説明

柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物

柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法は、少なくとも約40mol%の中和度を有する予備中和されたモノマー溶液を調製する工程、モノエチレン性不飽和モノマーの一つが、アルキルオキシシラン官能基を含むように、前記モノエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー溶液を調製する工程、開始剤溶液を調整し、その溶液をモノマー溶液に加える工程、前記の溶液を重合溶液に混合する工程、重合溶液を冷却する工程、並びにポリマーを後中和する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年12月2日及び2006年11月17日に出願した米国特許出願第11/293,043号及び米国特許出願第11/561,145号に基づく優先権を主張し、それらの開示は参照により明確にここに含まれる。
本発明は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物及び柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を製造する重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤又はバインダーは、多くの吸収性製品の必須成分である。接着剤は有益に製品を共に結合させる一方で、接着剤は吸収性製品の中への液体の吸収を妨げる傾向を有することもある。典型的には、接着剤は疎水性であり、それ故に吸収性又は液体輸送機能に寄与しない。さらに、ほとんどの接着剤は非吸収性であり、それ故に液体保持機能を発揮しない。
【0003】
親水性接着剤としては、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)のような水溶性ポリマー、又はヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体から配合された接着剤が挙げられる。デキストラン、糊、及び植物ガムが親水性接着剤を提供するのに使われてきた。これらの材料は、乾燥条件下での接着を提供する。しかしながら、水性の液体に触れると、これらの材料は実質的に水性の液体に可溶なので結合能力を失う。
【0004】
水性の液体に触れても、より機能的な親水性接着剤を製造する有名な手法は、架橋型水溶性ポリマーである。架橋の結果として、その材料は膨潤性になり、もう水性の液体に溶けなくなる。しかしながら、架橋したポリマーは熱硬化性樹脂であるから、架橋したポリマーは固体材料であり、流動する能力がほとんど又は全くないので、それらを支持体に塗布したり、表面と密接に接触させたりするのは難しい。通常は、架橋したポリマーは硬く、柔軟性がなく、砕けやすい。これらのポリマーには、多くの吸収性製品がポリマーの最終用途に必要とする柔軟性がない。
【0005】
大部分の現存バインダーには、ほとんど又は全く吸収性がない。したがって必要とされるのは、その塗布にさらなる吸収性を加える吸収剤としても働くバインダーポリマーである。ここでは、これらの特性を有するバインダーポリマーとは柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物をいい、親水性柔軟バインダー又は潜在的な架橋能力を有する塗料として用いるときには、ここで柔軟吸収バインダー(flexible absorbent binder)又はFABといってもよい。その高吸収性ポリマー組成物は、親水性ポリマー溶液が架橋の前に流動できるから、水溶性ポリマーのように、容易に塗布できた。潜在的な架橋能力も、ポリマーが支持体と密接に接触し、又は好ましい最終形態若しくは構造になった後に、ポリマーを架橋させる単純な手段を提供するであろう。
【0006】
Soerensらは、米国特許第6,737,491号明細書で、モノエチレン性不飽和ポリマー及び吸収性物品の製造に用いるのに特に適したアルコキシシラン官能性を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを含む吸収性バインダー組成物を開示する。Soerensらは、モノマー溶液を調製し、そのモノマー溶液を開始剤系に加え、そしてアルコール系の水溶性バインダー組成物として報告された開始剤系内で重合開始剤を活性化する工程を含む吸収性バインダー組成物の製造方法も開示している。
【0007】
水溶性ポリマーの調製の論点の一つは、ポリマー中に残留している残留モノエチレン性不飽和モノマー分の量である。個人衛生の用途にとっては、高吸収性ポリマー組成物中の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量は、約1000ppm未満であるべきことが求められる。さらに、柔軟高吸収性バインダー組成物が少なくとも24質量%の固形分を有することが好ましい。
【0008】
前記に加えて、現存している柔軟吸収性バインダー組成物の別の態様では、溶液がゲル化として知られる架橋を始めないように、比較的低濃度のポリマー溶液を使用しなければならい。一般に溶液は、その溶液を支持体に塗布し、次にその溶液を乾燥させて架橋した吸収性塗料を形成するのに使われるから、低濃度溶液を乾燥させるコストは所望するより費用がかかる可能性がある。
【0009】
架橋剤としてアルコキシシランを使用する場合には、下記の理論により、本発明が限定されることなく、ゲル化を説明できる。統計的確率に応じて、2本のポリマー鎖上のアルコキシシラン機能的単位は、縮合及び架橋の形成を可能とするために、溶液中でお互いを「見つける(find)」。一つの取り組みでは、約20質量%のポリマー濃度を用いてこの確率を低く保っている。別の取り組みでは、ポリマー中に組み入れたアルコキシシラン官能価の量を減らすことにより、ゲル化の確率を減らしている。例えば、単純な近似では、アルコキシシランをポリマーのほぼ半分に組み入れると、ポリマー濃度が倍になることが示唆される。したがって、半分にアルコキシシランを組み入れた40%ポリマー溶液は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の20%溶液と同様の安定性を有するであろう。しかも40%溶液は、吸収剤塗料中の溶液を乾燥させるのに、それほどエネルギー、及びコストを必要としない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって求められるものは、潜在的な架橋能力を有し、魅力的なコストで製造できる親水性ポリマーである。親水性ポリマーは架橋前に流動できるから、そのようなポリマーは、水溶性ポリマーのように、容易に塗布できる。潜在的な架橋能力は、ポリマーが支持体と密接に接触した又は好ましい最終形態若しくは構造を形成した後に、ポリマーを架橋させる単純な手段も提供するであろう。適切な基準の柔軟性を有するそのようなポリマーの必要性又は要望もある。
【0011】
さらに、ポリマー溶液由来の柔軟吸収性バインダー、接着剤、又は塗料用吸収性製品の分野に必要性があり、その高吸収性ポリマー組成物は約1,000ppm未満の、例えば約700ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマーを有する。本発明の目的は、ポリマー溶液の固形分を少なくとも約24質量%に、そして例えば少なくとも約30質量%に増やすことである。本発明の別の目的は、約10,000cps未満の、例えば約500〜5,000cpsの範囲の高吸収性ポリマー組成物の(重合の完了から)16時間後の粘度を有することである。
【0012】
柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の色及び粘度安定性も、塗布された支持体の性能と同様に、改良を必要とする場合がある。その改良を行うために、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の代替的な製造方法が求められる。
【0013】
さらに、塗布後の、高吸収性ポリマーの湿気誘起型架橋により調製できるそのような柔軟吸収性バインダー、接着剤、又は塗料用吸収性製品の分野に必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
高吸収性ポリマーの分野の必要性に応えて、柔軟バインダー、接着剤、又は塗料材料として有用な、新規な柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物が、本用途の対象である。新規な柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物はバインダー及び吸収性特性を有する。高吸収性ポリマー組成物は、塗布後の、湿気誘起型架橋の能力、及び約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有するバインダーポリマーを含む。この能力は、衛生製品にさらに大きく利用できる吸収性製品を提供する。
【0015】
柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、少なくとも15質量%のモノエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー溶液、アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、共重合可能な親水性グリコール含有エステルモノマー、及び開始剤系の反応により形成され、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、約1,000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する。
【0016】
別の態様では、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、少なくとも15質量%のモノエチレン性不飽和モノマーであるモノマー、開始剤系、アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、及び可塑剤から製造してもよく、前記高吸収性ポリマーは約100,000〜約650,000g/molの重量平均分子量を有し、また高吸収性ポリマー組成物は、約10,000cps未満の16時間後の粘度及び約1,000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する。さらに、別の態様では、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、少なくとも24質量%の固形分を有する。
【0017】
さらに別の態様では、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、a)開始剤系を調製する工程、b)モノエチレン性不飽和モノマー(その一種はアルキルオキシシラン官能基を有する)を含むモノマー溶液を調製する工程、c)開始剤系及びモノマー溶液を混合して重合溶液を形成する工程、d)溶液を重合する工程、(e)所望により工程d)のポリマーを中和する工程を含む方法により製造され、その乾燥ポリマーは、約1,000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する。
【0018】
さらに別の態様では、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、a)可塑剤、レドックス開始剤系の成分、熱開始剤、アルコキシシラン官能基を有する架橋モノマー、連鎖移動剤、少なくとも25mol%中和された酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー水溶液を調製する工程、b)工程a)のモノマー溶液混合物を重合開始して、前記a)のモノマー溶液混合物を少なくとも50%の中和度に重合する工程、c)少なくとも25mol%中和された酸基及び所望により工程a)の残留成分を含むモノエチレン性不飽和モノマーを含む第二のモノマー溶液を工程b)の重合溶液に加える工程、d)工程c)の溶液を重合する工程、及びe)所望により工程d)のポリマーを中和して約100,000〜650,000g/molの平均分子量、約10,000cps未満の16時間後の粘度、及び約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を形成する工程を含む方法により水中で製造できる。
【0019】
さらに別の態様では、改良された粘度安定性及び性能特性を有する適切な柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物が得られる重合法が発見された。ここで説明したような重合法では、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、a)予備中和されたモノマー溶液を調製する工程、b)約200〜約10,000の分子量を有する低分子量ポリオレフィングリコール及びトリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの混合物を予備中和されたモノマー溶液に加える工程、c)少なくとも2種の開始剤溶液を調製する工程、d)工程b)のモノマー溶液混合物及び工程c)の開始剤系溶液を水に加え、混合物を反応させてポリマーを形成する工程、e)所望により、加速された流速でモノマー溶液を加えてから工程c)の少なくとも2種の開始剤溶液を加える工程、f)ポリマーを冷却する工程、及びg)工程f)の冷却されたポリマーを後中和して、ポリマーの中和を少なくとも約60mol%に増やす工程を含む方法により水中で製造してもよい。
