核医学イメージング装置および核医学画像作成方法
【課題】CT画像を用いるPET画像の減弱補正において、横隔膜など移動する部位の減弱補正を精度良く行うこと。
【解決手段】ユーザが横隔膜近辺の各CT画像に対して加重平均CT画像がリファレンス画像に近くなるように指定した重みに基づいて補正テーブル作成部42のテーブル作成部422が補正テーブルを作成し、補正処理部44の加重平均処理部442が補正テーブルに定義された重みを用いて横隔膜近辺のCT画像を加重平均し、減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成し、再構成部444が減弱マップを用いてPET画像を減弱補正する。
【解決手段】ユーザが横隔膜近辺の各CT画像に対して加重平均CT画像がリファレンス画像に近くなるように指定した重みに基づいて補正テーブル作成部42のテーブル作成部422が補正テーブルを作成し、補正処理部44の加重平均処理部442が補正テーブルに定義された重みを用いて横隔膜近辺のCT画像を加重平均し、減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成し、再構成部444が減弱マップを用いてPET画像を減弱補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性同位元素によって標識された薬剤を投与した被検体から放出されるγ線を検出することにより、被検体内における放射性同位元素の分布を画像化する核医学イメージング装置及び核医学画像作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置、MRI装置、X線CT装置及び核医学イメージング装置などを用いた医用画像診断は、コンピュータ技術の発展に伴って急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。
【0003】
上述のX線診断装置やX線CT装置は、臓器や腫瘍等の輪郭を描出することによって診断を行う、所謂形態学診断を目的としているのに対し、核医学イメージング装置は、生体組織に選択的に取り込まれた同位元素又はその標識化合物から放射されるγ線を体外から計測し、そのカウント(または数値)分布を画像化することにより被検体に対する機能診断を可能としている。
【0004】
この核医学イメージング装置として、ガンマカメラ、シングルフォトンエミッションCT装置(SPECT装置)、ポジトロンエミッションCT装置(PET装置)等が臨床の場で使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ガンマカメラは、被検体内から放出されるγ線を、この被検体に対向させて配置した平面検出器によって測定することにより、この平面検出器に投影された放射性同位元素の分布を2次元画像として表示する装置であり、平面検出器の前面に装着されたコリメータによってγ線の入射方向を特定している。
【0006】
また、SPECT装置は、被検体の周囲でガンマカメラと同様の平面検出器を移動あるいは複数の平面検出器を配置し、この被検体に対し複数の方向から検出したγ線情報に基づきX線CT装置と同様の再構成処理を行って画像データを生成している。
【0007】
一方、PET装置は、陽電子(ポジトロン)を放出する核種によって標識した薬剤を被検体に投与し、この陽電子が電子と結合し消滅する際に、略反対方向に放出する511keVの一対のγ線を、例えば、被検体の周囲に配置したリング状の検出器によって検出し、このγ線情報を再構成処理することにより画像データの生成を行っている。
【0008】
また、X線CT装置とPET装置を組み合わせることによって、X線CT装置で作成される形態画像とPET装置で作成される機能画像の融合に適したPET/CT装置も使用されている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−107995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
PET装置やPET/CT装置では、被検体内で生じるγ線の減弱を補正する必要がある。図10は、減弱補正前後でのPET画像例を示す図である。同図に示すように、PET画像は減弱補正前後で大きく異なるため、減弱補正は不可欠であるといえる。また、SPECT/CT装置でも同様の問題がある。
【0011】
減弱補正には、透過スキャンで収集した減弱データを使用する方法とCT画像を使用する方法とがある。CT画像を使用する減弱補正は、透過スキャンで減弱データを収集する場合と比較して、検査時間が短くなる、減弱マップ値の精度が向上するなどの利点がある。
【0012】
しかしながら、CT画像を使用する減弱補正には、呼吸により位置が変わる横隔膜周辺など動きのある部位では、SUV(Standardized Uptake Value)値が大きく変動するという問題がある。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、横隔膜周辺など動きのある部位の減弱補正を精度良く行うことができる核医学イメージング装置および核医学画像作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学イメージング装置であって、生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成手段と、前記減弱マップ作成手段により作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7記載の本発明は、CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学画像作成方法であって、生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成ステップと、前記減弱マップ作成ステップにより作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正ステップとを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1または7記載の本発明によれば、横隔膜付近など動きのある部位の核医学画像のSUV値の精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る核医学イメージング装置および核医学画像作成方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では、本発明をPET/CT装置に適用した場合を中心に説明する。また、本実施例では、横隔膜近辺のPET画像を減弱補正する場合を中心に説明する。
