説明

架橋剤及びそれを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造法

【課題】可塑剤がフォーム表面にブリードアウトすることがなく、またクッション材等の用途に適した軟質ポリウレタンフォームを製造することができる架橋剤、及びそれを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造法を提供する。
【解決手段】軟質ポリウレタンフォーム製造用の架橋剤として、下記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物を使用する。


(式中Aはシクロヘキサン環を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は架橋剤及びそれを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、車両用シートクッション、マットレス、家具等の軟質フォーム、車両用インストルメントパネル、ヘッドレスト、アームレスト等の半硬質フォーム、電気冷蔵庫、建材等に用いられる硬質フォームとして広く用いられている。
【0003】
軟質ポリウレタンフォームは、自動車用シート、寝具、ソファー等のクッション材料、防音材、衝撃吸収材等として広く使用されている。この軟質ポリウレタンフォームは、通常、ポリオールとポリイソシアネートを水等の発泡剤の存在下に反応させ、スラブ発泡又はモールド発泡させることにより得られる。
【0004】
軟質ポリウレタンフォームに低反発弾性を付与するため、これまで数々の提案がなされている。
【0005】
例えば、ウレタン発泡材料にメラミン樹脂等の樹脂類や可塑剤を混合して発泡させる方法(例えば、特許文献1、2参照)や、特定のモノオールを含むポリオール組成物を使用する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−84421号公報
【特許文献2】特開平6−49167号公報
【特許文献3】特開2004−300352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法では、可塑剤がフォーム表面にブリードアウトするという欠点があった。
【0008】
また、特許文献3に記載の方法では、ポリオールや触媒、架橋剤の組合せによってはフォームに十分な低反発弾性を付与できない場合があることを本発明者らは見出した。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、可塑剤がフォーム表面にブリードアウトすることがなく、またクッション材等の用途に適した軟質ポリウレタンフォームを製造することができる架橋剤、及びそれを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述した問題を解決するために鋭意検討した結果、架橋剤として、分子内にシクロヘキシル環をもつ特定のジオール化合物を含む架橋剤を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下に示す軟質ポリウレタンフォームの製造法である。
[1]下記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物からなる軟質ポリウレタンフォーム製造用の架橋剤。
【0012】
【化1】

