説明

板状モジュールの固定構造

【課題】屋根材上に設置する太陽電池モジュール等の板状モジュールの施工性を高めることが可能な板状モジュールの固定構造を提供する。
【解決手段】板状モジュールとしての太陽電池モジュール1の側辺から一部が下方へ突出した本体部11と、本体部11から互いに背向するように外方へ突出し弾性力に抗することで本体部11内に没入可能とされた一対の係止片12とを備えた固定部材10を具備し、固定部材10における一対の係止片12を屋根材上に取付けられた支持部材3の長手方向に対して略直角方向を向くように配置した上で、係止片12が支持部材3内に位置するように本体部11の一部を上側から支持部材3内に挿入すると共に、一対の係止片12を支持部材3に係止させることで太陽電池モジュール1を支持部材3に固定させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上等に設置される太陽熱温水器や太陽電池モジュール等の板状モジュールを屋根上等に固定するための板状モジュールの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば板状モジュールとしての太陽電池モジュールを、屋根上に設置するための固定構造としては、レール溝を備え屋根材上に取付けられる基台と、基台のレール溝内に頭部が挿入され雄ねじ部が基台から上方へ突出したボルトと、ボルトが通過可能な孔を有し太陽電池モジュールのフランジ部と係止可能な固定部材(押圧部材)と、固定部材の上側からボルトの雄ねじ部に螺合されるナットとを備え、ボルトにナットを締結することで、固定部材によってフランジ部を基台へ押圧して太陽電池モジュールを固定するものが提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1のものでは、固定部材の両側で夫々太陽電池モジュールを同時に押圧して固定することができるようになっている。
【0003】
また、屋根材上に固定するための固定孔を有した板状の固定部と、固定部の一端側に形成された所定高さの台座部と、台座部の略中央から上方へ立上る立上り部と、立上り部の上端から台座部と略平行に延びる板状の被接合部とを備えた固定部材の被接合部と台座部との間に太陽電池モジュールの側面を挿入することで太陽電池モジュールを固定するものも提案されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
この特許文献2のものでは、立上り部を挟んで固定部とは反対側の台座部と被接合部との間に太陽電池モジュールの側面を挿入した上で、固定部の固定孔を通して所定のビスを屋根材へねじ込んで固定部材を屋根材上に固定し、更に、固定部側の台座部と被接合部との間に次の太陽電池モジュールの側面を挿入することで、立上り部の両側に夫々太陽電池モジュールを挿入固定することができ、複数の太陽電池モジュールを、一方側(軒側)から他方側(棟側)へ向かって順次固定することができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の固定構造では、太陽電池モジュール等の板状モジュールを固定する固定部材を、ボルト・ナットやビス等を用いて固定しているので、固定部材の取付け取外しに手間がかかり施工性が悪く板状モジュールの設置等にかかるコストが高くなる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、屋根材上に設置する太陽電池モジュール等の板状モジュールの施工性を高めることが可能な板状モジュールの固定構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る板状モジュールの固定構造は、「板状モジュールの側辺から少なくとも一部が下方へ突出した本体部と、該本体部から互いに背向するように外方へ突出すると共に、弾性力に抗することで該本体部内に没入可能とされた一対の係止片とを備えた固定部材を具備し、該固定部材における一対の前記係止片を屋根材上に取付けられた前記支持部材の長手方向に対して略直角方向を向くように配置した上で、前記係止片が前記支持部材内に位置するように前記本体部の少なくとも一部を上側から前記支持部材内に挿入すると共に、一対の前記係止片を前記支持部材に係止させることで前記板状モジュールを前記支持部材に固定した」ことを特徴とする。
【0008】
ここで、「板状モジュール」としては、「板状の太陽電池パネルの外周を枠体で囲った太陽電池モジュール」、「太陽熱温水器パネル」、「太陽熱集熱パネル」、「防音パネル」、「遮光パネル」、等を例示することができる。
【0009】
また、「本体部」としては、「箱状に形成されたもの」、「筒状に形成されたもの」、「中実状に形成されたもの」、等を例示することができる。また、「係止片」としては、「一端側が本体部と連続し、他端側が本体部から離れた自由端とされた板状で、本体部と連続した一端側の弾性力によって他端側が本体部から外方へ突出したもの」、「本体内部でスライド可能に支持され、本体部内に配置されたバネ等の弾性部材によって本体部から外方へ突出するように付勢されたもの」、等を例示することができる。
【0010】
更に、「固定部材」としては、「板状モジュールとは一体的とされたもの」、「板状モジュールとは別体とされたもの」、等を例示することができる。また、一つの固定部材で隣接する板状モジュールの側辺を夫々固定することができるようにしても良いし、一つの固定部材で一つの板状モジュールの側辺を固定することができるようにしても良い。更に、「固定部材」としては、「本体部や係止片等が一体的に形成されたもの」、「本体部や係止片等が適宜部位毎に別体で形成されたもの」、等としても良い。また、「支持部材」としては、上面に固定部材の本体部が通過可能な開口部を有したものであれば良く、「一つの板状モジュールよりも長く形成されたもの」、「一つの板状モジュールよりも短く形成されたもの」、等を例示することができる。
【0011】
