説明

核酸の選択的分離方法

【課題】全ゲノムから標的核酸のみを選択的に効率よく分離する方法を提供する。
【解決手段】非標的核酸に相補的なプローブに、非標的核酸と標的核酸とを含む核酸集団を反応させてプローブ−非標的核酸複合体を形成させ、核酸集団から標的核酸を分離する核酸の選択的分離方法である。前記非標的核酸に相補的なプローブは、標的核酸を捕捉するためのプローブを用意し、型作成用核酸集団中で前記標的核酸捕捉用プローブと標的核酸との複合体を形成させ、標的核酸を含む前記核酸集団から非標的核酸のみを分離し、これを非標的核酸に相補的なプローブとする。この非標的核酸に相補的なプローブを、被検体核酸集団に用いることによって標的核酸を選択的に分離する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸の調整方法に関する。特に、DNAマイクロアレイ等に供する核酸の調整方法であり、ヒトゲノムDNAのように反復配列等の検出対象外の配列を大量に含む核酸を検体として扱う場合に有用である。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノム計画に代表されるように各種の生物の遺伝子が解明され、生命活動のメカニズム、病気、体質等と遺伝子との関連が次々と調べられている。そして、染色体の構造異常や遺伝子の有無、及びその存在量(発現量)を知ることで、病気の詳細な特徴把握やタイピング、あるいは効果的な治療方法の選択などが可能となることがわかってきた。中でもがんと染色体異常、及び遺伝子発現とが関連があることが示されており、がん関連遺伝子の同定に向けて熱心に研究が重ねられている。
【0003】
染色体の構造異常には数タイプがあり、1つの染色体の部分的過剰(遺伝子コピー数増加)または欠如や、染色体転座などがある。これらの異常が、がん遺伝子活性化やがん抑制遺伝子の異常に関与していると考えられる。従って、がんにおける共通な染色体異常を検出することができれば、新しいがん関連遺伝子の同定ができる。
【0004】
全染色体を対象に遺伝子コピー数の増加ないし欠失を一度に解析する手段として、FISH(Fluorescence in situ DNA Hybridization)法の応用であるCGH(Comparative Genomic Hybridization)法が開発された(非特許文献1)。腫瘍などの検体DNAを、例えばCy3標識する。一方、対照サンプルとして正常組織由来DNAを用意し、これに検体DNAと異なる色素であるCy5等で標識をする。Cy3標識検体DNAとCy5標識正常DNAとを混合し、ヒト正常分裂中期染色体上で競合的にハイブリダイズさせる。Cy3は緑色の蛍光として、Cy5は赤色の蛍光として検出され、検体DNAに遺伝子増幅が見られる染色体領域では緑色蛍光の増加を、欠失の見られる染色体領域では赤色蛍光の増加を示す。
【0005】
CGH法は一度のハイブリダイゼーションで全染色体における遺伝子コピー数の変化を検出できるが、感度及び解像度が低いという解決すべき課題があった。CGHによるコピー数変化の検出感度は、増幅単位と増幅レベルによって規定される。増幅単位が5Mb以上であれば、2倍の増幅レベルでも検出可能であるが、増幅単位が約300Kbの場合は、5〜10倍以上の増幅レベルで増幅可能となる(非特許文献2)。
【0006】
近年、CGH法の低解像度を解決する手段として、スライドガラス上に多数のDNAをスポットしたDNAマイクロアレイを用いたアレイCGH法が開発された。CGH用のDNAマイクロアレイには網羅性と検出感度の点からBACクローンDNAといった長いゲノムDNA(50〜300Kb)が搭載されたものが主流であった。しかし最近では、高密度DNAマイクロアレイが実現し、また検体処理方法の開発により検出感度も向上し、CGH用のオリゴヌクレオチドDNAマイクロアレイも開発された。オリゴヌクレオチドDNAマイクロアレイの登場により、解像度は約10Kbと飛躍的に向上した。
【0007】
ヒトの1倍体ゲノムには約3×109個の塩基が存在するが、その50%以上を反復配列が占めている。全ゲノムを検体としたハイブリダイゼーションでは、しばしばこの反復配列が非特異的結合を引き起こし、特異性が低下する原因となる。この非特異的結合を減少させるために、あらかじめ検体を競合DNAで処理しておく方法が開発された。競合DNAとしては、human placenta DNAやsalmon sperm DNAを消化したものが用いられたが、今日ではhuman Cot−1 DNAが広く普及している。Human Cot−1 DNAはヒト胎盤から調整した50〜310bpの大きさのDNAでAluとKpnファミリーの反復配列を多く含んでいる。
【0008】
また、オリゴヌクレオチドDNAマイクロアレイにおける感度が悪いという課題を解決する検体処理方法としてROMA(representational oligonucleotide microarray analysis)法が開発された(非特許文献3)。これは、ヒトゲノムDNAを制限酵素で断片化し、断片化産物のうち0.2〜1.2kbのサイズのDNA断片のみを選択的に増幅する方法である。全ゲノムの約2.5%のDNA断片を再現性良く増幅するため、全ゲノムDNAを増幅した時と比べて感度が約50倍向上する。
