説明

栄養カテーテル

【課題】本発明の栄養カテーテルは、体内挿入時の吸引操作工程、栄養剤供給工程において、栄養カテーテルの体内での方向性によらず、比較的安全且つ確実にその操作が可能な栄養カテーテルを提供することを目的としている。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の栄養カテーテルは、管状部材の側壁に中空部に連通するよう開口した第二側孔部が、管状部材の軸方向において、第一側孔部より基端側の位置に設けられてなり、その位置の同一円周上に複数個設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口あるいは経鼻により、胃腸に対して栄養剤を供給する栄養カテーテルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔あるいは鼻腔に栄養カテーテルを挿入して、胃腸に対して栄養剤を供給する経腸栄養療法が知られている。このような経腸栄養療法に用いられる栄養カテーテルは、可撓性を有する部材よりなり、中空で長尺な管状部材より構成されている。
また、栄養カテーテルは、基端側の開口部より栄養剤を供給し、中空部を導通させて先端側に移送し、先端側の開口部より目的とする位置に栄養剤を供給して使用する。
一方、栄養カテーテルは、口腔あるいは鼻腔を経て挿入し、食道、胃、十二指腸等の目的とする器官にまで、その先端部を到達させて使用する。栄養カテーテルを挿入して、その先端部を目的とする器官に到達したかを確認する場合、栄養カテーテルの基端部を介して中空部を減圧し、栄養カテーテル先端の開口部より目的とする器官近傍の体液を吸引操作することにより採取して、その体液の性状(pH等)を確認することによって、その先端部の挿入位置を確認する。また、前記吸引操作の際に、カテーテル中空部を減圧にし、先端の開口部より目的とする体液を吸引するが、この際、器官の粘膜等を吸引してしまい、体液が吸引採取できない場合がある。
【0003】
一方、カテーテルの先端側の開口部近傍の側壁に中空部に連通して開口する側孔が設けられたカテーテルが知られている(例えば、特許文献1)。このようなカテーテルでは、カテーテルの管状部材の中腹部の広範に亘って側孔が設けられている構成であるため、前述した吸引操作において、必要のない期間の粘膜等を吸引して操作に支障をきたす可能性があるばかりでなく、所望の器官における体液を採取することが比較的困難である。更には、前述した栄養剤等の供給工程において、所望の器官への栄養剤の確実な供給が比較的困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案出願公開昭59−177445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情に鑑み、本発明の栄養カテーテルは、カテーテルの体内挿入時における各種流体の導出入操作(供給、吸引操作)、特に吸引操作工程において、栄養カテーテルの体内での方向性によらず、その吸引操作が可能な栄養カテーテルを提供することを目的とする。更には、栄養カテーテルの体内挿入時における栄養剤供給工程において、所望の位置に栄養剤を確実に供給することが可能な栄養カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、可撓性で中空部を有する管状部材からなり、その先端が開口した先端開口部と、その基端が開口してその内腔が前記管状部材の中空部と連通するよう設けられた接続部材と、前記管状部材の先端部近傍の側壁に前記中空部に連通するよう開口した第一側孔部が設けられた栄養カテーテルであって、
前記管状部材の側壁に前記中空部に連通するよう開口した第二側孔部が、
前記管状部材の軸方向において、前記第一側孔部より基端側の位置に設けられてなり、
その位置の同一円周上に複数個設けられたことを特徴とする栄養カテーテルを提供することにより、上記課題を達成した。
【0007】
また、前記第二側孔部が同一円周方向において、等間隔に設けられたことが好ましい。
また、前記第二側孔部が同一円周方向において、前記管状部材の軸方向に対して垂直な方向に分割した垂線に対して線対称な位置に設けられたことが好ましい。
また、前記第二側孔部の最大径が、前記第一側孔部の最小径よりも小さいことが好ましい。
また、前記第二側孔部の形状が、円形形状であることが好ましい。
