説明

栄養組成物およびその栄養組成物の使用方法

本発明は、透析患者の栄養不良の処置のための、炭水化物が少ない経静脈栄養輸液(IDPN)用液を提供する。本発明のIDPN液は、糖尿病である患者、もしくは他のグルコース管理関連病態に苦しんでいる患者、または厳密な体液管理が必要とされる患者の栄養不良の処置に特に好都合である。本発明のIDPN液には、アミノ酸、任意選択で、脂質および/または微量養分(ビタミン類、微量元素および/またはミネラル分など)も含まれる。特定の好ましい実施形態では、IDPN液に脂質は含まれない。他の好ましい実施形態では、本発明のIDPN液は、患者に対する投与のための容器内、例えば、非経口投与に適切なバッグ内に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、透析処置を受けている患者のための栄養サプリメント組成物および栄養サプリメント組成物の使用方法に関する。上記栄養サプリメント組成物は、糖尿病である患者、もしくは他のグルコース管理関連病態に苦しんでいる患者、または厳密な体液管理が必要とされる患者において合併症が低減されるように、低減された炭水化物レベルを有し、低容量である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
維持血液透析(MHD)を受けている患者にとって、重度の栄養不良は依然として問題である。透析患者は多くの場合、あまり食欲がなくエネルギー量が少ない。この栄養不良は、低い血清アルブミン濃度、罹病率および死亡率増大の高い予測値に反映される(非特許文献1)。患者は、多くの場合、食事制限なし、経口サプリメントおよび経腸食物摂取を用いて処置される。これらの方法が有効でない場合、より積極的な栄養補充の取り組みのために、経静脈栄養輸液(intradialytic parenteral nutrition)(IDPN)が使用され得る。
【0003】
IDPNは、血液透析手順の間に注入される。IDPNは、数十年間使用されており、患者に体重増加およびタンパク質レベルの改善をもたらす(特許文献1)。典型的なIDPN処置では、炭水化物(carbohydrate)コントロールを必要とする患者には4mg/kg/分〜6mg/kg/分のグルコースが、炭水化物コントロールが必要でない患者には6mg/kg/分〜8mg/kg/分で送達される。インスリン抵抗性、高血糖および低血糖に関連する問題を回避するため、血中グルコースをモニタリングしなければならない。一部の場合では、血中グルコースレベルを調整するため、インスリンもIDPN液にて、またはより典型的には別個に皮下投与のいずれかで投与される。IDPNは、一般的には1.2g/kg〜1.4g/kgのアミノ酸を含むものである。しかしながら、この量は、タンパク質に充分耐容性でない患者では低減され得る。血清重炭酸塩および二酸化炭素レベルのモニタリングは、アミノ酸の投与によって引き起こされるアシドーシスをチェックするためにモニタリングされなければならない。脂質はIDPN中に、患者による脂質の耐容性に応じて4mg/kg/分から12g/時〜12.5g/時の速度で供給される。一般的に、このような脂質は、大豆由来の精製植物油のエマルジョン(Intraliipid(登録商標),Kabi Vitrum製もしくはTravamulsion(登録商標),Travenol製)またはベニバナ油のエマルジョン(Liposyn(登録商標),Abbott製)である(非特許文献2)。
【0004】
IDPNは、通常、1リットルの溶液にて投与され、場合によっては、ビタミン類およびミネラル分などの微量養分がIDPN中にて、またはIDPNとともに共投与される。IDPNは、MHD患者の罹病率および死亡率の低減に有効であることが示されており、血清アルブミンレベルおよびクレアチンレベルの上昇、ならびに体重増加をもたらす(非特許文献3)。低血糖は、IDPNの際のインスリン投与の別の潜在的な危険な結果であり、イライラ感、発汗、激しい空腹感、震え、虚弱、動悸および発話困難の症状を伴う。
【0005】
