説明

核酸のメチル化状態を分析するための方法、ならびに核酸の断片化、標識化および固定化のための方法

本発明は、核酸のメチル化状態、ならびに核酸の断片化および/または標識および/または固定の分析のための方法に関する。より詳細には、本発明は、核酸の断片化および/または標識および/または固定のための方法であって、無塩基部位での標識および/または切断および/または固定を包含する方法に関する。本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法を提供し、この方法は(a)このメチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて無塩基部位を生成する工程;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて、標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程;を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2003年12月29日に出願された、米国特許仮出願第60/533,381号の利益を主張する。この開示は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0002】
本発明は、核酸のメチル化状態の分析、ならびに核酸の断片化および/または標識および/または固定のための方法に関する。より詳細には、本発明は、核酸の断片化および/または標識および/または固定のための方法であって、無塩基部位での標識および/または切断および/または固定を包含する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
DNAのメチル化は、正常な細胞プロセスおよび異常な細胞プロセスの両方に関与し得る。例えば、DNAメチル化は、X染色体不活性化、ゲノムインプリンティングおよび識別的遺伝子発現(例えば、遺伝子座の上方制御またはサイレンシングによる)に関係している。DNAのメチル化は、遺伝子不活性化、細胞分化、腫瘍化、X染色体不活性化において役割を果たし、そして哺乳動物の発生に必要である(非特許文献1;非特許文献2)。細菌では、シトシンおよびアデニン残基のメチル化は、DNA複製およびDNA修復の調節において役割を果たす。DNAメチル化はまた、ガンのリスク増大、およびガン発生自体に関連している。
【0004】
DNAのメチル化は、メチラーゼ(メチルトランスフェラーゼとしても公知)によって行なわれる。これらの酵素は一般に、配列特異的であり、そしてそれらは、両方の核酸鎖(DNAの場合)をメチル化し得る。これらの鎖の複製は、両方の鎖に対する完全なメチル化を回復し得るあるクラスの維持型メチラーゼによって認識される、半メチル化状態を生じる。
【0005】
メチル化は、全てのヌクレオチド残基で生じ得るが、哺乳動物種では、DNAのメチル化は通常、シトシン残基で、そしてさらに一般的にはグアノシン残基に隣接しているシトシン残基で、すなわちCGのジヌクレオチドのシトシン残基で生じる。「CpGアイランド(CpG islands)」におけるCGジヌクレオチドは、メチル化なしのままである。CpGアイランドは、CG部位がリッチであり、そしてしばしばゲノム内のコード領域(すなわち遺伝子)付近で見出される。ヒトゲノムにおける遺伝子の約半分が、CpGアイランドに関連している。重要なことには、ゲノム中のCpGアイランドの大部分が正常な成体の細胞および組織中でメチル化されていないままである。CpGアイランドのメチル化は通常、雌性における不活性なX染色体で、そしてインプリンティングされた遺伝子でのみみられ、ここでは、メチル化は、このような遺伝子の安定なサイレンシングにおいて機能する。DNAメチル化のレベルおよび分布にまたがる厳密な制御は、正常な動物の発生に必須である。
【0006】
DNAメチル化における変化は、ヒト腫瘍のゲノムの不安定な特徴の出現の1つである。ヒトの発癌の特徴は、細胞増殖を制御する遺伝子における遺伝的変化から生じる細胞増殖に対する正常な拘束の消失である。このような変異の結果としては、正の増殖シグナルの活性化および増殖阻害シグナルの不活性化が挙げられる。メチル化された場合に正常な細胞応答の消失をもたらす遺伝子標的の同定は、有用である。これは、異常なメチル化に関連する障害、ならびにそれから生じる任意の下流の事象の診断および処置を容易にする。
【0007】
核酸のメチル化のレベルは、当該分野で利用可能な多数の技術を用いて決定され得る。いくつかの分析方法は、化学的な試薬、亜硫酸水素塩の使用を包含する。メチル化分析のための他の方法としては、メチル化感受性制限分析、メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(MSP)、亜硫酸水素塩修飾DNAの配列決定、Ms−SnuPEおよびCOBRAが挙げられる。
【0008】
核酸メチル化状態を分析するための改良方法は大いに必要である。
【0009】
核酸の断片化および標識は、核酸配列の分析に重要である。例えば、断片化および/または標識は一般に、例えば、マイクロアレイの表面上に固定された相補的配列に対するサンプル核酸の結合による、配列の検出のために必要である。小さいフラグメント(例えば50〜100塩基対)へのサンプル核酸の切断によって、表面上での核酸の拡散が容易になり、そしてハイブリダイゼーションが容易になり得る。例えば、立体効果および電荷障害効果(charge hindrance effects)は、ハイブリダイズされる核酸のサイズとともに増大することが公知である。さらに、小さいフラグメントへのサンプル核酸の切断によって、このサンプル中の目的の2つの配列が、単に試験核酸上でのその近さのせいで同じテンプレート核酸に結合することはないということが保証され得る。核酸の切断によってまた、ハイブリダイズした核酸の検出は、多くの検出方法においてと同様、シグナルのサイズが結合したフラグメントのサイズに比例する場合、容易になり、従ってフラグメントサイズの制御が所望される。核酸の標識は、核酸分析の多くの方法において必要である。なぜなら、チップ上での分析のために必要な感度を有する未標識核酸の直接の検出のためには現在わずかな技術しかないからである。核酸を断片化および/または標識するための方法は、当該分野で公知である。例えば、特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;および特許文献5、ならびにそこに引用される参考文献を参照のこと。
【0010】
例えば、マイクロアレイまたはタグ化分析物を作成するための核酸の固定は、例えば、核酸およびタグ化分析物の検出および分析のために有用である。核酸を固定するための方法は当該分野で公知である。例えば、特許文献6;特許文献7;特許文献8;およびそこに引用される参考文献を参照のこと。
【0011】
核酸を標識、および/または断片化、および/または表面(例えば、マイクロアレイ)に対して固定するための改良された方法が大いに必要である。
【0012】
特許出願および刊行物を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照によって援用されている。
【特許文献1】米国特許第5,082,830号明細書
【特許文献2】米国特許第4,996,143号明細書
【特許文献3】米国特許第5,688,648号明細書
【特許文献4】米国特許第6,326,142号明細書
【特許文献5】国際公開第02/090584号パンフレット
【特許文献6】米国特許第5,667,979号明細書
【特許文献7】米国特許第6,077,674号明細書
【特許文献8】米国特許第6,280,935号明細書
【非特許文献1】Liら、Cell(1992)69:915〜926
【非特許文献2】Okanoら、Cell(1999)99:247〜57
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
1局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法を提供し、この方法は:(a)このメチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて(すなわち、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;を包含する。ある実施形態では、上記メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る上記因子は、酵素、化学薬品、および酸性条件からなる群より選択される。ある実施形態では、ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格の切断は、酵素、化学薬品、酸性条件、塩基性条件および熱からなる群より選択される因子で行われる。上記の2つ以上の工程は、同時に行われてもよいし、またはこの工程は、連続して行なわれてもよい。例えば、工程(a)、(b)および(c)は同時に行なわれてもよく、工程(a)および(b)が同時に行なわれてもよく、または工程(b)および(c)が同時に行なわれてもよい。この工程が連続して行なわれる場合、工程(b)は、工程(c)の前に行なわれてもよいし、または工程(c)が工程(b)の前に行なわれてもよい。
【0014】
別の局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法を提供し、この方法は:(a)このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いてこのメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドトを生成する工程とを包含する。
【0015】
別の局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法を提供し、この方法は:(a)このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いてこのメチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断して、これによってポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程とを包含する。
【0016】
別の局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法を提供し、この方法は:(a)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が:(i)メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと;(ii)メチル化されたヌクレオチドの塩基部分を特異的に切断し得る因子とを含み;このインキュベーションは、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を可能にする条件下であり、これによって無塩基部位を含むポリヌクレオチドが生成される工程と;(b)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;(ii)この無塩基部位でホスホジエステル骨格の効果的な(一般的、特異的)切断をし得る因子とを含み;このインキュベーションは、この塩基部分でこのホスホジエステル骨格の切断を可能にする条件下であり、これによってこのポリヌクレオチドのフラグメントが生成される工程と;(c)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントと;(ii)この無塩基部位での標識を可能にし得る因子とを含み;このインキュベーションは、この塩基部分で標識を可能にする条件下であり、これによって標識されたフラグメントが生成される工程と;を包含する。
【0017】
1実施形態では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をこの無塩基部位で切断する工程であって、この無塩基部位は、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いてこのメチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成することによって生成される工程を包含する。別の実施形態では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をこの無塩基部位で切断する工程であって、この無塩基部位は、メチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断し得る因子を用いて、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成される工程と、この無塩基部位を標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程とを包含する。別の実施形態では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位を標識し、これによって標識されたポリヌクレオチドが生成される工程であって、この無塩基部位は、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断しる因子を用いる、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断であって、これによって無塩基部位が生成される工程を包含する。別の実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドフラグメントを標識するための方法を提供し、この方法は、塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位を標識し、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程であって、この無塩基部位は、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、このポリヌクレオチドフラグメントは、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をその無塩基部位で切断することによって生成される工程を包含する。
【0018】
1局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法を提供し、この方法は:(a)この非メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)とを接触させて(すなわち、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断させて)、これによって無塩基部位を生成する工程であって、この因子(例えば、酵素)はメチル化されたヌクレオチドを切断できない工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;を包含する。ある実施形態では、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る上記因子は、酵素を含む。1実施形態では、上記非メチル化ヌクレオチドはシトシンであり、かつ上記酵素はウラシルDNAグリコシラーゼと組み合わせたシステインデアミナーゼである。ある実施形態では、ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格の切断は、酵素、化学薬品、酸性条件、塩基性条件および熱からなる群より選択される因子で行われる。上記の2つ以上の工程は、同時に行われてもよいし、またはこの工程は、連続して行なわれてもよい。例えば、工程(a)、(b)および(c)が同時に行なわれてもよく、工程(a)および(b)が同時に行なわれてもよく、または工程(b)および(c)が同時に行なわれてもよい。この工程が連続して行なわれる場合、工程(b)は、工程(c)の前に行なわれてもよいし、または工程(c)が工程(b)の前に行なわれてもよい。
【0019】
別の局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含む標識されたポリヌクレオチドを生成するための方法を提供し、この方法は:(a)非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断できない因子を用いてこの非メチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドトを生成する工程とを包含する。
【0020】
別の局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法を提供し、この方法は:(a)非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いてこの非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程であって、この因子はメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断できない工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格を切断して、これによってポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;を包含する。
【0021】
別の局面では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法を提供し、この方法は:(a)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が(i)メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと;(ii)非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを含み;このインキュベーションは、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を可能にする条件下であり、この因子はメチル化ヌクレオチドを切断できず、これによって無塩基部位を含むポリヌクレオチドが生成される工程と;(b)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;(ii)この無塩基部位でホスホジエステル骨格の効果的な(一般的、特異的)切断をし得る因子とを含み;このインキュベーションは、この無塩基部位でこのホスホジエステル骨格の切断を可能にする条件下であり;これによってこのポリヌクレオチドのフラグメントが生成される工程と;(c)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;(ii)この無塩基部位を標識し得る因子とを含み;このインキュベーションは、この無塩基部位で標識を可能にする条件下であり;これによって標識されたフラグメントが生成される工程と;を包含する。
【0022】
1実施形態では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をこの無塩基部位で切断する工程を包含し、この無塩基部位は、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いてこの非メチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成することによって生成され、この因子はメチル化ヌクレオチドを切断できない。別の実施形態では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をこの無塩基部位で切断する工程であって、この無塩基部位は、非メチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断し得、メチル化されたヌクレオチドを切断できない因子を用いて、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成することによって生成される工程と、この無塩基部位を標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程とを包含する。別の実施形態では、本発明は、メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドを無塩基部位で標識し、これによって標識されたポリヌクレオチドが生成される工程を包含し、この無塩基部位は、非メチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断し得る因子を用いて、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、これによって無塩基部位が生成され、この因子はメチル化ヌクレオチドを切断できない。別の実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドフラグメントを標識するための方法を提供し、この方法は、塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントの無塩基部位を標識し、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程を包含し、この無塩基部位は、非メチル化ヌクレオチドのこの塩基部分を切断し得る因子を用いて、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、このポリヌクレオチドフラグメントは、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をその無塩基部位で切断することによって生成される。
【0023】
別の局面では、本発明は、例えば、メチル化の検出(メチル化の有および/または無および/または量もしくはレベルを含む)、メチル化ポリヌクレオチド配列の同定、メチル化ポリヌクレオチド配列の単離、メチル化ポリヌクレオチド配列の特徴づけ、および本明細書において記載されるような他の適用のために、本明細書に記載されるメチル化ポリヌクレオチドを標識および/または断片化するための方法を用いて生成された標識されるかおよび/または断片化されたメチル化ポリヌクレオチドを用いる方法を提供する。1実施形態では、本発明は、メチル化ポリヌクレオチドを特徴付ける方法を提供し、この方法は、本明細書において記載された任意の方法によって生成された、ポリヌクレオチドフラグメントまたは標識されたポリヌクレオチドフラグメントを検出する工程を包含し、このポリヌクレオチドフラグメントの検出とは、メチル化ポリヌクレオチドの有無、配列または量と相関する。
【0024】
別の局面では、本発明は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法を提供し、この方法は:(a)この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)を用いて、この正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに存在するこの正準ヌクレオチドの塩基部分を切断して(これによって無塩基部位を生成する)工程と;(b)この無塩基部位でホスホジエステル骨格を切断する工程と;(c)この無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程とを包含する。ある実施形態では、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る上記因子とは酵素を含む。1実施形態では、この正準ヌクレオチドはシトシンであり、かつこの酵素は、ウラシルDNAグリコシラーゼと組み合わせてシステインデアミナーゼを含む。ある実施形態では、ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格の切断は、酵素、化学薬品、酸性条件、塩基性条件および熱からなる群より選択される因子で行われる。上記の2つ以上の工程は、同時に行われてもよいし、またはこの工程は、連続して行なわれてもよい。例えば、工程(a)、(b)および(c)が同時に行なわれてもよく、工程(a)および(b)が同時に行なわれてもよく、または工程(b)および(c)が同時に行なわれてもよい。この工程が連続して行なわれる場合、工程(b)は、工程(c)の前に行なわれてもよいし、または工程(c)が工程(b)の前に行なわれてもよい。
【0025】
別の局面では、本発明は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法を提供し、この方法は:(a)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が(i)正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと;(ii)正準ヌクレオチドの塩基部分を特異的に切断し得る因子とを含み;このインキュベーションは、この正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を可能にする条件下であり、これによって無塩基部位を含むポリヌクレオチドが生成される工程と;(b)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物は(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;(ii)この無塩基部位でホスホジエステル骨格の効果的な(一般的、特異的)切断をし得る因子とを含み;このインキュベーションが、この無塩基部位でこのホスホジエステル骨格の切断を可能にする条件下であり、これによってこのポリヌクレオチドのフラグメントが生成される工程と;(c)反応混合物をインキュベートする工程であって、この反応混合物が(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;(ii)この無塩基部位で標識し得る因子とを含み;このインキュベーションが、この無塩基部位で標識を可能にする条件下であり、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程と;を包含する。
【0026】
別の局面では、本発明は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法を提供し、この方法は:(a)正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)を用いるこの正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに存在するこの正準ヌクレオチドの塩基部分の切断(これによって無塩基部位が生成される)と;(b)この正準ヌクレオチドの組み込みの部位で(すなわち、無塩基部位で)標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程とを包含する。
【0027】
別の局面では、本発明は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法を提供し、この方法は:(a)この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)を用いるこの正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに存在するこの正準ヌクレオチドの塩基部分の切断(これによって無塩基部位が生成される)と;(b)この無塩基部位でのホスホジエステル骨格の切断であって、これによってポリヌクレオチドフラグメントが生成される切断とを包含する。
【0028】
1実施形態では、本発明は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をこの無塩基部位で切断する工程を包含し、この無塩基部位は、この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子でこの正準ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、これによって無塩基部位が生成される。別の局面では、本発明は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法を提供し、この方法は無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をこの無塩基部位で切断する工程であって、この無塩基部位は、この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子でこの正準ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、これによって無塩基部位が生成される工程と、この無塩基部位で標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程とを包含する。別の実施形態では、本発明は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位で標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドが生成される工程を包含し、この無塩基部位は、この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子でこの正準ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、これによって無塩基部位が生成される。別の実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドフラグメントを標識するための方法を提供し、この方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントの無塩基部位で標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程を包含し、この無塩基部位は、この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子でこの正準ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、このポリヌクレオチドフラグメントは、この無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格をこの無塩基部位で切断することによって生成される。
【0029】
ある実施形態では、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断する因子によって切断される)は、一本鎖であっても、二本鎖であっても、または部分的に二本鎖であってもよい。ある実施形態では、このポリヌクレオチドは、cDNAを含む。他の実施形態では、このポリヌクレオチドは、RNA、mRNA、ゲノムDNA、または合成DNAを含む。他の実施形態では、このポリヌクレオチドは、cDNAライブラリー、サブトラクティブハイブリダイゼーションライブラリー、またはゲノムライブラリーを含む。
【0030】
ある実施形態では、本発明は、切断可能な正準ヌクレオチドの塩基部分の切断が、無塩基部位での骨格の切断、およびこの無塩基部位での標識と同じ条件(同じ因子を用いる)下である方法を提供する。ある実施形態では、この反応条件は、酸性の反応条件(例えば、pH3、pH3.5またはpH4)である。さらに他の実施形態では、標識および断片化(正準ヌクレオチドの塩基部分の切断、およびホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を含む)は、同じ条件下である(同じ因子を用いる)。さらに他の実施形態では、この反応条件は、酸性の反応条件(例えば、pH3、pH3.5またはpH4)である。
【0031】
切断可能な正準ヌクレオチドの切断に関与する本発明の方法は、本発明の方法によって生成される、標識されたポリヌクレオチドフラグメントおよび標識されたポリヌクレオチドを用いる方法を包含する(いわゆる「適用(applications)」)。本発明は、アレイ技術または溶液相技術に基づく方法のような検出/定量方法によって、標識されるかおよび/または断片化された生成物を分析することにより、目的の配列を特徴付ける(例えば、その有無および/または量を検出する)方法を提供する。ある実施形態では、本発明は、変異の有無を検出する方法を提供する。