【0008】
尚、本明細書中において「先端」あるいは「基端」との語を使用している。
「先端」とは本発明の栄養カテーテルにおける開口して栄養剤等の供給、体液等の吸引等を主に担う構成(体内に挿入される先端端部)を有する端部側と定義する。一方、「基端」とは前記「先端」の反対側をそれぞれ定義するものである。また、各部材の位置関係や方向性を説明する際に「先端部(先端側)」「基端部(基端側)」との語を使用しているが、前記定義に基づく相対的な位置関係や方向性を示す語として使用している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、栄養カテーテルにおける管状部材の先端部近傍の側壁に前記中空部に連通するよう開口した第一側孔部に加えて、前記管状部材の側壁に前記中空部に連通するよう開口した第二側孔部が、前記管状部材の軸方向において、前記第一側孔部より基端側の位置に設けられた構成とし、その位置の同一円周上に複数個設けられた構成とした。
これにより、カテーテルの吸引操作時に、先端の先端開口部が閉塞し、側壁の第一側孔部が閉塞したとしても、前記第二側孔部が設けられているため、中空部に連通する開口部を確保することができるため、吸引操作が可能になる。
また、前記第二側孔部が、前記管状部材の軸方向において、前記第一側孔部より基端側の位置に設けられているため、吸引操作時の離脱操作が容易に可能になる。
また、前記第二側孔部が、前記軸方向の位置において同一円周上に複数個設けられているため、カテーテルが体内に挿入された際に、その側壁の一部が各種器官と当接した場合でも、別に設けられた第二側孔部により中空部に連通する開口部を確保することができる。
また、第二側孔部が同一円周方向において、等間隔に設けられているため、前述したカテーテルが体内に挿入された際のカテーテルの周方向における位置が、いずれの方向性によらず、第二側孔部により中空部に連通する開口部を確保することができる。
また、前記第二側孔部が同一円周方向において、前記管状部材の軸方向に対して垂直な方向に分割した垂線に対して線対称な位置に設けられているため、前述したカテーテルが体内に挿入された際に、カテーテルの側壁の周方向における一面と各種器官が当接する場合に加え、周方向の対向する位置関係になる二面(例えば、上下方向、左右方向)と各種器官が当接するような場合においても、第二側孔部により中空部に連通する開口部を確保することができる。
これにより、カテーテルを対向する方向より挟持して当接するような各種器官の狭窄領域に、カテーテルを挿入したとしても、第二側孔部により中空部に連通する開口部を確保することができるため、カテーテルをいずれの器官に挿入しても吸引操作が可能になる。
また、前記第二側孔部の最大径が、前記第一側孔部の最小径よりも小さい径に構成されているため、先端開口部による吸引操作、あるいは第一側孔部による吸引操作時の吸引力に影響を実質的に及ぼすことがない。
また、吸引操作時において、第二側孔部より各種流体(空気、体液等)を吸引することは可能であるが、各種器官を吸引することがほとんどなく、確実な吸引操作が得られる。
更には栄養カテーテルの栄養剤等の供給操作時のおいても、第二側孔部より漏出することがほとんどなく、所望する部位に確実に栄養剤等の供給操作が得られる。

また、前記第二側孔部の形状が、円形形状に構成されているため、前述した先端開口部、第一側孔部を介する吸引操作、供給操作への影響をより減ずることができ、より確実な吸引操作、供給操作が可能になる。
【0010】
以上の通り、本発明の栄養カテーテルは、カテーテルの体内挿入時における吸引操作工程において、栄養カテーテルの体内での方向性によらず、その吸引操作が可能であり、供給操作工程において、所望の器官に確実に栄養剤等を供給可能な栄養カテーテルを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の栄養カテーテルの第1実施形態における全体を示した正面図
【図2】本発明の栄養カテーテルの第1実施形態における先端部分と基端部分のみを示した拡大正面図(A)と拡大側面図(B)
