説明

柱列杭の施工方法

【課題】 既製杭の先端位置を把握しながら施工して、通常杭10A、10B、・・・を容易に設計通りの位置に配置して、高品質の柱列杭が構築する。
【解決手段】基準杭1の先端部3の基点5にワイヤー係止具6を取り付け、ワイヤー30の一端31を取り付ける。基準杭1を地盤改良層21内に埋設して、ワイヤー30の他端を地上に出して、通常杭の下端12のガイド具16にワイヤー30を通す(a)。ワイヤー30をガイド具16に通して第1通常杭10Aを地盤改良層21内に埋設して、基準杭1に並列させる(b)。ワイヤー30を通常杭10Aの側面に沿って立ち上げて(鎖線30)、基点5から上端11までの長さを測定し、通常杭10Aの下端12位置及び回転状態を把握して、必要ならば第1通常杭10Aの姿勢を正す(b)。同様に、通常杭10C、通常杭10dを埋設して、柱列杭構造を構築する(c)(d)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントミルクなどが充填された横長の壁状の杭穴内に、横方向に杭を並列して埋設する柱列杭の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の柱列工法では、所定位置に確実に設置するための方法としては、特許文献1のように杭に案内用の溝を設け、その案内溝に沿って杭を施工することも行われていた。
【0003】
また、特許文献2では、1本の杭で姿勢を修正して鉛直状態にするためにワイヤーを使用する発明が示されている。また、特許文献3では、特許文献1のように隣接する杭を連結しながら柱列杭を施工する場合に、ワイヤーで杭を案内する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−238818号公報
【特許文献2】特開2001−342622号公報
【特許文献3】特開平1−94109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の技術の内、特許文献1では、案内溝にソイルセメントが詰まり、施工中に地中の礫等が衝突して案内溝が変形し、杭が埋設できないという問題もあった。また、杭全長に溝を設ける必要があるため、加工費用や材料費が大幅にアップするため経済的ではなく、現場での採用は困難だった。
【0006】
また、特許文献1では、先端根固め杭(杭長の長い杭を先端根固め部まで埋設したもの)の間に、杭長さが短い杭を使って柱列杭の施工をしていた。この場合には、柱列杭の杭先端位置が所定の位置に配置されているかは確認できず、施工の時点で杭先端位置を把握できなかった。
【0007】
また、ワイヤーを使用する特許文献2、3の場合でも、ワイヤーを杭の埋設の案内として使用する場合や、杭の姿勢の修正に使用するが、最終的に、地上から数m〜数十m下方にある杭の先端位置について、把握することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地上で基準杭の基点から並列する通常杭の上端までの距離をワイヤーの長さを測定することにより、計測し、基準杭の基点から通常杭の下端が設計位置に合っているか否かを判断できる。
【0009】
即ち、この発明は、地盤改良材料が充填された横長杭穴内に、以下のようにして、杭体を並列して埋設し、柱列杭を構成することを特徴とする柱列杭の施工方法である。
(1) 基準杭の先端部の基点に、長さ方向に伸縮しないワイヤーの一端を取りつけ、該ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、地盤改良材料が充填された前記横長杭穴に前記基準杭を鉛直に埋設する。前記ワイヤーの他端は地上に位置させる。
(2) 下端部にガイド具を形成して、通常杭を構成する。
(3) 地上で第1通常杭の前記ガイド具に前記ワイヤーを係止し、前記ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、前記第一通常杭を、一縦側面を前記基準杭に沿うように埋設する。
(4) 前記ワイヤーは、第1通常杭の他縦側面に沿って張った状態で地上に位置させ、前記基点から前記第1通常杭の上端部の測定点までのワイヤーの長さLを計測する。
(5) 前記長さLから前記第1通常杭の下端位置を推定して、設計位置であればそのまま第2通常杭を同様に施工する。設計位置からずれていた場合には修正し、修正後に第2通常杭を同様に施工する。
【0010】
また、他の発明は、地盤改良材料が充填された横長杭穴内に、以下のようにして、杭体を並列して埋設し、柱列杭を構成することを特徴とする柱列杭の施工方法である。