また、「係止片を支持部材に係止させる」とは、係止片を係止させることで固定部材が少なくとも上方へ移動するのを規制することができれば良く、「支持部材における横方向へ延びた部位の下面に係止片を当接させて係止させるもの」、「支持部材における横方向へ貫通した孔内に係止片を挿入させて係止させるもの」、等を例示することができる。
【0012】
これにより、固定部材の本体部から外方へ突出した一対の係止片を夫々本体部内に没入させると共に、屋根材上に取付けられた所定の支持部材に対して上側から固定部材の本体部を支持部材の内部に挿入し、一対の係止片を夫々弾性力により本体部内から外方へ突出させて支持部材に係止させるようにしており、従来のようにボルト・ナットやビス等を用いなくても固定部材を介して太陽電池モジュール等の板状モジュールを支持部材に簡単に固定することができるので、施工性の高い板状モジュールの固定構造を提供することができ、板状モジュールの設置にかかる施工コストを低減させることができる。
【0013】
ところで、特許文献1のような固定構造では、板状モジュール同士の間で固定部材を固定するナットを締付けるためのスペースが必要となり、蓋然的に、板状モジュール同士の間に隙間が形成されることとなるので、その隙間によって屋根上の面積に対して設置できる板状モジュール全体の面積が相対的に小さくなる問題がある。そのため、例えば、板状モジュールとして太陽電池モジュールや太陽熱温水器等の太陽エネルギーを用いるものとした場合、屋根上の面積に対して板状モジュール全体の面積が狭くなるので、エネルギー効率が低くなる問題がある。これに対して、本発明の固定構造では、上述したように、固定部材の係止片によって板状モジュールを支持部材に固定しているので、板状モジュール同士の間にボルト・ナット等を締付けるためのスペースを確保する必要が無く、板状モジュール同士の間の隙間を可及的に狭くすることができる。従って、屋根上の面積に対して板状モジュール全体の面積を可及的に広くすることができ、エネルギー効率を高くすることができる。
【0014】
なお、固定部材の係止片を支持部材における横方向へ貫通した孔内に挿入係止させたり、固定部材における支持部材の長手方向を向いた面を支持部材に形成された切欠部等に当接させたりすることが望ましく、これにより、支持部材内に挿入された固定部材が、支持部材の長手方向へ移動してしまうのを阻止することができるので、固定部材とは別に板状モジュールを支持部材に固定して支持部材に沿って移動するのを防止する構成を備える必要がなく、板状モジュールが支持部材に沿って移動するのを簡単に防止することができ、板状モジュールの施工性を高めることができる。
【0015】
また、本発明に係る板状モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記固定部材は、前記係止片の側面が下方へ向かうに従って前記本体部側へ接近するように斜めに傾斜した傾斜面とされている」ことを特徴としても良い。
【0016】
これにより、固定部材における係止片の側面を、下方へ向かうに従って本体部側へ接近した傾斜面としているので、固定部材の本体部を上側から支持部材内へ挿入する際に、係止片の傾斜面が支持部材に当接すると、傾斜面を介して係止片を本体部側へ押す力が作用することとなり、本体部の下方への移動に伴って係止片が弾性力に抗して本体部内へ自動的に没入し、係止片が支持部材内に挿入されて傾斜面と支持部材との当接がなくなると、係止片が弾性力によって本体部から突出して支持部材に係止されることとなる。
【0017】
従って、固定部材を支持部材に係止・固定する際に、予め一対の係止片を本体部内に没入させる必要がなく、本体部を上側から支持部材内へ挿入するだけで係止片を一旦本体部内へ没入させることができるので、固定部材を介して板状モジュールを簡単に支持部材へ固定することができ、板状モジュールの施工性を高めることができる。
【0018】
また、本発明に係る板状モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記固定部材は、前記係止片の上端と前記本体部内で連結され、前記係止片よりも上側で前記本体部から外方へ突出した操作片を更に備えている」ことを特徴としても良い。
【0019】
これにより、一対の係止片の上端に夫々連結されて外方へ突出した操作片を備えているので、固定部材により板状モジュールを支持部材へ固定した状態で、一対の操作片を操作して係止片を本体部内へ没入させることで、係止片と支持部材との係止を解除させることができ、簡単に固定部材を支持部材から取外すことができる。従って、板状モジュールの施工中に固定部材の位置を変更したり、メンテナンス等により板状モジュールを支持部材から取外したりする際に、操作片を操作するこで係止片による係止を簡単に解除して支持部材から固定部材を取外すことができ、板状モジュールの施工性やメンテナンス性等を高めることができる。
【0020】
なお、操作片の先端を支持部材よりも外側へ延びださせるようにしても良く、これにより、支持部材に対して固定部材を固定した状態で操作片を操作し易くすることができ、作業性を向上させることができる。
【0021】
また、固定部材の係止片を支持部材へ係止させた時に、操作片が支持部材の上面と当接するようにしても良く、これにより、操作片によって本体部が下方へ移動するのを規制することができるので、本体部が支持部材内へ無用に落ち込んでしまうのを防止することができると共に、係止片と操作片とで支持部材を挟持して固定部材を支持部材へより強固に固定することができる。
【0022】
更に、本発明に係る板状モジュールの固定構は、「前記固定部材は、前記板状モジュールとは別体とされ、前記本体部の上部に配置され板状モジュールの側辺を支持する支持片を更に備えている」ことを特徴としても良い。
【0023】
