説明

染料感応太陽電池

【課題】エネルギー変換効率を最大化できる染料感応太陽電池が提供する。
【解決手段】互に対向された第1伝導性基板10及び第3伝導性基板70と、前記第3伝導性基板と対向され、少なくとも1つの貫通ホールを有しながら、前記第1伝導性基板と前記第3伝導性基板との間に配置された第2伝導性基板40と、前記第2伝導性基板と前記第3伝導性基板との間に配置され、前記第3伝導性基板と接触する第1光電変換部51及び前記第2伝導性基板と接触する第2光電変換部52を含む光電変換部と、前記第2伝導性基板と離隔されて前記第1伝導性基板の上に配置された触媒層20と、前記触媒層と前記第3伝導性基板との間に介在された電解質層80と、を含む染料感応太陽電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池に関し、より詳細には染料感応太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽から放出される光エネルギーを電気エネルギーに転換する光電エネルギー変換システム(photovoltaic energy conversion system)である。現在、主に使用されるシリコン太陽電池は前記光電エネルギー変換をするためにシリコン内に形成されるp−n接合ダイオード(p−n junction diode)を利用するが、電子及びホールの早熟再結合(premature recombination)を防止するために、使用されるシリコンは高い純度及び低い欠陥を有しなければならない。このような技術的要求は使用される材料費用の増加を起こすので、シリコン太陽電池の場合電力当たり製造費用が高い。
【0003】
これに加えて、バンドギャップ以上のエネルギーを有する光子(photons)のみが電流を生成するのに寄与するので、シリコン太陽電池のシリコンはできるだけ低いバンドギャップ(bandgap)を有するようにドーピングされる。しかし、このように低くなったバンドギャップのために青色光又は紫外線によって励起された電子(excited electrons)は過度なエネルギーを有するようになって、電流生産に寄与することより熱として消耗される。また、光子(photon)が捕獲される(capturing)可能性を増加させるためにp形層(p−type layer)は十分に厚くなければならない。しかし、このような厚いp形層は励起された電子がp−n接合に到達する前に正孔と再結合される可能性を増加させるので、シリコン太陽電池の効率に限界が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0274412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする一技術的課題はエネルギー変換効率を最大化できる染料感応太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記一技術的課題を達成するために、本発明の一実施形態による染料感応太陽電池は、互に対向された第1伝導性基板及び第3伝導性基板と、前記第3伝導性基板と対向され、少なくとも1つの貫通ホールを有しながら前記第1伝導性基板と前記第3伝導性基板との間に配置された第2伝導性基板と、前記第2伝導性基板と前記第3伝導性基板との間に配置され、前記第3伝導性基板と接触する第1光電変換部及び前記第2伝導性基板と接触する第2光電変換部を含む光電変換部と、前記第2伝導性基板と離隔されて前記第1伝導性基板の上に配置された触媒層と、前記触媒層と前記第3伝導性基板との間に介在された電解質層と、を含む。
【0007】
前記光電変換部は酸化物半導体粒子及び前記酸化物半導体粒子に吸着され、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とで吸収するスペクトルの分布が相異なる染料物質を含む。
【0008】
前記染料物質はRuthenium 535−bisTBA(N719)、Ruthenium 620−1H3TBA(Black dye)、有機染料(Organic dye)、量子点(Quantum−dot)又は自然染料(Natural dye)の中で少なくとも1つである。
【0009】
前記第2伝導性基板は前記貫通ホール以外の領域で均一な厚さを有する金属薄膜又は金属ホイル(metal foil)である。
【0010】