【0009】
更に、非特異結合の要因となる反復配列の取り扱いに関しては、特許文献1に分離されたDNAの増幅されたピースに含まれている共有反復配列のハイブリダイゼーション能力を無能力化し、および/または同共有反復配列を除去する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−199564号公報
【非特許文献1】Kallioniem et al., Science,258:818(1992)
【非特許文献2】応用サイトメトリー(医学書院)
【非特許文献3】Lutio R. et al.,Genome Res.,13:2291−2305,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
全ゲノムDNAのハイブリダイゼーションにおいて、Cot−1 DNAを入れる方法は、非特異的結合を減少させるために効果的であるが、全ての反復配列と競合できるわけではない。また、検体をDNAマイクロアレイに供する前に検体DNAとCot−1 DNAとを混合し、プレハイブリダイゼーションを数時間行わなくてはならず、より長い検査時間を必要とする。更に、DNAマイクロアレイに供する検体中のDNA量が増えるために、ハイブリダイゼーションが平衡に達するまでに長い時間が必要となる。
【0011】
ROMA法は制限酵素で断片化したDNA断片のうちある長さの断片のみを選択的に増幅するため、反復配列の多くを除去することが可能である。ただし、どこで切断されるか、またDNA断片の長さは制限酵素次第であり、全ての遺伝子のコピー数を検査できるとは限らない。全ての遺伝子のコピー数を調べるには、複数の制限酵素を用いて補間し合うことが必要となってくる。
【0012】
また、全ゲノム中の遺伝子コピー数を調べたい箇所、すなわち標的核酸が決まっていて、その数がゲノム中の遺伝子数よりもはるかに少ない場合、反復配列でなくても標的以外の非標的核酸が検査に少なからず悪影響を及ぼす。
【0013】
上記課題に鑑み、本発明は、全ゲノムから標的核酸のみを選択的に分離する方法を提案することを目的とする。また、標的核酸のみを分離するためのプローブ作製方法も同時に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、非標的核酸に相補的なプローブに、非標的核酸と標的核酸とを含む核酸集団を反応させてプローブ−非標的核酸複合体を形成させ、核酸集団から標的核酸を分離する核酸の選択的分離方法である。前記非標的核酸に相補的なプローブは、標的核酸を捕捉するためのプローブを用意し、型作成用核酸集団中で前記標的核酸捕捉用プローブと標的核酸との複合体を形成させ、標的核酸を含む前記核酸集団から非標的核酸のみを分離し、これを非標的核酸に相補的なプローブとする。この非標的核酸に相補的なプローブを、被検体核酸集団に用いることによって標的核酸を選択的に分離する方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の核酸の選択的分離方法によれば、核酸集団から検出対象外の非標的核酸を分離除去することにより、効率的に標的核酸を調べることが可能となる。本発明は、DNAマイクロアレイを用いた標的核酸の遺伝子コピー数の解析に特に有効であり、核酸集団が反復配列などの非標的核酸を大量に含む場合と比べて、非特異結合による検出結果のノイズを減らし、更に高感度に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記目的を達成するために本発明者は、以下の工程から成る方法を見出した。
(1)被検体核酸集団から非標的核酸を分離除去するための非標的核酸捕捉用プローブを作製する工程、
(2)非標的核酸捕捉用プローブを用いて、核酸集団から非標的核酸を分離除去する工程。
【0017】
(1)の非標的核酸捕捉用プローブの作製には、被検体核酸集団そのもの、または被検体核酸集団と同種の核酸集団と標的核酸を捕捉するためのプローブを用意する。ここで、同種の核酸集団(以下、型作製用核酸集団と称する)とは、被検体核酸の配列を含む配列を有する核酸集団のことを意味し、同じ種族の核酸を意味する。また例えば、各核酸集団の標的核酸における配列同士を比較して、90%以上の相同性を有していれば、同種の核酸集団といえる。型作製用核酸集団としては、例えば検体となる核酸集団がヒトゲノムDNAである場合は、ヒトゲノムDNAを用意する。これは、必ずしも被検体者のDNAである必要はなく、市販のヒトゲノムDNAで良い。また、検体となる核酸集団には、反復配列を含む核酸集団、がん細胞などの遺伝子コピー数異常を多く含む核酸集団などが挙げられる。
【0018】
