説明

架台用桟部材の支持部材、及び、太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の支持構造

【課題】太陽エネルギー利用装置を屋根などに設置するための架台を構成する桟部材の固定構造に関連し、桟部材(架台用桟部材)を屋根に設置するための新規な技術を提案する。
【解決手段】装置を設置する架台を構成する架台用桟部材としての縦桟部材10の支持部材30であって、前記架台用桟部材の側面部10a・10bに対向する支持部30a・30bと、前記支持部30a・30bに設けられる貫通孔部31a・31bであって、前記架台用桟部材側に設けられる固定部材としての締結用仕組43を止め付けるための貫通孔部31a・31bと、前記支持部30a・30bに設けられる切欠部32a・32bであって、前記支持部30a・30bの外側から前記貫通孔部31a・31b内へと通じる切欠部32a・32bと、を有する支持部材30とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根などに設置される太陽電池パネルなどの太陽エネルギー利用装置に関するものであり、より詳しくは、これら太陽エネルギー利用装置を屋根などに設置するための架台を構成する桟部材を支持するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の屋根などに設置される太陽電池パネルなどの太陽エネルギー利用装置において、屋根の上に支持部材を設置し、この支持部材にて桟部材を支持し、桟部材の上に太陽電池パネルなどを並べて配置する構成が知られており、関連する技術について開示する文献も存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に開示される技術は、支持部材を屋根の傾斜方向に複数箇所に設置するとともに、複数の支持部材にて長尺の桟部材を支持する構成とするものである。桟部材には、溝部(第一保持部)が形設され、この溝部に六角ナット(第一締結部材)が回転不能かつスライド可能に挿入される構成としている。また、支持部材の支持片には、長ボルトを挿入するための支持孔が形成されており、六角ナットを支持孔の位置に合わせるとともに、支持部材の外側から長ボルト(被第一締結部材)を支持孔に挿入し、六角ナットに螺合させることで、支持部材に対して桟部材が固定される構成となっている。また、六角ナットには操作部が設けられ、この操作部を持つことで、溝部の中にある六角ナットをスライドさせることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−261257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示される構成を用いて施工を行う場合、長尺の桟部材の溝部内において六角ナットを移動させる必要があり、施工時間が多くかかってしまうことになる。また、操作部を有する専用の六角ナットを準備する必要があり、汎用性のある六角ナットを用いる場合と比較して製作の手間や、割高なコストが発生することになってしまう。
【0006】
また、屋根の上といった高所において、手指を用いて小さい六角ナットを溝に挿入する細かな手作業、六角ナットをスライドさせるといった細かな手作業、さらには、ボルトにスプリングワッシャー、平ワッシャー等を組み付け、溝に挿入した六角ナットにボルトを挿入するといった細かな手作業をする際には、部品を落下させないように注意を払うなど、より慎重になる必要があり、作業者に大きな負担を強いるとともに、作業時間も多く要してしまうことになる。
【0007】
そこで、本発明は以上の問題に鑑み、太陽エネルギー利用装置を屋根などに設置するための架台を構成する桟部材の固定構造に関連し、桟部材(架台用桟部材)を屋根に設置するための新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1に記載のごとく、
装置を設置する架台を構成する架台用桟部材の支持部材であって、
前記架台用桟部材の側面部に対向する支持部と、
前記支持部に設けられる貫通孔部であって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材を止め付けるための貫通孔部と、
前記支持部に設けられる切欠部であって、
前記支持部の外側から前記貫通孔部内へと通じる切欠部と、
を有する支持部材、とするものである。
【0010】
また、請求項2に記載のごとく、
前記支持部材の支持部は、間隔を開けて立設される二つの板状の部材にて構成され、
前記支持部の間に、前記架台用桟部材が挿入され得る、
構成とするものである。
【0011】
また、請求項3に記載のごとく、
