説明

栄養組成物の投与装置

【課題】 操作性および洗浄性に優れ、かつ、取り扱いが簡便で、安価な、栄養組成物の投与装置を提供する。
【解決手段】 本投与装置は、内部に栄養組成物を収容する筒状のシリンダー部110と、シリンダー部の内部に挿入される第1および第2のピストン部115,120と、ノズル131が形成された第1のシリンダーキャップ130と、ガス入口141が形成された第2のシリンダーキャップ140とを備える。第1のシリンダーキャップと前記第1のピストン部との間に栄養組成物を充填し、第1および第2のピストン部間にフラッシング剤を充填し、ガス入口141からのガスを供給することにより、栄養組成物およびフラッシング剤をノズル131から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形食品の摂取が困難な患者や高齢者に対して、経腸栄養剤や流動食を、経口または経鼻、経胃、経十二指腸投与するために使用する栄養組成物の投与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、経腸栄養剤や流動食での患者の栄養管理では、経口、経鼻チューブあるいはPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy:経皮内視鏡的胃瘻造設術)による投与が行われている。しかしながら、栄養剤・流動食は、そのいずれも液状であるため、例えば、経口投与の場合では嚥下障害のため摂取が不可能であったり、または、たとえ摂取したとしても、その後、誤嚥性肺炎を生じたりすることがある。また、経鼻チューブやPEGを介して胃内に投与した場合には、胃−食道逆流による炎症や、特に、PEGの場合には瘻孔からの漏洩による炎症、さらには、その投与速度が速過ぎる場合には下痢を発症するなどの問題を有している。以上の観点から、最近では、ゲル化製剤の開発に伴い、液状の栄養剤・流動食を固形化、ゲル化またはゾル化して投与される場合が多くなってきている。
【0003】
このように栄養剤・流動食を固形化、ゲル化またはゾル化して経口、経鼻チューブにより、または、PEGを介して投与する場合、現状では、投与するための適切な容器がなく、そのため、次に述べるように、既存の容器を代替使用しているのが実情である。
【0004】
(1)ディスポーザブルシリンジ
このような固形化、ゲル化またはゾル化した栄養剤・流動食の投与容器として、注射用のシリンジを代替的に用いることが行われている。しかしながら、この場合、最も容量の大きいものでも50mL程度であるため、一回当たり、400mL程度の固形化、ゲル化またはゾル化した栄養剤・流動食を投与するためには、複数のシリンジ(一回の投与で8〜10本)を使用しなければならない。また、固形化、ゲル化またはゾル化した栄養組成物の硬さによっては、人の力でシリンジを押すことが困難となり、投与不能もしくは大変な煩わしさを伴い、そのため、操作性に問題があった。なお、かかるディスポーザブルシリンジは、本来、シングルユース(1回限り)で使用しなければならないが、上述したように、一回の投与で複数本のシリンジが必要となり、経費が高くなってしまうことから、一度使用したシリンジを洗浄し、繰り返して使用することも行われていた。
【0005】
(2)ドレッシングポット
一回に投与する容量(400mL)に対しては丁度良い大きさ(容量)であり、かつ、そのノズル部もPEGチューブに適合することなどから、固形化、ゲル化またはゾル化した栄養製品の投与容器として使用されている。しかしながら、容器自体に柔軟性がなく、内部に充填した栄養組成物を押し出すためには、持続した力を要することから、操作性が悪いという問題点があった。また、特に、付着性のある栄養組成物の場合には、容器の内壁に付着して残るため、その全量を投与することが困難であり、そのため、無駄が生じてしまい、加えて、その投与量が不正確になるという問題点があった。
【0006】
(3)シャンプーボトル
上記に加えて、シャンプーボトルを代替的に利用することが、一部の医療現場で行われている。しかしながら、その本来の使用目的から、イメージ的に好ましくなく、加えて、その洗浄性が悪いため、容器内部の微生物汚染が懸念されるという問題点があった。
【0007】
加えて、経鼻チューブまたはPEGチューブを介して液状の栄養剤・流動食を投与する場合には、特殊な器具を使用しなくても、自然落下によりチューブ内を流動させることができるが、場合によっては、その投与速度を一定に保つため、高価な医療用ペリスタポンプを使わざるを得ない、あるいは自然落下のために投与時間が長く、患者および介護者への負担が掛かる、微生物繁殖などの問題を有するのが実情である。
【0008】
