説明

栄養分の連続添加によってモレキュラーシーブを調製する方法

様々なモレキュラーシーブを合成する方法を開発した。本発明方法は、骨格元素および少なくとも1つのテンプレート剤の反応性原料を含む反応混合物を作る工程、その混合物を反応させてモレキュラーシーブを少なくとも部分的に結晶化させ、そして種結晶のスラリーを提供する工程、および、それに対して、骨格元素の栄養分(原料)、例えばアルミニウムおよび珪素を添加して、種結晶を成長させる工程を含む。栄養分の添加速度は、結晶成長速度と実質的に同じであるように、また、新たな結晶の核形成が実質的に無いように、制御する。種結晶は、添加される栄養分と同じかまたは異なっていてもよく、而して、層状モレキュラーシーブが可能である。結晶が所望の大きさになったら、それらを従来の技術によって分離する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
[0001] 結晶性アルミノシリケートゼオライト型のモレキュラーシーブは、当業において公知であり、天然に生じるゼオライトと合成ゼオライトの両方で現在150を超える種類がある。一般的に、結晶性ゼオライトは角を共有するAlOおよびSiOの四面体から形成されており、均一の寸法の細孔を有し;大きなイオン交換容量を有し、そして、永久結晶構造を構成するいずれの原子をも大きく置換することなく、結晶の内部空隙全体にわたって分散される吸着相を可逆的に脱着できることによって特徴づけられる。
[0002] ゼオライトではないが、ゼオライトのイオン交換および/または吸着特性を示す他の結晶性マイクロポーラス組成物が知られている。それらとしては:1)米国特許第4,061,724号に開示されているような、カチオンもカチオンサイトも含んでいない中性骨格を有する純粋なシリカ多形体であるシリカライト;2)米国特許第4,310,440号に開示されているような結晶性アルミノホスフェート組成物;3)米国特許第4,440,871号明細書に開示されているような珪素置換アルミノホスフェート:そして、4)米国特許第4,500,651号に開示されているようなチタニウム置換アルミノホスフェートが挙げられる。
[0003] モレキュラーシーブは、通常は、バッチ式反応装置において、反応混合物から、熱水作用により合成される。この種の方法では、すべての成分が、反応器に加えられ、それによりゲルが形成される。次に、ゲルは撹拌され、そしてゼオライトを結晶化させるのに充分な時間加熱される。従来法の欠点としては、結晶の大きさおよび形態の制御に関する制限、固形分に関する制限、リサイクルできない廃棄物の生成および多額の設備投資などが挙げられる。而して、本業界は、モレキュラーシーブの製造を改良するための研究を絶えず行なっている。
[0004] 例えば、米国特許第4,314,979号は、ゼオライトAを調製するための連続法を開示している。その方法は、アルミニウムおよび珪素を含む溶液を混合し、次いで、その混合物を結晶化反応器に流してゼオライトAを結晶化させる工程を含む。
米国特許第5,389,358号は、まず最初に結晶を核状にし、次いで反応物を含んでいる溶液を添加し、その後にゼオライトを結晶化させるために熟成させることによってゼオライトを合成する方法を開示している。最後に、米国特許第3,425,800号は、反応物の水溶液を混合してゲルを形成し、そのゲルを加熱し、次いで結晶が形成される層状結晶化ゾーンへと供給する、ゼオライトAまたはXを合成するための連続法を記載している。
[0005] CS.Cundy et al.,in Zeolites,Vol.15,353−372(1995)には、ゼオライトZSM−5を合成する方法が開示されている。その方法は、適当な液体中の種結晶のスラリーで反応器を満たす工程を含んでいる。この混合物に対して、アルミニウムおよび珪素の原料を、反応装置が一定レベルまで満たされるように、生成物を時折除去しながら連続的に添加する。同じ著者による第二の論文 (Zeolites Vol.15,400−407(1995))では、アルミニウムおよび珪素を結晶成長に比べて速い速度で添加すると、高い核形成率が観察されることが開示されている。
[0006] 最後に、米国特許第6,773,694 B1号は、種結晶のスラリーに、モレキュラーシーブの骨格元素、例えばAl、Siの原料である栄養分を添加することによって、モレキュラーシーブを合成する方法を開示している。栄養分は、ゲルが形成されないように、そして、新たな結晶の核形成がないように、結晶成長率に実質的に等しい速度で添加される。
【0002】
発明の詳細な説明
[0007] 本発明の合成方法は、実質的に新たな結晶の核形成なしに、モレキュラーシーブ結晶を種結晶から成長させることに関するものである。本発明の1つの実施態様では、その種結晶と同一のモレキュラーシーブが、すなわち、骨格元素および構造は同一であるが、それらの元素の比率は必ずしも同一ではないモレキュラーシーブが種結晶の周囲に成長する。別の実施態様では、種結晶の周囲に成長したモレキュラーシーブは、同一の骨格構造を有するが、同一の骨格元素は有しない、すなわち、少なくとも1つの元素は異なっている。
[0008] 而して、本発明の1つの重要な要素は、モレキュラーシーブ種結晶である。モレキュラーシーブは、結晶学的に均一な細孔を有する三次元骨格を持つマイクロポーラス組成物である。これらのシーブは、ゼオライトまたは非ゼオライトモレキュラーシーブのいずれかに分類される。ゼオライトは、骨格構造がSiOおよびAlO四面体酸化物から成るアルミノシリケート組成物である。非ゼオライトモレキュラーシーブは、アルミニウムおよび珪素以外の他の元素を含んでいるモレキュラーシーブである。例として、シリコアルミノホスフェートおよびアルミノホスフェートモレキュラーシーブが挙げられる。本発明の方法を使用して調製できるゼオライトおよび非ゼオライトモレキュラーシーブは、一般実験式:
(ElAlSi)O (I)
(式中、Elは、下記の三次元骨格酸化物単位を形成できる元素であり、そして、P、AlおよびSiは四面体酸化物単位として存在する骨格元素でもある)によって表される三次元骨格構造および骨格組成を有する。Elのモル分率は「w」で表され、0〜0.5の値を有し、「x」はAlのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、「y」はPのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、そして「z」はSiのモル分率であって、0〜1の値を有し、w+x+y+z=1であり、「y」と「z」は同時にゼロの値をとらない。
「El」が2つ以上の元素を含む場合、「w」は前記元素(El、El、El、Elなど)のモル分率を表し、「w」は、それぞれEl、El、El、El等のモル分率をあらわす「w」、「w」、「w」、「w」等の合計に等しい。これらのモレキュラーシーブは、その頭文字によってElAPSOと称されており、米国特許第4,793,984号に詳細に記載されている。El元素を選択するための基準も米国特許第4,793,984号特許に示されている。Elは、下記基準の少なくとも1つによって特徴づけられる:すなわち、1)「El」は、”Inorganic Chemistry”J.E.Huheey,Harper Row,p.348(1978)で検討されているように、金属配位子「−O−El」の小さい結晶場安定化エネルギーがO2−を有する元素Elの四面体配位を好む、d、d、d、d、d、d、またはd10から成る群より選択される電子軌道配置によって特徴づけられる;2)「El」は、”The Hydrolysis of Cations”,C.F.Baes an R.E.Mesmer,John Wiley & Sons(1976)で検討されているように、10−14よりも大きい第一加水分解定数であるK11によって明示されるような水溶液中において安定なオキソまたはヒドロキソ種を形成できるものとして特徴づけられる;3)「El」は、E.Parthe,”Crystal Chemistry of Tetrahedral Structures”,Gordon and Breach,New York,London,pp.66−68(1964)で検討されているように、異なるシリカ変形物、石英、クリストバライトまたはトリジマイトと幾何学的に関係のある結晶構造タイプにおいて存在することが知られている元素の群から選択される;そして、4)「El」は、「硬い」塩基O2−と相互作用して、「柔らかい」酸として分類されるカチオンに比べてより安定な結合を形成する、「硬い」または「境界線」の酸として、Pearson(J.E.Huheey,”Inorganic Chemistry”,Harper & Row,p.276(1978))によって、そのカチオン型が分類される元素である。具体的な元素としては、砒素、ベリリウム、硼素、クロム、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、錫および亜鉛が挙げられるが、それらに限定されない。
[0009] 上記一般式から、モレキュラーシーブのいくつかの組を記述且つ調製できる。例えば、「w」および「y」が両方ゼロであるとき、モレキュラーシーブはゼオライトまたはゼオライトモレキュラーシーブである。この場合、式(I)は (AlSi1−X)O (II)
(式中、xは0〜0.5の値を有する)となる。本発明によって調製できるゼオライトの具体的な例としては、ゼオライトA、ゼオライトX、モルデン沸石、シリカライト、ゼオライトベータ、ゼオライトY、ゼオライトL、ZSM−12、UZM−4およびUZM−5が挙げられるが、それらに限定されない。UZM−4およびUZM−5は、それぞれ米国特許第6,419,895 B1号および第6,613,302 B1号に記載されている。xがゼロであるとき、ゼオライトはシリカライトである。式(I)の「x」が0を超える場合、下式 (III) (ElAlx’Si)O (III)
(式中、「w」、「y」および「z」は式(I)で規定したものであり、そしてxは0超から0.5までの値を有する)が得られる。更に、式(III)において「w」および「z」がゼロである場合、または、式(I)において「w」および「z」がゼロであって、「x」が0より大きい場合、米国特許第A−4,310,440号および第A−4,500,651号で詳細に記載されている非ゼオライトモレキュラーシーブのALPOファミリーが得られる。更に、式(I)または式(III)において「w」がゼロであり、「z」が0より大きい場合(そして、式(I)において「x」が0より大きい場合)、非ゼオライトモレキュラーシーブのSAPOファミリーが得られ、そしてその非限定的な例は、米国特許第A−4,440,871号に記載されているSAPO−34およびSAPO−11である。
「z」がゼロであって、式(I)または式(III)のいずれかにおいて、他のすべての下付き文字がゼロより大きい場合、非ゼオライトモレキュラーシーブのElAPOファミリーが得られる。最後に、式(I)または式(III)のすべての下付き文字がゼロより大きい場合、上記した非ゼオライトモレキュラーシーブのElAPSOファミリーが得られ、その一例はMAPSO−31である。