前記第2伝導性基板はその上面又はその下面の中で少なくとも1つから延長される少なくとも1つの突出部をさらに含む。
【0011】
前記第2伝導性基板は交差しながら織られたワイヤーを含むメッシュ構造体(mesh structure)、粉末が互に連結された焼結体(sintered structure)、多孔質の伝導性物質層及びナノチューブを含む導電性膜の中で少なくとも1つである。
【0012】
前記第2伝導性基板と前記第3伝導性基板とは電気的に連結される。
【0013】
前記第1伝導性基板、前記第2伝導性基板及び前記第3伝導性基板は軟性(flexible)である。
【0014】
前記第3伝導性基板は透明伝導性物質で形成される。
【0015】
前記触媒層と前記第2伝導性基板との間又は前記第2伝導性基板と前記第3伝導性基板との間の中で少なくとも1つに配置される絶縁性支持体をさらに含む。
【0016】
前記絶縁性支持体は多孔質絶縁性物質を含み、前記電解質層は前記多孔質絶縁性物質の絶縁性支持体に含浸(impregnate)される。
【0017】
前記第1伝導性基板と前記第2伝導性基板との間の縁に配置される第1封止材と、前記第2伝導性基板の上の縁に配置される第2封止材をさらに含み、前記貫通ホールは前記第1封止材及び前記第2封止材の間の領域を除外した前記第2伝導性基板内に形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態による染料感応太陽電池は、2つの伝導性基板の間に分離配置され、接触される伝導性基板にしたがって、酸化物半導体粒子に吸収するスペクトルの分布が相異なる染料物質が吸着された光電変換部を具備することができる。これにしたがって、染料感応太陽電池に吸収される波長を最大化して染料感応太陽電池のエネルギー変換効率の最大化を通じて高効率の染料感応太陽電池を製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による染料感応太陽電池の断面図である。
【図2】柔軟性を有する本発明の一実施形態による染料感応太陽電池の断面図である。
【図3A】本発明の実施形態による第2伝導性基板を図示する斜視図である。
【図3B】本発明の実施形態による第2伝導性基板を図示する斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による第2伝導性基板の形成方法を示す図面である。
【図5】本発明の他の実施形態による染料感応太陽電池の断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による染料感応太陽電池の断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態による染料感応太陽電池の断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態による染料感応太陽電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び長所は添付された図面と関連された以下の望ましい実施形態を通じて容易に理解できる。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限定されず、他の形態に具体化され得る。むしろ、ここで紹介される実施形態は開示された内容が徹底して完全になり得るようにそして、当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために提供されるものである。
【0021】
また、本明細書である膜が他の膜、または基板上にあると言及される場合、それは他の膜、または基板上に直接形成されることができ、或いはその間に第3の膜が介在され得ることを意味する。また、図面において、膜及び領域の厚さは技術的内容を効果的に説明するために誇張されたことである。また、本明細書の多様な実施形態で第1、第2、第3等の用語が多様な領域、膜等を記述するために使用されたが、これらの領域、膜がこのような用語によって限定されない。これら用語は単なるある所定の領域、又は膜を他の領域又は膜と区別させるために使用されただけである。したがって、いずれか一実施形態の第1膜に言及された膜が他の実施形態では第2膜に言及されることもあり得る。単数の表現は文脈の上に明確に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。ここに説明され、例示される各実施形態はそれの相補的な実施形態も含む。明細書全体に掛けて同一な参照番号に表示された部分は同一な構成要素を示す。
