説明

染毛剤

【課題】良好な染毛性を有し、使いやすく、染めムラが少なく、製剤の安定性が高い、安全な非酸化型の染毛剤の提供。
【解決手段】(1)タンニン酸、ベンジルアルコール及びキサンタンガムを含有するジェル状の第1剤と、(2)硫酸第一鉄、塩化第一鉄、酢酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩酸第二鉄、又は酢酸第二鉄などの鉄塩を含有する第2剤とを組み合わせて含む染毛剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白髪染毛剤、詳しくは非酸化型の染毛剤組成物であって、染色性、安全性が高い染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤は、一般的に、酸化染料、イオン染料、一時染料、その他の4種類に分けられる。この内、現在最も広く用いられている、酸化染料は永久染料と呼ばれることもあり、過酸化水素によって酸化されて活性な反応中間体となるパラフェニレンジアミン類やパラアミノフェノール類を元に構成されている。活性中間体はその後に毛髪内で染料カップラー分子と反応し、耐シャンプー性の染料に変化する。しかし、酸化染料は、毛髪を損傷させ、接触性皮膚炎および長期の滞在的な全身への影響があり、変異原性や発ガン性の疑いもある。イオン染料は半永久染料と呼ばれることもあり、毛髪を損傷させることはないが、染毛の際、皮膚着色の問題がある他、4〜10回のシャンプー操作で毛髪から流れ落ちてしまう。一時染料は、毛髪を損傷させることもなく、皮膚着色も洗い流しが可能なため問題にならないが、1回のシャンプー操作で毛髪から流れ落ちてしまう。
【0003】
一方、その他の染毛剤として、多価フェノール類と鉄塩を利用した非酸化型の染毛剤が提案されている(特許文献1〜3)。これまでの非酸化型の染毛剤は、染毛性や色調が満足できるものではなかった。現在、流通している非酸化型の染毛剤は、クリーム(乳化物)を基材とする製品のみである。
【0004】
また、特許文献4及び5には、フラバン−7−オール類を必須構成モノマーとして含む重合体を含有する染毛組成物に、多価金属塩、キサンタンガム、ベンジルアルコールを配合してもよいことが記載されているが、当該染毛組成物はタンニン酸を含むものではない。また、特許文献6には、染毛剤を収容するエアゾール容器に櫛部を取り付けた染毛用具が記載されており、当該染毛剤に、ベンジルアルコール、キサンタンガム、金属塩、タンニン酸を配合してもよいことが記載されているが、当該染毛剤は、二剤型の染毛剤に関するものではない。特許文献7には、径2mm以下に粉砕されたヘンナ植物体微粉末またはヘンナからの抽出液を配合した頭髪用化粧品において、酸化防止剤と、染毛染料と、その他の各種成分とを配合して成ることを特徴とする頭髪化粧品が記載されているが、当該染毛剤は二剤型の染毛剤に関するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−164017号公報
【特許文献2】特開2003−246716号公報
【特許文献3】特開2008−273869号公報
【特許文献4】特開2001−172143号公報
【特許文献5】特開2002−37720号公報
【特許文献6】特開平8−214936号公報
【特許文献7】特開2003−48818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の鉄塩と反応して発色する植物抽出物あるいは有機化合物を利用した染毛剤は、染毛性や色調も満足できるものではなかった。本発明は、良好な染毛性を有し、使いやすく、染めムラが少なく、製剤の安定性が高い、安全な染毛剤を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(1)タンニン酸、ベンジルアルコール及びキサンタンガムを含有するジェル状の第1剤と、(2)鉄塩を含有する第2剤とを組み合わせて含む染毛剤により上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、(1)タンニン酸、ベンジルアルコール及びキサンタンガムを含有するジェル状の第1剤と、(2)鉄塩を含有する第2剤とを組み合わせて含む染毛剤が提供される。
好ましくは、第1剤が、キサンタンガム以外に、ゲル化性を有する水溶性高分子を更に含む。
好ましくは、第2剤が、キサンタンガム、及び/又はゲル化性を有する水溶性高分子を含む。
好ましくは、ゲル化性を有する水溶性高分子が、天然高分子又はその誘導体、セルロース誘導体、あるいは合成高分子又はこれらを含む共重合体である。
好ましくは、ゲル化性を有する水溶性高分子が、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム・ビニルピロリドン共重合体、ポリアクリロイルジメチルタウリン、グアーガム、ローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、又はヒドロキシプロピルセルロースである。