【図3】本発明の栄養カテーテルの第1実施形態におけるX−X’線(第二側孔部の箇所)による横断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の栄養カテーテルの実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。本発明の第1実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本発明の栄養カテーテルの第1実施形態における全体を示した正面図である。図2は、本発明の第1実施形態における栄養カテーテル1の正面図(A)、側面図(B)である。図3は、本発明の栄養カテーテルの第1実施形態におけるX−X’線(第二側孔部の箇所)による横断面図である。
尚、図2では先端の側孔部が設けられた箇所と基端の接続部材5との間に位置する部分は中空を有する管状部材で構成されるため、その中腹部分は省略して記載している。
図2に示した通り、本発明の第1実施形態における栄養カテーテル1は、その先端に開口して連通する中空部11を有する管状部材10と、その基端に開口してその内腔が前記管状部材10の中空部11と連通するよう設けられた接続部材5を備えている。
また、前記管状部材10の先端末端には開口して中空部11と連通するよう設けられた先端開口部2を備えている。
また、前記先端開口部2が設けられた先端近傍の側壁には軸方向に長軸を有する略楕円形状の第一側孔部3を備えており、前記中空部11と連通するよう設けられている。
また、前記第一側孔部3が備えられた位置より軸方向の基端側の位置に第二側孔部41、42、43、44がそれぞれ備えられている。
図3に示した通り、第二側孔部41、42、43、44は、管状部材10の軸方向における円周上に等間隔に配置されている。
【0013】
図1、図2に示した通り、栄養カテーテル1は、軸方向に長尺で中空な管状部材より構成される。栄養カテーテル1は、口腔あるいは鼻腔より挿入され、食道、胃、腸等の器官にその先端を到達させて使用するため、可撓性を有する部材より構成される。
また、栄養カテーテル1は、体内に挿入し、特定時間留置させて使用するため、構成される材質からの溶出等が低い、生体適合性の高い材質から構成されるのが好ましい。そのため、栄養カテーテル1を構成する具体的な材質は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、シリコン、ポリブタジエン等の合成樹脂が好適である。特に、ポリ塩化ビニルは、操作性に富んでおり、安価であるため好ましい。
また、栄養カテーテル1の管状部材10の外径は、先端部から基端部に亘ってほぼ同じである。また、管状部材10の外径は、1.0mm以上5.0mm以下の範囲で設定されるのが好ましい。管状部材10の外径が、1.0mmよりも小さいと、管状部材10の内径も小さくなり、中空部11内を流通する流体の量が少なくなる。このため、単位時間当たりの移送量が低下することとなり、栄養剤の供給操作、体液等の吸引操作に時間を要することとなる。一方、管状部材10の外径が、5.0mmよりも大きいと、口腔あるいは鼻腔に挿入した際に、操作性が悪くなるばかりでなく、処置対象者に肉体的、心理的負担を与える可能性がある。
また、栄養カテーテル1の基端側には、接続部材5が備えられている。接続部材5は、その基端が開口してその内腔が前記管状部材10の中空部11と連通するよう設けられている。栄養カテーテル1に各種流体を流通させる場合には、接続部材5の内腔に、例えばシリンジ様の注入器等、シリンジ、シリンジ様の注入器等の先端形状を備えた延長チューブ、シリンジ様の注入器等の先端形状を備えた投与セット等(図示せず)の先端部を挿入して接続して使用する。
栄養カテーテル1にて栄養剤や薬剤などを各種器官に投与する場合は、前記栄養剤を充填した注入器などの加圧操作、自然落下により、栄養カテーテル1の先端開口部2より栄養剤を導出して供給する。栄養カテーテル1にて各種器官の体液等を採取する場合は、接続部材5に接続した注入器等の減圧操作により、栄養カテーテル1の先端開口部2より体液等を吸引して採取する。
尚、前記接続部材5は、注入器等と接続可能で、流体を流通可能な態様であればよい。このため、接続部材5は本実施形態に制限されることはない。例えば、接続部材5は、開口する基端周縁部より延出するヒンジと連接した蓋部材が設けられ、開閉自在に構成されてもよい。また、接続部材5の材質は、弾性を有する軟質の合成樹脂であることが好ましい。