【0032】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方法によって生成された標識および/または断片化された核酸を用いて、ハイブリダイゼーションのプローブまたは標的を生成、このハイブリダイゼーションプローブまたは標的を用いるハイブリダイゼーション;このハイブリダイゼーションプローブまたは標的を用いる検出;核酸の特徴づけおよび/または定量、サブトラクティブハイブリダイゼーションプローブを調製する、比較ゲノムハイブリダイゼーション、および遺伝子発現プロフィールを決定する方法を提供する。本明細書に記載される任意の方法は、ハイブリダイゼーションプローブまたは標的として用いられ得る、標識されたポリヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドフラグメントを生成するために用いられ得る。本発明の方法によって生成される標識または未標識の標的は、プローブに対してハイブリダイズされ得る。
【0033】
本発明はまた、基板(表面)に固定されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメント、例えば、ハイブリダイゼーションプローブの生成のための方法を提供する。ある実施形態では、この固定されたポリヌクレオチドまたは固定されたポリヌクレオチドフラグメント(フラグメントに関与する実施形態では)は、本明細書に記載の標識方法によって標識される。これらの方法は、例えば、マイクロアレイまたはタグ化分析物の生成のために適切である。
【0034】
当業者によって証明されるとおり、得られた混合物を組み合わせる、そしてインキュベートすることについて言及する局面はまた、所望の生成物が形成されるように種々の混合物を(種々の組み合わせおよび/またはサブコンビネーションで)インキュベートする工程を包含する、方法の実施形態を包含する。この反応混合物は、任意の方法で、上記で合わされた1つ以上の反応混合物と組み合わされ(これによってインキュベーションの数を減少させる)てもよい。これらのインキュベーション工程の任意の組み合わせおよび任意の単独インキュベーション工程は、このインキュベーションが本明細書に記載される任意の方法の一部として行なわれる程度までは、本発明の範囲内におさまることが理解される。
【0035】
1つ以上の工程が、組み合わされるか、および/または連続的に行なわれてもよく(必要な生成物(単数または複数)が形成され得る限り、しばしば、任意の順序で)、そして明らかであるように、本発明は、本明細書に記載される工程の種々の組み合わせを包含する。本発明は、初回または第一の工程が本明細書に記載される任意の工程である方法を包含するということも、明白であり、そして本明細書に記載される。本発明の方法は、後者の「下流(down stream)」工程が初期工程である実施形態を包含する。
【0036】
本発明はまた、本明細書に記載される方法において用いられる種々の成分(およびこの成分の種々の組み合わせ)を含む、組成物、キット、複合体、反応混合物およびシステムを提供する。1局面では、本発明は、ポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成するためにメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子と、ポリヌクレオチド上の無塩基部位を標識し得る因子とを含む組成物を提供する。1実施形態では、この組成物はさらに、ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断し得る因子を含む。別の局面では、本発明は、ポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成するために正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とポリヌクレオチド上の無塩基部位で標識し得る因子とを含む組成物を提供する。1実施形態では、この組成物はさらに、ポリヌクレオチド上の無塩基部位でポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を切断し得る因子を含む。別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の方法によって生成される、標識されるかおよび/または断片化されたポリヌクレオチドの集団を含む組成物を提供する。本発明の組成物はまた、DNA部分および5’RNA部分を含む複合プライマーを必要に応じてさらに含んでもよい。
【0037】
別の局面では、本発明は、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断してポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成し得る因子と、ポリヌクレオチド上の無塩基部位で標識し得る因子とを含むキットを提供する。1実施形態では、このキットは、ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断し得る因子を備える。別の局面では、本発明は正準ヌクレオチドの塩基部分を切断して、ポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成し得る因子と、ポリヌクレオチド上の無塩基部位で標識し得る因子とを備えるキットを提供する。1実施形態では、このキットは、ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断し得る因子を備える。本発明のキットはまた、DNA部分および5’RNA部分を含む複合プライマーを必要に応じてさらに含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(本発明を行なうための方式)
(本発明の方法)
(I.メチル化分析のための方法)
本発明は、DNAメチル化を分析(メチル化DNA配列を検出することおよび/または同定することを含む)するための方法およびキットを提供する。1局面では、本発明は、メチル化ヌクレオチド(例えば、5−メチルシトシン)から塩基部分を切断する因子(例えば、酵素)の使用であって、これによって無塩基部位が生成される使用と;この無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格のこの無塩基部位での切断と;この無塩基部位での標識であって、標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される標識工程と;を包含する。別の局面では、この方法は、非メチル化ヌクレオチドから塩基部分を切断する酵素(例えば、ウラシルNグリコシラーゼ(UNG)と組み合わせたシトシンデアミナーゼ)の使用であって、して、これによって無塩基部位が生成され、この酵素はメチル化ヌクレオチドを切断できない使用と;この無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格のこの無塩基部位での切断と;この無塩基部位での標識であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される標識工程と;を包含する。
【0039】
一般に、メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドを、無塩基部位(メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断によって生成される)で断片化および標識させる。従って、本発明の方法は、例えば、メチル化(メチル化の存在および/または非存在および/または量またはレベルを含む)を検出すること、メチル化ポリヌクレオチド配列を同定すること、メチル化ポリヌクレオチド配列を単離すること、メチル化可能なポリヌクレオチド配列を同定および/または単離すること、ならびに本明細書に記載のような他の適用のために有用である。本発明の方法は、例えば、マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションおよび本明細書に記載される他の用途のために有用である、標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する。
【0040】
1局面では、本発明は、以下の工程を包含する:(a)このメチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて(すなわち、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。
【0041】
別の局面では、この方法は、以下の工程を包含する:(a)メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて(すなわち、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断させて)、これによって無塩基部位を生成する工程であって、この因子はメチル化されたヌクレオチドを切断できない工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。
【0042】
別の局面では、この方法は以下の工程を包含する:(a)メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る酵素とを接触させて(すなわち、この非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程であって、この酵素はメチル化ヌクレオチドを切断できない工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。ある実施形態では、この酵素は、ウラシルDNAグリコシラーゼと組み合わせたシトシンデアミナーゼである。
【0043】
別の局面では、本発明は、例えば、メチル化(メチル化の存在および/または非存在および/または量またはレベルを含む)の検出、メチル化ポリヌクレオチド配列の同定、メチル化ポリヌクレオチド配列の単離、メチル化したポリヌクレオチド配列の特徴づけ、および本明細書に記載のような他の適用のために、標識されるかおよび/または断片化されたメチル化ポリヌクレオチドを用いる方法を提供する。
【0044】
(II.切断可能な正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法、ならびに切断可能な正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法)
本発明は、ポリヌクレオチドを標識および断片化するための新規な方法およびキット、ならびにポリヌクレオチドを標識するための新規な方法およびキットを提供する。これらの方法は、ハイブリダイゼーション標的としての使用のための、例えば、標識されたポリヌクレオチド、または標識されたポリヌクレオチドフラグメントの生成のために適切である。一般には、このポリヌクレオチドは、このポリヌクレオチドに存在する無塩基部位で標識され、そしてこのポリヌクレオチドに存在する無塩基部位で断片化される(断片化に関与する実施形態では)。ポリヌクレオチドに存在する無塩基部位は一般に、このポリヌクレオチドに存在する切断可能正準(互換可能に「正準(canonical)」と称される)ヌクレオチドの塩基部分の切断によって調製される。
【0045】
従って、1局面では、本発明は、ポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法を提供する。この方法は一般に、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る(これによって無塩基部位が生成される)因子(例えば、酵素)を用いる、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに存在するこの正準ヌクレオチドの塩基部分の切断;この無塩基部位でのホスホジエステル骨格の切断、およびこの無塩基部位での標識であって、それによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される標識を包含する。別の局面では、本発明は、ポリヌクレオチドを標識するための方法を提供する。この方法は一般には、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る(これによって無塩基部位が生成される)因子(例えば、酵素)を用いる、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに存在するこの正準ヌクレオチドの塩基部分の切断と;この正準ヌクレオチドの組み込みの部位での(すなわち、無塩基部位での)標識であって、それによって標識されたポリヌクレオチド(単数または複数)が生成される標識とを包含する。
【0046】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(この正準ヌクレオチドの塩基部分を切断する因子によって切断されるもの)は、一本鎖であっても、二本鎖であっても、または部分的に二本鎖であってもよい。ある実施形態では、このポリヌクレオチドは、cDNAを含む。他の実施形態では、このポリヌクレオチドは、RNA、mRNA、ゲノムDNA、または合成DNAを含む。他の実施形態では、このポリヌクレオチドは、cDNAライブラリー、サブトラクティブハイブリダイゼーションライブラリー、またはゲノムライブラリーを含む。
【0047】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、種々のポリヌクレオチド分子の多重度(小から極めて大きいまで)であってもよいことが理解される。このような集団は、配列(例えば、遺伝子ファミリーまたはスーパーファミリーのメンバー)または極めて多様な配列(例えば、全てのmRNAから生成される、全てのゲノムDNAから生成される、など)に関連され得る。ポリヌクレオチドはまた、単独の配列(例えば、コード領域、ゲノム領域、遺伝子座などを含む、公知の遺伝子の一部であってもまたは全てであってもよい)に相当してもよい。
【0048】
正準ヌクレオチドの塩基部分は、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)によって切断される。このような因子は、当該分野で公知であり、そして本明細書に記載される。ある実施形態では、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子は、シトシンデアミナーゼ(一般にはUNGと組み合わせる)、酸性条件またはアルキル化剤での処理である。ある実施形態では、この因子は酵素である。他の実施形態では、この因子は、化学薬品である。さらに他の実施形態では、この因子は、反応条件(例えば、酸性条件)である。
【0049】
ある実施形態では、本発明は、切断可能な正準ヌクレオチドの塩基部分の切断が、無塩基部位での骨格の切断、およびこの無塩基部位での標識と同じ条件(同じ因子を用いる)下である方法を提供する。ある実施形態では、この反応条件は、酸性の反応条件(例えば、pH3、pH3.5またはpH4)である。さらに他の実施形態では、標識および断片化(正準ヌクレオチドの塩基部分の切断、およびホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を含む)は、同じ条件下である(同じ因子を用いる)。さらに他の実施形態では、この反応条件は、酸性の反応条件(例えば、pH3、pH3.5またはpH4)である。
【0050】
切断可能な正準ヌクレオチドの切断に関与する本発明の方法は、本発明の方法によって生成される、標識されたポリヌクレオチドフラグメントおよび標識されたポリヌクレオチドを用いる方法を包含する(いわゆる「適用(applications)」)。本発明は、アレイ技術または溶液相技術に基づく方法のような検出/定量方法によって、標識されるかおよび/または断片化された生成物を分析することにより、目的の配列を特徴付ける(例えば、その有無を検出するか、および/または定量する)方法を提供する。ある実施形態では、本発明は、変異の有無を検出する方法を提供する。本発明は、検出の方法を提供し、ここで検出とは、ポリヌクレオチドの有無、配列および/または量と相関する。これらの検出方法は、本明細書に記載される全ての方法(メチル化ヌクレオチド、非メチル化ヌクレオチド、および正準ヌクレオチドの切断に基づく)にあてはまる。
【0051】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方法によって生成された標識および/または断片化された核酸を用いて、ハイブリダイゼーションの標的を生成、ハイブリダイゼーションプローブに対するハイブリダイゼーション;このプローブに対してハイブリダイズされた標的の検出;核酸の特徴づけおよび/または定量、サブトラクティブハイブリダイゼーションプローブを調製する、比較ゲノムハイブリダイゼーション、および遺伝子発現プロフィールを決定する方法を提供する。
【0052】
本発明はまた、基板(表面)に固定されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの生成のための方法を提供する。ある実施形態では、この固定されたポリヌクレオチドまたは固定されたポリヌクレオチドフラグメント(フラグメントに関与する実施形態では)は、本明細書に記載の標識方法によって標識される。これらの方法は、例えば、マイクロアレイまたはタグ化分析物の生成のために適切である。
【0053】
本発明の方法は、本発明の方法によって生成される、固定されたポリヌクレオチド、または固定されたポリヌクレオチドフラグメントを用いる方法を包含する(いわゆる「適用(applications)」)。ある実施形態では、本発明は、核酸配列変異を検出する方法を提供する。
【0054】
本発明はまた、固定されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを用いて、目的の配列を特徴付ける(例えば、その有無を検出するかおよび/または定量する)方法を提供する。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、本発明の方法によって生成される、固定されたポリヌクレオチド、またはそのフラグメントを用いて、遺伝子発現プロフィールを決定する方法を提供する。
【0056】
(一般的な技術)
本発明の実施は、他に示さない限り、当該分野の範囲内である、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術を使用する。このような技術は、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」第2版(Sambrookら、1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編、1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney、編、1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら、編、1987、および定期的最新号);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」(Mullisら、編、1994のような文献に詳細に説明される)。
【0057】
本発明において使用されるプライマー、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、当該分野で公知の標準的な技術を用いて生成され得る。
【0058】
(定義)
本明細書において交換可能に用いられる場合「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」または「核酸(nucleic acid)」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーのことを指しており、そしてDNAを含む。このヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであっても、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基であっても、および/またはそれらのアナログであっても、またはDNAポリメラーゼによってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であってもよい。メチル化分析に関与する実施形態では、ヌクレオチドはメチル化ヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチドは、例えば、ヌクレオチド構造に対する修飾およびまたはホスホジエステル骨格に対する修飾のような修飾された(変更された)ヌクレオチドを含んでもよい。本明細書において考察される場合、修飾されたヌクレオチドは、正準(切断可能)ヌクレオチドであってもよいが、一般には、正準ヌクレオチドの切断のための方法に従う正準ヌクレオチドは、未修飾の塩基部分(すなわち、未修飾アデニン、シトシン、グアニンおよびチミンの塩基)を含む。しかし、本発明の方法において用いられる反応条件下で切断可能(正準)でない修飾ヌクレオチドは、もし存在する場合、一般に、本明細書において記載されるように、無塩基部位が生成されるような、このポリヌクレオチドが切断可能な正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を受ける能力に、および/またはフラグメントが生成されるような、無塩基部位でのホスホジエステル骨格の切断に、および/または基板に対するポリヌクレオチド(またはそのフラグメント)の固定に影響してはならない。ヌクレオチド構造に対する修飾がもし存在する場合、ポリマーのアセンブリの前に与えられても後に与えられてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識化成分との結合体化などによる重合化後にさらに修飾され得る。他のタイプの修飾としては、例えば、天然に存在するヌクレオチドの1つ以上のアナログでの「キャップ(caps)」置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、無電荷の結合を有するもの(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および荷電した結合を有するもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、懸垂部分を含むもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)など、インターカレーター(挿入剤)を有するもの(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤を含むもの(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)、アルキル化剤を含むもの、修飾された結合を有するもの(例えば、α芳香族核酸など)など、ならびにポリヌクレオチド(単数または複数)の非修飾型が挙げられる。ヌクレオチド間修飾は、ホスホジエステル骨格の切断の有効性および/または動態を、例えば変化し得る(例えば、本明細書において記載されるように、ホスホジエステル骨格が無塩基部位で切断される場合のように)。さらに、糖に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えば、ホスホン酸基、リン酸基によって置換されてもよいし、標準的な保護基によって保護されてもよいし、またはさらなるヌクレオチドに対するさらなる結合を準備するために活性化されてもよい。5’および3’末端のOHは、1〜20個の炭素原子のアミンまたは有機キャッピング基部分でリン酸化されても置換されてもよい。他のヒドロキシルはまた、標準的な保護基に対して誘導体化され得る。ポリヌクレオチドはまた、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環糖アナログ、αアノマー糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、、非環式アナログ、および無塩基ヌクレオシドアナログを含む、当該分野で一般に公知である、リボースまたはデオキシリボース糖のアナログ型を含んでもよい。1つ以上のホスホジエステル結合が、別の結合基によって置換されてもよい。これらの別の結合基としては、限定はしないが、リン酸塩がP(O)S(「チオエート(thioate)」)、P(S)S(「ジチオエート(dithioate)」)、「(O)NR(「アミデート(amidate)」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール(formacetal)」)によって置換され、各々のRまたはR’が独立して、Hまたは置換されるかもしくは未置換のアルキル(1−20C)であって、エーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルジルを必要に応じて含むアルキルである実施形態が挙げられる。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。前述の説明は、DNAを含む、本明細書に言及される全てのポリヌクレオチドにあてはまる。しかし、修飾ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド間結合は、もし存在する場合、本明細書に記載されるように、無塩基部位が生成されるような、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を受けるポリヌクレオチドの能力に、および/またはフラグメントが生成されるような、無塩基部位でのホスホジエステル骨格の切断を受けるポリヌクレオチドの能力に、および/または表面に対して無塩基部位(例えば、ポリヌクレオチドの末端部位での無塩基部位、および/またはポリヌクレオチドの末端でない無塩基部位)でポリヌクレオチドが固定される能力に影響すべきでないことが理解される。
【0059】
本明細書において用いる場合、「オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)」は一般に、短い、一般には一本鎖の、一般には合成のポリヌクレオチドであって、必須ではないが一般に、約200ヌクレオチド長未満の長さであるポリヌクレオチドをいう。「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」という用語は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドについての上記の説明はオリゴヌクレオチドに対して同等にかつ完全にあてはめることが可能である。
【0060】
本明細書において用いる場合、「プライマー(primer)」とは、ヌクレオチド配列(ポリヌクレオチド)であって、一般には遊離の3’−OH基を有し、テンプレート配列(例えば、テンプレートRNA、またはプライマー伸長生成物)とハイブリダイズして、このテンプレートに対して相補的なポリヌクレオチドの重合を促進し得る配列をいう。「プライマー」は、例えば、オリゴヌクレオチドであってもよい。これはまた、テンプレート自体における配列にハイブリダイズされる(例えば、ヘアピンループとして)、そしてDNAポリメラーゼによるヌクレオチド重合を促進し得る、テンプレートの配列(例えば、プライマー伸長生成物またはRNaseHもしくは他の因子によってRNA−DNA複合体におけるテンプレートRNAの切断後に作製されたRNAテンプレートのフラグメント)であってもよい。従って、プライマーは、外因性(例えば、追加された)プライマーまたは内因性(例えば、テンプレートフラグメント)プライマーであってもよい。
【0061】
「複合体(complex)」とは、成分のアセンブリである。複合体は、安定であっても安定でなくてもよく、そして直接的に検出されても間接的に検出されてもよい。例えば、本明細書において記載されるように、反応の所定の特定の成分、および反応の生成物(単数または複数)のタイプ、複合体の存在が、推論され得る。本発明の目的について、複合体とは一般に、最終ポリヌクレオチドフラグメントに対する中間体、標識されたポリヌクレオチド、標識されたポリヌクレオチドフラグメント、および/または固定されたポリヌクレオチドもしくはそのフラグメントである。
【0062】
ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの「フラグメント(fragment)」は、2つ以上の塩基の連続配列である。他の実施形態では、フラグメント(または「領域(region)」または「部分(portion)」と命名される)は、約3、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約50、約65、約75、約85、約100、約125、約150、約175、約200、約225、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650またはそれ以上のヌクレオチド長のいずれかである。ある実施形態では、このフラグメントは、少なくとも約3、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約50、約65、約75、約85、約100、約125、約150、約175、約200、約225、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650またはそれ以上のヌクレオチド長であってもよい。他の実施形態では、このフラグメントは、約3、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約50、約65、約75、約85、約100、約125、約150、約175、約200、約225、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650未満、またはそれ以上のヌクレオチド長であってもよい。ある実施形態では、これらのフラグメント長は、本発明の方法を用いて生成されたフラグメントの集団における平均サイズに相当する。
【0063】
「反応混合物(reaction mixture)」とは、適切な条件下で、複合体(中間体であってもよい)および/または生成物(単数または複数)を形成するように反応する成分の集合である。
【0064】
「1つの(a)、(an)」および「この、その(the)」などは、他に示さない限り、複数型を包含する。「1つの(a)」フラグメントとは、1つ以上のフラグメントを意味する。「1つの(a)」メチル化ヌクレオチドとは、1つ以上のメチル化ヌクレオチドを意味する。「1つの(an)」酵素とは、1つまたは2つ以上の酵素を意味する。
【0065】
「含む(comprising)」とは、特許法の十分確立された原則に従って包含を意味する(すなわち、開放性の言葉(open language))。
【0066】
ポリヌクレオチド合成、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断などのような事象を生じることを「可能にする(allow)」条件、またはそのような事象を生じるために「適切な(suitable)」条件、または「適切な(suitable)」条件とは、このような事象が生じることを妨げない条件である。従って、これらの条件は、この事象を可能にするか、増強するか、促進するか、および/または導く。当該分野で公知であり、そして本明細書に記載のこのような条件は、例えば、ポリヌクレオチド配列、温度および緩衝条件の性質に依存する。これらの条件はまた、ポリヌクレオチド合成、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断、無塩基部位の標識、ポリヌクレオチドフラグメントまたはポリヌクレオチドの固定などのようなどのような事象が所望されるかに依存する。
【0067】
「マイクロアレイ(microarray)」および「アレイ(array)」とは、本明細書において交換可能に用いる場合、しばしば未決定の特徴を有する、生化学的サンプル(標的)についての推定上の結合(例えば、ハイブリダイゼーションによる)部位のアレイ、好ましくは整列したアレイを有する表面を備える。
【0068】