【実施例】
【0018】
まず、本実施例に係るPET/CT装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係るPET/CT装置の構成を説明するための説明図である。同図に示すように、このPET/CT装置は、PETスキャナ1と、CTスキャナ2と、寝台3と、データ処理装置4と、表示装置5とを有する。また、このPET/CT装置は、図1では省略されているが、ユーザがPET/CT装置への指示を入力するためのボタン、キーボードなどを有する。
【0019】
PETスキャナ1は、患者の診断部位から逐次放射される1対のγ線をリング状のデータ検出部に設けられた複数の検出器モジュールを用いて所定のモニタリング期間にて検出し、得られたγ線のカウント値に基づく投影データを検出器モジュールにおけるγ線検出位置及びγ線入射方向に対応させて生成する装置である。
【0020】
CTスキャナ2は、X線を発生するX線発生装置とX線を検出する検出器を備え、X線発生装置により発生したX線を患者に照射し、患者を透過したX線を検出器により検出して投影データを生成する装置である。
【0021】
寝台3は、患者を載せるベッドである。データ処理装置4は、PETスキャナ1およびCTスキャナ2によってそれぞれ生成された投影データを処理してPET画像およびCT画像を生成し、表示装置5に表示する装置である。
【0022】
図2は、データ処理装置4の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このデータ処理装置4は、CT画像記憶部41と、補正テーブル作成部42と、補正テーブル記憶部43と、補正処理部44と、入力受付部45と、PET画像記憶部46とを有する。
【0023】
CT画像記憶部41は、CTスキャナ2によって生成された投影データから作成されたCT画像を記憶する記憶部である。このCT画像記憶部41は、後述する補正テーブル作成用のCT画像として様々な患者の横隔膜付近の呼吸同期CT画像と非同期CT画像を記憶するとともに、PET画像の減弱補正用として患者の横隔膜付近の非同期CT画像を記憶する。
【0024】
補正テーブル作成部42は、補正処理部44が減弱補正を行う際に用いる減弱マップを作成するための重みを定義する補正テーブルを作成する処理部であり、比較画像表示部421と、テーブル作成部422とを有する。
【0025】
比較画像表示部421は、減弱マップを作成するための重みを定義する重み定義処理を行う処理部である。図3は、横隔膜を対象として比較画像表示部421による重み定義処理を説明するための説明図である。
【0026】
同図(a)に示すように、比較画像表示部421は、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜の位置にカーソルを設定して表示する。また、その位置の呼吸同期CT画像をリファレンス画像として表示する。ここで、呼吸同期CT画像とは、呼吸による横隔膜の動きが少ない画像である。そして、比較画像表示部421は、同図(b)に示すように、カーソルの位置を中心とした前後NスライスのCT画像を表示する。なお、Nはユーザが指定可能な数であり、この例ではN=3である。リファレンスは呼吸同期CTの同期したスライスを全て加算したものを用いる。
【0027】
そして、ユーザが各スライスのCT画像の重みを指定すると、比較画像表示部421は、ユーザが指定した重みで各スライスのCT画像を加重平均した加重平均CT画像を作成して表示する。ここで、ユーザは、加重平均CT画像がリファレンス画像に近くなるように重みを指定する。この例では、3スライスのCT画像に対してユーザは「1:2:1」の重みを指定している。
【0028】
このように、比較画像表示部421が、カーソルの位置を中心とした前後NスライスのCT画像およびこれらのCT画像をユーザの指定する重みで加重平均したCT画像を表示することによって、ユーザはリファレンス画像に最も近いCT画像を得るための重みを定義することができる。なお、ユーザによる重みの定義は、横隔膜のスライスに対してだけでなく、横隔膜の前後のMスライスに対して行われる。ここで、Mはユーザが指定する数である。また、ユーザによる重みの定義は、患者の体型、年齢、男女別に基づいて複数に分類される。
【0029】
また、ここでは、リファレンス画像として呼吸同期CT画像を用いることとしたが、呼吸同期CT画像の代わりにトランスミッション画像を用いることもできる。また、ここでは、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像をユーザに選択させることとしたが、比較画像表示部421が、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定するようにすることもできる。
【0030】
図4は、比較画像表示部421が、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定する方法を説明するための説明図である。同図に示すように、リファレンス画像と加重平均CT画像の同一箇所にROI(Region of Interest)を取り、ROI内の画素値を比較してリファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定することができる。
【0031】
ただし、リファレンス画像がトランスミッション画像である場合には、画素値の絶対値では比較することができないので、ROI内の1つの画素値を基準として相対値で画素値を比較する。あるいは、ユーザの選択と合わせてリファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定するようにすることもできる。また、画素値の比較結果を表示してユーザに選択させるようにすることもできる。
【0032】
図2に戻って、テーブル作成部422は、比較画像表示部421による重み定義処理によって定義された重みを用いて補正テーブルを作成し、補正テーブル記憶部43に書き込む処理部である。
【0033】
補正テーブル記憶部43は、テーブル作成部422によって作成された補正テーブルを記憶する記憶部である。この補正テーブル記憶部43は、Mスライス分の重みを定義した補正テーブルを患者の体型、年齢、男女別などに基づいて複数個記憶する。
【0034】
図5は、補正テーブル記憶部43が記憶する補正テーブルの一例を示す図である。同図に示すように、この補正テーブルは、患者の体型、年齢、男女別を示すラベルと、重みを定義するテーブルの数(M)を示すテーブル数と、加重平均に用いるCT画像の数を示すフレーム数(N)と、各スライスの重みを定義する。
【0035】