この構成によれば、接続部材5と接続可能な注入器等の先端部(図示せず)を接続部材5と接続する際に、接続部材5の弾性特性により、高い接続操作性と、接続保持性、離脱操作性を得ることができる。接続部材5の具体的な材質としては、軟質のポリ塩化ビニル、ウレタン、シリコン、各種エラストマー等から選択されるのが好ましい。
【0014】
また、栄養カテーテル1には、管状部材10の先端末端には開口して中空部11と連通するよう設けられた先端開口部2を備えている。
前記先端開口部2は、管状部材10の中空部11と連通して開口しているため、栄養剤等を前記中空部11に流通させ、前記先端開口部2を介して体内の各種器官に導出して供給することができる。また、前記先端開口部2は、栄養カテーテル1の体内導入時に各種器官の体液等を採取する際に、その開口部を介して体液等を吸引して採取することができる。上述の通り、前記先端開口部2は、各種流体の導出入を行うため、連通する中空部11の形状とほぼ同じ形状の略円形形状であることが好ましい。
【0015】
一方、先端開口部2が設けられた先端近傍の側壁には、中空部11と連通するよう設けられた第一側孔部3が備えられている。
栄養カテーテル1の各種流体の導出入操作において、特に体液等の吸引採取操作の際に、前記先端開口部3より各種器官、例えば胃壁や腸壁の粘膜を吸引してしまい、前記先端開口部2が閉塞され、吸引操作ができなくなることがある。このような場合、先端開口部2の近傍の側壁に設けられた第一側孔部3が中空部11と連通するよう構成されているため、前記先端開口部2に替わって、この第一側孔部3を介して各種流体の導出入を行うことができる。
また、前記第一側孔部3は、管状部材10の軸方向に長軸の略楕円形状を呈している。これは、所定の開口部の大きさを確保し、第一側孔部3を介して導出入する流体の流量を確保するのに有効である。
管状部材10は比較的細径であるため、略円形形状で比較的径の大きい開口部を形成すると、管状部材10の剛性が低下する恐れがある。そのため、前記第一側孔部3は、管状部材10の軸方向に長軸の略楕円形状とすることにより、開口部の面積を確保でき、導出入させる流体の流量を充分に確保することができる。
また、前記第一側孔部3は、前記先端開口部2が設けられた位置から基端部側の近傍の側壁に設けられている。これは、仮に前記第一側孔部3を介して流体を導出入させるような場合、その流体の導出入させる標的の各種器官に比較的近位に位置させることができ、その操作が的確にできるようにするために有利である。具体的には、前記第一側孔部3は、前記先端開口部2が設けられた位置から基端部側に約2cm以内であるのが好ましい。
【0016】
また、前記第一側孔部3の位置より基端部側の位置に第二側孔部41、42、43、44がそれぞれ設けられている。この第二側孔部41、42、43、44は、前述したような栄養カテーテル1の各種流体の導出入操作(特に体液等の吸引採取操作)において、前記先端開口部2、前記第一側孔部3が、各種器官を吸引し、閉塞した場合に、それらに替わって、この第二側孔部41、42、43、44のそれぞれの開口部を介して各種流体の導出入を行うことができる。
前記第二側孔部41、42、43、44が、前記第一側孔部3の位置より基端部側の位置に設けられている。栄養カテーテル1を体内に導入した際、胃壁や腸壁の粘膜等に比較的当接し易いのは、栄養カテーテル1の先端方向に位置する箇所である。この第二側孔部41、42、43、44は、前記先端開口部2、前記第一側孔部3が、各種器官と当接し、吸引して、開口部が閉塞した際に、それを代替する開口部として作用するので、より基端側に位置するのが比較的有利である。
【0017】
また、前記第二側孔部41、42、43、44は、前記第一側孔部3の位置より基端部側の位置の同一円周上にそれぞれ設けられている。栄養カテーテル1を体内に導入する場合、導入される箇所は食道、胃、腸等の管状構造を有する器官である。このため、栄養カテーテル1の円周上のいずれかの箇所が各種器官と当接する可能性がある。
一方、栄養カテーテル1は比較的細径(1.0mmから5.0mm)であるため、上記当接する箇所以外の箇所は各種器官と当接することは比較的少ない。
前記第二側孔部41、42、43、44が、前記第一側孔部3の位置より基端部側の位置の同一円周上に複数個それぞれ設けられていることにより、第二側孔部41、42、43、44の複数個の開口部が各種器官と当接するような事態が発生したとしても、他の第二側孔部により開口部が確保することができ、各種流体の導出入を行うことができる。