ここで、「支持片」としては、「板状モジュールにおける側辺の上面に当接可能とされた板状のもの」、「板状モジュールの側面に形成されたフック状の係合部に係合可能とされたもの」、等を例示することができる。また、支持片により一つの板状モジュールの側辺を支持することができるようにしても良いし、互いに隣接配置された二つの板状モジュールにおける夫々の側辺を支持することができるようにしても良い。
【0024】
これにより、固定部材を板状モジュールとは別体としているので、支持片の形態によっては固定部材を用いて既存の板状モジュールを支持部材へ固定することができ、安価な既存の板状モジュールを用いることで設置にかかるコストを低減させることができる。また、固定部材を板状モジュールとは別体としているので、一つの固定部材で隣接した板状モジュールを固定できるようにすると共に、支持部材へ固定部材を係止・固定した状態で板状モジュールの側辺を支持片によって支持(固定)することができるようにした場合、複数の板状モジュールを一方側(例えば、軒側)から他方側(例えば、棟側)へ順次固定することができるので、屋根材上に複数の板状モジュールを簡単に設置することができ、板状モジュールの施工性を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明によると、屋根材上に設置する太陽電池モジュール等の板状モジュールの施工性を高めることが可能な板状モジュールの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態である板状モジュールの固定構造を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1における板状ジュールの固定構造の要部を拡大して示す側面断面図であり、(B)は要部の正面断面図である。
【図3】図1の板状モジュールの固定構造における固定部材と支持部材とを分解した状態で示す斜視図である。
【図4】図1の板状モジュールの固定構造における板状モジュールの設置手順を示す説明図である。
【図5】(A)は図1における板状モジュールの枠体及び固定部材の支持片の形態が異なる実施例の要部を拡大して示す側面断面図であり、(B)は(A)とは更に形態が異なる実施例の要部を拡大して示す側面断面図である。
【図6】(A)は図1における支持部材とは異なる形態の支持部材を固定部材と共に示す斜視図であり、(B)は(A)とは更に異なる形態の支持部材を固定部材と共に示す斜視図である。
【図7】(A)は図1とは異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を、板状モジュールを省略した状態で示す正面断面図であり、(B)は(A)の斜視図である。
【図8】図1とは異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を、板状モジュールを省略した状態で示す正面断面図である。
【図9】図1とは更に異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を示す側面断面図である。
【図10】(A)は図1とは更に異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を示す側面断面図であり、(B)は(A)の正面断面図であり、(C)は(A)を分解して示す側面断面図である。
【図11】図1とは更に異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を、部分的に分解して示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態である板状モジュールの固定構造について図1乃至図4に基いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である板状モジュールの固定構造を示す斜視図である。また、図2(A)は図1における板状ジュールの固定構造の要部を拡大して示す側面断面図であり、(B)は要部の正面断面図である。また、図3は、図1の板状モジュールの固定構造における固定部材と支持部材とを分解した状態で示す斜視図である。更に、図4は、図1の板状モジュールの固定構造における板状モジュールの設置手順を示す説明図である。
【0028】
本実施形態の板状モジュールの固定構造(以下、単に固定構造とも称す)は、図1に示すように、板状モジュールとして太陽電池パネル1aの外周辺を金属製の枠体1bで囲った太陽電池モジュール1を、屋根上に設置するための固定構造であり、太陽電池モジュール1が載置され屋根材2上に所定間隔で取付けられる長尺状の支持部材3と、太陽電池モジュール1を支持部材3へ固定する固定部材10と、を備えている。
【0029】
屋根材2は、詳細な図示は省略するが、屋根瓦、スレート、屋地板等とされている。また、支持部材3は、図示するように、アルミ合金等の金属により形成され断面が角型のC字形状で開口部3aを有した所謂Cチャンネルとされている。この支持部材3は、開口部3aが上方を向くように公知の方法によって屋根材2上に取付けられており、開口部3aの両側上面が太陽電池モジュールを載置する載置部3bとされている。
【0030】
固定部材10は、図2及び図3等に示すように、外形が直方体状で支持部材3における開口部3aの幅よりも若干短く延びた本体部11と、本体部11における長手方向(支持部材3における開口部3aの幅方向)両端から外方へ突出した一対の係止片12と、係止片12の上端と本体部11で連結され係止片12よりも上側の位置で本体部11の長手方向両端から外方へ係止片12よりも長く突出した板状の操作片13と、本体部11の上端から上方へ延出した板状の軸部14と、軸部14の上端から横方向両側へ延びた板状の支持片15と、を備えている。
【0031】