【0009】
好ましくは、鉄塩は、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、酢酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩酸第二鉄、又は酢酸第二鉄である。
好ましくは、タンニン酸の含有量が第1剤の全量に対し0.01〜5重量%であり、ベンジルアルコールの含有量が第1剤の全量に対し0.5〜20重量%であり、キサンタンガムの含有量が第1剤の全量に対し0.5〜10重量%であり、鉄塩の含有量が第2剤の全量に対し0.5〜10重量%である。
好ましくは、第1剤が、タンニン酸以外に、鉄と反応して発色する有機化合物又は植物抽出物を更に含む。
好ましくは、第1剤が、酸化防止剤を更に含む。
【0010】
本発明によればさらに、上記した本発明の染毛剤を毛髪に付与することを含む、毛髪の染毛方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の染毛剤は、良好な染毛性を有し、使いやすく、染めムラが少なく、製剤の安定性が高く、さらに安全性についても優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の染毛剤は、タンニン酸、ベンジルアルコール及びキサンタンガムを含有するジェル状の第1剤と、鉄塩を含有する第2剤とを組み合わせて含む2剤式の染毛剤である。
【0013】
本発明の染毛剤の第1剤は、タンニン酸を含む。タンニン酸の含有量は、本発明の効果が達成する限り特に限定されないが、好ましくは第1剤の全量に対し0.01〜5重量%であり、より好ましくは第1剤の全量に対し0.1〜5重量%である。
【0014】
本発明の染毛剤の第1剤は、ベンジルアルコールを含む。ベンジルアルコールの含有量は、本発明の効果が達成する限り特に限定されないが、好ましくは第1剤の全量に対し0.5〜20重量%であり、より好ましくは第1剤の全量に対し1〜10重量%である。
【0015】
本発明の染毛剤の第1剤は、キサンタンガムを含む。また、本発明の染毛剤の第2剤は、キサンタンガムを含んでいてもよい(但し、第2剤はキサンタンガムを含まなくてもよい)。キサンタンガムはキサントモナス属菌を用いて炭水化物を醗酵させて得られた多糖類である。本発明で用いられるキサンタンガムは、キサントモナス属菌としては、キサントモナス・カンペストリスキサントモナス、キサントモナス・カロタテ、キサントモナス・インカナエ、キサントモナス・ベゴニアエ、キサントモナス・パパベリコラ、キサントモナス・トランスセルセンス、キサントモナス・バスクロルム、キサントモナス・ヘデラエを用いて生産されたキサンタンガムを用いることができる。炭水化物としては、デンプン、グルコース、ショ糖を用いて生産されたキサンタンガムを用いることができる。醗酵後の精製は、遠心分離、ろ過などによって精製されたものを用いても良く、酵素処理によって精製されたものを用いても良い。さらに加熱、有機溶媒による処理をされたものを用いても良い。
【0016】
キサンタンガムはイオンとして存在してもよい。カウンターイオンはナトリウムでもカリウムでもカルシウムでもよい。キサンタンガム濃度として0.5重量%の水溶液とした場合、200〜25000mPa・s(B型粘度計6rpm 25℃)の粘度を示すものがよく、好ましくは、2000〜25000mPa・sの粘度を示すものが良い。セルラーゼを含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。粉末状でも顆粒状でもよい。
【0017】
キサンタンガムの含有量は、本発明の効果が達成する限り特に限定されないが、好ましくは第1剤の全量に対し0.5〜10重量%であり、より好ましくは第1剤の全量に対し1〜10重量%である。また、第2剤がキサンタンガムを含有する場合のキサンタンガムの含有量も特に限定されないが、好ましくは第2剤の全量に対し0.5〜10重量%であり、より好ましくは第2剤の全量に対し1〜10重量%である。
【0018】
本発明における第1剤には、タンニン酸に加えて、タンニン酸以外の「鉄と反応して発色する有機化合物又は植物抽出物」を配合してもよい。鉄と反応して発色する有機化合物又は植物抽出物の具体例としては、没食子酸又はその誘導体、五倍子、ピロガロール、ログウッド、ヘマテイン、カテコール、オキシベンゾン1〜9のいずれか、サリチル酸又はその誘導体、フタル酸、オイゲノール、イソオイゲノール、ニコチン酸アミド、デヒドロ酢酸、ピリドキシン、エラグ酸、コウジ酸、マルトール、フェルラ酸、ヒノキチオール、ウコンエキス、クルクミン、オウゴンエキス、タマネギエキス、クエルセチン、ルチン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、生コーヒー豆抽出物、カフェー酸、クロロゲン酸、チャエキス、カテキン、エピカテキン、シコンエキス、シソエキス、シソニン、ブドウ葉エキス、ブトウエキス、エノシアニン、ラッカイン酸、ラック、コチニール、カルミン酸、エルダーベリー、アカキャベツ、ムラサキイモ、タマリンド、コウリャン、アピゲニニジン、ルテオリニジンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。