(1) 基準杭の先端部の基点に、長さ方向に伸縮しないワイヤーの一端を取りつけ、該ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、地盤改良材料が充填された前記横長杭穴に前記基準杭を鉛直に埋設する。前記ワイヤーの他端は地上に位置させる。
(2) 下端部外周で、直径対称な位置にガイド具を形成して、通常杭を構成する。前記基準杭側を第1ガイド具、地上に至るワイヤー側を第2ガイド具とする。
(3) 地上で第1通常杭の前記第1ガイド具、第2ガイド具を順に前記ワイヤーを係止し、前記ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、前記第一通常杭を、一縦側面を前記基準杭に沿うように埋設する。
(4) 前記ワイヤーは、第1通常杭の他縦側面に沿って張った状態で地上に位置させ、前記基点から第1通常杭の上端部の測定点までのワイヤーの長さLを計測する。
(5) 予め分かっている、
・前記両ガイド具間の距離L
・第2ガイド具と第1通常杭の上端の距離L
と、前記長さLから、前記基点から第1ガイド具までの距離Lを算出する。
(6) 前記距離L及び第1通常杭の回転を考慮して、前記第1通常杭の下端位置を推定して、設計位置であればそのまま第2通常杭を同様に施工する。設計位置からずれていた場合には修正し、修正後に第2通常杭を同様に施工する。
【0011】
前記における「通常杭の上端部の測定点」は通常は、通常杭の上端を測定点として設定するが、地上からワイヤーとの比較で、目視できれば、任意の位置とすることもできる。ただし、通常杭のガイド具(第2ガイド具)から測定点までの距離が予め分かっていることが必要である。
【0012】
また、前記におけるワイヤーは1本または複数を用いることもでき、ワイヤーの断面形状も円形を主体にしたものの他、帯状のものなどを使用することもできる。さらに、ワイヤーは金属素材のものに限らず、必要な強度を有すれば、布バンド、ナイロンストリング等の繊維を使用することもできる。
【0013】
また、前記における基準杭、通常杭は、円柱形(円筒型)のコンクリート杭、鋼管杭、H形鋼他の形鋼など、従来の地盤改良層に埋設する杭材料であれば、任意であり、また混在して使用することもできる。
【0014】
また、前記における基準杭は、通常杭をワイヤーで引いた際に、鉛直や水平方向の位置の基準になる構成であれば、任意ある。例えば、通常杭より長く形成して、通常杭より深く埋設することもでき、この場合に更に堅い地盤に根入りさせることもできる。また、通常杭より全長に亘りまたは一部に、外径を太くまたは肉厚を厚く形成することもできる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、基準杭の基点から隣接する通常杭の測定点までの長さを、ワイヤーの長さLとして、測定するので、基準杭の下端と通常杭の下端との相対位置が把握できるので、通常杭が設計通りの位置に埋設されているかどうかを確認できる。従って、通常杭が設計位置からずれていた場合には、従来の方法により、ワイヤーを操作して、通常杭の姿勢を直すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)〜(e)はこの発明の施工方法を説明する概略した縦断面図である。
【図2】図2は(a)〜(d)は同じく横断面図である。
【図3】図3は、図2(c)の状態で、基準杭と隣接する通常杭の関係を表す拡大横断面図で、(a)は設計位置、(b)は通常杭が回転した状態、(c)は通常杭が軸をずれた状態、を夫々表す。
【図4】図4は、(a)〜(d)は同じく施工方法を説明する概略した斜視図である。
【図5】図5は、他の実施例で、通常杭を屈曲配置した拡大底面図である。
【図6】図6は、同じく、通常杭を屈曲配置した拡大底面図である。
【図7】図7(a)はこの発明のガイド具で、(a)は他のガイド具の正面図、(b)は同じく底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明は、地盤改良層21が形成された地盤で、鉛直に埋設した基準杭1に並列して複数本の標準杭10、10を埋設して柱列杭を構成する方法である。
【0018】
(1) 基準杭1の先端部3に基点5を設定する。基準杭1は通常は、地盤改良層21を突き抜けて堅い地盤23に下端部を根入りさせて、鉛直を維持するように埋設する。従って、基点5は通常、通常杭10の下端12の位置に合わせて設定する。
基準杭1の基点5にワイヤー係止具6を取り付け、ワイヤー係止具6にワイヤー30の一端31を着脱可能に取り付ける。ワイヤー30の他端32側は、杭打ち機のワイヤー繰り出し装置内に位置する。従って、ワイヤー30の他端32は必ず地上20にあるが、一端31を含めて両端を地上20に位置させることもできる。この場合、基準杭1の外周で、ワイヤー係止具6の位置、即ち基点5の位置が分かるように、基準杭1の上端2にマークを入れておくこともできる。