【0018】
また、前記第二側孔部41、42、43、44は、同一円周方向において、等間隔に設けられている。また、前記第二側孔部41、42、43、44は、同一円周方向において、前記管状部材の軸方向に対して垂直な方向に分割した垂線に対して線対称な位置に設けられている。
これらにより、上述した前記第二側孔部の開口部を確保する効果を顕著に高める効果を奏する。更には、第二側孔部の開口部形成による栄養カテーテルの管状部材の物理的剛性の点においても、特定方向の強度の低下を生ずることなく、比較的安定した物理的剛性が得られる効果を奏する。
【0019】
また、前記第二側孔部41、42、43、44の最大径は、前記第一側孔部の最小径よりも小さくなるよう設けられている。第二側孔部は栄養カテーテル1の管状部材10の同一円周上に複数個設けられてなる構成である。このため、第二側孔部の径を大きくすると、管状部材10の物理的剛性が低下し、栄養カテーテル1の導出入操作の際に、第二側孔部が設けられている箇所で折れ曲がって導出入操作に支障をきたす可能性がある。
また、第二側孔部の径が大きいと、先端開口部2、第一側孔部3が各種器官と当接し、その開口部を閉塞させていないような通常の状態の場合、第二側孔部の開口部を介して各種流体の導出入操作が行われてしまう可能性がある。
これらのことより、前記第二側孔部41、42、43、44の最大径は、前記第一側孔部の最小径よりも小さくなるよう設ける構成であるのが好ましい。

また、前記第二側孔部41、42、43、44は、円形形状になるよう設けられている。第二側孔部が、円形形状であることにより、上述した栄養カテーテルの物理的剛性の確保と、各種流体の導出入効果という相反する課題を同時に解決可能にする作用に寄与することができる。即ち、第二側孔部を円形形状とすることにより、第二側孔部が設けられた位置における栄養カテーテルの軸方向、あるいはその軸方向に対して垂直な方向のいずれの方向においても、極端にその剛性が低下したりすることがない。
また、各種流体の導出入操作においても、その開口部が円形形状であるため、その方向性において流体の導出入量等に影響を受けることがほとんどなく、安定した流体の導出入操作を得ることができる。
また、前記第二側孔部41、42、43、44の径は0.5〜2mmの範囲で設定するのが好ましい。第二側孔部の径が0.5mm未満であると、その開口部の面積が確保できず、各種流体の導出入量を充分に確保することができない。また、第二側孔部の径が2mmを超えると、栄養カテーテルの管状部材の物理的強度が低下し、栄養カテーテルの導出入操作時に折れ曲がってしまったり、その操作に支障をきたす可能性がある。
また、第二側孔部は第一側孔部の端部より基端側に10mm離間した距離に第二側孔部の端部が配置されるような構成が好ましい。これによれば、第二側孔部が栄養カテーテルの比較的先端側の位置に配置されることになり、各種流体の導出入操作において所望の器官を標的とした操作が容易に可能になる。更には、栄養カテーテルの管状部材に開口した第一側孔部の近傍に、同じく開口した第二側孔部を設けることにより、管状部材の物理的剛性の低下を生ずることなく、栄養カテーテルの導出入操作時による応力負荷によっても管状部材の変形等を生ずることなく、安定した導出入操作が可能になる効果を奏する。
【0020】
また、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態のみに制限されることはなく、各実施形態同士の組合せの態様や、各構成の適宜変更が可能である。上述した第二側孔部の開口部の形状については、各種態様の採用が可能である。例えば、開口部における管状部材から中空部に向かう形状については、漸次縮径あるいは拡径するような形状であってもよい。また、開口部における管状部材から中空部に向かう形状が、中心部に向かって真直ぐな形状であったり、先端側あるいは基端側に所定角度をもって傾斜した形状であってもよい。
【0021】
上述した構成を有する第1実施形態における栄養カテーテル1によれば、以下のような効果を奏する。
中空部に連通するよう開口した第二側孔部が、栄養カテーテルの管状部材の軸方向において、前記第一側孔部より基端側の位置に設けられ、その位置の同一円周上に複数個設けられた構成とした。これにより、各種流体の導出入操作時に、先端の先端開口部が閉塞し、側壁の第一側孔部が閉塞したとしても、前記第二側孔部が設けられているため、中空部に連通する開口部を確保することができるため、各種流体の導出入操作が可能になる。