「3’」という用語は一般に、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’側(下流)における領域または位置であって、その同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド中の別の領域または位置からの領域または位置をいう。「3’」とはまた、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’末端をいう。
【0069】
「5’」という用語は一般に、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドにおける5’側(上流)における領域または位置であって、その同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド中の別の領域または位置からの領域または位置をいう。「5’」とはまた、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’末端をいう。
【0070】
「3’−DNA部分(3’−DNA portion)」、「3’−DNA領域(3’−DNA region)」、「3’−RNA部分(3’−RNA portion)」、および「3’−RNA領域(3’−RNA region)」という用語は、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’末端にむかって配置されたこのポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの部分または領域をいい、そして、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの最も3’側のヌクレオチドに対して結合された最も3’側のヌクレオチド(単数または複数)または部分を含んでも含まなくてもよい。この最も3’側のヌクレオチド(単数または複数)は好ましくは、約1〜約50、さらに好ましくは約10〜約40、それよりさらに好ましくは約20〜約30ヌクレオチドであってもよい。ある実施形態では、3’部分は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、10、15、20、30または40ヌクレオチドのいずれであってもよい。ある実施形態では、3’部分は、約1〜約20ヌクレオチド、約5〜約20ヌクレオチド、または約5または50ヌクレオチド長であってもよい。
【0071】
「5’−DNA部分(5’−DNA portion)」、「5’−DNA領域(5’−DNA region)」、「5’−RNA部分(5’−RNA portion)」、および「5’−RNA領域(5’−RNA region)」という用語は、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’末端にむかって配置されたこのポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの部分または領域をいい、そして、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの最も5’側のヌクレオチドに対して結合された最も5’側のヌクレオチド(単数または複数)または部分を含んでも含まなくてもよい。この最も5’側のヌクレオチド(単数または複数)は好ましくは、約1〜約50、さらに好ましくは約10〜約40、それよりさらに好ましくは約20〜約30ヌクレオチドであってもよい。ある実施形態では、5’部分は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、10、15、20、30または40ヌクレオチドのいずれであってもよい。ある実施形態では、5’部分は、約1〜約20ヌクレオチド、約5〜約20ヌクレオチド、または約5〜50ヌクレオチド長であってもよい。
【0072】
本明細書において用いる場合、正準ヌクレオチドを標識および/または断片化するための方法の状況において、「正準(canonical)」ヌクレオチドとは、DNAにおいて通常見出される、4つの共通の核酸塩基アデニン、シトシン、グアニンおよびチミンのうちの1つを含むヌクレオチドを意味する。この用語はまた、4つの共通の核酸塩基アデニン、シトシン、グアニンおよびチミンのうちの1つを含む、それぞれデオキシリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオチドまたは2’−デオキシリボヌクレオシド−5’−三リン酸を包含する。
【0073】
「分析物(analyte)」という用語は、本明細書において用いる場合、本発明の方法によって検出またはアッセイされるべき物質、例えば、その特性、位置、質および/または同一性が特徴付けられることが所望される化合物をいう。代表的な分析物としては、限定はしないが、タンパク質、ペプチド、核酸セグメント、細胞、微生物ならびにフラグメントおよびその生成物、有機分子、無機分子、または任意の物質であって、結合パートナー(単数または複数)についての固定部位が開発され得るものが挙げられる。この開示が明確に意味するとおり、分析物は基板である。
【0074】
本明細書において用いる場合、「無塩基部位(abasic site)」とは、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子での処理後の正準ヌクレオチドの部位(正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化に関する実施形態において)、またはメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子での処理後のメチル化ヌクレオチドの部位(メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化に関する実施形態において)、またはメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子での処理後の非メチル化ヌクレオチドの部位(メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化に関する実施形態においてをいい、この方法は、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を包含する。無塩基部位(交換可能に、「AP部位(AP site)」と命名される)は、ヘミアセタール環および/またはアルデヒド部分を含み得、そして正準ヌクレオチドの塩基部分を欠く。本明細書において用いる場合、「無塩基部位(abasic site)」とは、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化に関する実施形態では、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、化学薬品、熱、酸性条件および/または塩基性条件)での正準ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の処理後に残る任意の化学構造、そしてメチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化に関する実施形態では、メチル化ヌクレオチド(または、ある実施例では、非メチル化ヌクレオチド)の塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、化学薬品、熱、酸性条件および/または塩基性条件)でのメチル化ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の処理(または、ある実施形態では非メチル化ヌクレオチドの処理)後に残る任意の化学構造を包含する。無塩基部位はまた、天然のポリヌクレオチドに存在してもよく、これはこのポリヌクレオチドの損傷を示す。
【0075】
本明細書において用いる場合、「無塩基部位での標識(labeling at an abasic site)」とは、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化に関する実施形態では、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、または熱)での処理による正準ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の塩基部分(全体の塩基を含む)の除去後に残る任意の化学構造との標識の会合、またはメチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化に関する実施形態では、メチル化ヌクレオチド(または、ある実施例では、非メチル化ヌクレオチド)の塩基部分の切断を果たし得る因子での処理を意味する。1実施形態では、無塩基部位におけるヘミアセタール環の反応性アルデヒド型が標識される。正準ヌクレオチドの塩基部分の切断に関与する他の実施形態では、この標識は、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、または熱、または塩基性条件)での正準ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の処理、および無塩基部位での骨格の切断を果たし得る因子(本明細書に記載されるような)でのこの無塩基部位を含むポリヌクレオチドの処理後に残る化学構造と会合するか、またはメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断に関与する実施形態では、この標識は、メチル化ヌクレオチド(ある実施形態では、非メチル化ヌクレオチド)の塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、または熱、または塩基性条件)でのメチル化ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)(ある実施形態では、非メチル化ヌクレオチド)の処理後、および無塩基部位での骨格の切断を果たし得る因子(本明細書に記載されるような)でのこの無塩基部位を含むポリヌクレオチドの処理後に残る化学構造と会合する。
【0076】
本明細書において用いる場合、骨格(例えば、ホスホジエステル骨格)の無塩基部位「での、における(at)」切断とは、この無塩基部位に対して3’側の、もしくはこの塩基部分に対して5’側の、またはその両方でのホスホジエステル結合の切断を意味する。本明細書の開示で意味する場合、無塩基部位「での、における(at)」とは、近位または近い位置(例えば、すぐ3’側またはすぐ5’側)をいう。さらに他の実施形態では、切断のさらに複雑な形態は、例えば、ホスホジエステル骨格の切断、および無塩基部位の(その一部の)切断が生じるような切断である可能性がある。
【0077】
本明細書において用いる場合、「標識(label)」(交換可能に「検出可能部分(detectable moiety)」と呼ばれる)は、ポリヌクレオチドと会合されるかまたは共有結合される部分(交換可能に「標識(labeling)」と呼ばれる)部分をいう。この標識されたポリヌクレオチドは、一般には検出可能なシグナルを通じて、直接検出されても、または間接的に検出されてもよい。この検出可能部分(標識)は、非干渉(non−interfering)結合基を通じて直接または間接的に、標識されるべき1つ以上の部位と特異的に会合し得る他の部分と共有結合(または会合)され得る。この検出可能部分(標識)は、共有結合されても、または非共有結合的に会合されても、そして直接または間接的に会合されてもよい。
【0078】
(メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識および/または断片化のための方法)
以下は、本発明の方法の実施例である。本明細書に記載される一般的な説明を考慮して、種々の他の実施形態が行なわれてもよいことが理解される。例えば、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いるということは、本明細書に記載されるメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る任意の因子が用いられ得ることを意味する。
【0079】
(A.メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するため、ならびにDNAメチル化を分析するための方法)
本発明は、DNAのメチル化を分析(メチル化DNA配列を検出することおよび/または同定することを含む)するための方法を提供する。一般には、この方法は、メチル化ヌクレオチド(例えば、5−メチルシトシン)から塩基部分を切断する因子(例えば、酵素)の使用であって、これによって無塩基部位が生成される使用と;この無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格のこの無塩基部位での切断と;この無塩基部位での標識であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される標識工程と;を包含する。一般には、メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドを、無塩基部位(メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断によって生成される)で断片化および標識させる。従って、本発明の方法は、例えば、メチル化(メチル化の存在および/または非存在および/または量またはレベルを含む)を検出すること、メチル化ポリヌクレオチド配列を同定すること、メチル化ポリヌクレオチド配列を単離すること、メチル化可能なポリヌクレオチド配列を同定および/または単離すること、ならびに本明細書に記載のような他の適用のために有用である。本発明の方法は、例えば、マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションおよび本明細書に記載される他の用途のために有用である、標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する。
【0080】
1局面では、本発明は、以下の工程を包含する:(a)このメチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて(すなわち、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。
【0081】
一般には、ネイティブのメチル化状態(すなわち、インビボに存在するようなメチル化状態もしくはパターン、またはそのインビボ状態もしくはパターンに実質的に類似)が分析され、ここでこのポリヌクレオチドは直接回収されるか、および/または生物学的サンプル(例えば、組織または細胞培養物)から単離されるが、他の実施形態が意図され(メチル化可能な配列の検出および/または同定を含む実施形態を包含する)、このポリヌクレオチドは、任意の供給源(すなわち、ゲノムDNA、またはゲノムDNA以外の供給源)由来であり、そしてこのポリヌクレオチドは、上記のような標識および断片化の前にメチル化される)。従って、メチル化状態は、インビボプロセスの結果であっても、または実験操作(例えば、推定的なDNA損傷因子、または推定脱メチル化因子に対する故意の曝露)の結果であってもよい。本発明の方法(すなわち、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断;無塩基部位での骨格の切断および/または無塩基部位での標識を含む方法)は特に、同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号(公開番号2004/0005614)に開示されるような正準でないヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの合成を包含する方法を除外する。従って、メチル化ヌクレオチドを含む(またはメチル化ヌクレオチドを含むことが疑われる)ポリヌクレオチドとは、その言葉を本明細書において用いる場合、正準でないヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを包含せず(特に除外し)、このポリヌクレオチドは、テンプレートから正準でないヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを合成する工程を包含する方法によって生成された(すなわち、その結果、正準でないヌクレオチドは、正準でないヌクレオチドを含むポリヌクレオチドのテンプレート依存性の合成の間に組み込まれる)。
【0082】
メチル化状態(例えば、メチル化ヌクレオチドを含むことが疑われるポリヌクレオチド、および/またはメチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド)について分析されるべきポリヌクレオチドは、標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成されることが所望される任意のポリヌクレオチドであってもよく、これには精製型または未精製型の任意の供給源由来の二本鎖、部分的二本鎖、および一本鎖の核酸が挙げられ、この核酸とは、DNA(dsDNAおよびssDNA)またはtRNA、mRNA、rRNAを含むRNA、ミトコンドリアのDNAおよびRNA、葉緑体のDNAおよびRNA、DNA−RNAハイブリッド、またはその混合物、遺伝子、染色体、植物、動物、ヒトのような生物学的物質のゲノム、ならびにそのフラグメント(高メチル化CpGアイランド、動原体領域および他の高メチル化領域を含むフラグメントを含む)であってもよいが、本明細書に記載されるような他の実施形態が意図される。ポリヌクレオチドは公知であっても未知であってもよく、目的の2つ以上の配列を含んでもよく、その各々が、お互いと同じでも異なってもよい。このポリヌクレオチドは、核酸の小集団、例えば、サブトラクティブハイブリダイゼーションプローブ、総ゲノムDNAまたは制限フラグメントであってもよい。
【0083】
核酸を得る工程および精製する工程は、当該分野の標準的な技術を用いる。一般には、ポリヌクレオチドはDNAであるが、本明細書において注記されるように、ポリヌクレオチドは、変更されるかおよび/または修飾されたヌクレオチド、ヌクレオチド間結合、リボヌクレオチドなどを含んでもよい。本明細書において一般に用いられるとおり、「DNA」は、ポリヌクレオチド実施形態にあてはまることが理解される。メチル化ヌクレオチドを含むと疑われるポリヌクレオチドは、分析、例えば制限酵素、または剪断のような当該分野で公知の他の方法を用いる切断、および当該分野で公知のような化学的または酵素的なメチル化または脱メチル化を用いて、分析の前に処理されても改変されてもよい。
【0084】
簡単にするために、メチル化ヌクレオチドを含む(または含むと疑われる)ポリヌクレオチドは、単独の核酸として記載される。ポリヌクレオチドとは一般に、ポリヌクレオチドの集団(わずかな多様性から極めて大きい多様性のポリヌクレオチドまで)であることが理解される。メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、種々のポリヌクレオチド分子という多様性(小から極めて大まで)であってもよいことがさらに理解される。このような集団は、配列(例えば、遺伝子ファミリーまたはスーパーファミリーのメンバー)に関連し得るか、または配列が極めて多様であり得る(例えば、全てのゲノムDNA)。ポリヌクレオチドはまた、単一の配列(これは、公知の遺伝子の一部であっても全部であっても、例えば、コード領域、ゲノム部分などであってもよい)に相当し得る。ある実施形態では、このポリヌクレオチドは、遺伝子、遺伝子座、特定のCpGジヌクレオチド、CpGアイランド、および/または動原体領域を含む。
【0085】
簡単にするために、標識および断片化の方法の個々の工程が本明細書に考察される。しかし、この工程は、本明細書に考察されるように、同時に行なわれても、および/または変更された順序で行なわれてもよいことが理解される。
【0086】
簡単にするために、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断に関与する方法、および非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断に関与する方法
(ここで非メチル化ヌクレオチド(交換可能に「非メチル化(unmethylated)」ヌクレオチドと呼ばれる)の塩基部分を切断する因子は一般に、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断できない)(以下に記載)は別々に記載されることがさらに理解される。この方法は、組み合わされてもよく、別々に行なわれてもよく、そして/または連続して行なわれてもよいことが理解される。
【0087】
(1.無塩基部位を作製するためのメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断)
メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断に関与する局面では、メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドは、このメチル化デオキシリボヌクレオシドの塩基部分を普遍的に、特異的にまたは選択的に切断して無塩基部位を作製し得る、酵素のような因子で処理される。本明細書において用いる場合、「無塩基部位(abasic site)」とは、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いる、例えば、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素)を用いるメチル化ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の処理によって、メチル化ヌクレオチドの塩基部分(塩基全体を含む)の除去後に残る任意の化学構造を包含する。ある実施形態では、この因子(例えば、酵素)はメチル化ヌクレオチドの塩基部分とメチル化ヌクレオチドの糖との間の結合の加水分解を触媒してヘミアセタール環を含み、かつ塩基を欠く無塩基部位(交換可能に、「AP部位(AP site)」と命名される)を生成するが、他の切断生成物が、本発明の方法における使用のために意図される。一般には、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断に関与する方法は、メチル化ヌクレオチドの頻度が低い(すなわち、一般にはCpGアイランドなどのように高メチル化領域がない)ポリヌクレオチドでの使用に適切であるが、他の用途が意図される。
【0088】
メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドは、このメチル化デオキシリボヌクレオシドの塩基部分を普遍的に、特異的にまたは選択的に切断して無塩基部位を作製し得る、酵素のような因子で処理される。本明細書において用いる場合、「無塩基部位(abasic site)」とは、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いる、例えば、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、酸性条件または化学的試薬)を用いるメチル化ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の処理によって、メチル化ヌクレオチドの塩基部分(塩基全体を含む)の除去後に残る任意の化学構造を包含する。ある実施形態では、この因子(例えば、酵素)はメチル化ヌクレオチドの塩基部分と正準ヌクレオチドの糖との間の結合の加水分解を触媒してヘミアセタール環を含み、かつ塩基を欠く無塩基部位(交換可能に、「AP部位(AP site)」と命名される)を生成するが、他の切断生成物が、本発明の方法における使用について意図される。
【0089】
ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドは、5−メチルシトシンである。ある実施形態では、5−メチルシトシンは、メチル化CpGジヌクレオチドとして存在する。CpGジヌクレオチドは、完全メチル化されても半メチル化されてもよい。他の実施形態では、このメチル化ヌクレオチドは3−メチルアデニンである。他の実施形態では、このメチル化ヌクレオチドは7−メチルアデニンおよび/または3−メチルグアニンである。
【0090】
メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断のための適切な因子および反応条件は、当該分野で公知であり、そしてこれには:DNA骨格由来の5−メチルシトシン(5−MeC)の塩基部分を切断する5−メチルシトシンDNAグリコシラーゼ(5−MCDG)(Wolffeら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 96:5894〜5896、1999);DNA骨格由来の3−メチルアデノシンの塩基部分を切断する、3−メチルアデノシンーDNAグリコシラーゼI(例えば、Hollisら(2000)Mutation Res.460:201〜210を参照のこと);および/またはDNA骨格から3−メチルアデノシン、7−メチルグアニン、7−メチルアデノシンおよび/3−メチルグアニンの塩基部分を切断する3−メチルアデノシンDNAグリコシラーゼIIが挙げられる。McCarthyら(1984)EMBO J.3:545〜550を参照のこと。5−MCDGの多機能および単一機能型が記載されている。Zhuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5031〜6、2001;Zhuら、Nuc.Acid.Res.28.28:4157〜4165,2000;およびNedderrnammら、J.B.C.271:12767〜74、1996(二機能性5−MCDGを記載する;Vairapandi & Duker,Oncogene 13:933〜938,1996;Vairapandiら、J.Cell.Biochem.79:249〜260,2000)(5−MCDG活性を含む単機能性酵素を記載する)を参照のこと。ある実施形態では、5−MCDGは完全にメチル化されたポリヌクレオチド部位(例えば、CpGジヌクレオチド)を優先的に切断し、そして他の実施形態では、5−MCDGは半メチル化ポリヌクレオチドを優先的に切断する。例えば、単機能のヒト5−メチルシトシンDNAグリコシラーゼは、特異的に完全メチル化CpG部位でDNAを切断し、そして半メチル化DNAで比較的不活性である(Vairapandi&Duker、前出;Vairapandiら、前出)。対照的に、ニワトリ胚5−メチルシトシンーDNAグリコシラーゼは、半メチル化したメチル化部位に対してより大きい活性を有する。ある実施形態では、5−MCDGの活性は、組み換えCpGリッチRNA、ATP、RNAヘリカーゼ酵素および増殖性細胞核光源(PCNA)のような補助因子を用いて強化(増大または増強)される。米国特許出願公開第20020197639号A1を参照のこと。1つ以上の因子が用いられてもよい。ある実施形態では、1つ以上の因子が同じメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する。他の実施形態では、1つ以上の因子が異なるメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する。2つ以上の因子を用いる処理は連続であっても同時であってもよい。
【0091】
はっきりわかるように、ある実施形態では、dUTPは、中間体として生成され、そして無塩基部位を生成するのには、dUTPの塩基部分の切断が必要である。dUTPの塩基部分の切断のための方法は当該分野で公知である。例えば、Lindahl,PNAS(1974)71(9):3649〜3653;Jendrisak、米国特許第6,190,865号B1;米国特許第5,035,996号;米国特許第5,418,149号;Sartoriら(2002)EMBO J 21:3182〜3191を参照のこと。従って、ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する因子(例えば、5−MCDGのような酵素)が、UNGと組み合わせて用いられて、メチル化ヌクレオチドから無塩基部位を生成する。本明細書において用いる場合、「組み合わせて(in conjunction)」とは、同時の処理(例えば、5−MCDGおよびUNGの切断が同じ反応混合物中で生じる場合)および/または異なる時点での処理(例えば、5−MCDGおよびUNG処理が連続して行なわれる場合)を包含する。
【0092】
ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する因子は、無塩基部位でホスホジエステル骨格を切断する同じ因子である。
【0093】
ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断は、普遍的、特異的または選択的な切断であり(メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)が、特定のメチル化ヌクレオチドの塩基部分を普遍的、特異的にまたは選択的に切断するという意味で)、これによって、切断される塩基部分のおよそ98%、95%、90%、85%または80%のいずれかは、メチル化ヌクレオチドの塩基部分である。しかし、切断の程度は少なくてもよい。従って、特定の切断に対する言及は例示的である。
【0094】
本明細書において注記されるとおり、便宜上、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断(これによって無塩基部位が生成される)は、別の工程として記載されている。この工程は、無塩基部位での骨格の切断(断片化)および/または無塩基部位での標識と同時に行なわれてもよいことが理解される。
【0095】
無塩基部位を含む得られたポリヌクレオチドにおける無塩基部の頻度(または間隔)(メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断後であって、従って本発明の方法を用いて生成されたフラグメントの平均サイズ)(すなわち、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断後)は、本明細書においてさらに考察されるように、以下を含む当該分野で公知の変数によって制御される:ポリヌクレオチド中のメチル化ヌクレオチド(単数または複数)の頻度(または、ある配列のヌクレオチド含量の他の指標、例えば、平均G−C含量)、メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの長さ、および無塩基部位の生成の間に用いられる反応条件。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、本発明の方法を用いる無塩基部位での切断および標識の前後に他の方法(例えば、制限消化、機械的切断)を用いてさらに切断される。
【0096】
(2.無塩基部位を含むポリヌクレオチドの骨格の無塩基部位での切断およびこの無塩基部位での標識)
ポリヌクレオチドの骨格は、無塩基部位で切断されて、この無塩基部位は標識され、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される。骨格および標識の切断は、任意の順序でまたは同時に行なわれてもよいことが理解される。しかし、便宜上、これらの反応は、別の工程として記載される。
【0097】
(i.無塩基部位を含むポリヌクレオチドの骨格の無塩基部位での切断)
無塩基部位の生成後、このポリヌクレオチドの骨格を、この無塩基部位でこの骨格の切断を果たし得る因子を用いて、この無塩基部位(すなわち、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断後に生成される部位)で切断する。骨格の切断(また「断片化(fragmentation)」とも呼ばれる)によって、少なくとも2つのフラグメントが生じる(無塩基部位を含むポリヌクレオチドに存在する無塩基部位の数、および切断の程度に依存して)。
【0098】
