説明

染色体異常を検出するための方法

本発明は染色体構造の変化を検出する方法に関する。本方法は核酸を結合する標識されたプローブを使用する。例えば、これらのプローブは、核酸、または核酸アナログおよび検出可能な標識からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願60/567,440号および60/567,570号に対して優先権を主張し、両出願は、共に2004年5月4日に出願され、その全体を参照として本明細書中に援用する。
【0002】
本発明は、1つの態様において、染色体構造の変化を検出する方法に関する。本方法は、核酸を結合するプローブを使用する。例えば、これらのプローブは、核酸または核酸アナログ及び検出標識からなり得る。
【0003】
非放射性標識を使用する分子生物学の基本的プロセスを含むインサイチュハイブリダイゼーションによる核酸配列の検出は、数年の間利用されてきた(Speel,Histochem.Cell Biol.,112:89−113(1999))。プローブベースのアッセイは、核酸の検出、同定、定量または分析に有用である。核酸プローブは、細菌、真菌、ウイルス、または他の生物体由来の核酸の存在についてサンプルを分析するために使用されてきており、遺伝学ベースの疾患状態または目的の臨床条件を試験することにもまた有用である。
【0004】
蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、1970年後半に最初に開発された(Rudkin and Stollar,Nature,265:472−73(1977))。この技術は、一般的に、サンプルの調製、プローブの標識、標的染色体およびプローブの変性、標的配列へのプローブのハイブリダイズ、ならびにシグナルの検出を必要とする。その発端以来、哺乳動物細胞において特異的なDNA配列の数、サイズまたは位置を検出するための重要なツールとなった。これらの細胞において、染色体は、対になって配列され、ここで、対になった各染色体は、姉妹染色体である。例えば、ヒト細胞は、23対の染色体を有する。典型的には、ハイブリダイゼーション反応は、標的配列を蛍光的に染色し、その結果、これらの位置、サイズまたは数は、蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリーまたは他の適切な手段を使用して決定され得る。全ゲノムから数キロベースの範囲にわたるDNA配列は、現在のハイブリダイゼーション技術および商業的に利用可能な手段を使用して研究され得る。
【0005】
ハイブリダイゼーションシグナルが中期伸展および間期核の両方で見られ得るように、FISHベースの染色は十分異なる。核酸の検出のためのプローブを使用する単色FISHおよび多色FISHは、出生前診断、白血病診断および腫瘍細胞遺伝学を含む分子細胞遺伝学として一般的に知られる、異なる臨床応用に応用される。一般的に、FISH技術は、使用の容易さ、迅速な結果、蛍光標識に先行する放射標識と比較して減少されたバックグラウンド、および高い感度を含むいくつかの利点を有する。
【0006】
FISH技術は、臨床的設定においていくつかの応用を有する。これらの応用は、例えば、出生前診断、血液学的癌、および固形腫瘍における染色体異数性の検出;遺伝子異常性、例えば、遺伝子増幅、遺伝子欠失、または遺伝子融合の検出;染色体構造異常性、例えば、転座、重複、挿入、または逆位;近接遺伝子症候群、例えば、微小欠失症候群の検出;治療の遺伝的効果のモニタリング;体細胞内および染色体中のウイルス組み込み部位内のウイルス核酸の検出;遺伝子マッピング;ならびに細胞周期分析を含む(Luke and Shepelsky,Cell Vision 5:49−53(1998))。
【0007】
癌の研究の応用に関しては、FISH分析は、胸部、腎臓、肺、子宮、精巣、および卵巣を含む種々の組織中の癌に相関する、ヒト染色体中のいくつかの欠失する傾向のある領域の同定を導いた(Szeles,Acta Microbiol.Immunol.Hungarica,49:69−80(2002))。FISH分析はまた、腫瘍抑制遺伝子およびDNA修復遺伝子を分析するために使用された。さらに、FISHはまた、リンパ腫のような転座に関連する癌を検出するために使用された。
【0008】
当業者が染色体を分析するのに使用したFISH技術の種々のバリエーションが存在する(Luke and Shepelsky,Cell Vision 5:49−53(1998))。例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)において、全ゲノムは、染色され、異常なコピー数を有する領域を検出するために、正常な参照ゲノムと比較される。多色FISH技術(m−FISHまたは複合FISH)において、各別々の正常染色体は、別々の色によって染色される(Eilsら、Cytogenetics Cell Genet 82:160−71(1998))。異常な材料で使用された場合、プローブは、異常な染色体を染色し、それによって、由来する正常な染色体を推定する(Macville Mら、Histochem Cell Biol.108:299−305(1997))。ABL遺伝子のような特定のDNA配列は、ほんの15kbのプローブを使用して確実に染色され得る(Tkachukら、Science 250:559−62(1990))。テロメア複合(multiplex)FISH(TM−FISH)において、1つのサンプルスライドガラスにおけるいくつかのサブテロメアプローブの同時ハイブリダイゼーションがある(Henegariuら、Lab.Invest,81:483−91(2001))。これらのサブテロメアプローブは、染色体の末端から100kbと1Mbとの間である。
【0009】
スペクトル染色体分析(SKY)は、電荷結合素子(CCD)画像化およびフーリエ分光学を使用し、スキャンされた各ピクセルについて蛍光波長のスペクトルを評価し、同定されたスペクトルに依る特定の偽色を割り当てる(Schrockら、Science,273:494−497(1996))。小さなゲノム断片を含む染色体異常の場合、SKY分析は、より小さなサブテロメアプローブを使用する補足的FISH分析を必要とし得る(Fanら、Genetic Testing,4:9−14(2000);Hilgenfeldら、British J.Haematol.,113:305−17(2001))。
【0010】
離れたシグナルFISH(ssFISH)は、2つのプローブを使用することによって染色体構造の変化を検出し、この各々のプローブは、異なる検出可能な標識によって標識される。検出可能な標識は、互いに識別し得るべきである。各プローブは、染色体の擬似分岐点の片側で、染色体に結合する。正常な染色体において、この2つのプローブは、これらの異なる標識の合わさったシグナルが、各標識単独とは異なるシグナルを形成するように、互いに十分近位である。従って、正常な染色体サンプルは、姉妹染色体上の2つのプローブの合わさったまたは融合したシグナルのみを含む。異常なサンプルにおいて、1つの姉妹染色体は、擬似分岐点において分岐しており、融合したシグナルは、正常な姉妹染色体上に残る。分岐した染色体において、1つのプローブが、異なる染色体に移動し、ここで、このプローブの特有のシグナルが、明らかになる。他の個々のプローブは、分裂した染色体上に残り、それは、もはや他のプローブに近位でないので、なおその特有のシグナルを放射する。要約すると、染色体構造の分岐のために、2つのプローブは、もはや並置されず、これらが一緒になって引き起こされる、融合したシグナルは、各プローブに対する個々のシグナルに離され得る。図1を参照。一般的には、WO98/51817を参照。
【0011】
しかし、ssFISHの但し書きは、偽の負の読み取りが、現れる事実にある。特に、染色体転座は起こり得、プローブシグナルは、実際に、染色体の2つの異なる対の間で離され得るが、異常なサンプルは、まるで融合したシグナルのみが存在するかのように現れる。このことは、転座に関与する2つの染色体の対がサンプル中で互いに空間的に物理的に重なる場合起こり、分裂したプローブを近位に導き、偽の融合したシグナルを与える。
【0012】
融合シグナルFISHは、2つの標識の近接が新しい融合したシグナルを発生するように、2つの異なる識別可能な標識を有する2つのプローブが使用されるssFISHと類似する。2つの方法は、融合シグナルFISHに対して、2つのプローブが、染色体再配列の結果として互いに近位になると疑われる位置で、2つの異なる染色体対と結合するということにおいて異なる。従って、正常なサンプルにおいて、個々のプローブ由来のシグナルのみが存在し、融合したシグナルは現れない。異常なサンプルにおいて、1つの染色体の断片は、別の染色体に付着し、関与する2つの対の各々における正常な染色体は、個々のプローブのシグナルの各々を放射する。異常な染色体において、プローブは今や転座により近位にあり、融合したシグナルが現れる。図2を参照。
【0013】