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の支持構造であって、
前記架台用桟部材は、長尺部材の部材にて構成され、
前記架台用桟部材の側面には、長手方向に連続する溝部が形成され、
前記溝部には、前記架台用桟部材を支持する支持部材に対して止め付けるための固定部材が設けられ、
前記支持部材は、
前記架台用桟部材の側面部に対向する支持部と、
前記支持部に設けられる貫通孔部であって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材を止め付けるための貫通孔部と、
前記支持部に設けられる切欠部であって、
前記支持部の外側から前記貫通孔部内へと通じる切欠部と、
を有し、
前記固定部材が、
前記切欠部を通じることにより、前記貫通孔部内へと挿入される、
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の支持構造、とするものである。
【0012】
また、請求項4に記載のごとく、
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の設置方法であって、
前記架台用桟部材は、長尺部材の部材にて構成され、
前記架台用桟部材の側面には、長手方向に連続する溝部が形成され、
前記溝部には、前記架台用桟部材を支持する支持部材に対して止め付けるための固定部材が設けられ、
前記支持部材は、
前記架台用桟部材の側面部に対向する支持部と、
前記支持部に設けられる貫通孔部であって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材を止め付けるための貫通孔部と、
前記支持部に設けられる切欠部であって、
前記支持部の外側から前記貫通孔部内へと通じる切欠部と、
を有し、
前記固定部材を、前記架台用桟部材に対し仮固定する工程と、
前記仮固定した前記固定部材を緩める工程と、
緩めた前記固定部材を前記切欠部を通じて、前記貫通孔部内へと挿入する工程と、
前記貫通孔部内に挿入された前記固定部材により前記架台用桟部材を前記支持部材に対し止め付ける工程と、
を有する、太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の設置方法、とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
前記切欠部を通じて、固定部材を貫通孔部へと挿入するとともに、固定部材を用いて固定作業を完了することが可能となり、予め、架台用桟部材側に仮止めなどで設けられる固定部材の分解などが必要なくなる。そして、作業者においては、屋根の上などの高所作業においても、部品落下に注意を払わずに作業を行うことができ、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明においては、
架台用桟部材側に形成される溝部に対し、前記切欠部を対向させることが可能となり、溝部に設ける固定部材をスライドさせて貫通孔部内へと挿入するといったことが可能となる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明においては、
前記切欠部を通じて、固定部材を貫通孔部へと挿入するとともに、固定部材を用いて固定作業を完了することが可能となり、予め、架台用桟部材側に仮止めなどで設けられる固定部材の分解などが必要なくなる。そして、作業者においては、屋根の上などの高所作業においても、部品落下に注意を払わずに作業を行うことができ、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明においては、
前記切欠部を通じて、固定部材を貫通孔部へと挿入するとともに、固定部材を用いて固定作業を完了することが可能となり、予め、架台用桟部材側に仮止めなどで設けられる固定部材の分解などが必要なくなる。そして、作業者においては、屋根の上などの高所作業においても、部品落下に注意を払わずに作業を行うことができ、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の全体概要を示す図。
【図2】設置後における支持部材と、縦桟部材と、横桟部材の状態について示す図。
【図3】(a)は、軒側における太陽電池パネルの納まりについて示す図。(b)は、棟側における太陽電池パネルの納まりについて示す図。
【図4】(a)は、支持部材と縦桟部材の構成について示す斜視図。(b)は、支持部材に縦桟部材を固定した状態について示す斜視図。
【図5】支持部材に縦桟部材を固定した状態について示す断面図。