図5の補正テーブルは、20歳から24歳までの肥満の男子の重みを定義したものであり、3つのテーブルが定義され、加重平均に用いるCT画像の数は5であり、各スライスに対して5個の重みが定義される。また、図5において、「スライス2」がカーソル位置(横隔膜の位置)のスライスを中心とする補正テーブルであり、「スライス1」がカーソル位置より1つ前のスライスを中心とする補正テーブルであり、「スライス3」がカーソル位置より1つ後のスライスを中心とする補正テーブルである。
【0036】
なお、ここでは、補正テーブルに重みだけを定義することとしたが、部位によってはCT画像を拡大・縮小や平行移動して加重平均を取った方が適切な場合もあり、補正テーブルに拡大縮小率や平行移動量を定義するようにすることもできる。
【0037】
補正処理部44は、補正テーブル記憶部43が記憶する補正テーブルを用いてPET画像の減弱補正を行う処理部であり、確認画像表示部441と、加重平均処理部442と、減弱マップ作成部443と、再構成部444とを有する。
【0038】
確認画像表示部441は、減弱補正に関して、ユーザに確認用の画像を表示する処理部である。図6は、確認画像表示部441が表示する画像を説明するための説明図である。同図に示すように、この確認画像表示部441は、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜の位置にカーソル位置を設定して表示する。また、PETコロナル画像(減弱補正なし)に対しても、同一位置にカーソルを設定して表示する。さらに、横隔膜位置のCT画像とPET画像を表示する。なお、この確認画像表示部441は、図6に示す画像の他に、補正テーブルに定義された重みを用いて加重平均されたCT画像、減弱補正後のPET画像も表示する。
【0039】
加重平均処理部442は、補正テーブル記憶部43が記憶する補正テーブルを用いてCT画像の加重平均を取る処理部である。図7は、加重平均処理部442がCT画像の加重平均に用いる重みの分布を示す図であり、ピーク値(中心スライス)と加重範囲を示している。加重平均処理部442は、スライス方向に対して、スライス毎に加重平均を取る枚数と重みを変えた平滑化処理を行うが、図7に示すように、横隔膜の位置では動きが大きいため広い範囲の(枚数の多い)CT画像を用いつつ重みの広がりの多い平滑化処理を行い、横隔膜から離れるにしたがって動きが小さくなるため狭い範囲の(枚数の少ない)CT画像を用いつつ重みの広がりの少ない平滑化処理を行う。
【0040】
また、この加重平均処理部442は、加重平均を取ったCT画像を加重平均前のCT画像とともに確認画像表示部441に表示させる。ユーザは、加重平均前後のCT画像を比較することによって、補正による影響を確認することができる。
【0041】
減弱マップ作成部443は、加重平均処理部442により作成された加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成する処理部である。この減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成することによって、呼吸の影響を受ける横隔膜付近など動きの大きい部位のPET画像についてSUV値の精度を向上させることができる。
【0042】
再構成部444は、減弱マップ作成部443により作成された減弱マップを用いてPET画像の減弱補正を行う処理部である。また、この再構成部444は、減弱補正前後のPET画像を確認画像表示部441に表示させる。
【0043】
入力受付部45は、ボタン、キーボードなどを用いたユーザの指示を受け付け、受け付けた指示を補正テーブル作成部42または補正処理部44に通知する処理部である。ユーザの指示としては、補正テーブル作成指示、重み指示、減弱補正実行指示などがある。
【0044】
PET画像記憶部46は、PET画像を記憶する記憶部であり、減弱補正前のPET画像および減弱補正後のPET画像を記憶する。
【0045】
次に、補正テーブル作成部42による補正テーブル作成処理の処理手順について説明する。図8は、補正テーブル作成部42による補正テーブル作成処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、一つのスライス位置について補正テーブルを作成する場合について説明する。
【0046】
図8に示すように、この補正テーブル作成処理では、補正テーブル作成部42は、呼吸による臓器移動の少ない部分にて、呼気同期CT画像とPET/CT装置のCT画像との位置合わせを行う(ステップS11)。なお、位置ずれがない場合には、この処理は不要である。
【0047】
そして、比較画像表示部421が、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜位置にカーソルを設定して表示し(ステップS12)、横隔膜位置の呼気同期CT画像をリファレンス画像として表示する(ステップS13)。また、比較画像表示部421は、横隔膜位置を中心として前後NスライスのCT画像を表示する(ステップS14)。
【0048】
そして、ユーザが各スライスのCT画像の重みを指定すると、比較画像表示部421は、ユーザが指定した重みを受け付け(ステップS15)、受け付けた重みを用いてCT画像を加重平均し、加重平均CT画像を表示する(ステップS16)。
【0049】
そして、ユーザがリファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を指定すると、テーブル作成部422が補正テーブルを作成し(ステップS17)、補正テーブル記憶部43に書き込む。
【0050】
このように、補正テーブル作成部42がリファレンス画像と加重平均CT画像を表示してユーザにCT画像の重みを指定させることによって、横隔膜を中心とするCT画像の重みを定義する補正テーブルを作成することができる。
【0051】
次に、補正処理部44によるPET画像補正処理の処理手順について説明する。図9は、補正処理部44によるPET画像補正処理の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、このPET画像補正処理では、確認画像表示部441が、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜位置にカーソルを設定して表示し(ステップS21)、PETコロナル画像に対しても同一位置にカーソルを設定して表示する(ステップS22)。また、この位置のCT画像とPET画像を表示する。
【0052】