【0019】
(2) この状態で、基準杭1を地盤改良層21内に鉛直に埋設する(図4(a))。基準杭1は地盤改良層21を突き抜けて、下端部3を固い地盤23に根入りさせたので、以下の通常杭10の姿勢を直す際に、ワイヤー30を引っ張っても、基準杭1が動くことが無い。尚、基準杭1は、他の動かない工夫があれば、根入りさせる必要はない。
【0020】
(3) 地上20で、通常杭10の下端で、基準杭1の反対側の側面13にガイド具16を固定する。ガイド具16はワイヤー30の下端32を通さなくても、ワイヤー30の中間部を押し当てて(あるいは捻る)ことにより、ワイヤー30の中間部をガイド具16に通すことできるような構造となっている。
次ぎに、地上20で、埋設した基準杭1からのワイヤー30をガイド具16に通す。続いて、第1通常杭10Aを地盤改良層21内に埋設して、基準杭1に並列させる(図4(b))。
【0021】
(4) この状態で、ガイド具16から折り返して、ワイヤー30を第1通常杭10Aの側面に沿って立ち上げて、基準点となる第1通常杭10Aの上端11に位置させる(図4(b)鎖線図示30)。ワイヤー30を使って、基点5から上端11までの長さを測定すると共に、第1通常杭10Aの回転角度を測定する。これにより、予め分かっている「第1通常杭10Aの長さ、直径」から、第1通常杭10Aの下端12と基点5との距離が分かり、地上での基準杭1の上端2と第1通常杭10Aの上端11を目視できるので、全体として、第1通常杭10Aの姿勢が把握できる。
【0022】
(5) 第1通常杭10Aの姿勢が設計通りでない場合には、通常の方法により、ワイヤー30を振り、または引き、または通常杭10Aを持ち上げながらワイヤー30を張り、通常杭10Aの姿勢を直す。姿勢が直ったかどうかも、上記のような方法により、第1通常杭10Aの上端11でのワイヤー30の長さを測定することにより、確認できる。
【0023】
(6) 第1通常杭10Aが正しく設置されたならば、同様に、地上でワイヤー30を第2通常杭10Bのガイド具16に係止して、同様に、第2通常杭10Bを地盤改良層21内に埋設する(図4(b)(c))。第2通常杭10Bも同様に、ワイヤー30の長さを測定して、第2通常杭10Bの下端位置を把握して、必要ならば姿勢を正す。
【0024】
(7) 以下同様に、第3通常杭10C、第4通常杭10dを埋設して、柱列杭構造を構築する(図4(c)(d))。この場合、中間の第3通常杭10Cを基準杭1と同様の長い杭を使用して、地盤改良層21を突き抜けて固い地盤23に根入りさせることもできる(図4(d))。
通常杭10A、10B、・・・は設計通りの位置に配置することができ、高品質の柱列杭が構築できる。また、杭先端位置を把握しながら施工ができるため、より品質の高い柱列構造が実現できる。
【実施例1】
【0025】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0026】
[1]基準杭1の構成
【0027】
コンクリート製の基準杭1は、地盤改良層21を越えて、下方のある程度堅い地盤23に下端部3を位置できる長さで形成され、下端部3で、通常杭10の下端12位置に基点5を設定し、基点5にワイヤー係止具6を取り付ける(図1(b))。
【0028】
[2]通常杭10の構成
【0029】
コンクリート製の通常杭10は、長さHで、地盤改良層21内に下端12が位置する長さで、形成してある。通常杭10は、上下に端板を取付てあり、下端板の下面付近の外側面13で、直径対称な位置(2ヶ所)に、ガイド具15、16を固定する。
【0030】
ガイド具15、16は、スパイラル状の一端を下端板の外側面13に固定し、他端を自由端としてある(図7(a))。従って、ワイヤー30の一端31を通さなくてもワイヤー30の中間部を押し込めば、ガイド具15、16内にワイヤー30を位置させることができる(図1(c)、図3(a))。
【0031】
[2]施工方法
【0032】
(1) 柱列を形成する地盤を、従来の方法により掘削して、地盤改良材を注入して撹拌混合して、壁状の地盤改良層21を形成する。この際に、基準杭1の埋設位置には、堅い地盤23まで掘削しておく(図1(a)、図2(a))。
【0033】
(2) 基準杭1のワイヤー係止具6にワイヤー30の一端31を係止して、ワイヤー30の他端32を地上20で保持した状態で、地盤改良層21の端部に、基準杭1を通常の方法により垂直に埋設する。この場合、予め、固い地盤23まで掘削してあるので、基準杭1の下端部3を固い地盤23内に根入りする(図1(b)、図2(b))。●
