説明

果実包装用トレイ

【課題】単位数毎の小トレイに容易に分離できる果実包装用トレイで、果実の収納、出荷、輸送等の取り扱いにおける折れ曲がりや破断を防止でき、不用意に分離するおそれなく使用できるものを提供する。
【解決手段】縦横複数列の収納凹部の単位数毎に小トレイaとして区分し、各小トレイ間の仕切壁部2,3に分離のための断続線状の切込み線5を形成した果実包装用トレイAにおいて、切込み線5は、隣接する小トレイa,a間で直線状をなし、四つの小トレイaの隅角部が集まる仕切壁部2,3の交差部4では、平面視で円弧状を基本とする屈曲連続状をなして縦横に連続し、屈曲連続状の切込み線部分51によって囲まれた小領域7を画成するように形成し、この小領域7を、屈曲連続状の切込み線部分51に形成されている接続部5b−1により四つの小トレイaの隅角部と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柿、リンゴ、桃等の各種果実の出荷、輸送及び販売等に用いる果実包装用トレイ、特には、収納凹部を単位数毎の小トレイに分離可能な果実包装用トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の果実の出荷、輸送及び販売等のための包装においては、果実の取り扱いを容易にするとともに、果実同士の接触や他物との接触による損傷を防止し保護する目的で、合成樹脂発泡シートを素材として、果実を個装状態に収納保持できる複数の果実の収納凹部を形成してなる包装用トレイが使用されてている。通常、該包装用トレイに果実を収納した状態で段ボール箱に収納され包装されて出荷される。
【0003】
かかる果実包装用トレイにおいては、出荷、輸送に使用された該トレイを、果実の小売り販売等の際にもその保護機能を利用するために、1個又は2個や4個等の販売のための単位数毎の小トレイの容器に分離し、そのまま販売に供することが行われている。
【0004】
そのため、複数の収納凹部を縦横複数列に形成した果実包装用トレイにおいて、前記収納凹部の周りあるいは小トレイ同士の間の仕切壁部に分離用の断続線状の切込み線を形成し、該切込み線により前記小トレイの容器に容易に分離できるようにしたトレイが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
ところで、合成樹脂発泡シート製の包装用トレイの場合、前記仕切壁部に形成される断続線状の切込み線は、切目と切目の間の接続部の幅が大きいほど、破断に対する強度が高くなって分離し難くなり、無理に分離させると、該接続部の破れが前記仕切壁部の少なくとも一方の小トレイの収納凹部にまで及び、小トレイの外観的体裁を損なったり、該破断部のために小トレイの強度が低下する虞がある。
【0006】
そのため、前記断続線状の切込み線の接続部は、分離の容易性の点からは幅はある程度小さいものが望ましいが、前記断続線状の接続部の幅が小さくなると、分離は容易である反面、果実収納時、包装作業時や輸送時あるいは空トレイの取り扱いにおいて、前記接続部が不用意に破断して分離してしまう虞がある。
【0007】
特に、小トレイ同士の間の仕切壁部に形成された縦横の切込み線が、仕切壁部の交差部で交差して縦横に一直線状に形成されているため、該切込み線の部分で折れ曲がりが生じ易くて、トレイの取り扱い作業上や輸送上において求められる保形性を確保できず、また前記の折れ曲がりのために切込み線の接続部が破断し易くなるものである。
【特許文献1】実開昭57−137174号公報