標的核酸を捕捉するためのプローブは、標的核酸領域の配列から標的核酸に特異的な配列を選択し、これをプローブとする。標的核酸を調べる方法がDNAマイクロアレイである場合、DNAマイクロアレイに搭載したプローブ配列の相補的な配列を標的核酸捕捉用プローブの配列とするのが望ましい。標的核酸を捕捉するためのプローブは、合成オリゴヌクレオチドでも良いし、ヒトゲノムDNAからPCR等により特定の領域の配列のみのDNA増幅産物を作成することにより準備しても良い。
【0019】
標的核酸を捕捉するためのプローブと型作製用核酸集団とを混合し、プローブ−標的核酸複合体を形成させて型作製用核酸集団からの分離を行う。プローブ−標的核酸複合体を形成させる方法としては、通常のDNA−DNA複合体形成方法を実施すれば良く、特定の温度下で緩衝溶液中において数分から数時間インキュベーションすることで可能となる。
【0020】
標的核酸捕捉用プローブには磁性粒子や特異的な結合を形成する物質であらかじめ標識をしておくと分離しやすい。特定の物質と特異的に結合する標識物質としては、ビオチン、抗原等が挙げられる。すなわち、ビオチン−アビジン、抗原−抗体など、特異的な結合を形成する物質を用いる。
【0021】
そして、プローブに修飾を施した標識部分と特異的に結合する物質としては、標識物質がビオチンである場合はアビジンまたはストレプトアビジンが、標識物質が抗原である場合は抗体が挙げられる。これらの物質が固定された分離用担体を用いることで、核酸集団からプローブ−標識核酸複合体を分離することができる。
【0022】
すなわち、核酸捕捉用プローブにビオチンが修飾されている場合、このビオチン修飾プローブと核酸とで形成したプローブ−核酸複合体を、アビジンが固定された固相担体と接触させることにより複合体を固相担体上に捕捉する。また、核酸捕捉用プローブに抗原が修飾されている場合、この抗原修飾プローブと核酸とで形成したプローブ−核酸複合体を、抗原を捕捉する抗体が固定された固相担体と接触させることにより複合体を固相担体上に捕捉する。
【0023】
分離用担体としては、吸着及び結合可能な面積、分離のしやすさを考慮するとビーズ状のものを用いることがより好ましい。核酸集団からビーズに結合したプローブ−標的核酸複合体の分離は、ビーズに対して濾過、遠心分離、磁気による吸着などを行うことによって可能である。核酸集団から標的核酸が分離されたものが非標的核酸捕捉用プローブとなる。このように、ネガティブアイソレーション方式によって得られた非標的核酸捕捉用プローブは、ビーズ等が付いていない状態で得られるので、次の工程に容易に進むことができる。
【0024】
そして、上記の方法により得られた非標的核酸捕捉用プローブを用いて、(2)の核酸集団から非標的核酸の分離除去を行う。分離方法は基本的に(1)の非標的核酸捕捉用プローブの作成方法と同じである。非標的核酸捕捉用プローブに対してビオチン、抗原等の物質で標識する。この非標的核酸捕捉用プローブと検体核酸集団と混合してプローブ−非標的核酸複合体を作製し、核酸集団からの分離を行えば、標的核酸を得ることができる。非標的核酸捕捉用プローブ作製と同様に、ネガティブアイソレーション方式によって得られるので、ビーズ等が付いていない状態で獲得することができる。
【0025】
このようにして得られた非標的核酸が分離された標的核酸を含む調製物を用いて、標的核酸の遺伝子コピー数を解析する場合について以下に説明する。
【0026】
まず、非標的核酸が分離された標的核酸を含む調製物中の核酸に対し、標識処理を行う。この標識処理に先立って核酸の増幅処理を行っても良いし、標識処理と同時に増幅処理を行っても良い。ただし、増幅処理に伴ってコピー数比に多少のゆがみが生じる可能性があるので、調製物の量が十分であれば、増幅処理は行わない方が好ましい。公知技術であるニックトランスレーション法等で標識処理を行うことができる。また、増幅処理を伴う標識処理としてはランダムプライマー伸長法などが挙げられる。
【0027】
標識物質としては、どのような標識物質でも特に制限なく本発明に用いることが可能であるが、一般に高感度な検出が可能な蛍光物質等を用いる。中でも、Cy3、Cy5を代表とするCyDye(アマシャムバイオサイエンス社製)は、核酸標識用の蛍光物質として良く用いられ、これらの蛍光物質は本発明において特に有効である。また、ビオチン、アミノアリル系化合物等の核酸標識用物質も本発明の検体調製方法には有効である。
【0028】
標識された標的核酸は、固相上ハイブリダイゼーションによって解析するのに用いることができる。この固相上ハイブリダイゼーションの形態としては、DNAマイクロアレイが特に好適に利用できる。
【実施例】
【0029】
本発明による核酸の選択的分離方法について、以下の実施例により、更に詳しく説明する。ただし、以下に述べる実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
<実施例1> 非標的核酸捕捉用プローブの作製
(1)標的核酸解析用プローブの設定
検体はヒトゲノムDNAとし、ヒトゲノム中の標的遺伝子はEGFRとする。EGFR遺伝子のコピー数を解析するためのプローブとして表1に示す核酸配列を設計した。EGFR遺伝子の全塩基配列情報は公開されているデータベース等から容易に入手可能である。プローブの設計にあたっては、ヒトゲノムDNAに対し特異性が高く、十分かつそれぞれのプローブ塩基配列でばらつきのないハイブリダイゼーション感度が期待できるように配慮して行った。