[上記式(1)中、Aは、下式(2)
【0013】
【化2】

で示される二価の置換基を表し、R、R、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、m、nは各々独立して、0〜2の整数を表す。]
[2]上記一般式(1)で示され、ヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物とトリエタノールアミンとを含有することを特徴とする上記[1]に記載の架橋剤。
【0014】
[3]上記一般式(1)で示されるジオール化合物が、第一級ヒドロキシル基末端を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の架橋剤。
【0015】
[4]上記式(1)で示されるジオール化合物が、シクロヘキサンジメタノール、又は[(シクロヘキサンジイル)ビス(オキシ)]ビス(エタノール)であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の架橋剤。
【0016】
[5]ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、触媒、発泡剤、整泡剤、及び架橋剤の存在下に反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造法であって、当該架橋剤が、上記[1]乃至[4]に記載の架橋剤であり、かつ当該架橋剤の使用量がポリオール成分100重量部に対し1〜20重量部の範囲であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【0017】
[6]ポリオール成分が、水酸基価50〜1500mgKOH/gのモノオールを含むことを特徴とする上記[5]に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【0018】
[7]発泡剤が水のみであることを特徴とする上記[5]又は[6]に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【0019】
[8]イソシアネート成分がMDI系変性イソシアネートを含むことを特徴とする上記[5]乃至[7]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【0020】
[9]イソシアネートインデックスが50〜150の範囲であることを特徴とする上記[5]乃至[8]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【0021】
[10]上記[5]乃至[9]のいずれかに記載の方法によって得られる反発弾性15%以下の低反発弾性軟質ポリウレタンフォーム。
【発明の効果】
【0022】
本発明の架橋剤を使用することにより、クッション材等の用途に適した良好な低反発弾性を有する軟質ポリウレタンフォームを製造することができる。本発明によれば、可塑剤を用いる必要がないので、可塑剤がフォーム表面にブリードアウトすることがない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の架橋剤は、
(1)上記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物からなること、又は
(2)上記一般式(1)で示され、ヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物とトリエタノールアミンとを含有すること、
をその特徴とする。
【0024】
本発明において、上記式(1)中の置換基R、R、R、Rは、各々独立して水素原子、メチル基又はエチル基であり、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0025】
また、上記式(2)で示される二価の置換基としては、1,2−、1,3−、又は1,4−シクロへキシレン基が例示される
本発明において、上記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物としては、具体的には、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、[(シクロヘキサンジイル)ビス(オキシ)]ビス(エタノール)等が挙げられ、これらのうち、シクロヘキサンジメタノール、[(シクロヘキサンジイル)ビス(オキシ)]ビス(エタノール)が好ましい。
【0026】
なお、本発明において、上記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物は、単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。
【0027】
本発明の架橋剤は、上記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物以外に、トリエタノールアミンを含有しても良い。上記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物の含有量は、本発明の架橋剤全体に対し、50重量%以上であることが好ましい。
【0028】
本発明の架橋剤は、軟質ポリウレタンフォームの製造に際し特に好適に用いられる。
【0029】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、触媒、発泡剤、整泡剤、及び架橋剤の存在下に反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造法であって、当該架橋剤が、上記した本発明の架橋剤であることをその特徴とする。
【0030】
本発明の製造法において、上記した本発明の架橋剤の使用量は、ポリオール成分100重量部に対し、通常1〜20重量部、好ましくは1.5〜10重量部の範囲である。上記した本発明の架橋剤の使用量を、ポリオール成分100重量部に対し、0.5重量部以上とすることで、フォームに十分な低反発弾性を与えることができる。一方、上記した本発明の架橋剤の使用量を、ポリオール成分100重量部に対し、20重量部以下とすることで、フォームの安定性が増し、フォームの陥没が起こりにくくなる。
【0031】
本発明の製造法において、ポリオール成分として使用されるポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、従来公知のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0032】
従来公知のポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸と多価アルコールより誘導される化合物が挙げられる。従来公知のポリエーテルポリオールとしては、例えば、グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール類、アンモニア、エチレンジアミン、エタノールアミン類等の脂肪族アミン化合物類、トルエンジアミン、ジフェニルメタン−4、4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物類、及び/又はこれらの混合物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等を付加した化合物が挙げられる。従来公知のポリマーポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)とをラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
【0033】
本発明の製造法において、ポリオール成分として使用されるポリオールとしては、上記したポリエーテルポリオール及び/又はポリマーポリオールが好ましい。その平均官能価は2〜5の範囲、平均ヒドロキシル価は20〜600mgKOH/gの範囲が好ましい。
【0034】
本発明の製造法においては、ポリオール成分として、上記したポリオールに加え、水酸基価50〜1500mgKOH/gのモノオールを併用することにより、フォームの反発弾性を更に低くすることができる。このようなモノオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール等の低分子量アルコールを開始剤としエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを付加した水酸基価50〜1500mgKOH/gのモノオール、水酸基価50〜1500mgKOH/gの範囲にあるモノアルコール等が挙げられる。これらのモノオールは室温にて液状であることが望ましい。
【0035】
本発明の製造法において、イソシアネート成分として使用されるイソシアネートとしては、特に限定するものではないが、例えば、従来公知のポリイソシアネートが挙げられる。このようなポリイソシアネートとしては、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−又は4,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、それらのポリイソシアネートとポリオールとの反応による遊離イソシアネート含有プレポリマー類、カルボジイミド変性イソシアネート等の変性ポリイソシアネート類、それらの混合ポリイソシアネート等が例示される。
【0036】
本発明の製造法において、これらのうち好ましくは、TDIとその誘導体又はMDIとその誘導体であり、これらは混合して使用しても差支えない。TDIとその誘導体としては、例えば、2,4−TDIと2,6−TDIの混合物又はTDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体や、末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。
【0037】
本発明の製造法においては、フォームの硬度、密度、強度及び耐久特性を調整し、フォームの機械的物性に対する多様な要求に対応するため、イソシアネートインデックス〔{(イソシアネート基)/(イソシアネート反応性基)}×100(当量比)〕を調整することができる。本発明においては、イソシアネートインデックスは、50〜150の範囲であることが好ましく、更に好ましくは60〜140の範囲である。イソシアネートインデックスが50未満では、得られるポリウレタンフォームの表面にべと付き感が生じやすい傾向にあり、他方、150を超えると、フォームの製造時間(硬化時間)が長くなる上に、得られるフォームが硬くなる傾向にある。
【0038】
本発明の製造法に用いられる触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、従来公知の第三級アミン触媒が挙げられる。このような第三級アミン触媒としては、具体的には、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビス(アミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N、N−ジメチルプロパンジアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、2−アミノキヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、4−アミノキヌクリジン、2−キヌクリジノール、3−キヌクリジノール、4−キヌクリジノール、2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、及びN,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾール、1−メチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−(n−ブチル)−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−イミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−ジメチルアミノプロピル)イミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)−イミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等が例示できる。
【0039】
本発明の製造法においては、これらのうち、トリエチレンジアミン、2−ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビス(アミノエチル)エーテルは触媒活性が高いため、工業的に有利に使用される。
【0040】
本発明の製造法においては、触媒として、金属触媒を併用することができる。このような金属触媒としては、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、具体的には、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の、従来公知の有機スズ化合物が挙げられる。
【0041】
本発明の製造法において、必要ならば、これらの触媒を溶媒で希釈して使用しても良い。このような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、水等が挙げられる。
【0042】
本発明の製造法において、これら触媒の使用量は、ポリオール成分を100重量部とした場合、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲である。
【0043】
本発明の製造法において、発泡剤は主として水であるが、必要であれば、従来公知の物理的発泡剤や化学的発泡剤を併用することができる。
【0044】
従来公知の物理的発泡剤としては、例えば、ペンタン、シクロペンタン等の炭化水素類、空気、窒素、二酸化炭素等の気体混合類等が挙げられる。また、従来公知の化学発泡剤としては、例えば、有機酸、硼酸等の無機酸類、アルカリ炭酸塩類、環状カーボネート類、ジアルキルカーボネート等の、ポリウレタン樹脂成分と反応して又は熱等により分解してガスを発生させるものが挙げられる。
【0045】
本発明の製造法において、発泡剤の使用量は、特に限定するものではないが、フォームの低密度化及び成型性の向上のためには、ポリオール100重量部に対し、1〜30重量部の範囲が好ましく、2〜20重量部の範囲がさらに好ましい。
【0046】
本発明の製造法において、整泡剤としては、従来公知の整泡剤でよく、特に限定するものではないが、例えば、オルガノシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物等が挙げられる。その使用量は、特に限定するものではないが、ポリオール成分100重量部に対して、通常0.1〜10重量部の範囲である。
【0047】
本発明においては、必要に応じて、着色剤、難燃剤、老化防止剤その他従来公知の添加剤を使用してもよい。これらの添加剤の種類やその添加量は、通常使用される範囲で十分である。
【実施例】
【0048】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定して解釈されるものではない。
【0049】
なお、表2中の[(シクロヘキサンジイル)ビス(オキシ)]ビス(エタノール)は以下に示す合成例1によって調製した。
【0050】
合成例1.
200mlオートクレーブに1,4−シクロヘキサンジオール81.3g(0.7モル)を入れ、17%KOH水溶液2.4gを加えた。蓋をし窒素置換後、120℃まで昇温、600rpmで攪拌し真空ポンプにてオートクレーブ内水分を除去した。再度窒素置換を行い6kg/cmまで加圧した。120℃、600rpm条件下、定量ポンプにてエチレンオキサイド63.9g(1.45モル)を3時間にて供給した。120℃、1時間の熟成後、真空ポンプにて未反応エチレンサイドを除去した後オートクレーブを開放した。反応物中のKOHを分離するため、吸着剤(協和化学工業社製、キョーワード600)を4g、水4gと共に加え蓋をした。120℃、600rpmにて30分間攪拌し真空ポンプにてオートクレーブ内水分を除去した。その後、反応液を真空ろ過しキョーワード600を分離した。合成物が[(シクロヘキサンジイル)ビス(オキシ)]ビス(エタノール)であることを確認し、実施例7、8の架橋剤として使用した。水酸基価を測定すると550mgKOH/gであった。
【0051】
実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例8.
表1に示す処方を用い、表2に示す各種の鎖延長剤又は架橋剤を用いて、軟質ポリウレタンフォームを発泡した。発泡試験の条件を以下に示す。
【0052】
[発泡条件]
・原料液温度:20±1℃、
・攪拌速度:6000rpm(5秒間)。
【0053】
室温下、2リットルのポリエチレン製カップにポリウレタン原料を注ぎ発泡させた軟質ポリウレタンフォームの反応性及びフォーム物性を次に示す方法で測定した。反応性はアミン触媒にてゲルタイム110秒に調整した。結果を表2に示す。
【0054】
[反応性]
・クリームタイム:発泡開始時間(秒)。原料を混合開始してから、原料混合液がクリーム状に白濁して立ち上がってくるまでの時間。
【0055】
・ゲルタイム:樹脂化時間(秒)。原料を混合開始してから、増粘が起こってゲル強度が出始める時間。
【0056】
・ライズタイム:発泡フォームの上昇が停止する時間を目視にて測定した。
【0057】
[フォーム密度]
フォームの中心部から採取した試験片(寸法60×60×100mm)の重量を測定し、試験片の体積で除した値をフォーム密度とした。
【0058】
[反発弾性率]
フォームの中心部から試験片(100×100×50mm)をカットする。予備圧縮として元厚の75〜95%10回圧縮し、その後試験片を10±5分間放置する。直径16±0.5mm、質量16±0.5gの鋼球を460mmの高さから試験片に落下させ、跳ね返った最高の高さを記録した。反発弾性率は以下の式により計算される。
【0059】
反発弾性率(%)=B/A×100、
A:鋼球を落下させる高さ(mm)、
B:跳ね返った最高の高さ(mm)。
【0060】
[25%CLD硬度]
反発弾性率測定フォームを使用しJIS K 6400−2法にしたがい、発泡体の全面を押圧して25%圧縮した時の硬度を測定した。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