【特許文献2】実開平5−618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、分離するまでのトレイ全体の保形性を良好に確保できて、果実の収納、出荷、輸送上の取り扱い及び空トレイの取り扱いにおける折れ曲がりや破断を防止できて、不用意に分離するおそれなく使用でき、しかも単位数毎の小トレイに容易に分離できる果実包装用トレイを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の果実包装用トレイは、合成樹脂発泡シートから成形され、全体として平面矩形の外形をなし、果実を収納する収納凹部が仕切壁部を介して縦横複数列に並列して連接形成されるとともに、前記収納凹部の単位数毎に小トレイとして区分され、各小トレイ間の縦横の仕切壁部には各小トレイ毎に分離可能な断続線状の切込み線が形成されてなる果実包装用トレイであって、前記切込み線は、隣接する前記小トレイ間では直線状をなし、四つの前記小トレイの隅角部が集まる縦横の仕切壁部の交差部では、平面視で斜状又は円弧状を基本とする屈曲連続状をなして縦横に連続して、該交差部の中央部に四つの前記屈曲連続状の切込み線部分によって囲まれた小領域を画成しており、該小領域が、前記屈曲連続状の切込み線部分に形成されている接続部により前記四つの小トレイの隅角部と接続されてなることを特徴とする。
【0010】
この果実包装用トレイによれば、各小トレイに分離するための断続線状の切込み線は、縦横の仕切壁部の交差部において、屈曲連続状をなして縦横に連続して、該屈曲連続状の切込み線部分で区画された小領域を画成して、縦方向又は横方向の一直線状には不連続であり、しかも四つの各小トレイの隅角部が前記小領域を介して相互に連結された状態であるため、隣接する小トレイ間の直線状の切り込み線部分では接続部の幅が比較的破断し易いものであっても、該切込み線の部分での折れ曲がりが生じ難く、トレイ全体としての保形性が良好に確保され、果実収納時や包装作業時あるいは空トレイの取り扱いにおいて、切込み線の接続部が不用意に破断され小トレイが分離されてしまう虞がない。
【0011】
しかも、各小トレイ毎に分離する際には、外周縁部の切込み線の部分から隣接する小トレイ間の直線状の切り込み線部分を破断し、さらに前記小領域の部分を切り取ることにより、各小トレイに容易に分離できることになる。
【0012】
特に、前記断続線状の切込み線において、前記屈曲連続状の切込み線部分に形成された一つの接続部の幅が、隣接する前記小トレイ間の直線状の切込み線部分に形成された接続部の幅より大きいものであるのが好ましく、この場合、前記小領域を介して連結される四つの小トレイの隅角部同士の連結強度が増すことで、トレイ全体としての安定性が良好に保持される。
【0013】
また、前記断続線状の切込み線において、屈曲形状の各切込み線部分には、複数の接続部が、隣接する前記小トレイ間の直線状の切込み線部分に形成された複数の接続部間よりも狭い間隔で形成されてなるものとすることもでき。この場合も、前記小領域を介して連結される四つの小トレイの隅角部同士の連結強度が増し、トレイ全体としての安定性がさらに良好に保持される。
【0014】
また、前記の果実包装用トレイの外周縁部において、隣接する前記小トレイ間の断続線状の切込み線が、平面視で斜状もしくは円弧状を基本とする屈曲連続状をなして前記両小トレイの外周縁に連続して、前記両小トレイ間の部分に二つの前記屈曲連続状の切込み線部分によって小領域が画成され、該小領域が、前記屈曲連続状の各切込み線部分に形成されている接続部により前記両小トレイの隅角部と連結されているものとすることもできる。
【0015】
この場合、分離のための切込み線は、トレイの外周縁部においても、縦方向又は横方向の一直線状には不連続になっていて、隣接する小トレイの隅角部が前記小領域を介して相互に連結された状態であるため、トレイ全体の保形性を良好に保持できる。そして、各小トレイに分離する際には、前記外周縁部の小領域を切り取って隣接する小トレイ間の直線状の切り取り線部分から破断することにより、各小トレイに容易に分離することができる。
【0016】