[0010] 骨格元素に加えて、合成後の(as−synthesized)状態および無水状態のモレキュラーシーブは、それらの細孔中に、モレキュラーシーブを調製するために使用されたテンプレート剤の一部を含む。これらテンプレート剤は、当業において公知であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属および有機化合物が挙げられるが、それらに限定されない。有機化合物は、当業において公知の有機化合物のいずれかであり、アミン、例えばピペリジン、トリプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミンおよび第四級アンモニウム化合物、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムおよびテトラプロピルアンモニウム・イオンのハロゲン化物または水酸化物化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
[0011] 本発明方法の第一工程は、モレキュラーシーブ種結晶の調製を含む。上記したモレキュラーシーブのいずれの種結晶も、上で援用し且つ引用したものとする特許に記載されている従来法によって調製することができ、その方法は、例えば、アルミニウム原料、珪素原料などの骨格元素の反応性原料と少なくとも1種のテンプレート構造指向剤および水を容器内で混合する工程と、結晶性生成物が得られるまで加熱する(圧力下または無圧で)工程とを含む。式(II)によって表されるモレキュラーシーブに関しては、反応混合物は: aM2/nO:bR:Al:cSiO:dH
(式中、「a/c」は0〜4の値を有し、好ましくは0〜2の値を有し、「n」はMの原子価であって、1〜2の値を有し、「b/c」は、0〜4、好ましくは0〜2の値を有し、「d/c」は2〜200、好ましくは10〜50の値を有する)の酸化物のモル比で表される組成を有し、そして、その反応混合物を、50℃〜200℃の温度を含む反応条件下で4時間〜14日間反応させて、少なくとも部分的にモレキュラーシーブ種結晶を結晶化させ、種結晶スラリーを提供し;その種スラリーに対して、成長条件下で栄養分を加えて、種結晶の骨格元素を提供し、それにより種結晶を成長させ;結晶成長速度に実質的に等しい速度で、且つ、モレキュラーシーブを製造するのに充分な時間、添加を行う。式(III)によって表されるモレキュラーシーブに関しては、反応混合物の組成は:
b’R:c’El:d’Al:e’P:fSiO:gH
(式中、b’/e’は0.4〜7、好ましくは0.8〜3.2の値を有し、c’/e’は0〜0.5、好ましくは0〜0.3の値を有し、d’/e’は0.2〜1.6、好ましくは0.6〜1.4の値を有し、f/e’は0〜3.6、好ましくは0〜1.0の値を有し、そしてg/e’は4〜200、好ましくは20〜80の値を有する)の酸化物のモル比で表される実験式によって表される。
[0012] アルミニウムの原料としては、アルミニウムアルコキシド、擬ベーマイト、ギブサイト、コロイドアルミナ、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムトリクロリドおよびアルミニウムクロロハイドレートが挙げられる。上記の中で、好ましいアルミニウム原料は、擬ベーマイト、アルミン酸ナトリウムおよびアルミニウムアルコキシド、例えばアルミニウムイソプロポキシドである。珪素原料としては、シリカゾル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル、珪素アルコキシド、珪酸および珪酸アルカリ金属、例えば珪酸ナトリウムが挙げられる。燐原料としては、燐酸および有機ホスフェート、例えばトリエチルホスフェートが挙げられる。
[0013] 元素「El」は、元素の反応型の、すなわち、元素「El」の骨格酸化物単位を形成することに対して反応性である型のその場での形成を可能にするいずれの型の反応系にも導入することができる。使用できる元素(単数および複数)Elの化合物としては、酸化物、水酸化物、アルコキシド、ニトレート、スルフェート、ハライド、カルボキシレート、およびそれらの混合物が挙げられる。使用できる代表的な化合物としては、ヒ素およびベリリウムのカルボン酸塩;塩化コバルト六水和物、アルファ・ヨウ化コバルト;硫酸コバルト;酢酸コバルト;臭化コバルト;塩化コバルト;ホウ素アルコキシド;酢酸クロム;ガリウムアルコキシド;酢酸亜鉛;臭化亜鉛;蟻酸亜鉛;ヨウ化亜鉛;硫酸亜鉛七水和物;二酸化ゲルマニウム;酢酸鉄(II);酢酸リチウム;酢酸マグネシウム;臭化マグネシウム;塩化マグネシウム;ヨウ化マグネシウム;硝酸マグネシウム;硫酸マグネシウム;酢酸マンガン;臭化マンガン;硫酸マンガン;四塩化チタン;カルボン酸チタン;酢酸チタン;酢酸亜鉛;塩化錫;などが挙げられるが、それらに限定されない。
[0014] テンプレート剤/構造指向剤がアルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンであるとき、その原料としては、水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、およびハロゲン化物が挙げられるが、それらに限定されない。テンプレート剤が第四アンモニウムカチオンである場合、上記したように、原料としては、水酸化物およびハロゲン化物化合物が挙げられるが、それらに限定されない。最後に、充分な水を添加して使用可能な混合物を得る。
[0015] その反応混合物を、自己圧力または加圧下で、且つ撹拌しながら、または、撹拌せずに、反応温度まで加熱する。上で示した様々なモレキュラーシーブに関する具体的な反応条件は、公知であり、また、上で示した様々な特許で開示されており、且つ本明細書に引用したものとする。