無塩基部位で骨格を切断し得る適切な因子(例えば、酵素、化学的条件および/または反応条件、例えば、熱)は、当該分野で周知であり、そしてこれには以下が挙げられる:熱処理および/または化学的処理(塩基性条件、酸性条件、アルキル化条件または無塩基部位のアミン媒介性切断(例えば、同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号;McHughおよびKnowland,Nucl.Acids.Res.(1995)23(10):1664〜1670;Bioorgan.Med.Chem(1991)7:2351;Sugiyama,Chem.Res.Toxicol.(1994)7:673〜83;Horn,Nucl.Acid.Res.,(1988)16:11559〜71を参照のこと)、およびカルシウムイオンの存在下で、無塩基部位でのポリヌクレオチドの切断を触媒する酵素、例えば、APエンドヌクレアーゼ(「脱プリン、脱ピリミジンエンドヌクレアーゼ(apurinic、apyrimidinic endonucleases)」とも呼ばれる)(例えば、E.coli Endonuclease IV、Epicentre Tech.,Inc,Madison WIから入手可能)、E.coliエンドヌクレアーゼIIIまたはエンドヌクレアーゼIV、E.coliエキソヌクレアーゼIIIの使用。例えば、同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号;Lindahl,PNAS(1974)71(9):3649〜3653;Jendrisak,米国特許第6,190,865号B1;Shida,Nucleic Acids Res.(1996)24(22):4572〜76;Srivastava,J.Biol Chem.(1998)273(13):21203〜209;Carey,Biochem.(1999)38:16553〜60;Chem Res Toxicol(1994)7:673〜683を参照のこと。本明細書において用いる場合、「因子、薬剤(agent)」とは、熱のような反応条件を包含する。1実施形態では、APエンドヌクレアーゼ、E.coliエンドヌクレアーゼIVを用いて、無塩基部位でホスホジエステル骨格を切断する。別の実施形態では、切断はアミン、例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミンである。例えば、McHughおよびKnowland、前出を参照のこと。
【0099】
一般には、切断は無塩基残基のすぐ5’側のヌクレオチドと無塩基残基との間であるか、または無塩基残基のすぐ3’側のヌクレオチドと無塩基残基との間である(ただし、本明細書において説明されるように、ホスホジエステル骨格の5’または3’切断は、用いられる断片化因子に依存して、それぞれ、無塩基部位の5’側または3’側のリン酸基の保持を生じてもよいし、生じなくてもよい)。当該分野で周知のとおり、切断は、無塩基部位の5’側であってもよく(例えば、エンドヌクレアーゼIV処理、これは、一般に、無塩基残基の5’リン酸基と隣接するヌクレオチドのデオキシリボース環との間の無塩基部位のすぐ5’側の位置でこの骨格の切断を生じ、隣接するヌクレオチド上に遊離の3’ヒドロキシル基を生成する)、その結果、無塩基部位は、得られたフラグメントの5’末端に位置する。切断はまた、無塩基部位の3’側であってもよく(例えば、デオキシリボース環と無塩基残基の3’リン酸基と隣接するヌクレオチドのデオキシリボース環との間の切断、これによって隣接するヌクレオチド上のデオキシリボース環上に遊離の5’リン酸基が生成される)、その結果、無塩基部位は、得られたフラグメントの3’末端に位置する。塩基性条件下での処理またはアミン(例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン)を用いる処理によって、無塩基部位のすぐ3’側でホスホジエステル骨格の切断が生じる。さらに、切断のより複雑な形態、例えば、ホスホジエステル骨格および無塩基部位の(またはその一部の)切断が生じるような切断も可能である。例えば、特定の条件下では、化学処理および/または熱処理を用いる切断は、無塩基部位デオキシリボース環とその3’リン酸との間の結合の切断を生じるβ排出段階(β−elimination step)を含んでもよく、これによって、反応性のα,β−不飽和アルデヒドが生じ、これは標識されてもよいし、またはさらなる切断および環化反応を受けてもよい。例えば、Sugiyama,Chem.Res.Toxicol.(1994)7:673〜83;Horn,Nucl.Acid.Res.,(1988)16:11559〜71を参照のこと。多数の異なるタイプの切断生成物(例えば、3’末端で無塩基部位を含むフラグメント、および5’部位で無塩基部位を含むフラグメント)を生じる、2つ以上の異なる方法を含む、2つ以上の切断方法を用いてもよいことが理解される。
【0100】
一般には、無塩基部位での骨格の切断は、普遍的、特異的または選択的な切断であり(無塩基部位で骨格を切断し得る因子(例えば、酵素)が、この骨格を無塩基部位で、特異的にまたは選択的に切断するという意味で)、これによって切断の約98%、約95%、約90%、約85%または約80%よりも多くが無塩基部位である。しかし、切断の程度は少なくてもよい。従って、特定の切断に対する言及は例示的である。ある実施形態では、特定のまたは選択的な切断は、本発明の標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する方法においてフラグメントサイズの制御のために所望される。ある実施形態では、反応条件は、この切断反応が過剰な試薬の存在下で行なわれて、完了まで行なわれることが可能であるように選択され得る。他の実施形態では、切断の程度は少なくてもよく、その結果、ポリヌクレオチドフラグメントの末端で無塩基部位を、そしてその内またはその内部(すなわち、末端ではない)で無塩基部位(単数または複数)を含むポリヌクレオチドフラグメントが生成される。本明細書において開示されるように、内部無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントは、例えば、標識されたポリヌクレオチドの固定に関与する実施形態では有用である(ここでは、1つの無塩基部位を固定のために用い、そして別の無塩基部位(単数または複数)を無塩基部位で標識する)。
【0101】
本明細書において注記されるとおり、フラグメント(本明細書に記載されるような無塩基部位の切断、および骨格の無塩基部位での切断後)のおよそのサイズまたは平均サイズは、以下を包含する当該分野で公知の変数によって制御される:ポリヌクレオチド中の切断可能ヌクレオチドの頻度(ある実施形態では、メチル化分析に関与する、メチル化ヌクレオチドの頻度)、またはある配列のヌクレオチド含量の他の指標、例えば、平均G−C含量)、ポリヌクレオチドの長さ、ならびに無塩基部位の生成および無塩基部位での骨格の切断の間に用いられる反応条件。ある実施形態では、ポリヌクレオチドはさらに、本発明の方法を用いる無塩基部位での切断および標識の前後に他の手段(例えば、制限消化、機械的切断)を用いてさらに切断される。一般には、適切なフラグメントサイズは、約5、10、15、20、25、30、40、50、65、75、85、100、123、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650以上、例えば、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb以上のヌクレオチド長である。ある実施形態では、このフラグメントは約200ヌクレオチド、約100ヌクレオチドまたは約50ヌクレオチド長である。別の実施形態では、フラグメントの集団のサイズは約50〜200ヌクレオチドである。フラグメントサイズは、特にフラグメントの集団が生成される場合は、およそであってもよい。なぜなら、無塩基部位の頻度および間隔(切断後のフラグメントサイズに関する)は、メチル化ヌクレオチドの提示、無塩基部位の生成のために選択された反応条件、および断片化のために選択された反応条件に起因して、テンプレートの間で変化し、また同じテンプレートのコピーの間でも変化するからである。従って、ある実施形態では、同じ出発材料(例えば、単一のポリヌクレオチドテンプレート)から生成されるフラグメントは、異なる(そして/または重複する)配列を有してもよいが、依然として、ほぼ同じサイズまたはサイズの範囲を有する。
【0102】
無塩基部位でのポリヌクレオチド骨格の切断後、あらゆるフラグメントは、切断因子次第で無塩基部位を欠いてもよい、最も5’側または3’側のフラグメントのいずれか以外は、1つの無塩基部位(切断が完全に効率的である場合)を含む。切断が無塩基部位に対して5’側である場合、最も5’側のフラグメントは、無塩基部位を含まない。切断が無塩基部位に対して3’側である場合、最も3’側のフラグメントは、無塩基部位を含まない。
【0103】
無塩基部位での骨格の切断に関する前述の開示は、下に記載されるように、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いる切断可能な正準ヌクレオチドの切断によって、無塩基部位が生成される、無塩基部位での骨格の切断に関与する実施形態にあてはめることができる。
【0104】
(ii.無塩基部位の標識および検出)
無塩基部位が標識され、これによって標識を含むポリヌクレオチド(またはポリヌクレオチドフラグメント)が生成される。ある実施形態では、無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントが、無塩基部位で標識し得る因子と接触され;これによってポリヌクレオチドの標識されたフラグメントが生成される。本明細書において用いる場合、「標識(label)」(交換可能に、「検出可能部分(detectable moiety)」と呼ばれる)が、ポリヌクレオチドに結合されるか、または会合され、その結果、無塩基部位を含むポリヌクレオチドが標識に結合されるかまたは会合される。
【0105】
従って、ある実施形態では、標識は、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、または酸性条件、または化学的試薬)でのメチル化ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の処理後に残る化学構造と結合するかまたは会合する。断片化に関与する実施形態では、標識は、メチル化ヌクレオチド(メチル化ヌクレオチドの切断に関与する実施形態では)の塩基部分の切断を果たし得る因子(例えば、酵素、または酸性条件、または化学的試薬)でのメチル化ヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖に存在する)の処理後、および無塩基部位での骨格の切断を果たし得る因子での処理後に残る任意の化学構造と結合するかまたは会合する。1実施形態では、標識は、無塩基部位におけるヘミアセタール環の反応性アルデヒド型と共有結合する。ある実施形態では、無塩基部位「での(at)」標識は、無塩基部位に結合するが、単一のメチル化ヌクレオチドとして組み込まれようと、または存在しようと、インタクトな(未切断の)メチル化ヌクレオチド(メチル化ヌクレオチドの切断に関与する実施形態では)に結合しない標識を包含する。ある実施形態では、無塩基部位「での(at)」標識とは、詳細には、ヌクレオチド(またはポリヌクレオチド)のリン酸基または無塩基部位のリン酸基に結合(例えば、共有結合)する標識は除外する。ある実施形態では、無塩基部位「での(at)」標識とは、詳細には、糖の3’位置で結合するかまたは会合する標識は除外する。さらに他の実施形態では、無塩基部位「での(at)」標識とは、詳細には、ホスフィンからなる標識は除外する。本明細書の開示から明白になるとおり、「標識(label)」とは、標識システムの任意の成分をいう。
【0106】
無塩基部位でのホスホジエステル骨格の切断、および無塩基部位での標識は、任意の順序で、または同時に行なわれ得ることが理解される。
【0107】
標識は、検出可能であってもよく、または標識は、例えば、この標識(無塩基残基で結合される)が、それ自体が検出される別の部分で共有結合または非共有結合される場合などのように、間接的に検出されてもよい。例えば、ビオチンは、無塩基部位で会合し得る標識に対して結合され得る。別の例では、抗体(検出可能に標識されてもよい)は、無塩基部位に結合される標識に結合する。ある実施形態では、標識は、有機分子、ハプテンまたは粒子(例えば、ポリスチレンビーズ)を含む。ある実施形態では、標識は、抗体結合、ビオチン結合を用いるか、または蛍光もしくは酵素の活性を介して検出される。ある実施形態では、この検出可能なシグナルは増幅される。
【0108】
一般には、無塩基部位での標識は、普遍的、特異的または選択的な標識であり(無塩基部位で標識し得る因子が、この無塩基部位を特異的にまたは選択的に標識するという意味で)、これによって、この標識の約98%、約95%、約93%、約90%、約85%または約80%より多くが無塩基部位に結合する。しかし、標識の程度は少なくてもよい。従って、特定の標識に対する言及は例示的である。ある実施形態では、反応条件は、無塩基部位(単数または複数)が標識される反応が完了され得るように選択される。
【0109】
ある実施形態では、各々が単一の標識を含む、標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される(ホスホジエステル骨格の切断が一般に完了する程度まで、多くのまたは本質的に全てのポリヌクレオチドフラグメントが単一の無塩基部位を含むという意味で)。この局面は、ハイブリダイゼーションのレベルを定量するのに有用である。なぜなら、シグナルは結合フラグメントの数に比例して、ハイブリダイゼーションフラグメントの長さまたは1フラグメントあたりの標識の数には関連しないからである。従って、ハイブリダイゼーション強度は一般に、フラグメントの長さにかかわらず、直接比較され得る。別の実施形態では、末端(例えば、3’末端および/または5’末端)に標識された無塩基部位を、そして標識された内部無塩基部位を含む、標識されたフラグメントが生成される。
【0110】
無塩基部位を標識するための方法および反応条件は、当該分野で公知である。例えば、同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号を参照のこと。例えば、無塩基部位で露出された共通の官能基(従って、標識における使用に適切)は、当該分野で公知である反応条件を用いて標識と共有結合するか、または非共有結合的に会合し得るヘミアセタール環の高度に反応性のアルデヒド型である。多くの標識は、アルデヒドとのイミン結合を容易に形成する置換ヒドラジンまたはヒドロキシルアミン、例えば、5−(((2−(カルボヒドラジノ)−メチル)チオ)アセチル)アミノフルオレセイン、アミノオキシアセチルヒドラジド(FARP)を含む。Makrigiorgos,PCT国際公開第WO00/39345号を参照のこと。この化合物によって形成された安定なオキシムは蛍光によって直接検出されてもよいし、またはシグナルが抗体−酵素結合体を用いて増幅されてもよい。例えば、Srivastava,J.Biol.Chem.(1998)273(33):21203〜209;Makrigiorgos,Int J.Radiat.Biol.(1998)74(1):99〜109;Makrigiorgos,米国特許第6,174,680号B1;Makrigiorgos,WO00/39345を参照のこと。アルデヒド(無塩基部位の)と反応するために適切な側鎖(基板上に存在する)としては少なくとも以下が挙げられる:置換ヒドラジン、ヒドラジンまたはヒドロキシルアミン(アルデヒドとのイミン結合を容易に形成する)、ならびに関連のセミカルバジドおよびチオセミカルバジド基、ならびに安定な炭素−窒素二重結合を形成し得る、同時の切断および結合を触媒し得る(Horn,Nucl.Acids.Res.,(1988)16:11559〜71を参照のこと)か、または例えば、還元的アミノ化によって安定な結合体を形成するようにカップリングされ得る、他のアミン。標識上に存在する反応性基に対する無塩基部位に存在する反応性基の結合のための他の方法は、当該分野で公知である。別の実施例では、無塩基部位は、化学的に修飾されて、次いでこの修飾された無塩基部位が基板上の適切な反応性基と共有結合されるかまたは非共有結合的に会合されてもよい。例えば、アルデヒド(無塩基部位の)は、(当該分野で公知の方法を用いて)酸化または還元されて、次いで例えば、還元的アミノ化または種々の酸化プロセスを用いて、基板に対して共有結合的に固定されてもよい。
【0111】
他の適切な試薬、例えば、フルオレセインアルデヒド試薬が当該分野で公知である。例えば、Boturyn(1999)Chem.Res.Toxicol.12:476〜482を参照のこと。また、Adamczyk(1998)Bioorg.Med.Chem.Lett.8(24):3599〜3602;Adamczyk(1999)Org.Lett,1(5):779〜781;Kow(2000)Methods 22(2):164〜169;Molecular Probes Handbook,Section 3.2(www.probes.com)も参照のこと。例えば、アミノオキシ基を含む検出可能部分が用いられてもよい。Boturyn、前出を参照のこと。アミノオキシ基は無塩基部位のヘミアセタール環の高度に反応性のアルデヒド型と容易に反応する。1実施形態では、アミノオキシ反応性基を含む標識は、N−(アミノオキシアセチル)−N’−(D−ビオチノイル)ヒドラジン、トリフルオロ酢酸塩(ARP)(Molecular Probes,Eugene OR,カタログ番号A−10550から入手可能)である。例えば、Kuboら、Biochem 31:3703〜3708(1992);Ideら、Biochem.32:8276〜8283(1993)を参照のこと。
【0112】
さらに別の実施例では、ヒドラジドリンカーを含む標識は、アミノオキシ(交換可能に「ヒドロキシルアミン(hydroxylamine)」と命名される)誘導体に変換されて、次いで本明細書に記載されるように無塩基部位を標識するために用いられ得る。1実施形態では、この標識は、同時係属の米国特許出願第10/441,663号に開示されるようなアミノオキシ誘導体化Alexa Fluor 555試薬を含む。アミノオキシ−誘導体化Alexa Fluor 555の使用によって、未修飾のAlexa Fluor 555ヒドラジドでの標識に比較して、標識の効率が大きくなり、そして蛍光が増大した(注文番号A−20501,Molecular Probes,Eugene OR)。
【0113】
別の実施例では無塩基部位は、化学的に修飾されて(本明細書に記載されるようにホスホジエステル骨格の切断の前、間または後に)、次いでこの修飾された無塩基部位は直接または間接的に検出されてもよい。例えば、蛍光カダベリンはHorn(Nucl.Acids.Res.(1988)16:11559〜71)に記載されるように無塩基部位に組み込まれてもよい。別の実施例では、この無塩基部位は、NHBA(0−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン)との反応によって化学的に修飾されて、次いでNBHA−修飾無塩基部位は、このNBHA−修飾無塩基部位に対して特異的に結合する抗体で検出される。Kowら、PCT国際公開番号WO92/07951(1992)を参照のこと。
【0114】
別の実施例では、この無塩基部位は、抗体(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体または抗原結合フラグメント)で標識され得る。特定の抗体結合を検出するための方法は当該分野で周知である。
【0115】
別の実施例では、アルデヒドおよび/またはヘミアセタール環は、例えば、検出可能シグナルが、例えば、酸化反応、デヒドロゲナーゼまたはオキシダーゼ活性を有する酵素などを含む、それらの化学的構造に対して特異的な化学的または電気化学的反応を用いて生成されるような場合、それ自体が検出され得る。別の実施例では、多くのアルデヒドが、酵素についての基質であり、その結果検出可能生成物は、アルデヒドの存在下で生成される。例えば、デヒドロゲナーゼは代表的に、分光光度的に検出され得るNAD+の還元をともなうアルデヒドの酸化と対である。別の実施例では、グルコースオキシダーゼは、糖アルデヒドの存在下で過酸化水素を生成する。過酸化水素は、西洋ワサビペルオキシダーゼに対する結合によって、適切な基質を用いて容易に検出可能である。従って、本発明は、無塩基部位を検出するための方法を提供する。
【0116】
シグナル検出の方法は当該分野で公知である。シグナル検出は、分光計、蛍光計または顕微鏡のような、用いられる特定の標識に対して適切である適切な装置で可視化または利用され得る。例えば、標識が放射性同位体である場合、検出は、例えば、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーの場合には写真フィルムを用いて達成され得る。蛍光標識が用いられる場合、検出とは、適切な波長の光で蛍光色素を励起させること、および、例えば、顕微鏡、視覚検査または写真フィルム、蛍光計、CCDカメラ、スキャナーなどによって、得られた蛍光を検出することであってもよい。酵素標識が用いられる場合、検出とは、酵素に適切な基質を提供すること、および得られた反応生成物を検出することによってであってもよい。例えば、o−フェニレンジアミンのような西洋ワサビペルオキシダーゼの多くの基質は、着色された生成物を生じる。単純な比色定量標識は通常、この標識と会合した色の視覚的観察によって検出され得る;例えば、結合体化されたコロイド状の金はしばしば、ピンクから赤系統であり、そしてビーズはこのビーズの色を現す。高感度の検出のために適切な装置は当該分野で公知である。
【0117】
ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドフラグメントは、当該分野で公知の他の方法を用いてさらに標識されてもよいことが理解される。
【0118】
標識されたポリヌクレオチドフラグメントは、本明細書に記載のように基板に固定されてもよい。
【0119】
無塩基部位での標識に関する前述の開示は、下に記載されるように、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子での切断可能正準ヌクレオチドの切断によって無塩基部位が生成される、無塩基部位での標識に関与する実施形態にあてめることが可能であるということが理解される。
【0120】
(B.メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法)
本発明は、標識された核酸(単数または複数)を生成するための方法を提供する。
【0121】
一般には、この方法は、メチル化ヌクレオチド(例えば、5−メチルシトシン)から塩基部分を切断する因子(例えば、酵素)の使用であって、これによって無塩基部位が生成される使用と;この無塩基部位での標識であって、これによって標識されたポリヌクレオチドが生成される標識とを包含する。一般には、メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドを、無塩基部位(メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断によって生成される)で標識させる。本発明の方法は、例えば、マイクロアレイに対するハイブリダイゼーション、および本明細書で記載される他の用途のために有用である、標識されたポリヌクレオチドを生成する。本発明の方法は、多重化に適切である。
【0122】
本発明は、以下の工程を包含する:(a)このメチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて(すなわち、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。
【0123】
標識されたポリヌクレオチドは、本発明の方法を用いる無塩基部位での標識の前後に他の手段(すなわち、本明細書に記載されるような無塩基部位での切断以外の手段、例えば、制限消化、機械的切断)を用いて切断されてもよい。ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの標識を包含する方法は、アレイに対するハイブリダイゼーションに関与する多重化分析に適切である。
【0124】
(1.無塩基部位を作製するためのメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断)
メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドを、本明細書において上記されるように、メチル化デオキシリボヌクレオシドの塩基部分を普遍的、特異的または選択的に切断し得る、酵素のような因子を用いて処理して無塩基部位を作成する。
【0125】
(2.無塩基部位を標識することおよび検出)
無塩基部位は標識され、これによって本明細書に記載のような、標識を含むポリヌクレオチドが生成される。
【0126】
(C.メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法)
この方法は、以下の工程を包含する:(a)メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて(すなわち、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断して、これによってポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。
【0127】
(1.メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して無塩基部位を作製する工程)
メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドを、本明細書において上記されるように、メチル化デオキシリボヌクレオシドの塩基部分を普遍的、特異的または選択的に切断し得る、酵素のような因子を用いて処理して無塩基部位を作成する。
【0128】
(2.無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位での骨格の切断および無塩基部位での標識)
ポリヌクレオチドの骨格を、無塩基部位で切断して、この無塩基部位を標識し、これによって本明細書に記載のような、ポリヌクレオチドフラグメントを生成する。
【0129】
(D.非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する酵素を用いる、メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法)
別の局面では、本発明は、非メチル化ヌクレオチドから塩基部分を切断し、これによって無塩基部位が生成される酵素(ウラシルNデグリコシラーゼ(UNG)と組み合わせたシトシンデアミナーゼなど)であって、メチル化ヌクレオチドを切断できない酵素の使用と;無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格のこの無塩基部位での切断と;標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される無塩基部位での標識とを包含する。一般には、メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドは、無塩基部位(これは、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断によって生成される)で断片化されて標識される。従って、本発明の方法は、例えば、メチル化を検出すること(メチル化の有無および/または量もしくはレベルを包含する)、メチル化されたポリヌクレオチド配列を同定すること、メチル化されたポリヌクレオチド配列を単離すること、メチル化可能なポリヌクレオチド配列を同定および/または単離すること、ならびに本明細書に記載の他の適用のために有用である。本発明の方法は、例えば、マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションおよび本明細書に記載の他の用途のために有用である標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する。
【0130】
この方法は、以下の工程を包含する:(a)メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る酵素とを接触させて(すなわち、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程であって、この酵素はメチル化されたヌクレオシドを切断できない工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位を標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。ある実施形態では、この酵素は、ウラシルDNAグリコシラーゼと組み合わせたシトシンデアミナーゼである。
【0131】
(1.非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する工程)
別の局面では、本発明は、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する酵素(例えば、ウラシルDNAグリコシラーゼと組み合わせたシトシンデアミナーゼ)であって、メチル化ヌクレオチドを切断できない酵素の使用と;無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断と;無塩基部位での標識工程であって、それによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程とを包含する。
【0132】
一般には、この方法は、以下の工程を包含する:(a)メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、含むと疑われる)ポリヌクレオチドと、このメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)とを接触させて(すなわち、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程であって、この因子(例えば酵素)はメチル化されたヌクレオシドを切断できない工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位を標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。
【0133】
ある実施形態では、この酵素はシトシンデアミナーゼである。Sohailら、NAR 2003,31:2990−94を参照のこと。シトシンデアミナーゼは、dUTPが生成されるようにシトシンの脱アミノ化を触媒する。dUTPの塩基部分の切断は、無塩基部位を生成するために必須である。従って、本発明は、(a)ヌクレオチド(例えば、dCTP)を修飾する因子(例えば、シトシンデアミナーゼ)であってこれによってdUTPが精製される因子と、(b)dUTPの塩基部分を切断する因子(例えば、酵素、例えば、UNG)であって、それによって無塩基部位が生成される因子との組み合わせた使用を包含する。dUTPの塩基部分を切断するための方法は、当該分野で公知である。例えば、Lindahl,PNAS(1974)71(9):3649〜3653;Jendrisak、米国特許第6,190,865号B1;米国特許第5,035,996号;米国特許第5,418,149号;Sartoriら(2002)EMBO J 21:3182〜3191を参照のこと。本明細書において用いる場合、「組み合わせて(in conjunction)」とは、同時の処置(例えば、シトシンデアミナーゼおよびUNGが、同じ反応混合物中で切断する場合)、および/または種々の時点での処置(例えば、シトシンデアミナーゼおよびUNG処置が連続して行なわれる場合)を包含する。
【0134】
ある実施形態では、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断する因子は、ホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断する同じ因子である。
【0135】
一般には、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断は、(非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断できる因子(例えば、酵素)が、特定の非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を普遍的、特異的または選択的に切断するという意味で)普遍的、特異的または選択的な切断であり、そして普遍的に、特異的にそして選択的に、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断せず、これによって、切断される塩基部分のおよそ98%、95%、90%、85%または80%のいずれかが、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分である。しかし、切断の程度は少なくてもよい。従って、特定の切断に対する言及は例示的である。ある実施形態では、このメチル化ヌクレオチドは、5−メチルシトシンであり、そして非メチル化ヌクレオチドはシトシンである。
