説明

柱状物品の梱包材

【課題】梱包の為又は梱包を解く為の作業工程数を少なくし、又、形状が異なるブレーキアッセンブリ等のドラム型部品を同じ梱包材で梱包することを可能として、当該作業の容易化、効率化を図り、ドラム型部品の梱包を安価に行なう梱包体を提供する。
【解決手段】柱状部を横臥させた状態で収容支持する収容支持部241が形成され、収容支持部241には、スペーサとスペーサが挿入される挿入凹部から構成される収容容積調整手段が設けられた収容支持部材3と、被梱包物の上部を収容保持するための収容保持部242が形成された収容保持部材2と、収容支持部材3と収容保持部材2との間に設けられ、一方の面には収容保持部が形成され、他方の面には収納支持部が形成された中間収容部材5とがそれぞれ支持部材4で支持された梱包体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムブレーキのブレーキドラムやブラケットチャンバー等を備えたブレーキアッセンブリ等の柱状部を備える物品の梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車等のブレーキとして、ドラムブレーキが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このドラムブレーキは、円柱状のブレーキドラムや突出するブラケットチャンバー等を備えたブレーキアッセンブリとして、ブレーキの製造ラインから自動車の製造ラインに運搬される。
【0003】
この運搬の際に、木製の角材を釘で結合させて枠体を形成し、枠体内にブレーキアッセンブリを立てた状態、即ち、ブレーキドラムの円柱状部が直立する状態で収納設置し、設置後に上方にも角材を釘で結合させて、檻状の枠体内に複数のブレーキアッセンブリを収納し、運搬することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−130345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ドラムブレーキのブレーキアッセンブリは、通常、用いる自動車の種類毎にブラケットチャンバーの形状やブレーキドラムの厚み(円柱状部の高さ)等が異なり、種類毎に様々な形状を有している。
【0006】
そして、上記のような従来の梱包材、方法では、木材と釘を使用して形成するので、釘打ちが必要であることから、梱包の為、梱包を解く為の作業工程数が多く、作業効率が悪く、作業に熟練を要し、又、材料は1回毎に廃棄されるので、コストがかさむという問題点があった。
【0007】
又、種類毎に形状が異なる円柱状部を備えた物品を同じ梱包材で梱包することが出来ず、その都度、異なった形状の枠体を形成しなければならず、多数の長さ等の異なる部品を用意しなければならず、作業効率が悪く、作業に熟練を要し、又、コストがかさむという問題点があった。
【0008】
更に、木枠内に空きスペースが生じ、保管、輸送の効率が悪かった。特に、所定の容積のコンテナに木枠を収納する場合には、木枠内でのブレーキアッセンブリの配置が限定され、例えば上下に段差をつけて配置するような場合には、木枠を上下に積層することが出来ず、ブレーキアッセンブリのコンテナへの収納数が少なくなり、この問題が顕著であった。
【0009】
そこで、本発明は、梱包の為又は梱包を解く為の作業工程数を少なくし、又、形状が異なるブレーキアッセンブリ等の円柱状部を備えた物品を同じ梱包材で梱包することを可能として、当該作業の容易化、効率化を図ることを目的とし、又、ドラム型部品の梱包を安価に行なうことを目的とする。
【0010】
又、円柱状部を備えた物品を複数個梱包する際に、省スペース化を図り、保管、輸送の効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような従来技術の課題を解決するために本願発明は、柱状部を備えた被梱包物を収容支持するための収容支持部材であって、柱状部を横臥させた状態で収容支持する収容支持部が形成され、該収容支持部には収容容積調整手段が設けられ、被梱包物の大きさにより収容支持部の収容容積が調整されるものである。これにより、柱状部の大きさが異なる被梱包物であっても、確実に梱包することが出来る。
【0012】
一実施態様として、前記収容容積調整手段は、スペーサとスペーサが挿入される挿入凹部から構成されている。又、前記スペーサは、係止部と異なる厚みの挿入部が形成された横断面略トの字型の多角柱状体で形成され、前記挿入凹部は、前記係止部と前記挿入部が挿入可能な形状を有し、前記挿入凹部から突出する挿入部の厚みにより、収容支持部の収容容積が定まるものであればよい。