前記において、ワイヤー30は杭打ち機のワイヤー繰り出し機((図示していない)から自動的に繰り出されるので、ワイヤー30の他端32はワイヤー繰り出し機に保持されている。ワイヤー30の他端32の保持は、地上20で保持されれば任意である。
【0034】
(3) 続いて、地上20で、第1通常杭10Aのガイド具15、ガイド具16の順にワイヤー30を係止し、ガイド具15を基準杭1側に位置させて、ワイヤー30の他端31を同様に地上20で保持した状態で、第1通常杭10Aを従来の方法により、埋設する(図1(c))。
【0035】
(4) 埋設が完了した状態で、ワイヤー30を第1通常杭10Aの外側面13に沿わせておき、基点5(ワイヤー係止具6)から第1通常杭10Aの上端11までの長さLを測定する。
【0036】
また、この際、ガイド具16から通常杭10Aの上端11までのワイヤーの長さLは、通常杭10の長さHと一致する。ガイド具15とガイド具16との距離は、通常杭10の外径であり、長さLは予め分かっている。
ガイド具15と基点5(ワイヤー係止具6)の距離をLとすれば、
L=L+L+L=L+L+H
となる。従って、測定したLの値から、Lの値が分かる。
【0037】
(5−1) ここで、
=0
であれば、ガイド具15は基点5(ワイヤー係止具6)に密着しており、通常杭10の下端12は設計通りの位置に有ることが分かる(図3(a))。
【0038】
(5−2) また、ここで、予め第1通常杭10Aにマークを付けておけば(通常は地上20から見える上端11周辺にマークを入れる)、第1通常杭10Aが回転していた場合には、地上20から第1通常杭10Aがどのくらい回転して埋設されたが分かる。従って、仮に角度θ回転していた場合、
=L31
となる(図3(b))。しかし、L31が回転により生じた長さであるので、柱列構造の適否には影響が無いので、そのまま次の施工を続ける。
なお、可能ならば、第1通常杭1Aを回転させて、ガイド具15が基点5(ワイヤー係止具6)に位置するようにすれば、L=0となる(図3(a))。
【0039】
(5−3) またここで、第1通常杭1Aに回転も生じていないにも係わらず L>0 となっている場合には、下端12で、第1通常杭1Aがずれている可能性が高く、
=L32
が表れる(図3(b))。この場合には、好ましくないので、L32に相当する長さだけ、従来の方法により、第1通常杭10Aの下端12の位置をずらして、所定位置に移動させる(図3(a))。この際、地上20でワイヤー30を強く引けば、L31が縮まる方向に作用して、第1通常杭10Aは所定の設計位置に戻すこともできる(図3(a))。
【0040】
(6) また、この際、第1通常杭10Aの上端11が所定の位置にあるかどうかは、地上20から目視でき、上端11のみにずれがあった場合には、傾斜を直せば、容易に位置の調整ができる。以上のようにして、第1通常杭10Aの埋設が完了する(図1(e)、図2(c))。
【0041】
(7) 続いて、第1通常杭10Aが設計位置に埋設された状態で、同様に、地上20で、第2通常杭10Bのガイド具15、ガイド具16の順にワイヤー31を係止し、ガイド具15を基準杭1側に位置させて、ワイヤー30の他端32を同様に地上20で保持した状態で、第2通常杭10Bを従来の方法により、埋設する(図1(e)、図3(d))。
【0042】
以下(4)〜(6)の手順で、基点5(ワイヤー係止具6)から第2通常杭10Bの上端ま11でのワイヤー30の長さLを測定して、不具合があれば第2通常杭10Bを動かして、所定の設計位置に設置する。
【0043】
この際、第1通常杭10Aが回転したいた場合(図3(b))には、回動分のL31に対応して、ガイド具16がLだけずれているので、その量を考慮する。
【0044】
(8) 所定の通常杭10A、10B、・・・の埋設が全て完了したならば、ワーヤー係止具6とワイヤー30の一端31との係止を解除して、ワイヤー30を地上に引き上げる。
【0045】
(9) 前記において、柱列杭は直線状に限らず、屈折した形状で、通常杭10、10を、埋設することできる(図6)。この場合は、同様に基準杭1に並列して、第1通常杭10A、第2通常杭10B、・・・、第10通常杭10J、・・・を埋設する。この際、折り曲げた場所で、隣接する通常杭10のガイド具16と通常杭10のガイド具16との間で、ワイヤー30がL31、L32、L33、L34等の余白を生じるので、この値を考慮して、地上でワイヤー30の長さを測定する必要がある。
【0046】
また、このような屈曲形状の柱列杭の場合、通常杭10のガイド具15、16を直径対称な位置にもけるのではなく、隣接する通常杭10A、10B、通常杭10B、10C、・・・でガイド具15とガイド具16とが接するような位置に取り付けることもできる(図5)。通常、通常杭10A、10B、10C、・・・の平面上の配置は、設計で正確に設定されるので、設計に合わせて、使用する通常杭10A、10B、10C、・・・を予め決めておけば、異なる位置であっても容易にガイド具15、16を正確に取り付けることもできる。この場合には、前記(図6)で示したようなL31、L32、L33等の余白を考慮する必要が無いので、柱列杭の施工が容易である。
