄ねじ部51が通過可能とされた上下方向へ貫通する貫通孔41aと、貫通孔41aと同軸上でスライド支持部材20の載置部23と当接する側とは反対側に形成され雄ねじ部材50の頭部52を収容可能な凹部51bと、を備えている。
【0035】
先端側に用いる固定部材40Aは、図示するように、断面が略コ字状に形成されており、上下方向へ延びた軸部42の上下両端から当接片41と支持片43が同じ方向へ延びた形態となっている。一方、中間側及び後端側に用いる固定部材40Bは、断面が略エ字状に形成されており、上下方向へ延びた軸部42の上下両端から当接片41と支持片43が夫々左右両側へ延びた形態となっている。これら固定部材40A,40Bは、アルミ合金等の押出型材とされている。
【0036】
固定部材40Bは、図4(a)に示すように、スライド支持部材20に雌ねじ部材30及び雄ねじ部材50を用いて締結固定する前の状態では軸部42の直下が最も高くなるように湾曲した底面とされており、当接片41の貫通孔41aを通して雄ねじ部材50をスライド支持部材20の摺動溝21内に挿入された雌ねじ部材30へ螺合して締付けることで、湾曲した底面が変形して平坦な底面になるようになっている。
【0037】
また、固定部材40Bは、軸部42を挟んで両側の当接片41に夫々上下方向へ貫通した一対の挿通孔41cが形成されており、貫通孔41aが形成された側では軸部42の側面に沿った位置に、貫通孔41aが形成された側とは軸部42を挟んで反対側では軸部42から所定量離れた位置に夫々形成されている。一対の挿通孔41cは、図示は省略するが、固定部材40Bが延びる方向へ長く延びた長孔状に形成されている。この挿通孔41cは、詳細は後述するが、アース金具60が下側から挿入されるものである。
【0038】
雄ねじ部材50は、所定長さの雄ねじ部51と、雄ねじ部51の一端側に形成され雄ねじ部51よりも大径の頭部52と、を備えている。なお、図示は省略するが、本例の雄ねじ部材50は、頭部52の上面に六角穴が形成された六角穴付ボルトとされている。
【0039】
アース金具60は、固定部材40Bの底面に沿って延びた板状の底片61と、底片61の一端側から上方へ延出し固定部材40Bにおける軸部42を挟んで貫通孔41aとは反対側に形成された挿通孔41cに下側から挿入される第一挿入片62と、底片61の他端側から上方へ第一挿通片62よりも高く延出し固定部材40Bにおける軸部42を挟んで貫通孔41aと同じ側に形成された挿通孔41cに下側から挿入される第二挿入片63と、第一挿入片62及び第二挿入片63の上端に配置された先端が尖った突刺部64と、を備えている。なお、突刺部64は、第一挿入片62の上端では上方へ、第二挿入片63の上端では第一挿入片62とは反対側の方向へ夫々先端が向くように配置されている。
【0040】
このアース金具60は、第一挿入片62の突刺部64が、軸部42を挟んで貫通孔41aとは反対側(軒側)に支持された板状モジュール2の底面に突き刺さると共に、第二挿入片63の突刺部64が、軸部42を挟んで貫通孔41aと同じ側(棟側)に支持された板状モジュール2の側面に突き刺さり、夫々の板状モジュール2の表面に形成された絶縁被膜を破って板状モジュール2同士を電気的に接続することができるようになっている。なお、アース金具60は、詳細な図示は省略するが、所定幅のステンレス鋼板等の金属板材を屈曲形成したものであり、突刺部64が幅方向の両端に形成されている。
【0041】
次に、本実施形態における板状モジュール2の固定方法について説明する。まず、屋根上に設置する板状モジュール2の数や配置パターン等に応じて、屋根上に複数の取付部材10を所定間隔で取付ける。そして、屋根材上に取付けられた複数の取付部材10を介して、屋根の流れ方向(傾斜方向)へ延びるようにスライド支持部材20を取付ける。取付部材10へのスライド支持部材20の取付けは、スライド支持部材20の取付部24内に取付ナット4を挿入した上で、取付部材10における一対の取付片13の間にスライド支持部材20を挿入して、取付部材10の載置片12上にスライド支持部材20を載置する。そして、取付片13の外側から取付孔14を通して取付ボルト3を、取付部24内に挿入された取付ナット4へ螺合させて締付けことでスライド支持部材20を取付部材10へ取付固定する。
【0042】