IDPNに関連する問題としては、高血糖、インスリン抵抗性またはグルコース管理に関連する他の問題を有する患者における合併症、ならびに厳密な体液管理が必要とされる患者における合併症が挙げられる。IDPNとともに投与されるグルコースの濃度により、一部の患者において高血糖および低血糖が引き起こされることがあり得る。インスリンの投与は、場合によっては、この高血糖が成功裏に処置され得るが、一部の患者はインスリン抵抗性を示し、インスリン処置に応答しないことがあり得る(非特許文献4)。高血糖は、血液透析の状況以外の場合であっても有効な栄養補助に対する大きな障壁である。多くの試験により、高血糖と罹病率および死亡率の上昇との関連性が報告されている(非特許文献5)。さらに、典型的なIDPN処置での液量も厳密な体液管理下にある患者での使用には障壁となる。したがって、IDPN投与に関連する高血糖が低減され、IDPNとともにインスリンを投与する必要性が低減される、患者に対する投与のための改善されたIDPN組成物の必要性が存在している。さらに、低容量のIDPN投薬形態の必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0148647号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】MooreおよびLindenfield,Support Line 29(5):7−16(2007年10月)
【非特許文献2】Powers,Contemporary Dialysis and Nephrology:29−3l(1990年2月)
【非特許文献3】MooreおよびCelano,Nutrition in Clinical Practice,20(2):202−212(2005)
【非特許文献4】GoldsteinおよびStrom,Journal of Renal Nutrition l(1):9−22(1991年1月)
【非特許文献5】McCowenおよびBistrian,Nutrition in Clinical Practice,19(3):235−244(2004年6月)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は、炭水化物含有量が少なく低容量である経静脈栄養輸液(IDPN)用液を提供する。本発明のIDPN液は、透析処置を受けている患者の栄養不良の処置において有効である。また、この溶液により、維持血液透析(MHD)患者を受けている患者に投与した場合、インスリン投与の必要性が低減される。さらに、耐糖能および糖代謝が障害される代謝状態を有する患者もまた、本発明のIDPN液の恩恵を受ける。また、厳密な体液管理下にある患者も、本発明のIDPN液の恩恵を受ける。本発明のIDPN液には、アミノ酸、任意選択で、脂質および/または微量養分(ビタミン類、微量元素および/またはミネラル分など)も含まれる。特定の好ましい実施形態では、IDPN液に脂質は含まれない。他の好ましい実施形態では、本発明のIDPN液は、患者に対する投与のための容器内、例えば、非経口投与に適切なバッグ内に維持される。一実施形態において、各バッグには、患者に対する1回分の用量のIDPNが収容される。他の実施形態では、この用量にインスリンなどの医薬品が補給される。この用量は、多くの場合、別個の投与系を用いて皮下投与される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本発明は、炭水化物が少なく低容量である経静脈栄養輸液(IDPN)用液を提供する。本発明のIDPN液により、MHD患者がIDPNを受けた場合、医療担当者が上記患者の炭水化物管理における従事を軽減することが可能になる。さらに、本発明のIDPN液は、グルコース管理が困難なMHD患者(例えば、インスリン抵抗性であり、I型糖尿病または膵炎を有する患者)の栄養不良の処置に特に有効である。また、本発明のIDPN液中の炭水化物が少ないことは、異化作用よりも同化作用に有利となり、したがって、栄養不良が有効に処置される。好ましい実施形態において、本発明のIDPN液は、高注入容量に関連する副作用(例えば、呼吸困難、呼吸数の増加、気道分泌亢進浮腫(rhonchi edema)、高血圧および不安感)が低減されるように低容量である。本発明のIDPN液は、カロリー摂取は充分であるがタンパク質摂取は充分でない患者に特に適切である。さらに、本発明のIDPN液は、標準体重の患者または肥満の患者に投与され得る。
【0010】
好ましくは、本発明のIDPN液は炭水化物とアミノ酸を含むものである。本発明のIDPN液の一部の実施形態では、上記溶液に脂質も含まれる。本発明のIDPN液の他の実施形態では、上記溶液に、ビタミン類、微量元素および/またはミネラル分などの微量養分も含まれる。本発明のIDPN液の他の実施形態では、上記溶液に、インスリンなどの医薬品も含まれる。本発明のIDPN液の好ましい実施形態において、上記医薬品はIDPNと共投与されるが、IDPN液の一部ではない。例えば、インスリンは、別個の注射にて皮下投与され得る。好ましくは、本発明のIDPN液中に含まれる炭水化物はデキストロース(D−グルコース)である。本発明のIDPN液中に含まれるアミノ酸としては、20種類の標準アミノ酸の2種類以上の組合せが挙げられる。好ましくは、上記20種類のアミノ酸全部が本発明のIDPN液にて投与される。より好ましくは、17種類のアミノ酸が使用される。好ましくは、本発明のIDPN液の作製に使用されるアミノ酸溶液は、濃縮液であり、低容量という有益性のため本発明において使用される。好ましくは、上記濃縮液は15g/mLのアミノ酸を含むものである。より好ましくは、上記濃縮液は20g/mLのアミノ酸を含むものである。