【0022】
図1は本発明の一実施形態による染料感応太陽電池の断面図であり、図2は柔軟性を有する本発明の一実施形態による染料感応太陽電池の断面図であり、図3A及び図3Bは本発明の実施形態による第2伝導性基板を図示する斜視図である。
【0023】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による染料感応太陽電池100は、互に対向された第1及び第3伝導性基板10、70、前記第3伝導性基板70と対向され、少なくとも1つの貫通ホール42を有しながら前記第1伝導性基板10と前記第3伝導性基板70との間に配置された第2伝導性基板40、及び前記第2伝導性基板40と前記第3伝導性基板70との間で1つは前記第3伝導性基板70と接触し、残りの1つは前記第2伝導性基板40と接触する第1及び第2光電変換部51、52を含む光電変換部50を含む。
【0024】
これに加えて、前記第1伝導性基板10の上面に触媒層20が配置され、前記触媒層20と前記第2伝導性基板40との間の縁に第1封止材30が配置され、前記第2伝導性基板40と前記第3伝導性基板70との間の縁に第2封止材60が配置され、前記触媒層20と前記第3伝導性基板70との間の空間には電解質層(electrolyte layer)80が介在される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記光電変換部50は前記第3伝導性基板70と接触する第1光電変換部51及び前記第2伝導性基板40と接触しながら前記第1光電変換部51と対向する第2光電変換部52を包含できる。この時、前記第2光電変換部52は前記第1光電変換部51から一定の間隔で離隔されて配置される。これにしたがって、前記第1光電変換部51と前記第2光電変換部52とは互に分離される。
【0026】
前記第1光電変換部51は第1酸化物半導体粒子53及び前記第1酸化物半導体粒子53の表面に吸着される第1染料物質54を包含できる。前記第1光電変換部51は第1酸化物半導体粒子53及び前記第1酸化物半導体粒子53の表面に吸着される第1染料物質54を包含できる。この時、前記第1染料物質54は前記第2染料物質56と吸収するスペクトルの分布が相異なり得る。
【0027】
前記第1酸化物半導体粒子53及び前記第2酸化物半導体粒子55は遷移金属酸化物を含む金属酸化物の中で少なくとも1つであり得る。例えば、前記遷移金属酸化物はチタニウム酸化物TiO、錫酸化物SnO、ジルコニウム酸化物ZrO、シリコン酸化物SiO、マグネシウム酸化物MgO、ニオビウム酸化物Nb及び亜鉛酸化物ZnO等になされたグループで選択された少なくとも1つであり得る。前記第1酸化物半導体粒子53と前記第2酸化物半導体粒子55とは同一な物質であるか、或いは他の物質であり得る。前記第1酸化物半導体粒子53及び前記第2酸化物半導体粒子55は、例えば、約5乃至30nmのナノ級サイズの粒子大きさを有することができる。
【0028】
前記第1染料物質54及び前記第2染料物質56は光エネルギーを電気的エネルギーに転換させ得るルテニウム錯体のような染料分子でなされ得る。例えば、前記第1染料物質54及び前記第2染料物質56はRuthenium 535−bisTBA(N719)、Ruthenium 620−1H3TBA(Black dye)、有機染料(Organic dye)、量子点(Quantum−dot)又は自然染料(Natural dye)等のように、前記第1酸化物半導体粒子53又は前記第2酸化物半導体粒子55に吸着されて太陽光によって電子を発生させる機能を有する、多様な染料の中の少なくとも1つであり得る。
【0029】
前記第1伝導性基板10及び前記第2伝導性基板40は金属及び金属合金の中の少なくとも1つを含む金属薄膜(thin film)又は金属ホイル(foil)で形成され得る。例えば、前記第1伝導性基板10及び前記第2伝導性基板40はチタニウム、ステンレススチール(stainless steel)、アルミニウム及び銅の中で少なくとも1つを含んで形成でき、以外に他の多様な金属性物質を含んで形成され得る。また、前記第1伝導性基板10の下面は絶縁性薄膜(図示せず)でコーティングされ得る。前記第1伝導性基板10及び前記第2伝導性基板40はワイヤー90を通じて電気的に連結され得る。
【0030】