【0136】
本明細書において注記されるとおり、便宜上、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断(これによって無塩基部位が生成される)は、別の工程として記載されている。この工程は、無塩基部位での骨格の切断(断片化)および/または無塩基部位での標識と同時に行なわれてもよいことが理解される。
【0137】
無塩基部位を含む得られたポリヌクレオチドにおける無塩基部の頻度(または間隔)(メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断後であって、従って本発明の方法を用いて生成されたフラグメントの平均サイズ)(すなわち、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断後)は、本明細書においてさらに考察されるように、以下を包含する当該分野で公知の変数によって制御される:ポリヌクレオチド中のメチル化ヌクレオチド(単数または複数)の頻度(または、ある配列のヌクレオチド含量の他の指標、例えば、平均G−C含量)、非メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの長さ、および無塩基部位の生成の間に用いられる反応条件(例えば、メチル化結合タンパク質の存在、および/またはDNA結合タンパク質の存在)。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは、本発明の方法を用いる無塩基部位での切断および標識の前後に他の方法(例えば、制限消化、機械的切断)を用いてさらに切断される。
【0138】
非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断に関与する方法は、ネイティブのメチル化状態を有するポリヌクレオチド、すなわち、本明細書に上記されるように、メチル化の状態またはパターンがインビボで存在するポリヌクレオチドの使用に関しておりそれを含むということが理解される。特に除外されるのは、標識および/または断片化の方法であって、同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号(公開番号2003/0005614)に開示されるような非正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの合成を含む方法である。
【0139】
一般には、非メチル化ヌクレオチドの切断(ただし、対応するメチル化ヌクレオチドの切断ではない)に関与する方法は、重度にメチル化されている(高メチル化)ポリヌクレオチドテンプレートでの使用に適切であるが、他のポリヌクレオチドテンプレートは、本発明の方法における使用に適切である。メチル結合タンパク質および/またはDNA結合タンパク質の存在下における切断に関与する方法はさらに本明細書に記載される。
【0140】
ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと、メチル結合因子、例えば、メチル結合抗体および/またはメチル結合タンパク質とを、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断の前および/または間に接触させる。メチル結合因子との結合は、標識および断片化(非メチル化ヌクレオチドの切断を含む)からポリヌクレオチド結合の部分を保護する。例えば、塩基の切断のために酵素を用いる場合、メチル化ヌクレオチド塩基に対する酵素の結合またはメチル化ヌクレオチドに対する酵素の活性は、メチル結合因子に対する結合によって保護され得る。従って、この方法は一般に、例えば、マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションによって、さらなる分析のために適切であるメチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドフラグメントを生成する。この方法は一般には、例えば、高メチル化サンプルの分析のために適切であり、メチル化ヌクレオチドでの切断に関与する方法は、過剰な断片化を生じ得る。ある実施形態では、この方法は、目的のポリヌクレオチドにおける非高メチル化配列を選択的に断片化するために有用であり、その結果、高メチル化配列は、反応混合物から単離され得、そしてさらに分析され得る(マイクロアレイに対する配列決定および/またはクローニングおよび/またはハイブリダイゼーションを含む)。
【0141】
メチル化ヌクレオチドに結合する抗体は、当該分野で公知である。例えば、米国特許公開第2002/0197639号;ErlangerおよびBeiser(PNAS,52:68,1964);Sanoら、(Biochemical et Biophysica Acta,951:157,1988);1999年3月4日公開のPCT国際公開番号.WO99/10540号;Mizugakiら(1996)Biol Pharm.Bull.19:1537〜40(5−メチルシトシンを認識する抗体を記載する)およびTohuku J.Exp Med.1986,149(2):151〜181を参照のこと。メチル結合タンパク質はまた、当該分野で公知である。例えば、Ballestarら(2001)Eur J Biochem.268:1〜6を参照のこと。当該分野で周知のとおり、メチル結合タンパク質(メチル化結合タンパク質またはMBPとも命名される)は、メチル化ヌクレオチドに結合するタンパク質、およびメチル化ヌクレオチドを含む領域に結合するタンパク質を包含する。
【0142】
他の実施形態では、メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチド(例えば、DNA)結合タンパク質、例えば、転写因子、調節性タンパク質および他のDNA結合タンパク質と、非メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断前に接触させる。ポリヌクレオチド結合タンパク質、例えば、転写因子は、切断からポリヌクレオチドの結合部分を保護し、これによって、特定のDNA結合タンパク質の結合部位を含む標識されるかまたは断片化されたポリヌクレオチドを生成する。
【0143】
ある実施形態では、メチル化状態は、メチル化結合因子および/または他のポリヌクレオチド結合タンパク質の有無において比較され得る。本明細書にさらに記載されるように、メチル化状態の比較は、例えば、異なる状態の発生および/または異なる疾患状態由来のサンプル(例えば、コントロール(正常な)サンプルおよび疾患組織由来のサンプル)を比較するために有用である。
【0144】
(2.無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位での骨格の切断)
無塩基部位の生成後、本明細書に記載のような、無塩基部位での骨格の切断を果たし得る因子を用いて、ポリヌクレオチドの骨格を無塩基部位(すなわち、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断後に生成される部位)で切断する。
【0145】
(3.無塩基部位を標識する工程および検出)
無塩基部位を標識して、これによって、本明細書に記載されるように、標識を含むポリヌクレオチド(またはポリヌクレオチドフラグメント)を生成する。ある実施形態では、無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントを、無塩基部位で標識し得る因子と接触させる;これによってポリヌクレオチドの標識されたフラグメントを本明細書に記載のように生成させる。
【0146】
(E.DNAメチル化の分析のための標識および/または断片化の方法を用いる適用)
本発明の方法および組成物は、種々の目的のために用いられ得る。例示の目的のために、核酸を特徴づけおよび/または定量するハイブリダイゼーションプローブまたは標的を生成する方法、サブトラクティブハイブリダイゼーションプローブを調製する工程、検出(ハイブリダイゼーションプローブを用いる)、ならびにメチル化状態を決定する工程、本発明の方法によって生成される標識および/または断片化された核酸を用いる工程が記載される。
【0147】
(1.メチル化ポリヌクレオチドを特徴付けるための方法)
本発明の方法によって得られた標識および/または断片化された核酸は、さらなる特徴付けが可能である。
【0148】
標識されたおよび/または断片化された核酸(すなわち、本明細書に記載されるようなメチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および/または断片化するための任意の方法の生成物)は、例えば、当該分野で公知のプローブハイブリダイゼーション技術、例えば、サザーンブロットおよびノーザンブロット、ならびにプローブアレイに対するハイブリダイゼーションを用いて分析され得る。それらはまた、電気泳動に基づく方法、例えば、当該分野で公知である、ディファレンシャルディスプレイおよびサイズ・キャラクタリゼーション、例えば、キャピラリー電気泳動および配列決定ゲルを用いるゲル電気泳動によって分析され得る。
【0149】
1実施形態では、本発明の方法は、標識されるか、および/または断片化された核酸を生成するために、そして標識されるかおよび/または断片化された核酸をプローブとの接触によって分析するために利用される。
【0150】
1実施形態では、本発明の方法は、例えば、cDNAおよび/またはオリゴヌクレオチドプローブのような適切なプローブを含む、マイクロアレイ(ガラス、チップ、プラスチックを含む任意の適切な基板の)、ビーズ、または粒子との接触によって、分析(例えば、検出および/または定量)される、標識されたか、および/または断片化された核酸を生成するために利用される。従って、本発明は、標識されるか、および/または断片化された核酸を、標識された生成物を分析することによって、例えば、固体または半固体基板上の例えば、特定の位置で固定されたプローブ、規定の粒子(ビーズ、例えば、Bead Array、Illuminaを含む)上に固定されたプローブ、またはブロット(例えば、メンブレン)、例えば、アレイ、またはアレイのアレイ上に固定されたプローブに対する標識された生成物のハイブリダイゼーションによって、例えば、特徴付ける(例えば、検出および/または定量および/または同定する)ための方法を提供する。固定されたプローブとしては、本明細書に記載の方法によって生成される固定されたプローブが挙げられ、そしてまた、少なくとも以下のマイクロアレイが挙げられる:基板上で直接合成され得る、cDNAおよび合成オリゴヌクレオチド。ある実施形態では、マイクロアレイは、Affymetrix Gene Chipアレイ、Agilentオリゴヌクレオチドアレイ、またはAmersham CodeLinkアレイ、または他の高密度もしくは低密度オリゴヌクレオチドもしくはcDNAのアレイであり、これにはゲノムまたはフォーカスド・アレイ(focused array)が挙げられる。このプローブの同一性によって、生成物の配列同一性の特徴づけが得られ、従って、外挿によってまた、それから生成物が調製される、メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(「テンプレート(template)」と命名される)の同一性の特徴づけがを得ることが可能である。従って、メチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、本発明の方法を用いて同定され得ることが証明される。
【0151】
例えば、標識された生成物とプローブを含む溶液とを接触させること、続いて標識された生成物およびプローブを含む複合体の溶液からの抽出などによって、それらの標識された生成物を分析する他の方法は、当該分野で公知である。プローブの同一性は、生成物の配列同一性の特徴づけを提供し、従って、外挿によってまた、生成物が調製されるテンプレートの同一性の特徴づけを得ることができる。さらに、標識された生成物のハイブリダイゼーションが検出可能であり、検出される標識の量は、メチル化ヌクレオチドを含む特定のポリヌクレオチドから調製された標識された生成物の量に対して比例する。この指標は例えば、サンプル中のメチル化した種の相対的な量(量、程度)を測定することのために有用である。アレイ上の規定の位置でハイブリダイズされた標識された生成物の量(例えば、標識と会合する検出可能シグナルによって示される)は、サンプル中の対応するメチル化ポリヌクレオチド種の検出および/または定量の指標である。
【0152】
別の局面では、本発明は、メチル化ポリヌクレオチドを検出するための方法を提供し、この方法は、本質的には全てのゲノムDNAを含む、ポリヌクレオチドサンプル(メチル化ヌクレオチドを含む(ある実施形態では、メチル化ポリヌクレオチドを含むと疑われる)ポリヌクレオチドの1つ以上の多重度、大きい多重度または極めて多量の多重度を含み得る)中のメチル化の有無または量(レベルおよび/または程度)を検出する工程を包含する。ある実施形態では、メチル化の有無または量は、標識されるかおよび/または断片化されたポリヌクレオチド(本明細書に記載されるメチル化ポリヌクレオチドを標識および/または断片化するための任意の方法を用いて生成される)を、本明細書にさらに記載されるように、規定された配列のポリヌクレオチド(プローブ)(例えば、マイクロアレイ上に固定され得る)に対してハイブリダイズすることによって決定される。ある実施形態では、マイクロアレイは、cDNAマイクロアレイである。ある実施形態では、マイクロアレイは、Affymetrix Gene Chipアレイ、Agilentオリゴヌクレオチドアレイ、またはAmersham CodeLinkアレイ、または他の高密度もしくは低密度のオリゴヌクレオチドもしくはcDNAのアレイであり、これにはゲノムアレイまたはフォーカスド・アレイ(focused array)が挙げられる。生成された、標識されたおよび/または断片化された核酸の量(従って生成物の量)は、定量的および/または定性的な方法を用いて決定され得るということが理解される。標識されたおよび/または断片化された核酸の量を決定する工程は、標識されたおよび/または断片化された核酸が存在するか、存在しないかを決定する工程を包含する。従って、メチル化の量または程度としては、メチル化の非存在に関連する情報が挙げられる。生成物の「非存在の(absent)」または「非存在(absence)」および「生成物の検出欠如(lack of detection of product)」とは本明細書において用いる場合、無意味なレベルまたは僅少なレベルを包含する。
【0153】
本明細書において上記されるように、標識されるかおよび/または断片化された核酸は、本明細書に記載されるような、および/または当該分野で公知のような種々の方法によって検出および定量され得る。本明細書に記載される方法の生成物(例えば、標識されるかおよび/または断片化された生成物)を定量することによって決定する場合、サンプルに存在する目的のメチル化ポリヌクレオチドの量の決定によって、サンプル供給源のメチル化状態の決定が得られる。メチル化の有無または量は、目的の1つのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドの多重度、大きい多重度、またはポリヌクレオチドの極めて大きい多重度(全てまたは本質的に全てのゲノムDNAを含む)について決定され得ることが理解される。ある実施形態では、メチル化の有無または量(程度またはパターン)は、特定のポリヌクレオチド配列について決定される。他の実施形態では、有無または量は、ポリヌクレオチド配列の多重度、大きい多重度または極めて大きい多重度について決定される。ポリヌクレオチド配列(メチル化分析が所望される)は、公知であってもよい(例えば、特定の遺伝子座、ゲノム領域、CpGアイランド、CpGジヌクレオチドなど)し、または未知であっても、未同定のポリヌクレオチド配列であってもよい。
【0154】
別の局面では、本発明は、メチル化ポリヌクレオチドを単離、富化および/または同定するための方法を提供する。本発明の方法は、単離されるか、富化されるか、およびまたは同定される、標識されるかおよび/または断片化された核酸を生成するために利用される。ある実施形態では、標識されるかおよび/または断片化されたポリヌクレオチドは物理的に捕獲され(例えば、溶液またはマイクロアレイ中のプローブに対する結合によって)、そして捕獲されたポリヌクレオチド生成物は、単離およびまたは富化される。他の実施形態では、標識されるかおよび/または断片化されたポリヌクレオチド生成物は、公知のプローブに対するハイブリダイゼーション、またはその配列を特徴付けるための他の方法を介して同定される。
【0155】
(2.メチル化状態の比較)
本発明の方法に従って生成された標識されるかおよび/または断片化された核酸はまた、もし存在するならメチル化状態における変化以外のテンプレート核酸配列に対して同一である参照核酸配列に比較した場合の、テンプレートのポリヌクレオチド配列(標識されるかおよび/または断片化された核酸が合成される)におけるメチル化状態(例えば、有無または量、程度および/またはパターン)における任意の変化の検出のための分析について適切である。
【0156】
従って、本発明は、サンプル中のメチル化状態を比較する方法を提供し、この方法は、(a)本明細書に記載される任意の方法を用いて、サンプル中の少なくとも1つのポリヌクレオチドテンプレートから、標識されるかおよび/または断片化されたポリヌクレオチドを生成する工程と;(b)各々のポリヌクレオチドテンプレートのその標識されたポリヌクレオチドまたはフラグメントの量を決定する工程であって、この各々の量がサンプル中の各々のポリヌクレオチドテンプレートの量の指標である工程とを包含する。
【0157】
この方法は、広範な種々の分子診断において、そして特に本質的に任意の細胞(単一の細胞を含む)または細胞集団の研究において有用である。細胞または細胞集団(例えば、組織)は、例えば、血液、脳、脾臓、骨、心臓、血管、肺、腎臓、下垂体、内分泌腺、胚性細胞、腫瘍など由来であってもよい。メチル化状態の比較はまた、試験サンプルに対してコントロール(正常)サンプルを比較するために有用であり、試験サンプルとしては、発生、処置などの前、後、および/または間を含む種々の時点で収集される試験サンプルが挙げられる。
【0158】
(3.比較ハイブリダイゼーション)
別の局面では、本発明は、比較ハイブリダイゼーション(例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーション)の方法を提供し、この方法は:(a)標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの第一の集団を、本明細書に記載される任意の方法を用いて、第一のテンプレートポリヌクレオチドサンプルから調製する工程と;(b)少なくとも1つのプローブに対する第一の集団のハイブリダイゼーションを、標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの第二の集団のハイブリダイゼーションと比較する工程とを包含する。さらに他の実施形態では、この少なくとも1つのプローブは、マイクロアレイとして提供される。ある実施形態では、第一および第二の集団は、検出可能に異なる標識を含む。他の実施形態では、標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの第二の集団を、本明細書に記載される任意の方法を用いて、第二のポリヌクレオチドサンプルから調製する。ある実施形態では、比較する工程という工程(b)は、この生成物の量を決定して、これによって第一および第二のポリヌクレオチドテンプレートの量が定量される工程を包含する。
【0159】
ある実施形態では、比較ハイブリダイゼーションは、本明細書に記載の任意の方法に従って、標識されたポリヌクレオチド(ポリヌクレオチドフラグメントであってもよい)の第一の集団を調製する工程を包含する。標識されたポリヌクレオチドの第二の集団(第一の集団が比較されることが所望される)が、第二のゲノムDNAテンプレートから調製される。第一および第二の集団は、単一のアレイに対してハイブリダイズされてもよいし(この場合、検出可能な異なる標識が一般に用いられる)、または異なるアレイに対してハイブリダイズされてもよい(この場合、この標識は同じであっても異なってもよい)。第一および第二の集団のハイブリダイゼーションを、検出して比較する。
【0160】
(切断可能な正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法、ならびに切断可能な正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法)
(A.切断可能な正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法)
本発明は、切断可能な正準ヌクレオチド(交換可能に「(正準ヌクレオチド)canonical nucleotide」と命名される)を含むポリヌクレオチドの標識されたフラグメントを生成するための方法を提供する。ある局面では、すなわちRNAの状況では、正準ヌクレオチドは、塩基のウラシル(U)を含むヌクレオチド(そしてリボヌクレオシドなどのそれぞれの形態)を包含する。
【0161】
この方法は一般に、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いる、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに存在する正準ヌクレオチドの塩基部分の切断と;無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格のその無塩基部位での切断と;この無塩基部位での標識であって、それによって標識された核酸フラグメントが生成される標識とを包含する。一般には、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、無塩基部位(正準ヌクレオチドの塩基部分の切断によって生成される)で断片化および標識される。従って、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断によって生成される無塩基部位の頻度は一般に、ポリヌクレオチドから生成された標識フラグメントのサイズ範囲に関しており、そのサイズ範囲を決定する。本発明の方法は、標識された核酸フラグメントを生成し、それは例えば、マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションおよび本明細書に記載される他の用途に有用である。
【0162】
本発明は、以下の工程を包含する:(a)正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて(すなわち、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断して)、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチドの骨格をこの無塩基部位で切断する工程と;(c)この無塩基部位を含むポリヌクレオチドと、この無塩基部位で標識し得る因子とを接触させて(すなわち、この無塩基部位を標識させて)、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程。
【0163】
簡単にするために、標識および断片化の方法の個々の工程を以下に考察する。しかし、この工程は、本明細書に考察されるように、同時に行なわれてもよいし、そして/または変更された順序で行なわれてもよいことが理解される。
【0164】
ある実施形態では、無塩基部位は、ほぼ5、10、15、20、25、30、40、50、65、75、85、100、123、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650またはそれ以上離れたヌクレオチドごとに生成される。1実施形態では、この無塩基部位は、およそ200ヌクレオチドごと、およそ100ヌクレオチドごと、または約50ヌクレオチドごとに生成される。別の実施形態では、この無塩基部位は、およそ50〜およそ200ヌクレオチドごとに生成される。
【0165】
無塩基部位を含む得られたポリヌクレオチドにおける無塩基部位の頻度(または間隔)(正準ヌクレオチドの塩基部分の切断後、従って本発明の方法を用いて生成されたフラグメントの平均サイズ(すなわち、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断後)は、本明細書においてさらに考察されるように、以下を含む当該分野で公知の変数によって制御される:ポリヌクレオチド中の正準ヌクレオチド(単数または複数)の頻度(または平均G−C含量のような配列のヌクレオチド含量の他の指標)、および無塩基部位の生成の間に用いられる反応条件。反応条件は、例えば、本明細書に教示される本発明の方法を用いて生成される平均のフラグメントサイズを評価することによって、経験的に決定され得る。ある実施形態では、ほぼ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上の任意の正準塩基が切断される。
【0166】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、任意のテンプレートであった、それから標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成されることが所望される任意のテンプレートであり得、これには、精製または未精製の形態の任意の供給源由来の二本鎖の、部分的に二本鎖の、そして一本鎖の核酸が挙げられ、これはDNA(dsDNAおよびssDNA)またはRNAであってもよく、これには、tRNA、mRNA、rRNA、ミトコンドリアDNAおよびRNA、葉緑体DNAおよびRNA、DNA−RNAハイブリッド、またはその混合物、遺伝子、染色体、プラスミド、生物学的物体、例えば、微生物、例えば、細菌、酵母、ウイルス、ビリオイド、カビ、真菌、植物、動物、ヒトのゲノム、およびそのフラグメントが挙げられる。核酸の獲得および精製は、当該分野で標準的な技術を用いる。RNAsは、当該分野の標準的な技術を用いて獲得および精製可能である。DNAテンプレート(ゲノムDNAテンプレートを含む)は、RNA型に転写されて、これは、Kurn、米国特許第6,251,639号B1に開示される方法を用いて、そして当該分野で公知の他の技術(例えば、発現系)によって達成され得る。ゲノムDNAのRNAコピーは一般に、mRNA中では一般に見出されない非転写配列、例えば、イントロン、調節エレメントおよび制御エレメントなどを含む。RNAテンプレートのDNAコピーは、Kurn、米国特許出願公開第2003/0087251号A1に記載される方法または当該分野で公知の他の技術を用いて合成され得る)。DNA−RNAハイブリッドからのポリヌクレオチドの合成は、ssDNAおよび/またはRNAを得るためのハイブリッドの変性、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断し得る因子での切断、および当該分野で公知の他の方法によって達成され得る。テンプレートは、生物学的サンプルのような複雑な混合物のごくわずかな画分であってもよく、そして当該分野で周知の手順によって種々の生物学的物質から得られてもよい。テンプレートは、既知であっても未知であってもよく、そして各々がお互いと同じであっても異なってもよい目的の2つ以上の所望の特異的な核酸配列を含んでもよい。テンプレートDNAは、核酸の小集団、例えば、サブトラクティブハイブリダイゼーションプローブ、総ゲノムDNA、制限フラグメント、cDNAライブラリー、総mRNAから調製されたcDNA、クローニングされたライブラリー、または本明細書に記載されたテンプレートのいずれかの増幅生成物であってもよい。ある場合には、テンプレート核酸配列の一部の相補体の合成の最初の工程は、テンプレート変性である。この変性工程は、熱変性であっても、または当該分野で公知の任意の他の方法、例えば、アルカリ処理であってもよい。
【0167】
簡単にするために、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、単独の核酸として記載される。ポリヌクレオチドは、単一のポリヌクレオチドであっても、ポリヌクレオチドの集団(小さい多重度から極めて大きい多重度のポリヌクレオチド)であってもよいことが理解される。正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、多重度の異なる(小から極めて大)ポリヌクレオチド分子であり得ることがさらに理解される。このような集団は、配列中で関連してもよく(例えば、遺伝子ファミリーまたはスーパーファミリーのメンバー)、または配列中で極端に多様であってもよい(例えば、全mRNAから生成された、全ゲノムDNAから生成された、など)。ポリヌクレオチドはまた、単独の配列(公知の遺伝子の一部であっても全てであってもよい、例えば、コード領域、ゲノム部分など)に相当してもよい。特異的なポリヌクレオチド配列を生成するための方法、試薬および反応条件、ならびにポリヌクレオチド配列の多重度は当該分野で公知である。
【0168】
一般には、ポリヌクレオチドはDNAであるが、本明細書において注記されるように、ポリヌクレオチドは、変化したおよび/または改変したヌクレオチド、ヌクレオチド間連結、リボヌクレオチドなどを含み得る。本明細書において一般に用いられるとおり、「DNA」は、ポリヌクレオチドの実施形態にあてはまることが理解される。ある局面では、すなわちRNAの状況では、正準ヌクレオチドは、塩基のウラシル(U)を含むヌクレオチド(そして、リボヌクレオシドなどのようなそれぞれの形態)を包含する。
【0169】
ポリヌクレオチドは例えば、サンプルから生成されても単離されてもよい。ポリヌクレオチドを調製するための方法は当該分野で周知である。テンプレートから、ポリヌクレオチド、例えば、一本鎖および二本鎖のDNAを合成するための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれには、例えば、単一プライマー等温増幅(SPIA(商標))、Ribo−SPIA(商標)、PCR、逆転写、プライマー伸長、制限プライマー伸長、複製(ローリングサークル複製を含む)、鎖置換増幅(SDA)、ニックトランスレーション、多重置換増幅(MDA)が挙げられる。例えば、Kurn、米国特許第6,251,639号B1;Kurn,PCT公開番号WO02/00938;Kurn,米国特許出願公開第2003/0087251号A1;Mullis,米国特許第4,582,877号;Wallace、米国特許第6,027,923号;米国特許第5,508,178号;同第5,888,819号;同第6,004,744号;同第5,882,867号;同第5,710,028号;同第6,027,889号;同第6,004,745号;同第5,763,178号;同第5,011,769号を参照のこと;また、Sambrook(1989)「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」第二版;Ausebel(1987、および最新版)「Current Protocols in Molecular Biology」;Mullis,(1994)「PCR:The Polymerase Chain Reaction」も参照のこと。当該分野で公知の1つ以上の方法を用いて、ポリヌクレオチドを合成することができる。適切な方法としては、正準ヌクレオチドを含む1つの一本鎖または二本鎖のポリヌクレオチドを生じる方法(例えば、逆転写、二本鎖cDNAの生成、1回のDNA複製)、ならびにテンプレートの相補体の複数の一本鎖または二本鎖のコピーを生じる方法(例えば、単一プライマー等温増幅またはRibo−SPIA(商標)またはPCR)が挙げられる。1実施形態では、正準ヌクレオチドを含む一本鎖ポリヌクレオチドが、単一プライマー等温性増幅を用いて合成される。Kurn,米国特許第6,251,639号B1を参照のこと。
【0170】
(1.正準ヌクレオチドの塩基部分を切断して無塩基部位を作製する工程)