この固定部材10の本体部11は、長手方向両端に開口11aを有する角型の筒状に形成されており、開口11aの下辺に係止片12の下端が連結されていると共に、開口11aから係止片12と操作片13とが外方へ突出している。また、固定部材10の係止片12は、本体部11よりも外方へ突出した上端に形成され支持部材3における載置部3bの下面と当接する平坦な係止部12aを備えている。また、係止片12は、係止部12aよりも下側(側面)が下方へ向かうに従って本体部11側へ接近するように斜めに傾斜した傾斜面12bとされており、下端が本体部11における開口11aの下辺に対して弾性変形可能な状態で連結されている。
【0032】
固定部材10の操作片13は、図2(B)等に示すように、本体部11内に位置した基端側が、係止片12における上端の係止部12aよりも内部側で一体的に連結されており、係止片12の係止部12aを支持部材3における載置部3bの下面に当接させた状態で、載置部3bの上面よりも上側に位置するようになっていると共に、先端が支持部材3の側面よりも外側へ延びだす長さとなっている。
【0033】
固定部材10の軸部14は、本体部11における支持部材3が延びた方向の略中央から上方へ延出しており、係止片12の係止部12aを支持部材3の載置部3bの下面に当接させた状態で、載置部3b上に載置された太陽電池モジュール1(枠体1b)の高さと略同じ高さまで上方へ延出している。また、固定部材10の支持片15は、図2(A)に示すように、支持部材3が延びた方向と同じ方向では軸部14を基点に本体部11よりも外方へ大きく延出し、下面が太陽電池モジュール1における枠体1bの上面に当接するようになっている。
【0034】
この固定部材10は、図2に示すように、支持部材3の開口部3aから本体部11の下部を支持部材3内に挿入して係止片12の係止部12aを載置部3bの下面に当接させることで上方への移動が規制され、また、支持片15の下面を支持部材3の載置部3b上に載置された太陽電池モジュール1の上面に当接させることで下方への移動が規制されるようになっており、而して、載置部3bと支持片15とで太陽電池モジュール1の側辺を挟持して固定することができるようになっている。
【0035】
なお、本例では、太陽電池モジュール1を、支持部材3の載置部3bと固定部材10の支持片15とで挟持するようになっており、太陽電池モジュール1と支持部材3との間に発生する摩擦抵抗によって太陽電池モジュール1がその面に沿った方向へスライドしないようになっている。また、太陽電池モジュール1は、長辺の長さが900mm〜2000mmとされており、短辺の長さが長辺の約半分の長さとされている。更に、固定部材10は、合成樹脂や金属等の強度及び耐候性に優れた適宜素材によって形成されている。
【0036】
次に、本例の固定構造を用いた太陽電池モジュール1の屋根材2上への設置手順について説明する。まず、屋根材2上に複数(本例では二つ)の支持部材3を開放された開口部3aが上方を向くように所定間隔で略平行に公知の方法で取付ける。この支持部材3の長さは、複数の太陽電池モジュール1を並べた時の全体の長さよりも若干長い長さとする。また、複数の支持部材3は、太陽電池モジュール1の長辺と交差する方向へ延びるように屋根材2上へ取付ける。なお、傾斜した屋根上に太陽電池モジュール1を設置する場合は、支持部材3が屋根の流れ方向へ延びるように取付ける。
【0037】
屋根材2上へ支持部材3を取付けたら、支持部材3の一方の端部(軒側の端部)付近の所定位置に、固定部材10の本体部11を開口部3aの上側から支持部材3内へ挿入する。この時、固定部材10における板状の軸部14の面が支持部材3の長手方向に対して直角方向を向くように本体部11を支持部材3内へ挿入すると、本体部11の長手方向両端から突出した係止片12の傾斜面12bが開口部3aの辺縁に当接し、更に本体部11を下方へ移動させて支持部材3内に挿入すると、傾斜面12bを介して係止片12を本体部11側へ押す力が作用することとなり、本体部11と連結された係止片12の下端にかかる弾性力に抗して係止片12が本体部11内に没入することとなる。
【0038】
更に、固定部材10を下方へ移動させて係止片12の係止部12aが支持部材3の載置部3bの下面よりも下側へ移動すると、係止片12(傾斜面12b)と開口部3aの辺縁との当接がなくなり、係止片12が弾性力により本体部11から外方へ突出した元の状態に復帰することとなる。この状態で固定部材10を上側へ引張ると、係止片12の係止部12aが支持部材3の載置部3bの下面と当接し、固定部材10が支持部材3から抜けないようになる。
【0039】
そして、支持部材3の一方の端部に固定部材10を係止させたら、支持部材3の載置部3b上に太陽電池モジュール1を載置すると共に、その側辺を支持部材3の載置部3bと固定部材10の支持片15との間に挿入する。これにより、太陽電池モジュール1の一端側(軒側)が固定部材10によって支持部材3へ固定された状態となる。
【0040】
太陽電池モジュール1の一端側の側辺を支持部材3に固定したら、図4(A)に示すように、太陽電池モジュール1の他端側(棟側)の側辺に新たな固定部材10の本体部11の側面を当接させると共に、本体部11を開口部3aから支持部材3内に挿入し、係止片12の係止部12aを載置部3bの下面に係止させると共に、支持片の下面を太陽電池モジュール1の上面に当接させる(図4(B)を参照)。これにより、太陽電池モジュール1の他端側が支持部材3に固定された状態となり、一つ目の太陽電池モジュール1が支持部材3に固定された状態となる。
【0041】
続いて、図4(B)に示すように、次の太陽電池モジュール1の一端側(軒側)を指示部材3上に載置して斜めにした状態で、支持部材3に係止・固定された固定部材10側へスライドさせて、太陽電池モジュール1の一端側側辺の上面を、固定された固定部材10の支持片15の下側へ挿入する。そして、傾斜した太陽電池モジュール1を支持部材3に平行となるように全体を載置部3b上に載置すると共に、太陽電池モジュール1の側辺を固定部材10の本体部11の側面に当接させる(図2(A)を参照)。これにより、次の太陽電池モジュール1の一端側が支持部材3に固定された状態となる。そして、太陽電池モジュール1の他端側(棟側)を、上述と同様に固定部材10で固定することで、屋根材2上への複数の太陽電池モジュール1の設置が完了する。