【0013】
他の実施形態として、前記収容支持部は被梱包物の柱状部の一部を収容し、該被梱包物の突出部を収容するための第二の収容支持部が形成されている。これにより、柱状体であっても突起部有する場合などに2つの収容支持部があるので、確実に支持することが出来る。
【0014】
本願発明は又、上記いずれかの収容支持部材を用いた柱状の被梱包物を挟持するための梱包体である。本願発明は、該収容支持部材に支持された被梱包物を収容保持するための収容保持部が形成された収容保持部材と、該収容保持部材を支持する支持部材とを備え、該収容支持部材及び収容保持部材にはそれぞれ、前記支持部材と結合するための結合部が形成され、前記支持部材は、前記結合部を介して前記収容支持部材と前記収容保持部材とに結合されることにより、前記収容保持部材が前記支持部材によって前記収容支持部材に支持されるものである。これにより、被梱包体は挟持されて梱包されるので、安定して梱包される。
【0015】
好ましくは、前記収容支持部材と前記収容保持部材との間に設けられ、一方の面には収容保持部が形成され、他方の面には収納支持部が形成されると共に、両面には前記支持部材が結合するための結合部が形成された中間収容部材をさらに備えたものである。収容支持部材と収容保持部材の間に中間収容部材が配置されることにより、被梱包物を2段に積み上げて梱包することが出来る。もちろん、中間収容部材を複数配置することにより、被梱包物を多段に積み上げて梱包することが出来る。
【0016】
好ましくは、前記中間収容部材は、前記収容支持部材と前記収容保持部材とが一体的に形成されたものである。これにより、中間収容部材は強度を持つと共に、梱包体の安定性を向上させることが出来る。又、中間収容部材を収容支持部材と収容保持部材との間を水平に切断すれば、収容支持部材及び収容保持部材として使用することが出来るので、成形の費用を削減することが出来る。
【0017】
望ましくは、前記収容支持部材は平面視略矩形状であり、外側面には係合凹部及び係合凸部がそれぞれ形成され、該係合凹部及び係合凸部は、対向する一の外側面においては、平面における中心に関して相互に点対称にあるように配置形成され、前記収容支持部材が同方向に並列されたときに該係合凹部及び該係合凸部が互いに嵌り合う位置に形成され、対向する他の外側面においては、前記収容支持部材を水平面に90度回転させて並列されたときに一の外側面に形成した前記係合凹部及び前記係合凸部にそれぞれ嵌り合う位置に形成されている。
【0018】
即ち、収容支持部材の外側の4面には凹部及び凸部が形成されている。この凹部及び凸部は互いに嵌り合うことにより係合するものである。一の対向する外側面においては、平面における中心に関して相互に点対称にあるように配置形成され、前記収容支持部材が同方向に並列されたときに該係合凹部及び該係合凸部が互いに嵌り合う位置に形成されている。そして、一の収容支持部材と水平方向に90度回転させた他の収容支持部材とを並列させるとき、即ち、一の収容支持部材の一の対向する外側面と他の対向する外側面とに形成された凹凸が係合する。又、一の収容支持部材と他の収容支持部材とが並列されるとき、即ち、一の収容支持部材の他の対向する外側面と他の収容支持部材の他の対向する外側面とに形成された凹凸が係合する。これにより、複数の梱包体を用いて梱包するときに、それぞれの梱包体を係合することが出来るので、梱包体が一体化することにより安定性を良くすることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明によれば、梱包の為又は梱包を解く為の作業工程数を少なくすることを可能として、又、形状が異なるブレーキアッセンブリ等の円柱状部を備えた物品を同じ梱包材で梱包することを可能として、当該作業の容易化、効率化を図ることが可能となった、又、ドラム型部品の梱包を安価に行なうことが可能となった。
【0020】
又、円柱状部を備えた物品を複数個梱包する際に、省スペース化を図り、保管、輸送の効率を高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明梱包体一実施形態分解斜視図
【図2】本発明梱包体一実施形態斜視図
【図3】収容支持部品平面図
【図4】収容保持部材平面図
【図5】中間収容部材の分解斜視図
【図6】中間収容部材の斜視図(a)及び部分断面図(b)(c)