上記の中でもより好ましくは、没食子酸およびその誘導体、オキシベンゾン4、サリチル酸およびその誘導体、フェルラ酸、ウコンエキス、オウゴンエキス、又はクエルセチンである。没食子酸の誘導体としては、例えば、没食子酸のアルキルエステルが挙げられ、没食子酸のアルキルエステルとしては、例えば、炭素数1〜10、好ましくは2〜5の直鎖状又は分岐状のアルキルエステルが挙げられる。例えば、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸イソアミルなどが含まれる。没食子酸又はその誘導体は、公知の方法により化学合成したものでもよく、植物から単離したものでもよい。植物から単離したものに更に化学合成を加えたものでもよい。また、植物から得られる没食子酸又はその誘導体を含有するエキスをそのまま用いてもよい。例えば、マメ科植物タラ由来の没食子酸やウルシ科ヌルデに発生する五倍子由来の没食子酸又はそれらを含有するエキスなどを用いることができる。またそれらの没食子酸を化学的にエステル化して得られた誘導体を用いることもできる。サリチル酸の誘導体としては、サリチル酸のエステルや塩が含まれる。サリチル酸の塩としては、サリチル酸のアルカリ金属塩が挙げられる。具体的にはサリチル酸ナトリウムが挙げられる。またサリチル酸のエステルとしては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキルエステルやフェニルエステルが挙げられ、具体的にはサリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチルなどが挙げられる。
【0019】
鉄と反応して発色する有機化合物又は植物抽出物の使用量は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、好ましくは第1剤の全量に対し0.5〜10重量%であり、より好ましくは1〜6重量%である。
【0020】
本発明の染毛剤の第1剤は、上記したキサンタンガム以外に、ゲル化性を有する水溶性高分子を更に含んでもよい。また、本発明の染毛剤の第2剤は、ゲル化性を有する水溶性高分子を含んでいてもよい。ゲル化性を有する水溶性高分子としては、以下のものを配合することができる。
(天然高分子誘導体又はその誘導体)
アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム(ネイティブジェランガム)、アルギン酸、ガッティガム、タマリンド種子ガム、グアーガム、カラギーナン、スクレロチウムガム、アルカシーラン、カラヤガム、寒天、マンナン、プルラン、タラガム、トラガントガム、デキストリン、ペクチン、イヌリン、ヒアルロン酸、キトサン、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、キサンタンクロスポリマー、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸
【0021】
(セルロース誘導体)
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルポキシメチルセルロース
【0022】
(合成高分子又はこれらを含む共重合体)
カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロイルジメチルタウリン;
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル・アクリル酸アミド・アクリル酸共重合体、アクリル酸・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸・アクリロイルジメチルタウリンNa共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリンNa共重合体、メチルビニルエーテル・マレイン酸共重合体、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸コポリマー
【0023】
本発明で用いる鉄塩としては、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、一般的には、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、酢酸第一鉄、リン酸第一鉄、シュウ酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄などを使用することができる、上記の中でも好ましくは、硫酸第一鉄、又は塩化第二鉄である。