[0016] 完全を期すために、一般的な反応条件または結晶化条件は、式(II)のモレキュラーシーブに関しては50℃〜200℃および式(III)のモレキュラーシーブに関しては50℃〜250℃を含む。反応混合物は、モレキュラーシーブ種結晶を少なくとも部分的に製造するのに充分な時間、所望の温度に維持される。その混合物は、可能な限りすべてのモレキュラーシーブ種結晶を完全に結晶化させるように反応させることができると考えられるが、本発明を実行するためには必ずしもそうする必要はない。しかしながら、反応混合物を完全に結晶化させることが望ましい場合もある。モレキュラーシーブ種結晶が少なくとも部分的に形成される時間は、広範に変えることができるが、通常は、式(III)のモレキュラーシーブでは1時間〜48時間、そして式(II)のモレキュラーシーブでは4時間〜14日である。
[0017] 種結晶を含む反応混合物、すなわち、種スラリーは、本発明方法の第二工程用の出発混合物又はスラリーである。この種スラリーに対して、以下では栄養分と称する所望の骨格元素を添加して、種結晶上にモレキュラーシーブを成長させる。而して、添加される栄養分または栄養分の組み合わせは、モレキュラーシーブを形成できる栄養分のいずれかである。これらの組み合わせは:1)珪素原料;2)アルミニウムおよび珪素原料、3)アルミニウム、燐および珪素原料;4)アルミニウムおよび燐原料;5)El、アルミニウムおよび燐原料;および6)El、アルミニウム、珪素および燐原料である。追加のテンプレート剤/構造指向剤を添加する必要があるかもしれないことも指摘されるべきである。
これは、所望の薬剤の原料を、栄養分のうちの1つと一緒に、または別個のストリームとして、添加することによって行うことができる。場合によっては、種スラリーは、過剰の未反応テンプレート剤を含んでいてもよく、それにより、プロセスの第二工程中に、すなわち成長工程中に、その過剰なテンプレートを使い果たすことによって、プロセス全体をより経済的なものすることができる。
[0018] 添加される栄養分は、種結晶と同じモレキュラーシーブまたは異なるモレキュラーシーブを提供する栄養分であることができる。たとえ同じモレキュラーシーブが形成されても、栄養分の比率、而して骨格元素の比率は、種結晶と、種結晶上に引き続き成長するモレキュラーシーブとの間で変化させることが可能である。例えば、Si/Alが1.25のゼオライトXの種結晶に対して、ゼオライトXを種結晶上で成長させる濃度で、しかしSi/Alが1.0で、珪素およびアルミニウム栄養分を添加することができる。
[0019] 種結晶と種結晶上で成長するモレキュラーシーブとが異なる骨格元素を有する場合、種結晶またはコアモレキュラーシーブおよび外側モレキュラーシーブは、同じ骨格構造を有することが必要である。コアおよび外側モレキュラーシーブにおいて、少なくとも1つの骨格元素が異なっていることのみが必要である。例えば、コアモレキュラーシーブはAlPO−34であることができ、そして外側モレキュラーシーブはSAPO−34、斜方沸石、CoAPO−44、LZ−218、GaAPO−34、ゼオライトPhiなどであることができる。同じ構造を有するモレキュラーシーブは、W.M.Meier,D.H.Olson and Ch.Baulocher,Atlas of Zeolite Structure Types,Fifth Revised Edition,Elsevier,Amsterdam,2001またはCh.Baulocher and L.B.McCusker,Database of Zeolite Structures,http://www.iza−structure.org/databases/を参照することによって判定できる。いくつかのモレキュラーシーブ系では、2つ以上の骨格が生じ得ることは指摘されるべきである。而して、モレキュラーシーブがコア上で成長するとき、純粋な骨格タイプの代わりに、2つ以上の骨格の連晶が成長する。例えば、SAPO−34層がコア上で成長する場合、層は、半量未満のAEIを有する実質的にCHAの構造であり得る。もちろん、1つの純粋な骨格を成長させることが望ましく且つ好ましい。
[0020] 前記のことから、異なる組成の多数の層を有するモレキュラーシーブを調製できることが理解される。この場合、コアモレキュラーシーブは、最終の層が外側モレキュラーシーブであるいくつかの層から構成されると考えられる。本発明方法を使用することによって、結晶全体にわたって同じ骨格元素を有するが、異なる骨格元素の比率、例えば異なるSi/Al比率の層を有するモレキュラーシーブも製造できる。而して、ZSM−5コアから開始し、次の層における工程でSi/Al比率を上げ、そして最後に、外層として最後にシリカライト層を有することができる。
[0021] 栄養分の選択に関係なく、それらは、任意の簡便な手段によって添加できる。これらの手段としては、栄養分の溶液の調製、固体懸濁液またはスラリーの調製、固体の直接添加および栄養分のそのままでの添加が挙げられる。もちろん、1つの栄養分を1つの方法で添加し、他の栄養分(1種または複数種)を別な方法で添加することが可能である。更に、特定の栄養分に応じて、付加的な酸または塩基を添加して所望のpHに到達させる必要があるかもしれない。例えば、珪酸ナトリウムが栄養分または珪素の原料として使用される場合、酸を添加して、生成され得る水酸化ナトリウムを中和する必要があるかもしれない。