【図7】本発明一実施形態の使用状態の平面図
【図8】本発明一実施形態の使用状態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。梱包体10は収容保持部材2、収容支持部材3及び支持部材4を備えて構成されている。上下に位置する収容保持部材2及び収容支持部材3間に、1個又は複数個の中間収容部材5を備えて構成することとしてもよい。
【0023】
尚、以下、本発明における被梱包物である柱状部を備えた物品、特に円柱状部を備えた物品の一具体例として、円柱状部と突出部を備えたドラムブレーキのブレーキドラム(円柱状部)やブラケットチャンバー(突出部)等を備えたブレーキアッセンブリを例に説明するが、柱状部を備えた物品はブレーキアッセンブリに限定されるものではない。尚、柱状とは、内部空洞の筒状も含む意味であり、柱の横断面は円形に限定されない。
【0024】
収容保持部材2は、2個の収容保持部品20、20で構成され、また収容支持部材3は2個の収容支持部品30、30で構成され、さらに中間収容部材5も2個の中間収容部品50、50で構成されている。もちろん、収容保持部材2、収容支持部材3、中間収容部材5はそれぞれ2個の部品に限定されることなく、3個以上の複数の部品または1個の部品から構成されてもよい。
【0025】
収容保持部材2及び収容支持部材3の対向する面には、支持部材4と結合するための結合部たる支持凹部21が形成され、支持部材4の上下両端又は一端に挿入突起41を設け、支持凹部21に支持部材4の挿入突起41を挿入して、支持部材4は、結合部を介して収容支持部材3と収容保持部材2とに結合されることにより、収容保持部材2が支持部材4によって収容支持部材3に支持されて、収容保持部材2と収容支持部材3を結合している。支持部材4で結合された1個の収容保持部材2及び1個の収容支持部材3で、被梱包物であるブレーキアッセンブリ9を上下から保持して梱包することが出来る梱包体10を形成している。
【0026】
収容保持部材2の収容支持部材3に対向する面には被梱包物の柱状部の一部を収容保持する収容保持部242が2個形成されている。又、収容支持部材3の収容保持部材2に対向する面には被梱包物の柱状部の一部を収容支持する収容支持部241が2個形成されている。収容支持部241及び収容保持部242は、被梱包物の形状に対応させて、即ちブレーキドラム91の円柱形状に対応して曲面状に形成している。対向する収容支持部241及び収容保持部242により被梱包物を保持する格納部7が形成される。又、収容支持部材3の収容保持部材2と対向する面には、被梱包物の突出部たるブラケットチャンバー92を支持する第二の収容支持部25を2個形成している。
【0027】
中間収容部材5は、一方の面に被梱包物の一部を収納する収容支持部241が2個形成され、他方の面に収容保持部242が2個形成され、両面には支持部材4の挿入突起41を挿入する支持凹部21が形成されている。中間収容部材5を、水平方向に切断し、上下に分割をすると、収容保持部材2及び収容支持部材3を成形することが出来る。即ち、中間収容部材5は、収容支持部材3と収容保持部材2とが一体的に形成されたものとすることが出来る。従って、中間収容部材5、収容保持部材2及び収容支持部材3を形成する際には、まず、中間部保持部材5を形成すればよく、収容保持部材2及び収容支持部材3を形成する際に他の型を必要としないので、安価に製造することが出来る。中間収容部材5の上面側には、ブレーキドラムから突出した突出部であるブラケットチャンバー92を支持する第二の収容支持部25を形成している。
【0028】
梱包材10を、上下に位置する収容保持部材2及び収容支持部材3間に1個又は複数個の中間収容部材5を備えて構成することにより、2個以上の被梱包物であるブレーキアッセンブリを上下から保持して積層して梱包することが出来る。
【0029】
第二の収容支持部25には、梱包するブレーキアッセンブリ9の種類数に応じて、ブラケットチャンバー92を収納、載置、支持等するための凹部、突起、溝、傾斜部から選択される形状を所定数形成して、異なる形状のブラケットチャンバー92を支持することが出来るようにしている。図示する実施の形態においては、第二収納部25に、傾斜部26、第一凹部27、第二凹部28が形成されて、少なくとも3種のブレーキアッセンブリ9を梱包することが出来る。
【0030】