スライド支持部材20の取付けが完了したら、続いて、先端側(軒側)用の固定部材40Aの貫通孔41aに上側から雄ねじ部材50を挿通すると共に、雄ねじ部材50の雄ねじ部51の下端に鍔部32が上を向くように雌ねじ部材30を螺合させる(図3を参照)。続いて、スライド支持部材20の先端側から摺動溝21内へ、雄ねじ部材50が螺合された雌ねじ部材30を挿入して、固定部材40Aと共に雌ねじ部材30をスライドさせる。固定部材40Aを、コ字状の開口が棟側を向いた状態で所定位置にスライドさせたら、その当接片41をスライド支持部材20の載置部23上に載置させた上で雄ねじ部材50を締付けて、固定部材40Aをスライド支持部材20上に締結固定する。
【0043】
続いて、スライド支持部材20の側面に、固定部材40Aを固定する雄ねじ部材50よりも先端側(軒側)で雄ねじ部材50の雄ねじ部51と当接可能な位置に、一方の側面側から他方の側面側へ向かって長ボルト5を貫通させると共に、長ボルト5の先端にナット6を螺合させて長ボルト5が抜けないようにする(図3等を参照)。これにより、長ボルト5に雄ねじ部材50が当接することで、固定部材40Aが先端側(軒側)へ移動するのを阻止することができるようになっている。
【0044】
なお、固定部材40Aをスライド支持部材20に固定する前に、一つのスライド支持部材20に対して必要な数の中間側等用の固定部材40Bを、固定部材40Aと同様に、貫通孔41aに挿通した雄ねじ部材50の下端に雌ねじ部材30を螺合させた状態で、その雌ねじ部材30を予めスライド支持部材20の摺動溝21内に挿入して、固定部材40Bをスライド支持部材20における凡その位置までスライドさせた状態としておく。
【0045】
そして、スライド支持部材20に固定部材40Aを固定したら、棟側へ向かって開口した当接片41と支持片43との間に板状モジュール2の側面を挿入する。この際に、雄ねじ部材50の頭部52が、固定部材40Aの凹部41b内に収容された状態となっており、雄ねじ部材50に当ることなく板状モジュール2の側面を当接片41と支持片43との間に挿入することができるようになっている。
【0046】
続いて、軒側の側面が固定部材40Aに支持された板状モジュール2の棟側の側面が、予めスライド支持部材20にスライド可能に支持させておいた固定部材40Bの軸部42を挟んで貫通孔41aとは反対側の当接片41と支持片43との間に挿入されるように、固定部材40Bを軒側へスライドさせる。そして、板状モジュール2の側面と固定部材40Bの軸部42とが略当接するような位置までスライドさせたら、その状態で雄ねじ部材50を締付ける。なお、雄ねじ部材50を締付ける前に、固定部材40Bの一対の挿通孔41cにアース金具60の第一挿入片62及び第二挿入片63を夫々挿入させた状態としておく(図4(a)を参照)。
【0047】
この固定部材40Bの貫通孔41aに挿入された雄ねじ部材50を締付けると、雄ねじ部材50の頭部52により固定部材40Bの当接片41が下方へ押圧され、固定部材40Bの湾曲した底面がスライド支持部材20の載置部23と沿うように変形すると同時に、固定部材40Bの一対の支持片43が軸部42を介して下方へ移動することとなる(図4(a)を参照)。そして、固定部材40Bの支持片43が板状モジュール2の上面に当接すると共に、当接片41の軸部42から遠ざかった先端側の上端が基端側よりも相対的に上昇して板状モジュール2の下面に当接し、板状モジュール2を当接片41と支持片43とで挟持した状態となり、雄ねじ部材50と雌ねじ部材30とにより固定部材40Bがスライド支持部材20に締結固定された状態となる(図4(b)を参照)。なお、この状態では、図示するように、アース金具60の第一挿入片62の上端に形成された突刺部64が、板状モジュール2の下面に突き刺さった状態となっている。
【0048】
固定部材40Bをスライド支持部材20に固定したら、固定した固定部材40Bにおける軸部42を挟んで貫通孔41aと同じ側(棟側)の当接片41と支持片43との間に、次の板状モジュール2の側面を挿入し(図4(b)を参照)、板状モジュール2の側面がアース金具60における第二挿入片63の上端の突刺部64に突き刺さるまで押込むことで、板状モジュール2の軒側の側面を支持させる(図4(c)を参照)。そして、板状モジュール2の棟側の側面については、上述と同様の作業を繰返すことでスライド支持部材20上に次の固定部材40Bによって締結固定させ、屋根上に複数の板状モジュール2を設置することができる。
【0049】