表2から明らかなように、上記一般式(1)で示されるジオール、又は上記一般式(1)で示されるジオールとトリエタノールアミンを併用して、軟質ポリウレタンフォームを製造した実施例1〜実施例8は、反発弾性15%未満の反発弾性を示した。
【0063】
また、実施例1〜実施例8は、フォームの硬度が増加することなく、クッション材として優れた特性を示した。
【0064】
一方、架橋剤としてトリエタノールアミンを単独で使用した比較例1では、反発弾性15%未満の反発弾性は得られなかった。
【0065】
また、上記一般式(1)で示されるジオールとトリエタノールアミンとを併用した場合であっても、上記一般式(1)で示されるジオール使用量が小さい比較例2では、反発弾性15%未満の低反発弾性は得られなかった。
【0066】
また、上記一般式(1)で示されるジオールやトリエタノールアミン以外の架橋剤である、ジエタノールアミン、グリセリンを使用した比較例3、4では、反発弾性15%未満の反発弾性は得られず、フォームの硬度が著しく増加した。
【0067】
さらに、一般式(1)で示されるジオールと、(トリエタノールアミン以外の架橋剤である)ジエタノールアミン、グリセリンとを併用した比較例5〜8においても反発弾性15%未満の低反発弾性を得られず、フォームの硬度が増加した。
【0068】
なお、上記した実施例、比較例において、ポリオール成分として、ポリマーポリオール(旭硝子社製エクセノール910、OH価=27.2mgKOH/g)やポリエーテルポリオール(三洋化成社製GP−400、OH価=398mgKOH/g)に加え、モノオール[SBF−200(三洋化成社製、OH価=206mgKOH/g)]を併用している。
【0069】
特許文献3によれば、特定のモノオールを含むポリオール組成物を使用することで、軟質ポリウレタンフォームに低反発弾性を付与できるとされているが、ポリオールや触媒、架橋剤の組合せによってはフォームに十分な低反発弾性を付与できない場合があることは、上記した実施例、比較例から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示され、かつヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物からなる軟質ポリウレタンフォーム製造用の架橋剤。
【化1】