収容保持部品20、収容支持部品30および中間収容部品50は、平面視略L字形であり、同部品同士を連結して平面視略矩形状に固定させて、それぞれ収容保持部材2、収容支持部材3、中間収容部材5を形成することができる。1個の収容支持部品30は1個の被梱包物のブレーキアッセンブリ9を収容する収容支持部材でもある。収容保持部品20、収容支持部品30および中間収容部品50には、平面視略矩形状に連結されるときに、平面視略矩形状の中央部となる位置に連結突起53および連結凹部54がそれぞれ形成されている。連結突起53及び連結凹部54を連結させて同じ種類の部品同士が連結固定される。即ち、中央部を中心に対称的な形状を有し、2個の被梱包物のブレーキアッセンブリ9を並列(向い合わせて)梱包することができる。
【0031】
また、収容保持部材2、収容支持部材3および中間収容部材5は、それぞれ同じ部品同士を連結したときの平面視略矩形状の外側面(4面)には、それぞれの同じ部材同士が並列配置されたときに隣り合う部材と係合するための係合部が形成されている。ここで、収容支持部材3において、係合部を説明する。収容支持部材3の一対の対向する外側面3aにはそれぞれ、平面における中心に関して相互に点対称にあるように係合凸部31と係合凹部32が配置形成され、同一方向に収容支持部材3を並列させることにより、互いに嵌り合う位置に係合凸部31と係合凹部32が形成されている(図7、参照)。また、他の一対の対向する外側面3bには係合凸部33と係合凹部34とが形成されている。そして、同方向を向いている2つの収容支持部材3のうち一の収容支持部材3を図7の矢印Xの示すように水平面に90度回転させて他の収容支持部材3と並列させたときに係合凹部32に係合凸部33が嵌り、係合凸部31が係合凹部34には嵌り合うことができる位置に係合凸部31、係合凹部32、係合凸部33及び係合凹部34が形成されている。これにより、複数の梱包体10を用いて梱包するときに、それぞれの梱包体10を係合することができるので、梱包体10が一体化することにより安定性を良くすることができる
【0032】
支持部材4は、梱包体10の四隅に設置することが好ましく、更に、中央部にも設置することが好ましい。四隅に設置する支持部材4は、中間収容部材5、収容保持部材2又は収容支持部材3のずれを防止するために、上下両端に挿入突起41を設けることが好ましいが、中央部に設置する支持部材4は、上下何れか一方の端部に挿入突起41を形成する構成でもよい。
【0033】
このように支持部材4を用いて中間収容部材5、収容保持部材2或いは収容支持部材3同士を結合させるので、収容支持部241内で、被梱包物であるブレーキアッセンブリ9が多少ずれても梱包することが出来、梱包が容易で、梱包後も被梱包物であるブレーキアッセンブリ9を視認することがきるので、便利である。
【0034】
又、収容支持部241及び収容保持部242には挿入凹部29を設け、収容支持部241及び収容保持部242に収納する被梱包物の厚さ、換言すれば収容容積、具体的にはブレーキドラム91の厚さ、ブレーキドラム91の体積が異なる場合であっても、収容支持部241及び収容保持部242の厚さ、容積を調整して確実に被梱包物を保持することが出来るよう、異なる厚み部分を備えるスペーサ6を挿入凹部29に設置可能とすることが好ましい。このようにスペーサ6と挿入凹部29で収容容積調整手段が構成される。
【0035】
スペーサ6は、図6に示すように、横断面略トの字型の多角柱状体で形成され、上下に厚みが異なる挿入部61を有すると共に、係止部62を備え、挿入部61を挿入凹部29に挿入して設置し、挿入凹部29の段部30に係止部62を係止させて収容支持部241及び収容保持部242内に肉薄挿入部611又は肉厚挿入部612を突出させて、収容支持部241及び収容保持部242の厚み、容積を調整する。図6(b)に示すように、スペーサ6を使用しない場合には、収容支持部241及び収容保持部242の厚みは厚みM1となり、スペーサ6を使用し、肉薄挿入部611を収容支持部241及び収容保持部242内に突出させた場合には、収容支持部241及び収容保持部242の厚みは厚みM2となり、図6(c)に示すように肉厚挿入部612を突出させ突出させた場合には、収容支持部241及び収容保持部242の厚みは厚みM3となる。
【0036】