前記第3伝導性基板70は受光基板として、透明伝導性物質で形成され得る。例えば、前記第3伝導性基板70は透明伝導層がコーティングされたガラス又は透明伝導層がコーティングされた高分子フィルムで形成され得る。例えば、前記透明伝導層はITO(Indium Tin Oxide)又はSnOでなされ得り、前記第1光電変換部51と接触される。
【0031】
図1に図示したように、前記第1伝導性基板10、前記第2伝導性基板40及び前記第3伝導性基板70は強性(rigid)の特性を有することができる。これとは異なるように、図2に図示したように、前記第1伝導性基板10、前記第2伝導性基板40及び前記第3伝導性基板70は軟性(flexible)の特性を有することができる。前記第1伝導性基板10、前記第2伝導性基板40及び前記第3伝導性基板70が軟性であれば、前記染料感応太陽電池100は柔軟(flexible)な特性を有することができる。即ち、製品の外形を変形させ得る外力(external force)の下でも、前記染料感応太陽電池100は実質的な機能喪失、又は製品破損無しで正常的に動作できる。前記染料感応太陽電池100が柔軟な特性を有するとき、例えば、前記第1伝導性基板10、前記第2伝導性基板40及び前記第3伝導性基板70は数マイクロメータ乃至数ミリメータの厚さで形成でき、さらに具体的な厚さは該当物質の種類にしたがって異なることがあり得る。
【0032】
前記電解質層80は前記第1封止材30及び前記第2封止材60によって区画された前記触媒層20と前記第3伝導性基板70との間の空間で液体、準固体又は固体状態の電解質で満たされ得る。例えば、前記電解質層80はヨウ化物系酸化還元電解質(redox iodide electrolyte)を包含できる。例えば、前記電解質層80は0.7Mの1−ビニール−3−ヘキシル−イミダゾリウムヨウ化物(1−vinyl−3−hexyl−imidazolium iodide)、0.1MのLiI及び40mMのI(Iodine)を3−メトキシプロピオニトリル(3−Methoxypropionitrile)に溶解させたI/Iの電解液、0.6Mのブチルメチルイミダゾリウム(butylmethylimidazolium)、0.02MのI、0.1Mのグアニジニウムチオシアネート(Guanidinium thiocyanate)及び0.5Mの4−ターシャリー−ブチルピリジン(4−tert−butylpyridine)を含むアセトニトリル(acetonitrile)溶液、アルキルイミダゾーリウムヨウ化物(alkylimidazolium iodides)又はテトラ−アルキルアンモニウムヨウ化物(tetra−alkylammonium iodides)の中でいずれか1つを包含できる。
【0033】
前記電解質層80は表面添加剤をさらに包含できる。例えば、前記表面添加剤はターシャリー−ブチルピリジン(tert−butylpyridin;TBP)、ベンズイミダゾール(benzimidazole;BI)及びNメチルベンズイミダゾール(NMethylbenzimidazole;NMBI)の中で少なくとも1つであり得る。
【0034】
前記電解質層80はアセトニトリル(acetonitrile)溶液、プロピオニトリル(propionitrile)溶液、又はアセトニトリル(acetonitrile)とバレロニトリル(valeronitrile)との混合液の中で1つを溶媒として使用することができる。
【0035】
前記触媒層20は電解質の還元過程に参与できるように前記電解質層80と接触する。前記触媒層20は前記第2伝導性基板40と一定の間隔で離隔されて前記第1伝導性基板10の表面の上に形成され得る。前記電解質層80が前記ヨウ化物系酸化還元電解質を含むと、前記触媒層20は白金Ptで形成され得る。
【0036】
前記第3伝導性基板70を通じて太陽光の中でスペクトルの分布が相異なる光が前記第1光電変換部51と前記第2光電変換部52とへ入射されれば、前記第1及び第2染料物質54、56の電子は入射された光によって励起(excited)されて前記第1又は第2酸化物半導体粒子53、55の伝導帯(conduction band)へ注入された後、前記第2又は第3伝導性基板40、70、所定の負荷L(load)、及び前記第1伝導性基板10を経由して前記電解質層80で還元される。このような過程は前記染料感応太陽電池100の電子循環体系と称される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前記染料感応太陽電池100は前記第1光電変換部51と前記第2光電変換部52とを通じてスペクトルの分布が相異なる光を吸収することができる。