ところで、板状モジュール2を屋根の流れ方向だけでなく流れ方向に対して直角方向(横方向)へも複数配置する場合、締結固定されるスライド支持部材20が異なるので、横方向に隣接した板状モジュール2同士の高さが異なってしまうことがある。この場合では、雄ねじ部材50の締付けを緩めた上で、スライド支持部材20と固定部材40との間に所定厚さのスペーサを挿入して固定部材40を締結固定することで板状モジュール2同士の高さを調整する。なお、スペーサの厚さによっては、雄ねじ部材50の雄ねじ部51の長さが短くなって雌ねじ部材30へ充分に締付けることができなくなる場合があるが、充分な長さの雄ねじ部材50に交換すれば良い。
【0050】
このように、本実施形態の板状モジュール2の固定構造1によると、スライド支持部材20の摺動溝21に雌ねじ部材30を挿入させた上で、雌ねじ部材30の雌ねじ部に固定部材40の貫通孔41a及びスライド支持部材20のスリット22を通して雄ねじ部材50の雄ねじ部51を螺合させて、スライド支持部材20の載置部23に固定部材40を締結固定するようにしているので、板状モジュール2の高さを調整するためにスライド支持部材20と固定部材40との間にスペーサを挿入した時に、雄ねじ部材50の雄ねじ部51が短かった場合でも、摺動溝21から雌ねじ部材30を取外す必要がなく最適な長さの雄ねじ部材50に簡単に交換することができ、板状モジュール2の設置にかかる手間を簡略化することができる。
【0051】
また、スライド支持部材20の摺動溝21に雌ねじ部材30を挿入するようにした上で、雌ねじ部材30の雌ねじ部に螺合される雄ねじ部材50の頭部52を収容する凹部41bを、固定部材40の当接片41に備えているので、当接片41の表面から雄ねじ部材50が突出するのを防止することができ、固定部材40における当接片41と支持片43との間に確実に板状モジュール2の側面を挿入して固定することができると共に、スライド支持部材20から板状モジュール2の上面までの高さを可及的に低くすることができる。また、固定部材40は、当接片41と支持片43との間に板状モジュール2の側面を挿入することで、板状モジュール2をスライド支持部材20(所定の構造物)に固定するようにしているので、板状モジュール2を一つずつ固定することができる。従って、板状モジュール2を比較的簡単に設置することができ、施工性を高めてコストを抑制することができると共に、設置に係る工期を短縮することができる。
【0052】
更に、雌ねじ部材30がスライド支持部材20の摺動溝21内をスライド可能とされており、スライド支持部材20に対して任意の位置に固定部材40を締結固定することができるので、所定の構造物に対して、従来では固定部材を直接固定することができなかったような位置でも、スライド支持部材20を介して固定部材40を固定することができ、設置の自由度を高めて板状モジュール2を設置できる対象範囲を広くすることができる。
【0053】
また、本例の固定構造1によると、スライド支持部材20の摺動溝21に挿入された雌ねじ部材30の雌ねじ部に雄ねじ部材50の雄ねじ部51を螺合して、スライド支持部材20に固定部材40を締結固定すると、雌ねじ部材30における接触面積の大きい鍔部32側が、摺動溝21内におけるスリット22を挟んで載置部23とは反対側の面と当接することとなるので、雌ねじ部材30と雄ねじ部材50との締結を緩み難くすることができると共に、雌ねじ部材30に対する耐荷重性能を高くすることができ、スライド支持部材20に対して板状モジュール2を確実に固定することができる。
【0054】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0055】
すなわち、上記の実施形態では、スライド支持部材20として、スリット22が長手方向の全長に亘って形成されたものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図5に示すようなスライド支持部材20Aとしても良い。このスライド支持部材20Aは、スリット22が部分的に形成されていると共に、スリット22の一方の端部(例えば、棟側の端部)に雌ねじ部材30が通過可能な大径の通過孔22aを備えており、通過孔22aを通して雄ねじ部材50が螺合された雌ねじ部材30を摺動溝21内へ挿入することができるようになっている。なお、このスライド支持部材20Aでは、スリット22以外の部位では摺動溝21の左右が連結された状態となっており、左右の側面同士を連結する補強部を廃止している。
【0056】