【図6】(a)は、支持部材について反対側から切欠部を形成する例について示す図。(b)は、支持部材について二つの貫通孔部と切欠部を設ける構成について示す図。(c)は、支持部材について階段状の切欠部を設ける構成について示す図。(d)は、支持部材について貫通孔部の上下中途部に通じる切欠部を設ける構成について示す図。(e)は、支持部材について分岐する孔部を設ける構成について示す図。
【図7】(a)は、支持部材の他の実施例について示す図。(b)は、支持部材について二つの固定用脚部を設けた実施例について示す図。(c)は、支持部材について一つの固定用脚部を設けた実施例について示す図。
【図8】縦桟部材の施工について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の全体概要を示すものである。
図1に示すごとく、本発明は、屋根1の上に太陽エネルギー利用装置2が設置されるものなどについて適用されるものであり、実施形態として、複数の太陽電池パネル3・3・・・が配置されるものとしている。
また、屋根1に向かって奥行き方向を長手方向として配置される縦桟部材10や、屋根1に向かって横方向を長手方向として配置される横桟部材20などから架台4が構成され、この架台4に対し太陽電池パネル3・3・・・が載置固定されるものとしている。
なお、屋根の上に設置される太陽エネルギー利用装置としては、太陽電池パネルのほかにも、太陽光、太陽熱を利用する各種装置(例えば太陽熱温水器など)が想定される。
【0020】
また、図1に示すごとく、縦桟部材10・10は互いに間隔を開けて複数本が配置され、また、横桟部材20・20も互いに間隔を開けて複数本が配置される。そして、各縦桟部材10と横桟部材20は、互いに直交するように配置され、井桁状の架台4が構成されることとなっている。また、屋根1の屋根材の複数箇所には支持部材30・30が設置され、この支持部材30・30に対して縦桟部材10が固定され、この縦桟部材10の上に横桟部材20が固定されることとなっている。
【0021】
また、図2は、設置後における支持部材30と、縦桟部材10と、横桟部材20の状態について示すものである。屋根材1Aの上には、ボルトなど締結部材により、支持部材30が固定される。また、支持部材30には、ボルトなどの締結部材により、縦桟部材10が固定される。また、縦桟部材10の上面には、横桟部材20が載置されるとともに、横桟部材20が固定用部材71・72により縦桟部材10に固定される。また、横桟部材20には、太陽電池パネル3・3の端部下側が載置される。また、横桟部材20の上部には、キャップ材80が取付けられ、図における左側の太陽電池パネル3の端部上側は、キャップ材80によって押さえ込まれる。また、図における右側の太陽電池パネル3の端部上側は、横桟部材20に設けた押さえ片部81によって押さえ込まれる。以上のようにして、横桟部材20に対する太陽電池パネル3・3の固定がなされる。
【0022】
また、図2に示すごとく、横桟部材20には、太陽電池パネル3の端部が差し込まれ得る溝部25であって、側方が開放される略コ字状の溝部25が形成されるようになっている。これにより、太陽電池パネル3を設置する際には、太陽電池パネル3を傾けた状態で太陽電池パネル3の端部を溝部25に挿入するとともに、横面部20eに仮置きしたのち、太陽電池パネル3を倒すことによって太陽電池パネル3を設置することが可能となっている。なお、この実施形態では、押さえ片部81と横面部20eの間に、溝部25が形成されることとなっている。
【0023】
なお、図1及び図2に示す実施形態のほか、支持部材30・30に横桟部材20が固定され、この横桟部材20の上に縦桟部材10が固定されることとしてもよい。また、実施形態の説明において、「縦」「横」の用語は、位置関係の理解をし易いために便宜的に用いるものであり、発明の範囲を限定するものではない。また、屋根1については、勾配を有する傾斜屋根とするほか、勾配を有しない平坦な屋根や、円弧状をなす屋根など、あらゆる態様の屋根が想定されるものである。また、支持部材30については、屋根材1Aの上に固定されるほか、他の金具や、架台、さらには、コンクリート表面など、他の部位に固定されることも想定される。
【0024】
また、図2は、縦桟部材10の長手方向中途部の箇所における横桟部材20の部位について示すものであるが、図3(a)に示すように、軒側においても(傾斜屋根の場合)、図2に示される横桟部材20と同様の構成とする横桟部材91を使用することにより、軒側における太陽電池パネル3の固定を実現することができる。この横桟部材91は、傾斜面91aを有する構成として水切りを行いやすくする構成としている。また、同様に、図3(b)に示すように、棟側においては(傾斜屋根の場合)、図2に示される横桟部材20と共通のものを使用するとともに、化粧材92を併用することで、棟側における太陽電池パネル3の固定を実現することができる。このように、縦桟部材10の長手方向における各部位において、各部位に適した横桟部材の実施形態とすることが可能である。