【0031】
【表1】

【0032】
なお、表中に示したプローブは、DNAマイクロアレイに固定するための官能基として、合成後に定法に従って核酸の5’末端にチオール基を導入した。
【0033】
(2)非標的核酸捕捉用プローブの作製
まず、非標的核酸捕捉用プローブを作製する。処理の流れのイメージ図を図1に、フローチャートを図2に示す。非標的核酸捕捉用プローブを作成するために、型作製用核酸として市販のノバジェン社製Human Female Genomic DNAを用意した。また、標的核酸捕捉用プローブとして表1のP1配列の相補鎖配列C1を合成した。C1の配列は表2に示す。
なお、配列C1の5’末端にビオチン修飾をして合成を行った。
【0034】
【表2】

【0035】
まず、制限酵素Ban I(TOYOBO社製)を用いてHuman Female Genomic DNAの切断処理を行った(S11)。DNA 1μgを44.8μlの液量になるように超純水で調製し、制限酵素キットの仕様書に従い、10×Bufferを5μlとEnzymeを0.2μl加え、計50μlの反応液を作成し、50℃で1時間静置した。
【0036】
反応液は、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いて精製した。精製後、精製済み制限酵素処理DNA溶液の液量は、50μlとなるよう調製した。得られたDNA溶液の一部を取り、定法に従って電気泳動を行い、ヒトゲノムDNAが100から10000bpくらいに断片化されていることを確認した。
【0037】
精製済み制限酵素処理DNA溶液とビオチン修飾した標的核酸捕捉用プローブを用いて、プローブ−標的核酸複合体を作成する。精製済み制限酵素処理DNA溶液50μlにビオチン修飾したC1配列のDNAを20pmol加え、リン酸緩衝液を用いて最終的に200μl(10mM Phosphate、1M NaCl)になるように反応液を調整した。反応液は、70℃15分でディネーチャー(denature)させた後、37℃で2時間、続いて45℃で1時間インキュベートし、プローブ−標的核酸複合体を作成した(S12)。
【0038】
続いて、DNA溶液中からプローブ−標的核酸複合体の分離を行う。プローブには予めビオチン修飾を施してあるので、ビオチンに特異的に結合する物質であるストレプトアビジンを使用して分離することができる。Miltenyi Biotec社のμMACS(登録商標)Streptavidin Kitをキットのプロトコルに従って使用して分離を行った。具体的には、プローブ−標的核酸複合体が作成されたDNA溶液中にStreptavidin MicroBeadsを100μl添加した。30分程静置して反応させた後(S13)、強い磁場を形成するμMACSマグネットに取り付けたμ Columnに反応液を通した。Streptavidin MicroBeadsは磁気ビーズであるので、ビオチンとストレプトアビジンとの特異的な結合により、プローブ−標的核酸複合体は磁気標識されており、カラム中にトラップされる(S14)。一方、複合体を形成していないDNAはそのままカラムを通過する。通過した溶液を回収することによって、標的核酸を含まない非標的核酸捕捉用プローブを得ることができた。なお、反応液をカラムに通した後、カラム中に非特異結合している非標的核酸捕捉用プローブを回収するために、リン酸緩衝液100μlをカラムに通した。これを4回繰り返した。以上の操作より、約700μlの溶液が回収された。
【0039】
回収されたDNA溶液の精製を行った。回収液を各350μlの2チューブに分け、それぞれに対してニッポン・ジーン社製のエタチンメイトをキットのプロトコルに従って使用し、エタノール沈殿を行った。表3の通りに試薬を加え、4℃、15000rpmで20分間遠心を行った。そして、上清のみを採取し、70%氷冷エタノール500μlを加えて、4℃、15000rpmで10分間遠心した。沈殿のみを残して溶液を捨て、風乾させた後、それぞれ10μlの蒸留水に溶解させ、混合させて20μlの非標的核酸捕捉用プローブDNA溶液を得た。得られたDNA溶液はNanoDrop社製、NanoDrop ND−1000でDNA濃度を測定したところ、37.4ng/μlであった。
【0040】
【表3】

【0041】
(3)非標的核酸捕捉用プローブのビオチン標識化
非標的核酸捕捉用プローブに対し、ビオチン修飾処理を行った(S15)。得られたDNAが少量であったので、ランダムプライミング方式によって増幅を行いつつ、ビオチン化標識を行った。Invitrogen社製のバイオプライムDNAラベリングシステムを用いてキットのプロトコルに従ってビオチン標識反応を行った。なお、DNA量が十分多ければ、ニックトランスレーション法でビオチン化標識を行っても良い。
【0042】