【0011】
好ましくは、本発明のIDPN液は0.02g/mL〜0.10g/mLのデキストロースを溶解状態で含む。好ましくは、本発明のIDPN液は0.04g/mL〜0.08g/mLのデキストロースを溶解状態で含む。より好ましくは、本発明のIDPN液は0.05g/mL〜0.07g/mLのデキストロースを溶解状態で含む。より好ましくは、本発明のIDPN液は0.055g/mL〜0.065g/mLのデキストロースを溶解状態で含む。本発明のIDPN液の種々の実施形態において、上記溶液は、0.02g/mL、0.03g/mL、0.04g/mL、0.05g/mL、0.06g/mL、0.07g/mL、0.08g/mL、0.09g/mLまたは0.10g/mLのデキストロースを溶解状態で含む。本発明のIDPN液の他の実施形態では、上記溶液は、0.055g/mL、0.056g/mL、0.057g/mL、0.058g/mL、0.059g/mL、0.060g/mL、0.061g/mL、0.062g/mL、0.063g/mL、0.064g/mLまたは0.065g/mLのデキストロースを溶解状態で含む。
【0012】
好ましくは、本発明のIDPN液は、患者に対する投与のための滅菌容器内にパッケージングされる。好ましくは、滅菌容器は、患者に対するIDPN液の非経口投与に使用されるバッグである。好ましくは、バッグには、IDPN液100mL〜IDPN液2リットルが収容される。より好ましくは、バッグには、300mLまたは1リットルのIDPN液が収容される。より好ましくは、バッグには、IDPN液419mL〜IDPN液809mLが収容される。より好ましくは、バッグには、350mL〜635mLの上記溶液が収容される。
【0013】
好ましくは、本発明のIDPN液は滅菌容器内に、滅菌容器に患者に対する投与のための1回分の用量のIDPN液が収容されるように、パッケージングされる。好ましくは、IDPN液の上記用量は、IDPN液100mL〜IDPN液2リットルの容量を有する。より好ましくは、IDPN液の上記用量は、IDPN液350mLまたは635mLの容量を有する。より好ましくは、IDPN液の上記用量は、300mL、342mL、350mL、383mL、400mL、419mL、427mL、450mL、483mL、500mL、540mL、550mL、600mL、613mL、635mL、700mLまたは809mLの容量を有する。本発明のIDPN液に関連する容量に関して、用語「約」は、当該用量の+/−10mLを意味する。
【0014】
好ましくは、本発明のIDPN液のある用量には10g〜50gのデキストロースが含まれる。より好ましくは、IDPN液のある用量には、20g〜45gのデキストロースが含まれる。より好ましくは、IDPN液のある用量には、20g、23g、26g、30g、35gおよび41gのデキストロースが含まれる。本発明のIDPN液に関連するデキストロースの量に関して、用語「約」は、当該用量の+/−1gを意味する。
【0015】
本発明のIDPN液の一部の実施形態では、IDPN液中のデキストロースの量は、IDPN処置を受けている患者の質量(mass)に依存する。一般的に、本発明のIPDN液には、1g/kg患者体重(body mass)未満の用量のデキストロースが含まれる。例えば、34kg〜39kgの質量を有する患者には、20gのデキストロースを含むIDPN液が与えられ、40kg〜44kgの体重を有する患者には、23gのデキストロースを含むIDPN液が与えられ、45kg〜51kgの体重を有する患者には、26gのデキストロースを含むIDPN液が与えられ、52kg〜59kgの体重を有する患者には、30gのデキストロースを含むIDPN液が与えられ、60kg〜69kgの体重を有する患者には、35gのデキストロースを含むIDPN液が与えられ、70kg以上の体重を有する患者には、41gのデキストロースを含むIDPN液が与えられる。
【0016】