特許文献1には、所定量の液体を少しずつ継続して注入する為に用いられる液体持続注入装置に関する技術が開示されている。この技術は、例えば気体により容器内の可動隔壁を移動させて液体を外部に排出するものである。
【特許文献1】特開平3−77559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、現在、固形化、ゲル化またはゾル化した栄養製品の投与に専用(即ち、一回の投与容量(400mL)に適合した容量)の装置(容器)がないことから、操作性などにおける問題点にも拘わらず、上述した容器を代替的に利用しているのが現状である。また、病院や介護施設における過大な労力負担を引き起こす一因ともなっており、そのため、専用の投与装置が強く望まれていた。
【0010】
なお、上述したように、液状のものは特殊な器具を使用しなくても自然落下でチューブ内を流動させることができるが、場合によっては、投与速度を一定に保つため、高価な医療用ペリスタポンプなどを使わざるを得ない、あるいは自然落下のために投与時間が長く、患者および介護者への負担が掛かる、微生物繁殖などの問題がある。加えて、固形化、ゲル化またはゾル化した製剤は、100〜50,000N/mというゲル破断強度があることから、自然落下もしくはペリスタポンプで投与することが不可能であり、その投与における問題点を解決するための手段が必要となっていた。
【0011】
即ち、従来、液状経腸栄養剤や流動食品の固形化、ゲル化またはゾル化に伴う適切な投与装置(容器)がなく、そのため、病院や介護施設等において過大な労力負担を強いている。
そのため、固形化、ゲル化またはゾル化製剤の開発に当たっては、同時に、その製剤のための、取り扱いが簡便でかつ安価な投与手段及び方法の開発が望まれていた。
【0012】
また、PEGチューブから栄養剤や流動食を投与した場合、一般に、チューブ内に残った固形剤をそのままに留置させると、微生物汚染の原因となる。これを回避するためには、チューブ内に残った栄養組成物をフラッシングする操作が必要になる。この操作の現状は、栄養組成物とは別に、洗浄のためのフラッシング剤を別に準備しておき、栄養組成物の投与後に、PEGチューブ部を繋ぎ換えて、フラッシングを行なっている。しかしながら、この繋ぎ換えを行った時に、空気が混入するなどの問題を生ずる。
【0013】
従って、本発明の目的は、上述した問題点を解決し、操作性および洗浄性に優れ、かつ、取り扱いが簡便で、安価な、栄養組成物の投与装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、内部に栄養組成物を収容する筒状のシリンダー部と、前記シリンダー部の内部に挿入される第1および第2のピストン部と、前記第1のピストン部に対向して前記シリンダー部の一端に着脱可能に取り付けられノズルが形成された第1のシリンダーキャップと、前記第2のピストン部に対向して前記シリンダー部の他端に着脱可能に取り付けられ流体入口が形成された第2のシリンダーキャップとを備え、前記第1のシリンダーキャップと前記第1のピストン部との間に前記栄養組成物を充填し、前記第1および第2のピストン部間にフラッシング剤を充填し、前記流体入口からの流体を供給することにより、前記第2のピストン部、フラッシング剤および前記第1のピストン部を移動させて前記栄養組成物を前記ノズルから排出し、その後前記フラッシング剤を前記ノズルから排出するように構成した栄養組成物の投与装置により、達成される。ここで、前記流体は、圧縮ガスとすることができる。また、前記第2のシリンダーキャップに圧力調整弁を設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液状経腸栄養剤や流動食品の種類、あるいはそれらを固形化、ゲル化またはゾル化したものの形態にかかわらず、その操作性・洗浄性に優れ、かつ、取り扱いが簡便で、安価な栄養組成物の投与装置を提供することが可能となり、もって、病院や介護施設等における過大な労力負担の軽減を図ることを可能にするという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る栄養組成物の投与装置の実施の形態の一例を、図面を参照して詳細に説明するが、その前に、本発明の概略を説明する。
本発明の投与装置は、より具体的には、栄養組成物を投与した後にPEGチューブ内に残存する栄養組成物をフラッシングするための機構として、シリンダー内部の前後に通液溝(路)を設け、ピストンを2個(段)装着することにより2液を順番に押し出すことを可能にしたものである。本発明の投与装置は、このような構成を有することにより、栄養組成物の投与後、繋ぎ換え作業を行なうことなく、チューブ内にフラッシング剤を連続して流すことができ、これにより空気の混入を回避すると共に、繋ぎ換えの煩雑作業を省略することができる投与装置を提供するものである。