【0042】
なお、太陽電池モジュール1の設置やメンテナンス等の際に、支持部材3に係止・固定された固定部材10を取外す場合は、支持部材3の両側面よりも外側へ先端が突出した一対の操作片13を、係止片12にかかる弾性力に抗して互いに接近する方向へ押圧すると、係止片12が本体部11内へ没入して係止片12の係止部12aと載置部3bの下面との係止を解除することができ、その状態で固定部材10を上方へ移動させることで固定部材10を支持部材3から取外すことができる。
【0043】
このように、本実施形態の固定構造によると、固定部材10の一対の係止片12を夫々弾性力により本体部11内から外方へ突出させて支持部材3に係止させるようにしており、従来のようにボルト・ナットやビス等を用いなくても固定部材10を介して太陽電池モジュール1(板状モジュール)を支持部材3に簡単に固定することができるので、施工性の高い太陽電池モジュール1の固定構造を提供することができ、太陽電池モジュール1の設置にかかる施工コストを低減させることができる。
【0044】
また、固定部材10の本体部11から突出した一対の係止片12と支持片15とによって太陽電池モジュール1を支持部材3に固定しているので、太陽電池モジュール1同士の間にボルト・ナット等を締付けるためのスペースを確保する必要が無く、太陽電池モジュール1同士の間の隙間を可及的に狭くすることが可能となり、屋根上の面積に対して太陽電池モジュール1全体の面積を可及的に広くすることができ、エネルギー効率を高くすることができる。
【0045】
また、固定部材10の係止片12に下方へ向かうに従って本体部11側へ接近した傾斜面12bを備えており、本体部11を上側から支持部材3内へ挿入するだけで係止片12を一旦本体部11内へ没入させることができるので、固定部材10を支持部材3に係止・固定する際に、予め一対の係止片12を本体部11内に没入させる必要がなく、固定部材10を介して太陽電池モジュール1を簡単に支持部材3へ固定することができ、太陽電池モジュール1の施工性を高めることができる。
【0046】
更に、支持部材3に係止・固定した固定部材10の一対の操作片13を操作して係止片12を本体部11内へ没入させることで、係止片12と支持部材3との係止を解除して簡単に固定部材10を支持部材3から取外すことができるので、太陽電池モジュール1の施工中に固定部材10の位置を変更したり、メンテナンス等により太陽電池モジュール1を支持部材3から取外したりする際に、操作片13を操作することで係止片12による係止を簡単に解除して固定部材10を取外すことができ、太陽電池モジュール1の施工性やメンテナンス性等を高めることができる。
【0047】
また、固定部材10の軸部14を挟むように両側で別々の太陽電池モジュール1を固定することができるので、上述したように、複数の太陽電池モジュール1を一方側(軒側)から他方側(棟側)へ順次固定することが可能となり、屋根材2上に複数の太陽電池モジュール1を簡単に設置することができ、太陽電池モジュール1の施工性を高めることができる。
【0048】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0049】
すなわち、上記の実施形態では、側面が平坦な太陽電池モジュール1に対応した形態の固定部材10を示したが、これに限定するものではなく、例えば、図5に示すような側面に鉤状の爪部1cを有した太陽電池モジュール1Aに対応した固定部材10Aとしても良い。ここで、図5(A)は図1における板状モジュールの枠体及び固定部材の支持片の形態が異なる実施例の要部を拡大して示す側面断面図であり、(B)は(A)とは更に形態が異なる実施例の要部を拡大して示す側面断面図である。
【0050】
まず、図5(A)の例の太陽電池モジュール1Aは、枠体1bにおける太陽電池パネル1aよりも下側の側面が内側へ凹んでいると共に、側面の凹んだ部位に外方へ延出し先端が上方へ屈曲した鉤状の爪部1cが備えられている。一方、図5(B)の例の太陽電池モジュール1Aは、枠体1bの側面が略垂直な平坦面とされ、この側面の上端付近に外方へ延出し先端が上方へ屈曲した鉤状の爪部1cが備えられている。また、図5(A)及び(B)の固定部材10Aは、支持片15の両端部に下方へ垂下した垂下部15aを備えており、その垂下部15aが太陽電池モジュール1Aの爪部1cと係合するようになっている。なお、この固定部材10Aは、軸部14の高さが爪部1cの高さと対応した高さとされている他は、上記の固定部材10と同様の構成となっており、同一の符号を付すと共に各構成の詳細な説明は省略する。
【0051】
図5の例の固定構造によると、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる他に、太陽電池モジュール1Aの爪部1cと固定部材10Aの垂下部15aとが係合することで、太陽電池モジュール1Aが支持部材3の長手方向へスライドするのを規制することができるので、特に傾斜した屋根材2上に設置した場合、太陽電池モジュール1Aの棟側の側辺を支持する固定部材10Aでも太陽電池モジュール1Aが軒側へスライドするのを規制することができ、太陽電池モジュール1Aをより強固に固定することができる。
【0052】
また、上記の実施形態では、太陽電池モジュール1と支持部材3との摩擦抵抗等によって太陽電池モジュール1が支持部材3の長手方向へスライドしないようにしたものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図6及び図7に示すような構成としても良い。ここで、図6(A)は図1における支持部材とは異なる形態の支持部材を固定部材と共に示す斜視図であり、(B)は(A)とは更に異なる形態の支持部材を固定部材と共に示す斜視図である。また、図7(A)は図1とは異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を、板状モジュールを省略した状態で示す正面断面図であり、(B)は(A)の斜視図である。なお、図6及び図7の例において、上記の例と同様の構成については同一の符号を付すと共に、詳細な説明は省略する。
