説明

核酸精製

未処理試料から核酸、細胞溶解物および細胞懸濁液を単離するための本発明の自己完結型装置であって、該装置は、機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:(i)収集デバイスから未処理試料を受け取るためのチャンバーおよび少なくとも1つの充填液体精製試薬の貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分、ここに、該マイクロ流体成分は、さらに少なくとも1つの核酸精製マトリックスを含み;および(iii)該マイクロ流体要素および該核酸精製マトリックスを介して該液体精製試薬を駆動する該機器上の駆動機構を含み、ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介していることを含む該装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府所有権の陳述)
本願は、米国司法省司法プログラムオフィスの国立司法研究所によって与えられた助成番号2007−DN−BS−K184、および2009年9月30日付けで与えられた「現場配置可能な促進核DNA装置(Field-Deployable Accelerated Nuclear DNA Equipment)」と題するMITリンカーン研究所からの契約により支援された。
【背景技術】
【0002】
A.未対処の必要性−未処理の臨床的および法医学的試料
19世紀後半のMiescherおよびAltmannによる核酸の最初の単離(Miescher, Friedrich (1871) “Ueber die chemische Zusammensetzung der Eiterzellen,” in F. Miescher. Die Histochemischen und physiologischen Arbeiten Vol.2:3-23)から今日利用可能な最も精巧な分子生物学的技術まで、DNA抽出のプロセスは実質的に効率化されてきた。それでもなお、臨床的な生物脅威検出および、迅速で、コスト効率が良く、労働集約型でも空間集約型のいずれでもないDNA精製の敏感で、確固たる信頼できる統合方法についての法医学コミュニティーにおける差し迫った必要性が存在する。特に、いずれのマニュアルの対処または処理なくして、未処理の臨床的または法医学的な現場試料からの核酸を迅速に精製できる方法およびデバイスについてのまだ対処されていない必要性が存在する。
【0003】
理想的には、核酸精製についての新規な方法は、ゲノム情報を送達する、特に、現場における遺伝子情報の送達のため、およびポイントオブケアおよびポイントオブケア付近の適用についての多数でかつ多様な既存および新興市場に対処するために必要とされる。例えば、ヒト同定の分野において、検査室または現場(例えば、国境、通関手続きの地、戦場および軍事検問所)のいずれでもDNAフィンガープリントを迅速に生成できる法医学コミュニティーにおけるまだ対処されていない必要性が存在する。
【0004】
同様に、民間および軍事集団を保護するために、環境的生物脅威の同定を改善することが非常に重要である。より迅速で、より敏感で、より特異的で、かつより詳細な同定は、民間および軍当局による改善された戦略および戦術上の応答、ならびにより有効な治療活動を可能にするであろう。核酸増幅、ハイブリダイゼーションおよび配列決定を含めた核酸分析技術の迅速な適用は、この点につき非常に重要な情報を提供できる。
【0005】
さらに、臨床的感染(生物脅威または通常の病原体によって惹起されたとしても)を迅速に診断する能力は、社会に対して深い衝撃を有するであろう。例えば、敗血性患者からの血液試料を採取し、1時間以内の核酸に基づいた病原体または病原体群ならびにそれらの抗生物質耐性プロフィールの双方の同定は、特定の抗菌療法が直ちに開始されるのを可能にするであろう(また、ウイルスの診断法および薬剤抵抗性プロフィールについての類似の状況は非常に重要である)。また、臨床的試料からの核酸分析情報を迅速に生成する能力は、癌から免疫疾患までの広範囲に疾患の診断および治療に対する実質的な衝撃を有し;本質的には、すべてのカテゴリーの疾患が影響を与えられたであろう。また、同一のアプローチは、ゲノム薬理学、所与の薬理学的介在の適応性を予測するための遺伝子情報の使用に適用できる。
【0006】
B.DNA精製に対する先行技術アプローチ