融合シグナルFISH法は、偽の正の読み取りを与え得る。特に、正常な染色体サンプルは、2つのプローブがなお、異なる染色体対に別々に結合するけれども、正の融合したシグナルを誤って与え得る。この場合において、転座に関与する2つの染色体対は、サンプル中で互いに空間的に物理的に重なっており、近位に正常に分裂したプローブを導き、偽の融合したシグナルを与える。以下に議論されるように、本発明は、偽の正の読み取りおよび偽の負の読み取りの問題を克服した新規の方法を使用する。
【0014】
標的核酸配列に対するインサイチュハイブリダイゼーションのプローブに基づいた方法はまた、非標的配列に結合する大きなプローブによる高いバックグラウンドの問題を備える。例えば、ヒトゲノムのかなりの成分は、非標的繰り返し配列を含む。高等生物のDNAにおける熱変性および再アニーリング研究は、真核生物DNAの3つの集団に区別した;総DNAの25%に相当する迅速再アニーリング成分、総DNAの30%に相当する中間成分、および総DNAの45%に相当する遅い成分(Brittenら、Science 161:529−540(1968))。配列分析は、遅い成分が、単一コピー配列から構成され、この配列が、タンパク質をコードする遺伝子を含み、その一方で、迅速成分および中間成分が、繰り返し配列に相当することを示した。迅速成分は、小さく(数ヌクレオチド長)、高度に繰り返しのDNA配列を含み、これは、通常タンデムに見いだされ、一方で、中間成分は、散在した反復DNAを含む(Novickら、Human Genome Bioscience,46(1):32−41(1996)およびBrosius J.,Science 251:753(1991))。中間成分の反復単位は、ゲノム中に散在され、ゲノム核酸に由来する大きなゲノム核酸プローブ(すなわち、>100bp)は、ハイブリダイゼーション分析に良好には適し得ないという大きな理由である。
【0015】
散在した繰り返し配列は、SINEs(短い散在反復配列)またはLINEs(長い散在反復配列)のいずれかとして分類される(Kroenbergら、Cell,53:391−400(1988))。霊長類において、これらのクラスの各々は、一本鎖DNA配列ファミリーによって優位を占められ、この両方は、レトロスポノス(retrosponos)として分類される(Rogers J.,Internat Rev.Cytology,93:187−279(1985))。主要なヒトSINEsは、Alu反復DNA配列ファミリーである。Alu反復DNA配列ファミリーメンバーは、頭対尾のダイマーとして整列された2つの類似する配列からなる約280〜300bpのコンセンサス配列によって特徴付けられる。約100万コピーのAlu反復配列は、1つの半数体ヒトゲノムあたりで存在すると見積もられ、それによって、ゲノムの約10%に相当する(Ausubelら、Current Prot.Mol.Bio.,John Wiley & Sons,Inc.,1996))。この見積もりは、ヒト第21染色体および第22染色体の最近の配列決定と一致する。これらの報告は、Alu反復がDNAのそれぞれ9.48%および16.80%にわたることを示す(Hattoriら、Nature,405:311−319(2000)およびDunham I.ら、Nature,402:489−495(1999))。
【0016】
Alu要素は、過去6500万年にわたって、レトロポジションによってヒトゲノム中で増幅され、サブファミリーメンバーによって共有される診断的変異に基づいて豊富な重複サブファミリーに組織化された(例えば、Batzerら、J.Mol.Evol.,42:3−6(1996)を参照)。Batzerらは、Alu反復配列に対する共通命名法を記載し、最も年老いた(J)、中間(S)および若い(Y)ファミリーブランチを提示した。Yファミリーブランチのみが、なお転写活性であるが、これは、規定されたa5、a8およびb8サブファミリーメンバーの各々が、2000未満の要素を生成するように、非常に小さい(Sherryら、Genetics,147:1977−1982(1997))。霊長類Alu反復ファミリーブランチの要素が計算され、約1/5がJファミリーに属し、4/5がSファミリーに属する(Britten,R.J.,PNAS−USA,91:6148−6150(1994))。Sファミリーは、総Sファミリーブランチの50%超に相当するほど、Sxサブファミリーによって優位を占められる。
【0017】
SINEsおよびLINEsに加えて、ヒトのゲノム核酸および他の生物体中に存在することが公知のいくつかの他の型の反復が存在する。染色体テロメアは、全ての染色体の末端にのみ、または主に全ての染色体の末端に存在するように見える反復配列である。これらは、生物体の生命の間に短くなると信じられており、生物体の老化に役割を果たし得る(Landsorp,P.,WIPO特許出願WO97/14026を参照)。同様に、染色体動原体は、染色体の中央(動原体)領域にのみ、または主に染色体の中央(動原体)領域に存在する別個の反復配列を含む。動原体反復配列の若干数は、生物体の全ての染色体において検出され得、その一方で、他の反復配列は、特定の染色体に特有であり、特定の染色体を同定するために使用され得る(Tanejaら、Genes,Chromosomes & Cancer,30:57−63(2001))。
【0018】
テロメアおよび動原体反復配列は、テロメアおよび動原体反復配列が染色体の特定の領域内に局在化される、SINEおよびLINEsのような散在した反復配列とは異なる。比較して、本明細書中でランダムに分布した反復配列といわれるSINEsおよびLINEsは、全ゲノムにわたってランダムに分散される(Ullu E.,TIBS:216−219(June,1982))。従って、本明細書中で使用される場合、用語「ランダムに分布した反復配列」は、生物体のゲノム核酸の全てにおいて、または本質的に全てにおいてランダムに生じる反復配列をいうことが意図される。これらとしては、Alu−反復、Kpn−反復、ジ−ヌクレオチド反復、トリ−ヌクレオチド反復、テトラ−ヌクレオチド反復、ペンタ−ヌクレオチド反復、ヘキサ−ヌクレオチド反復、MIR反復およびLTR反復が挙げられるが、これらに限定されない。これらの全ては、より一般的には、SINEsまたはLINEsと分類される。
【0019】
非放射性標識を使用するインサイチュハイブリダイゼーションによる核酸配列の検出は、ほぼ20年間応用されている。しかし、上記されるように、SINEsおよびLINEsのようなランダムに分布した反復配列は、プローブが、必然的にランダムに分布した反復配列を含むので、大きなクローンに由来する特定の核酸プローブの生成に対して特に問題になる。この問題は、核酸プローブが、その中に含まれるランダムに分布した反復配列を有するので生じ、それによって、プローブのランダムに分布した反復配列と全ての染色体内に見出される天然のゲノム核酸との間のハイブリダイゼーションを促進する。検出可能なプローブが、標的およびゲノム核酸中にランダムに見い出される反復配列に特異的にハイブリダイズするので、高い度合いのバックグラウンドシグナルが生じる。
【0020】
従って、1つの態様において、本発明は、非特異的バックグラウンドシグナルノイズを最小化する。
【0021】
(本発明の要旨)
1つの態様において、本明細書中で分離融合(Split−Fusion)FISH(SF−FISH)といわれる、少なくとも3つの異なる識別できる標識を有する少なくとも3つの異なるプローブが使用される。1つの態様において、プローブの2つは、核酸の調製物において標的領域に結合する。核酸の調製物としては、染色体、BAC、YAC、プラスミド、およびコスミドの調製が挙げられるがこれらに限定されない。別の態様において、標的領域は、2つのプローブが第1の融合したシグナルを生成するために十分近位であるように、染色体中の擬似分岐点のいずれかの側上であり得る。第3のプローブは、サンプル中の異なる標的領域に結合し、それ自身の独立したシグナルを示す。例えば、これは、他の2つのプローブによって結合される染色体を除く、サンプル中の1つの染色体、染色体の特定のグループ、または他の全ての染色体への結合を含み得る。核酸構造の変化が生じる場合、第1の融合したシグナルは、第1の2つのプローブの近接がなくなったことにより、そのそれぞれの個々のシグナルに分離する。さらに、新規の融合したシグナルが、第3のプローブの2つの他のプローブの1つへの新規の近接により現れる。核酸構造の変化は、第1の融合したシグナルが失われたり、新規の離れたシグナルが現れたり、そして新規の第2の融合したシグナルが現れたりする場合に、明確に同定される。図3を参照。別の態様において、SF−FISH法において使用される少なくとも3つのプローブの少なくとも1つは、相補的な反復非標的配列に前もって吸着され、SF−FISH法における使用の前にサンプル中の反復非標的配列に結合し得る標識されたプローブを除去する。
【0022】
別の態様において、相補的な反復非標的配列は、固体表面に結合される。例えば、ビーズが使用され得る。図4を参照。
【0023】
本発明のさらなる目的と利点は、後に続く、または本発明の実施によって習得され得る発明の詳細な説明に一部示される。本発明の目的と利点は、添付の特許請求の範囲に特に示される要素および組み合わせによって実現および達成される。
【0024】