(2)で回収された非標的核酸捕捉用プローブDNA500ngに対して以下に示す通りに反応液を調整し、DNAの増幅及びビオチン修飾反応を行った。まず、表4の通りに試薬を加え、95℃で5分間保温し、その後すぐに氷上にて5分間静値した。
【0043】
【表4】

【0044】
更に、10×dNTP Mixture(1mMのbiotin−14−dCTP、1mMのdCTP、2mMのdATP、2mMのdGTP、2mMのdTTP)を5μl加え、液量が49μlになるように超純水を10.6μl加えて軽く混ぜた。そして、Klenow Fragmentを1μl加えて、優しく混ぜて約15秒間遠心した。37℃で1時間インキュベートし、最後にStop Bufferを5μl加えて反応を止めた。
【0045】
反応液は、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いて精製した。精製後、60μlの超純水で溶出した。得られたDNA溶液はNanoDrop社製、NanoDrop ND−1000でDNA濃度を測定したところ、104.4ng/μlであった。溶出されたDNA溶液は約57μlであり、5μg以上の非標的核酸捕捉用プローブを作製することができた。
【0046】
<実施例2> 標的核酸DNAの調製
(1)検体DNAの処理
検体DNAとして人扁平上皮癌A431細胞から抽出したDNAを用意した。また、対照検体として、実施例1でも使用したHuman Female Genomic DNAを使用した。
【0047】
まず、制限酵素Ban I(TOYOBO社製)を用いて検体DNA及び対照検体DNAの切断処理を行った(S21)。DNA 1μgを44.8μlの液量になるように超純水で調製し、制限酵素キットの仕様書に従い、10×Bufferを5μlとEnzymeを0.2μl加え、計50μlの反応液を作成し、50℃で1時間静置した。
【0048】
反応液は、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いて精製した。精製後、精製済み制限酵素処理DNA溶液の液量は、50μlとなるよう調製した。得られたDNA溶液の一部を取り、定法に従って電気泳動を行い、それぞれのDNAが100から10000bpくらいに断片化されていることを確認した。
【0049】
(2)標的領域DNAの回収
制限酵素処理DNA溶液に対し、実施例1で作成した非標的核酸捕捉用プローブを用いて標的領域DNAの回収を行う。処理の流れのイメージ図を図3に、フローチャートを図4に示す。
【0050】
精製済み制限酵素処理DNA溶液50μlにビオチン標識化非標的核酸捕捉用プローブDNA溶液を40μl(約4μg)加え、リン酸緩衝液を用いて最終的に200μl(10mM Phosphate、1M NaCl)になるように反応液を調整した。反応液は、70℃15分でディネーチャーさせた後、37℃で2時間、続いて45℃で1時間インキュベートし、非標的核酸捕捉用プローブ−非標的核酸複合体を作成した(S22)。
【0051】
続いて、DNA溶液中から非標的核酸捕捉用プローブ−非標的核酸複合体の分離を行う。実施例1と同様に、Miltenyi Biotec社のμMACS(商標)Streptavidin Kitをキットのプロトコルに従って使用して分離を行った。μMACSキットで処理することにより、非標的核酸はカラムに捕捉され、標的核酸のみを回収することができた(S23〜End)。回収されたDNA溶液はニッポン・ジーン社製のエタチンメイトを用いて精製した。回収液700μlを2チューブに分けて処理を行い、精製済みDNAを風乾させた後、それぞれ10μlの蒸留水に溶解後、混合して20μlの標的核酸DNA溶液を得た。以上の処理を検体DNAと対照検体DNAそれぞれについて行い、2種類の標的核酸DNA溶液を得た。なお、得られたDNA溶液は、NanoDrop社製、NanoDrop ND−1000でDNA濃度を測定しても検出できなかった。
【0052】
なお、今回の実施例では溶液中で非標的核酸捕捉用プローブと核酸集団中の非標的核酸との複合体を形成させたが、非標的核酸捕捉用プローブを先にカラムに充填しておき、カラムに核酸集団溶液を通しても良い。ただし、カラム及び核酸集団溶液は37℃から47℃に保ち、カラムから標的核酸を含むDNA溶液の溶出は時間をかけて行うことが望ましい。
【0053】
(3)リアルタイムPCRによる回収物の確認
(2)で得られたDNA溶液は非標的核酸DNAが除去されており、標的核酸DNAが回収されたものであるかをリアルタイムPCRで確認した。表1に示したP1、P2配列領域それぞれのコピー数を調べるためのTaqManプローブ及びプライマー合成をAppliedBiosystems社に依頼した。
【0054】
表5に示す4種の検体についてリアルタイムPCRを行った。まず、EGFR領域を含むBACクローンRP11−89E8から抽出したDNAを用いて検量線を作製した。分子量よりコピー数を算出し、103から106コピー/チューブまで10倍希釈系列を作製した。TaqMan Universal PCR Master Mix、No (Applied Biosystems社製)及び、プライマー、プローブを用いて、反応チューブ1本あたり表6に示す通りに調製した。