哺乳動物細胞からの核DNAの抽出および精製への基本的なアプローチは、30年前に開発され(N. Blin, D.W. Stafford (1976). A general method for isolation of high molecular weight DNA from eukaryotes. Nucleic Acids Res. 3(9): 2303-8)、それは2つの主要工程:注目する細胞タイプの溶解および溶液(特に、タンパク質)ならびに細胞および組織残骸中の他の細胞成分からのDNAの精製を有する。細胞溶解および(適当な場合)DNA可溶化は、機械的(J. Brent (1998). Breaking Up Isn't Hard To Do: A cacophony of sonicators, cell bombs and grinders” The Scientist 12(22):23に概説される)および非機械的技術により達成できる。単純な機械的アプローチは、混合機の使用および、限定的な開口部を介して細胞を強いることによる均質化を含む。超音波処理は、高周波への細胞の曝露に基づき、ビーズ・アプローチは、種々のビーズの存在下、細胞を激しい混合に付すことに基づいている。
【0007】
細胞の化学的混乱は機械的混乱に代替するものである。洗浄剤は脂質二重層を混乱させることにより作用する重要な化学的細胞溶解剤である。洗浄剤のさらなる特性は、蛋白質構造が維持(例えば、両性イオン性および非イオン性洗浄剤)または混乱(イオン性洗浄剤)されるのを可能にし得る。イオン性洗浄剤のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、部分的に、高分子を可溶性にし、かつ細胞内のタンパク質を変性させるその能力により、法医学的なDNA抽出プロトコールに一般的に用いられる(J.L. Hainesら (2005) Current Protocols in Human Genetics Vol. 2,(2005 John Wiley and Sons, Inc. Pub.)。プロテイナーゼKは、洗浄剤ベース(例えば、SDS、ツイーン−20、トリトンX−100)の溶解プロトコールと共にしばしば用いられる。洗浄剤溶解のもう一つの形態はFTA紙に基づく(L.A. Burgoyne (1997) Convenient DNA Collection and Processing: Disposable Toothbrushes and FTA Paper as a Non-threatening Buccal-Cell Collection Kit Compatible with Automatable DNA Processing, 8th International Symposium on Human Identification, Sept. 17-20, 1997 Orlando, FL,; G.M. Fomovskaiaら, 米国特許第6,958,392号)。これは、弱塩基、陰イオン性洗浄剤、キレート剤および保存剤を含浸させたセルロースフィルターである。
【0008】
臨床的または環境的試料の場合には、核酸分析への非常に重要な第1工程は、試料中に存在するいくらかまたはすべての核酸の単離または精製である。試料中の生物学的物質は溶解でき、溶解物内の核酸はさらなる分析に先立ち精製し得る。別法として、溶解物内に含まれた核酸は、直接的に分析し得る(例えば、Phusion Blood Direct PCR kit (Finnzymes, Espoo, FN)およびDanielら, 米国特許第7,547,510号)。
【0009】
当業者が認識するように、未処理の臨床的、環境的または法医学的な試料からの核酸の精製は、調査下の特定の現場試料に適した前処理工程の自動化を必要とする。現場試料を解明するのに固有の試料タイプ、試料体積、サンプリング技術、試料収集デバイス、試料処理要件の多様性および複雑さは、かかる種々の試料からの核酸を精製するための確固たる方法およびデバイスについてのまだ対処されていない必要性を創製している。
【0010】
C.臨床的および環境的試料からの精製に対するマイクロ流体アプローチ
マイクロ流体の分野は、未処理の臨床的、環境的および法医学的な試料から核酸を単離できる方法およびデバイスについてのまだ対処されていない必要性に対する潜在的な解決方法を提供する。マイクロ流体は、マイクロリットル以下の小さな流体体積の操作に基づき、1990年代初めに分子生物学およびマイクロエレクトロニクスの混成として出現した(Manzら Sens. Actuators B1:244-248 (1990)参照)。マイクロ流体における主な焦点は、複数成分を統合して、試料入力、結果出力機能性を持つシステムを開発することである(Ericksonら, Anal. Chimica Acta 507: 11-26 (2004)に概説される)。
【0011】