【0025】
次に支持部材に関する構成について説明する。
図4(a)は支持部材30と縦桟部材10の構成について示す斜視図、図4(b)は支持部材30に縦桟部材10を固定した状態について示す斜視図、図5は支持部材30に縦桟部材10を固定した状態について示す断面図である。
図4(a)(b)及び図5に示すごとく、縦桟部材10は押し出し成型品などからなる中空の部材であり、断面視において、側面部10a・10b、上面部10cを有する略門形状の部材として構成されている。
【0026】
また、図4(a)(b)及び図5に示すごとく、側面部10aには、外側横方向に向けて開放される凹状の溝部11aが形成されている。この溝部11aは、支持部材30の長手方向において連続的に形成されており、支持部材30の長手方向の端部において開放される。そして、この開放部を通じ、溝部11aに対して第一締結部材としてのボルト40のボルト頭40a(図5)が挿入できるようになっており、ボルト頭40a(図5)を溝部11aに挿入した状態においては、溝部11aの開放部からボルト軸部40bが外側横方向に向けて突出されるようになっている。
【0027】
また、図5に示すごとく、溝部11aは、その天面部11c、底面部11dにおいて、六角状のボルト頭40aの二面に当接し得るように構成されており、これにより、ボルト40の回転が規制されるようになっている。
【0028】
なお、図5に示すごとく、縦桟部材10の断面は左右対称となっており、もう一方の側面部10bについても、同様に、溝部11bが構成され、この溝部11bには、別のボルト40のボルト頭40aが挿入されることとなっている。
【0029】
また、図4(a)(b)及び図5に示すごとく、支持部材30は、板金加工された板材などで構成される部材であり、間隔を開けて立設される支持部30a・30bと、両端部において支持部30a・30bが立ち上げられる底面部30cと、を有して構成され、上側が開放される略コ字状の断面を形成するようになっている。また、底面部30cは、図示せぬ屋根材側に固定されることとなっている。
【0030】
また、図4(a)及び図5に示すごとく、支持部材30の支持部30a・30bの間隔は、上側から縦桟部材10が挿入され得るように確保され、縦桟部材10が支持部30a・30bの間に挿入された状態において、縦桟部材10の側面部10a・10bが、支持部材30の支持部30a・30bにそれぞれ対向するように配置されるようになっている。
【0031】
また、図4(a)及び図5に示すごとく、支持部材30の支持部30a・30bには、支持部30a・30bの板厚方向を貫通する貫通孔部31a・31bがそれぞれ形設されている。また、支持部材30の支持部30a・30bには、支持部30a・30bの外側から、貫通孔部31a・31b内へと通じる切欠部32a・32bがそれぞれ形設されている。図の例では、切欠部32a・32bは、縦桟部材10の長手方向に形設され、溝部11aと対向するように形成されている。
【0032】
そして、図4(a)(b)及び図5に示すごとく、この切欠部32a・32bを通じて、縦桟部材10の長手方向からボルト軸部40b・40bを貫通孔部31a・31b内へと挿入することができる。つまりは、ボルト40を縦桟部材10(溝部11a)に対してスライドさせることで、軸部40b・40bを貫通孔部31a・31b内へと入れることが可能となる。そして、貫通孔部31a・31bに挿入されたボルト40軸部40b・40bは、内側(側面部10a・10bの側)から外側(側面部10a・10bの反対側)へと突出される。
【0033】
また、図4(a)(b)及び図5に示すごとく、支持部30a・30bから突出したボルト軸部40bに対し、ワッシャ41を介して第二締結部材としてのナット42を締結することにより、縦桟部材10の側面部10a・10bが、それぞれ、支持部材30の側面部10a・10bに対して固定される。
【0034】
また、図4(a)(b)及び図5に示すごとく、支持部材30の貫通孔部31a・31bは上下方向に長い長孔形状とすることにより、支持部材30に対するボルト軸部40b・40bの上下位置の調整が許容されることとしている。これは、縦桟部材10は、その長手方向における複数の箇所において支持部材30に対して固定されることとなるが、支持部材30の設置状況によっては、縦桟部材10を大きく撓ませた上で固定する必要が生じることが懸念されるためである。この懸念に対し、貫通孔部31a・31bを長孔形状とすることで、縦桟部材10の支持部材30に対する固定の位置を調整することが可能となり、縦桟部材10を大きく撓ませることなく、支持部材30に固定することが可能となる。
【0035】
また、図4(a)に示す支持部材30の支持部30aに形成する貫通孔部31aや切欠部32aについては、図4(b)の形態のほか、図6(a)〜(d)に示されるような形態も考えられる。