そして、加重平均処理部442が補正テーブルを用いて加重平均CT画像を作成し(ステップS23)、確認画像表示部441が加重平均前後のCT画像を表示する(ステップS24)。そして、加重平均前後のCT画像により補正による影響をユーザに確認させた後、減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成する(ステップS25)。そして、再構成部444が減弱マップを用いてPET画像を減弱補正し(ステップS26)、確認画像表示部441が減弱補正前後のPET画像を表示する(ステップS27)。
【0053】
このように、補正処理部44が、補正テーブルに定義された重みで加重平均したCT画像を用いて減弱補正を行うことによって、横隔膜近辺のPET画像のSUV値の精度を向上させることができる。なお、確認画像表示部441が、減弱補正前後のPET画像に加えて減弱補正前後のSUV値を表示するようにすることもできる。
【0054】
上述してきたように、本実施例では、ユーザが横隔膜近辺の各CT画像に対して加重平均CT画像がリファレンス画像に近くなるように指定した重みに基づいて補正テーブル作成部42のテーブル作成部422が補正テーブルを作成する。そして、補正処理部44の加重平均処理部442が補正テーブルに定義された重みを用いて横隔膜近辺のCT画像を加重平均し、減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成し、再構成部444が減弱マップを用いてPET画像を減弱補正する。したがって、呼吸による横隔膜の移動の影響をなくしてPET画像の減弱補正を行うことができ、横隔膜近辺のPET画像のSUV値の精度を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施例では、横隔膜近辺のPET画像を減弱補正する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、呼吸などにより臓器が移動する部位のPET画像を減弱補正する場合に同様に適用することができる。
【0056】
また、本実施例では、PET/CT装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、減弱補正にCT画像を用いるPET装置にも同様に適用することができる。また、SPECT/CT装置および減弱補正にCT画像を用いるSPECT装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
また、本実施例では、減弱補正を行う場合について説明した。しかし、PET装置やSPECT装置では、CT画像と機能画像を融合させるときに、呼吸等の影響で臓器の位置がずれた場合に同一スライス位置のCT画像と機能画像がミスマッチをおこす。このようにCT画像と機能画像がミスマッチをおこす場合にも、前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いることによって、臓器の移動による影響を小さくすることができる。
【0058】
以上のように、本発明は、CT画像を減弱補正に用いるPET/CT装置、PET装置、SPECT/CT装置、SPECT装置などに有用であり、特に、臓器が移動する部位のPET画像やSPECT画像の減弱補正に適している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例に係るPET/CT装置の構成を説明するための説明図である。
【図2】データ処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】横隔膜を対象として比較画像表示部による重み定義処理を説明するための説明図である。
【図4】比較画像表示部が、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定する方法を説明するための説明図である。
【図5】補正テーブル記憶部が記憶する補正テーブルの一例を示す図である。
【図6】確認画像表示部が表示する画像を説明するための説明図である。
【図7】加重平均処理部がCT画像の加重平均に用いる重みの分布を示す図である。
【図8】補正テーブル作成部による補正テーブル作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】補正処理部によるPET画像補正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】減弱補正前後でのPET画像例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 PETスキャナ
2 CTスキャナ
3 寝台
4 データ処理装置
5 表示装置
41 CT画像記憶部
42 補正テーブル作成部
43 補正テーブル記憶部
44 補正処理部
45 入力受付部
46 PET画像記憶部
421 比較画像表示部
422 テーブル作成部
441 確認画像表示部
442 加重平均処理部
443 減弱マップ作成部
444 再構成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性同位元素によって標識された薬剤を投与した被検体から放出されるγ線を検出することにより、被検体内における放射性同位元素の分布を画像化する核医学イメージング装置及び核医学画像作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置、MRI装置、X線CT装置及び核医学イメージング装置などを用いた医用画像診断は、コンピュータ技術の発展に伴って急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。
【0003】
上述のX線診断装置やX線CT装置は、臓器や腫瘍等の輪郭を描出することによって診断を行う、所謂形態学診断を目的としているのに対し、核医学イメージング装置は、生体組織に選択的に取り込まれた同位元素又はその標識化合物から放射されるγ線を体外から計測し、そのカウント(または数値)分布を画像化することにより被検体に対する機能診断を可能としている。
【0004】
この核医学イメージング装置として、ガンマカメラ、シングルフォトンエミッションCT装置(SPECT装置)、ポジトロンエミッションCT装置(PET装置)等が臨床の場で使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ガンマカメラは、被検体内から放出されるγ線を、この被検体に対向させて配置した平面検出器によって測定することにより、この平面検出器に投影された放射性同位元素の分布を2次元画像として表示する装置であり、平面検出器の前面に装着されたコリメータによってγ線の入射方向を特定している。
【0006】
また、SPECT装置は、被検体の周囲でガンマカメラと同様の平面検出器を移動あるいは複数の平面検出器を配置し、この被検体に対し複数の方向から検出したγ線情報に基づきX線CT装置と同様の再構成処理を行って画像データを生成している。