好ましくは、本発明のIDPN液は0.10g/mL〜0.20g/mLのアミノ酸を溶解状態で含む。好ましくは、本発明のIDPN液は0.12g/mL〜0.18g/mlのアミノ酸を溶解状態で含む。より好ましくは、本発明のIDPN液は0.15g/mL〜0.17g/mLのアミノ酸を溶解状態で含む。本発明のIDPN液の種々の実施形態において、上記溶液は、0.10g/mL、0.11g/mL、0.12g/mL、0.13g/mL、0.14g/mL、0.15g/mL、0.16g/mL、0.17g/mL、0.18g/mL、0.19g/mLまたは0.20g/mLのデキストロースを溶解状態で含む。本発明のIDPN液の他の実施形態では、上記溶液は、0.150g/mL、0.151g/mL、0.152g/mL、0.153g/mL、0.154g/mL、0.155g/mL、0.156g/mL、0.157g/mL、0.158g/mL、0.159g/mL、0.160g/mL、0.161g/mL、0.162g/mL、0.163g/mL、0.164g/mL、0.165g/mL、0.166g/mL、0.167g/mL、0.168g/mL、0.169g/mLまたは0.170g/mLのアミノ酸を溶解状態で含む。
【0017】
好ましくは、本発明のIDPN液のある用量には30g〜120gのアミノ酸が含まれる。より好ましくは、IDPN液のある用量には51g〜110gのアミノ酸が含まれる。より好ましくは、IDPN液のある用量には、50g、52g、52.5g、55g、60g、65g、68g、70g、75g、78g、80g、85g、90g、95g、100g、105gおよび110gのアミノ酸が含まれる。本発明のIDPN液に関連するアミノ酸の量に関して、用語「約」は、当該用量の+/−3gを意味する。
【0018】
本発明のIDPN液の一部の実施形態では、ある用量のIDPN液中のアミノ酸の量は、IDPN処置を受けている患者の質量に依存する。例えば、34kg〜39kgの体重を有する患者には、51gのアミノ酸を含むIDPN液が与えられ、40kg〜44kgの体重を有する患者には、60gのアミノ酸を含むIDPN液が与えられ、45kg〜51kgの体重を有する患者には、68gのアミノ酸を含むIDPN液が与えられ、52kg〜59kgの体重を有する患者には、78gのアミノ酸を含むIDPN液が与えられ、60kg〜69kgの体重を有する患者には、90gのアミノ酸を含むIDPN液が与えられ、70kg以上の体重を有する患者には、105gのアミノ酸を含むIDPN液が与えられる。
【0019】
本発明のIDPN液の一部の実施形態では、上記溶液に脂質も含まれる。好ましくは、脂質は、大豆由来の精製植物油のエマルジョン(Intraliipid(登録商標),Kabi Vitrum製もしくはTravamulsion(登録商標),Travenol製)またはベニバナ油のエマルジョン(Liposyn(登録商標),Abbott製)である。脂質を含む本発明のIDPN液には、5容量%〜30容量%の脂質が含まれる。好ましくは、脂質を含む本発明のIDPN液には、10容量%〜20容量%の脂質が含まれる。脂質は、高脂血症、急性膵炎、脂質ネフローゼまたは卵に対するアレルギー反応を有する患者に投与されるIPDN液には添加しない方がよい。
【0020】
本発明のIDPN液の好ましい実施形態では、上記溶液に脂質は含まれない。
【0021】
本発明のIDPN液の一部の実施形態では、上記溶液に、ビタミン類、微量元素および/またはミネラル分などの微量養分も含まれる。本発明のIDPN液に任意選択で添加されるビタミン類およびミネラル分としては、水溶性ビタミン類、例えば、ビタミンC、葉酸、ビタミンBおよびビタミンBならびにマルチビタミン(ビタミンKなし)など、ならびに微量元素(亜鉛、セレン、銅、クロムおよびマンガンなど)が挙げられる。また、ミネラル分として、リン酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウムなどの無機塩類も挙げられる。
【0022】
本発明のIDPN液の一部の実施形態では、上記溶液には、医薬(pharamaceutical)組成物も含まれる。本発明のIPDN液中に含めるのに適切な医薬組成物の一例は、インスリンである。一部の実施形態において、インスリンはIDPN液に患者に対する投与の直前に添加され、これは、多くの溶液容器の材質がインスリンを吸収するためである。好ましくは、インスリンは、IDPN液とは独立して共投与される。例えば、インスリンは、IDPNでの処置中に皮下注射され得る。好ましくは、5〜20単位のインスリンが1回分の用量のIDPNに添加される。
【0023】
好ましくは、本発明のIDPN液は、栄養不良に苦しんでいる透析患者に投与される。栄養不良に苦しんでいる透析患者は、タンパク質またはエネルギー分の栄養不良および食事によるタンパク質摂取が不充分である徴候、充分な経口栄養分(サプリメントおよびチューブによる食物摂取を含む)の投与または耐容が不可能である徴候、ならびに経口および/または経腸摂取の組合せが、IDPNと併用したとき患者の栄養上の必要性を満たす徴候を検出することにより認定され得る。
【0024】