【0020】
前述のものを考慮すると、本発明の特徴及び利点は柔軟バインダーポリマー溶液及び塗料組成物の製造方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
注目すべきは、本開示に使用したときの用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、及び語根「含む(comprise)」からの他の派生語は、任意の規定された特徴、成分、整数、工程、又は構成要素の存在を明確にする非制限(open-ended)語句を示し、また一又は二以上の他の特徴、成分、整数、工程、構成要素、若しくはこれらの群の存在又は追加の排除を示すものではないことである。
【0022】
一般に、用語「吸収性物品」とは、液体を吸収及び含有できるデバイスをいう。例えば、パーソナルケア吸収性物品とは、肌に接触して又は肌の近くに配置され、体から排出される様々な液体を吸収及び含有するデバイスをいう。用語「使い捨て可能な」は、1回の使用後に、洗浄され、又は別の方法で吸収性物品として修復若しくは再利用されるものではない吸収性物品を説明するのにここで使用される。そのような使い捨て可能な吸収性物品の例としては、限定されるものではないが、パーソナルケア吸収性物品、健康/医療吸収性物品、及び家庭用/工業用吸収性物品が挙げられる。
【0023】
用語「バインダー」としては、それら自体を支持体に付着させることができる又は他の物質を支持体に付着させることができる材料が挙げられる。
【0024】
用語「ナイフオーバーロール(knife over roll)コーティング」とは、動いているロール上のナイフの下で動いている支持体の上に、一定の隙間を設けて、前記ナイフを配置する方法をいう。この態様では、ナイフは一定の厚さの塗装材料を支持体の上に広げる。
【0025】
ここで使用される用語「モノマー」は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、モノマーの混合物、及びモノエチレン性不飽和カルボン酸、スルホン酸、若しくはホスホン酸又はそれらの塩と共重合できる任意の他の反応性化学種を含む。
【0026】
用語「不織布」及び「不織布帛」とは、材料及び布帛、又は編物とは同一でない態様で交絡した個々の繊維又はフィラメントの構造を有する材料をいう。用語「繊維」及び「フィラメント」は、ほとんど同じ意味で用いられる。不織布又は布帛は、例えばメルトブロー法、スパンボンド法、エアレイ法、及びボンデッドカードウェブ法のような、多くの方法から製造されている。一般に不織布の基本重量は、材料のオンス/平方ヤード(osy)又はグラム(g)/平方メートル(gsm)で表され、また一般に繊維直径はミクロン(μm)で表される(osyからgsmに変換するには、osyに33.91を掛けることに留意すべきである)。
【0027】
用語「ポリマー」としては、限定されるものではないが、ホモポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーのようなコポリマー、3元ポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び改質物が挙げられる。さらに、別の方法で特に限定されない限り、用語「ポリマー」は物質の全ての可能な立体配置異性体を含むべきである。これらの配置としては、限定されるものではないが、イソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称が挙げられる。
【0028】
用語「ロール印刷」又は「ロールコーティング」とは、一般にはペーストとしての、支持体上への堆積物の塗布が、1本又は2本以上のロール(彫刻ロールでもよい)及び予備シリンダーを用いておおよそ均一な層で堆積物をロールから支持体上へ輸送することにより行われる方法をいう。ドクターブレードが、ロール又は支持体から過剰な堆積物を除去するのに使用される。ドクターブレードは平坦でよく、又は溝若しくは畝のようなパターンエッジを有してよい。
【0029】
用語「溶液」とは、句「柔軟高吸収性バインダーポリマー溶液」及びこれらの派生句に使用されるとき、まだ実質的に架橋していない(すなわち前駆体)が、ひとたび架橋が起きれば柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物になるであろうポリマー溶液をいう。
【0030】
用語「自然架橋」とは、約150℃以下、例えば約120℃以下、又は約100℃以下の特定の温度以外には、放射線、触媒反応、又は任意の他の誘因なしで起こる架橋をいう。
【0031】
用語「高吸収性」とは、最適条件下、塩化ナトリウムを0.9質量%含む水溶液中でその質量の少なくとも約10倍又はその質量の約15倍を吸収できる、水膨潤性の、水に不溶な有機又は無機材料をいう。高吸収性材料は、天然、合成、及び改質された天然のポリマー及び材料である。さらに、高吸収性材料は、シリカゲルのような無機材料、又は架橋したポリマーのような有機化合物でよい。
【0032】
本発明は、塗布後の、湿気誘起型架橋の能力を有する柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物に関する。本発明は、そのような柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を製造する及び塗布する方法も含む。柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、接着性に加えて流動性保持特性を提供できる吸収性バインダー組成物に使用してもよい。したがって、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、吸収性製品の形成に使用するのに特に適する。柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、ここでは組成物と又は高吸収性ポリマー組成物と呼ばれるかもしれない。
【0033】
より具体的には、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、少なくとも15質量%のモノエチレン性不飽和カルボン酸、スルホン酸若しくはリン酸、又はこれらの塩と、水に触れると縮合して架橋したポリマーを形成するシラノール官能基を形成するアルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと、共重合可能な親水性グリコール含有エステルモノマーと、及び/又は可塑剤との反応生成物である。柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、a)予備中和されたモノマー溶液を調製する工程、b)約200〜10,000の分子量を有する低分子量ポリオレフィングリコール及びトリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの混合物を予備中和されたモノマー溶液に加える工程、c)少なくとも2種の開始剤系溶液を調製する工程、d)工程b)のモノマー溶液混合物及び工程c)の開始剤系溶液を別々に加え、混合物を反応させてポリマーを形成する工程、e)所望により、工程d)で使用されたときよりも加速された流速でモノマー溶液を加えてから工程c)の少なくとも2種の開始剤溶液を加える工程、f)ポリマーを冷却する工程、並びにg)工程f)の冷却されたポリマーを後中和して、ポリマーの中和を少なくとも約60mol%に増加させる工程を含む重合法により製造してもよい。
【0034】
適切な高吸収性ポリマー溶液を製造するのに含んでもよい適切なモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、同様の表記を以下で使用する)、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸、及び桂皮酸のようなモノエチレン性不飽和モノ又はポリ‐カルボン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、例えばモノエチレン性不飽和ポリカルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸)のようなカルボン酸無水物基含有モノマー、例えばモノエチレン性不飽和モノ‐又はポリ‐カルボン酸の水溶性塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など(例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸トリメチルアミン、(メタ)アクリル酸トリエタノールアミン))、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸メチルアミンのようなカルボン酸塩含有モノマー、例えば脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸)、(メタ)アクリルスルホン酸(例えば(メタ)アクリル酸スルホプロピル、2‐ヒドロキシ‐3‐(メタ)アクリルオキシプロピルスルホン酸)のようなスルホン酸基含有モノマー、例えば前記スルホン酸基含有モノマーのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩のようなスルホン酸塩基含有モノマー、及び/又は、ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミド、N‐アルキル(メタ)アクリルアミド(例えばN‐メチルアクリルアミド、N‐ヘキシルアクリルアミド)、N,N‐ジアルキル(メタ)アクリルアミド(例えばN,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジ‐n‐プロピルアクリルアミド)、N‐ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えばN‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、N,N‐ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えばN,N‐ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ビニルラクタム(例えばN‐ビニルピロリドン)のようなアミド基含有モノマーが挙げられる。
【0035】
柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の質量に対するモノエチレン性不飽和カルボン、スルホン、若しくはリン酸又はこれらの塩の量は、約15〜99.9質量%の範囲でよい。幾つかの態様では、モノエチレン性不飽和カルボン、スルホン、若しくはリン酸又はこれらの塩の濃度は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約25〜99.9質量%、例えば柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約25〜90質量%、若しくは柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約30〜80質量%、又は使用目的によっては柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約50〜70質量%でよい。
【0036】
最初に酸基が少なくとも約40mol%の程度まで中和される。すなわち、酸基はナトリウム、カリウム、又はアンモニウム塩として存在することが好ましい。アクリル酸又はメタクリル酸の重合によってポリマーを得て、内部架橋剤の存在下でそれらのカルボキシル基を約60mol%の程度まで中和することが好ましい。中和は、混合前のモノマー溶液を少なくとも40mol%まで中和して行い、ポリマーの後中和は、ポリマーの少なくとも60mol%が中和されるように行うことができる。
【0037】
モノエチレン性不飽和カルボン、スルホン、若しくはリン酸又はこれらの塩と共重合できる有機モノマーは、水と反応してシラノール基を形成するトリアルコキシシラン官能基又は部分を含み、本発明の実施に有用である。トリアルコキシシラン官能基は下記構造を有する。
【0038】
【化1】

【0039】
式中、R、R、及びRは、独立して1〜6の炭素原子を有するアルキル基である。
【0040】
トリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーは本発明に適し、また好ましい。好ましいエチレン性不飽和モノマーとしては、アルコキシシラン官能性を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのようなアクリレート及びメタクリレートが挙げられる。トリアルコキシシラン官能基を含む特に好ましいエチレン性不飽和モノマーは、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランであり、Dow Corning(登録商標)社(アメリカ合衆国、ミシガン州、ミッドランドに事業所を有する)からZ-6030 Silaneの商品名で、及びDegussa社(アメリカ合衆国、ニュージャージー州、パーシパニーに事業所を有する)からDYNASYLAN(登録商標)MEMOの商品名で市販に入手できる。トリアルコキシシラン官能基を含む他の適切なエチレン性不飽和モノマーとしては、限定されるものではないが、メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3‐アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、及び3‐メタクリルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シランが挙げられる。しかしながら、クロロシラン又はアセトキシシランのような、容易に水と反応してシラノール基を形成するトリアルコキシシラン官能基又は部分を有する多種多様なビニル及びアクリルモノマーは、好ましい効果を提供し、また本発明の共重合に効果的なモノマーであることが予期される。
【0041】
大部分の高吸収性ポリマーがポリマーを強化する内部架橋剤の追加を必要とする一方で、本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、トリアルコキシシラン官能基を含む有機モノマーが内部架橋剤の役割を果たすので、架橋剤の追加を必要としない。内部架橋剤は、水溶性前駆体ポリマーを支持体の上にコーティングし、次に水を除去して潜在的な架橋剤を活性化することにより、高吸収性バインダーポリマー組成物を形成させる。
【0042】
トリアルコキシシラン官能基を含む共重合可能なモノマーに加えて、水と反応してシラノール基を形成するトリアルコキシシラン官能基、又は部分を含む化合物と後で反応できる共重合可能なモノマーを使用することも適切である。そのモノマーは、限定されるものではないが、アミン又はアルコールを含んでもよい。コポリマーに組み込まれたアミン基は、その後、例えば、限定されるものではないが、(3‐クロロプロピル)トリメトキシシランと反応してもよい。コポリマーに組み込まれたアルコール基は、その後、例えば、限定されるものではないが、テトラメトキシシランと反応してもよい。
【0043】
ポリマーバインダー組成物の質量に対するトリアルコキシシラン官能基又はシラノールを形成する官能基を有する有機モノマーの量は、約0.1〜15質量%の範囲でよい。適切には、モノマーの量は、湿気に触れるとき十分な架橋を提供するために0.1質量%を上回るべきである。幾つかの態様では、モノマー追加濃度は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約0.1〜20質量%、例えば柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約0.5〜10質量%、又は幾つかの使用目的では柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約0.5〜5質量%である。柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、例えば1〜13のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)メタクリレートのように、長鎖の親水性モノエチレン性不飽和エステルのような、共重合可能な親水性グリコール含有エステルモノマーを含むことができる。親水性モノエチレン性不飽和エステルは下記構造を有する。
【0044】
【化2】

【0045】
ポリマーバインダー組成物の質量に対するモノエチレン性不飽和親水性エステルの量は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の質量に対してモノマーが0〜約75質量%の範囲でよい。幾つかの態様では、モノマー添加量は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の10〜60質量%、例えば柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約20〜50質量%、又は幾つかの使用目的では柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約30〜40質量%である。
【0046】
幾つかの態様では、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、親水性可塑剤を含んでもよい。適切な親水性可塑剤は、限定されるものではないが、グリセリンのようなポリヒドロキシ有機化合物、及び約200〜10,000の範囲の分子量のポリエチレングリコール(PEG)のような低分子量ポリオレフィングリコールを含んで使用してもよい。
【0047】
柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の質量に対する可塑剤の量は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の質量に対する0〜約75質量%の可塑剤の範囲でよい。幾つかの態様では、可塑剤添加量は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約10〜60質量%、例えば幾つかの使用目的では柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の約10〜40質量%である。
【0048】
幾つかの態様では、本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸、又はリン酸塩から選択される少なくとも15質量%のモノエチレン性不飽和モノマー、開始剤系、及び後の水との反応により容易にシラノール官能性へ変換される基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを含むモノマーから製造してよく、前記の生成した柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、約100,000〜650,000g/mol、例えば約100,000〜300,000g/molの平均分子量を有し、またその高吸収性ポリマー組成物は約10,000cps未満の粘度及び約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する。
【0049】
本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の一つの利点は、約150℃以下のウェブ温度で、約10分以内、例えば約5分未満、又は約1分未満で、十分に自然架橋できる水溶性イオン性ポリマーを提供することであり、遠心保持容量試験(Centrifuge Retention Capacity Test、後述)を用いて、少なくとも1グラム(g)の液体/柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物1g、例えば少なくとも3gの液体/柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物1gの、吸収能力を有する柔軟吸収性バインダー層を提供する。
【0050】
約150℃以下、例えば約120℃以下、又は約100℃以下のウェブ温度での架橋は、支持体を分解する又は痛めることなく、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を1層又は2層以上の支持体層に塗布させ、次に架橋させることを可能にする。十分な架橋が約10分以内に、例えば約8分以内、又は約6分以内に起こるので、効率的な、商業用に適した、費用効率の良い架橋法が提供される。次に架橋は、好ましい吸収能力を有する柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物が得られるまで続けてもよい。イオン性ポリマーは、正電荷、負電荷、又は両方の組み合わせを有してもよく、約15mol%以上のイオン単位含有量を有してもよい。イオン性ポリマーは、下記の様々なモノマー単位を含んでもよい。
【0051】
高吸収性ポリマー組成物は、フリーラジカルを生む熱開始剤にとって適切な温度で、例えば約50〜90℃の温度で、開始剤系をモノマー溶液と混合することにより調製してもよい。レドックス開始剤系又はレドックス開始剤系溶液には、より低い温度を用いることができる。開始剤系溶液は、開始剤を溶媒に溶解させることにより調製してよい。開始剤は、モノマーの重合を開始するのに使用される。 開始剤の作用は、一般に開始剤が反応中に消費されることを除き、触媒のそれと似ている。可能な溶媒としては、限定されるものではないが、水及びエタノールのようなアルコールが挙げられる。様々な開始剤は、本発明の実施に有用であろう。重合開始剤系は、限定されるものではないが、熱エネルギー、放射線、レドックス化学反応、熱開始剤、及び当技術分野で知られた他の方法を含む様々な方法を用いて活性化してよい。
【0052】
開始剤の一つの適切な種類は、一例として過酸化ベンゾイル及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含む、過酸化有機物及びアゾ化合物である。適切な開始剤の例としては、t‐アミルペルオキシピバレート、2,2’‐アゾビス(2,4’‐ジメチルバレロニトリル)(V65B)、過硫酸ナトリウム(NaPS)、及び2,2’‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン二塩酸塩(ABAH)が挙げられる。開始剤の適切な量は、特定の開始剤によって決まる。例としては、限定されるものではないが、少なくとも約0.003mol/t‐アミルペルオキシピバレートのmol、少なくとも約0.01mol/2,2’‐アゾビス(2,4’‐ジメチルバレロニトリル)のmol、少なくとも約200ppmの過硫酸ナトリウム、及び少なくとも約200ppmの2,2’‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン二塩酸塩が挙げられる。
【0053】
O‐O、S‐S、又はN=N結合を含む化合物は、熱開始剤として使用してよい。O‐O結合を含む化合物、すなわち過酸化物は、重合用開始剤として共通に使用される。過酸化物開始剤の例としては、過酸化クミル、過酸化t‐ブチル、過酸化ジ‐t‐ブチル、過酸化ジクミル、過酸化クミルブチル、1,1‐ジ‐t‐ブチルペルオキシ‐3,5,5‐トリメチルシクロヘキセン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3及びビス(a‐t‐ブチルペルオキシイソプロピルベンゼン)のようなアルキル、ジアルキル、ジアリール及びアリールアルキル過酸化物と、過酸化アセチル及び過酸化ベンゾイルのようなアシル過酸化物と、クミルヒドロ過酸化物、t‐ブチルヒドロ過酸化物、p‐メタンヒドロ過酸化物、ピナンヒドロ過酸化物及びクメンヒドロ過酸化物のようなヒドロ過酸化物と、t‐ブチルペルオキシピバレート、t‐アミルペルオキシピバレート、t‐ブチルペルオクトエート、過安息香酸t‐ブチル、2,5‐ジメチルヘキシル‐2,5‐ジ(ペルベンゾエート)及びt‐ブチルジ(ペルフタレート)のような過酸エステル又はペルオキシエステルと、アルキルスルホニル過酸化物と、ジアルキルペルオキシモノカーボネートと、ジアルキルペルオキシジカーボネートと、過硫酸ナトリウムと、2,2’‐アゾビス(2,4’‐ジメチルバレロニトリル)、2,2’‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン二塩酸塩と、ジペルオキシケタールと、過酸化シクロヘキサノン及び過酸化メチルエチルケトンのようなケトン過酸化物が挙げられる。本発明の一つの特定の態様では、有機開始剤であるt‐アミルペルオキシピバレート(TAPP)が、急速に分解して安定なエチル(CHCH・)フリーラジカルを形成し、著しく残留モノエチレン性不飽和モノマーを減らすのに利用された。
【0054】
熱を利用することなく酸化‐還元反応によりフリーラジカルが発生するレドックス開始剤系は、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を製造するためにモノマー溶液の重合に利用できる。この方法では、開始剤系の酸化又は還元成分のいずれか一方をモノマー及びレドックス開始剤系の他の成分の残りの溶液混合物に加えることにより重合が始まる。レドックス開始剤系の適切な酸化成分としては、限定されるものではないが、過酸化水素、アルカリ金属過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、アルカリヒドロ過酸化物、過酸エステル、過酸化ジアクリル、銀塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
開始剤系の適切な還元成分としては、限定されるものではないが、アスコルビン酸、亜硫酸アルカリ金属、亜硫酸水素アルカリ金属、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素アルカリ金属、硫酸鉄のような鉄金属塩、糖、アルデヒド、第一及び第二アルコール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。レドックス及び熱開始剤の組み合わせを使用してもよい。熱開始剤の過硫酸ナトリウム塩(NaPS)と、過酸化水素、硫酸鉄、及びアスコルビン酸を含むレドックス開始剤系は、約100,000〜650,000g/mol、例えば約1,000,000〜300,000g/molの目的の範囲の高吸収性ポリマーの重量平均分子量を産みながら、本発明の水溶液重合では著しく残留モノエチレン性不飽和モノマーを減らせることが分かった。