このスライド支持部材20Aによると、上記と同様の作用効果を奏することができる他に、通過孔22aから雌ねじ部材30を摺動溝21内へ挿入することができるので、スライド支持部材20の端部から雌ねじ部材30を摺動溝21内へ挿入する場合と比較して、挿入にかかる手間を簡略化して施工性を向上させることができる。
【0057】
なお、スライド支持部材20Aにおいて、載置部23側のスリット22を全長に亘って形成すると共に、摺動溝21の下側のスリット22を部分的に形成するようにしても良く、これによっても上記と同様の作用効果を奏することができる。また、スライド支持部材20において、スライド支持部材20Aの通過孔22aと同様の通過孔22aを形成するようにしても良く、上記と同様に、雌ねじ部材30の挿入にかかる手間を簡略化して施工性を向上させることができる。
【0058】
また、上記の実施形態では、スライド支持部材20として、ナベ皿状の鍔部32を有した雌ねじ部材30に対応する形状の摺動溝21を備えたものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図6に示すような、平皿状の鍔部32を有した雌ねじ部材30に対応する形状の摺動溝21としても良く、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
更に、上記の実施形態では、スライド支持部材20として、取付部材10を介して屋根材に取付ける形態のものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図7に示すような、屋根材に対して直接取付けることが可能なスライド支持部材70としても良い。このスライド支持部材70は、図7に示すように、雌ねじ部材30を回転不能且つ雌ねじ部の軸方向へ移動不能に支持すると共にスライド支持部材70の長手方向(雌ねじ部の軸方向に対して直角方向)へ摺動可能に支持し下方が開放された摺動溝71と、摺動溝71の上面側にスライド支持部材70の長さよりも短く形成され雄ねじ部材50が通過可能なスリット72と、スリット72を挟んで摺動溝71と反対側の上面を形成する略平坦な載置部73と、載置部73の左右両側に夫々形成されスライド支持部材70の長手方向へ延びると共に上側が開放された上部溝74と、夫々の上部溝74における摺動溝71側とは反対側の外側の外壁と連続し下方へ延出した一対の立壁部75と、一対の立壁部75の下端同士を連結すると共に立壁部75よりも左右方向外側へ延出し屋根材の上面へ取付けるための平板状の取付部76と、を備えている。
【0060】
このスライド支持部材70は、図示するように、上面となる載置部73の長手方向両端部付近に所定径で上下方向へ貫通した通過孔78が形成されており、他方側(図中後側)の通過孔78がスリット72と連通した状態となっている。この通過孔78は、雌ねじ部材30及び取付用座金が通過可能な大きさの内径とされている。また、図示は省略するが、取付部76における通過孔77と同軸上の位置に、上下方向へ貫通した取付孔が形成されており、取付用座金7を挿入した取付用ビス8を、通過孔77を通過させた上で取付孔を介して屋根材上へねじ込むことで、スライド支持部材70を取付けることができるようになっている(図7を参照)。
【0061】
また、スライド支持部材70は、取付部76における立壁部75よりも外側へ延出した部位に、上下方向へ貫通した複数の補助取付孔76aが形成されている。スライド支持部材70の一対の上部溝74は、上端が内側へ僅かに突出した形態とされており、その突出した部位を用いて上部溝74内に挿入した部材を係止することができるようになっている。本例のスライド支持部材70は、アルミ合金等の押出型材を適宜長さ(例えば、100mm〜300mm)に切断した上で、スリット72、通過孔77、取付孔及び補助取付孔76a等が切削加工等により形成されている。
【0062】
このスライド支持部材70は、スリット72と連通した通過孔77が棟側を向くように屋根材上に取付けた上で、スリット72と連通した通過孔77を介して摺動溝71内へ雌ねじ部材30を挿入することで、上記と同様の手順で板状モジュール2を締結固定することができるようになっており、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、スライド支持部材20,70等の摺動溝21,71内に雌ねじ部材30を挿入したものを示したが、本例のスライド支持部材20,70等は、図8及び図9に示すように、摺動溝21,71内に雄ねじ部材50(図では、角根ボルト)の頭部を挿入することもできるようになっており、施工現場等の状況に合せて、雌ねじ部材30を挿入させたり、雄ねじ部材50を挿入させたりすることができ、汎用性の高いスライド支持部材20,70とされている。