即ち、前記染料感応太陽電池100は前記第1光電変換部51を通じて入射された光の一部を吸収し、前記第1光電変換部51で吸収されなかった光の一部を前記第2光電変換部52を通じて吸収することができる。このように前記第1光電変換部51と前記第2光電変換部52とを通じて吸収された光は各々前記第3伝導性基板70と前記第2伝導性基板40とを経由して合わせて電解質の還元過程に使われ得る。その結果、前記染料感応太陽電池100に吸収される波長の領域を広くして前記染料感応太陽電池100のエネルギー変換効率を最大化され得り、これを通じて高効率の前記染料感応太陽電池100を製作できる。
【0038】
一方、電解質の還元過程又は前記染料感応太陽電池100の電子循環過程が持続的に行われるためには、前記光電変換部50で電子を失ったイオンが還元過程が行う前記触媒層20へ拡散されなければならない。このため、本発明の一実施形態によれば、前記光電変換部50と前記触媒層20との間に配置される前記第2伝導性基板40は少なくとも1つの貫通ホール42を有する。
【0039】
前記複数の貫通ホール42は前記第2伝導性基板40の一部領域の内で規則的に配列され得る。図3Aに図示したように、前記貫通ホール42が規則的に形成されるとき、1つの貫通ホール42とそれと隣接する貫通ホール42との間の相対的位置及び距離がは平行でない2つのベクトルa、bによって表現できる。また、複数の隣接する他の貫通ホール42の間の相対的位置及び距離がは前記2つのベクトルa、bによって同様に表現できる。このように、前記貫通ホール42が前記第2伝導性基板40の内に規則的に配列される場合、前記イオンが前記触媒層20へ均一に拡散され得る。その結果、還元過程が均一であり、効率的に行われるので、製品の光電性能(photovoltaic performance)が向上され得る。
【0040】
一方、前記第2伝導性基板40の内に形成される全ての貫通ホール42の配置は所定のベクトルで構成されるベクトル集合を含む複数のベクトル集合によって実質的に完全に表現できる。前記貫通ホール42の配置を定義する前記ベクトル集合の数が増加する場合、前記貫通ホール42は減少された規則性を有し、配置されるか、或いは無作為的に配置され得る。即ち、前記貫通ホール42の配置での規則性水準は多様であり得る。前記貫通ホール42の幅は前記第1及び第2酸化物半導体粒子53、55の平均直径より小さいか、或いはその数倍であり得る。例えば、前記貫通ホール42の幅は約数ナノメーター乃至数センチメーターであり得る。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、図3Aに図示したように、前記第2伝導性基板40は前記貫通ホール42を除外した全ての領域で実質的に均一な厚さに形成され得る。これとは異なるように、図3Bに図示したように、前記第2伝導性基板40はその上面から延長される少なくとも1つの突出部45を包含できる。しかし、前記突出部45は図3Bに示した実施形態から多様に変形できる。例えば、前記突出部45は前記第2伝導性基板40の下面から下方へ延長される部分又は前記第2伝導性基板40の上面から上方へ延長される部分の中で少なくとも1つを包含できる。また、前記突出部45が配置される位置及び厚さもやはり多様に変形できる。
【0042】
図4に図示したように、前記貫通ホール42は前記貫通ホール42の位置を定義する少なくとも1つの開口部95を含む蝕刻マスクEMを通じて前記第2伝導性基板40用金属膜が蝕刻99されて形成され得る。例えば、前記食刻は前記第2伝導性基板40用金属膜の上面又は下面の中で少なくとも1つの面を食刻する湿式蝕刻(wet etch)であり得る。
【0043】
前記蝕刻マスクEMは再使用できる物質、例えば、高分子化合物又はセラミックで形成され得る。このように再使用できる蝕刻マスクを使用すれば、前記貫通ホール42を有する第2伝導性基板40の準備費用が節減できるのみでなく前記貫通ホール42の位置が製造される染料感応太陽電池の全てで実質的に同一であり得る。前記貫通ホール42の位置的変異(variation)減少は、製造される染料感応太陽電池の製品特性での均一性を向上させ得る。
【0044】
図5乃至図8は本発明の他の実施形態による染料感応太陽電池の断面図である。説明を簡単にするために、図1、図2、図3A及び図3Bを参照して説明された実施形態と重複される技術的特徴に対する説明は省略される。