【0056】
さらに、還元剤に対する酸化剤のモル比が約2〜6、モル比が4、及びモル比が2であるレドックス開始剤系は、本発明の水溶液重合では著しく残留モノエチレン性不飽和モノマーを減少させることが分かった。
【0057】
さらに、重合中にポリマー鎖の成長を制限できる及びそれ故に柔軟バインダーポリマー溶液の分子量及び粘度を制御できる連鎖移動剤を重合溶液に使用してもよい。適切な連鎖移動剤としては、限定されるものではないが、イソプロピルアルコールのようなアルコール、ギ酸のような有機酸、次亜リン酸のような無機酸、トリエチレンアミンのような有機アミン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一つの態様では、次亜リン酸が柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物にとって効果的な連鎖移動剤であると分かった。
【0058】
モノエチレン性不飽和カルボン、スルホン、若しくはリン酸又は塩モノマーの質量に対する連鎖移動剤の量は、モノマーの質量に対して0.1〜約20質量%の連鎖移動剤の範囲でよい。幾つかの態様では、連鎖移動剤追加濃度は、幾つかの使用目的にとって好ましい分子量及び粘度の水準の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を得るために、モノマーの約5〜15質量%、例えばモノマーの約2〜10質量%、又はモノマーの約0.5〜1質量%である。
【0059】
さらに、本発明の柔軟高吸収性ポリマー組成物の製造方法は、遷移金属塩を含んでよい。遷移金属塩に用いる幾つかの適切な遷移金属の例としては、限定されるものではないが、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。例えば、遷移金属塩は、その形成前、中、及び/又は後に柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物と併用してもよい。例えば、本発明に使用してもよい幾つかの遷移金属塩としては、限定されるものではないが、塩化鉄、塩化銅のようなハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩などが挙げられる。硫酸鉄を本発明に使用してもよい。
【0060】
例えば、吸収性製品の製造工程中に吸収性製品の様々な構成要素をお互いに接着させる目的で、本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を支持体に塗布してもよい。また、高吸収性ポリマー組成物は、単独でコーティングとして支持体に塗布してもよく、それにより吸収性添加剤として役立つ。柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、連続被覆又はパターン被覆のいずれかでは、ナイフオーバーロールコーティング、又はロールコーティングを含む任意の適切な利用法を用いて、支持体に塗布してもよい。印刷塗布は、グラビア印刷、スクリーン、及びジェット印刷を含む他の適切な塗布技術である。柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、吹付塗布を用いて支持体に塗布してもよい。
【0061】
本発明の幾つかの態様では、濃縮溶液を支持体へ塗布する直前に、シラノール官能基を有する新たな架橋源を高吸収性バインダーポリマー組成物に加えてもよい。加えられたシラノール架橋官能基源は、溶液が支持体に塗布されたとき、実質的に、溶液のゲル化を「促進」する。潜在的なシラノール(Si‐OH)官能基源としては、限定されるものではないが、SNOWTEX(登録商標)ST‐40(アメリカ合衆国、テキサス州、ヒューストンに事業所を有するNissan Chemical‐America社から入手できる)のようなシリカナノ粒子、SYLOID(登録商標)シリカ(アメリカ合衆国、メリーランド州、コロンビアに事業所を有するW.R. Grace & Coの一部門であるGrace Davisonから入手できる)のようなシリカエアロゾル粒子、カオリン、ベントナイト、又はアタポルガイト(attapolgite)のようなSi‐OH表面を有するクレー、及びゼオライトが挙げられる。さらに、シリケートのような、又は限定されるものではないがアルコキシシランのように、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)のように、容易に加水分解されてシラノールになるモノマーシランの形状の、可溶性シラノール源を加えてもよい。
【0062】
シラノール源は、任意の適切な態様で加えられ、支持体の上へのコーティングの前に、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物溶液と十分に混合される。例えば、二つに分かれた、定量された、柔軟高吸収性バインダーポリマー溶液及びシラノール源の供給流が、流路に下流静的ミキサーを有するY字路で合流し、混合されてもよい。
【0063】
25%を超えるポリマー濃度で安定な溶液を提供できるならば適切な範囲としてよい。アルコキシシラン官能性は、シランに対するアクリレートのモル比が170のときに、もとの柔軟バインダーポリマー溶液の中に組み入れられる。もとの柔軟バインダーポリマー溶液の75%、50%及び25%に組み入れた柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物が調製された(これらのポリマーでは、シランに対するアクリレートのモル比は227、340、及び680)。
【0064】
下記の表1は、遠心分離保持容量試験(後述)を基準とした吸収能力データを示す。
【0065】
【表1】

【0066】
表1に示したように、アルコキシシランの組み込みを減少させると、もとの柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物と比べて、より低い架橋密度のために遠心分離保持容量(CRC)が増加した。シラノール源の添加は、もとの柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を上回る濃度であっても、より高い架橋可能性を有していても、もとの柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物より高いCRCを提供する。柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物が支持体に塗布されるとすぐに、アルコキシシランの加水分解及び縮合により架橋を湿気で誘起できる。この方法による活性化は、大気湿度で空気に触れさせることにより、溶媒除去中又は溶媒除去後に行うことができる。溶媒は、溶媒の蒸発又は任意の他の適切な技術のいずれかにより、支持体から除去してよい。熱又は放射線を適用して、工程の速度を増加させてもよい。溶媒の回収は、工程の一部であり、その方法は当業者に幅広く知られている。
【0067】
さらに、相溶性ポリマー、 可塑剤、色材、及び防腐剤のような改質剤を本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物に加えてもよい。
【0068】
本発明の幾つかの態様では、a)可塑剤、レドックス開始剤系の成分、熱開始剤、アルコキシシラン官能基を含む架橋モノマー、連鎖移動剤、少なくとも25mol%中和された酸基を含むモノエチレン性不飽和モノマーを含む水溶性モノマー溶液を調製する工程、b)工程a)のモノマー溶液混合物を重合開始して、前記工程a)のモノマー溶液混合物を少なくとも50%の中和度に重合する工程、c)少なくとも25mol%中和された酸基及び所望により工程a)の残留成分を含むモノエチレン性不飽和モノマーを含む第二のモノマー溶液を、工程b)の重合溶液に加える工程、d)工程c)の溶液を重合する工程、並びにe)所望により、工程d)のポリマーを中和して、約100,000〜650,000g/molの平均分子量を有する柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を形成し、前記組成物が約10,000cps未満の16時間後の粘度及び約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有するようにする工程を含む方法により、水溶液中で本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を調製してもよい。さらに、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は少なくとも約24質量%の固形分を有してもよい。
【0069】
本発明の他の態様では、a)開始剤系溶液を調製する工程、b)モノエチレン性不飽和モノマーの一つはアルキルオキシシラン官能基を含むように、モノエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー溶液を調製する工程、c)開始剤系及びモノマー溶液を混合して重合溶液を形成する工程、d)重合溶液を加熱して重合溶液の反応を促進する工程、e)重合溶液を冷却する工程、並びにf)工程e)のポリマーを少なくとも約25mol%中和して柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を形成し、その乾燥ポリマーが約1,000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有するようにする工程を含む方法により、水溶液中で本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を調製してもよい。さらに、ポリマー組成物は、約100,000〜650,000g/mol、例えば約100,000〜300,000g/molの重量平均分子量、及び/又は約10,000cps未満の16時間後の粘度を有してよい。さらに、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は、少なくとも約24質量%の固形分を有してよい。
【0070】
さらに本発明の他の態様では、a)レドックス開始剤の一成分を含む開始剤系、連鎖移動剤、可塑剤、アルコキシシラン官能基を有する架橋剤モノマー、及びモノエチレン性不飽和モノマーの1種は、酸基が少なくとも25mol%中和された官能性を含むような、前記モノエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー溶液を調製する工程、b)レドックス開始剤の別の成分を工程a)のモノマー溶液混合物に加えて、工程a)のモノマー溶液混合物を重合する工程、c)重合溶液を30℃未満の温度に冷却する工程、d)工程a)の溶液混合物と同一の混合物を工程c)の重合溶液に加える工程、e)遷移金属塩を工程d)の溶液に加える工程、f)工程e)の溶液を重合する工程、並びにg)所望により、工程f)のポリマーを中和して、約100,000〜650,000g/mol、例えば約100,000〜300,000g/molの平均分子量を有する柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物並びに/又は約10,000cps未満の16時間後の粘度及び/又は約1,000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する高吸収性ポリマー組成物を形成する工程を含む方法により、水溶液中で本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を調製してもよい。さらに、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は少なくとも約24質量%の固形分を有してよい。
【0071】
別の態様では、a)少なくとも約40mol%の中和度を有する予備中和されたモノマー溶液を調製する工程、b)予備中和されたモノマー溶液に連鎖移動剤を加える工程、c)約200〜10,000の分子量を有する低分子量ポリオレフィングリコール及びトリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの混合物を予備中和されたモノマー溶液に加える工程、d)少なくとも2種の開始剤系溶液を調製する工程、e)工程c)のモノマー溶液混合物及び工程d)の開始剤系溶液を別々に、ただし同時に及び連続的に、事前に計算した量の水に加え、混合物を反応させてポリマーを形成する工程、f)工程e)に使用したものより加速された流速で一定期間モノマー溶液を加えてからも開始剤溶液を加え続ける工程、g)工程f)のポリマーを冷却する工程、並びにh)工程g)の冷却されたポリマーを後中和して、ポリマーの中和を少なくとも約60mol%に増加させる工程を含む方法により水中で柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を製造してもよい。
【0072】