収容保持部材2、収容支持部材3、中間収容部材5、支持部材4及びスペーサ6は、所要の緩衝性と機械的強度を備えることを条件に任意の材料、方法で形成することが出来るが、成形型及び軽量性の観点から、その材料は発泡樹脂が好ましく、より好ましくは、熱可塑性樹脂であり、その方法として、熱可塑性樹脂を用いた型内発泡成形とすることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、これらに限定されるものではないが、ポリスチレン系樹脂、例えば、ポリプロピレン係樹脂、ポリエチレン係樹脂等のポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが好ましい。発泡体の倍率は、被梱包物の重量や形状等を勘案して適宜設定することが出来が、緩衝性がよく、軽量で経済的である点から、30〜50倍(0.033g/L〜0.025g/L)程度が好ましい。尚、非発泡樹脂を用いて真空成形や射出成形によって形成することも出来る。
【0037】
次に、梱包体10を用いたブレーキアッセンブリの梱包方法を説明する。1個のブレーキアッセンブリ9のみを梱包する場合には、収容支持部材たる収容支持部品30を床、パレット等の上に置き、収容支持部241内に、ブレーキアッセンブリ9のブレーキドラム91を横臥させた状態で下方の一部を設置すると同時にブラケットチャンバー92を第二の収容支持部25内に設置し、被梱包物であるブレーキアッセンブリ9を横臥させた状態で保持させる。尚、ブレーキアッセンブリ9或いはブレーキドラム91を横臥させた状態とは、図8に示すように、柱状部たるブレーキドラム91の軸線が水平方向に向いている状態をいう。
【0038】
2個のブレーキアッセンブリ9を梱包する場合には、収容支持部材3を床、パレット等の上に置き、収容支持部241内に、ブレーキアッセンブリ9のブレーキドラム91を横臥させた状態で下方の一部を設置すると同時にブラケットチャンバー92を第二の収容支持部25内に設置し、被梱包物であるブレーキアッセンブリ9を横臥させた状態で保持させる。
【0039】
ブレーキアッセンブリ9の種類、ブレーキドラム91の厚さ、体積に応じて、必要であれば、ブレーキアッセンブリ9の設置前にスペーサを挿入凹部29に挿入して、適宜収容支持部241及び収容保持部242の体積、幅を調整する。
【0040】
次に、収容支持部材3に形成された支持凹部21に、支持部材4の下端に形成した挿入突起41を挿入し、収容支持部材3上に支持部材4を立設させる。そして、収容保持部材2を上方から被せて、支持部材4の上端に形成した挿入突起41を収容保持部材2に形成された支持凹部21に挿入させると共に、収容保持部材2の収容保持部242内に、ブレーキドラム91の上方の一部を保持させる。このようにして、1個の梱包体10を用いてブレーキアッセンブリ9の梱包が完了する。尚、ブレーキアッセンブリ9を積層しない場合には、収容支持部材3のみでブレーキアッセンブリ9を梱包することも出来る。
【0041】
ブレーキアッセンブリ9を複数、例えば2段に積層して梱包する場合には、上下に位置する収容保持部材2及び収容支持部材3間に、1個の中間収容部材5を備えて構成された梱包材10を用いる。この場合、上述のように収容支持部材3にブレーキアッセンブリ9を横臥させた状態で保持させ、収容支持部材3上に支持部材4を立設させたのち、中間収容部材5を上方から被せて、支持部材4の上端に形成した挿入突起41を中間収容部材5の収容支持部材3との対向面に形成された支持凹部21に挿入させると共に、中間収容部材5の収容保持部242内に、ブレーキドラム91の上方の一部を保持させる。
【0042】
そして、中間収容部材5の収容保持部材2との対向面に形成された収容支持部241内に、2段目のブレーキアッセンブリ9のブレーキドラム91の下方の一部を設置すると同時にブラケットチャンバーを第二の収容支持部25内に設置し、被梱包物であるブレーキアッセンブリ9を横臥させた状態で保持させる。そして、上述のように2段目のブレーキアッセンブリ9を収容保持部材2で保持させる。
【0043】
ブレーキアッセンブリ9を3個以上並列して梱包する場合には、収容保持部材2及び収容支持部材3を2個以上ずつ準備し、同じ向きに梱包する場合には、係合凸部31と係合凹部32を嵌合させ、異なる向きに梱包する場合には、係合凸部31と係合凹部32を係合凹部34と係合凸部33それぞれに嵌合させたのち、上述の手順で梱包を行えばよい。このような方法により、3個以上の梱包材10をずれが生じないように並列させ、3個以上の被梱包物であるブレーキアッセンブリを並列させて梱包することが出来る。
【0044】