前記のいずれの発明の場合も、合成樹脂発泡シートとしては、ポリスチレン系樹脂発泡シートであるものが、緩衝性及び切込み線からの破断、分離の容易性の点から好ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記のように本発明の果実包装用トレイによれば、隣接する小トレイ間の直線状の切り込み線部分の接続部が比較的破断し易いものであっても、分離するまでのトレイ全体の保形性を良好に確保できて、その前記切込み線の部分からの折れ曲がりや折れ曲がりによる破断を防止でき、果実の収納、出荷、輸送及び空トレイの取り扱いにおいて不用意に分離してしまう虞がなく、該トレイの取り扱い作業性を向上できる。しかも、前記のように不用意な折れ曲がりを防止できることで、前記切込み線の接続部、特には隣接する小トレイ間の直線状の切込み線部分の接続部を、比較的破断し易いものとすることができるため、収納凹部の単位数毎の小トレイに分離するのも容易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施例の果実包装用トレイを示す斜視図、図2は同上の平面図、図3は同上の断面図、図4は縦横の仕切壁部の交差部の拡大平面図、図5は交差部の屈曲連続状の切込み線部分の変更例を示す一部の拡大平面図、図6はトレイ外周縁部の一部の拡大平面図である。図7は同上の果実包装用トレイの分離した小トレイの斜視図である。
【0020】
本発明の果実包装用トレイAは、適度の弾力性及び保形性を有する熱可塑性の合成樹脂発泡シート、例えばポリスチレン系樹脂の発泡シート等の合成樹脂発泡シートから真空成形、圧空成形等の熱成形加工の手段により一体に成形されてなる。
【0021】
この果実包装用トレイAは、全体として平面における外形が略矩形をなし、果実(図示省略)を個装状態に収納保持できる所要数の収納凹部1が縦横にそれぞれ所要の間隔をおいて複数列に並列してかつ仕切壁部2,3を介して連接形成されている。前記トレイAは小売り販売の際の前記収納凹部1の単位数、例えば図1〜図7のように四つを単位数とする小トレイaに区分され、各小トレイa,a間の縦横の仕切壁部2,3にはその上面の幅の中央ラインに沿って各小トレイa毎に分離可能な断続線状の切込み線、すなわち線状の切込みによる切断部5aが破断が可能な幅の接続部5b−1,5b−2を介して断続する切込み線5が形成されている。
【0022】
前記断続線状の切込み線5は、隣接する前記小トレイa,a間では直線状をなし、また四つの小トレイaの平面外形における隅角部が集まる縦横の仕切壁部2,3の交差部4では、平面視で例えば図のように円弧状を基本とする屈曲連続状をなして縦横に連続、つまり縦方向から横方向に、あるいは横方向から縦方向に連続しており、該屈曲連続状の切込み線部分51が前記四つの小トレイaの隅角部の外形を画成するとともに、該交差部4の中央部に、四つの前記屈曲連続状の切込み線部分51によって囲まれた平面が星形をなす小領域7を画成している。前記小領域7は、前記屈曲連続状の各切込み線部分51に形成された少なくとも一つの接続部5b−1により前記四つの小トレイaの隅角部とそれぞれ接続されており、これにより、前記四つの各小トレイaの隅角部が前記小領域7を介して相互に連結されている。すなわち、前記小領域7が四つの各小トレイaの隅角部の間に介在する連結用部片としての役目を果たすように形成されている。52は隣接する小トレイa,a間の直線状の切込み線部分を示す。
【0023】
前記切込み線5において、前記切断部5aの長さ(接続部と接続部の間の距離)、及び前記接続部5b−1,5b−2の切込み線方向の幅(切断部と切断部の間の距離)は、合成樹脂発泡シートの材質や発泡倍率及び厚み等に応じて、各小トレイaに破断し分離することができる範囲内で適宜設定でき、通常、前記小領域を除く直線部分の前記切断部5aの長さLは、10〜60mmの範囲、また前記接続部5b−1,5b−2の幅W1,W2は、0.5〜4.0mmの範囲に設定される。
【0024】
また、前記屈曲連続状の切込み線部分51の接続部5b−1、及び、前記直線状の切込み線部分52の接続部5b−2については、同一の幅であってもよいが、実施上は、図4のように、前記屈曲連続状の切込み線部分51の前記接続部5b−1の幅W1を、前記直線状の切込み線部分52に形成された接続部5b−2の幅W2より大きくしておくのが好ましい。これにより、前記小領域7と四つの小トレイaの隅角部との接続強度が、前記直線状の切込み線部分52の接続部5b−2による接続強度より大きくなり、前記小領域7を介して前記四つの小トレイaの連結強度が高められ、小トレイaに分離するするまでのトレイ全体の保形性が良好に保持される。例えば、前記直線状の切込み線部分52の接続部5b−2の幅W2が0.5〜3.0mmの場合、前記屈曲連続状の切込み線部分51の接続部5b−1の幅W1を前記幅W2よりやや大きくし、0.8〜4.0mm程度に設定する。