【0047】
[3]他の実施例
【0048】
前記実施例において、ガイド具15、16はスパイラル状としたが、構造は任意である。例えば、下端板の中空部に直径対称な位置に鋼材を固定して、ガイド具16を構成することもできる(図6(b)(c))。
【0049】
また、前記実施例において、ガイド具15、16は2ヶ所に設置することが望ましいが、基準杭1側に位置する位置にガイド具15を省略することもできる(図4)。
【0050】
また、前記実施例において、ワイヤー30の他端32はワイヤー繰り出し機に取り付けので、ワイヤー30の測定点(通常杭10の上端11)での長さを自動計測できるが、ワイヤー30の他端32は地上20で保持されていれば、保持の方法は任意である。
【0051】
また、前記実施例において、予めワイヤー30に、通常杭10の径や長さHに応じて、マークを「打っておき、マークと通常杭10の上端11を単純に比較することにより、ワイヤー30の長さLの測定をすることもできる(図示していない)。
【符号の説明】
【0052】
1 基準杭
2 基準杭の上端
3 基準杭の下端部
5 基準杭の基点
6 ワイヤー係止具
10、10A、10B、10C、・・・ 通常杭
11 通常杭の上端
12 通常杭の下端
13 通常杭の外側面
15 ガイド具
16 ガイド具
20 地上
21 地盤改良層
23 固い地盤
30 ワイヤー
21 ワイヤーの一端
22 ワイヤーの他端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤改良材料が充填された横長杭穴内に、以下のようにして、杭体を並列して埋設し、柱列杭を構成することを特徴とする柱列杭の施工方法。
(1) 基準杭の先端部の基点に、長さ方向に伸縮しないワイヤーの一端を取りつけ、該ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、地盤改良材料が充填された前記横長杭穴に前記基準杭を鉛直に埋設する。前記ワイヤーの他端は地上に位置させる。
(2) 下端部にガイド具を形成して、通常杭を構成する。
(3) 地上で第1通常杭の前記ガイド具に前記ワイヤーを係止し、前記ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、前記第一通常杭を、一縦側面を前記基準杭に沿うように埋設する。
(4) 前記ワイヤーは、第1通常杭の他縦側面に沿って張った状態で地上に位置させ、前記基点から前記第1通常杭の上端部の測定点までのワイヤーの長さLを計測する。
(5) 前記長さLから前記第1通常杭の下端位置を推定して、設計位置であればそのまま第2通常杭を同様に施工する。設計位置からずれていた場合には修正し、修正後に第2通常杭を同様に施工する。
【請求項2】
地盤改良材料が充填された横長杭穴内に、以下のようにして、杭体を並列して埋設し、柱列杭を構成することを特徴とする柱列杭の施工方法。
(1) 基準杭の先端部の基点に、長さ方向に伸縮しないワイヤーの一端を取りつけ、該ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、地盤改良材料が充填された前記横長杭穴に前記基準杭を鉛直に埋設する。前記ワイヤーの他端は地上に位置させる。
(2) 下端部外周で、直径対称な位置にガイド具を形成して、通常杭を構成する。前記基準杭側を第1ガイド具、地上に至るワイヤー側を第2ガイド具とする。
(3) 地上で第1通常杭の前記第1ガイド具、第2ガイド具を順に前記ワイヤーを係止し、前記ワイヤーの他端を地上で保持した状態で、前記第一通常杭を、一縦側面を前記基準杭に沿うように埋設する。
(4) 前記ワイヤーは、第1通常杭の他縦側面に沿って張った状態で地上に位置させ、前記基点から第1通常杭の上端部の測定点までのワイヤーの長さLを計測する。
(5) 予め分かっている、
・前記両ガイド具間の距離L
・第2ガイド具と第1通常杭の上端の距離L
と、前記長さLから、前記基点から第1ガイド具までの距離Lを算出する。
(6) 前記距離L及び第1通常杭の回転を考慮して、前記第1通常杭の下端位置を推定して、設計位置であればそのまま第2通常杭を同様に施工する。設計位置からずれていた場合には修正し、修正後に第2通常杭を同様に施工する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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