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを、正準デオキシリボヌクレオシドの塩基部分を普遍的、特異的または選択的に切断し得る、酵素のような因子で処理して無塩基部位を作製する。本明細書において用いる場合、「無塩基部位(abasic site)」とは、ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子での正準ヌクレオチドの塩基部分(塩基全体を含む)の除去後に残る任意の化学構造を包含する。ある実施形態では、この因子(例えば、酵素)は、正準ヌクレオチドの塩基部分と正準ヌクレオチドにおける糖との間の結合の加水分解を触媒して、ヘミアセタール環を含み(ある実施形態では、アルデヒド部分を含み)そして塩基を欠く無塩基部位(交換可能に「AP」部位と呼ばれる)を生成するが、他の切断生成物も、本発明の方法における使用について意図される。切断可能な正準ヌクレオチドの塩基部分の切断のための適切な因子および反応条件は当該分野で公知であり、そしてこれには表1に示される因子が挙げられる。
【0171】
【表1】

1つ以上の因子を用いてもよい。ある実施形態では、1つ以上の因子が、同じ正準ヌクレオチドの塩基部分を切断する。他の実施形態では、1つ以上の因子は、種々の正準ヌクレオチドの塩基部分を切断する。ある実施形態では、この因子は酵素である。他の実施形態では、この因子は化学的因子である。さらに他の実施形態では、この因子は反応条件(例えば、酸性条件の存在)である。
【0172】
明白であるとおり、ある実施形態では、dUTPは、中間体として生成されて、dUTPの塩基部分の切断は、無塩基部位を生成するのに必要である。dUTPの塩基部分を切断するための方法は当該分野で公知である。例えば、Lindahl、PNAS(1974)71(9):3649〜3653;Jedrisak、米国特許第6,190,865号B1;米国特許第5,035,996号;米国特許第5,418,149号を参照のこと。例えば、ある実施形態では、酵素シトシンデアミナーゼを用いて、dCTPを脱アミノして、これによってdUTPを生成する。次いでUNGを用いてdUTPの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する。従って、ある実施形態では、シトシンデアミナーゼをUNGと組み合わせて用いて、正準ヌクレオチドdCTPから無塩基部位を生成する。本明細書において用いる場合、「組み合わせて(in conjunction)」とは、同時の処置(例えば、シトシンデアミナーゼおよびUNGが、同じ反応混合物中で切断する場合)、および/または種々の時点での処置(例えば、シトシンデアミナーゼおよびUNG処置が連続して行なわれる場合)を包含する。
【0173】
明白であるとおり、ある実施形態では、異なる因子が正準ヌクレオチドの塩基部分を切断して、ホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断する。他の実施形態では、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断する因子は、ホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断する同じ因子である。ある実施形態では、断片化および標識は、酸性条件(ある実施形態では、pH2〜5;ある実施形態では、pH3〜3.5)のもとで行なわれる。実施例1は、酸性条件のもとでの効率的な標識および断片化のために適切な反応条件を例示する。さらに他の実施形態では、ARP標識および断片化は、実質的に同様の反応条件下で行なわれる。
【0174】
ある実施形態では、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断は、(正準ヌクレオチドの塩基部分を切断できる因子(例えば、酵素)が、特定の正準ヌクレオチドの塩基部分を普遍的、特異的または選択的に切断するという意味で)普遍的、特異的または選択的な切断であり、これによって、切断される塩基部分のおよそ90%、およそ85%またはおよそ80%が、正準ヌクレオチドの塩基部分である。しかし、切断の程度は少なくてもよい。従って、特定の切断に対する言及は例示的である。
【0175】
本明細書において注記されるとおり、便宜上、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断(これによって無塩基部位が生成される)は、別の工程として記載されている。この工程は、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの合成(切断可能な正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの合成を包含する実施形態では)、無塩基部位での骨格の切断(断片化)および/または無塩基部位での標識と同時に行なわれてもよいことが理解される。実施例1は、正準ヌクレオチド(一般には、dGTP)の切断およびホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断のための酸性条件の使用を例示する。
【0176】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの合成に関与するいくつかの実施形態では、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、正準ポリヌクレオチドの合成後に精製される(例えば、反応混合物に存在する残りの遊離の正準ヌクレオチドを排除するため)。他の実施形態では、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの合成と引き続く工程(例えば、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断およびホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断)との間に中間の精製はない。
【0177】
2.無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位での骨格の切断
無塩基部位の生成後、ポリヌクレオチドの骨格は、本明細書において記載されるように、無塩基部位で骨格の切断を果たし得る因子を用いて、無塩基部位(すなわち、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断後に生成される部位)で切断される。
【0178】
3.無塩基部位の標識および検出
無塩基部位を標識して、これによって、本明細書に記載されるように、標識を含むポリヌクレオチド(またはポリヌクレオチドフラグメント)を生成する。ある実施形態では、無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントを、無塩基部位で標識し得る因子と接触させる;これによってポリヌクレオチドの標識されたフラグメントを本明細書に記載のように生成させる。
【0179】
(B.切断可能な正準ヌクレオチドを含む核酸を標識するための方法)
本発明は、標識された核酸(単数または複数)を生成するための方法を提供する。この方法は一般には、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いる、ポリヌクレオチドに存在する正準ヌクレオチドの塩基部分の切断と;無塩基部位の標識であって、標識されたポリヌクレオチド(単数または複数)が生成される標識工程とを包含する。一般には、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドをポリヌクレオチドにおける正準ヌクレオチドの部位で標識する(正準ヌクレオチドの塩基部分の切断による無塩基部位の生成後)。本発明の方法は、標識されたポリヌクレオチド(単数または複数)を生成し、これは、例えば、マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションおよび本明細書に記載される他の用途のために有用である。
【0180】
この方法は以下の工程を包含する:(a)正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを接触させて、これによって無塩基部位を生成する工程と;(b)この無塩基部位を含むこのポリヌクレオチド中の無塩基部位を標識して、これによって標識されたポリヌクレオチド(単数または複数)を生成する工程。
【0181】
簡単にするために、標識方法の個々の工程を以下に考察する。しかし、この工程は、本明細書に考察されるように、同時に行なわれてもよいし、そして/または変更された順序で行なわれてもよいことが理解される。
【0182】
ある実施形態では、無塩基部位は、ほぼ5、10、15、20、25、30、40、50、65、75、85、100、123、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650またはそれ以上離れたヌクレオチドごとに生成される。1実施形態では、この無塩基部位は、およそ200ヌクレオチドごと、およそ100ヌクレオチドごと、または約50ヌクレオチドごとに生成される。別の実施形態では、この無塩基部位は、およそ50〜およそ200ヌクレオチドごとに生成される。
【0183】
無塩基部位を含む得られたポリヌクレオチドにおける無塩基部位の頻度(または間隔)(正準ヌクレオチドの塩基部分の切断後、従って本発明の方法を用いて生成されたフラグメントの平均サイズ(すなわち、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断後)は、本明細書においてさらに考察されるように、以下を含む当該分野で公知の変数によって制御される:ポリヌクレオチド中の正準ヌクレオチド(単数または複数)の頻度(または平均G−C含量のような配列のヌクレオチド含量の他の指標)、および無塩基部位の生成の間に用いられる反応条件。反応条件は、例えば、本明細書に教示される本発明の方法を用いて生成される平均のフラグメントサイズを評価することによって、経験的に決定され得る。ある実施形態では、ほぼ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の任意の正準塩基が切断される。
【0184】
(1.無塩基部位を作製するための正準ヌクレオチドの塩基部分の切断)
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを、本明細書に記載のように、正準デオキシリボヌクレオシドの塩基部分を普遍的、特異的または選択的に切断し得る因子、例えば、酵素を用いて処理して、無塩基部位を作成する。
【0185】
(2.無塩基部位の標識および検出)
無塩基部位を標識して、これによって、本明細書に記載されるように、標識を含むポリヌクレオチドを生成する。
【0186】
(ポリヌクレオチド(またはそのフラグメント)を調製および基板上で固定するための方法)
本発明は、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドフラグメントを生成すること、および基板(本明細書において、交換可能には、「表面(surface)」と命名される)上のこのフラグメントの固定のための方法を提供する。この方法は一般には、ポリヌクレオチド、またはそのフラグメントを基板上に固定する工程であって、このポリヌクレオチドまたはそのフラグメントは、無塩基部位で固定され、このポリヌクレオチドまたはそのフラグメントが、本明細書に記載される任意の方法を用いて生成される工程を包含する。必要に応じて、無塩基部位を含むポリヌクレオチドは、本明細書に記載の標識方法に従って無塩基部位で標識され得る。本発明の方法は、基板、例えば、マイクロアレイ上に固定されたポリヌクレオチドおよびそのフラグメントを生成する。ある実施形態では、1つ以上の無塩基部位(単数または複数)を、(本明細書に記載のとおり)標識して、そして1つ以上の無塩基部位(単数または複数)を基板に固定する。
【0187】
この方法は、以下の工程を包含する:ポリヌクレオチド(またはそのフラグメント)を基板上に固定する工程であって、このポリヌクレオチドは、無塩基部位でこの基板に固定され;ここで無塩基部位を含むこのポリヌクレオチド(またはそのフラグメント)は、本明細書に記載される任意の方法を用いて生成される工程。
【0188】
無塩基部位を含むポリヌクレオチドの生成後、ポリヌクレオチド(または、骨格が切断される場合は、ポリヌクレオチドフラグメント)は、基板に対して無塩基部位で固定される。無塩基部位での骨格の切断(これによって、合成された核酸のフラグメントが生成される)を含む実施形態では、切断されたフラグメントは、基板に対して、その切断された無塩基部位で固定される。ポリヌクレオチド(単数または複数)を固定することは、例えば、分析物をタグするために、またはマイクロアレイを作製するために有用である。一本鎖ポリヌクレオチド(ポリヌクレオチドフラグメントを含む)は特に、一本鎖ポリヌクレオチドを含むマイクロアレイを調製するために適切である。一本鎖ポリヌクレオチドフラグメント(無塩基部位でホスホジエステル骨格の切断を含む実施形態では)は有利である。なぜなら、基板(フラグメントが固定されている)に対するフラグメントの方向は、無塩基部位がフラグメントの3’末端にまたはフラグメントの5’末端に位置するように、ホスホジエステル骨格を切断するために用いられる方法の選択によって制御され得るからである。所定の方向に(例えば、3’末端に、5’末端に)ポリヌクレオチドを固定することによって、相補的なオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが強化され、そしてより高密度の固定が可能になる。
【0189】
無塩基部位を含むポリヌクレオチドを、以下のように基板に固定する:一般には、基板上に存在する反応性基に対して無塩基部位に存在する反応性基を共有結合または非共有結合的に結合させ得る試薬が用いられる。例えば、無塩基部位に曝された共通の官能基(従って標識における使用に適切)は、ヘミアセタール環のアルデヒドであり、これは当該分野で公知である反応条件を用いて適切な基板上で反応性基に対して共有結合されてもまたは非共有結合的に結合されてもよい。アルデヒド(無塩基部位の)と反応するのに適切な側鎖(基板上に存在する)としては、少なくとも以下が挙げられる:置換ヒドラジン、ヒドラジド、またはヒドロキシルアミン(アルデヒドとイミン結合を容易に形成する)、および関連のセミカルバジドおよびチオセミカルバジド基、ならびに他のアミンであって、安定な炭素−窒素二重結合を形成し得る、同時の切断および結合を触媒し得る(Horn,Nucl.Acids.Res.,(1988)16:11559〜71を参照のこと)かまたは、例えば、還元的アミノ化によって安定な結合体を形成するようにカップリングされ得る、他のアミン。
【0190】
ポリヌクレオチドが固定される基板は、当該分野で公知の方法を用いて適切な反応性基で官能化され得る。例えば、固体または半固体の基板(例えば、シリコンまたはガラススライド)を、ヒドラジン、ヒドラジドまたはアミン誘導体化基板(例えば、セミカルバジド)を含むポリマー(例えば、ポリアクリルアミド、デキストラン、アクリルアミドまたはラテックス)でコーティングしてもよい。適切な反応性基で基板を官能化するための方法は、当該分野で公知であり、そして例えば、Luktanov、米国特許第6,339,147号;Van Ness,米国特許第5,667,976号;Bangs Laboratories,Inc.TechNote 205(bangslabs.comで入手可能);Ghosh,Anal.Biochem(1989)178.43〜51;O’Shannessy,Anal.Biochem.(1990)191:1〜8;Wilchek,Methods Enzymol.(1987)138:429〜442;Baumagartner,Anal.Biochem.(1989)181:182〜189;Zalipsky,Biocomjugate Chem.(1995)6:150〜165、およびそこに引用される参考文献に開示される。
【0191】
これらの反応を行なうための方法および反応条件は、当該分野で公知である。例えば、Luktanov,米国特許第6,339,147号;Van Ness,米国特許第5,667,976号;Bangs Laboratories,Inc.TechNote 205(bangslabs.comで入手可能);Ghosh,Anal.Biochem(1989)178.43〜51;O’Shannessy,Anal.Biochem.(1990)191:1〜8;Wilchek,Methods Enzymol.(1987)138:429〜442;Baumagartner,Anal.Biochem.(1989)181:182〜189;Zalipsky,Biocomjugate Chem.(1995)6:150〜165、およびそこに引用される参考文献を参照のこと。同様の化学が、無塩基部位を標識する方法に関して本明細書に記載されていることが理解される(すなわち、無塩基部位の反応性基が標識上の適切な反応性基に対して共有結合または非共有結合的に結合される実施形態)。例えば、Srivastava,J.Biol.Chem.(1998)273(33):21203〜209;Makrigiorgos,Int J.Radiat.Biol.(1998)74(1):99〜109;Makrigiorgos,米国特許第6,174,680号B1;Makrogiorgos,PCT国際公開番号WO00/39345を参照のこと。
【0192】
別の実施例では、無塩基部位は、化学的に修飾されてもよく、次いでこの修飾された無塩基部位は基板上の適切な反応性基に対して共有結合されても非共有結合されてもよい。例えば、アルデヒド(無塩基部位の)は酸化または還元され(当該分野で公知の方法を用いて)、次いで例えば、還元的アミノ化または種々の酸化的プロセスを用いて基板に対して共有結合されてもよい。
【0193】
この基板は、多数の化学的に反応性の基を固定する能力(または、ある実施形態では、固定するための誘導体化のための能力)および無塩基部位を含むポリヌクレオチドを固定するために用いられる合成化学との適合性によって主に限定される、多くの物質から構成され得る。基板は、固体であっても半固体支持体であってもよく、これは、例えば、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロースまたは金属のような他の物質から作製され得る。本明細書において記載されるとおり、基板は、適切な反応性基(ここに無塩基部位が共有結合的にまたは非共有結合的に固定される)を付加する必要がある場合、官能化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、紙、ガラス、プラスチック、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、シリコン、光ファイバーまたは任意の他の適切な固体もしくは半固体(例えば、ポリアクリルアミドゲルの薄層であって、本明細書に記載されるように、基板が適切に官能化されると仮定する)を含む基板上の基質としてスポットされてもよい(Khrapkoら、DNA Sequence(1991),1:375〜388))。
【0194】
アレイは、平坦な基板上の2次元の行列としてアセンブルされてもよいし、またはピン、ロッド、ファイバー、テープ、スレッド、ビーズ、粒子、マイクロタイター・ウェル、キャピラリー、シリンダーならびにハイブリダイゼーションおよびテンプレート分子の検出に適切な任意の他の配置を含む三次元構成を有してもよい。1実施形態では、ポリヌクレオチド(またはそのフラグメント)が固定される基板は、磁気ビーズまたは粒子である。別の実施形態では、この固体基板は、光ファイバーを含む。さらに別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、キャピラリー内の液相に分散され、次に固相に対して固定される。
【0195】
別の実施形態では、この基板は、ポリペプチド、タンパク質、ペプチド、炭水化物、細胞、微生物ならびにそのフラグメントおよび生成物、有機分子、無機分子、キャリア分子、PEG、アミノ−デキストラン、炭水化物、超分子集合体、オルガネラ、細胞、微生物、有機分子、無機分子、あるいは無塩基部位を含むポリヌクレオチドについての固定部位が天然に存在するか、作製され得る(例えば、基板を官能化することによって、またはそうでなければ基板を修飾することによって)か、または開発され得る任意の物質を含む。1実施形態では、この基板はポリヌクレオチドである。
【0196】
この基板は、分析物であってもよい。代表的な分析物としては、限定はしないが、抗体、タンパク質(酵素を含む)、ペプチド、核酸分子またはそのセグメント、キャリア分子、PEG、アミノ−デキストラン、炭水化物、超分子集合体、細胞小器官、細胞、微生物、有機分子、無機分子、あるいは無塩基部位を含むポリヌクレオチドについての固定部位が天然に存在するか、作製され得る(例えば、分析物を官能化することによって)か、または開発され得る任意の物質を挙げることができる。
【0197】
基板は、結合対のメンバー(単数または複数)であってもよいことが理解される。結合対の非限定的な例としては、タンパク質:タンパク質結合対、およびタンパク質:抗体結合対が挙げられる。別の実施形態では、ポリヌクレオチド(またはそのフラグメント)は、基板の分子ライブラリー、例えば、化合物の分子ライブラリー、ファージペプチドディスプレイライブラリー、または抗体のライブラリーに対して固定(タグ)される。
【0198】
ある実施形態では、基板(ポリヌクレオチドが固定される)は酵素であって、その結果ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションの検出の増強が提供される。例えば、酵素に対して固定されたポリヌクレオチドは、マイクロアレイに対してハイブリダイズされてもよく、そしてハイブリダイズされたポリヌクレオチドは、マイクロアレイと規定の基板との接触によって検出されてもよい。
【0199】
無塩基部位でのホスホジエステル骨格の切断(これによって、合成された核酸のフラグメントが生成される)に関与する本発明の実施形態では、切断されたフラグメントはまた、基板に対する核酸の固定のために当該分野で公知の任意の方法を用いて基板に対して固定され得る。本明細書において用いる場合、「固定(immobilization)」としては、共有結合および非共有結合的な会合の両方が挙げられる。1実施形態では、ポリヌクレオチドは、無塩基部位を介して直接基板に固定される。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、結合されるかまたは会合された標識を直接介してまたは間接的に介して基板に固定される。
【0200】
例えば、一本鎖ポリヌクレオチドフラグメントまたは二本鎖ポリヌクレオチドフラグメント(一般には一本鎖)は、例えば、プラスチック、セラミック、金属、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、Teflon(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフマレート、コラーゲン、グリコサミノグリカンおよびポリアミノ酸、ならびに他の物質から構成され得る固体または半固体の支持体または基板に対して固定されてもよい。基板は、二次元または三次元の形態、例えば、ゲル、メンブレン、薄膜、ガラス、プレート、シリンダー、ビーズ、磁気ビーズ、光ファイバー、織りファイバー(woven fiber)、マイクロタイター・ウェル、キャピラリーなどであってもよい。例えば、フラグメントは、ガラススライドのような、固体または半固体の基板と接触されてもよく、この基板は、ポリヌクレオチドフラグメント上にある反応性基と共有結合を形成して、この基板に対して共有結合的に固定される反応性基でコーティングされている。
【0201】
ヌクレオチドフラグメントを含むマイクロアレイは、Biodot(BioDot,Inc.Irvine,CA)スポット装置およびアルデヒド−コーティングガラススライド(CEL Associates,Houston,TX)を用いて製造され得る。ポリヌクレオチドフラグメントは、無塩基部位での他の所望の反応を妨害することを回避するために適切な処置をとる条件では、適切な官能化後にアルデヒドコーティングスライド上にスポットされて、公開された手順に従って処理され得る(Schenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1995)93:10614〜10619)。アレイはまた、ガラス、ナイロン(Ramsay、G.,Nature Biotechnol.(1998),16:40〜44)、ポリプロピレン(Matsonら、Anal Biochem.(1995),224(1):110〜6)およびシリコンスライド(Marshall,A.およびHodgson,J.,Nature Biotechnol.(1998),16:27〜31)上にロボット的にプリントされてもよい。アレイのアセンブリに対する他のアプローチとしては、電場内の微細なマイクロピペッティング(MarshallおよびHodgson、前出)およびポジティブコーティングされたプレートに対する直接的なポリヌクレオチドのスポッティングが挙げられる。アミノプロピルシラン表面化学を用いる方法のような方法も、http://www.cmt.corning.comおよびhttp://cmgm.stanford.edu/pbrown/.に開示されるとおり、当該分野で公知である。
【0202】
マイクロアレイを作製するための1方法は、高密度ポリヌクレオチドアレイを作製することによる。ポリヌクレオチドの急速蒸着(rapid deposition)についての技術は公知である(Blanchardら、Biosensors&Bioelectronics,11:687〜690)。原則として、そして上記で注記するとおり、任意のタイプのアレイ、例えば、ナイロンハイブリダイゼーションメンブレン上のドットブロットが用いられ得る。しかし、当業者によって理解されるとおり、極めて小さいアレイがしばしば好ましい。なぜなら、ハイブリダイゼーション容積がより小さいからである。極めて小さいアレイは、高密度または低密度のプローブを含み得る。
【0203】
分析物(本明細書に記載のような)に対してポリヌクレオチドフラグメントを固定するための方法は当該分野で公知である。例えば、米国特許第6,309,843号;同第6,306,365号;同第6,280,935号;および同第6,087,103号(およびそこに考察される方法)を参照のこと。
【0204】
(本発明の標識および/または断片化および/または固定の方法を用いる適用)
本発明の方法および組成物は、種々の目的について用いられ得る。例示の目的のためには、本発明の方法によって生成される標識および/または断片化された核酸を用いて、ハイブリダイゼーションのプローブまたは標的を生成する方法、核酸を特徴づけおよび/または定量する方法、変異を検出する方法、サブトラクティブハイブリダイゼーションプローブを調製する方法、検出(ハイブリダイゼーションプローブを用いる)、および遺伝子発現プロフィールを決定する方法を記載する。
【0205】
例えば、本発明の任意の方法に従って調製された、マイクロアレイ上に固定されたポリヌクレオチドもまた、核酸を分析および特徴付ける方法に有用であり、これには、以下に記載されるように、核酸をハイブリダイズする方法、核酸を特徴づけおよび/または定量する方法、核酸の変異を検出する方法、ならびに遺伝子発現プロフィールを決定する方法が挙げられ、そしてこれらの適用は同様に、固定されたポリヌクレオチドに対してあてはまる。
【0206】
(A.ハイブリダイゼーションプローブまたは標的を生成する方法)
本発明の方法によって得られたポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションプローブまたは標的として有用である。本明細書において用いる場合、「プローブ(probe)」とは、例えば、基板に対してまたは溶液中で固定された、参照のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをいい、そして「標的(target)」とは、プローブに対するハイブリダイゼーションによって分析されるサンプル由来のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをいう。ある実施形態では、この標的は、検出可能に標識される。他の実施形態では、本発明の方法によって生成されるハイブリダイゼーション標的は、未標識であり、そしてプローブとのその相互作用は、間接的に検出される。従って、1局面では、本発明は、ハイブリダイゼーション標的を生成するための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載される任意の方法を用い、そして標識されたポリヌクレオチドをハイブリダイゼーション標的として用いて標識されたポリヌクレオチドを生成する工程を包含する。別の実施形態では、本発明は、ハイブリダイゼーション標的を生成するための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載される任意の方法を用い、そして標識されたポリヌクレオチドをハイブリダイゼーション標的として用いて、標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程を包含する。この標識されたポリヌクレオチド(またはポリヌクレオチドフラグメント)は、RNA、DNA、ゲノムDNA(全体的なゲノムDNA増幅を含む)およびライブラリー(cDNA、ゲノムまたはサブトラクティブハイブリダイゼーションライブラリーを含む)を含む任意のテンプレートから生成され得る。本発明はまた、本明細書に記載のようなプローブに対するハイブリダイゼーション標的を用いてハイブリダイズする方法を提供する。別の局面では、本発明は、ハイブリダイゼーションプローブを生成するための方法を提供し、この方法は本明細書に記載される任意の方法を用いてポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程を包含する。1実施形態では、本発明の方法によって生成されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドフラグメントを含むプローブは、固体支持体に固定される。1実施形態では、このプローブは、標識され、そして標識され、そして標識(例えば、特定の結合対のメンバーを介する間接的な固定)を介して支持体に対して固定される。別の実施形態では、このプローブは未標識である。
【0207】
(B.核酸の特徴づけ)
本発明の方法によって得られる標識および/または断片化された核酸は、さらなる特徴づけを受け易い。
【0208】
標識および/または断片化された核酸(すなわち、本明細書に記載の任意の方法の生成物)は、例えば、当該分野で公知のプローブハイブリダイズ技術、例えば、サザンブロットおよびノーザンブロット、ならびにプローブアレイに対するハイブリダイゼーションを用いて分析され得る。それらはまた、電気泳動に基づく方法、例えば、当該分野で公知のディファレンシャル・ディスプレイおよびサイズ・キャラクタリゼーションによって分析され得る。
【0209】
1実施形態では、本発明の方法は、標識された核酸および/または断片化された核酸を生成するために、そしてプローブとの接触によってこの標識されたおよび/または断片化された核酸を分析するために利用される。この標識されたおよび/または断片化された核酸は、RNA、DNA、ゲノムDNA(全体的なゲノムDNA増幅を含む)およびライブラリー(cDNA、ゲノムまたはサブトラクティブハイブリダイゼーションライブラリーを含む)を含む、当該分野で公知の任意のテンプレートから生成され得る。
【0210】
1実施形態では、本発明の方法は、標識されたおよび/または断片化された核酸であって、それらを例えば、cDNAおよび/またはオリゴヌクレオチドプローブのような適切なプローブを含むマイクロアレイ(ガラス、チップ、プラスチックを含む任意の適切な基板の)、ビーズまたは粒子と接触させることによって分析される(例えば、検出および/または定量)核酸を生成するために利用される。従って、本発明は、例えば、固体または半固体基板上の例えば特定の位置に固定されたプローブ、規定の粒子(Bead Array,Illuminaのようなビーズを含む)上に固定されたプローブ、またはブロット(例えば、メンブレン)、例えば、アレイ、またはアレイのアレイ上に固定されたプローブに対する標識された生成物の例えばハイブリダイゼーションによって標識された生成物を分析することによって、標識されるかおよび/または断片化された核酸を特徴付ける(例えば、検出および/または定量および/または同定する)ための方法を提供する。固定されたプローブとしては、本明細書に記載の方法によって生成される固定されたプローブが挙げられ、そしてまた、少なくとも以下が挙げられる:基板上で直接合成され得る、cDNAおよび合成オリゴヌクレオチド。