【0055】
【表5】

【0056】
【表6】

【0057】
反応液は、Applied Biosystems 7500 Real−Time PCR System(Applied Biosystems社製)にセットし、以下の温度条件で反応を行った。Step3、4がPCRサイクルであり、40回繰り返した。
【0058】
Step 1 50℃ 2分
Step 2 95℃ 10分
Step 3 95℃ 15秒
Step 4 60℃ 1分。
【0059】
結果は、専用ソフトウエアで解析し、立ち上がりのサイクル数Ct値を算出した。DNAコピー数の常用対数を横軸に、Ct値をプロットした図を図1に示す。図5に示すように、DNAコピー数の常用対数とCt値との間には直線関係があり、Ct値を測定することにより被検試料中の遺伝子コピー数を定量できる。
【0060】
各検体のリアルタイムPCR結果を表7に示す。表7は1から4の各検体について、ターゲットP1、P2それぞれでのCt値を表したものである。Ct値と図1に示した検量線からコピー数を換算した。検体1、2は非標的核酸の捕捉処理を行っていない、全ゲノムDNAである。表7の結果から、処理前のDNAではP1とP2とでコピー数に差はほとんどないことがわかる。一方、検体3、4は非標的核酸の捕捉処理を行った後のDNAであり、非標的核酸にはP2領域も含まれている。表7より、P1とP2とでコピー数に差が生じ、P2領域のコピー数が少なくなっている。この結果から、非標的核酸が捕捉され、標的核酸DNAを選択的に回収できたことがわかる。
【0061】
また、検体1、3は癌細胞から抽出したDNAであり、検体2、4は正常細胞から抽出したDNAである。表7の結果より、捕捉処理前検体において癌細胞DNAの方が正常細胞DNAよりもEGFR領域のコピー数が約10倍(P1:10.3倍、P2:13.5倍)多いことが示されている。一方、捕捉処理後の検体でもP1領域でコピー数の比が9.6倍となっている。
【0062】
以上のことから、処理後の検体がコピー数の解析に用いることができることが示された。これらの処理は、ゲノム中の標的領域が増えた時にも行うことができ、この場合は捕捉処理後の検体をDNAマイクロアレイを用いることにより最も効率的に解析することが可能となる。
【0063】
【表7】

【0064】
<実施例3> DNAマイクロアレイを用いた解析
(1)DNAマイクロアレイの作製
(i)ガラス基板の洗浄
合成石英のガラス基板(サイズ(W×L×T):25mm×75mm×1mm、飯山特殊ガラス社製)を耐熱、耐アルカリ性のラックに入れ、所定の濃度に調製した超音波洗浄用の洗浄液に浸した。一晩、洗浄液中で浸した後、20分間超音波洗浄を行った。続いて、ガラス基板を取り出し、軽く純水で漱いだ後、超純水中で20分超音波洗浄を行った。次に、80℃に加熱した1N水酸化ナトリウム水溶液中に10分間、ガラス基板を浸した。再び、純水洗浄と超純水洗浄を行い、DNAチップ用の洗浄済石英ガラス基板を用意した。
【0065】
(ii)表面処理
シランカップリング剤KBM−603(信越シリコーン社製)を、1%の濃度となるように純水中に溶解させ、2時間室温で攪拌した。続いて、洗浄済石英ガラス基板を、このシランカップリング剤水溶液に浸し、20分間室温で放置した。ガラス基板を引き上げ、軽く純水で表面を洗浄した後、ガラス基板の両面に窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。次に、窒素ブロー乾燥したガラス基板を、120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークし、カップリング剤処理を完結させた。このカップリング剤処理により、ガラス基板表面に、シランカップリング剤由来のアミノ基が導入された。
【0066】
一方、同仁化学研究所社製のN−マレイミドカプロイロキシスクシイミド(N−(6−Maleimidocaproyloxy)succinimide);以下、EMCSと略す)を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒中に最終濃度が0.3mg/mlとなるように溶解したEMCS溶液を用意した。ベーク終了後、カップリング剤処理済ガラス基板を放冷し、調製したEMCS溶液中に室温で2時間浸した。この浸漬処理間に、カップリング剤処理済ガラス基板の表面に導入されているアミノ基と、EMCSのスクシイミド基とが反応し、ガラス基板表面にEMCS由来のマレイミド基が導入された。EMCS溶液から引き上げたガラス基板を、先述のジメチルスルホキシドとエタノールの混合溶媒を用いて洗浄し、さらに、エタノールにより洗浄した後、窒素ガス雰囲気下で乾燥させた。
【0067】
(iii)プローブDNAの合成