本発明の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物は吸収性製品の製造に利用でき、それによりその吸収性製品に吸収能力を付加する。その物品の例としては、トレーニングパンツ、おしめ、おしめパンツ、生理パッド及びナプキンを含む女性用衛生製品並びにタンポン及び口唇用の女性用衛生製品、水着、失禁用製品、吸収性タオル地、医療用衣料品を含む他のパーソナルケア又はヘルスケア衣料品などが挙げられる。ここで使用したように、用語「失禁用製品」としては、子供用吸収性下着、自閉症の子供のような特殊なニーズを持つ又は身体障害による膀胱/腸の制御障害を有する他のニーズを持つ子供又は若者用吸収性衣料品、並びに失禁しやすい大人用吸収性衣料品が挙げられる。
【0073】
試験方法
残留モノエチレン性不飽和モノマー試験
残留モノエチレン性不飽和モノマー分析は、ポリマー溶液又は高吸収性組成物から得られた固体フィルムを用いて行われる。この試験を説明する例として、モノエチレン性不飽和モノマーはアクリル酸である。SPD-10Avp Shimadzu UV検出器(アメリカ合衆国、メリーランド、コロンビアに事業所を有するShimadzu Scientific Instruments社から入手できる)を備える高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が、残留アクリル酸モノマー含有量を決定するのに使用される。残留アクリル酸モノマーを決定するために、3.5cm長×0.5cm幅の磁気撹拌子を用いて500rpmの速さで、約0.5gの硬化フィルムを100mLの0.9%NaCl‐溶液中で16時間撹拌した。混合物はろ過され、そして次にろ過された液体は、Nucleosil C8 100A逆相カラム(アメリカ合衆国、カリフォルニア州、オンタリオに事業所を有するColumn Engineering社から入手できる)を通過して、アクリル酸モノマーを分離する。アクリル酸モノマーは約10ppmの検出限界で一定時間に溶出する。次に、クロマトグラムから計算された生成溶出物のピーク面積を使用して、フィルム中の残留アクリル酸モノマー量を計算する。最初に、純アクリル酸溶出物の応答面積をその既知量(ppm)に対してプロットすることにより検量線を作り出した。0.996を超える相関係数を有する直線を得た。
【0074】
16時間抽出試験(%)
次の試験法を使用して高吸収性組成物の16時間抽出レベルを計算した。第一の試験法は、カルボン酸系高吸収性材料の使用を対象にする。ポリマー溶液から得られる約0.5gの硬化フィルムを、0.9%NaCl溶液100mLが入った250mL三角フラスコの中に入れる。その混合物を3.5cm長×0.5cm幅の磁気撹拌子を用いて500rpmの速度で16時間撹拌した。次に、WHATMAN#3ろ紙(アメリカ合衆国、ニュージャージー州、フローハムパーク(Florham Park)に事業所を有するWhatman社から入手できる)及び水を流して空気を吸引することによりろ過器内を真空にする水栓に取り付けられたアスピレーターを用いて、サンプルをろ過した。全溶液をろ過し、液体が失われず、また固体材料がろ紙の中又は周囲を通過しないように特に注意した。次に約50gのろ過された溶液を100mLビーカーの中に入れた。1.0NのNaOH及び0.1NのHClを用いて溶液のpHを徐々に8.5に調整した。Brinkman Titoprocessor(アメリカ合衆国、ニューヨーク、ウェストベリーに事業所を有するBrinkmann Instruments社から入手できる)を用いて、得られた溶液をpH3.9まで滴定する。生成物は、87.47に仮定したアクリル酸ナトリウム/アクリル酸の式量を用いて、基本質量単位で計算した。その式量は、70%中和アクリル酸のそれから算出した。
【0075】
遠心分離保持容量(CRC)試験
ここで使用したように、遠心分離保持容量(CRC)は、制御された条件下で遠心分離を受けた後に保持された高吸収性ポリマー組成物の吸収能力の測定である。CRCは、材料のサンプルを、そのサンプルを含み得る透水性バッグの中で試験するように置き、さらに試験溶液(0.9%NaCl溶液)を自由にサンプルに吸収させることにより測定できる。ヒートシール可能なティーバッグ材料(アメリカ合衆国、コネチカット州、ウィンザーロックのDexter Nonwovens社から、品番11697として入手できる)を主に利用するとよい。バッグは、縦5インチ(inch)横3インチのバッグ材料のサンプルを半分に折り、その二つの開いた端をヒートシールして、縦2.5インチ、横3インチの長方形の袋を形成することにより、形成される。材料の端の内側約0.25インチをヒートシールするべきである。サンプルが袋に入れられた後、袋の残りの開いた端もヒートシールされる。空のバッグも作製し、標準品としてサンプルのバッグとともに試験する。ティーバッグが、一般にシールされたバッグ面積(おおよそ縦2インチ、横2.5インチ)よりも小さい面積を有する材料の膨張を制限しないように、サンプルの寸法を選択する。3つのサンプルバッグを材料ごとに試験した。
【0076】
シールされたバッグは、容器中の0.9%NaCl溶液に沈められる。湿ってから、サンプルを溶液中に60分間留め、そしてそれらを溶液から取り出して、一時的に非吸収性の平坦な表面上に寝かせる。
【0077】
次に湿ったバッグは、サンプルを350の重力加速度下に置くことができる適切な遠心重力機のバスケットの中に入れる(適切な遠心分離機は、Hanau(ドイツ)のHeraeus Infosystems GmbH社から入手できる品番75008157のHeraeus機器Heraeus LABOFUGE 400である)。バッグは、1600rpmの設定で、ただし1500〜1900rpmの範囲内で、3分間(設定重力加速度350)遠心分離される。そのバッグを取り出して秤量する。サンプル材料により吸収及び保持された液体の量は、バッグ材料のみに保持された液体も考慮した上で、材料の遠心分離保持容量であり、液体のグラム(g)/材料のグラムとして表記される。
【0078】
16時間後の粘度
柔軟バインダーポリマー溶液の粘度は、Brookfield DVII+プログラム可能粘度計(アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、ミドルボロに事業所を有するBrookfield Engineering社から入手できる)を用いて測定する。約200〜250mLのバインダー組成物を25オンス(ounce)のプラスチックカップに入れる。一般に、粘度計は最初に所望のスピンドルを用いてゼロ合わせする。バインダー組成物には、スピンドル番号3がよく使われる。粘度は20RPMで及び温度22±1℃で測定する。
【0079】
固形分(%)
約20±0.5gの柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を、風袋を量った(W2)六角形のプラスチック秤量皿の中で正確に秤量する(W1)。適切な内径の秤量皿は、5インチ(inch)/3.5インチ(上部/底部)である。ポリマー組成物を含有している皿は、室温で約16〜20時間はドラフトチャンバー内に置く。次に、部分的に乾燥した固体フィルムを含む皿を、80℃で30分間予熱された実験用オーブンの中に入れる。皿及びその内容物を室温に冷却させる。次に得られた固体フィルムを含む乾燥した皿が一緒に秤量された(W3)。固形分(%)は下記式を用いて算出する。
【0080】
【数1】

【0081】
塗布された支持体の保持容量の決定(GRC)
FAB能力特性は、0.9%生理食塩水を吸収した塗布された不織布の支持体の液体保持容量を測定することにより評価する。保持容量測定のサンプルを次のように調製する。約50gのFAB溶液を10インチ×l4インチの金属クッキー皿の上に注ぐ。FAB溶液は、溶液が皿に均一に広がり、塗料ローラーにFAB溶液がしみ込むまで前記塗料ローラーを用いて伸ばされる。次に、8インチ×12インチシートのスパンボンド支持体をFABクッキー皿の上部に置く。支持体は、それが完全に塗布され、透明な外観と見なせるまで、FABをしみ込ませた塗料ローラーを用いて塗布される。次に塗布された支持体をプラスチックスクリーン上に置き、実験用対流式オーブンLindberg/Blue M Model M01460SA-1内で、105℃で15分間乾燥させる。乾燥期間後にオーブンから乾燥した塗布された支持体を取り出して、すぐに円形の金型により1.75インチの円に切る。その円形板はすぐにプラスチックバッグに入れ、周囲の湿気の吸着を防いだ。
【0082】
保持容量は下記のように測定する。それぞれのFABサンプルごとに、4個の塗布された円形板の保持容量を測定し、その結果を平均する。それぞれの測定ごとに、円形板の最初の質量を記録する(W1)。ガラスの皿を0.9%生理食塩水溶液で満たす。生理食塩水溶液の水面は約4cm高とするべきである。タイマーを20分間に設定する。塗布された円形板を試験液体の表面上に置き、静かに操作して浸し、タイマーを始動させる。円形板は、20分後に試験液体から取り出し、ポリプロピレン後板の上に置く。湿った円形板は、お互いから少なくとも半インチ離して置く。次に別の塗布されていないスパンボンド板を、塗布された円形板の上部に置く。次に後板/円形板/スパンボンド堆積物をサクションボックスの台上に置き、その堆積物をプラスチックトップシートで覆う。サクションボックスのタイマーを5分15秒に設定する。次にサクションボックスの制御装置及び真空ポンプを作動させる。圧力は水面から14±1インチを示すであろう。0.5psiの実質的な圧力がこうして生まれる。タイマーが鳴ったら、停止ボタンを押して、プラスチックカバーを持ち上げる。後板/円形板/スパンボンド堆積物を慎重に取り出し、上方のスパンボンド層も取り外す。それぞれの円形板を慎重に取り外し、個別に秤量する(W2)。
【0083】
計算
全体調整保持容量(GRC),g/g=(W2−W1)/W1
正味調整保持容量(NRC),g/g=(W2−W1)/(W1−0.0263)
W1=塗布された円形板の最初の質量
W2=サクションボックス後の湿らせた塗布された円形板の質量
0.0263=塗布されていない乾燥した円形板の質量係数
【実施例】
【0084】
次の実施例は本発明を説明するために提供するものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。特に明記しない限り、全ての部及び割合は質量を基準とする。
【0085】
比較例1
最初に、2Lのガラス製、ジャケット付き反応器を窒素でパージする。循環式加熱浴は75℃に保つ。500mLの三角フラスコ内で、250mLのエタノール(アメリカ合衆国、ニュージャージー州、フィリップスバーグに事業所を有するMallinckrodt Baker社の一部門であるMallinckrodt Laboratory Chemicals社から入手できる、十分に変性したMallinckrod(登録商標))中で過酸化ベンゾイル(BPO)(0.7105g、2.93×10−3mol)を溶解することにより開始剤系を調製した。1Lの梨型フラスコ内で、565mLのエタノール(十分に変性したMallinckrodt(登録商標))中で、アクリル酸(56mL、0.817mol)、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(62mL、0.336mol)及び3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(2.8mL、1.18×10−2)を混合することによりモノマー溶液を調製する。溶解した開始剤系の中に窒素を5分間バブリングし、その溶液を反応器に移した。反応器内では窒素が正圧に保たれる。モノマー溶液の中に窒素を5分間バブリングした後、Masterflex(登録商標)蠕動ポンプ(アメリカ合衆国、イリノイ州、バーノンヒルズに事業所を有するCole-Parmer Instrument社から入手できる)の吸気ポートにつながっている12インチ針をモノマー溶液の中に入れた。Masterflex(登録商標)ポンプの排気ポートは、ジャケット付き反応器の中に入れられる12インチ針につながっていた。モノマーのフラスコ内では窒素が正圧に保たれた。ジャケット付き反応器を循環式浴槽につなぐことにより撹拌しながら開始剤系を75℃に加熱した。内部温度が60℃に達したとき、モノマー溶液を約3g/分の速度で開始剤系に加えた。重合溶液を75℃で約2時間撹拌及び加熱し、その時に20mLのエタノールのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(0.1954g、1.19×10−3mol)溶液を加える。75℃での撹拌及び加熱は時間を延長して続け、その時には20mLのエタノールのAIBN(0.1931g、1.18×10−3mol)の第二の溶液を重合溶液に加えた。75℃での撹拌及び加熱は時間を延長して続け、その時には20mLのエタノールのAIBN(0.1945g、1.18×10−3mol)の第三の溶液を重合溶液に加えた。撹拌及び加熱は75℃で、約5時間の総反応時間続けた。反応器を30分強で35℃に冷却し、溶液を2Lプラスチック容器の中に抜き取った。
【0086】
得られたポリマー溶液のアクリル酸分の中和度約70mol%を得るために、水酸化ナトリウムの水溶液(40.8gの脱イオン(DI)水に溶解した6.59の水酸化ナトリウム粒)を絶えず撹拌しながら240gのバインダー溶液に静かに加えた。残留アクリル酸モノマーが、ここで開示された残留モノエチレン性不飽和モノマー試験法を用いてフィルム上で決定され、51,143であると分かった。CRCは、ここで開示したCRC試験法を用い、9.3g/gであると分かった。16時間抽出もここで開示した16時間抽出試験法を用いて測定され、15.3%であると分かった。
【0087】
比較例2
この比較例は次の方法を用いて調製した。溶液1は次のように調製した。水350g中の31.5gのポリエチレングリコール(分子量=200)及び52.6gの水酸化ナトリウム(40%中和)並びに1.5gのアスコルビン酸に、237g(3.289mol)のアクリル酸を加えた。この溶液は氷浴で冷却した。