本発明において、栄養組成物とは、例えば、液状、固形化、ゲル化またはゾル化した経腸栄養組成物(栄養剤や流動食品)が挙げられる。
また、本発明において、フラッシング剤とは、通常のフラッシング剤に限定されず、栄養組成物と混合せずに投与することが望まれる別液でもよい。例えば、乳酸菌製剤、シロップ剤、トマトジュース、緑茶のように、栄養組成物との直接混合が、配合変化等の理由により禁忌とされる薬物溶液や飲料であってもよい。
【0017】
図1は、本発明の他の実施の形態になる栄養組成物の投与装置の全体構成を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は第1のシリンダーキャップの平面図、(c)はシリンダー部の平面図、(d)は第2のシリンダーキャップの平面図である。図示のように、この栄養組成物の投与装置100は、その容量は例えば400mL程度またはそれ以上であるが、医療用の注射器を原型にし、そのピストンの押し棒を取り除いた構造であり、かつ、投与装置を3分割できるようにして、特に、その洗浄性を向上させた簡単な構造のものである。
【0018】
なお、押し出し棒を取り除いた理由としては、大口径の注射器では注射筒の断面積が大きくなり、そのため、通常、人の力では簡単に押し出すことが出来なくなるためであり、そこで、本発明では、前記ピストンの押し出しの動力源として、ガス圧送方式を採用したものである。しかしながら、本発明は、このガス圧送方式だけに限定されることなく、その他の動力源を前記ピストンの押し出しのために利用することも可能である。
【0019】
次に、投与装置(容器)100は、具体的な一例として、内側直径が62mm、高さ175mmの寸法を有し、その両端がそのまま開放した筒状のシリンダー部110を有しており、その内部には、前記シリンダー部110の内部上下方向に自在に移動可能な第1のピストン部(A)115、第2のピストン部(B)120が設けられている。即ち、第1のピストン部(A)115に加えて、それよりも薄い第2のピストン部(B)120が挿入されており、ピストン部が二段で構成されており、両ピストン部はシリンダー部の内部上下方向に自在に移動可能になっている。第1のピストン部(A)115と第2のピストン部(B)120との間には、栄養組成物を投与した後に投与装置やPEGチューブに残存する栄養組成物をフラッシングするためのフラッシング剤を充填する構造となっている。
【0020】
前記シリンダー部110の両端には、外形略円盤状の第1のシリンダーキャップ130、第2のシリンダーキャップ140が、例えば、螺旋(ネジ)機構によって着脱可能に取り付けられている。なお、第1のシリンダーキャップ130の外側面には、その略中央部にノズル131が形成されており、ここでは図示しないが、投与に用いるチューブが取り付けられるようになっている。また、第2のシリンダーキャップ140も、上記と同様に、螺旋機構によって着脱可能に取り付けられ、そこには圧送ガスの導入口と排出口とを形成するガス(流体)入口141とガス(流体)出口142とが形成されている。このガス入口141には、ピストン押し出し用の動力源150から圧縮ガスが注入可能とされている。
【0021】
そして、投与装置(容器)100の内部において自在に移動可能な第1および第2のピストン部115,120は、円筒形状の外形を有しており、かつ、その両端付近には、シリンダー部110との間の密封性を持たせるため、Oリング116,121がそれぞれ設けられている。また、上記一対のシリンダーキャップ130、140にも、シリンダー部110の両端に取り付けた際に前記シリンダー部の端面が当接する部位には、やはり、平パッキン132、143がそれぞれ設けられており、それらの間の密封性を確保している。ところで、ここで使用するOリングおよび平パッキンの材質に関しては、柔軟性を有するゴム系のものから、例えば、テフロン(登録商標)などの樹脂系のものまで、様々なものが存在するが、密封性を維持でき、かつ、人体に影響を与えないものであれば、その機能を十分に果たすことができる。なお、本例では、例えばバイトンを材質としているが、それのみ限定されるものではない。
【0022】
さらに、上記筒状シリンダー部110の両端部の内周壁面(図示の例では、両端部の内周壁面)には、栄養組成物を排出し終わった後、第1のピストン部(A)115が第1のシリンダーキャップ130の底面に当接した際に、フラッシング剤をノズル131から排出し、PEGチューブに供給するための流路を形成するための通液溝部112が設けられている。なお、この通液溝部112の幅(高さ方向)は、上記ピストン部(A)120の高さ(厚さ)よりも小さく、かつ、上記第2のピストン部(B)120’の高さ(厚さ)よりも大きくすることができる。