【0007】
一方、PET装置は、陽電子(ポジトロン)を放出する核種によって標識した薬剤を被検体に投与し、この陽電子が電子と結合し消滅する際に、略反対方向に放出する511keVの一対のγ線を、例えば、被検体の周囲に配置したリング状の検出器によって検出し、このγ線情報を再構成処理することにより画像データの生成を行っている。
【0008】
また、X線CT装置とPET装置を組み合わせることによって、X線CT装置で作成される形態画像とPET装置で作成される機能画像の融合に適したPET/CT装置も使用されている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−107995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
PET装置やPET/CT装置では、被検体内で生じるγ線の減弱を補正する必要がある。図10は、減弱補正前後でのPET画像例を示す図である。同図に示すように、PET画像は減弱補正前後で大きく異なるため、減弱補正は不可欠であるといえる。また、SPECT/CT装置でも同様の問題がある。
【0011】
減弱補正には、透過スキャンで収集した減弱データを使用する方法とCT画像を使用する方法とがある。CT画像を使用する減弱補正は、透過スキャンで減弱データを収集する場合と比較して、検査時間が短くなる、減弱マップ値の精度が向上するなどの利点がある。
【0012】
しかしながら、CT画像を使用する減弱補正には、呼吸により位置が変わる横隔膜周辺など動きのある部位では、SUV(Standardized Uptake Value)値が大きく変動するという問題がある。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、横隔膜周辺など動きのある部位の減弱補正を精度良く行うことができる核医学イメージング装置および核医学画像作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学イメージング装置であって、生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成手段と、前記減弱マップ作成手段により作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7記載の本発明は、CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学画像作成方法であって、生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成ステップと、前記減弱マップ作成ステップにより作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正ステップとを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1または7記載の本発明によれば、横隔膜付近など動きのある部位の核医学画像のSUV値の精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る核医学イメージング装置および核医学画像作成方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では、本発明をPET/CT装置に適用した場合を中心に説明する。また、本実施例では、横隔膜近辺のPET画像を減弱補正する場合を中心に説明する。
【実施例】
【0018】
まず、本実施例に係るPET/CT装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係るPET/CT装置の構成を説明するための説明図である。同図に示すように、このPET/CT装置は、PETスキャナ1と、CTスキャナ2と、寝台3と、データ処理装置4と、表示装置5とを有する。また、このPET/CT装置は、図1では省略されているが、ユーザがPET/CT装置への指示を入力するためのボタン、キーボードなどを有する。
【0019】
PETスキャナ1は、患者の診断部位から逐次放射される1対のγ線をリング状のデータ検出部に設けられた複数の検出器モジュールを用いて所定のモニタリング期間にて検出し、得られたγ線のカウント値に基づく投影データを検出器モジュールにおけるγ線検出位置及びγ線入射方向に対応させて生成する装置である。
【0020】
CTスキャナ2は、X線を発生するX線発生装置とX線を検出する検出器を備え、X線発生装置により発生したX線を患者に照射し、患者を透過したX線を検出器により検出して投影データを生成する装置である。
【0021】
寝台3は、患者を載せるベッドである。データ処理装置4は、PETスキャナ1およびCTスキャナ2によってそれぞれ生成された投影データを処理してPET画像およびCT画像を生成し、表示装置5に表示する装置である。
【0022】
図2は、データ処理装置4の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このデータ処理装置4は、CT画像記憶部41と、補正テーブル作成部42と、補正テーブル記憶部43と、補正処理部44と、入力受付部45と、PET画像記憶部46とを有する。
【0023】
CT画像記憶部41は、CTスキャナ2によって生成された投影データから作成されたCT画像を記憶する記憶部である。このCT画像記憶部41は、後述する補正テーブル作成用のCT画像として様々な患者の横隔膜付近の呼吸同期CT画像と非同期CT画像を記憶するとともに、PET画像の減弱補正用として患者の横隔膜付近の非同期CT画像を記憶する。
【0024】
補正テーブル作成部42は、補正処理部44が減弱補正を行う際に用いる減弱マップを作成するための重みを定義する補正テーブルを作成する処理部であり、比較画像表示部421と、テーブル作成部422とを有する。
【0025】
比較画像表示部421は、減弱マップを作成するための重みを定義する重み定義処理を行う処理部である。図3は、横隔膜を対象として比較画像表示部421による重み定義処理を説明するための説明図である。
【0026】
同図(a)に示すように、比較画像表示部421は、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜の位置にカーソルを設定して表示する。また、その位置の呼吸同期CT画像をリファレンス画像として表示する。ここで、呼吸同期CT画像とは、呼吸による横隔膜の動きが少ない画像である。そして、比較画像表示部421は、同図(b)に示すように、カーソルの位置を中心とした前後NスライスのCT画像を表示する。なお、Nはユーザが指定可能な数であり、この例ではN=3である。リファレンスは呼吸同期CTの同期したスライスを全て加算したものを用いる。