【0088】
溶液2は次のように調製した。31.5gのポリエチレングリコール(分子量=200)を水200gで希釈し、次に、急速に撹拌しながら、5mLの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(2.7×10−2mol)を加えて濁った溶液を製造し、次に3.15gの30%過酸化水素水をその溶液に加えた。
【0089】
溶液3は、39.5g(0.987mol)の水酸化ナトリウムを300gの水に溶解させて調製した。
【0090】
溶液2は、磁気撹拌子によって撹拌しながら氷浴内の溶液1に加えた。温度の監視及び反応の発熱の観測に熱電対を使用した。混合の約5分後に重合反応を開始した。発熱反応が検出されるとすぐに、水を徐々に加えて撹拌に適切な溶液粘度を維持した。計450gの水が20分強で加えられた。85℃の最大重合温度が、2種のモノマー溶液の混合の約8分後に観測された。約20分後に、溶液3を撹拌しながら加えて70%に中和し、次に水を追加してポリマー濃度を約20%に減少させた。
【0091】
得られた水溶性バインダー組成物は、溶液の22.6gをポリスチレン舟形秤の中に注ぐことによりフィルム中にキャストし、室温のドラフト内において終夜で水を蒸発させ、次に型番DK-63実験用オーブン(アメリカ合衆国、イリノイ州、McGraw Parkに事業所を有するAllegiance Healthcare社の一部門であるScientific Productsから入手できる)を用いて50℃で50分間乾燥させた。得られたフィルムは、秤量すると5.95gであり、約26%の溶液濃度を示した。
【0092】
比較例2は次の性質、11.9g/gのCRC、5852ppmの残留アクリル酸モノマー及び7.1%の16時間抽出を示した。
【0093】
実施例1
最初に、温度計及び機械撹拌システムを備えた1Lガラス製、ジャケット付き反応器に窒素をパージした。500mLの三角フラスコ内で、(下記表2に示されたモルの)2,2’‐アゾビス(2,4’‐ジメチルバレロニトリル)(V65B)を125mLのエタノール(完全に変性したMallinckrodt(登録商標))に溶解させて開始剤系を調製した。1Lビーカー内で、283mLのエタノール(完全に変性したMallinckrodt(登録商標))中のアクリル酸(28mL、0.4085mol)、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(31mL、0.168mol)及び3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(1.4mL、0.59×10−2)を混合してモノマー溶液を調製する。溶解した開始剤系の中に及びモノマー混合物の溶液の中に窒素を5分間バブリングした後、両方の溶液を反応器に移した。反応器内では窒素が正圧に保たれた。
【0094】
次に反応器の内容物を、適度な速さで絶えず撹拌しながら55℃に加熱した。反応は2時間続けた。次に反応器の温度を70℃に上げ、(表1に示したモルの)t‐アミルペルオキシピバレート(TAPP)を含む10mLのエタノール溶液を加えた。70℃での撹拌及び加熱をさらに2時間続けた。総重合時間は約4時間だった。反応器は30分強で35℃に冷却し、溶液は2Lのプラスチック容器に抜き取った。得られたポリマー溶液のアクリル酸分の中和度を約70mol%にするために、水酸化ナトリウムの水溶液(40.8gの脱イオン(DI)水に溶解した6.59の水酸化ナトリウム粒)を絶えず撹拌しながら240gのバインダー溶液に静かに加えた。実施例1の結果は下記表2に示す。
【0095】
【表2】

【0096】
実施例2〜6
下記表3に示した量のレドックス開始剤系に加えて、過硫酸ナトリウム(NaPS)、及び2,2‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン二塩酸塩(ABAH)を含む熱分解できる開始剤を含めた。3種の溶液は個別に調製した。
【0097】
溶液1を次のように調製した。237g(3.289mol)のアクリル酸を水350g中の31.5gのポリエチレングリコール(分子量=200)及び52.6gの水酸化ナトリウム(40%中和)並びに1.5gのアスコルビン酸に加えた。この溶液は氷浴内で冷却した。
【0098】
溶液2は次のように調製した。31.5gのポリエチレングリコール(分子量=200)を水200gで希釈し、次に、急速に撹拌しながら、5mLの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(2.7×10−2mol)を加えて濁った溶液を製造し、次に3.15gの30%過酸化水素水をこの溶液に加えた。
【0099】
溶液3は、39.5g(0.987mol)の水酸化ナトリウムを300gの水に溶解させて調製した。
【0100】
溶液2は、磁気撹拌子によって撹拌しながら氷浴内の溶液1に加えた。温度の監視及び反応の発熱の観測に熱電対を使用した。混合の約5分後に重合反応を開始した。発熱反応が検出されるとすぐに、水を徐々に加えて撹拌に適切な溶液粘度を維持した。計450gの水が20分強で加えられた。75℃の最大重合温度が、2種のモノマー溶液の混合の約8分後に観測された。約20分後に、溶液3を撹拌しながら加えて70%に中和し、次に水を追加してポリマー濃度を約20%に減少させた。
【0101】
得られた水溶性バインダー組成物は、溶液の22.6gをポリスチレン舟形秤の中に注ぐことによりフィルム中にキャストし、室温のドラフト内において終夜で水を蒸発させ、次に型番DK-63実験用オーブンを用いて50℃で50分間乾燥させた。得られたフィルムは秤量すると5.95gであり、約26%の溶液濃度を示した。実施例2〜6の結果は下記表3に示す。
【0102】
【表3】

【0103】
表3のデータは、全ての熱開始剤が、柔軟高吸収性バインダーポリマー組成配合物の残留アクリル酸モノマーを1000ppmより下に減少させることを示す。
【0104】
実施例7〜11
NaOHの水溶液を調製し、1000gの水で105.2gの50%NaOH水を希釈することにより好ましい量のアクリル酸モノマーを中和度約40%にした。この溶液を氷浴内で冷却した。アクリル酸/PEG200(ポリエチレングリコール、分子量=200)は、237gの氷アクリル酸を63.0gのPEG200に加えることにより調製し、約5分間混合した。この混合物をNaOH溶液に加え、得られた溶液を氷浴内で冷却した。
【0105】
1.5gのアスコルビン酸を50gの脱イオン(DI)水に、1.0gのNaPSを50gのDI水に溶解することにより開始剤系を調製し、また2.7gの35%Hを50gのDI水で希釈した。潜在的な架橋剤溶液は重合開始の直前に調製した。急速に撹拌しながら、2.5mLの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MEMO)を100gのDI水に加え、濁った溶液を作製した。モノマー溶液が20℃に達したとき、重合開始シーケンスを始めた。モノマー溶液は重合開始前に氷浴から取り出した。残りの重合工程では、もう冷却を使用しなかった。過酸化水素溶液、NaPS溶液、架橋剤溶液、及び最後にアスコルビン酸溶液をモノマー溶液に加えた。温度の監視及び反応器の発熱の観測に温度計を用いた。機械駆動のスターラーを用いて中速撹拌下で開始剤溶液を混合した直後に重合反応を開始した。反応は25分間進めてよい。次に79.0gの50%NaOH溶液を加えて、ポリマー溶液を最終的に70%の中和度に後中和した。
【0106】
架橋剤であるMEMOは、上記の手段で50%まで減少した。水酸化ナトリウム及びアクリル酸の量は変化して様々な固体濃度になった。結果は下記表4にまとめた。
【0107】
【表4】

【0108】
実施例12〜15
一定量のH、アスコルビン酸、次亜リン酸の下記表5とともに、実施例12〜15の手段を次に示した。
【0109】
1ガロン(gallon)のプラスチックバケットの中に約626.8gの水を加えた。この水に、118.5gの氷アクリル酸を加えた。次に52.8gの50%NaOH水及び31.5gのPEG200を加えた。この溶液混合物はNガスを散布しながら20〜22℃に冷却した。冷却水又は氷浴は使用しなかった。
【0110】
開始剤溶液は下記のように調製した。
(1)1.04gのアスコルビン酸を21.3gの水に溶解した。(2)0.5gのNaPS(過硫酸ナトリウム)を2.9gの水に溶解した。及び(3)1.93gの35%Hを量り分けた。
【0111】
架橋剤溶液は重合開始の直前に調製した。急速に撹拌しながら1.4mLの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MEMO)を21.3gの水に加えて濁った溶液を製造した。モノマー溶液が20〜22℃に達したとき、重合開始シーケンスを始めた。モノマー溶液に、過酸化水素溶液、NaPS溶液、1.16gの50%質量/質量の次亜リン酸(連鎖移動剤)、架橋剤溶液、及び最後にアスコルビン酸溶液を加えた。その溶液は機械スターラーにより中速で撹拌した。温度の監視及び反応の発熱の観測に熱電対を使用した。反応がTmax(約50〜55℃)に達したとき、得られたポリマー溶液に212.7gの水を加えた。ポリマー溶液は、撹拌を続けながら冷やされた。冷却水又は氷浴は使用しなかった。
【0112】
ポリマー溶液が25〜27℃に達したとき、残りの118.5gの氷アクリル酸、52.8gの50%NaOH水、及び31.5gのPEG200をその溶液に加えた。この溶液混合物は、Nガスを散布しながら25〜27℃に冷やされた。冷却水又は氷浴は使用しなかった。残りの開始剤溶液は、1.04gのアスコルビン酸を21.3gの水に溶解させ、0.5gのNaPS(過硫酸ナトリウム)を2.9gの水に溶解させ、1.93gの35%Hを量り分け、及び1gのFe(SO・7HOを100gの水に溶解させることにより調製した。次に、1.0gのその1%FeSO溶液を5gの水に加えた。
【0113】
残りの架橋剤溶液は重合開始の直前に調製した。急速に撹拌しながら1.4mLの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MEMO)を21.3gの水に加えて濁った溶液を製造した。第二の重合開始工程では、過酸化水素溶液、NaPS溶液、1.16gの50%質量/質量の次亜リン酸、架橋剤溶液、希釈された硫酸鉄溶液、及び最後にアスコルビン酸溶液をポリマー/モノマー溶液混合物に加えた。ポリマー/モノマー溶液混合物は機械スターラーで撹拌した。温度の監視及び反応の発熱の観測に熱電対を使用した。得られたポリマー溶液は、その最高温度(Tmax)に達した後に冷却された。冷却水及び氷浴は使用しなかった。反応溶液が30℃に達したとき、78.5gの50%NaOH溶液を加えて、ポリマー溶液を最終的に70%の中和度に後中和した。得られたポリマー溶液はNaOHを加えた後に約5分間撹拌した。
【0114】
結果は下記表5にまとめた。
【0115】
【表5】

【0116】
比較例3
この比較例の柔軟吸収性バインダー溶液は、同量の潜在的な架橋剤、3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MEMO)を重合の両方の工程に使用した2工程の重合法により調製した。
【0117】
工程1
モノマーの調製は次のように行なった。電気モーター駆動の撹拌機を備えた100ガロンのジャケット付きステンレス製パイロットプラント反応器の中に、約317ポンド(LB、1LB≒454g)の水をポンプにより加えた。この水に、61.3LBの氷アクリル酸を加えた。次に、40.8LBの50%NaOH水をポンプにより加え、混合物を撹拌した、溶液混合物は約27℃に冷却した。
【0118】
開始剤溶液は次のように調製した。1)1.55LBの35%Hを量り分け、2)1.61LBのSEB(エリソルビン酸ナトリウム)を17LBの水に溶解させ、及び3)0.26LBのNaPS(過硫酸ナトリウム)を2LBの水に溶解させた。
【0119】
連鎖移動剤、架橋剤及び可塑剤は下記のように調製した。1)0.80LBの50%次亜リン酸を量り分け、及び2)1.13LBの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MEMO)を9.0LBのPEG400に加え、その混合物を撹拌して均質溶液を形成した。
【0120】
モノマー溶液が温度27℃に達したとき、酸素ストリッピング法シーケンスを開始した。最初に、反応器を減圧し、次に反応器を窒素ガスで覆い、続いて再び減圧する前に3〜5分撹拌した。この方法を3回繰り返した。酸素ストリッピング法後に、重合開始シーケンスを始めた。モノマー溶液に、過酸化水素溶液、NaPS溶液、次亜リン酸溶液、MEMO/PEG混合物、及び最後にSEB溶液を加えた。溶液を撹拌し、反応の発熱をデジタル読み出しにより監視した。反応がTmax(約50〜55℃)に達したとき、得られたポリマー溶液に37LBの水を加えた。ポリマー溶液は、撹拌を続けながら冷却水を用いて静かにと25℃に冷やされた。
【0121】
工程2
ポリマー溶液が25〜27℃に達したとき、第二モノマー分量を加える前に空気を反応器に散布し、自己重合を防いだ。反応器に空気を散布しながら、氷アクリル酸61.3LBの残り20.4LBを反応器に加え、次にバッチ温度が35℃を超えないように、50%NaOH40.8LBの残り13.6LBを加えた。この方法をさらに2回繰り返し、全ての残留アクリル酸モノマーの中和を完了した。この溶液混合物は27℃まで冷やされた。
【0122】