【0053】
まず、図6(A)の例は、固定部材10における本体部11の長手方向(支持部材3の延びた方向に対して直角方向)の長さを、支持部材3における開口部3aの幅よりも長く且つ支持部材3の幅よりも短く形成すると共に、支持部材3の載置部3bに固定部材10の本体部11を挿入可能な切欠部3cを形成したものであり、切欠部3cを通して固定部材10の本体部11を支持部材3内へ挿入することができるようにしたものである。
【0054】
また、図6(B)の例は、支持部材3を開口部3aが下方を向くように屋根材2上へ取付けると共に開口部3aと対向した辺(面)を載置部3bとし、載置部3bの所定位置に固定部材10の本体部11が通過可能な上下方向へ貫通した切欠部3cを形成したものであり、この例もまた、切欠部3cを通して固定部材10の本体部11を支持部材3内へ挿入することができるようになっている。なお、この例では、支持部材3を開口部3aが下方を向くようにしたものを示したが、開口部3aが上方を向くようにして支持部材3の内に固定部材10における軸部14の下部が挿入されると共に本体部11の一部が支持部材3よりも下側に突出するようにしても良い。
【0055】
更に、図7の例は、開口部3aの幅を大きくして相対的に載置部3bの幅を小さくした支持部材3における両側の側面に貫通した係止孔3dを備えると共に、係止孔3d内に固定部材10Bの係止片12を挿入係止するようにしたものである。なお、図7の固定部材10Bは、図示すように、上記の固定部材10とは異なり操作片13を備えていない構成となっている。図7の例では、支持部材3の係止孔3dから固定部材10Bの係止片12の一部が外側へ突出するようになっており、支持部材3に固定部材10Bを係止させた状態でも支持部材3の外側から係止孔3dを介して係止片12を押圧して本体部11内に没入させることができ、操作片13がなくても支持部材3から固定部材10Bを容易に取外すことができるようになっている。
【0056】
このように、図6及び図7の例では、上記と同様の作用効果を奏することができる他に、支持部材3に固定部材10の本体部11が通過可能な切欠部3cを形成したり、固定部材10Bの係止片12を挿入可能な係止孔3dを形成したりしており、固定部材10,10Bにおける支持部材3の長手方向を向いた部位が切欠部3cや係止孔3dに当接することで固定部材10,10Bが支持部材3の長手方向へ移動してしまうのを阻止することができるので、固定部材10,10Bとは別に太陽電池モジュール1を支持部材3に固定して支持部材3に沿って移動するのを防止する構成を備える必要がなく、太陽電池モジュール1が支持部材3に沿って移動するのを簡単に防止することができ、太陽電池モジュール1の施工性を高めることができる。
【0057】
更に、上記の実施形態では、固定部材10における係止片12を本体部11と一体的に連結されたものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図8に示すように、係止片12を本体部11と別体に構成した固定部材10Cとしても良い。ここで、図8は、図1とは異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を、板状モジュールを省略した状態で示す正面断面図である。なお、上記の例と同様の構成については同一の符号を付すと共に、同一の構成の部位については詳細な説明を省略する。
【0058】
図8の例の固定部材10Cは、一対の係止片12がブロック状に形成されていると共に本体部11内でその長手方向(支持部材3の延びた方向に対して直角方向)へ摺動可能とされており、一対の係止片12の間に係止片12同士を離反する方向へ付勢する弾性部材16(本例では、コイルバネ)を備えている。なお、固定部材10Cは、本体部11内に係止片12の突出端を規制するストッパ11bを備えており、このストッパ11bに係止片12が当接することで、弾性部材16の弾性力(付勢力)により係止片12が本体部11から抜けないようになっている。図8の例でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
また、上記の実施形態では、板状モジュールとしての太陽電池モジュール1を、支持部材3の載置部3bと固定部材10の支持片15との間で挟持して固定するものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図9に示すような、固定部材10Dに太陽電池モジュール1を載置する載置片17を備えて載置片17と支持片15との間で太陽電池モジュール1を支持(挟持)するようにしても良い。ここで、図9は、図1とは更に異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を示す側面断面図である。なお、上記の例と同様の構成については同一の符号を付すと共に、詳細な説明は省略する。
【0060】
この例の固定部材10Dは、図9に示すように、支持部材3上に載置される板状の載置片17と、載置片17における支持部材3の延びた方向の略中央から上方へ延出する軸部14と、軸部14の上端から載置片17と略並行に両側へ延びた支持片15と、を備えており、軸部14付近における載置片17の下面から下方へ突出し支持部材3内に挿入される本体部11と、本体部11の両端から外方へ突出し支持部材3における載置部3bの下面と係止可能とされた一対の係止片12と、を備ている。
【0061】