【0045】
図5乃至図7を参照すれば、触媒層20と第3伝導性基板70との間には第1支持体82又は第2支持体84の中で少なくとも1つがさらに配置され得る。具体的に、図5に図示したように、前記第1支持体82が前記触媒層20と前記第2伝導性基板40との間に配置され得る。図6に図示したように、前記第2支持体84が前記第2伝導性基板40と前記第3伝導性基板70との間に配置され得る。図7に図示したように、前記第1支持体82が前記触媒層20と前記第2伝導性基板40との間に配置され、前記第2支持体84が前記第2伝導性基板40と前記第3伝導性基板70との間に配置され得る。
【0046】
前記第1支持体82は前記触媒層20から前記第2伝導性基板40を物理的/電気的に離隔させるスペーサー(spacer)であり得る。前記第1支持体82は絶縁性物質、例えば、ガラス、セラミック又はプラスチックで形成され得る。前記第1支持体82はボール(ball)又はバー(bar)形状を有することができる。ここで、前記第1支持体82はバー形状で図示された。しかし、前記第1支持体82の物質及び形状は多様に変形できる。
【0047】
このような絶縁性の前記第1支持体82によって、前記触媒層20と前記第2伝導性基板40との直接的な接触(即ち、電気的ショート)が予防でき、前記触媒層20と前記第2伝導性基板40との間の間隔が一定に維持され得る。これにしたがって、前記第3伝導性基板70又は前記第1伝導性基板10へ外力が作用する場合にも、電気的ショートによる製品損傷が予防できる。
【0048】
これとは異なるように、前記第1支持体82又は前記第2支持体84は多孔質の絶縁性物質で形成され得る。例えば、前記第1支持体82又は前記第2支持体84は微細な吸収孔(pores)(図示せず)を有する高分子物質又はセラミックであり得る。このような実施形態によれば、電解質層80は前記第1支持体82又は前記第2支持体84の吸収孔を満たしながら前記触媒層20と前記第3伝導性基板70との間に介在され得る。即ち、前記電解質層80は前記第1支持体82又は前記第2支持体84へ含浸(impregnate)され得る。
【0049】
一実施形態によれば、前記光電変換部50で電子を失ったイオンが還元過程が行う前記触媒層20へ拡散できるように、前記第1支持体82の吸収孔は連続的に連結され得る。
【0050】
図8を参照すれば、貫通ホール42は図1及び図2を参照して説明された実施形態のそれとは異なる構造の第2伝導性基板40によって提供され得る。この時、前記第2伝導性基板40は交差しながら織られたワイヤー(intercrossed and woven wires)を含むメッシュ構造体(mesh structure)、粉末が互に連結された焼結体(sintered structure)、多孔質の伝導性物質層及びナノチューブ(nano tube)を含む導電性膜の中で少なくともいずれか1つであり得る。
【0051】
図8のように変形された実施形態によれば、前記第2伝導性基板40の上面又は下面は局所的に扁平できないこともあり得る。即ち、前記第2伝導性基板40の厚さは位置にしたがって異なり得り、このような厚さの不均一であることは第1封止材30及び第2封止材60の間でも表れ得る。この時、電解質層80が漏出されることを防止するために、前記第1封止材30及び前記第2封止材60と前記第2伝導性基板40との間には良好な接着特性を有することができる。
【0052】
これに加えて、図1、図4乃至図8に図示したように、前記貫通ホール42は、前記第1封止材30及び前記第2封止材60の間に介在される、前記第2伝導性基板40の縁領域には形成されないこともあり得る。即ち、前記第2伝導性基板40の縁の領域は前記貫通ホール42がない扁平な膜であり得る。この場合、前記電解質層80の外部流出が効果的に抑制され得る。
【0053】
一方、図示せずが、図8で前記触媒層20と前記第2伝導性基板40との間又は前記第2伝導性基板40と前記第3伝導性基板70との中で少なくとも1つに前記第1支持体82又は前記第2支持体84がさらに配置され得る。
【0054】
また、前記第3伝導性基板70は前記電解質層80を注入するための注入口(図示せず)をさらに包含できる。前記注入口は前記電解質層80が形成された後、密封される。
【0055】
これに加えて、図4乃至図8において、前記第1伝導性基板10、前記第2伝導性基板40及び前記第3伝導性基板70の厚さ調節を通じて図2のように柔軟性を有する染料感応太陽電池を製作できるのは勿論である。