【0027】
そして、ユーザが各スライスのCT画像の重みを指定すると、比較画像表示部421は、ユーザが指定した重みで各スライスのCT画像を加重平均した加重平均CT画像を作成して表示する。ここで、ユーザは、加重平均CT画像がリファレンス画像に近くなるように重みを指定する。この例では、3スライスのCT画像に対してユーザは「1:2:1」の重みを指定している。
【0028】
このように、比較画像表示部421が、カーソルの位置を中心とした前後NスライスのCT画像およびこれらのCT画像をユーザの指定する重みで加重平均したCT画像を表示することによって、ユーザはリファレンス画像に最も近いCT画像を得るための重みを定義することができる。なお、ユーザによる重みの定義は、横隔膜のスライスに対してだけでなく、横隔膜の前後のMスライスに対して行われる。ここで、Mはユーザが指定する数である。また、ユーザによる重みの定義は、患者の体型、年齢、男女別に基づいて複数に分類される。
【0029】
また、ここでは、リファレンス画像として呼吸同期CT画像を用いることとしたが、呼吸同期CT画像の代わりにトランスミッション画像を用いることもできる。また、ここでは、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像をユーザに選択させることとしたが、比較画像表示部421が、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定するようにすることもできる。
【0030】
図4は、比較画像表示部421が、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定する方法を説明するための説明図である。同図に示すように、リファレンス画像と加重平均CT画像の同一箇所にROI(Region of Interest)を取り、ROI内の画素値を比較してリファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定することができる。
【0031】
ただし、リファレンス画像がトランスミッション画像である場合には、画素値の絶対値では比較することができないので、ROI内の1つの画素値を基準として相対値で画素値を比較する。あるいは、ユーザの選択と合わせてリファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定するようにすることもできる。また、画素値の比較結果を表示してユーザに選択させるようにすることもできる。
【0032】
図2に戻って、テーブル作成部422は、比較画像表示部421による重み定義処理によって定義された重みを用いて補正テーブルを作成し、補正テーブル記憶部43に書き込む処理部である。
【0033】
補正テーブル記憶部43は、テーブル作成部422によって作成された補正テーブルを記憶する記憶部である。この補正テーブル記憶部43は、Mスライス分の重みを定義した補正テーブルを患者の体型、年齢、男女別などに基づいて複数個記憶する。
【0034】
図5は、補正テーブル記憶部43が記憶する補正テーブルの一例を示す図である。同図に示すように、この補正テーブルは、患者の体型、年齢、男女別を示すラベルと、重みを定義するテーブルの数(M)を示すテーブル数と、加重平均に用いるCT画像の数を示すフレーム数(N)と、各スライスの重みを定義する。
【0035】
図5の補正テーブルは、20歳から24歳までの肥満の男子の重みを定義したものであり、3つのテーブルが定義され、加重平均に用いるCT画像の数は5であり、各スライスに対して5個の重みが定義される。また、図5において、「スライス2」がカーソル位置(横隔膜の位置)のスライスを中心とする補正テーブルであり、「スライス1」がカーソル位置より1つ前のスライスを中心とする補正テーブルであり、「スライス3」がカーソル位置より1つ後のスライスを中心とする補正テーブルである。
【0036】
なお、ここでは、補正テーブルに重みだけを定義することとしたが、部位によってはCT画像を拡大・縮小や平行移動して加重平均を取った方が適切な場合もあり、補正テーブルに拡大縮小率や平行移動量を定義するようにすることもできる。
【0037】
補正処理部44は、補正テーブル記憶部43が記憶する補正テーブルを用いてPET画像の減弱補正を行う処理部であり、確認画像表示部441と、加重平均処理部442と、減弱マップ作成部443と、再構成部444とを有する。
【0038】
確認画像表示部441は、減弱補正に関して、ユーザに確認用の画像を表示する処理部である。図6は、確認画像表示部441が表示する画像を説明するための説明図である。同図に示すように、この確認画像表示部441は、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜の位置にカーソル位置を設定して表示する。また、PETコロナル画像(減弱補正なし)に対しても、同一位置にカーソルを設定して表示する。さらに、横隔膜位置のCT画像とPET画像を表示する。なお、この確認画像表示部441は、図6に示す画像の他に、補正テーブルに定義された重みを用いて加重平均されたCT画像、減弱補正後のPET画像も表示する。
【0039】
加重平均処理部442は、補正テーブル記憶部43が記憶する補正テーブルを用いてCT画像の加重平均を取る処理部である。図7は、加重平均処理部442がCT画像の加重平均に用いる重みの分布を示す図であり、ピーク値(中心スライス)と加重範囲を示している。加重平均処理部442は、スライス方向に対して、スライス毎に加重平均を取る枚数と重みを変えた平滑化処理を行うが、図7に示すように、横隔膜の位置では動きが大きいため広い範囲の(枚数の多い)CT画像を用いつつ重みの広がりの多い平滑化処理を行い、横隔膜から離れるにしたがって動きが小さくなるため狭い範囲の(枚数の少ない)CT画像を用いつつ重みの広がりの少ない平滑化処理を行う。
【0040】
また、この加重平均処理部442は、加重平均を取ったCT画像を加重平均前のCT画像とともに確認画像表示部441に表示させる。ユーザは、加重平均前後のCT画像を比較することによって、補正による影響を確認することができる。
【0041】
減弱マップ作成部443は、加重平均処理部442により作成された加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成する処理部である。この減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成することによって、呼吸の影響を受ける横隔膜付近など動きの大きい部位のPET画像についてSUV値の精度を向上させることができる。