また、固定部材10Dは、載置片17における軸部14を挟んで両側に形成され上下方向へ貫通した一対の貫通孔17aと、一対の貫通孔17aに下側から挿入され軸部14を挟んで両側に支持された太陽電池モジュール1同士を電気的に接続するアース金具20と、を備えている。この一対の貫通孔17aは、軸部14を挟んで一方側(軒側)が軸部14から離れた位置に、他方側(棟側)が軸部14の面に沿った位置に夫々形成されている。また、アース金具20は、一対の貫通孔17aを夫々通過して載置片17よりも上側へ延出する一対の立上り部21と、立上り部21の上端に形成され太陽電池モジュール1の枠体1bに突き刺さる突刺し部22と、立上り部21の下端同士を連結する連結部23と、を備えている。
【0062】
このアース金具20は、一方側の貫通孔17aに挿入される立上り部21が太陽電池モジュール1の下面付近までの高さとされ上端の突刺し部22が上方へ向かって尖るように形成されていると共に、他方側の貫通孔17aに挿入される立上り部21が太陽電池モジュール1の下面よりも上側へ延びた高さとされ上端の突刺し部22が軸部14とは反対方向へ向かって尖るように形成されており、夫々の突刺し部22が枠体1bの表面の絶縁性被膜を突き破って導電性の部位に到達するようになっている。なお、アース金具20は、ステンレス鋼等の硬質の金属材によって形成されている。
【0063】
図9の例でも、上記と同様の作用効果を奏することができる他に、アース金具20により固定部材10Dの軸部14を挟んで両側に固定した太陽電池モジュール1同士を電気的に接続することができるので、アース接続にかかる手間を簡略化することができ、太陽電池モジュールの施工性を高めてコストを低減させることができる。なお、図示は省略するが、固定部材10Dにおける載置片17の底面を、固定部材10Dを支持部材3へ係止・固定するまえの状態で軸部14の直下が両端よりも高くなるような湾曲又は屈曲した形状とすると共に、支持部材3へ固定することで載置片17の底面が直線的な真直ぐな形状に変形するようにしても良く、これにより、固定部材10Dを支持部材3へ固定すると、載置片17の変形に伴って軸部14を介して支持片15が下方へ移動することとなるので、支持片15と載置片17とによって太陽電池モジュール1を挟持することができ、固定部材10Dによって太陽電池モジュール1をより頑丈に固定することができる。
【0064】
また、上記の実施形態では、一つの固定部材10で二つの太陽電池モジュール1(板状モジュール)を固定できるものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図10に示すような、一つの太陽電池モジュール1のみを固定できる固定部材10Eとしても良い。ここで、図10(A)は、図1とは更に異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を示す側面断面図であり、(B)は(A)の正面断面図であり、(C)は(A)を分解して示す側面断面図である。なお、上記の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付すと共に、詳細な説明は省略する。
【0065】
図10の例は、既存の太陽電池モジュール1には枠体1bの下面等に取付用等の様々な枠孔1dが予め形成されており、それら枠孔1dを用いて太陽電池モジュール1を支持部材3へ固定するようにしたものである。この例に用いる固定部材10Eは、図示するように、上部が太陽電池モジュール1における枠体1bの底片1eに形成された枠孔1d内に挿入可能とされると共に上部よりも下側が開口部3aを通して支持部材3内に挿入可能とされた本体部11と、本体部11における支持部材3内に挿入される部位の両端から外方へ突出し支持部材3に係止可能とされた一対の係止片12と、本体部11における枠体1b内に挿入される部位の両端から外方へ突出し枠体1bと係止して支持可能とされた支持片15と、を備えている。
【0066】
固定部材10Eの本体部11は、図10(B)等に示すように、正面視で枠体1b内に挿入される上部が矩形状とされると共に、支持部材3内に挿入される下部が矩形状の上部から下方へ向かうに従って両側へ広がった三角形状とされており、上下方向が貫通した筒状で両側面に開口11aが形成されている。また、固定部材10Eの係止片12は、本体部11よりも外方に位置する上端に形成され支持部材3における載置部3bの下面と当接する係止部12aと、係止部12aから下方へ向かうに従って本体部11側へ傾斜し下端が本体部11における開口11aの下辺と接続された傾斜面12bと、を備えている。更に、固定部材10Eの支持片15は、本体部11における矩形状の上部よりも外方に位置する下端に形成され枠体1bにおける底片1eの上面と当接する支持部15bと、支持部15bから上方へ向かうに従って本体部11側へ傾斜し上端が本体部11における開口11aの上辺と接続された傾斜面15cと、を備えている。
【0067】
この固定部材10Eは、係止片12の下端及び支持片15の上端が夫々本体部11と連続した部位が弾性変形可能とされており、通常時は夫々の上端及び下端が本体部11(開口11a)から外方へ突出した状態となっていると共に、一対の係止片12及び支持片15に対して互いに接近する方向(本体部11の方向)へ力を作用させることで、それらの弾性力に抗して係止片12及び支持片15を、開口11aを通して本体部11内に没入させることができるようになっている。
【0068】
これにより、固定部材10Eの本体部11の上部を、太陽電池モジュール1における枠体1bの下側から枠孔1d内へ挿入すると、支持片15の傾斜面15cが枠孔1dの辺縁に当接することで支持片15が本体部11側へ押されることとなり、支持片15が弾性力に抗して本体部11側へ移動し、本体部11の上部が枠孔1dを通過し、傾斜面15cと枠孔1dの当接が無くなると、支持片15が弾性力により復帰して支持片15の支持部15bが枠体1bにおける底片1eの上面に対して当接可能な状態となる。一方、固定部材10Eの本体部11の下部を、上側から開口部3aを通して支持部材3内へ挿入すると、係止片12の傾斜面12bが開口部3aの辺縁に当接することで係止片12が弾性力に抗して本体部11側へ移動し、本体部11の下部が支持部材3内に挿入されて傾斜面12bと辺縁との当接が無くなると、係止片12が弾性力により復帰して支持部材3における載置部3bの下面と当接可能な状態となる。