【0023】
一方、第1のシリンダーキャップ130の底面には、第1のピストン部(A)115が当接した際、第1のシリンダーキャップ130の底面との間にフラッシング剤の通液路を形成するためパッキン132に複数(図示の例では、4個)の突起部134が設けられている。また、第2のシリンダーキャップ140の底面にも、これと同様に、複数の突起部145を有するパッキン143を備えることができる。
【0024】
また、上記のシリンダー部110、第1および第2のピストン部115,120、そして、第1および第2のシリンダーキャップ130、140の材質としては、人体に影響を与えないものであればよく、例えば、金属、プラスチック樹脂、ガラスなどが考えられ、その機能を十分に果たせるが、その機能上、人が持って操作することを考えた場合、軽量化できるプラスチック樹脂を使用することが望ましいであろう。なお、本例では、上述した操作性などを考慮して、アクリル樹脂のようなプラスチック樹脂によって形成している。また、プラスチック樹脂は、特に、射出成型による大量生産にも適しており、本発明になる投与容器100を大量に製造するための材質として好適である。
【0025】
さらに、図中の符号111は、上記シリンダー部110の両端部において、その外周面に形成された螺旋(ネジ)溝を、符号133、144は、上記一対のシリンダーキャップ130、140の内周側に形成された螺旋(ネジ)溝を示している。即ち、これら螺旋(ネジ)溝により、上記一対のシリンダーキャップ130、140は、シリンダー部110の両端に、容易に、着脱可能に取り付けることができる。
【0026】
図2は、上述した他の実施の形態になる投与装置(容器)100の使用方法を示している。まず、図2(a)に示すように、シリンダー部110の内部に第1のピストン部(A)115を挿入し、その後、所定の量のフラッシング剤190を充填する。さらに、上方から第2のピストン部(B)120を挿入する。なお、この時、気泡や余分なフラッシング剤は、上記溝(段差)部111を介して外部へ溢れ出る(図の矢印を参照)。即ち、実際に使用されるフラッシング剤は、第1のピストン部(A)115と第2のピストン部(B)120との間に挟まれた容量となり、この容量の調整は、第1のピストン部(A)115をシリンダー部110の内部に設置する位置により決定される。
【0027】
次に、上記図2(a)において、その間にフラッシング剤190を充填して第1のピストン部(A)115と第2のピストン部(B)120とを挿入したシリンダー部110を、上下反転して図2(b)に示す状態とし、第1のピストン部(A)115の上部に形成される空間部分に栄養組成物180を調整(充填)する。
【0028】
その後、図2(c)に示すように、二段の第1のピストン部(A)115と第2のピストン部(B)120によって内部に栄養組成物と共にフラッシング剤190を充填したシリンダー部110の両端に、一対のシリンダーキャップである、第1のシリンダーキャップ130と第2のシリンダーキャップ140とを取り付ける(螺合する)。また、第1のシリンダーキャップ130の外側面の略中央に設けられたノズル131には、投与に用いるチューブ200の一端が取り付けられる。前記チューブの他端は、例えば、固形食品の摂取が出来ない患者や高齢者に対して、経口または経鼻またはPEGを介して胃内に導入される。また、シリンダー部110の下端に取り付けられた第2のシリンダーキャップ140のガス入口141には、ピストン押し出し用の動力源からの配管を接続し、その内部に圧縮ガス(流体)185を注入する。一方、ガス出口142には、図示しないが、必要に応じ、例えば、圧力調整弁、または、バルブ等を取り付ける。
【0029】
この圧縮ガス185の供給により、図2(c)に示すように、シリンダー部110の下端部に供給された圧縮ガス185は、シリンダー内部の第2のピストン部(B)120、フラッシング剤190および第1のピストン部(A)115を徐々に押し上げ、もって、シリンダー部110の上部に充填された栄養組成物180を、第1のシリンダーキャップ130のノズル131からチューブ200を介して患者の胃内に投与する。この時、第1のピストン部115は、シリンダー内部を上昇しながら栄養組成物180をノズル131から排出し、最後には、第1のシリンダーキャップ130の底面に当接して停止し、栄養組成物の投与を完了する。なお、上記と同様に、第2のシリンダーキャップ140のガス出口142に圧力調整弁を取り付けて内圧を制御することによれば、栄養組成物180の吐出量を調整することが可能となり、または、バルブ等を取り付けて内部の圧力を適宜調整することによれば、上記の動作の途中で、例えば、栄養組成物180の投与を停止し、または、その投与速度を低減することが容易に可能となる。