【0025】
また、前記屈曲連続状の切込み線部分51において、図5のように、複数の接続部5b−1を、前記直線状の切込み線部分52に形成された複数の接続部5b−2,5b−2間よりも狭い間隔で形成して、該小領域7と各小トレイaの隅角部との接続強度を、前記直線状の切込み線部分5bにおける接続部52bによる接続強度よりも大きくすることもでき、この場合も、前記と同様に、小トレイに分離するまでの保形性が良好に保持される。
【0026】
さらに、前記果実包装用トレイAの外周縁部においては、図6に拡大して示す実施例のように、隣接する二つの小トレイa,a間に形成された断続線状の切込み線5が、平面視で例えば円弧状を基本とする屈曲連続状をなして両小トレイa,aの外周縁に連続して、該両小トレイa,aの隅角部の外形を形成するとともに、トレイ外周縁部に、前記二つの屈曲連続状の切込み線部分51’によって囲まれた平面略三角状の小領域8を画成しておくことができる。この場合、前記屈曲連続状の各切込み線部分51’に形成された少なくとも1つの接続部5b−1により、前記小領域8と前記両小トレイaの隅角部とを接続して、前記隣接する小トレイa,aを外周縁部においても前記小領域8を連結用部片として介在させて連結する。
【0027】
これにより、前記果実包装用トレイA全体の保形性をさらに向上でき、果実収納及び包装作業時や輸送中あるいは空トレイの取り扱い等における前記切り込み線5の部分からの折れ曲がり及び分離の防止効果を高めることができる。図1及び図2のように、前記平面略三角状の小領域8を切除して略V字状に切欠しておくと、小トレイa毎の分離が容易になるが、トレイA全体の保形性の点では、前記のように小領域8を連結用部片として残存させておくのが好ましい。
【0028】
前記外周縁部の屈曲連続状の切込み線部分51’についても、接続部5b−1の幅および間隔等は前記交差部4における屈曲連続状の切込み線部分51の接続部5b−1と同様に形成して実施できる。
【0029】
なお、前記屈曲連続状の切込み線部分51が円弧状をなす場合、その半径は中央部に平面星形の小領域7を残存させることができるものであれば、任意に設定できるが、前記切り込み線部分51では収納凹部1の開口端からの距離が、直線状の切込み線部分5bでの収納凹部1の開口端からの距離より大きくしておくのが、前記のように前記切り込み線部分51の接続部5b−1の幅を大きくした場合にも、該接続部5b−1の破断の影響を受け難く、より好ましい。
【0030】
前記縦横の仕切壁部2,3の交差部4における屈曲連続状の切込み線部分51が平面視で円弧状をなし、切込み線5で分離される前記小トレイaの外形における四隅部が円弧状をなすように形成されていると、分離された各小トレイaの各隅角部が円弧状の丸みを呈するものとなり、小売り販売にそのまま好適に使用できる。例えば、図7の鎖線で示すように、合成樹脂製の透明容器で、四隅部に円弧状の丸みが付いている容器20に、果実を収納保持した前記小トレイaをそのまま収容して、小売り販売に供することが問題なく可能になる。
【0031】
また、前記縦横の仕切壁部2,3の交差部4における屈曲連続状の切込み線部分51を、曲率の小さい円弧状にしたり、図8のように、斜状を基本として縦横の直線状の切込み線部分52に連続する形状にして、上記同様に実施することができる。この場合、前記交差部4には、平面菱形の小領域7が残存形成され、該切込み線部分51の接続部5b−1により4つの小トレイaの隅角部が前記小領域7を介して連結されることになる。外周縁部において隣接する小トレイa,a間における屈曲連続状の前記切込み線部分51’についても、前記同様に、曲率の小さい円弧状あるいは斜状に形成できる。
【0032】
図9は、縦横に並列する前記収納凹部1の二つを単位数とする小トレイaに区分して、各小トレイa,a間の縦横の仕切壁部2,3に、上記した実施例と同様の断続線状の切込み線5を形成した場合を示している。