鉄塩の使用量は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、好ましくは第2剤の全量に対し0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜6重量%である。
【0024】
本発明の染毛剤を構成する第1剤及び/又は第2剤には、上記に加えて各種の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、界面活性剤、油脂類、溶剤、有機酸、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、湿潤剤、香料、金属臭のマスキング剤、商品の着色剤、商品の紫外線吸収剤などが挙げられる。また、添加剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で通常の化粧品等に用いられる成分、例えば、育毛養毛剤、フケ防止剤、抗菌剤、柔軟剤、保湿剤、活性酸素除去剤、抗酸化剤、抗微生物剤、シリコーン、ミネラル、加水分解タンパク、ペプチド、アミノ酸類を適宜配合することもできる。これらの添加剤の使用量は、本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定することができる。
【0025】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びその塩、アルキルグルコシド、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルアミドプロピルベタイン等を挙げることができる。酸化防止剤としては、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム等)、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸及びその誘導体、チオグリコール酸類、システイン類、メルカプト化合物等が挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、リン酸アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等を用いることができる。湿潤剤としては、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アミノ酸、植物油等を挙げることができる。溶剤としては、水(精製水)、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、1,3ブチレングリコ−ル、1,2−ペンタンジオ−ル、2−メチル−2,4−ペンタンジオ−ル、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル等を挙げることができる。加水分解タンパクとしては、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解コンキオリン、加水分解カゼイン、加水分解大豆タンパク、加水分解小麦タンパク、加水分解トウモロコシタンパクなどを適宜配合することができる。
【0026】
本発明の染毛剤は、第1剤及び第2剤からなる二剤式の染毛剤であって、第1剤と第2剤を毛髪上で混合させることによって染毛を行う。第1剤が、タンニン酸、ベンジルアルコール及びキサンタンガムとを含有し、第2剤が鉄塩を含有する。
【0027】
第1剤と第2剤の割合は、好ましくは、重量比で1剤:2剤=1:0.5〜1:2程度であり、特に好ましくは重量比で1剤:2剤=1:1程度である。
【0028】
第1剤のpHは、好ましくはpH5〜10であり、より好ましくはpH6〜9である。 第2剤のpHは、好ましくはpH2〜6であり、より好ましくはpH3〜5である。
【0029】
本発明の染毛剤の第1剤の剤型はジェルであり、本発明の染毛剤の第2剤の剤型は、例えば、ジェル、クリーム、液体、エマルションなどが挙げられ、好ましくはジェルである。本発明の染毛剤の第1剤及び第2剤を含む容器の形態としては、チューブ、又はエアゾール型などにすることができる。エアゾールは、染毛剤(第1剤又は第2剤)と圧縮ガス、界面活性剤、増粘剤、液化ガス等を、嫌気雰囲気下で耐圧容器に充填することにより製造することができる。ここで用いられる圧縮ガスとしては、窒素、炭酸、アルゴンなどが好ましい。
【0030】
上記した本発明の染毛剤を毛髪に付与することによって毛髪の染毛を行うことができる。毛髪への付与の方法としては、第1剤を先に塗布し一定時間放置後、第2剤を塗布し、一定時間放置後、洗い流して使用してもよいし、あるいは第1剤及び第2剤を同時に塗布し一定時間放置後、洗い流して使用してもよい。
【0031】