1.55LBの35%Hを量り分け、0.26LBのNaPS(過硫酸ナトリウム)を2LBの水に溶解させ、0.0026LBのFe(SO)・7HOを5LBの脱イオン水に溶解させ、及び1.61LBのSEB(エリソルビン酸ナトリウム)を17LBの水に溶解させることにより残りの開始剤溶液を調製した。0.80LBの50%次亜リン酸を量り分け、1.13LBの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MEMO)を9.0LBのPEG400に溶解させることにより残りの連鎖移動剤、架橋剤、及び可塑剤を調製した。
【0123】
反応混合物の温度が27℃に達したとき、工程1に記載したものと同様の方法により酸素ストリッピング法を始めた。酸素ストリッピング法後に、第二の重合を開始した。第二の重合工程では、過酸化水素溶液、NaPS溶液、次亜リン酸溶液、MEMO/PEG混合物、硫酸鉄溶液、最後にSEB溶液を手動でポリマー/モノマー溶液混合物に加えた。ポリマー/溶液混合物を撹拌し、反応の等温線をデジタル読み出しによって監視した。反応がTmaxに達した後に、得られたポリマー溶液に37LBの水を加えた。ポリマー溶液は、撹拌を続けながら冷却水を用いて静かに30℃より下まで冷やされた。次に、得られた柔軟吸収性バインダーポリマー溶液の最終的な中和度を77%にするために、23.1LBの50%NaOHと、その次に10LBの水が、温度が上昇して45℃を超えないように注意して加えられた。次にポリマー溶液は、水を反応器のジャケットの中に循環させることにより再び約30℃に冷却された。物理的及び性能の結果を表6に示す。
【0124】
比較例4
上記比較例3に記載した方法とまさに同じ方法を、ただし架橋剤のMEMOは、総量を上記と同一にしながら工程1(1.70LBのMEMO)と工程2(0.56LBのMEMO)の間で75%/25%の割合で加えたことを除いて、比較例4の調製に使用した。
【0125】
実施例16〜19
次の実施例16の説明及び表6に示したような更に大きな容量の柔軟吸収性バインダーポリマー溶液の調製に用いる全成分の一定の比例量が実施例16〜19の基礎を提供する。
【0126】
実施例16
最初に、予備中和した(約60%中和度、DN)モノマー溶液を次の方法により調製した。約180gの水を、磁気撹拌子及び温度プローブを備えた1Lビーカーの中に入れた。この水に、59.23gの氷アクリル酸を撹拌しながら加えた。次に、39.5gの50%NaOH水を適度な速度で撹拌しながら静かに水溶液に加えた。この水溶液は水浴内で約30℃に冷却し、別に分割した59.25gの氷アクリル酸を水溶液に加えた。次に、第二の分割した39.5gの50%NaOH水を水溶液に静かに加えた。次に中和したアクリル酸溶液を水浴内で約25〜30℃に冷却した。
【0127】
予備中和したモノマー溶液に、0.3gの50%質量/質量の次亜リン酸溶液(連鎖移動剤)を加えた。
【0128】
急速に撹拌しながらMEMOをPEGの中に加えることにより、17.5gのポリエチレングリコール(PEG)400及び2.1mLの3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MEMO)架橋剤の均質混合物を調製した。次に予備中和されたモノマー溶液にこの混合物を加え、混合物を数分間よく撹拌した。
【0129】
1.71gのエリソルビン酸ナトリウム(SEB)を18.96gの水に溶解させることにより及び4.56gの35%Hを17.73gの水に溶解させることにより2種の開始剤系溶液を調製した。
【0130】
重合は次のように行なった。1Lジャケット付きガラス製反応器の中に、195.6gの前に窒素ガスを散布した水を入れた。この底部の水(heel water)の温度を22〜24℃に維持した。遅く流れるNガス、予備中和されたモノマー溶液、及び2種の開始剤系溶液を反応器のフタの3個の入口から反応器の中に入れた。2種の開始剤系溶液のそれぞれは、反応器の向かい合った入口から反応器の中に入れた。モノマー及び開始剤溶液は同時に、反応水溶液をNガスの遅い流れのもとで撹拌しながら、既定の検量率で既定の期間で3個の蠕動ポンプにより液滴として加えた。蠕動ポンプは前もってそれぞれの溶液の好ましい流速に調整しておいた。重合反応速度データは、時間の関数である温度変化を記録するデータ収集ソフトウェアにより監視及び記録した。ある期間に亘って、通常は30分〜120分、ただし典型的には60分に亘って、予備中和されたモノマー溶液を加えた。重合手段中及びモノマーを加える時間を超えたさらなる60分間に2種の開始剤系溶液を加えた。
【0131】
反応物を加えてから6〜8分後に溶液温度を上げ始め、徐々に上昇させ続ける。反応の温度は、通常は40〜70℃、最も典型的には60℃の既定の最大温度に達することができた。この温度は、反応器の中を通る冷却水を循環させることによって維持した。
【0132】
予備中和されたモノマーを加える間に開始剤溶液が、前述の溶液の半分がモノマーを加える間に加えられるような速度で、加えられる。モノマーの供給が終わってから、各々の溶液の残り半分が30分間に加えられるように開始剤溶液を加える速度を変えた。次に、水14.60g中のSEB1.31g及び水5.05g中の35%H1.31gの濃度で追加のSEB及びH溶液が、残留モノマーを処分するようにさらなる30分間で加えられた。開始剤溶液を投与するのに使用した蠕動ポンプの速度は、適切な供給速度が得られるように調整した。
【0133】
全ての開始剤溶液を加え終えた後、重合溶液はさらに90分間撹拌した。この時、重合溶液は徐々に冷たくなり始める。さらなる撹拌の90分後、ポリマー溶液は、水を反応器のジャケットの中に循環させることにより約(〜)30℃に冷却する。22.35gの50%NaOH溶液を加えて、高吸収性ポリマーバインダー溶液を最終的に77%の中和度まで後中和した。反応混合物の温度が45℃を超えないように、水酸化ナトリウムによる後中和を加える間も冷却は続けられた。得られたポリマー溶液は、NaOHを加えた後に約5〜30分間撹拌した。次に、水を反応器のジャケットの中に循環させることにより、再びポリマー溶液を約30℃に冷却した。
【0134】
表6は溶液及び得られた柔軟吸収性バインダーの特性に関する情報を含む。
【0135】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸、又はリン酸塩から選択されたモノエチレン性不飽和モノマーを少なくとも15質量%含むモノマー溶液、
アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、
共重合可能な親水性グリコール含有エステルモノマー、
開始剤系、及び
不飽和モノマーが少なくとも25mol%中和される中和剤
の反応生成物を含み、約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項2】
水に触れると、アルコキシシラン官能基が、縮合して架橋したポリマーを形成するシラノール官能基を形成する請求項1に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項3】
モノエチレン性不飽和モノマーがカルボン酸塩含有モノマーを含む請求項1に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項4】
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが、トリアルコキシシラン官能基を含むモノマーを含む請求項1に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項5】
前記モノマーが、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3‐アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、又は3‐メタクリルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シランの少なくとも1種を含む請求項4に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項6】
開始剤系がt‐アミルペルオキシピバレート、及び2,2’‐アゾビス(2,4’‐ジメチルバレロニトリル)からなる群から選択される開始剤を含む請求項1に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項7】
共重合可能な親水性グリコール含有エステルモノマーが、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート及びポリ(エチレングリコール)メタクリレートからなる群から選択される請求項1に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項8】
高吸収性ポリマー組成物を形成するための
a)開始剤系溶液を調製する工程、
b)モノエチレン性不飽和モノマー(ただし、モノエチレン性不飽和モノマーの一つはアルキルオキシシラン官能基を含む。)を含むモノマー溶液を調製する工程、
c)開始剤系及びモノマー溶液を混合して重合溶液を形成する工程、
d)重合溶液を加熱して重合溶液の反応を促進する工程、
e)重合溶液を冷却する工程、及び
f)工程e)のポリマーを少なくとも約25mol%中和する工程
を含む柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法であって、
前記高吸収性ポリマー組成物の乾燥ポリマーが約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有することを特徴とする製造方法。
【請求項9】
開始剤系が、t‐アミルペルオキシピバレート、又は2,2’‐アゾビス(2,4’‐ジメチルバレロニトリル)から選択された開始剤を含む請求項8に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項10】
カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸、又はリン酸塩から選択される少なくとも15質量%のモノエチレン性不飽和モノマー、
可塑剤、
アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、
開始剤系、及び
中和剤
の反応生成物を含む柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物であって、
高吸収性ポリマーが約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有することを特徴とする柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項11】
モノエチレン性不飽和モノマーがカルボン酸塩含有モノマーを含む請求項10に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項12】
可塑剤がポリヒドロキシ有機化合物である請求項10に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項13】
可塑剤が約15〜40質量%の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物を含む請求項10に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項14】
開始剤系が、過硫酸ナトリウム、又は2,2‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン二塩酸塩から選択される開始剤を含む請求項10に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項15】
前記可塑剤がポリエチレングリコールであり、前記中和剤が水酸化ナトリウムであり、及び前記アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートである請求項10に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項16】
カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸、又はリン酸塩から選択される少なくとも15質量%のモノエチレン性不飽和モノマー、
可塑剤、
アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、
連鎖移動剤、
開始剤系、及び
中和剤
の反応生成物を含む柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物であって、
前記柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物が約100,000〜約650,000g/molの平均分子量を有し、高吸収性ポリマー組成物が約10,000cps未満の16時間後の粘度及び約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有することを特徴とする柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項17】