【0211】
標識された生成物を分析する他の方法であって、例えば、それらをプローブをプローブを含む溶液とを接触させること、続いて溶液からの標識された生成物およびプローブを含む複合体の抽出などによる、方法が、当該分野で公知である。プローブの同一性は、生成物の配列同一性の特徴づけを提供し、従って、外挿によってまた、生成物が調製されるテンプレートの同一性の特徴づけを得ることができる(例えば、溶液中のRNAの同定)。例えば、標識された生成物のハイブリダイゼーションが検出可能であり、そして検出される特定の標識の量は、目的の特定のRNA配列から調製された標識された生成物の量に対して比例する。この指標は例えば、本明細書に記載されるように、遺伝子発現の相対的レベルに関する、サンプル中の種々のRNA種の相対的な量を測定することのために有用である。アレイ上の規定の位置でハイブリダイズされた標識された生成物の量(例えば、標識と会合する検出可能シグナルによって示される)は、サンプル中の対応するテンプレートRNA種の検出および/または定量の指標であり得る。
【0212】
特徴付けの方法としては、ハイブリダイゼーション(例えば、Dramanac,米国特許第6,270,961号)および全体的ゲノムハイブリダイゼーション(比較性のゲノムハイブリダイゼーションとも呼ばれる)による配列決定が挙げられる(例えば、Pinkel、米国特許第6,159,685号を参照のこと)。
【0213】
別の局面では、本発明は、規定の配列(例えば、マイクロアレイ上に固定されてもよい)のオリゴヌクレオチド(プローブ)の使用を包含する、標識されるかおよび/または断片化された核酸の定量方法を提供する。
【0214】
(C.本発明の方法を利用する変異検出)
本発明の方法によって生成された標識されるかおよび/または断片化された核酸はまた、配列変更以外のテンプレート核酸配列に対して同一である参照核酸配列に比較した、テンプレート核酸配列(これからこの標識されるかおよび/または断片化された核酸が合成される)における任意の変化の検出のための分析のために適切である。この配列変化は、ゲノム配列に存在する配列変化であってもよいし、またはゲノムDNA配列に影響されない配列変化、例えば、スプライシングバリアントを含む、転写後変化および/またはmRNAプロセシングに起因する変化であってもよい。配列変化(交換可能に「変異(mutations)」と呼ばれる)としては、1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換、挿入および/または塩基転換が挙げられる。
【0215】
従って、本発明は、テンプレート中の変異の有無を検出するための方法を提供し、この方法は:(a)本明細書に記載される任意の方法によって、標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを生成する工程と;(b)標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを分析して、それによって変異の有無を検出する工程を包含する。ある実施形態では、この標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントは、標識された参照テンプレート、またはそのフラグメントに対して比較される。標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを分析して、それによって変異の有無を検出するという工程(b)は、当該分野で公知の任意の方法によって行なわれ得る。ある実施形態では、変異を検出するためのプローブはマイクロアレイとして提供される。
【0216】
試験核酸配列における任意の変更、例えば、塩基の置換、挿入または欠失は、この方法を用いて検出され得る。この方法は、特定の一塩基変異多型SNPの検出および新規のSNPの発見のために有用であると期待される。
【0217】
参照核酸配列に比較した場合の、テンプレート核酸配列における任意の変更の検出のための分析の他の当該分野で認識された方法が、本発明の方法における使用のために適切である。例えば、変異の検出の本質的に任意のハイブリダイゼーションに基づく方法は、本発明の方法によって生成される標識および/または断片化された核酸での使用のために適切である。
【0218】
(D.サブトラクティブハイブリダイゼーションプローブを調製する方法)
本発明の標識されたおよび/または断片化された核酸方法は特に、標識されるかおよび/または断片化されたサブトラクティブハイブリダイゼーションプローブの調製における使用のために適切である。例えば、1つはセンスであって1つはアンチセンスである2つの核酸集団は、モル過剰で存在する1つの集団(「ドライバー(driver)」)と一緒に混合されてもよい。両方の集団に存在する配列は、ハイブリッドを形成するが、1つの集団にのみ存在する配列は一本鎖のままである。その後、種々の周知の技術を用いて、示差的に発現される配列を提示するハイブリダイズしていない分子を分離する。例えば、Hamsonら、米国特許第5,589,339号;Van Gelder、米国特許第6,291,170号を参照のこと。次いで、標識されるか、および/または断片化されたサブトラクティブハイブリダイゼーションプローブを、本明細書に記載の本発明の方法に従って、標識するか、および/または断片化する。
【0219】
(E.比較ハイブリダイゼーション)
別の局面では、本発明は、比較ハイブリダイゼーション(例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーション)のための方法を提供し、この方法は:(a)標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの第一の集団を、本明細書に記載される任意の方法を用いて、第一のテンプレートポリヌクレオチドサンプルから調製する工程と;(b)少なくとも1つのプローブに対する第一の集団のハイブリダイゼーションを、標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの第二の集団のハイブリダイゼーションと比較する工程とを包含する。ある実施形態では、この少なくとも1つのプローブは、染色体スプレッドである。さらに他の実施形態では、この少なくとも1つのプローブはマイクロアレイとして提供される。他の実施形態では、標識されたポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの第二の集団を、本明細書に記載される任意の方法を用いて、第二のポリヌクレオチドサンプルから調製する。ある実施形態では、この第一の集団および第二の集団は、検出可能に異なる標識を含む。ある実施形態では、比較する工程という工程(b)は、この生成物の量を決定して、これによって第一および第二のポリヌクレオチドテンプレートの量が定量される工程を包含する。
【0220】
ある実施形態では、比較ハイブリダイゼーションは、本明細書に記載の任意の方法に従って、標識されたポリヌクレオチド(ポリヌクレオチドフラグメントであってもよい)の第一の集団を調製する工程であって、この第一の集団が合成されるテンプレートはゲノムDNAである工程を包含する。標識されたポリヌクレオチドの第二の集団(これに対して第一の集団が比較されることが所望される)が、第二のゲノムDNAテンプレートから調製される。この第一および第二の集団は、異なる標識で標識される。ハイブリダイズされた第一および第二の集団は、混合され、そしてアレイまたは染色体スプレットに対してハイブリダイズされる。異なる標識を検出して比較する。
【0221】
(反応条件および検出)
本発明の方法を行なうための適切な反応媒体および条件は、本発明の方法に従って核酸合成を可能にするものである。このような媒体および条件は、当業者に公知であり、そして種々の刊行物、例えば、米国特許第6,190,865号;同第5,554,516号;同第5,716,785号;同第5,130,238号;同第5,194,370号;同第6,090,591号;同第5,409,818号;同第5,554,517号;同第5,169,766号;同第5,480,784号;同第5,399,491号;同第5,679,512号;PCT国際公開番号WO99/42618号;Mol.Cell Probes(1992)251〜6;ならびにAnal.Biochem.(1993)211:164〜9に記載されている。例えば、緩衝液はTris緩衝液であってもよいが、緩衝液の成分が本発明の方法の酵素成分に対して阻害性でない限り、他の緩衝液が用いられてもよい。pHは約5〜約11、さらに好ましくは約6〜約10、約7〜約9、そして約7.5〜約8.5である。反応媒体はまた、Mg2+またはMn2+のような二価の金属イオンを、約0.01〜約15mM、そして最も好ましくは約1〜10mMの範囲内という遊離イオンの最終濃度で含み得る。この反応媒体はまた、この媒体の総イオン強度に寄与する他の塩、例えばKClまたはNaClを含んでもよい。例えば、KClのような塩の範囲は好ましくは約0〜約125mM、さらに好ましくは約0〜約100mM、そして最も好ましくは約0〜約75mMである。この反応媒体はさらに、増幅反応の能力に影響し得るが、本発明の酵素成分の活性に対して不可欠ではない添加物を含んでもよい。このような添加物としては、タンパク質例えば、BSA、一本鎖結合タンパク質(例えば、T4遺伝子32タンパク質)および非イオン性界面活性剤、例えば、NP40またはTritonが挙げられる。酵素活性を保持し得る試薬、例えば、DTTも含まれてもよい。このような試薬は当該分野で公知である。必要に応じて、本発明において(もしあれば)使用されるRNaseの活性を阻害しないRNaseインヒビター(例えば、Rnasin)も、含まれてもよい。本発明の方法の任意の局面は、同じ温度または種々の温度で生じ得る。合成反応(特に、第一および第二の鎖のcDNA合成工程以外のプライマー伸長、ならびに鎖置換)は、面倒な熱サイクリングプロセスを省く等温で行なわれ得る。この合成反応は、テンプレートのポリヌクレオチドおよびプライマー伸長生成物に対するオリゴヌクレオチド(プライマー)のハイブリダイゼーションを可能にし、かつ使用される酵素の活性を実質的に阻害しない温度で行なわれる。この温度は、好ましくは約25℃〜約85℃、さらに好ましくは約30℃〜約80℃、そして最も好ましくは約37℃〜約75℃の範囲であってもよい。RNA転写を含むいくつかの実施形態では、転写工程のための温度は、前述の工程のための温度(単数または複数)よりも低い。これらの実施形態では、転写工程の温度は、好ましくは約25℃〜約85℃、さらに好ましくは約30℃〜約75℃、そして最も好ましくは約37℃〜約70℃の範囲であってもよい。
【0222】
本発明の方法における核酸の合成のために使用され得るヌクレオチドは、約50〜約2500μM、約100〜約2000μM、約200〜約1700μM、そして約250〜約1500μMの量で提供される。本発明の合成反応のオリゴヌクレオチド成分は一般に、複製されるべきテンプレート核酸の数が過剰である。それらは、以下のおよそ、または少なくとも以下のおよそのいずれかで提供されてもよい:標的核酸の10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、1010倍、1012倍の量。複合プライマーは、以下のおよその濃度、または少なくとも以下のおよその濃度のいずれかで提供されてもよい:50nM、100nM、500nM、1000nM、2500nM、5000nM。
【0223】
必要に応じて、ポリヌクレオチドテンプレート(すなわち、正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、またはメチル化ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド)を、ヒドロキシルアミン(または任意の他の適切な因子)で処理して、核酸において自然に形成され得る任意のアルデヒドを除去し得る。例えば、Makrogiorgos、PCT国際公開第WO00/39345号を参照のこと。
【0224】
便宜上、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る(またはメチル化に関与する実施形態では、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る)酵素によるそのポリヌクレオチドの塩基部分の切断、およびホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断は、別の工程として記載される。これらの工程は、同時に行なわれてもよいことが理解される。
【0225】
本発明による方法に従って正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を行なうための適切な反応媒体および条件は、正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を可能にするものである。このような媒体および条件は、当業者に公知であり、そして種々の刊行物、例えば、Sohailら、NAR 2003,31:2990−94;A.Sartoriら、JBC 2001,276:29979〜29986;米国特許第6,017,704号に記載されている。正準ヌクレオチドの切断に関与するいくつかの実施形態では、dUTPは、中間体として生成され、そしてdUTPの塩基部分の切断は、無塩基部位を生成するのに必要である。dUTPの塩基部分を切断するための方法は当該分野で公知である。例えば、Lindahl,PNAS(1974)71(9):3649〜3653;Jedrisak,米国特許第6,190,865号B1;米国特許第5,035,996号;米国特許第5,418,149号を参照のこと。
【0226】
本発明による方法に従ってメチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を行なうための適切な反応媒体および条件は、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を可能にするものである。このような媒体および条件は、当業者に公知であり、そして種々の刊行物、例えば、Wolffeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:5894〜5896,1999);Zhuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5031〜6,2001;Zhuら、Nuc.Acid Res.28:4157〜4165,2000;Nedderrnannら、J.B.C.271:12767〜74,1996;Vairapandi & Duker,Oncogene 13:933〜938,1996;Vairapandiら、J.Cell Biochem.79:249〜260,2000に記載されている。
【0227】
ホスホジエステル骨格の切断に関与する実施形態では、本発明の方法に従ってホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を行なうための適切な反応媒体および条件は、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を可能にするものである。このような媒体および条件は、当業者に公知であり、そして種々の刊行物、例えば、Bioorgan.Med.Chem(1991)7:2351;Sugiyama,Chem.Res.Toxicol.(1994)7:673〜83;Horn,Nucl.Acids.Res.(1988)16:11559〜71);Lindahl,PNAS(1974)71(9):3649〜3653;Jedrisak、米国特許第6,190,865号B1;Shida,Nucleic Acids Res.(1996)24(22):4572〜76;Srivastava,J.Biol Chem.(1998)273(13):21203〜209;Carey,Biochem.(1999)38:16553〜60;Chem Res Toxicol(1994)7:673〜683に記載されている。例えば、E.coli APエンドヌクレアーゼIVを、上記のように反応条件に加える。APエンドヌクレアーゼIVは、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)と同時に添加しても、または異なる時点で添加してもよい。
【0228】
別の実施例では、無塩基部位を含む核酸は、アミン、例えば、25mM Tris−HClおよび1〜5mMマグネシウムイオンを含有する緩衝溶液中で10〜30分間、70℃〜95℃で加熱される。あるいは、1.0Mピペリジン(塩基)を、エタノールで沈殿させられて減圧乾燥されている、無塩基部位を含むポリヌクレオチドに添加する。次いで、この溶液を90℃で30分間加熱して、凍結乾燥してピペリジンを除く。別の実施例では、切断は、塩基性溶液、例えば、0.2M水酸化ナトリウムで37°で15分間の処理によって影響される。Nakamura(1998)Cancer Res.58:222〜225を参照のこと。さらに別の実施例では、100mM N,N’−ジメチルエチレンジアミンアセテート、pH7.4を用いる37Cでのインキュベーションを用いて切断する。McHughおよびKnowland,(1995)Nucl.Acids Res.23(10)1664〜1670を参照のこと;また同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号も参照のこと。
【0229】
1実施形態では、反応条件は正準ヌクレオチドの塩基部分の切断について(またはメチル化分析に関与する実施形態では、メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断)、およびホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断についてと同じである。別の実施形態では、異なる反応条件をこれらの反応のために用いる。
【0230】
無塩基部位での標識に関与する実施形態では、本発明の方法による無塩基部位での標識を行なうために適切な反応媒体および条件は、無塩基部位での標識を可能にするものである。このような反応混合物および条件は、当業者に公知であり、そして種々の刊行物、例えば、同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号;Makrigiorgos,PCT国際公開番号WO00/39345;Srivastava,J.Biol.Chem.(1998)273(33):21203〜209;Makrigiorgos,Int J.Radiat.Biol.(1998)74(1):99〜109;Makrigiorgos,米国特許第6,174,680号B1;Makrigiorgos、PCT国際公開番号WO00/39345;Boturyn(1999)Chem.Res.Toxicol.12:476〜482に記載されている。また、Adamczyk(1998)Bioorg.Med.Chem.Lett.8(24):3599〜3602;Adamczyk(1999)Org.Lett.1(5):779〜781;Kow(2000)Methods 22(2):164〜169;Molecular Probes Handbook,Section 3.2(www.probes.com);Horn(Nucl.Acids.Res.,(1988)16:11559〜71)も参照のこと。例えば、5−(((2−カルボヒドラジノ)−メチル)チオ)アセチル)アミノフルオレセイン、アミノオキシアセチルヒドラジド(FARP);N−(アミノオキシアセチル)−N’−(D−ビオチニル)ヒドラジン、トリフルオロ酢酸塩(ARP);Alexa Flour 555(Molecular Probes);アミノオキシ誘導体化Alexa Flour 555;および他のアルデヒド反応性試薬は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドと反応され得る。緩衝液は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウム緩衝液であってもよいが、緩衝液の成分が本発明の方法において用いられる酵素成分および/または所望の化学反応に対して非阻害性である限り、他の緩衝液も許容可能である。pHは好ましくは、約3〜約11、さらに好ましくは約4〜約10、それよりさらに好ましくは約4〜約8、そして最も好ましくは約4〜約7である。この反応は室温から85℃で(ある実施形態では、約55℃で)行なわれてもよいが、温度が本発明の方法において用いられる酵素成分および/または所望の化学反応に対して非阻害性である限り、他の温度が適切である。一般には、標識(例えば、ARPまたはFARP)は、約1〜10mMで、ある実施形態では2〜5mMで添加されるが、他の濃度が適切である。抗体標識が用いられる場合、抗体結合の条件は、当該分野で周知であり、そして本明細書に記載されるとおりであり得る。必要に応じて、標識反応のpHを中和して、これによって標識反応を停止させ、かつ必要に応じて標識された生成物の引き続く精製を促進する停止緩衝液が用いられてもよい。
【0231】
無塩基部位でのポリヌクレオチドの固定に関与する実施形態では、本発明の方法による、無塩基部位での固定を行なうための適切な反応媒体および条件は、無塩基部位での固定を可能にするものである。このような反応混合物および条件は、当業者に公知であり、そして種々の刊行物、例えば、Luktanov、米国特許第6,339,147号;Van Ness,米国特許第5,667,976号;Bangs Laboratories,Inc.TechNote 205(bangslabs.comで入手可能);Ghosh,Anal.Biochem(1989)178:43〜51;O’Shannessy,Anal.Biochem.(1990)191:1〜8;Wilchek,Methods Enzymol.(1987)138:429〜442;Baumgartner,Anal.Biochem.(1989)181:182〜189;Zalipsky,Bioconjugate Chem.(1995)6:150〜165、およびそこに引用される参考文献に記載されている。いくつかの場合には、初期生成物は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたは当該分野で公知の同様の因子での還元によって安定化され得る。例えば、O’Shannessy,前出を参照のこと。
【0232】
1実施形態では、以下の成分を、断片化および/または標識および/または固定のプロセスと同時に添加する。別の実施形態では、合成工程の間に適切な時点の前後で任意の順序で成分を添加する。このような時点は、そのいくつかは下に注記しているが、当業者によって容易に同定され得る。これらの実施形態では、反応条件および成分は、異なる反応の間で行なわれてもよい。
【0233】
断片化および/または標識および/または固定のプロセスは、種々の時点で停止されてもよく、そして後に再開されてもよい。この時点は、当業者によって容易に同定され得る。反応を停止するための方法は、当該分野で公知であり、そしてこれには、例えば、酵素活性を阻害する温度まで反応混合物を冷却すること、または酵素を破壊する温度まで反応混合物を加熱することが挙げられる。反応を再開するための方法も、当該分野で公知であり、これには、例えば、酵素活性を可能にする温度まで反応混合物の温度を上げること、または破壊された(欠失された)酵素もしくは他の試薬を補給することが挙げられる。ある実施形態では、反応の1つ以上の成分を反応の再開の前、その時点、または後に再開する。あるいは、反応は、中断することなく、進行させられてもよい(すなわち、開始から終わりまで)。
【0234】
反応は、例えば、プライマーを除去するための中間の複合体の精製なしに進行させられてもよい。生成物は、当業者によって容易に同定され得る種々の時点で精製されてもよい。
【0235】
(本発明の組成物およびキット)
本発明はまた、本明細書に記載の方法において用いられる組成物およびキットを提供する。この組成物は、本明細書に記載される任意の成分(単数または複数)、反応混合物および/または中間体、ならびに任意の組み合わせであってもよい。例えば、本発明は、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)と、必要に応じて、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を果たし得る因子(例えば、酵素)と、無塩基部位を標識し得る因子とを含む組成物を提供する。ある実施形態では、本発明は、複合プライマーであってこの複合物はDNA部分および5’RNA部分を含む複合プライマーをさらに含む組成物を提供する。さらに他の実施形態では、複合プライマーの5’RNA部分は、3’DNA部分に隣接され、複合プライマーのRNA部分は、約10〜約20ヌクレオチドからなり、そして複合プライマーのDNA部分は、約7〜約20ヌクレオチドからなる。さらに他の実施形態では、この組成物は第二の異なる複合プライマーを含む。ある実施形態では、複合プライマーのRNA部分は、以下のリボヌクレオチド配列を含む:5’−GACGGAUGCGGUCU−3’。さらに他の実施形態では、この組成物はさらに、(a)dATP、dTTP、dCTPおよびdGTPの混合物;(b)DNAポリメラーゼ;ならびに(c)RNAseHのうちの1つ以上を含む。さらに他の実施形態では、この組成物はさらに、(a)MgCl2溶液;(b)酢酸溶液;および必要に応じて(c)1.5M Tris pH8.5を含む停止緩衝液のうちの1つ以上を含む。ある実施形態では、ホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断し得る因子は、アミン(例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン);および/またはE.coliエンドヌクレアーゼIVである。ある実施形態では、無塩基部位を標識し得る因子はARP、FARP、Alexa Flour 555ヒドラジド(製造番号A−20501,Molecular Probes,Eugene OR)、および/またはアミノオキシ−修飾Alexa Flour 555(同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号を参照のこと)である。
【0236】
別の実施例では、本発明は、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)と、必要に応じて、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を果たし得る因子(例えば、酵素)と、無塩基部位を標識し得る因子とを含む組成物を提供する。ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子は、5−メチルシトシンDNAグリコシラーゼ(5−MCDG)、または3−メチルアデノシン−DNAグリコシラーゼである。ある実施形態では、ホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断し得る因子は、アミン(例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン);および/またはE.coliエンドヌクレアーゼIVである。ある実施形態では、無塩基部位を標識し得る因子はARP、FARP、Alexa Flour 555ヒドラジド(製造番号A−20501,Molecular Probes,Eugene OR)、および/またはアミノオキシ−修飾Alexa Flour 555(同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号を参照のこと)である。
【0237】
この組成物は一般には、凍結乾燥型、または好ましくは適切な緩衝液中で水性型(必要に応じて)である。
【0238】
本発明はまた、本明細書に記載される標識されるかおよび/または断片化された生成物を含む組成物を提供する。従って、本発明は、本明細書に記載される任意の方法によって生成される、標識されるかおよび/または断片化されたポリヌクレオチドの集団を提供する(または生成物を含む組成物)。
【0239】
本発明はまた、本明細書に記載される固定されたポリヌクレオチドまたは固定されたポリヌクレオチドフラグメントを含む組成物を提供する。ある実施形態では、この固定されたポリヌクレオチド(または断片化に関与する実施形態では、固定されたフラグメント)は、本明細書に記載のように標識される。従って、本発明は、本明細書に記載された任意の方法によって生成される、固定されたポリヌクレオチドまたは固定されたポリヌクレオチドフラグメントの集団(または生成物を含む組成物)を提供する
本発明はまた、本明細書に記載される成分の種々の組み合わせを含む反応混合物(または反応混合物を含む組成物)を提供する。反応混合物の例は記載されている。
【0240】
本発明は、本発明の方法を行なうためのキットを提供する。従って、種々のキットを適切なパッケージングで提供する。このキットは、本明細書に記載される用途のうちいずれか1つ以上について用いられ得る。
【0241】
本発明のキットは、本明細書に記載される成分の任意の組み合わせを含む1つ以上の容器を含み、そして以下がこのようなキットの例である。
【0242】
ある実施形態では、本発明は、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)と、必要に応じて、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を果たし得る因子(例えば、酵素)と、無塩基部位を標識し得る因子とを含むキットを提供する。ある実施形態では、本発明は、複合プライマーであってこの複合物はDNA部分および5’RNA部分を含む複合プライマーをさらに備えるキットを提供する。さらに他の実施形態では、複合プライマーの5’RNA部分は、3’DNA部分に隣接され、複合プライマーのRNA部分は、約10〜約20ヌクレオチドからなり、そして複合プライマーのDNA部分は、約7〜約20ヌクレオチドからなる。さらに他の実施形態では、このキットは、第二の異なる複合プライマーを備える。ある実施形態では、複合プライマーのRNA部分は、以下のリボヌクレオチド配列を含む:5’−GACGGAUGCGGUCU−3’。さらに他の実施形態では、このキットはさらに、(a)dATP、dTTP、dCTPおよびdGTPの混合物;(b)DNAポリメラーゼ;ならびに(c)RNAseHのうちの1つ以上を備える。さらに他の実施形態では、このキットはさらに、(a)MgCl2溶液;(b)酢酸溶液;および必要に応じて(c)1.5M Tris pH8.5を含む停止緩衝液のうちの1つ以上を含む。ある実施形態では、本発明は、RNAseHと、正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)とを備えるキットを提供する。RNaseH。ある実施形態では、本発明は、RNA部分および3’DNA部分を含む複合プライマー、ならびに本明細書に記載の正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および/または断片化するための任意の方法についての説明書を備えるキットを提供する。ある実施形態では、ホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断し得る因子はアミン(例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン);および/またはE.coliエンドヌクレアーゼIVである。ある実施形態では、無塩基部位を標識し得る因子は、ARP、FARP、Alexa Flour 555ヒドラジド(製造番号A−20501,Molecular Probes,Eugene OR)、および/またはアミノオキシ−修飾Alexa Flour 555(同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号を参照のこと)である。
【0243】