【0064】
また、上記の実施形態では、板状モジュール2として太陽電池モジュール2aを適用した例を示したが、これに限定するものではなく、太陽熱温水器パネル、太陽熱集熱パネル、防音パネル、遮光パネル、等に適用しても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 板状モジュールの固定構造
2 板状モジュール
2a 太陽電池モジュール
10 取付部材
20 スライド支持部材
20A スライド支持部材
20B スライド支持部材
21 摺動溝
22 スリット
22a 通過孔
23 載置部
24 取付部
30 雌ねじ部材
31 本体
32 鍔部
40 固定部材
40A 固定部材
40B 固定部材
41 当接片
41a 貫通孔
41b 凹部
41c 挿通孔
42 軸部
43 支持片
50 雄ねじ部材
51 雄ねじ部
52 頭部
60 アース金具
70 スライド支持部材
71 摺動溝
72 スリット
73 載置部
74 上部溝
75 立壁部
76 取付部
76a 補助取付孔
77 通過孔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開2008−101466号公報
【特許文献2】特開2008−303660号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さの雄ねじ部、及び該雄ねじ部の一端側に形成された頭部を有する雄ねじ部材と、
該雄ねじ部材の前記雄ねじ部と螺合可能な雌ねじ部を備えた本体、及び該本体の一端側から前記雌ねじ部の軸方向に対して直角方向へ延出したフランジ状の鍔部を有し、該鍔部及び前記本体の少なくとも一方の外形が非円形状とされた雌ねじ部材と、
該雌ねじ部材を前記雌ねじ部の軸周りに対して回転不能且つ軸方向へ移動不能に支持すると共に該ねじ部の軸方向に対して直角方向へ摺動可能に支持する摺動溝、該摺動溝における前記雌ねじ部の軸方向両側に夫々形成され前記雄ねじ部材の前記雄ねじ部が通過可能なスリット、一方の該スリットを挟んで前記摺動溝と反対側に形成された略平坦な載置部、及び所定の構造物に取付けるための取付部を有し、略一定断面で長尺状のスライド支持部材と、
該スライド支持部材の前記載置部と当接し前記雄ねじ部材の前記雄ねじ部が通過可能な貫通孔と該貫通孔における前記載置部と当接する側とは反対側に形成され前記雄ねじ部材の前記頭部を収容可能な凹部を有した板状の当接片、該当接片における前記凹部を有した側の所定位置から前記当接片に対して直角方向へ延びる軸部、及び該軸部の先端から前記当接片と略平行に延び該当接片との間に太陽電池モジュールを含む板状モジュールの側面を挿入可能とされた板状の支持片を備えた固定部材と
を具備し、
前記スライド支持部材の前記摺動溝に挿入された前記雌ねじ部材の前記雌ねじ部に、前記載置部と当接した前記固定部材における前記当接片の前記貫通孔及び前記スライド支持部材の前記スリットを通して、前記雄ねじ部材の前記雄ねじ部を螺合させると共に、前記雄ねじ部材の前記頭部が前記凹部へ収容されるように前記雄ねじ部材によって前記スライド支持部材に前記固定部材を締結固定し、該固定部材の前記当接片と前記支持片との間に前記板状モジュールの側面を挿入させたことを特徴とする板状モジュールの固定構造。
【請求項2】
前記スライド支持部材は、
前記摺動溝を、前記雌ねじ部材の前記鍔部が前記載置部側を向く形状としたことを特徴とする請求項1に記載の板状モジュールの固定構造。
【請求項3】
前記スライド支持部材は、
前記スリットの所定位置に、前記雌ねじ部材が通過可能な通過孔を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の板状モジュールの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−31692(P2012−31692A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173885(P2010−173885)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(391013162)株式会社屋根技術研究所 (38)
【Fターム(参考)】