【0042】
再構成部444は、減弱マップ作成部443により作成された減弱マップを用いてPET画像の減弱補正を行う処理部である。また、この再構成部444は、減弱補正前後のPET画像を確認画像表示部441に表示させる。
【0043】
入力受付部45は、ボタン、キーボードなどを用いたユーザの指示を受け付け、受け付けた指示を補正テーブル作成部42または補正処理部44に通知する処理部である。ユーザの指示としては、補正テーブル作成指示、重み指示、減弱補正実行指示などがある。
【0044】
PET画像記憶部46は、PET画像を記憶する記憶部であり、減弱補正前のPET画像および減弱補正後のPET画像を記憶する。
【0045】
次に、補正テーブル作成部42による補正テーブル作成処理の処理手順について説明する。図8は、補正テーブル作成部42による補正テーブル作成処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、一つのスライス位置について補正テーブルを作成する場合について説明する。
【0046】
図8に示すように、この補正テーブル作成処理では、補正テーブル作成部42は、呼吸による臓器移動の少ない部分にて、呼気同期CT画像とPET/CT装置のCT画像との位置合わせを行う(ステップS11)。なお、位置ずれがない場合には、この処理は不要である。
【0047】
そして、比較画像表示部421が、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜位置にカーソルを設定して表示し(ステップS12)、横隔膜位置の呼気同期CT画像をリファレンス画像として表示する(ステップS13)。また、比較画像表示部421は、横隔膜位置を中心として前後NスライスのCT画像を表示する(ステップS14)。
【0048】
そして、ユーザが各スライスのCT画像の重みを指定すると、比較画像表示部421は、ユーザが指定した重みを受け付け(ステップS15)、受け付けた重みを用いてCT画像を加重平均し、加重平均CT画像を表示する(ステップS16)。
【0049】
そして、ユーザがリファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を指定すると、テーブル作成部422が補正テーブルを作成し(ステップS17)、補正テーブル記憶部43に書き込む。
【0050】
このように、補正テーブル作成部42がリファレンス画像と加重平均CT画像を表示してユーザにCT画像の重みを指定させることによって、横隔膜を中心とするCT画像の重みを定義する補正テーブルを作成することができる。
【0051】
次に、補正処理部44によるPET画像補正処理の処理手順について説明する。図9は、補正処理部44によるPET画像補正処理の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、このPET画像補正処理では、確認画像表示部441が、全身CTコロナル画像上にて、横隔膜位置にカーソルを設定して表示し(ステップS21)、PETコロナル画像に対しても同一位置にカーソルを設定して表示する(ステップS22)。また、この位置のCT画像とPET画像を表示する。
【0052】
そして、加重平均処理部442が補正テーブルを用いて加重平均CT画像を作成し(ステップS23)、確認画像表示部441が加重平均前後のCT画像を表示する(ステップS24)。そして、加重平均前後のCT画像により補正による影響をユーザに確認させた後、減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成する(ステップS25)。そして、再構成部444が減弱マップを用いてPET画像を減弱補正し(ステップS26)、確認画像表示部441が減弱補正前後のPET画像を表示する(ステップS27)。
【0053】
このように、補正処理部44が、補正テーブルに定義された重みで加重平均したCT画像を用いて減弱補正を行うことによって、横隔膜近辺のPET画像のSUV値の精度を向上させることができる。なお、確認画像表示部441が、減弱補正前後のPET画像に加えて減弱補正前後のSUV値を表示するようにすることもできる。
【0054】
上述してきたように、本実施例では、ユーザが横隔膜近辺の各CT画像に対して加重平均CT画像がリファレンス画像に近くなるように指定した重みに基づいて補正テーブル作成部42のテーブル作成部422が補正テーブルを作成する。そして、補正処理部44の加重平均処理部442が補正テーブルに定義された重みを用いて横隔膜近辺のCT画像を加重平均し、減弱マップ作成部443が加重平均CT画像を用いて減弱マップを作成し、再構成部444が減弱マップを用いてPET画像を減弱補正する。したがって、呼吸による横隔膜の移動の影響をなくしてPET画像の減弱補正を行うことができ、横隔膜近辺のPET画像のSUV値の精度を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施例では、横隔膜近辺のPET画像を減弱補正する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、呼吸などにより臓器が移動する部位のPET画像を減弱補正する場合に同様に適用することができる。
【0056】
また、本実施例では、PET/CT装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、減弱補正にCT画像を用いるPET装置にも同様に適用することができる。また、SPECT/CT装置および減弱補正にCT画像を用いるSPECT装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
また、本実施例では、減弱補正を行う場合について説明した。しかし、PET装置やSPECT装置では、CT画像と機能画像を融合させるときに、呼吸等の影響で臓器の位置がずれた場合に同一スライス位置のCT画像と機能画像がミスマッチをおこす。このようにCT画像と機能画像がミスマッチをおこす場合にも、前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いることによって、臓器の移動による影響を小さくすることができる。
【0058】
以上のように、本発明は、CT画像を減弱補正に用いるPET/CT装置、PET装置、SPECT/CT装置、SPECT装置などに有用であり、特に、臓器が移動する部位のPET画像やSPECT画像の減弱補正に適している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例に係るPET/CT装置の構成を説明するための説明図である。