[0022] 2つ以上の栄養分、例えばSiおよびAlを添加するとき、それらは、同時に、または、順次に添加できる。順次添加を使用することにより、液体またはスラリーの場合では、1つのポンプのみを使用する必要がある。同時添加は、3つの方法のうちの1つで行うことができる。第一に、各栄養分を、種スラリーを含んでいる反応器へ個別のポートまたは注入装置を使って供給する。第二に、個別の栄養分を、貯蔵タンクに供給し、撹拌し、混合し、次いで、1つのストリームとして、種スラリーを含む反応器に供給することができる。第三に、栄養分を組み合わせて、最小数のストリームを形成することができる。その場合、各ストリームの成分は、最終的な添加の前に各ストリームにおける不所望の反応を最小限に抑えるように選択される。最後に、栄養分は、連続的または断続的に添加することができる。断続的に行なう場合、その添加は規則的な間隔または不規則な間隔で行なうことができる。連続的または断続的な添加のいかんに関わらず、栄養分は、種結晶またはコア結晶が、新たな結晶の更なる核形成を実質的に起こさずに、または、アモルファス固体を形成せずに成長するような速度で添加されることが必要である。「新たな結晶の核形成」とは、栄養分の濃度が臨界過飽和濃度を超えるときに混合物から結晶が形成されることを意味している。種結晶からより大きな結晶への成長は、「新たな結晶の核形成」とはみなさない。これを達成するために、栄養分の添加速度は結晶成長速度と実質的に同じでなければならない。添加速度を判定する1つの方法は、走査型電子顕微鏡(SEM)のような方法によって種結晶の結晶サイズをまず判定することである。次いで、結晶成長(経験的に判定される)は均一で線状であって、結晶は立方体であると仮定する。このことから供給速度を計算することができる。
[0023] 添加する栄養分の量を制御する別の方法は、各栄養分の濃度を飽和限界より上に、しかし臨界過飽和限界より下に維持することである。濃度が臨界過飽和限界を超えると、新たな結晶の核形成が始まり、一方、濃度が飽和限界以下ならば、成長は生じない。
[0024] 結晶を成長させるための反応条件は、従来法で用いられたものと同様であり、自己圧力および室温(20℃)〜250℃の温度を含む。より高い圧力を使用することも可能であり、通常は300psigの圧力であることができる。栄養分の添加は、所望の結晶サイズが得られるまで続ける。種結晶の大きさは、かなり変化させることができるので、本発明の重要なパラメータではない。任意の大きさの種結晶を使用することができるが、一般的には、種結晶サイズは10ナノメートルから5マイクロメートルである。生成物の最終結晶サイズにも上限はないが、10マイクロメートルの大きさの結晶子が形成され得る。所望の結晶サイズが得られたら、栄養分の添加を中止し、モレキュラーシーブ固体を、当業において公知の方法によって、例えば濾過、遠心分離によって、水相または母液から分離する。
[0025] 結晶サイズは添加される栄養分の量によって決まるが、結晶それら自体が粒子へと塊化または凝集することがある。而して、粒子は、任意の1つの単独の結晶に比べて大きいことがある。粒径の制御、すなわち塊化の程度は、剪断を反応混合物に適用することによって達成される。剪断は、機械的手段、油圧手段などによって適用できる。剪断を適用する具体的な方法としては、撹拌機、インペラ、超音波、対向噴流などが挙げられるが、それらに限定されない。これらの手段は、塊をバラバラに壊すことを意図しているが、更なる成長が可能な個々の結晶もバラバラに壊すことがある。個々の結晶の破壊は核形成ではない。
[0026] 結晶サイズおよび/または粒径分布は、本方法の過程で、より多くの種結晶を添加することによって制御可能である。これは、プロセスの間に1回、断続的または連続的に行うことができる。更に、後に添加される種結晶は当初の種結晶に比べて大きくすることができ、而して、狭い結晶および/または粒径分布を提供することができる。あるいは、後に添加される種結晶は当初の種結晶に比べて小さくすることができ、而して、より広い結晶および/または粒径分布を提供することができる。
[0027] 以下に実施例を記載して本発明を例示する。本実施例は、例示のためだけのものであって、添付の請求項に記載されている広い本発明の範囲を不当に限定することを意図していないことを了解すべきである。
【0003】
実施例1
[0028] SAPO−34モレキュラーシーブを、以下のようにして調製した。
500グラムの総重量を有していて、且つ、以下の組成を有する反応混合物を調製した。
【0004】
Al:0.2SiO:P:2TEAOH:63.8H
TEAOHは、水酸化テトラエチルアンモニウムである。この混合物は、85%のオルト燐酸、HO、35%のTEAOH、Ludox(登録商標)AS−40およびVersal(登録商標)250アルミナを適切に組み合わせることによって調製した。その混合物を、100℃まで加熱し、その温度で1時間保持した。続いて、175℃まで加熱し、その温度で2時間保持した。この部分的に結晶化した反応混合物に対して、2つの栄養分供給を175℃で15時間にわたって添加した。第一供給は、重量446.8グラムであり:且つ2.3%SiO;27.5%P;27.4%DEA;および42.8%HOの組成を有していた。DEAは、ジエタノールアミンである。第二供給は、重量443.2グラムであり:且つ20%Alおよび80%HOの組成を有していた。最終ゲル組成は、以下の通り:すなわち、
Al:0.2SiO:P:0.5TEAOH:DEA:42.1HO であった。15時間の添加が終わったら、反応器を室温まで冷却し、遠心分離によって生成物を単離し、洗浄し、そして乾燥させると、X線回折によりSAPO−34と同定された199.0gの粉末が得られた。乾燥粉末の元素分析により(重量%):22.00Al、23.00P、2.63Si、10.9C、1.5Nであることが分かった。これは、正規化モル分率で表されたAl0.4940.450Si0.057に対応する。