本発明のIDPN液の投与は、一般的に、患者に対する血液透析の開始と同時に行なわれる。IDPN液の投与中、患者を、耐糖能、タンパク質の状態および/または脂肪の状態についてモニタリングするのがよい。グルコースのモニタリングとしては、IDPN投与前、投与中および投与後での血中グルコースレベル、ならびに患者を高血糖または低血糖の症状についてモニタリングすることが挙げられる。高血糖の症状としては、悪心、喉の渇き、頭痛、嘔吐および虚弱が挙げられる。低血糖の症状としては、頭痛、めまい、振せん、冷汗、錯乱状態、および失神(faintness)が挙げられる。次いで、高血糖または低血糖の存在が、血糖分析(フィンガー・スティック法または動脈グルコースレベルなど)によって確認され得る。高血糖を処置するためには、インスリンが投与される。低血糖を処置するためには、患者に、20g〜30gの単純な炭水化物を経口で与えるのがよい。タンパク質のモニタリングとしては、透析前の血中尿素窒素(BUN)および透析至適性の尺度であるKt/Vのモニタリングが挙げられる。
【0025】
脂肪のモニタリング(monitoing)は、患者の血流からの脂質の排除を確実にするための脂質注入前と最初の脂質注入後の別の時点の透析前トリグリセリド試験を含む。また、再栄養症候群の存在について、ナトリウム、カリウム、リンおよびマグネシウムレベルをモニタリングするのがよい。
【0026】
一般的に、本発明のIDPN液は、患者に対して血液透析を行なうために使用されている透析機のポートポストダイアライザーを通って投与される。好ましい実施形態において、IDPN注入は、透析機の静脈側チャンバを通って行なわれる。非経口投与経路の例としては、静脈内投与、皮内投与、皮下投与および腹腔内投与が挙げられる。薬学的に許容され得る任意の担体が、本発明のIDPN液とともに使用され得る。本発明のIDPN液は、先行技術のIDPN液が投与されるのと同様にして投与され得る。
【実施例】
【0027】
実施例
タンパク質充満製剤
以下のIDPN製剤を開発した。これらの製剤は、3.25時間以上の透析処置時間が必要とされるMHD患者に投与される。上記製剤には脂肪は含まれておらず、微量養分も含まれていないが、これらの成分は容易に添加され得る。
【0028】
【表1】

各体重クラスの被験体に対する注入速度の計画を以下の表2に示す。
【0029】
【表2】

市販供給源のアミノ酸をさらに希釈して以下の製剤を作製した。
【0030】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.02g/ml〜0.10g/mlのデキストロース;および
b)0.10g/ml〜0.20g/mlのアミノ酸
を含み;
該デキストロースと該アミノ酸はともに水溶液中に溶解されている、
組成物。
【請求項2】
前記アミノ酸が17種類のアミノ酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに脂肪酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記脂肪酸が前記水溶液中に5容量%〜30容量%で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
さらに微量養分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
a)20g〜41gのデキストロース;および
b)51g〜105gのアミノ酸
を含む投薬形態であって;
該デキストロースと該アミノ酸は300mL〜650mLの水溶液に溶解されており、該溶液は滅菌容器内に収容されており、該滅菌容器が、該水溶液中に溶解された該デキストロースと該アミノ酸の非経口投与に適したものである、
投薬形態。
【請求項7】
前記アミノ酸が17種類のアミノ酸を含む、請求項6に記載の投薬形態。
【請求項8】
さらに脂肪酸を含む、請求項6に記載の投薬形態。
【請求項9】
前記脂肪酸が前記水溶液中に5容量%〜30容量%で存在する、請求項8に記載の投薬形態。
【請求項10】
さらに微量養分を含む、請求項6に記載の投薬形態。
【請求項11】
血液透析患者の体重を測定することを含み、該患者の体重が34kg〜39kgである場合、該患者には、約20gのデキストロースと約51gのアミノ酸の約334mLの溶液が非経口投与され;該患者の体重が40kg〜44kgである場合、該患者には、約23gのデキストロースと約60gのアミノ酸の約383mLの溶液が非経口投与され;該患者の体重が45kg〜51kgである場合、該患者には、約26gのデキストロースと約68gのアミノ酸の約427mLの溶液が非経口投与され;該患者の体重が52kg〜59kgである場合、該患者には、約30gのデキストロースと約78gのアミノ酸の約483mLの溶液が非経口投与され;該患者の体重が60kg〜69kgである場合、該患者には、約35gのデキストロースと約90gのアミノ酸の約550mLの溶液が非経口投与され;該患者の体重が70kgより重い場合、該患者には、約41gのデキストロースと約105gのアミノ酸の約635mLの溶液が非経口投与され;それにより、これらの処置を必要とする血液透析患者の栄養不良を処置する、これらの処置を必要とする血液透析患者の栄養不良の処置方法。