【0030】
上記第1のピストン部115が第1のシリンダーキャップ130の底面に当接して停止、即ち、栄養組成物の吐出が終了すると、続いて、図2(d)に示すように、第1のピストン部(A)115のOリング116は上記シリンダー部110の端部に形成した流液路を形成する溝(段差)部112に達する。これにより、第1のピストン部(A)115と第2のピストン部(B)120との間に挟まれたフラッシング剤190は、通液溝部112を通過し、さらには、第1のシリンダーキャップ130の底面にパッキンで形成された突起部134によって第1のピストン部(A)115との間に形成された通路を通過してノズル131に至り、PEGチューブ内に残存する栄養組成物を押し出してチューブ200内にフラッシング剤190を注入する。その後、第2のピストン部(B)120が第1のピストン部(A)115の底面に到達(当接)すると、上記フラッシング剤190の吐出は停止する。
【0031】
以上のようにして栄養組成物を患者に投与し、フラッシング剤をPEGチューブへ連続して流した後は、シリンダー部110の両端に取り付けた第1のシリンダーキャップ130と第2のシリンダーキャップ140とを取り外し、さらには、内部に挿入した第1のピストン部(A)115及び第2のピストン部(B)120をシリンダー部110から取り出すことにより、投与装置100を、その内部をも含めて、簡単かつ容易に、洗浄することが可能となる。
【0032】
この実施の形態になる投与装置(容器)100によれば、上記に述べた投与容器により得られる効果に加えて、さらに、フラッシング機構を付加したことから、チューブ内にフラッシング剤を連続して流すことができることから、特に、洗浄性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、固形食品の摂取が出来ない患者や高齢者に対して、経腸栄養剤や流動食を、経口または経鼻、経胃、経十二指腸投与するために使用する栄養組成物の投与装置に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態になる栄養組成物の投与装置の全体構成を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は第1のシリンダーキャップの平面図、(c)はシリンダー部の平面図、(d)は第2のシリンダーキャップの平面図である。
【図2】図1に示した投与装置を使用して栄養組成物を投与する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
100…投与装置(容器)
110…シリンダー部
115…第1のピストン部
120…第2のピストン部
130…第1のシリンダーキャップ
140…第2のシリンダーキャップ
131…ノズル
141…ガス入口
142…ガス出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に栄養組成物を収容する筒状のシリンダー部と、前記シリンダー部の内部に挿入される第1および第2のピストン部と、前記第1のピストン部に対向して前記シリンダー部の一端に着脱可能に取り付けられノズルが形成された第1のシリンダーキャップと、前記第2のピストン部に対向して前記シリンダー部の他端に着脱可能に取り付けられ流体入口が形成された第2のシリンダーキャップとを備え、前記第1のシリンダーキャップと前記第1のピストン部との間に前記栄養組成物を充填し、前記第1および第2のピストン部間にフラッシング剤を充填し、前記流体入口からの流体を供給することにより、前記第2のピストン部、フラッシング剤および前記第1のピストン部を移動させて前記栄養組成物を前記ノズルから排出し、その後前記フラッシング剤を前記ノズルから排出するように構成したことを特徴とする栄養組成物の投与装置。
【請求項2】
前記流体が、圧縮ガスであることを特徴とする請求項1に記載の栄養組成物の投与装置。
【請求項3】
前記第2のシリンダーキャップに圧力調整弁が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の栄養組成物の投与装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−82634(P2007−82634A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272899(P2005−272899)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(502138359)イーエヌ大塚製薬株式会社 (56)
【Fターム(参考)】