【0005】
実施例2
[0029]SAPO−34モレキュラーシーブを、以下のようにして調製した。
500グラムの総重量を有していて、且つ以下の組成を有する反応混合物を調製した。
【0006】
Al:0.1SiO:P:TEAOH:35H
TEAOHは、水酸化テトラエチルアンモニウムである。この混合物は、85%のオルト燐酸、HO、35%のTEAOH、Ludox AS−40およびVersal 250アルミナを適切に組み合わせることによって調製した。更に、18.0グラムのSAPO−34を、この混合物に添加した。その混合物を、5時間で100℃まで加熱し、その温度で9時間保持した。続いて、6時間で175℃まで加熱し、その温度で2時間保持した。この部分的に結晶化した反応混合物に対して、2つの栄養分供給を175℃で15時間にわたって添加した。第一供給は、重量507.4グラムであり:且つ0.8%SiO;20.6%P;13.2%DEA;4.0%TEAOHおよび61.4%HOの組成を有していた。DEAは、ジエタノールアミンである。第二供給は、重量374.6グラムであり:且つ20%Alおよび80%HOの組成を有していた。最終ゲル組成は、以下の通り:すなわち、
Al:0.1SiO:P:0.5TEAOH:0.5DEA:40.0H
であった。15時間の添加が終わったら、反応器を室温まで冷却し、遠心分離によって生成物を単離し、洗浄し、そして乾燥させると、X線回折により、いくらかのAEI連晶を有するSAPO−34と同定された268.9gの粉末が得られた。乾燥粉末の元素分析により(重量%):22.50Al、23.60P、2.05Si、10.8C、1.4Nであることが分かった。これは、正規化モル分率で表されたAl0.5000.457Si0.044に対応する。
【0007】
実施例3
[0030] SAPO−34モレキュラーシーブを、以下のようにして調製した。500グラムの総重量を有していて、且つ以下の組成を有する反応混合物を調製した。
【0008】
Al:0.2SiO:P:2TEAOH:63.8H
TEAOHは、水酸化テトラエチルアンモニウムである。この混合物は、85%のオルト燐酸、HO、35%のTEAOH、Ludox AS−40およびVersal 250アルミナを適切に組み合わせることによって調製した。その混合物を、100℃まで加熱し、その温度で1時間保持した。続いて、175℃まで加熱し、その温度で2時間保持した。この部分的に結晶化した反応混合物に対して、2つの栄養分供給を175℃で15時間にわたって添加した。第一供給は、重量446.8グラムであり:且つ0.8%SiO;27.5%P;13.7%DEAおよび58.0%HOの組成を有していた。DEAは、ジエタノールアミンである。第二供給は、重量443.2グラムであり:且つ20%Alおよび80%HOの組成を有していた。最終ゲル組成は、以下の通り:すなわち、
Al:0.1SiO:P:0.5TEAOH:0.5DEA:45.3H
であった。15時間の添加が終わったら、反応器を室温まで冷却し、遠心分離によって生成物を単離し、洗浄し、そして乾燥させると、X線回折により、少量のAEI連晶を有するSAPO−34と同定された264.2gの粉末が得られた。乾燥粉末の元素分析により(重量%):23.20 Al,23.50 P, 1.31 Si, 10.2 C, 1.6 Nであることが分かった。これは、正規化モル分率で表したAl0.5160.456Si0.028に対応する。
【0009】
実施例4
[0031] SAPO−34モレキュラーシーブを、以下のようにして調製した。500グラムの総重量を有していて、且つ以下の組成を有する反応混合物を調製した。
【0010】
Al:0.2SiO:P:2TEAOH:63.8H
TEAOHは、水酸化テトラエチルアンモニウムである。この混合物は、85%のオルト燐酸、HO、35%のTEAOH、Ludox AS−40およびVersal 250アルミナを適切に組み合わせることによって調製した。その混合物を、5時間で100℃まで加熱し、その温度で9時間保持した。続いて、6時間で175℃まで加熱し、その温度で2時間保持した。この部分的に結晶化した反応混合物に対して、2つの栄養分供給を175℃で15時間にわたって添加した。第一供給は、重量446.8グラムであり:且つ0.7%SiO;27.5%P;27.4%DEAおよび44.4%HOの組成を有していた。DEAは、ジエタノールアミンである。第二供給は、重量443.2グラムであり:且つ20%Alおよび80%HOの組成を有していた。
最終ゲル組成は、以下の通り:すなわち、
Al:0.1SiO:P:0.5TEAOH:DEA:45.3H
であった。15時間の添加が終わったら、反応器を室温まで冷却し、遠心分離によって生成物を単離し、洗浄し、そして乾燥させと、X線回折により、極めて少量のAEI連晶を有する実質的に純粋なSAPO−34と同定された165.5gの粉末が得られた。
【0011】
実施例5
[0032] BETAモレキュラーシーブを、以下のようにして調製した。600グラムの総重量を有していて、且つ以下の組成を有する反応混合物を調製した。
Al:58.5SiO:2.57NaO:21.5TEAOH:800H
TEAOHは、水酸化テトラエチルアンモニウムである。この混合物は、水酸化ナトリウム、HO、アルミン酸ナトリウム、35%のTEAOHおよびLudox AS−40を適切に組み合わせることによって調製した。その混合物を12時間撹拌した。続いて、150℃まで加熱し、その温度で24時間保持した。この部分的に結晶化した反応混合物に対して、2つの栄養分供給を150℃で12時間にわたって添加した。第一供給は、重量384.9グラムであり、32% SiO;0.12% NaO;および67.88%の組成を有していた。第二供給は、重量284.9グラムであり:3.13% Al;2.94% NaOおよび93.93%HOの組成を有していた。最終ゲル組成は、以下の通り:すなわち、