【請求項12】
前記アミノ酸が17種類のアミノ酸を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
a)約20gのデキストロース;および
b)約51gのアミノ酸
を含む投薬形態であって、
該デキストロースと該アミノ酸が約334mLの容量の水溶液に溶解されており、該投薬形態が、水溶液での該デキストロースと該アミノ酸のヒト患者への非経口投与に適切な滅菌容器内に収容されている、
投薬形態。
【請求項14】
前記滅菌容器に、前記投薬形態が、体重が34〜39kgである場合の前記ヒト患者に対する投与に適切であることを示す表示がなされている、請求項13に記載の投薬形態。
【請求項15】
a)約23gのデキストロース;および
b)約60gのアミノ酸
を含む投薬形態であって、
該デキストロースと該アミノ酸が約383mLの容量の水溶液に溶解されており、該投薬形態が、水溶液での該デキストロースと該アミノ酸のヒト患者への非経口投与に適切な滅菌容器内に収容されている、
投薬形態。
【請求項16】
前記滅菌容器に、前記投薬形態が、体重が40kg〜44kgである場合の前記ヒト患者に対する投与に適切であることを示す表示がなされている、請求項15に記載の投薬形態。
【請求項17】
a)約26gのデキストロース;および
b)約68gのアミノ酸
を含む投薬形態であって、
該デキストロースと該アミノ酸が約427mLの容量の水溶液に溶解されており、該投薬形態が、水溶液での該デキストロースと該アミノ酸のヒト患者への非経口投与に適切な滅菌容器内に収容されている、
投薬形態。
【請求項18】
前記滅菌容器に、前記投薬形態が、体重が45kg〜51kgである場合の前記ヒト患者に対する投与に適切であることを示す表示がなされている、請求項17に記載の投薬形態。
【請求項19】
a)約30gのデキストロース;および
b)約78gのアミノ酸
を含む投薬形態であって、
該デキストロースと該アミノ酸が約483mLの容量の水溶液に溶解されており、該投薬形態が、水溶液での該デキストロースと該アミノ酸のヒト患者への非経口投与に適切な滅菌容器内に収容されている、
投薬形態。
【請求項20】
前記滅菌容器に、前記投薬形態が、体重が52kg〜59kgである場合の前記ヒト患者に対する投与に適切であることを示す表示がなされている、請求項19に記載の投薬形態。
【請求項21】
a)約35gのデキストロース;および
b)約90gのアミノ酸
を含む投薬形態であって、
該デキストロースと該アミノ酸が約550mLの容量の水溶液に溶解されており、該投薬形態が、水溶液での該デキストロースと該アミノ酸のヒト患者への非経口投与に適切な滅菌容器内に収容されている、
投薬形態。
【請求項22】
前記滅菌容器に、前記投薬形態が、体重が60kg〜69kgである場合の前記ヒト患者に対する投与に適切であることを示す表示がなされている、請求項21に記載の投薬形態。
【請求項23】
a)約41gのデキストロース;および
b)約105gのアミノ酸
を含む投薬形態であって、
該デキストロースと該アミノ酸が約635mLの容量の水溶液に溶解されており、該投薬形態が、水溶液での該デキストロースと該アミノ酸のヒト患者への非経口投与に適切な滅菌容器内に収容されている、
投薬形態。
【請求項24】
前記滅菌容器に、前記投薬形態が、体重が70kgより重い場合の前記ヒト患者に対する投与に適切であることを示す表示がなされている、請求項23に記載の投薬形態。

【公表番号】特表2011−527346(P2011−527346A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517522(P2011−517522)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/049800
【国際公開番号】WO2010/005961
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511005619)ペンテック ヘルス, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】