前述の一般的な記載および以下の発明の詳細な説明の両方は、例示的および説明的であるのみで、特許請求の範囲とは違い、本発明を限定しないことが理解されるべきである。本明細書の一部として組み込まれ、そして構成する添付の図面は、本明細書と一緒に本発明の態様を示し、本発明の原理を説明するために役に立つ。
【0025】
(発明の詳細な説明)
1つの態様において、本発明は、染色体構造の変化を検出する方法を提供する。本明細書中で使用される場合、句、染色体構造の変化は、正常な染色体コントロールと比較した場合、試験サンプル中の染色体の変化をいう。本明細書中で使用される場合、正倍数性は、正常な数の構造的に正常な染色体を有する状態である。例えば、ヒト女性由来の正倍数性体細胞は、総計46染色体または23染色体対に対して、44の常染色体および2つのX染色体を含む。正倍数性の雄牛は、58の常染色体、1つのX染色体および1つのY染色体を有する。
【0026】
染色体変化の非網羅的な例としては、異数性、遺伝子増幅、遺伝子欠失を含む欠失、遺伝子融合、転座、重複、挿入、または逆位が挙げられる。本明細書中で使用される場合、異数性は、正常な倍数体状態または正常な二倍体数の染色体より少ないかまたはより多い染色体を有する状態からの任意の逸脱をいう。異数性は、最も頻繁に観察される型の細胞遺伝学的異常である。一般的に、異数性は、染色体数の大きな変化が致死の性質であるために、大きな逸脱がほとんど検出されないので、正倍数性からの小さな逸脱として認識される。本明細書中で使用される場合、増幅は、特定のDNAフラグメントのコピー数の増加をいう。このようなDNAフラグメントは、例えば、遺伝子または全染色体を含む。本明細書中で使用される場合、欠失は、核酸配列が染色体から除去される遺伝的事象をいう。本明細書中で使用される場合、遺伝子融合は、2つの遺伝子のDNAの偶然の結合をいう。遺伝子融合は、転座または逆位によっても起こり得る。遺伝子融合は、別の遺伝子のシス調節要素(例えば、エンハンサーまたはプロモーター)の並置によって、ハイブリッドタンパク質または1つの遺伝子の転写の誤調節を生じ得る。本明細書中で使用される場合、転座は、1つの染色体の核酸配列の一部がその染色体から除去され、異なる染色体に結合する遺伝的事象である。本明細書中で使用される場合、重複は、染色体または染色体断片中のヌクレオチド配列の反復をいう。例えば、重複は、重複した配列に対して、一列に並置しているヌクレオチド配列の反復を生じる。本明細書中で使用される場合、挿入は、核酸配列が、染色体中の2つの点の間に導入される遺伝的事象をいう。本明細書中で使用される場合、逆位は、染色体中の核酸配列の方向が逆を向く遺伝的事象である。本明細書中で使用される場合、染色体分岐点は、染色体が2つの断片に分離する染色体中の位置をいう。
【0027】
1つの態様において、本発明は、染色体上で標的核酸配列に特異的に結合する少なくとも3つのプローブを使用する。本明細書中で使用される場合、プローブは、目的の構造または標的に結合する「核酸」プローブまたは「核酸アナログ」プローブをいう。本明細書中で使用される場合、「核酸」は、核酸塩基配列を含むオリゴマー、ポリマー、またはポリマー断片をいい、天然に存在するヌクレオチドまたは非修飾のヌクレオチドのみから形成された骨格を有する。本明細書中で使用される場合、「核酸アナログ」は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドからなるオリゴマー、ポリマー、またはポリマー断片あるいはヌクレオチドの修飾から直接誘導されたサブユニットを意味する。天然に存在する核酸塩基の非限定的な例としては:アデニン、シトシン、グアニン、チミンおよびウラシルが挙げられる。修飾されたヌクレオチドの非限定的な例としては:5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、シュードイソシトシン、2―チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)ならびにN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)が挙げられる。他の適切な核酸塩基の非限定的な例としては、Buchardtらの図2(A)および2(B)(米国特許6,357,163)に示される核酸塩基が挙げられる。
【0028】
用語「核酸アナログ」はまた、核酸に結合し得る合成分子をいう。例えば、核酸アナログプローブは、ペプチド核酸(PNA)、ロックト核酸(LNA)、または核酸の任意の誘導体型からなり得る。本明細書中で使用される場合、「ペプチド核酸」または「PNA」は、少なくとも1つ以上のPNAサブユニット(残基)を含む任意のオリゴマーまたはポリマーを意味し、全てが本明細書中に参照として援用される米国特許第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,718,262号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,766,855号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号、同第6,107,470号、同第6,201,103号、同第6,228,982号および同第6,357,163号に言及されるかまたはペプチド核酸として特許請求される、任意のオリゴマーまたはポリマー断片を含むが、これらに限定されない。用語PNAはまた、以下の刊行物に記載される核酸模倣物の1つ以上のサブユニットを含む任意のオリゴマーまたはポリマー断片に適用される:Lagriffoulら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,4:1081−1082(1994);Petersenら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,6:793−796(1996);Diderichsenら、Tett.Lett.37:475−478(1996);Fujiiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7:637−627(1997);Jordanら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7:687−690(1997);Krotzら、Tett.Lett.36:6941−6944(1995);Lagriffoulら、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1081−1082(1994);Diederichsen,U.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,7:1743−1746(1997);Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,(1997)1:539−546;Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:547−554(1997);Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 1:5 55−560(1997);Howarthら、J.Org.Chem.62:5441−5450(1997);Altmann,K−Hら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,7:1119−1122(1997);Diederichsen,U.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.,8:165−168(1998);Diederichsenら、Angew.Chem.Int.編、37:302−305(1998);Cantinら、Tett.Lett.,38:4211−4214(1997);Ciapettiら、Tetrahedron,53:1167−1176(1997);Lagriffouleら、Chem.Eur.J.,3:912−919(1997);Kumarら、Organic Letters 3(9):1269−1272(2001);およびWO96/04000に開示されるthe Peptide−Based Nucleic Acid Mimics(PENAMs) of Shahら。本明細書中で使用される場合、用語「ロックト核酸」または「LNA」は、少なくとも1つ以上のLNAサブユニットを含むオリゴマーまたはポリマーを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「LNAサブユニット」は、リボースの2’−酸素を4’ −炭素で結合するメチレン橋を含むリボヌクレオチドを意味する。一般的には、Kurreck,Eur.J.Biochem.,270:1628−44(2003)を参照。
【0029】
プローブは、1つ以上の核酸断片または合成分子断片を含み得、ここで、各断片は検出可能な標識で別々に標識される。プローブはまた、核酸断片と合成分子断片との混合物を含み得、ここで、各断片は検出可能な標識で別々に標識される。