図6(a)に示す支持部材30Aでは、図4(b)に示す切欠部32aとは反対側方向から、貫通孔部31dに通じる切欠部32cを形成する例である。また、図6(b)に示す支持部材30Bは、二つの貫通孔部31e・31fを設け、それぞれに通じる切欠部32e・32fを形成する例である。また、図6(c)に示す支持部材30Cは、上方から階段状に貫通孔部31gへとつながる切欠部32gを形成する例である。また、図6(d)に示す支持部材30Dのように、貫通孔部31hの上下方向の中途部に通じる切欠部32hを形成し、切欠部32hに対して上下のいずれの方向において調整が可能とすることとしてもよい。このように、貫通孔部や切欠部の実施形態については、さまざまなものが採用され得る。
【0036】
また、図4(a)及び図5に示す構成における第一締結部材(ボルト40)と第二締結部材(ナット42)の関係は、逆であってもよい。即ち、ナット42が溝部11aに収容され、ボルト40のボルト頭40aが支持部材30の支持部30aの外側に配置される構成とするものである。
【0037】
さらに、図4(a)に示される支持部材30の構成については、図7(a)〜(c)に示す形態とすることも考えられる。図7(a)では、縦桟部材方向における長さをより小さくした構成した支持部材30Lとするものである。図7(b)では、間隔を開けて対向する固定用脚部30m・30mを下方に向けて設けた支持部材30Mとすることで、図示せぬ他の金具などに支持部材30Mを固定する場合に採用し得る形態とするものである。図7(c)では、一つの固定用脚部30nを設けた支持部材30Nとすることで、図示せぬ他の金具などに支持部材30Nを固定する場合に採用し得る形態とするものである。
【0038】
そして、以上の構成を採用することにより、作業性に優れた施工を行うことが可能となる。
施工の際には、図4(a)、図5、及び、図8に示すごとく、ボルト40、ワッシャ41、ナット42を組み付けてなる締結用仕組43を準備し、ボルト40のボルト頭40aを縦桟部材10の溝部11aに挿入する。この締結用仕組43の準備や、縦桟部材10へ締結用仕組43の取り付けは、地上において行うことができる。また、縦桟部材10を複数箇所において支持部材30にて支持させる場合には、支持部材30の数に応じた締結用仕組43を準備するとともに、縦桟部材10の長手方向の複数箇所に締結用仕組43を配置させる。また、配置させた状態において、ナット42を仮止めすることで、締結用仕組43が仮固定され、締結用仕組43の移動が規制されるようにしておく。
【0039】
以上の作業は縦桟部材10の組立て作業であり、この一連の作業は、地上において行うことができ、屋根上での高所作業でないことから、部品を落下させないように注意を払うといったことがなく、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。なお、締結用仕組43の仮固定の位置については、後工程における締結用仕組43の移動量を少なくするために、支持部材30の配置に合わせて行うことが好ましい。
【0040】
また、図4(a)、図5、及び、図8に示すごとく、屋根1においては、支持部材30・30を所定の位置に設置した状態とし、この支持部材30・30に対して縦桟部材10を載置する。次に、各締結用仕組43について、それぞれ、仮止めされていたナット42を緩め、締結用仕組43をスライドさせることで、ボルト軸部40bを切欠部32aから貫通孔部31a内へと挿入する。そして、挿入後において、ナット42をしっかりと固定することで、支持部材30に対する縦桟部材10の固定を行うことができる。
【0041】
以上の作業は縦桟部材10の支持部材30への固定作業となるが、その内容は、仮止めされたナット42を緩め、締結用仕組43を移動し、再度ナット42を締結する、といった単純な作業となるため、容易に行うことが可能である。また、締結用仕組43のボルト頭40aが、予め溝部11aに挿入されており、また、ナット42は緩めるだけで取り外しは行わないため、各部品が落下する恐れがない。このため、作業者においては、部品落下に注意を払わずに作業を行うことができ、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。
【0042】
以上が本発明の実施形態であり、本発明を以下の内容とすることができる。
図4(a)(b)、及び、図5に示すごとく、
装置を設置する架台を構成する架台用桟部材としての縦桟部材10の支持部材30であって、
前記架台用桟部材の側面部10a・10bに対向する支持部30a・30bと、