表1に示したP1、P2に加えて100種のプローブを設定し、それぞれ合成を行った。いずれのプローブもP1、P2と同様の指針で設定されており、同じハイブリダイゼーション条件で検出が可能である。プローブDNAは、上記の表面にマレイミド基が導入されガラス基板に対して共有結合させるため、常法に従って、5’末端にチオール化処理を施した。その後、DNA合成時における副反応を避けるために、保護基を脱保護し、さらにHPLC精製および脱塩処理を施した。得られたプローブDNAは、純水に溶解し、それぞれ最終濃度(インク溶解時)5μMとなるように分注した後、凍結乾燥を行い、水分を除いた。
【0068】
(iv)バブルジェットプリンターによるプローブDNA吐出および基板表面への結合
グリセリン7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、尿素7.5wt%、アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)1.0wt%を含む水溶液を用意した。続いて、分注したプローブDNAを上記の混合溶媒に規定濃度(5μM)となるように溶解した。得られたプローブDNA溶液を、バブルジェットプリンター(キヤノン社製)用インクタンクに充填し、印字ヘッドに装着した。
【0069】
なお、前記バブルジェットプリンターは、平板へのインクジェット印刷が可能なように改造を施したものである。また、該改造バブルジェットプリンターは、所定のファイル作成方法に従って印字パターンを入力することにより、約5plのDNA溶液液滴を、約190μmピッチでスポッティングすることが可能となっている。
【0070】
続いて、この改造バブルジェットプリンターを用いて、ガラス基板表面に、プローブDNA溶液のスポッティング操作をおこなった。DNAマイクロアレイ1枚あたり、各プローブ16スポットの吐出が行われるよう印字のパターンを予め作成し、インクジェット印字した。目的のパターンにDNA溶液のスポッティングが確実に行われていることを拡大鏡等により確認した後、30分間常温で加湿チャンバー内に静置し、ガラス基板表面のマレイミド基とプローブDNA5’末端のスルファニル基(−SH)とを反応させた。
【0071】
(v)洗浄
加湿チャンバー内における30分間の反応後、100mMのNaClを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)により、ガラス基板表面に残った未反応のプローブDNAを洗い流した。ガラス基板表面に、各DNAマイクロ当たり9スポットに所定の一本鎖プローブDNAが、それぞれ固定されたDNAマイクロアレイを得た。
【0072】
(2)標的核酸の調製
DNAマイクロアレイに搭載させたプローブ100種を標的領域とし、それ以外の領域を非標的領域とする。ヒトゲノムDNA中の標的領域のみを効率的に解析するために、実施例1で示した方法で非標的核酸捕捉用プローブを作製した。すなわち、DNAマイクロアレイに搭載させたプローブの相補鎖配列のDNAをビオチン修飾して合成し、実施例1と同じ処理を行った。そして、得られた非標的核酸捕捉用プローブを用いて、実施例2で示した方法で標的核酸の調整を行った。なお、検体DNAは実施例2と同様、人扁平上皮癌A431細胞から抽出したDNAとHuman Female Genomic DNAを使用した。
【0073】
(3)DNAマイクロアレイによる解析
(1)で作製したDNAマイクロアレイを用いて、(2)で得られたDNAの解析を行う。なお、比較のために、非標的核酸の捕捉処理を行っていない全ゲノムDNAも同様にマイクロアレイ解析を行った。
【0074】
各検体DNAに対し、Cy3及びCy5標識処理を行った。標識処理にはニックトランスレーションシステム(Invitrogen社製)を用い、キットのプロトコルに従って処理を行った。DNA使用量を表8に示す。なお、処理後の検体3、4に関しては回収DNA全量を使用した(処理にはヒトゲノムDNA1μg使用)。反応液は表9に示した通りに調製し、15℃で60分インキュベートした。ただし、A431はCy3標識し、Human FemaleはCy5標識した。そして、反応終了後、stop bufferを5μl加え、反応を止めた。
【0075】
【表8】

【0076】
【表9】

【0077】
反応後の検体を1と2、3と4をそれぞれ1チューブにまとめて(110μl)エタノール沈殿による精製を行った。エタチンメイトを使用し、表10に示す通りに反応液を調製した。そして、4℃、15000rpmで20分間遠心を行った。続いて、上清のみを採取し、70%氷冷エタノール500μlを加えて、4℃、15000rpmで10分間遠心した。沈殿のみを残して溶液を捨て、キャップを開けたまま、20分ほど遮光下で風乾させた。
【0078】
【表10】

【0079】
表11に示した通りにハイブリ液を調整し、ターゲットDNAに加え、遮光下37℃で30分静置した。30分後、優しくタッピングしハイブリ液ターゲットDNAに良く溶かした。そして、同じく遮光下で70℃15分、37℃60分静置し、ターゲットDNAのディネーチャーとプレハイブリダイゼーションを行った。
【0080】
【表11】

【0081】
ハイブリ液を(1)で作製したDNAマイクロアレイに添加し、37℃48時間ハイブリダイゼーションを行った。タカラバイオ社製のTakara Slide Seal for in situ PCRを用いて液の封止を行った。