【0030】
本明細書中で使用される場合、標的配列は検出または同定されるように探される核酸配列である。核酸配列は、目的の核酸分子(例えば、染色体)の部分配列であり得る。本明細書中で使用される場合、非標的配列は標的配列でない核酸配列である。
【0031】
プローブは特定の条件下で標的配列に結合する。用語「結合する」は、「ハイブリダイズする」と同意語である。2つの分子がハイブリダイズする場合、これらは、1つ以上の型の化学結合または相補的塩基対形成によって2つの分子の組み合わせを形成する。さらに、プローブ中の塩基は、ハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結され得る。従って、オリゴヌクレオチドプローブは、ホスホジエステル結合ではなくペプチド結合によって連結された構成塩基を有する。適切なハイブリダイゼーション条件は、Ausubelら、(1995),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,2節、4節および6節に例示されるような最小の実験を用いて当業者によって選択され得る。さらにストリンジェンシー条件は、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Press,7章、9章および11章に記載される。本明細書中に使用される場合、用語相補的は、互いにハイブリダイズし得る核酸塩基をいう。例えば、アデニンはチミンと相補的であり、シトシンはグアニンと相補的である。
【0032】
本明細書中に使用される場合、句、特定の条件下で結合するは、ハイブリダイゼーションおよび互いに実質的に同一または相同なヌクレオチド配列が互いに結合したまま残る洗浄のための条件を記載することが意図される。少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、および例えば少なくとも約85〜90%同一である配列が互いに結合したまま残る条件であり得る。
【0033】
1つの態様において、プローブは検出可能な標識を含む。本明細書中に使用される場合、検出可能な標識はオリゴマーまたはポリマーに結合し、それによってオリゴマーまたはポリマーを道具または方法によって検出可能にし得る部分をいう。1つの態様において、検出可能な標識はプローブに直接結合され得る。別の態様において、検出可能な標識はプローブに間接的に結合され得る。例えば、検出可能な標識はリンカーを使用することによってプローブに結合され得る。検出可能な標識は、例えば蛍光色素、発色団、スピンラベル、放射性同位元素、酵素、ハプテン、量子点、ビーズ、アミノヘキシル、ピレン、およびアクリジニオン(acridinione)のような化学ルミネセンス化合物であり得る。本発明の方法で使用され得る蛍光色素としては、IR色素、Dyomics色素、フィコエリスリン、カスケード青、Oregon緑488、パシフィック青、ローダミン緑、5(6)−カルボキシフルオレセイン、シアニン色素(すなわち、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)、(ジエチル−アミノ)クマリン、フルオレセイン(すなわち、FITC)、テトラメチルローダミン、リスサミン(lissamine)、テキサス赤、AMCA、TRITC、およびAlexa色素が挙げられるがこれらに限定されない。本発明で使用され得るハプテンとしては、5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ローダミン、臭化デオキシウリジン、アセチルアミノフルレン(acetylaminoflurene)、トリニトロフェノール水銀、エストラジオールおよびビオチンが挙げられるがこれらに限定されない。本発明で使用され得る酵素としては、ダイズペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
本発明の1つの態様において、使用される標識は、検出可能で、互いに識別可能である。識別可能なプローブは、互いに分離して検出される場合、異なるシグナルを与えるプローブである。本明細書中で使用される場合、融合したシグナルは、2つ以上の個々のシグナルが共局在化し、新規または異なるシグナルを生成する場合生じる。例えば、2つの標識されたプローブが、これらのシグナルが重なり合うほど十分近位にある場合、融合したシグナルは生じる。融合したシグナルは、結合された標的配列に結合するための標識されたプローブを必要としない。標識されたプローブが共局在化シグナルを生じるほど十分近い場合、融合したシグナルは生じる。例えば、プローブ間の差異がプローブシグナルの直径の2倍未満である場合、融合したシグナルは生じる。融合したシグナルはまた、3つの標識されたプローブが互いに近位にある場合に生じ、このことは、染色体挿入によって生じ得る。これらの挿入は、試験されたヒト患者の約20%で生じる。それによって、融合したシグナルを作り上げる個々のシグナルが、別々に同定され得るように互いから離されている場合、離れたシグナルは生じる。標識は、蛍光顕微鏡、明視野顕微鏡、冷却電荷結合素子(CCD)カメラ、およびデジタル画像化顕微鏡、レーザースキャニング、フローサイトメトリーを含む種々の手段によって検出され得る。プローブおよび標識されたプローブは、当該分野で公知の任意の方法によって準備され得る。
【0035】
1つの態様において、プローブは染色体調製物と接触される。別の態様において、プローブは染色体調製物と連続して接触される。別の態様において、プローブは染色体調製物と同時に接触される。本明細書中で使用される場合、染色体調製物は、目的の細胞型由来の染色体からなる組成物をいう。目的の細胞型は、哺乳動物細胞、細菌細胞、または酵母細胞であり得る。さらなる態様において、染色体調製物は、種々の体細胞分裂の段階の哺乳動物細胞から生成し得る。例えば、染色体調製物は、間期、前期、後期、終期、または中期における細胞から生成し得る。SF−FISH分析における使用のための染色体調製物の生成方法は、当業者に周知である。
【0036】
1つの態様において、本発明は、非特異的バックグラウンドシグナルノイズを最小化する。1つの例において、図4に示されるように反復配列はプローブから激減され得る。別の例において、プローブは、まず、抗原で標識された反復核酸配列のプールにハイブリダイズされ得る。次いで、反復配列は、該抗原を認識する表面結合抗体とサンプルを接触させることによって除去され、そのために、反復配列に結合し得る捕捉プローブに対する抗体を使用する。次いで、このプローブサンプルは、SF−FISHのようなFISH技術における使用の前に、固定された抗体から除去され得る。
【0037】
別の態様において、本発明は、標識されたプローブが部分的にまたは完全に染色体分岐点領域に伸びる標的領域あるいはハイブリダイゼーションが所望されない任意の他の領域への標識されたプローブのハイブリダイゼーションを最小化する。標識されたプローブのハイブリダイゼーションが望まれない染色体上の領域にハイブリダイズする配列を含む、過剰の標識されないDNAを加えることによってブロッキングは、達成され得る。図5を参照。ブロッキングDNAは、プラスミド、コスミド、PAC、BAC、またはYACを含むがこれらに限定されない種々のベクターから調製され得る。
【0038】
別の態様において、使用される3つのプローブの1つ以上は、相補的な反復核酸配列に前もって吸着される。反復核酸配列として、Alu−リピート、Kpn−リピート、ジ−ヌクレオチドリピート、トリ−ヌクレオチドリピート、テトラ−ヌクレオチドリピート、ペンタ−ヌクレオチドリピート、ヘキサ−ヌクレオチドリピート、MLRおよびLTRが挙げられるがこれらに限定されず、これらの全ては、SINEsまたはLINEsとして分類される。反復配列は、通常、非標的配列である。本明細書中に使用される場合、前もって吸着されるは、標識されたプローブを相補的な反復核酸配列に曝し、結合した標識されたプローブを形成することをいう。相補的な反復核酸配列によって結合された、結合した標識されたプローブは、SF−FISH法において残りの標識されたプローブを使用する前に除去される。さらに別の態様において、相補的な反復核酸配列は固体表面に結合される。固体表面は、ビーズおよびスライドガラスを含むがこれらに限定されない。1つの態様において、反復配列は固体表面に共有結合され得る。別の態様において、反復配列は固体表面に水素結合され得る。
【0039】
本発明は、標識されたプローブから所望されない配列を除去する工程を包含する、染色体の構造の変化を検出するための方法を包含する。所望されない配列は、反復ヌクレオチド配列を含むがこれらに限定されない。
【0040】
本発明は、標的領域の変化を検出する方法を包含し、この方法は:
(a)核酸の調製物を得る工程;
(b)核酸の調製物を、第1の標識を含む第1のプローブと接触させる工程;
(c)核酸の調製物を、第2の標識を含む第2のプローブと接触させる工程であって、ここで、第1のプローブおよび第2のプローブは正常なコントロールサンプルにおいて同じ標的領域内に結合し、第1のプローブと第2のプローブとの結合が融合したシグナルを生じる、工程:
(d)核酸の調製物を、第3の標識を含む第3のプローブと接触させる工程であって、ここで第3のプローブは、核酸の調製物中の異なる標的領域に結合する、工程:ならびに
(e)核酸構造の変化を検出する工程、
を包含し、ここで、この第1のプローブおよび第2のプローブは、離れたシグナルを生じる同じ標的領域には存在せず;
(i)第1のプローブおよび第3のプローブ;または
(ii)第2のプローブおよび第3のプローブ
が新規の融合したシグナルを生じる同じ標的領域に存在する。
【0041】
本発明は、染色体構造の変化を検出するための方法を包含し、この方法は:
(a)染色体調製物を得る工程;
(b)染色体調製物を、第1の標識を含む第1のプローブと接触させる工程;
(c)染色体調製物を、第2の標識を含む第2のプローブと接触させる工程であって、ここで、第1のプローブおよび第2のプローブは正常なコントロールサンプルにおいて同じ染色体に結合し、第1のプローブと第2のプローブとの結合が融合したシグナルを生じる、工程:
(d)染色体調製物を、第3の標識を含む第3のプローブと接触させる工程であって、ここで、第3のプローブは染色体調製物中の他の染色体または同じ染色体の別の領域に結合する、工程:ならびに
(e)染色体構造の変化を検出する工程、
を包含し、ここで、第1のプローブおよび第2のプローブは離れたシグナルを生じる同じ染色体には存在せず;
(i)第1のプローブおよび第3のプローブ;または
(ii)第2のプローブおよび第3のプローブ
が新規の融合したシグナルを生じる同じ染色体に存在する。
【0042】
本発明はまた、染色体構造の変化を検出するための方法を包含し、この方法は:
(a)染色体調製物を得る工程;
(b)染色体サンプル中に存在し結合した標識されたプローブを形成し得る非標的配列に相補的なヌクレオチド配列を有する相補的なプローブと、第1の標識を含む第1のプローブを接触させる工程;
(c)結合した標識されたプローブを除去し、第1の選択されたプローブを残す工程;
(d)染色体調製物を第1の選択されたプローブと接触させる工程;
(e)染色体調製物を、第2の標識を含む第2のプローブと接触させる工程であって、ここで、第1の選択されたプローブおよび第2のプローブは正常なコントロールサンプルにおいて同じ染色体に結合し、第1の選択されたプローブと第2のプローブとの結合が融合したシグナルを生じる、工程:
(f)染色体調製物を、第3の標識を含む第3のプローブと接触させる工程であって、ここで、第3のプローブは第1の選択されたプローブおよび第2のプローブによって結合される染色体以外の、染色体調製物中の他の染色体に結合する、工程:ならびに
(g)染色体構造の変化を検出する工程、
を包含し、ここで、第1の選択されたプローブおよび第2のプローブは、離れたシグナルを生じる同じ染色体には存在せず;
(i)第1の選択されたプローブおよび第3のプローブ;または
(ii)第2のプローブおよび第3のプローブ
は、新規の融合したシグナルを生じる同じ染色体に存在する。
【0043】
本明細書中で使用される場合、A,B、およびCのような項目のリストが続く句「その1つ以上から選択された」、「その少なくとも1つから選択された」、「1つ以上から選択された」、および「少なくとも1つから選択された」は、A,B、およびCの1つ以上(例えば、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBのみ、BおよびCのみ、AおよびCのみ、またはA、BおよびC)が選択され得ることを示し、また、各A、BまたはCの範疇内の1つ以上の型(例えば、A1およびA2のみ、A1およびA2およびB1のみ、B1およびB2およびC1のみなど)が選択され得ることを示す。
【0044】
以下の実施例は、例示の目的のためにのみ提供され、本発明の範囲を限定または制限することは意図されない。
【0045】
(実施例)
(実施例1)
中期伸展および間期核を含むスライドガラスを、Human Cytogenetics,a Practical Approach,Volume 1,第2版、D.E.RooneyおよびB.H.Czepulkowski editors(1992)に記載されるように3.7%ホルムアルデヒドを含むTBS(50mmol/L Tris、150mmol/L NaCl、pH7.6)中、室温で2分間前処理した。次いで、このスライドガラスをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で、1回洗浄あたり5分間室温で、2回リンスした。リンスの後、このスライドガラスを70%エタノール中4℃で2分間インキュベートし、85%エタノール中4℃で2分間インキュベートし、次いで、96%エタノール中4℃で2分間インキュベートし、その後空気乾燥することによって、このスライドガラスを一連の冷エタノール(4℃)中で脱水した。
【0046】
各々の標的領域上に、10μLのDNAハイブリダイゼーション緩衝液(100ngフルオレセイン標識プローブ、100ng Texas赤標識プローブ、5μM PNAオリゴミックス、45%ホルムアミド、300mM NaCl、5mM NaPO、10%硫酸デキストラン)を加え、18×18mmのカバーガラスをかけ、ハイブリダイゼーション領域を覆った。82℃5分間の変性の前に、カバーガラスの縁を、ゴムセメントで密封した。スライドガラスを45℃で一晩ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションの後、カバーガラスを除去し、スライドガラスを65℃のストリンジェント洗浄緩衝液(0.2×SSC,0.1% Triton X−100)で10分間洗浄した。
【0047】
次いで、スライドガラスを上記のように、70%、85%および96%の一連の冷エタノール(4℃)中で脱水する前に、TBSで1分間リンスした。各スライドガラスに、0.1μg/mL 4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI, Sigma Chemicals)を補充された10μLのアンチフェード溶液(Vectashield H−1000,Vector Laboratories,Inc.Burlingame)をマウントし、カバーガラスで密封した。スライドガラスを、CCDデジタルカメラを備えた蛍光顕微鏡を使用して分析した。
【0048】
図6〜10は、それぞれ、BCR、ETV6、MLL、TCF3およびTLX3遺伝子に結合するプローブを用いた結果を提供する。この技術において例えば、BCR、ETV6、MLL、TCF3およびTLX3遺伝子をアッセイするために使用され得る特定のプローブ配列は、仮出願60/567,570に提供され、本願はこの出願に対して優先権を主張しており、その全体は本明細書中に参照として援用される。さらなるプローブ配列は、同時に出願された対応する国際出願に提供され、「核酸プローブおよび核酸アナログプローブ」と題される。この出願もまた、本明細書中に参照として援用される。
【0049】
(実施例2)
正常細胞および試験サンプル細胞由来の中期伸展および間期核を含むスライドガラスを、上記されるようにTBS中で前処理する。次いで、このスライドガラスをPBSで、1回洗浄あたり5分間室温で、2回リンスする。リンスの後、このスライドガラスを、上記されるように70%、85%、および96%の一連の冷エタノール(4℃)中で脱水し、空気乾燥する。
【0050】
各々の標的領域上に、10μLのDNAハイブリダイゼーション緩衝液(100ngフルオレセイン標識プローブ、100ng Texas赤標識プローブ、100ng AMCA(7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(acitic acid))標識プローブ、5μM PNAオリゴミックス、45%ホルムアミド、300mM NaCl、5mM NaPO、10%硫酸デキストラン)を加え、18×18mmのカバーガラスをかけ、スライドガラス上のハイブリダイゼーション領域を覆う。82℃5分間の変性の前に、カバーガラスの縁を、ゴムセメントで密封した。スライドガラスを45℃で一晩ハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションの後、カバーガラスを除去し、スライドガラスを65℃のストリンジェント洗浄緩衝液(0.2×SSC、0.1% Triton X−100)で10分間洗浄する。ブロッキングDNAはまた、所望されない結合を避けるために図5に示されるように加え得る。
【0051】
次いで、スライドガラスを上記のように、70%、85%および96%の一連の冷エタノール(4℃)中で脱水する前に、TBSで1分間リンスする。各スライドガラスに、0.1μg/mL 4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI,Sigma Chemicals)を補充された10μLのアンチフェード溶液(Vectashield H−1000,Vector Laboratories,Inc.Burlingame)をマウントし、カバーガラスで密封する。
【0052】