前記支持部30a・30bに設けられる貫通孔部31a・31bであって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材としての締結用仕組43を止め付けるための貫通孔部31a・31bと、
前記支持部30a・30bに設けられる切欠部32a・32bであって、
前記支持部30a・30bの外側から前記貫通孔部31a・31b内へと通じる切欠部32a・32bと、
を有する支持部材30、とするものである。
【0043】
これにより、図4(b)に示すごとく、前記切欠部32a・32bを通じて、固定部材(締結用仕組43)を貫通孔部31a・31bへと挿入するとともに、固定部材を用いて固定作業を完了することが可能となり、予め、架台用桟部材側に仮止めなどで設けられる固定部材(締結用仕組43)の分解などが必要なくなる。そして、作業者においては、屋根の上などの高所作業においても、部品落下に注意を払わずに作業を行うことができ、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。
【0044】
また、図4(a)(b)、及び、図5に示すごとく、
前記支持部材30の支持部30a・30bは、間隔を開けて立設される二つの板状の部材にて構成され、
前記支持部30a・30bの間に、前記架台用桟部材が挿入され得る、
構成とするものである。
【0045】
これにより、図5に示すごとく、架台用桟部材側に形成される溝部11aに対し、前記切欠部32a・32bを対向させることが可能となり、溝部11aに設ける固定部材をスライドさせて貫通孔部31a・31b内へと挿入するといったことが可能となる。
【0046】
また、図4及び図8に示すごとく、
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の支持構造であって、
前記架台用桟部材としての縦桟部材10は、長尺部材の部材にて構成され、
前記架台用桟部材の側面には、長手方向に連続する溝部11aが形成され、
前記溝部11aには、前記架台用桟部材を支持する支持部材30に対して止め付けるための固定部材としての締結用仕組43が設けられ、
前記支持部材30は、
前記架台用桟部材の側面部10a・10bに対向する支持部30a・30bと、
前記支持部30a・30bに設けられる貫通孔部31a・31bであって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材としての締結用仕組43を止め付けるための貫通孔部31a・31bと、
前記支持部30a・30bに設けられる切欠部32a・32bであって、
前記支持部30a・30bの外側から前記貫通孔部31a・31b内へと通じる切欠部32a・32bと、
を有し、
前記固定部材としての締結用仕組43が、
前記切欠部32a・32bを通じることにより、前記貫通孔部31a・31b内へと挿入される、
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の支持構造、とするものである。
【0047】
これにより、図4(b)に示すごとく、前記切欠部32a・32bを通じて、固定部材(締結用仕組43)を貫通孔部31a・31bへと挿入するとともに、固定部材を用いて固定作業を完了することが可能となり、予め、架台用桟部材側に仮止めなどで設けられる固定部材(締結用仕組43)の分解などが必要なくなる。そして、作業者においては、屋根の上などの高所作業においても、部品落下に注意を払わずに作業を行うことができ、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。
【0048】
また、図4及び図8に示すごとく、
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の設置方法であって、
前記架台用桟部材としての縦桟部材10は、長尺部材の部材にて構成され、
前記架台用桟部材の側面には、長手方向に連続する溝部11aが形成され、
前記溝部11aには、前記架台用桟部材を支持する支持部材30に対して止め付けるための固定部材としての締結用仕組43が設けられ、
前記支持部材30は、
前記架台用桟部材の側面部10a・10bに対向する支持部30a・30bと、
前記支持部30a・30bに設けられる貫通孔部31a・31bであって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材としての締結用仕組43を止め付けるための貫通孔部31a・31bと、
前記支持部30a・30bに設けられる切欠部32a・32bであって、
前記支持部30a・30bの外側から前記貫通孔部31a・31b内へと通じる切欠部32a・32bと、
を有し、
前記固定部材としての締結用仕組43を、前記架台用桟部材に対し仮固定する工程と、
前記仮固定した前記固定部材を緩める工程と、