【0082】
ハイブリダイゼーション終了後、45℃に保温したバッファー1(2×SSC/0.1%SDS)とバッファー2(2×SSC)で各5分洗浄し、最後にバッファー3(0.1×SSC)で軽くリンスし、スピンドライを行った。
【0083】
ハイブリダイゼーション反応終了後のDNAマイクロアレイをDNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、GenePix 4000B)を用いて蛍光測定を行った。測定結果を表12に示す。表12の通り、処理後の検体の方が癌/正常の比が大きくなっており、コピー数の差をコントラスト良く検出できている。これは、処理前の全ゲノムDNAを検体とした時に比べて標的核酸のハイブリを阻害する非標的核酸が除去されたためと考えられる。
【0084】
また、今回は標的核酸のみの検体にもCot−1 DNAを混入させてハイブリを行ったが、Cot−1 DNAを入れなくても同様の結果が得られた。ハイブリ時間も8時間程度で安定したシグナルを得られた。
【0085】
【表12】

【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】非標的核酸捕捉用プローブを作製するための処理の流れを示すイメージ図である。
【図2】非標的核酸捕捉用プローブを作製するためのフローチャート図である。
【図3】非標的核酸捕捉用プローブを用いて標的領域DNAの回収を行う処理の流れを示すイメージ図である。
【図4】非標的核酸捕捉用プローブを用いて標的領域DNAの回収を行う処理のフローチャート図である。
【図5】リアルタイムPCR結果(検量線)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非標的核酸に相補的な非標的核酸捕捉用プローブに、非標的核酸と標的核酸とを含む被検体核酸集団を反応させてプローブ−非標的核酸複合体を形成させ、前記核酸集団から前記プローブ−非標的核酸複合体を分離除去することによって前記標的核酸を分離する核酸の選択的分離方法であって、
前記非標的核酸に相補的なプローブを以下の工程により得る、核酸の選択的分離方法。
(1)標的核酸を捕捉するための標的核酸捕捉用プローブを用意する工程、
(2)前記被検体核酸集団そのもの、または該集団と同種の核酸集団を用意し、非標的核酸捕捉用プローブを作製するための核酸集団とする工程、
(3)前記標的核酸捕捉用プローブと前記非標的核酸捕捉用プローブを作成するための核酸集団中の標的核酸との複合体を形成させる工程、
(4)前記非標的核酸捕捉用プローブを作成するための核酸集団から前記プローブ−標的核酸複合体を分離除去し、除去されなかった核酸を非標的核酸捕捉用プローブとする工程。
【請求項2】
前記非標的核酸捕捉用プローブおよび前記標的核酸捕捉用プローブは固相担体上に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の核酸の選択的分離方法。
【請求項3】
前記固相担体が磁性粒子であることを特徴とする請求項2に記載の核酸の選択的分離方法。
【請求項4】
前記核酸捕捉用プローブはカラムに充填されており、核酸集団をカラムに通すことによって前記核酸捕捉用プローブ−核酸複合体を形成させ、前記核酸集団からプローブ−核酸複合体を分離除去することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の核酸の選択的分離方法。
【請求項5】
前記核酸集団が溶解している溶液中に前記核酸捕捉用プローブを添加して前記プローブ−核酸複合体を形成させ、前記核酸集団から前記プローブ−核酸複合体を分離除去する工程を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の核酸の選択的分離方法。
【請求項6】
前記核酸捕捉用プローブにはビオチンが修飾されており、ビオチン修飾プローブと核酸とで形成した核酸複合体は、アビジンが固定された固相担体と接触させることにより捕捉されることを特徴とする請求項5に記載の核酸の選択的分離方法。
【請求項7】
前記核酸捕捉用プローブには抗原が修飾されており、抗原修飾プローブと核酸とで形成した核酸複合体は、前記抗原を捕捉する抗体が固定された固相担体と接触させることにより捕捉されることを特徴とする請求項5に記載の核酸の選択的分離方法。
【請求項8】
前記核酸集団がヒトゲノムDNAであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の核酸の選択的分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−207418(P2009−207418A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53605(P2008−53605)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】