スライドガラスを、CCDデジタルカメラを備える蛍光顕微鏡を使用して分析する。正常細胞染色体調製物を含むスライドガラスにおいて、Texas赤標識プローブおよびFITC標識プローブは、両方の姉妹染色分体上に共局在化し、2つの同一の融合したシグナルを生成する。図3を参照。AMCA標識プローブは、Texas赤標識プローブともFITC標識プローブとも共局在化しない。異常細胞染色体調製物において、元のTexas赤/FITCシグナルは、1つの染色分体上に残る。しかし、別の染色分体において、1つのみの標識(すなわち、FITC)が残り、その一方で、他の標識は別の染色体上でAMCA標識と共局在化し、新規の融合したTexas赤/AMCAシグナルを形成する。図3を参照。試験サンプル調製物における元の融合したシグナルの消失および新規の融合したシグナルの出現は、染色体構造の変化を示す。
【0053】
(実施例3)
PDGFRAプローブを、正常組織および細胞株ELO−1由来の中期伸展からの中期染色体にハイブリダイズした。第4染色体上の正常なPDGFRA座を、正常細胞において、黄色の点または染色体構造の予想される疾患に関連する変化から上流および下流の領域にハイブリダイズする赤プローブおよび緑プローブの並置に起因する共局在化した緑/赤シグナルのいずれかによって検出した。
【0054】
(実施例4)
PDGRFBプローブをNALM−6細胞株由来の中期染色体にハイブリダイズした。第5染色体上の正常なPDGFRB座を、正常細胞において、黄色の点または染色体構造の予想される疾患に関連する変化から上流および下流の領域にハイブリダイズする赤プローブおよび緑プローブの並置に起因する共局在化した緑/赤シグナルのいずれかによって検出した。一方の緑シグナルの欠損は誘導体第5染色体の欠失を示し、その一方で、赤シグナルは別の染色体への転座を示した。
【0055】
(実施例5)
他のプローブが、BCL2、BCL3、BCL6、BCL10、MALT1、MYC、PAX5、CCND1、TLX1、TCRAD、TCRBおよびTCRG遺伝子に結合するように設計された。これらのプローブは、染色体構造または種々の疾患、例えばT−細胞前リンパ球性白血病、T−細胞巨大顆粒リンパ性白血病(T−LGL)、好酸球増多症候群(HES)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、リンパ形質細胞性(Lymphoplasmocytic)リンパ腫(LPL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、脾性辺縁帯リンパ腫(SMZL)、辺縁帯(MALT)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)、T−細胞白血病/リンパ腫(TLL)、T−細胞白血病/リンパ腫(TLL)、およびリンパ腫に関与する標的領域の変化を検出するために使用され得る。
【0056】
この技術において使用され得る特定のプローブ配列は「核酸プローブおよび核酸アナログプローブ」と題された添付の国際出願および2004年5月4日に出願された米国仮出願60/567,570に提供され、本願は、これらに対して優先権を主張する。これらの出願の両方は、本明細書中に参照として援用される。
【0057】
本発明の他の態様は、本明細書の考察および本明細書中に開示される本発明の実施から当業者には明らかである。本明細書および実施例は、例示としてのみ見なされることが意図される。本明細書中で議論されるかまたは参照される全ての参照は、参照として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、ssFISH法における期待されるシグナルを要約する。白色の棒および丸は融合したシグナルを示し、その一方で、2つの異なる影付きの棒および丸は2つの異なる色付きプローブの個々のシグナルを示す。
【図2】図2は、融合したシグナルのFISH法において期待されるシグナルを要約する。白色の棒および丸は融合したシグナルを示し、その一方で、2つの異なる影付き棒および丸は2つの異なる色付きプローブの個々のシグナルを示す。
【図3】図3は、SF−FISH法から得られる期待されるシグナルの組み合わせを要約する。一緒に示される白および淡い影付きの丸は3つのプローブの2つの近位から生じる第1の融合したシグナルを示し、これらは、赤および緑のような異なる色を有する。暗い影付きの丸は第3のプローブを示す。暗い影付きおよび淡い影付きの丸は、一緒に新規の融合したシグナルを示し、その一方で、白丸単独は染色体構造の変化から生じる新規の離れたシグナルを示す。1つの態様において、ここで暗い影付き丸によって示されるIGHC、IGKCおよびIGLCプローブは、第3、第4および第5の標識で印を付けられ、各々の標識は、異なる色の淡い影付きの標識を用いて特有の融合したシグナルを発生し、それによって、融合パートナーを同定する。
【図4】図4は、標識されたプローブが、本発明の使用の前に、どのように反復配列に前もって吸着され得るかを要約する。
【図5】図5は、標識されないブロッキングDNAが、どのように望まれないシグナルを避けて使用され得るかを要約する。この図において、2つの「赤いプローブ」が細い線を用いて左上に描かれ、4つの「緑のプローブ」が太い線を用いて右上に描かれる。「ブロッキングプローブ」は、中間の太さの線を用いて描かれる。「赤いプローブ」は以下の棒および丸において明るく影付けされており、その一方で、「緑のプローブ」は暗く影付けされている。融合したシグナルは白である。
【図6】図6は、BCRプローブの中期染色体へのハイブリダイゼーションを示す。(A)プローブによって覆われた領域の図、異なる色のプローブは短い点線および長い点線によって示される。;(B)正常な末梢血由来の中期伸展へのBCRプローブのハイブリダイゼーション。第22染色体上の正常な2つのBCR座は、2つの異なる色のプローブ由来の2つの点または共局在化したシグナル(例えば、黄色、または並置された緑および赤のシグナル)によって表される。;(C)正常な末梢血由来の核へのBCRプローブのハイブリダイゼーション。2つの正常なBCR座は、2つの異なる色のプローブ由来の2つの淡い色の点または共局在化したシグナルによって表される;(D)細胞株BV173由来の中期伸展へのBCRプローブのハイブリダイゼーション。第22染色体上の1つの正常なBCR座は、2つの異なる色のプローブ由来の淡い色の点または共局在化したシグナルによって示される(図の左上の明るい点を参照のこと)。第9染色体と第22染色体(細胞株BV173中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。さらなる第9染色体は、誘導体第9染色体の増幅の結果として検出され得る。;(E)細胞株BV173由来の核へのBCRプローブのハイブリダイゼーション。1つの正常なBCR座は、2つの異なる色のプローブ由来の淡い色の点または共局在化したシグナルによって示される。(ここで示される核の右上側の明るい色の点を参照のこと。)第9染色体と第22染色体(細胞株BV173において)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が、検出され得る。さらなる第9染色体は、誘導体第9染色体の増幅の結果として検出され得る。
【図7】図7は、中期染色体へのETV6プローブのハイブリダイゼーションを示す。(A)プローブによって覆われる領域の図面、異なる色のプローブは、短い点線および長い点線によって示される。;(B)正常な末梢血由来の中期伸展へのETV6プローブのハイブリダイゼーション。第12染色体上の2つの正常なETV6座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって表される。;(C)正常な末梢血由来の核へのETV6プローブのハイブリダイゼーション。2つの正常なETV6座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって表される。;(D)細胞株REH由来の中期伸展へのETV6プローブのハイブリダイゼーション。第12染色体上の正常なETV6座は欠失され、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルの欠損によって示される。代わりに、この伸展上で示される各々のシグナルは1つの混ざっていない色(緑または赤)である。第12染色体と第21染色体(細胞株REH中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。小さな緑のシグナルは、欠失されたETV6座の残りの部分として検出され得る。;(E)細胞株REH由来の核へのETV6プローブのハイブリダイゼーション。第12染色体上の正常なETV6座は欠失され、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルの欠損によって示される。第12染色体と第21染色体(細胞株REH中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が、検出され得る。小さな緑のシグナルは、欠失されたETV6座の残りの部分として検出され得る(この伸展上の右上および左下の点)。