【0033】
この実施例の場合、小トレイaが二つの収納凹部1を単位数とする以外は、上記した実施例と同様であり、同構成部分に同符号を付して、その詳しい説明を省略するが、図示するように、前記断続線状の切込み線5は、隣接する前記小トレイa,a間では直線状をなし、四つの前記小トレイaの隅角部が集まる縦横の仕切壁部2,3の交差部4では、平面視で円弧状を基本とする屈曲連続状をなして縦横に連続し、該屈曲連続状の切込み線部分51が前記四つの小トレイaの隅角部の外形を画成するとともに、該交差部4の中央部に四つの前記屈曲連続状の切込み線部分51によって囲まれた平面星形の小領域7を画成しており、前記小領域7が、前記屈曲連続状の各切込み線部分5aに形成された少なくとも一つの接続部5b−1により前記四つの小トレイaの隅角部とそれぞれ接続されており、これにより、前記四つの各小トレイaの隅角部が前記小領域7を介して相互に連結されている。
【0034】
本発明の果実包装用トレイAの構成素材の合成樹脂発泡シートとしては、種々の熱可塑性の合成樹脂発泡シートを使用できるが、特には、適度に剛性及び弾力性があって緩衝性もよくて、しかも破断性もよいポリスチレン系樹脂の発泡シート、すなわち、ハイインパクトポリスチレン、ポリスチレン及びスチレンを主体とする共重合体等のポリスチレン系樹脂の発泡シートを好適に用いることができる。また、必要に応じて、前記発泡シートの表面に非発泡樹脂の表皮層を形成しておくこともできる。前記発泡シートの厚みは、素材によっても異なるが、例えば1.0〜6.0mm、好ましくは2.0〜5.0mmのものであり、発泡倍率は5〜20倍の範囲が好適に用いられる。
【0035】
本発明の果実包装用トレイAは、各種の果実の出荷、輸送の際、各収納凹部1に果実を個装状態に収納した状態で、段ボール箱等に収容して梱包し、果実同士の接触や他物との接触による損傷を防止し保護するのに使用する。
【0036】
特に、この使用において、本発明の果実包装用トレイAは、各小トレイaに分離するための断続線状の切込み線5が、経横の仕切壁部2,3の交差部4において、屈曲連続状をなして縦横に連続し、該屈曲連続状の切込み線部分51で区画された小領域7を画成していて、縦方向又は横方向の一直線状には不連続であり、しかも、四つの各小トレイaの隅角部が前記小領域7を介して相互に連結された状態であるため、隣接する小トレイa,a間の直線状の切り込み線部分52では接続部5b−2の幅が比較的破断し易いものであっても、該切込み線5での折れ曲がりが生じ難くなっており、したがってトレイAの全体としての保形性が良好に保持され、果実収納及び包装作業時や輸送時あるいは空トレイの取り扱いにおいて、切込み線5の接続部5b−1,5b−2が不用意に破断され小トレイaが勝手に分離されてしまう虞がない。特に、外周縁部の隣接する小トレイa,a間の部分においても、小領域8を形成するように屈曲連続状に形成されている場合、前記の折れ曲がりや破断防止の効果は大きくなる。
【0037】
しかも、輸送先での小売り販売において、前記各小トレイa毎に分離する際には、外周縁部の切込み線5の部分から隣接する小トレイa,a間の直線状の切り込み線部分52を破断して、前記小領域7の部分を切り取り、各小トレイa毎に分離することができる。外周縁部の切込み線5の部分に小領域8が形成されている場合は、該小領域8を切り取って、前記同様に分離することができる。また、この際、前記小領域7及び小領域8の切り取りの際、前記屈曲連続状の切込み線部分51に形成された接続部5b−1が小トレイaの隅角部に接続されていることもあって、該接続部5b−1の破断が収納凹部1の部分には及び難く、強度が低下する虞もない。
【0038】