【0069】
従って、図10の例によると、固定部材10Eの係止片12と支持片15を夫々支持部材3と太陽電池モジュール1の枠孔1dに係止させることで、ボルト・ナット等を用いなくても太陽電池モジュール1を支持部材3へ簡単に固定することができ、太陽電池モジュール1の施工性を高めてコストを低減させることができる。
【0070】
更に、上記の実施形態では、固定部材10を太陽電池モジュール1(板状モジュール)とは別体のものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図11に示すように、太陽電池モジュール1に固定部材10Fを一体的に形成するようにしても良い。ここで、図11は、図1とは更に異なる実施形態の板状ジュールの固定構造を、部分的に分解して示す側面断面図である。この例では、図11に示すように、太陽電池モジュール1における枠体1bの下面の所定位置に固定部材10Fが一体的に備えられており、固定部材10Fは、枠体1bから下方へ突出した本体部11と、本体部11における支持部材3が延びた方向に対して直角方向の両端から外方へ突出し支持部材3に係止可能とされた係止片12と、を備えている。
【0071】
図11の例の固定部材10Fは、係止片12が、上端に本体部11よりも外方に位置し支持部材3における載置部3bの下面と当接する係止部12aと、係止部12aから下方へ向かうに従って本体部11側へ傾斜し下端が本体部11における開口11aの下辺に対して弾性変形可能に接続された傾斜面12bと、を備えており、弾性力に抗することで係止片12が本体部11内へ没入可能とされている。従って、上記と同様に太陽電池モジュール1の下面から突出した固定部材10Fを、開口部3aを通して支持部材3内に挿入することで、固定部材10Fの係止片12が支持部材3における載置部3bの下面に係止され、太陽電池モジュール1を簡単に支持部材3へ固定することができ、太陽電池モジュールの施工性を向上させることができる。
【0072】
また、上記の実施形態では、太陽電池モジュール1を設置するための支持部材3として、太陽電池モジュール1(板状モジュール)の短辺よりも長い桟状のものを示したが、これに限定するものではなく、板状モジュールの短辺よりも短い(例えば、100mm〜200mm)支持部材としても良く、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0073】
また、上記の実施形態では、板状モジュールとして太陽電池モジュール1を用いた例を示したが、これに限定するものではなく、板状モジュールとして太陽熱温水器パネル、太陽熱集熱パネル、防音パネル、遮光パネル、等を用いるようにしても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 太陽電池モジュール(板状モジュール)
1A 太陽電池モジュール
1a 太陽電池パネル
1b 枠体
1c 爪部
1d 枠孔
2 屋根材
3 支持部材
3a 開口部
3b 載置部
3c 切欠部
3d 係止孔
10 固定部材
10A 固定部材
10B 固定部材
10C 固定部材
10D 固定部材
10E 固定部材
10F 固定部材
11 本体部
11a 開口
12 係止片
12a 係止部
12b 傾斜面
13 操作片
14 軸部
15 支持片
15a 垂下部
15b 支持部
15c 傾斜面
16 弾性部材
17 載置片
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2008−101466号公報
【特許文献2】特開2008−303660号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状モジュールの側辺から少なくとも一部が下方へ突出した本体部と、
該本体部から互いに背向するように外方へ突出すると共に、弾性力に抗することで該本体部内に没入可能とされた一対の係止片と
を備えた固定部材を具備し、
該固定部材における一対の前記係止片を屋根材上に取付けられた前記支持部材の長手方向に対して略直角方向を向くように配置した上で、前記係止片が前記支持部材内に位置するように前記本体部の少なくとも一部を上側から前記支持部材内に挿入すると共に、一対の前記係止片を前記支持部材に係止させることで前記板状モジュールを前記支持部材に固定したことを特徴とする板状モジュールの固定構造。
【請求項2】
前記固定部材は、
前記係止片の側面が下方へ向かうに従って前記本体部側へ接近するように斜めに傾斜した傾斜面とされていることを特徴とする請求項1に記載の板状モジュールの固定構造。
【請求項3】
前記固定部材は、
前記係止片の上端と前記本体部内で連結され、前記係止片よりも上側で前記本体部から外方へ突出した操作片を更に備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の板状モジュールの固定構造。
【請求項4】
前記固定部材は、
前記板状モジュールとは別体とされ、
前記本体部の上部に配置され板状モジュールの側辺を支持する支持片を更に備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の板状モジュールの固定構造。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−41689(P2012−41689A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181807(P2010−181807)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(391013162)株式会社屋根技術研究所 (38)
【Fターム(参考)】