【図2】データ処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】横隔膜を対象として比較画像表示部による重み定義処理を説明するための説明図である。
【図4】比較画像表示部が、リファレンス画像と最も近い加重平均CT画像を特定する方法を説明するための説明図である。
【図5】補正テーブル記憶部が記憶する補正テーブルの一例を示す図である。
【図6】確認画像表示部が表示する画像を説明するための説明図である。
【図7】加重平均処理部がCT画像の加重平均に用いる重みの分布を示す図である。
【図8】補正テーブル作成部による補正テーブル作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】補正処理部によるPET画像補正処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】減弱補正前後でのPET画像例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 PETスキャナ
2 CTスキャナ
3 寝台
4 データ処理装置
5 表示装置
41 CT画像記憶部
42 補正テーブル作成部
43 補正テーブル記憶部
44 補正処理部
45 入力受付部
46 PET画像記憶部
421 比較画像表示部
422 テーブル作成部
441 確認画像表示部
442 加重平均処理部
443 減弱マップ作成部
444 再構成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学イメージング装置であって、
生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成手段と、
前記減弱マップ作成手段により作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正手段と
を備えたことを特徴とする核医学イメージング装置。
【請求項2】
前記減弱マップ作成手段がCT画像の加重平均に用いる重みを定義する補正テーブルを作成する補正テーブル作成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング装置。
【請求項3】
前記補正テーブル作成手段は、生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像に対して利用者が指定した重みにより加重平均したCT画像を減弱マップ作成用リファレンス画像とともに表示することによって利用者に指定された重みを用いて前記補正テーブルを作成することを特徴とする請求項2に記載の核医学イメージング装置。
【請求項4】
前記補正テーブル作成手段により表示される減弱マップ作成用リファレンス画像は、呼吸同期CT画像またはトランスミッション画像であることを特徴とする請求項3に記載の核医学イメージング装置。
【請求項5】
前記補正テーブル作成手段は、体型、年齢、男女別に基づいて複数の補正テーブルを作成することを特徴とする請求項2、3または4に記載の核医学イメージング装置。
【請求項6】
前記補正テーブル作成手段は、重みに加えて画像の拡大縮小率および平行移動量を定義する補正テーブルを作成することを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング装置。
【請求項7】
CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学画像作成方法であって、
生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成ステップと、
前記減弱マップ作成ステップにより作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正ステップと
を含んだことを特徴とする核医学画像作成方法。
【請求項1】
CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学イメージング装置であって、
生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成手段と、
前記減弱マップ作成手段により作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正手段と
を備えたことを特徴とする核医学イメージング装置。
【請求項2】
前記減弱マップ作成手段がCT画像の加重平均に用いる重みを定義する補正テーブルを作成する補正テーブル作成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング装置。
【請求項3】
前記補正テーブル作成手段は、生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像に対して利用者が指定した重みにより加重平均したCT画像を減弱マップ作成用リファレンス画像とともに表示することによって利用者に指定された重みを用いて前記補正テーブルを作成することを特徴とする請求項2に記載の核医学イメージング装置。
【請求項4】
前記補正テーブル作成手段により表示される減弱マップ作成用リファレンス画像は、呼吸同期CT画像またはトランスミッション画像であることを特徴とする請求項3に記載の核医学イメージング装置。
【請求項5】
前記補正テーブル作成手段は、体型、年齢、男女別に基づいて複数の補正テーブルを作成することを特徴とする請求項2、3または4に記載の核医学イメージング装置。
【請求項6】
前記補正テーブル作成手段は、重みに加えて画像の拡大縮小率および平行移動量を定義する補正テーブルを作成することを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング装置。
【請求項7】
CT画像を使用して核医学画像の減弱補正を行う核医学画像作成方法であって、
生成する核医学画像と同一位置のCT画像および該CT画像の前後のCT画像を加重平均したCT画像を用いて減弱マップを作成する減弱マップ作成ステップと、
前記減弱マップ作成ステップにより作成された減弱マップを用いて核医学画像の減弱補正を行う減弱補正ステップと
を含んだことを特徴とする核医学画像作成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−25035(P2009−25035A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185904(P2007−185904)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
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