更に、3個以上のブレーキアッセンブリ9を並列させ、且つ積層させる場合には、上述のような並列させる手順と積層させる手順を組み合わせて、適宜数の、ブレーキアッセンブリ9を並列、且つ積層をして梱包を行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のような本発明によれば、ドラム型部品の梱包作業の容易化、効率化を図ることが可能となった、又、ドラム型部品の梱包を安価に行なうことが可能となったので、ドラム型部品の輸送に好適に利用することが出来、又、ブレーキ製造業、自動車製造業等の組み立て産業においても好適に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0046】
10 梱包体
2 収容保持部材
20 収容保持部品
21 支持凹部
241 収容支持部
25 第二の収容支持部
29 挿入凹部
3 収容支持部材
30 収容支持部品
31 係合凸部
32 係合凹部
33 係合凸部
34 係合凹部
4 支持部材
41 挿入突起
5 中間収容部材
50 中間収容部品
53 連結突起
54 連結凹部
6 スペーサ
9 ブレーキアッセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状部を備えた被梱包物を収容支持するための収容支持部材であって、
柱状部を横臥させた状態で収容支持する収容支持部が形成され、
該収容支持部には収容容積調整手段が設けられ、
被梱包物の大きさにより収容支持部の収容容積が調整されることを特徴とする収容支持部材。
【請求項2】
前記収容容積調整手段は、スペーサとスペーサが挿入される挿入凹部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の収納支持部材。
【請求項3】
前記スペーサは、係止部と異なる厚みの挿入部が形成された横断面略トの字型の多角柱状体で形成され、
前記挿入凹部は、前記係止部と前記挿入部が挿入可能な形状を有し、
前記挿入凹部から突出する挿入部の厚みにより、収容支持部の収容容積が定まることを特徴とする請求項2に記載の収容支持部材。
【請求項4】
前記収容支持部は被梱包物の柱状部の一部を収容し、該被梱包物の突出部を収容するための第二の収容支持部が形成されたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の収容支持部材。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の収容支持部材を用いた柱状の被梱包物を挟持するための梱包体であって、
該収容支持部材に支持された被梱包物を収容保持するための収容保持部が形成された収容保持部材と、該収容保持部材を支持する支持部材とを備え、
該収容支持部材及び収容保持部材にはそれぞれ、前記支持部材と結合するための結合部が形成され、
前記支持部材は、前記結合部を介して前記収容支持部材と前記収容保持部材とに結合されることにより、前記収容保持部材が前記支持部材によって前記収容支持部材に支持されていることを特徴とする梱包体。
【請求項6】
前記収容支持部材と前記収容保持部材との間に設けられ、一方の面には収容保持部が形成され、他方の面には収納支持部が形成されると共に、両面には前記支持部材が結合するための結合部が形成された中間収容部材をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の梱包体。
【請求項7】
前記中間収容部材は、前記収容支持部材と前記収容保持部材とが一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項5又は6に記載の梱包体。
【請求項8】
前記収容支持部材は平面視略矩形状であり、外側面には係合凹部及び係合凸部がそれぞれ形成され、
該係合凹部及び係合凸部は、対向する一の外側面においては、平面における中心に関して相互に点対称にあるように配置形成され、前記収容支持部材が同方向に並列されたときに該係合凹部及び該係合凸部が互いに嵌り合う位置に形成され、
対向する他の外側面においては、前記収容支持部材を水平面に90度回転させて並列されたときに一の外側面に形成した前記係合凹部及び前記係合凸部にそれぞれ嵌り合う位置に形成されていることを特徴とする請求項5から7のうちいずれか1項に記載の梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−213368(P2011−213368A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81762(P2010−81762)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】