【0056】
本発明の一実施形態では前記第1封止材30が前記触媒層20と前記第2伝導性基板40との間に配置されることとして説明したが、これとは異なるように前記第1封止材30は一側は前記第1伝導性基板10と接触し、他側は前記第2伝導性基板40と接触して前記第1伝導性基板10と前記第2伝導性基板40との間に配置され得る。
【0057】
本発明は上述した実施形態及び添付された図面によって限定されることではなく、添付された請求の範囲によって限定しようとする。したがって、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当該技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更ができることであり、これは本発明の範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0058】
10 第1伝導性基板
20 触媒層
30 第1封止材
40 第2伝導性基板
42 貫通ホール
45 突出部
50 光電変換部
51 第1光電変換部
52 第2光電変換部
53 第1酸化物半導体粒子
54 第1染料物質
53 第1酸化物半導体粒子
56 第2染料物質
60 第2封止材
70 第3伝導性基板
80 電解質層
82 第1支持体
84 第2支持体
90 ワイヤー
95 開口部
100 染料感応太陽電池


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互に対向された第1伝導性基板及び第3伝導性基板と、
前記第3伝導性基板と対向され、少なくとも1つの貫通ホールを有しながら前記第1伝導性基板と前記第3伝導性基板との間に配置された第2伝導性基板と、
前記第2伝導性基板と前記第3伝導性基板との間に配置され、前記第3伝導性基板と接触する第1光電変換部及び前記第2伝導性基板と接触する第2光電変換部を含む光電変換部と、
前記第2伝導性基板と離隔されて前記第1伝導性基板の上に配置された触媒層と、
前記触媒層と前記第3伝導性基板との間に介在された電解質層と、を含む染料感応太陽電池。
【請求項2】
前記光電変換部は酸化物半導体粒子及び前記酸化物半導体粒子に吸着され、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とで吸収するスペクトルの分布が相異なる染料物質を含む請求項1に記載の染料感応太陽電池。
【請求項3】
前記第2伝導性基板は前記貫通ホール以外の領域で均一な厚さを有する金属薄膜又は金属ホイルである請求項1に記載の染料感応太陽電池。
【請求項4】
前記第2伝導性基板はその上面又はその下面の中で少なくとも1つから延長される少なくとも1つの突出部をさらに含む請求項3に記載の染料感応太陽電池。
【請求項5】
前記第2伝導性基板は交差しながら織られたワイヤーを含むメッシュ構造体、粉末が互に連結された焼結体、多孔質の伝導性物質層及びナノチューブを含む導電性膜の中で少なくとも1つである請求項1に記載の染料感応太陽電池。
【請求項6】
前記第2伝導性基板と前記第3伝導性基板とは電気的に連結される請求項1に記載の染料感応太陽電池。
【請求項7】
前記触媒層と前記第2伝導性基板との間、又は前記第2伝導性基板と前記第3伝導性基板との間の中で少なくとも1つに配置される絶縁性支持体をさらに含む請求項1に記載の染料感応太陽電池。
【請求項8】
前記絶縁性支持体は多孔質絶縁性物質を含み、前記電解質層は前記多孔質絶縁性物質の絶縁性支持体に含浸される請求項7に記載の染料感応太陽電池。
【請求項9】
前記第1伝導性基板と前記第2伝導性基板との間の縁に配置される第1封止材と、
前記第2伝導性基板の上の縁に配置される第2封止材を前記第2封止材と、をさらに含み、
前記貫通ホールは前記第1封止材及び前記第2封止材の間の領域を除外した前記第2伝導性基板の内に形成される請求項1に記載の染料感応太陽電池。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−174685(P2012−174685A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9131(P2012−9131)
【出願日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】