Al:29.36SiO:1.8NaO:5.2TEAOH:448H
であった。12時間の添加が終わったら、反応器を室温まで冷却し、遠心分離によって生成物を単離し、洗浄し、そして乾燥させると、X線回折によりベータゼオライトと同定された189.7gの粉末が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記実験式 (AlSi1−X)O
(式中、AlおよびSiは、四面体酸化物単位として存在する骨格元素であり、xは0〜0.5の値を有する)によって表される三次元マイクロポーラス骨格構造および骨格組成を有するモレキュラーシーブを合成する方法であって;該方法が、該骨格元素、Mおよび任意にRの反応性原料を含む反応混合物を作る工程、その場合、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらの混合物から成る群より選択され、Rは第四アンモニウムカチオン、アミンおよびそれらの混合物から成る群より選択される有機テンプレート剤である;該反応混合物は: aM2/nO:bR:Al:cSiO:dH
(式中、「a/c」は0〜4の値を有し、「n」はMの原子価であって、1〜2の値を有し、「b/c」は0〜4の値を有し、「d/c」は2〜200の値を有する)の酸化物のモル比で表される組成を有する、および該反応混合物を、50℃〜200℃の温度を含む反応条件下で4時間〜14日間反応させて、少なくとも部分的にモレキュラーシーブ種結晶を結晶化させ、そして種結晶スラリーを提供する工程;該種スラリーに対して、成長条件下で栄養分(原料)を加えて、該種結晶の骨格元素を提供し、それにより該種結晶を成長させる工程;結晶成長速度に実質的に等しい速度で、且つ、該モレキュラーシーブを製造するのに充分な時間、該添加を行う工程
を含むことを特徴とするモレキュラーシーブを合成する方法。
【請求項2】
実験式: (ElAly’Si)O (式中、El、Al、PおよびSiは四面体酸化物単位として存在する骨格元素であり、「w」はElのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、「x」はAlのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、「y’」はPのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、そして「z」はSiのモル分率であって、0〜0.98の値を有し、w+x+y’+z=1である)によって表される三次元マイクロポーラス骨格構造および骨格組成を有するモレキュラーシーブを合成する方法であって、該方法が、該骨格元素およびRの反応性原料を含む反応混合物を作る工程、その場合、Rは第四アンモニウムカチオン、アミンおよびそれらの混合物から成る群より選択される有機テンプレート剤である;該反応混合物は、 b’R:c’El:d’Al:e’P:fSiO:gH
(式中、b’/e’は0.4〜7の値を有し、c’/e’は0〜0.5の値を有し、d’/e’は0.2〜1.6の値を有し、f/e’は0〜3.6の値を有し、g/e’は4〜200の値を有する)の酸化物のモル比で表される組成を有する;該反応混合物を、50℃〜250℃の温度を含む反応条件下で1時間〜48時間反応させて、少なくとも部分的にモレキュラーシーブ種結晶を結晶化させ、そして種結晶スラリーを提供する工程;該種スラリーに対して、成長条件下で栄養分(原料)を加えて、該種結晶の骨格元素を提供し、それにより該種結晶を成長させる工程;結晶成長速度に実質的に等しい速度で、且つ、該モレキュラーシーブを製造するのに充分な時間、該添加を行う工程を含むことを特徴とするモレキュラーシーブを合成する方法。
【請求項3】
該栄養分が、1)アルミニウムおよび燐原料;2)アルミニウム、珪素および燐原料;3)El原料、アルミニウム原料および燐原料および4)El原料、アルミニウム原料、燐原料および珪素原料から成る群より選択される請求項12記載の方法。
【請求項4】
該モレキュラーシーブが、SAPO−34、SAPO−11およびMAPSO−31から成る群より選択される骨格構造を有する請求項2記載の方法。
【請求項5】
コアモレキュラーシーブと外側モレキュラーシーブとを含む三次元構造を有し、両方の該モレキュラーシーブが同じ骨格構造を有し、そして該コアモレキュラーシーブが実験式: (AlSi1−X)O
(式中、AlおよびSiは四面体酸化物単位として存在する骨格元素であり、そして「x」は0〜0.5の値を有する)によって表される組成を有する、マイクロポーラスモレキュラーシーブを合成する方法であって;該方法が該骨格元素、Mおよび任意にRの反応性原料を含む反応混合物を作る工程、その場合、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらの混合物から成る群より選択され、Rは第四アンモニウムカチオン、アミンおよびそれらの混合物から成る群より選択される有機テンプレート剤である;該反応混合物は:
aM2/nO:bR:Al:cSiO:dH