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルがトリアルコキシシラン官能基を含むモノマーを含み、前記モノマーが高吸収性ポリマー組成物の少なくとも0.1質量%である請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項18】
開始剤系が、過硫酸ナトリウム、及び過酸化水素からなる群から選択される開始剤を含む請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項19】
前記アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートである請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項20】
可塑剤がポリヒドロキシ有機化合物である請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項21】
可塑剤がポリエチレングリコールである請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項22】
連鎖移動剤が、アルコール、有機酸、無機酸、又は有機アミンの少なくとも1種である請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項23】
連鎖移動剤が、次亜リン酸である請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項24】
前記可塑剤がポリエチレングリコールであり、前記中和剤が水酸化ナトリウムであり、及び前記アルコキシシラン官能基を含むアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートである請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項25】
少なくとも24質量%の固形分を有する請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項26】
開始剤系が、過硫酸ナトリウム、又は2,2‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン二塩酸塩から選択される開始剤を含む請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項27】
高吸収性ポリマーが約100,000〜約300,000g/molの重量平均分子量を有する請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項28】
遷移金属塩が硫酸鉄である請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項29】
約100,000〜650,000g/molの平均分子量を有する高吸収性ポリマー、並びに約10,000cps未満の16時間後の粘度及び約1000ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量を有する高吸収性ポリマー組成物を形成するための
a)連鎖移動剤、可塑剤、アルコキシシラン官能基を含む架橋剤モノマー、モノエチレン性不飽和モノマー(ただし、モノエチレン性不飽和モノマーの一つは酸基が少なくとも25mol%中和された官能基を含む。)を含むモノマー溶液を調製する工程、
b)工程a)のモノマー溶液混合物を重合開始して、工程a)のモノマー溶液混合物を少なくとも50%の重合度に重合させる工程、
c)第二のモノマー溶液を工程b)の重合溶液に加える工程、
d)工程c)の溶液を重合させる工程、及び
e)所望により、工程d)のポリマーを中和する工程
を含む柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項30】
前記高吸収性ポリマーが約100,000〜300,000g/molの重量平均分子量を有し、並びに高吸収性ポリマー組成物が約500ppm未満の残留モノエチレン性不飽和モノマー含有量及び少なくとも約24質量%の固形分を有する請求項29に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項31】
開始剤系が過硫酸ナトリウム、又は2,2’‐アゾビス‐2‐アミジノプロパン二塩酸塩から選択される開始剤を含む請求項29に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項32】
さらに、シラノール反応性架橋剤を含む請求項10に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項33】
さらに、シラノール反応性架橋剤を含む請求項16に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項34】
a)酸性モノマーが少なくとも部分的に中和されている予備中和されたモノマー溶液を調製する工程、
b)約200〜10,000の分子量を有する低分子量ポリオレフィングリコール、及びトリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの混合物を予備中和されたモノマー溶液に加える工程、
c)少なくとも2種の開始剤系溶液を調製する工程、
d)重合中の工程b)のモノマー溶液及び工程c)の少なくとも2種の開始剤系溶液を連続的に水に加えて混合物を形成し、前記混合物を反応させてポリマーを形成する工程、
e)所望により、加速された流速で工程c)の少なくとも2種の開始剤系溶液を加える工程、
f)ポリマーを冷却する工程、及び
g)工程f)の冷却したポリマーを後中和して、ポリマーの中和度を少なくとも約60mol%に増加させる工程
を含む柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項35】
予備中和されたモノマー溶液がアクリル酸を含む請求項34に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項36】
開始剤系が酸化剤及び還元剤から選択される開始剤を含む請求項34に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項37】
酸化剤が過酸化水素であり、還元剤がエリソルビン酸ナトリウムである請求項34に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項38】
還元剤に対する酸化剤のモル比が、約2〜6である請求項34に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項39】
重合溶液が、工程g)で約20〜40℃に冷却される請求項34に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項40】
トリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーがメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである請求項34に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項41】
低分子量ポリオレフィングリコールがポリエチレングリコールである請求項34に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項42】
請求項34に記載の製造方法により製造された柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項43】
a)酸性モノマーが少なくとも部分的に中和されているモノマー溶液を調製する工程、
b)連鎖移動剤をモノマー溶液に加える工程、
c)約200〜10,000の分子量を有する低分子量ポリオレフィングリコール、及びトリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの混合物をモノマー溶液に加える工程、
d)少なくとも2種の開始剤系溶液を調製し、開始剤系溶液をモノマー溶液に加え、前記混合物を反応させてポリマーを形成する工程、
e)工程d)のポリマーを冷却する工程、及び
f)工程e)の冷却されたポリマーを後中和して、ポリマーの中和を少なくとも約60mol%に増加させる工程
を含む柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法であって、
還元剤に対する酸化剤のモル比が約2〜6であることを特徴とする製造方法。
【請求項44】
予備中和されたモノマー溶液がアクリル酸を含む請求項43に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項45】
開始剤系が酸化剤及び還元剤から選択される開始剤を含む請求項43に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項46】
酸化剤が過酸化水素であり、還元剤がエリソルビン酸ナトリウムである請求項43に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項47】
重合溶液が工程e)で約20〜40℃に冷却される請求項43に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項48】
トリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーがメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである請求項43に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項49】
低分子量ポリオレフィングリコールがポリエチレングリコールである請求項43に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項50】
請求項43に記載の製造方法により製造された柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。
【請求項51】
a)少なくとも約40mol%の中和度を有し、連鎖移動剤、並びに約200〜10,000の分子量を有する低分子量ポリオレフィングリコール及びトリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの混合物を含む予備中和されたモノマー溶液を調製する工程、
b)少なくとも2種の開始剤系溶液を調製する工程、
c)重合中の工程a)のモノマー溶液及び工程b)の少なくとも2種の開始剤系溶液を連続的に水に加えて混合物を形成し、前記混合物を反応させてポリマーを形成する工程、
d)加速された流速で工程b)の少なくとも2種の開始剤系溶液を加える工程、
e)工程d)のポリマーを冷却する工程、及び
f)工程e)の冷却されたポリマーを後中和して、ポリマーの中和を少なくとも約60mol%に増加させる工程、
を含む柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項52】
予備中和されたモノマー溶液がアクリル酸を含む請求項51に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項53】
開始剤系が酸化剤及び還元剤から選択される開始剤を含む請求項51に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項54】
酸化剤が過酸化水素であり、還元剤がエリソルビン酸ナトリウムである請求項51に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項55】
還元剤に対する酸化剤のモル比が、約2〜6である請求項51に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項56】
重合溶液が工程e)で約20〜40℃に冷却される請求項51に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項57】
トリアルコキシシラン官能基を含むエチレン性不飽和モノマーがメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである請求項51に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項58】
低分子量ポリオレフィングリコールがポリエチレングリコールである請求項51に記載の柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物の製造方法。
【請求項59】
請求項51に記載の製造方法により製造された柔軟高吸収性バインダーポリマー組成物。

【公表番号】特表2009−518469(P2009−518469A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543574(P2008−543574)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/061378
【国際公開番号】WO2007/111716
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508160093)エボニック ストックハウゼン,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】