【図8】図8は、中期染色体へのMLLプローブのハイブリダイゼーションを示す。(A)プローブによって覆われる領域の図面、異なる色のプローブは、短い点線および長い点線によって示される。;(B)正常な末梢血由来の中期伸展へのMLLプローブのハイブリダイゼーション。第11染色体上の2つの正常なMLL座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナル(4つ全ての点が示される)によって表される。;(C)正常な末梢血由来の核へのMLLプローブのハイブリダイゼーション。2つの正常なMLL座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナル(全ての点が示される)によって表される。;(D)細胞株RS−4;11由来の中期伸展へのMLLプローブのハイブリダイゼーション。第11染色体上の1つの正常なMLL座は、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって示される(右上)。第4染色体と第11染色体(細胞株RS−4;11中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。;(E)細胞株RS−4;11由来の核へのMLLプローブのハイブリダイゼーション。第11染色体上の1つの正常なMLL座は、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって示される(右上および下の伸展上のより大きな点)。第4染色体と第11染色体(細胞株RS−4;11中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。
【図9】図9は、中期染色体へのTCF3プローブのハイブリダイゼーションを示す。(A)プローブによって覆われる領域の図面、異なる色のプローブは、短い点線および長い点線によって示される。;(B)正常な末梢血由来の中期伸展へのTCF3プローブのハイブリダイゼーション。第19染色体上の2つの正常なTCF3座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって表される。;(C)正常な末梢血由来の核へのTCF3プローブのハイブリダイゼーション。2つの正常なTCF3座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって表される。;(D)細胞株697由来の中期伸展へのTCF3プローブのハイブリダイゼーション。第19染色体上の1つの正常なTCF3座は、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって示される(右の2つの明るい点)。第1染色体と第19染色体(細胞株697中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。;(E)細胞株697由来の核へのTCF3プローブのハイブリダイゼーション。第19染色体上の1つの正常なTCF3座は、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって示される(伸展上の中央の並置された点)。第1染色体と第19染色体(細胞株697中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。
【図10】図10は、中期染色体へのTLX3プローブのハイブリダイゼーションを示す。(A)プローブによって覆われる領域の図面、異なる色のプローブは、短い点線および長い点線によって示される。;(B)正常な末梢血由来の中期伸展へのTLX3プローブのハイブリダイゼーション。第5染色体上の2つの正常なTLX3座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって表される(ここに示される全ての点)。;(C)正常な末梢血由来の核へのTLX3プローブのハイブリダイゼーション。2つの正常なTLX3座は、2つの淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって表される;(D)細胞株HPB−ALL由来の中期伸展へのTLX3プローブのハイブリダイゼーション。第5染色体上の1つの正常なTLX3座は、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって示される(右上)。第5染色体と第14染色体(細胞株HPB−ALL中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。;(E)細胞株HPB−ALL由来の核へのTLX3プローブのハイブリダイゼーション。第5染色体上の1つの正常なTLX3座は、淡い色の点または共局在化した異なる色のシグナルによって示される(中央の点)。第5染色体と第14染色体(細胞株HPB−ALL中の)との間の転座由来の2つの誘導体染色体が検出され得る。 図1〜10(e)の色付バージョンは仮出願60567,440に提供され、それに対して本出願は優先権を主張し、それは本明細書中に参照として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的領域の変化を検出する方法であって:
(a)核酸の調製物を得る工程;
(b)核酸の調製物を、第1の標識を含む第1のプローブと接触させる工程;
(c)核酸の調製物を、第2の標識を含む第2のプローブと接触させる工程であって、ここで、第1のプローブおよび第2のプローブは正常なコントロールサンプルにおいて同じ標的領域内に結合し、第1のプローブと第2のプローブとの結合がこの正常なコントロールサンプル内で融合したシグナルを生じる、工程:
(d)核酸の調製物を、第3の標識を含む第3のプローブと接触させる工程であって、ここで第3のプローブは核酸の調製物中の異なる標的領域に結合する、工程:ならびに
(e)核酸構造の変化を検出する工程、
を包含し、ここで第1のプローブおよび第2のプローブは離れたシグナルを生じる同じ標的領域には存在せず;
(i)第1のプローブおよび第3のプローブ;または
(ii)第2のプローブおよび第3のプローブ
が新規の融合したシグナルを生じる同じ標的領域に存在する、方法。
【請求項2】
染色体構造の変化を検出するための方法であって:
(a)染色体調製物を得る工程;
(b)染色体調製物を、第1の標識を含む第1のプローブと接触させる工程;
(c)染色体調製物を、第2の標識を含む第2のプローブと接触させる工程であって、ここで、第1のプローブおよび第2のプローブは正常なコントロールサンプルにおいて同じ染色体に結合し、第1のプローブと第2のプローブとの結合が正常なコントロールサンプルにおいて融合したシグナルを生じる、工程:
(d)染色体調製物を、第3の標識を含む第3のプローブと接触させる工程であって、ここで、第3のプローブは染色体調製物中の他の染色体または同じ染色体の別の領域に結合する、工程:ならびに
(e)染色体構造の変化を検出する工程、
を包含し、ここで第1のプローブおよび第2のプローブは離れたシグナルを生じる同じ染色体には存在せず;
(i)第1のプローブおよび第3のプローブ;または
(ii)第2のプローブおよび第3のプローブ
が新規の融合したシグナルを生じる同じ染色体に存在する、方法。
【請求項3】
前記染色体構造の変化が異数性、増幅、欠失、融合、転座、重複、挿入、および逆位の少なくとも1つから選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプローブ、前記第2のプローブまたは前記第3のプローブあるいはこれらのプローブの1つより多くのプローブが核酸プローブである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記核酸プローブがDNAまたはRNAからなる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1のプローブ、前記第2のプローブまたは前記第3のプローブあるいはこれらのプローブの1つより多くのプローブが非核酸プローブである、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記非核酸プローブがPNAまたはLNAからなる、請求項8記載の方法。
【請求項8】
前記標識が発色団、蛍光色素、スピンラベル、放射性同位元素、酵素、ハプテン、量子点、ビーズ、アミノヘキシル、ピレンおよび化学ルミネセンス化合物の少なくとも1つから選択される、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記蛍光色素が5(6)−カルボキシフルオレセイン、シアニン色素、(ジエチル−アミノ)クマリン、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、リスサミン、テキサス赤、AMCA、TRITC、IR色素、Dyomics色素、フィコエリスリン、カスケード青、Oregon緑488、パシフィック青、ローダミン緑、およびAlexa色素の少なくとも1つから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ハプテンが5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ローダミン、臭化デオキシウリジン、アセチルアミノフルレン、トリニトロフェノール水銀、エストラジオールおよびビオチンの少なくとも1つから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記酵素がダイズペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼの少なくとも1つから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