前記のように分離された小トレイaは、そのまま小売り販売に利用され、例えば小トレイaのままで店頭に陳列されるか、あるいは図7の鎖線のように透明容器20に収容されて店頭に陳列使用される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の果実包装用トレイは、柿、リンゴ、梨、桃等の各種果実の出荷、輸送等に用いる果実包装用トレイ、特には小売り販売の際に収納凹部を単位数毎の小トレイに分離して使用できる果実包装用トレイとして好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例の果実包装用トレイを示す斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上の断面図である。
【図4】縦横の仕切壁部の交差部の拡大平面図である。
【図5】交差部の屈曲連続状の切込み線部分の変更例を示す一部の拡大平面図である。
【図6】トレイ外周縁部の一部の拡大平面図である。
【図7】同上の果実包装用トレイの分離した小トレイの斜視図である。
【図8】交差部の屈曲連続状の切込み線部分の他の例を示す一部の拡大平面図である。
【図9】さらに他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
A…果実包装用トレイ、a…小トレイ、1…収納凹部、2,3…縦横の仕切壁部、4…交差部、5…切込み線、51…屈曲連続状の切込み線部分、52…直線状の切込み線部分、5a…切断部、5b−1…屈曲連続状の切込み線部分の接続部、5b−2…直線状の切込み線部分の接続部、7…縦横の交差部の小領域、8…外周縁部の小領域、20…透明容器、L…切断部の長さ、W1,W2…接続部の幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂発泡シートから成形され、全体として平面矩形の外形をなし、果実を収納する収納凹部が仕切壁部を介して縦横複数列に並列して連接形成されるとともに、前記収納凹部の単位数毎に小トレイとして区分され、各小トレイ間の縦横の仕切壁部には各小トレイ毎に分離可能な断続線状の切込み線が形成されてなる果実包装用トレイであって、
前記切込み線は、隣接する前記小トレイ間では直線状をなし、四つの前記小トレイの隅角部が集まる縦横の仕切壁部の交差部では、平面視で斜状又は円弧状を基本とする屈曲連続状をなして縦横に連続して、該交差部の中央部に四つの前記屈曲連続状の切込み線部分によって囲まれた小領域を画成しており、該小領域が前記屈曲連続状の切込み線部分に形成されている接続部により前記四つの小トレイの隅角部と接続されてなることを特徴とする果実包装用トレイ。
【請求項2】
前記断続線状の切込み線において、屈曲連続状の各切込み線部分に形成された前記接続部の幅が、隣接する前記小トレイ間の直線状の切込み線部分に形成された接続部の幅より大きい請求項1に記載の果実包装用トレイ。
【請求項3】
前記断続線状の切込み線において、屈曲連続状の各切込み線部分には、複数の接続部が、隣接する前記小トレイ間の直線状の切込み線部分に形成された複数の接続部間よりも狭い間隔で形成されてなる請求項1に記載の果実包装用トレイ。
【請求項4】
トレイの外周縁部において、隣接する前記小トレイ間の断続線状の切込み線が、平面視で斜状もしくは円弧状を基本とする屈曲連続状をなして前記両小トレイの外周縁に連続して、前記両小トレイ間の部分に二つの前記屈曲連続状の切込み線部分によって小領域が画成され、該小領域が、前記屈曲連続状の各切込み線部分に形成されている接続部により前記両小トレイの隅角部と連結されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の果実包装用トレイ。
【請求項5】
前記合成樹脂発泡シートが、ポリスチレン系樹脂の発泡シートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の果実包装用トレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−155989(P2008−155989A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350029(P2006−350029)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】