(式中、「a/c」は0〜4の値を有し、「n」はMの原子価であって、1〜2の値を有し、「b/c」は0〜4の値を有し、「d/c」は2〜200の値を有する)の酸化物のモル比で表される組成を有する、および該反応混合物を、50℃〜200℃の温度を含む反応条件下で4時間〜14日間反応させて、少なくとも部分的にモレキュラーシーブ種結晶を結晶化させ、そして種結晶スラリーを提供する工程;該スラリーに対して栄養分を添加して骨格元素を提供し、それにより該種結晶の上に外側モレキュラーシーブを成長させる工程、該外側モレキュラーシーブは該コアモレキュラーシーブと同じ骨格構造を有するが、該コアおよび外側モレキュラーシーブは少なくとも1つの骨格元素が異なっている、
該外側モレキュラーシーブは、実験式: (ElAlSi)O
(式中、El、Al、P及びSiは四面体酸化物単位として存在する骨格元素であり、「w」はElのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、「x」はAlのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、「y」はPのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、そして「z」はSiのモル分率であって、0〜1の値を有し、w+x+y+z=1であり、そして「y」および「z」は同時にゼロではない)によって表される組成を有する;該外側モレキュラーシーブの成長速度に実質的に等しい速度で、且つ、該モレキュラーシーブを製造するのに充分な時間、該添加を行う工程 を含むことを特徴とするマイクロポーラスモレキュラーシーブを合成する方法。
【請求項6】
コアモレキュラーシーブと外側モレキュラーシーブとを含む三次元構造を有し、両方の該モレキュラーシーブが同じ骨格構造を有し、そして該コアモレキュラーシーブが実験式:
(ElAly’Si)O
(式中、El、Al、PおよびSiは四面体酸化物単位として存在する骨格元素であり、「w」はElのモル分率はであって、0〜0.5の値を有し、「x」はAlのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、「y’」はPのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、そして「z」はSiのモル分率であって、0〜0.98の値を有し、w+x+y’+z=1である)によって表される組成を有するマイクロポーラスモレキュラーシーブを合成する方法であって、該方法が、該骨格元素およびRの反応性原料を含む反応混合物を作る工程、その場合、Rは第四アンモニウムカチオン、アミンおよびそれらの混合物から成る群より選択される有機テンプレート剤である;該反応混合物は、 b’R:c’El:d’Al:e’P:fSiO:gH
(式中、b’/e’は0.4〜7の値を有し、c’/e’は0〜0.5の値を有し、d’/e’は0〜1.6の値を有し、f/e’は0〜3.6の値を有し、g/e’は4〜200の値を有する)の酸化物のモル比で表される組成を有する;該反応混合物を、50℃〜250℃の温度を含む反応条件下で1時間〜48時間反応させて、少なくとも部分的にモレキュラーシーブ種結晶を結晶化させ、種結晶スラリーを提供する工程;該スラリーに対して成長条件下で栄養分を添加して骨格元素を提供し、それにより該結晶の上に外側モレキュラーシーブを成長させる工程、該外側モレキュラーシーブは該コアモレキュラーシーブと同じ骨格構造を有するが、該コアおよび外側モレキュラーシーブは少なくとも1つの骨格元素が異なっている該外側モレキュラーシーブは、実験式: (ElAlSi)O
(式中、El、Al、PおよびSiは四面体 酸化物単位として存在する骨格元素であり、「w」はElのモル分率はであって、0〜0.5の値を有し、「x」はAlのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、「y」はPのモル分率であって、0〜0.5の値を有し、そして「z」はSiのモル分率であって、0〜1の値を有し、w+x+y+z=1であり、そして「y」および「z」は同時にゼロではない)によって表される組成を有する;
該外側モレキュラーシーブの成長速度に実質的に等しい速度で、且つ、該モレキュラーシーブを製造するのに充分な時間、該添加を行う工程 を含むことを特徴とするマイクロポーラスモレキュラーシーブを合成する方法。
【請求項7】
該外側モレキュラーシーブが、ゼオライトA、ゼオライトX、モルデン沸石、シリカライト、ゼオライトベータ、ゼオライトY、ゼオライトL、ZSM−12、UZM−4、UZM−5、SAPO−34、SAPO−11およびMAPSO−31から成る群より選択される骨格構造を有する請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
該栄養分を、連続的に添加する請求項1または2または5または6記載の方法。
【請求項9】
該栄養分を、断続的に添加する請求項1または2または5または6記載の方法。
【請求項10】
該栄養分が、1)珪素原料;2)アルミニウムおよび珪素原料;3)燐、アルミニウムおよび珪素原料;4)燐およびアルミニウム原料;5)El原料、アルミニウム原料、および燐原料、そして6)El原料、アルミニウム原料、燐原料および珪素原料から成る群より選択される請求項5または6記載の方法。

【公表番号】特表2009−504553(P2009−504553A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526076(P2008−526076)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/030189
【国際公開番号】WO2007/019205
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】