化学ルミネセンス化合物がアクリジニオンである、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記融合したシグナルが色変化によって検出される、請求項2記載の方法。
【請求項14】
前記離れたシグナルが色変化によって検出される、請求項2記載の方法。
【請求項15】
前記第1のプローブおよび第2のプローブが前記染色体中の擬似分岐点の両側に結合する、請求項2記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つのプローブが染色体調製物に同時に接触する、請求項2記載の方法。
【請求項17】
前記第1のプローブ、前記第2のプローブ、および前記第3のプローブが染色体調製物に同時に接触する、請求項2記載の方法。
【請求項18】
標的領域の変化を検出するための方法であって:
(a)核酸の調製物を得る工程;
(b)核酸の調製物中に存在し結合した標識されたプローブを形成し得る非標的配列に相補的なヌクレオチド配列を有する相補的なプローブと、第1の標識を含む第1のプローブを接触させる工程;
(c)結合した標識されたプローブを除去し、第1の選択されたプローブを残す工程;
(d)核酸の調製物を第1の選択されたプローブと接触させる工程;
(e)核酸の調製物を、第2の標識を含む第2のプローブと接触させる工程であって、ここで、第1の選択されたプローブおよび第2のプローブは正常なコントロールサンプルにおいて同じ標的領域に結合し、第1の選択されたプローブと第2のプローブとの結合が正常なコントロールサンプルにおいて融合したシグナルを生じる、工程:
(f)核酸の調製物を、第3の標識を含む第3のプローブと接触させる工程であって、ここで、第3のプローブは核酸の調製物中の他の核酸または同じ核酸の別の領域に結合する、工程:ならびに
(g)核酸構造の変化を検出する工程、
を包含し、ここで、第1の選択されたプローブおよび第2のプローブは離れたシグナルを生じる同じ標的領域には存在せず;
(i)第1の選択されたプローブおよび第3のプローブ;または
(ii)第2のプローブおよび第3のプローブ
が新規の融合したシグナルを生じる同じ標的領域に存在する、方法。
【請求項19】
染色体構造の変化を検出するための方法であって:
(a)染色体調製物を得る工程;
(b)染色体調製物を、第1の標識を含む第1のプローブと接触させる工程;
(c)染色体調製物を、第2の標識を含む第2のプローブと接触させる工程であって、ここで、第1のプローブおよび第2のプローブは正常なコントロールサンプルにおいて同じ染色体に結合し、第1のプローブと第2のプローブとの結合がこの正常なコントロールサンプル内で融合したシグナルを生じる、工程:
(d)染色体調製物を、第3の標識を含む第3のプローブと接触させる工程であって、ここで、第3のプローブは染色体調製物中の他の染色体または同じ染色体の別の領域に結合する、工程:ならびに
(e)染色体構造の変化を検出する工程、
を包含し、ここで、第1のプローブおよび第2のプローブは離れたシグナルを生じる同じ染色体には存在せず;
(i)第1のプローブおよび第3のプローブ;または
(ii)第2のプローブおよび第3のプローブ
が新規の融合したシグナルを生じる同じ染色体に存在し;ここで、
(f)核酸調製物をプローブと接触させる前に、
(i)第1の標識を含む第1のプローブ、第2の標識を含む第2のプローブおよび第3の標識を含む第3のプローブの1つ以上を相補的なプローブに結合させ、相補的なプローブが染色体サンプル中に存在し得る非標的配列に相補的なヌクレオチド配列を有し、結合した標識されたプローブを生成する、工程;および
(ii)結合した標識されたプローブを除去する工程、
を包含する、方法。
【請求項20】
1つのプローブが工程(f)に従って処理される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
プローブの2つが工程(f)に従って処理される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
3つ全てのプローブが工程(f)に従って処理される、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記相補的プローブが固体表面に付着される、請求項19記載の方法。
【請求項24】
前記固体表面がビーズまたはスライドガラスである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記染色体構造の変化が異数性、増幅、欠失、融合、転座、重複、挿入、および逆位の少なくとも1つから選択される、請求項19記載の方法。
【請求項26】
前記第1のプローブ、前記第2のプローブまたは前記第3のプローブあるいは該プローブの1つより多くのプローブが核酸プローブである、請求項19記載の方法。
【請求項27】
前記核酸プローブがDNAまたはRNAからなる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記相補的なプローブが非核酸プローブである、請求項19記載の方法。
【請求項29】
前記非核酸プローブがPNAまたはLNAからなる、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記第1のプローブ、前記第2のプローブまたは前記第3のプローブあるいは該プローブの1つより多くのプローブが非核酸プローブである、請求項19記載の方法。
【請求項31】
前記非核酸プローブがPNAまたはLNAからなる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記標識が発色団、蛍光色素、スピンラベル、放射性同位元素、酵素、ハプテン、量子点、ビーズ、アミノヘキシル、ピレンおよび化学ルミネセンス化合物の少なくとも1つから選択される、請求項19記載の方法。
【請求項33】
前記蛍光色素が5(6)−カルボキシフルオレセイン、シアニン色素、(ジエチル−アミノ)クマリン、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、リスサミン、テキサス赤、AMCA、TRITC、IR色素、Dyomics色素、フィコエリスリン、カスケード青、Oregon緑488、パシフィック青、ローダミン緑、およびAlexa色素の少なくとも1つから選択される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記ハプテンが5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ローダミン、臭化デオキシウリジン、スルホン酸塩、アセチルアミノフルレン、トリニトロフェノール水銀、エストラジオールおよびビオチンの少なくとも1つから選択される、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記酵素がダイズペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼの少なくとも1つから選択される、請求項32記載の方法。
【請求項36】
化学ルミネセンス化合物がアクリジニオンである、請求項32記載の方法。
【請求項37】
前記融合したシグナルが色変化によって検出される、請求項19記載の方法。
【請求項38】
前記離れたシグナルが色変化によって検出される、請求項19記載の方法。
【請求項39】
前記第1のプローブおよび第2のプローブが前記染色体中の擬似分岐点の両側に結合する、請求項19記載の方法。
【請求項40】
少なくとも2つのプローブが染色体調製物に同時に接触する、請求項19記載の方法。
【請求項41】
前記第1のプローブ、前記第2のプローブ、および前記第3のプローブが染色体調製物に同時に接触する、請求項19記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−535966(P2007−535966A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512603(P2007−512603)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002483
【国際公開番号】WO2005/111235
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(506006795)ダコ デンマーク アクティーゼルスカブ (10)
【Fターム(参考)】