【0022】
また、前記第二側孔部が、前記軸方向の位置において同一円周上に複数個設ける構成とした。これにより、第二側孔部のいずれかの第二側孔部が閉塞したとしても、他の第二側孔部により中空部に連通する開口部を確保することができる。
【0023】
また、前記第二側孔部が同一円周方向において、等間隔に設ける構成とした。これにより、栄養カテーテルの管状部材の周方向における第二側孔部の位置関係が均等に配置されるようになり、管状部材の周方向におけるいずれの方向においても開口部を確保することができる。この結果、いずれかの第二側孔部が各種器官に当接して閉塞したとしても、他の第二側孔部の開口状態が容易に確保可能になる効果を奏する。本構成は、管状部材の周方向における一面と各種器官が当接する場合に、その効果が顕著である。
【0024】
また、第二側孔部が同一円周方向において、管状部材の軸方向に対して垂直な方向に分割した垂線に対して線対称な位置に設ける構成とした。これにより、栄養カテーテルの管状部材の周方向の対向する位置関係になる二面と各種器官が当接して閉塞したとしても、他の第二側孔部の開口状態が容易に確保可能になる効果を奏する。この結果、栄養カテーテルを対向する方向より挟持して当接するような各種器官の狭窄領域に、栄養カテーテルを挿入したとしても、第二側孔部により中空部に連通する開口部を確保することができるため、挿入する体内のいずれの器官を問わず、その操作性の確保が可能になる効果を奏する。
【0025】
また、第二側孔部の最大径が、第一側孔部の最小径よりも小さい大きさとなるよう構成した。これにより、先端開口部あるいは第一側孔部による流体の導出入操作、特に体液等の吸引操作時の吸引力に影響を実質的に及ぼすことがない。更には第二側孔部を介して各種流体(空気、体液等)を吸引することを可能にしつつ、各種器官を吸引することがほとんどないために、安全で確実な流体の導出入操作が可能になる。
【0026】
また、第二側孔部の形状が、円形形状になるよう構成した。これにより、先端開口部、第一側孔部を介する流体の導出入操作への影響を減ずることができ、より確実な流体の導出入操作が可能になる。
【0027】
以上の通り、本発明の栄養カテーテルは、流体の導出入操作、特に栄養カテーテルの体内挿入時における吸引操作工程において、栄養カテーテルの体内での方向性によらず、その吸引操作が可能な栄養カテーテルを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0028】
1 栄養カテーテル
10 管状部材
11 中空部
2 先端開口部
3 第一側孔部
41 第二側孔部
42 第二側孔部
43 第二側孔部
44 第二側孔部
5 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性で中空部を有する管状部材からなり、その先端が開口した先端開口部と、その基端が開口してその内腔が前記管状部材の中空部と連通するよう設けられた接続部材と、
前記管状部材の先端部近傍の側壁に前記中空部に連通するよう開口した第一側孔部が設けられた栄養カテーテルであって、
前記管状部材の側壁に前記中空部に連通するよう開口した第二側孔部が、
前記管状部材の軸方向において、前記第一側孔部より基端側の位置に設けられてなり、
その位置の同一円周上に複数個設けられたことを特徴とする栄養カテーテル。
【請求項2】
前記第二側孔部が同一円周方向において、等間隔に設けられたことを特徴とする前記請求項1記載の栄養カテーテル。
【請求項3】
前記第二側孔部が同一円周方向において、前記管状部材の軸方向に対して垂直な方向に分割した垂線に対して線対称な位置に設けられたことを特徴とする前記請求項1または2記載の栄養カテーテル。
【請求項4】
前記第二側孔部の最大径が、前記第一側孔部の最小径よりも小さいことを特徴とする前記請求項1から3のいずれかの項に記載の栄養カテーテル。
【請求項5】
前記第二側孔部の形状が、円形形状であることを特徴とする前記請求項1から4のいずれかの項に記載の栄養カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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