本発明の染毛剤の塗布量としては、長さ20センチ程度の頭髪に、第1剤を30g〜70g程度、第2剤を30g〜70g程度塗布することが好ましく、第1剤を40g〜60g程度、第2剤を40g〜60g程度塗布することがさらに好ましく、一例としては、第1剤を50g及び第2剤を50gを塗布することができる。
【0032】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
染毛効果
下記の表1〜4に示す組成の各染毛剤組成物を常法により製造した。各化合物についての表中の数値は、第1剤及び第2剤の全量に対する重量%を示す。これらの組成物について、次の方法により染毛性を評価した。結果を表1〜4に示す。なお、水酸化ナトリム、塩酸の量は表示したpH7に調整するための必要量である。
【0034】
染毛方法
長さ約10センチのヤギ毛(品番:、ビューラックス社製)毛束1gに、一剤各2gを塗布し、均一にのばした後、表示した時間放置後、二剤各2gを塗布し、均一にのばした後、表示した時間放置した。その後、シャンプー及びリンス処理し、ドライヤーで毛束を乾燥させた。
【0035】
染毛性の評価方法
染毛した毛束をミノルタ社製のCR200型色彩色差計で測色し、元の白髪との色差(ΔE値)から、下記基準で評価した。
○:30<ΔE値(ヤギ毛が非常によく着色していることが目視でわかる)
△:15<ΔE値<30(ヤギ毛が着色していることが目視でわかる)
×:ΔE値<15(ヤギ毛がほとんど着色していないのが目視でわかる)
【0036】
使いやすさの評価方法
第1剤の塗布時の伸ばしやすさを、専門のパネラー5名で、下記基準で評価した。
◎:液ダレせず、簡単に均一にのばすことができる。
○:液ダレせず、均一にのばすことができる。
△:液ダレはしないが、均一にのばすことができない。
×:液ダレする。
【0037】
染めムラの改善
染色した毛束を、専門のパネラー5名で、目視で下記基準で評価した。
○:染めムラがない
×:染めムラがある
【0038】
製剤の安定性
調整した第1剤を40℃、サーモに1ヶ月入れ、調整直後の粘度の比較、および目視での確認した。粘度はB型粘度型6rpm、25℃で測定した。
○:粘度の変化が10000mPas以下、分離なし
×:粘度の変化が10000mPas以上、および/または分離あり
但し、液・泡に関しては目視での確認のみ
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)タンニン酸、ベンジルアルコール及びキサンタンガムを含有するジェル状の第1剤と、(2)鉄塩を含有する第2剤とを組み合わせて含む染毛剤。
【請求項2】
第1剤が、キサンタンガム以外に、ゲル化性を有する水溶性高分子を更に含む、請求項1に記載の染毛剤。
【請求項3】
第2剤が、キサンタンガム、及び/又はゲル化性を有する水溶性高分子を含む、請求項1又は2に記載の染毛剤。
【請求項4】
ゲル化性を有する水溶性高分子が、天然高分子又はその誘導体、セルロース誘導体、あるいは合成高分子又はこれらを含む共重合体である、請求項2又は3に記載の染毛剤。
【請求項5】
ゲル化性を有する水溶性高分子が、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム・ビニルピロリドン共重合体、ポリアクリロイルジメチルタウリン、グアーガム、ローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、又はヒドロキシプロピルセルロースである、請求項4に記載の染毛剤。
【請求項6】
鉄塩が、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、酢酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩酸第二鉄、又は酢酸第二鉄である、請求項1から5の何れか1項に記載の染毛剤。
【請求項7】
タンニン酸の含有量が第1剤の全量に対し0.01〜5重量%であり、ベンジルアルコールの含有量が第1剤の全量に対し0.5〜20重量%であり、キサンタンガムの含有量が第1剤の全量に対し0.5〜10重量%であり、鉄塩の含有量が第2剤の全量に対し0.5〜10重量%である、請求項1から6の何れか1項に記載の染毛剤。
【請求項8】
第1剤が、タンニン酸以外に、鉄と反応して発色する有機化合物又は植物抽出物を更に含む、請求項1から7の何れか1項に記載の染毛剤。
【請求項9】
第1剤が、酸化防止剤を更に含む、請求項1から8の何れか1項に記載の染毛剤。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の染毛剤を毛髪に付与することを含む、毛髪の染毛方法。

【公開番号】特開2012−92030(P2012−92030A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239268(P2010−239268)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】