緩めた前記固定部材を前記切欠部32a・32bを通じて、前記貫通孔部31a・31b内へと挿入する工程と、
前記貫通孔部31a・31b内に挿入された前記固定部材により前記架台用桟部材を前記支持部材30に対し止め付ける工程と、
を有する、太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の設置方法、とするものである。
【0049】
これにより、図4(b)に示すごとく、前記切欠部32a・32bを通じて、固定部材(締結用仕組43)を貫通孔部31a・31bへと挿入するとともに、固定部材を用いて固定作業を完了することが可能となり、予め、架台用桟部材側に仮止めなどで設けられる固定部材(締結用仕組43)の分解などが必要なくなる。そして、作業者においては、屋根の上などの高所作業においても、部品落下に注意を払わずに作業を行うことができ、作業負担を軽くすることができ、また、短時間で作業を完了することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の構成は、建物の屋根などに設置される太陽電池パネルなどの太陽エネルギー利用装置において使用される架台について、幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 屋根
1A 屋根材
2 太陽エネルギー利用装置
3 太陽電池パネル
4 架台
10 縦桟部材
20 横桟部材
30 支持部材
31a 貫通孔部
32a 切欠部
40 ボルト
40a ボルト頭
40b ボルト軸部
41 ワッシャ
42 ナット
43 締結用仕組



【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を設置する架台を構成する架台用桟部材の支持部材であって、
前記架台用桟部材の側面部に対向する支持部と、
前記支持部に設けられる貫通孔部であって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材を止め付けるための貫通孔部と、
前記支持部に設けられる切欠部であって、
前記支持部の外側から前記貫通孔部内へと通じる切欠部と、
を有する架台用桟部材の支持部材。
【請求項2】
前記支持部材の支持部は、間隔を開けて立設される二つの板状の部材にて構成され、
前記支持部の間に、前記架台用桟部材が挿入され得る、
ことを特徴とする請求項1に記載の架台用桟部材の支持部材。
【請求項3】
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の支持構造であって、
前記架台用桟部材は、長尺部材の部材にて構成され、
前記架台用桟部材の側面には、長手方向に連続する溝部が形成され、
前記溝部には、前記架台用桟部材を支持する支持部材に対して止め付けるための固定部材が設けられ、
前記支持部材は、
前記架台用桟部材の側面部に対向する支持部と、
前記支持部に設けられる貫通孔部であって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材を止め付けるための貫通孔部と、
前記支持部に設けられる切欠部であって、
前記支持部の外側から前記貫通孔部内へと通じる切欠部と、
を有し、
前記固定部材が、
前記切欠部を通じることにより、前記貫通孔部内へと挿入される、
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の支持構造。
【請求項4】
太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の設置方法であって、
前記架台用桟部材は、長尺部材の部材にて構成され、
前記架台用桟部材の側面には、長手方向に連続する溝部が形成され、
前記溝部には、前記架台用桟部材を支持する支持部材に対して止め付けるための固定部材が設けられ、
前記支持部材は、
前記架台用桟部材の側面部に対向する支持部と、
前記支持部に設けられる貫通孔部であって、
前記架台用桟部材側に設けられる固定部材を止め付けるための貫通孔部と、
前記支持部に設けられる切欠部であって、
前記支持部の外側から前記貫通孔部内へと通じる切欠部と、
を有し、
前記固定部材を、前記架台用桟部材に対し仮固定する工程と、
前記仮固定した前記固定部材を緩める工程と、
緩めた前記固定部材を前記切欠部を通じて、前記貫通孔部内へと挿入する工程と、
前記貫通孔部内に挿入された前記固定部材により前記架台用桟部材を前記支持部材に対し止め付ける工程と、
を有する、太陽エネルギー利用装置の架台用桟部材の設置方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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