[上記式(1)中、Aは、下式(2)
【化2】

で示される二価の置換基を表し、R、R、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、m、nは各々独立して、0〜2の整数を表す。]
【請求項2】
上記一般式(1)で示され、ヒドロキシル基価が200〜1000mgKOH/gの範囲であるジオール化合物とトリエタノールアミンとを含有する軟質ポリウレタンフォーム製造用の架橋剤。
【請求項3】
上記一般式(1)で示されるジオール化合物が、第一級ヒドロキシル基末端を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の架橋剤。
【請求項4】
上記式(1)で示されるジオール化合物が、シクロヘキサンジメタノール、又は[(シクロヘキサンジイル)ビス(オキシ)]ビス(エタノール)であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の架橋剤。
【請求項5】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、触媒、発泡剤、整泡剤、及び架橋剤の存在下に反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造法であって、当該架橋剤が、請求項1乃至請求項4に記載の架橋剤であり、かつ当該架橋剤の使用量がポリオール成分100重量部に対し1〜20重量部の範囲であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【請求項6】
ポリオール成分が、水酸基価50〜1500mgKOH/gのモノオールを含むことを特徴とする請求項5に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【請求項7】
発泡剤が水のみであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【請求項8】
イソシアネート成分がMDI系変性イソシアネートを含むことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【請求項9】
イソシアネートインデックスが50〜150の範囲であることを特徴とする上記請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造法。
【請求項10】
請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の方法によって得られる反発弾性15%以下の低反発弾性軟質ポリウレタンフォーム。

【公開番号】特開2013−23626(P2013−23626A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161244(P2011−161244)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】