別の実施例では、本発明は、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子(例えば、酵素)と、必要に応じて、ホスホジエステル骨格の無塩基部位での切断を果たし得る因子(例えば、酵素)と、無塩基部位を標識し得る因子とを備えるキットを提供する。ある実施形態では、メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子は、5−メチルシトシンDNAグリコシラーゼ(5−MCDG)、または3−メチルアデノシン−DNAグリコシラーゼである。ある実施形態では、ホスホジエステル骨格を無塩基部位で切断し得る因子は、アミン(例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン);および/またはE.coliエンドヌクレアーゼIVである。ある実施形態では、無塩基部位を標識し得る因子は、ARP、FARP、Alexa Flour 555ヒドラジド(製造番号A−20501,Molecular Probes,Eugene OR)、および/またはアミノオキシ−修飾Alexa Flour 555(同時係属の共有に係る米国特許出願第10/441,663号を参照のこと)である。
【0244】
キットはまた、1つ以上の適切な緩衝液(本明細書において上記されるような)を備え得る。キットにおける1つ以上の試薬は、賦形剤を含む、通常は凍結乾燥された乾燥粉末として提供され得、その上で本明細書に記載の任意の方法を行なうための適切な濃度を有する試薬溶液の溶解が行なわれる。各々の成分は、別の容器にパッケージされてもよいし、またはいくつかの成分が交差反応および有効期間を可能にする1つの容器に合わされてもよい。
【0245】
本発明のキットは必要に応じて、本発明の意図される方法のための本発明の方法の成分の使用に関する、そして/または、必要に応じて、例えば、ハイブリダイゼーションプローブまたは標的、発現プロファイリングを調製すること、マイクロアレイ調製、または核酸特徴づけなどの目的のために生成物を用いるための、1セットの説明書、一般には書面の説明書を含み得るが、説明書を含む電子的記憶媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光ディスク)も許容される。キットとともに含まれるこの説明書は一般に、本発明の方法を行なうために必要な試薬(このキットに含まれようと含まれまいと)に関する情報、このキットを用いる方法についての説明書、および/または適切な反応条件を含む。
【0246】
キットの成分(単数または複数)は、任意の都合のよい適切なパッケージングにパッケージされてもよい。成分は別々にパッケージされてもよく、または1つもしくは複数の組み合わせであってもよい。
【0247】
キット中の種々の成分の相対的な量は、本明細書に開示される方法を行なうために必要な反応を実質的に最適化する試薬の濃度を得るように、そして/または任意のアッセイの感度をさらに最適化するために、広範に変化され得る。
【0248】
以下の実施例は、例示のために提供されるものであり、本発明を限定はしない。
【実施例】
【0249】
(実施例1:cDNAの酸触媒断片化および標識)
一本鎖cDNAを普遍的なヒト総RNA(Stratagene,La Jolla CA)から調製した。水中で145μg/mLの濃度でプールした精製したcDNA生成物を、各々5つの200μLのPCRチューブにアリコートして、これは各々のチューブに13μLまたは1.89μgを分配した。次いで、12μLの水を各々のチューブに添加し、続いて2.5μLの0.5Mグリコール酸緩衝液(1.0Mの濃度で水中でグリコール酸を溶解することによって調製し、1M NaOHでpHを調節し、次いで水を用いて0.5Mに希釈する)を添加した。3つのチューブに緩衝液を3.0のpHで入れ、そして2つにはpH3.5の緩衝液を入れた。pH3のチューブを95℃で5分間加熱、そして65°で5分または30分間加熱した。pH3.5のチューブを、全てMJ Research Peltier Effectサーマルサイクラー中で65℃で、5分間または30分間加熱した。次いでチューブを次の工程のために氷上に短時間保持した。
【0250】
各々のチューブに5μLの0.5M酢酸緩衝液pH4.33(NaOHを用いる酢酸のpH調節によって調製した)、続いて1μLの1M NaOHを各々pH3.0のチューブ中に、そして0.7μLの1M NaOHをpH3.5のチューブ中に添加した。次いで、全てのチューブに2μLの0.2M MgClおよび2.7μLのビオチン化試薬を与えた。この試薬は、第二リン酸ナトリウムの22.5mM溶液に溶解された11.7mg/mLのARP(N−(アミノオキシアセチル)−N’−(D−ビオチノイル)ヒドラジン、トリフルオロ酢酸塩)(Molecular Probes,Eugene,OR)を含んだ。次いで、全てのチューブを50℃で30分間インキュベートし、次いで10μLの1M Tris,pH8.5を各々のチューブに添加した。
【0251】
各々のチューブの含量を、製造業者の指示に従って、単一のCentriSepサイズ排除カラム(Princeton Separations,Adelphia,N.J.)を用いて精製した。回収された生成物の濃度は、33μg/mLのDNAがA260=1.0と仮定して、A260から見積もられた。95℃で加熱された生成物のA260/A280比は1.75であったが、全ての他の生成物は1.9より大きいということが注目された。回収率は60〜69%であった。
【0252】
断片化および標識の程度は、ゲルシフトアッセイを用いて決定した。各々が50ngのDNA(3.1〜3.5μL)を含有する生成物の2つのアリコートを、PCRチューブ中で0.5μLの10×TE緩衝液(0.1M Tris、10mM EDTA、pH7.5)とともに混合した。1つのアリコートにストレプトアビジン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を含有する水の2.5mg/mLの溶液の3μLを添加した。約3分のインキュベーション後、3μLの30%グリセロール/ブロモフェノールブルーを各々のチューブに添加して、製造業者の指示に従って、生成物をNovex 4−20% TBEゲル(Invitrogen,Carlsbad,CA)にロードして泳動させた。ゲル緩衝液中に1:5,000希釈したSybr GreenII(Molecular Probes,Eugene,OR)を用いた6分間の染色、続いてApphaImagerでの画像化によってバンドを可視化した。未反応のcDNA生成物および分子量マーカーをコントロールとして含んだ。
【0253】
ゲルの画像を図1に示す。レーン1は、分子量マーカーであり、レーン2は未反応の出発材料であり、続くレーンは、ストレプトアビジン処理の有無によって対になった生成物である。レーン3(95℃で5分、pH3.0)は、レーン2のコントロールに比較した生成物の過剰な断片化を示す。平均のみかけのサイズは、400〜500塩基に減少するようであり、レーン2の高分子量物質は、視覚的に存在しない。レーン4は、ほぼ全ての断片化されたDNAがストレプトアビジンによって遅延させられることが示され、このDNAはそのほとんどがゲルに入らない、高分子量スメアとして出現している。他の異常はレーン11および12によって示されており(65℃、pH3.5で5分)、ここではストレプトアビジンなしの長さは、コントロールと同一であると思われ、そして生成物の全てではないがある程度が、ストレプトアビジンによってより高分子量にシフトされていた。レーンの他の対は中間の条件に相当し、ここでは断片化はほとんど明らかでないが、ストレプトアビジンシフトによって測定した場合、種々の程度の標識が見られた。レーン11および12に比較して、時間が長いほど(レーン9および10では30分)、pHが低いほど(レーン5および6ではpH3.0)、またはpHが低くかつ時間が長いほど(レーン7および8ではpH3.0で30分)、標識の増大が生じた。
【0254】
本明細書に記載される実施例および実施形態は、例示の目的のためだけであって、それを踏まえた種々の改変または変化は、当業者に示唆されるものであり、本出願および添付の特許請求の範囲の趣旨および条項内に包含されるものであることが理解される。本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【図1】図1:cDNAの酸触媒切断断片化および標識によって生成される標識された、そして断片化されたポリヌクレオチドを示すゲルの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって:
(a)該メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて該メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程と;
(b)該無塩基部位を含む該ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程と;
(c)該無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る前記因子が、酵素、化学薬品、および酸性条件からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホスホジエステル骨格の切断が、酵素、化学薬品、酸性条件、塩基性条件および熱からなる群より選択される因子で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)、(b)および(c)が同時に行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)および(b)が同時に行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)および(c)が同時に行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)が工程(c)の前に行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)が工程(b)の前に行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記標識されたポリヌクレオチドフラグメントが、検出可能標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標識されたポリヌクレオチドフラグメントをプローブに対してハイブリダイズさせる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法であって:
(a)該メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて該メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程と;
(b)該無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドを生成する工程と;
を包含する、方法。
【請求項12】
前記標識されたポリヌクレオチドをアレイに対してハイブリダイズさせる工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法であって:
(a)該メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて該メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程と;
(b)該無塩基部位を含む該ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断して、これによってポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;
を包含する、方法。
【請求項14】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって:
(a)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと;
(ii)メチル化されたヌクレオチドの塩基部分を特異的に切断し得る因子とを含み;
該インキュベーションは、該メチル化ヌクレオチドの塩基部分の切断を可能にする条件下であり、これによって無塩基部位を含むポリヌクレオチドが生成される工程と;
(b)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;
(ii)該無塩基部位でホスホジエステル骨格の効果的な切断をし得る因子とを含み;
該インキュベーションは、該塩基部分で該ホスホジエステル骨格の切断を可能にする条件下であり、これによって該ポリヌクレオチドのフラグメントが生成される工程と;
(c)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントと;
(ii)該無塩基部位で標識し得る因子とを含み;
該インキュベーションは、該塩基部分で標識を可能にする条件下であり、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程と;
を包含する、方法。
【請求項15】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識および断片化するための方法であって:
(a)非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて該非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程であって、該因子はメチル化されたヌクレオチドを切断できない工程と;
(b)該無塩基部位を含む該ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程と;
(c)該無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;
を包含する、方法。
【請求項16】
非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る前記因子が酵素を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非メチル化ヌクレオチドがシトシンであり、かつ前記酵素がウラシルDNAグリコシラーゼと組み合わせてシステインデアミナーゼを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ホスホジエステル骨格の切断が、酵素、化学薬品、酸性条件、塩基性条件および熱からなる群より選択される因子で行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
メチル化ヌクレオチドを含む前記ポリヌクレオチドが、工程(a)の前または間にメチル結合因子と接触させられる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)、(b)および(c)が同時に行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
工程(a)および(b)が同時に行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
工程(b)および(c)が同時に行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
工程(b)が工程(c)の前に行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
工程(c)が工程(b)の前に行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記標識されたポリヌクレオチドフラグメントが、検出可能標識を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記標識されたポリヌクレオチドフラグメントを基板に対して固定する工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法であって:
(a)非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて該非メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程であって、該因子はメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断できない工程と;
(b)該無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドを生成する工程と;
を包含する、方法。
【請求項28】
前記標識されたポリヌクレオチドフラグメントをアレイに対してハイブリダイズさせる工程をさらに包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法であって:
(a)非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて該非メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程であって、該因子はメチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断できない工程と;
(b)該無塩基部位を含む該ポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を切断して、これによってポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;
を包含する、方法。
【請求項30】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって:
(a)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと;
(ii)非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子とを含み;
該因子はメチル化ヌクレオチドを切断できず、これによって無塩基部位を含むポリヌクレオチドが生成される工程と;
(b)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;
(ii)該無塩基部位でホスホジエステル骨格の切断を達成し得る因子とを含み;
該インキュベーションは、該無塩基部位で該ホスホジエステル骨格の切断を可能にする条件下であり、これによって該ポリヌクレオチドのフラグメントが生成される工程と;
(c)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントと;
(ii)該無塩基部位で標識し得る因子とを含み;
該インキュベーションは、該無塩基部位で標識を可能にする条件下であり、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程と;
を包含する、方法。
【請求項31】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって:
(a)該正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る因子を用いて、該正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに存在する該正準ヌクレオチドの塩基部分を切断して、これによって無塩基部位を生成する工程と;
(b)該無塩基部位でホスホジエステル骨格を切断する工程と;
(c)該無塩基部位で標識して、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントを生成する工程と;
を包含する、方法。
【請求項32】
正準ヌクレオチドの塩基部分を切断し得る前記因子が酵素を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記正準ヌクレオチドがシトシンであり、かつ前記酵素がウラシルDNAグリコシラーゼと組み合わせてシステインデアミナーゼを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ホスホジエステル骨格の切断が、酵素、化学薬品、酸性条件、塩基性条件および熱からなる群より選択される因子で行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
工程(a)、(b)および(c)が同時に行なわれる、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
工程(a)および(b)が同時に行なわれる、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
工程(b)および(c)が同時に行なわれる、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
工程(b)が工程(c)の前に行なわれる、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
工程(c)が工程(b)の前に行なわれる、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記標識されたポリヌクレオチドフラグメントが、検出可能標識を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリヌクレオチドフラグメントを基板に対して固定する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって:
(a)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと;
(ii)正準ヌクレオチドの塩基部分を特異的に切断し得る因子とを含み;該インキュベーションは、該正準ヌクレオチドの塩基部分の切断を可能にする条件下であり、これによって無塩基部位を含むポリヌクレオチドが生成される工程と;
(b)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドと;
(ii)該無塩基部位でホスホジエステル骨格の切断を達成し得る因子とを含み;該インキュベーションは、該無塩基部位で該ホスホジエステル骨格の切断を可能にする条件下であり、これによって該ポリヌクレオチドのフラグメントが生成される工程と;
(c)反応混合物をインキュベートする工程であって、該反応混合物は
(i)無塩基部位を含むポリヌクレオチドフラグメントと;
(ii)該無塩基部位で標識し得る因子とを含み;該インキュベーションは、該無塩基部位で標識を可能にする条件下であり、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程と;
を包含する、方法。
【請求項43】
メチル化ポリヌクレオチドを特徴付けるための方法であって、請求項1、13、14、15、29または30のいずれかに記載の方法に従って調製されるポリヌクレオチドフラグメントを検出する工程を包含し、該ポリヌクレオチドフラグメントの検出は、該メチル化ポリヌクレオチドの存在、非存在、配列または量と相関している、方法。
【請求項44】
前記検出が、前記ポリヌクレオチドフラグメントをプローブに対してハイブリダイズさせる工程を包含する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
メチル化ポリヌクレオチドを特徴付けるための方法であって、請求項1、11、14、15、27または30のいずれかに記載の方法に従って調製される標識されたポリヌクレオチドを検出する工程を包含し、該標識されたポリヌクレオチドの検出は、メチル化ポリヌクレオチドの存在、非存在、配列または量と相関している、方法。
【請求項46】
前記検出が、前記標識されたポリヌクレオチドをプローブに対してハイブリダイズさせる工程を包含する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断してポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成し得る因子と、ポリヌクレオチド上の無塩基部位で標識し得る因子とを含む組成物。
【請求項48】
無塩基部位でポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を切断し得る因子をさらに含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
正準ヌクレオチドの塩基部分を切断してポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成し得る因子と、ポリヌクレオチド上の無塩基部位で標識し得る因子とを含む組成物。
【請求項50】
無塩基部位でポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を切断し得る因子をさらに含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
DNA部分および5’RNA部分を含む複合プライマーをさらに含む、請求項47〜50のいずれかに記載の組成物。
【請求項52】
請求項1、11、14、15、27、30、31または42のいずれかに記載の方法によって生成される標識されたポリヌクレオチドの集団を含む組成物。
【請求項53】
メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断してポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成し得る因子と、ポリヌクレオチド上の無塩基部位で標識し得る因子とを備えるキット。
【請求項54】
無塩基部位でポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を切断し得る因子をさらに備える、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
正準ヌクレオチドの塩基部分を切断してポリヌクレオチド上に無塩基部位を生成し得る因子と、ポリヌクレオチド上の無塩基部位で標識し得る因子とを備えるキット。
【請求項56】
無塩基部位でポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を切断し得る因子をさらに備える、請求項55に記載のキット。
【請求項57】
DNA部分および5’RNA部分を含む複合プライマーをさらに含む、請求項53〜56のいずれかに記載のキット。
【請求項58】
標識されたポリヌクレオチドをプローブに対してハイブリダイズさせる工程をさらに包含する、請求項14、15、27、30、31または42のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記ポリヌクレオチドフラグメントをプローブに対してハイブリダイズさせる工程をさらに包含する、請求項13または29のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程を包含し、該無塩基部位は、メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて、該メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成される、方法。
【請求項61】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程であって、該無塩基部位は、メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得る因子を用いて、該メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成される工程と、該無塩基部位で標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程とを包含する、方法。
【請求項62】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位を標識し、これによって標識されたポリヌクレオチドが生成される工程を包含し、該無塩基部位は、メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて、該メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成される、方法。
【請求項63】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程を包含し、該無塩基部位は、非メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて、該非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、該因子は、メチル化ヌクレオチドを切断できない、方法。
【請求項64】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程であって、該無塩基部位は、非メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて、該非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、該因子がメチル化ヌクレオチドを切断できない工程と、該無塩基部位を標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程とを包含する、方法。
【請求項65】
メチル化されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位を標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドが生成される工程を包含し、該無塩基部位は、非メチル化ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて該非メチル化ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成され、該因子は、メチル化ヌクレオチドを切断できない、方法。
【請求項66】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程を包含し、該無塩基部位は、該正準ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて、該正準ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成される、方法。
【請求項67】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを断片化および標識するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドのホスホジエステル骨格を該無塩基部位で切断する工程であって、該無塩基部位は、該正準ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて、該正準ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成される工程と、該無塩基部位で標識する工程であって、これによって標識されたポリヌクレオチドフラグメントが生成される工程とを包含する、方法。
【請求項68】
正準ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを標識するための方法であって、該方法は、無塩基部位を含むポリヌクレオチドの無塩基部位で標識し、これによって標識されたポリヌクレオチドが生成される工程を包含し、ここで該無塩基部位は、該正準ヌクレオチドの該塩基部分を切断し得、これによって無塩基部位が生成される因子を用いて、該正準ヌクレオチドの塩基部分を切断することによって生成される、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−524407(P2007−524407A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547502(P2006−547502)
【出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/043710
【国際公開番号】WO2005/065321
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(501430467)ニューゲン テクノロジーズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】