このアプローチを用いたいくらかの進歩は、生物脅威の環境的検出につきなされた。自動化病原体検出システム(Hindonら, Anal. Chem. 77:284-289 (2005))は、空気試料を収集し、B. anthracisおよびY. pestisを検出できるマイクロ流体DNA抽出およびリアルタイムPCRを行う(検出限界は、濃縮試料mL当たり10〜10個の生物体間にあった)。また、Cepheid (Sunnyvale, CA) GeneXpertシステムは、空気試料を収集して、統合したB. anthracis胞子溶解(マイクロ超音波処理による)、DNA抽出およびリアルタイムPCRを行う(検出限界はエームズ胞子について濃縮試料mL当たり68cfu(148の胞子に等価)およびスターン胞子について濃縮試料mL当たり10〜10cfuであった)。これらの進歩にもかかわらず、ヒト介在なくして、臨床的または環境的試料から(またはマニュアルで収集された環境的試料から)の未処理核酸を精製できる利用可能なシステムもデバイスもない。確かに、すべての利用可能な技術はいくらかまたは全ての工程のマニュアル処理に依拠する。
【0012】
D.法医学的試料からのDNA精製
法医学的試料についての最も初期のDNA精製法の1つは、フェノール/クロロホルム抽出の使用であったs(D.M. Wallace (1987) Large and small scale phenol extractions. Methods Enzymol. 152:33-41; Maniatis, T.ら, “Purification of Nucleic Acids” in Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)。この方法において、大部分のタンパク質は有機相または有機−水性界面に移り、可溶化されたDNAは水相に残る。DNA含有相は、エタノール沈澱、DNA単離に続いて、一連の遠心分離および洗浄工程に付すことができる。法医学的な実施において、DNAはMicroconカラム(Millipore Corporation, Billerica, MA)のごとき遠心透析デバイスを用いて水相からしばしば回収される。有機的抽出アプローチの有利さは、それが(比較的低い量のタンパク質および比較的低い分解で)高品質DNA調製物を与え、1つの今日利用可能な最も信頼できる方法のままであるということである。主な不都合は、その手順が時間および労働集約型で、扱い難い装置を必要とし、高処理設定に適応させるのが比較的難しいということである。
【0013】
したがって、法医学コミュニティーは、使用することがより簡単な一連の精製技術に移り、その多数は、商業的に入手可能なキットの基礎として機能する。核酸精製に対する膨大な数のアプローチが存在し、そのいくつかは、以下のごとく要約される:
【0014】
シリカマトリックス/カオトロピック剤.DNA単離用シリカビーズの使用は、ヨウ化ナトリウムのごときカオトロピック剤の存在下でシリカへのDNAの結合に基づいた最初のプロトコールで四半世紀以上標準的技術である(B. Vogelsteinら, (1979) "Preparative and analytical purification of DNA from agarose," Proc Nat Acad Sci USA 76(2):615-9)。早期の多年に、グアニジウム塩は、高分子の潜在的な脱安定化剤であることが判明した(von Hippel P.H.ら, (1964) "Neutral Salts: The Generality of Their Effects on the Stability of Macromolecular Conformations." Science 145:577-580)。また、ある種のグアニジウム塩は、ヌクレアーゼの非活性化という有利さを有する(Chirgwin J.M.ら, (1979) "Isolation of biologically active ribonucleic acid from sources enriched in ribonuclease," Biochemistry 18(24):5294-9)。これらの観察は、Boom(Boom, R.ら, (1990) "Rapid and Simple method for purification of nucleic acids," J Clin Microbiol. 28(3):495-503)により合成され、彼は、効果において、グアニジウム塩の2つの関連した特性を用いた。第1の、細胞を溶解する塩の能力、および第2の、シリカ粒子へのDNA結合を増強する塩の能力は、今日、法医学研究所において広範囲に利用される多数の溶解/精製アプローチに結び付いている(例えば、 DNAIQ Systems, Promega, Madison, WI)。シリカビーズの別法は、シリカ膜の使用である (QIAamp, Qiagen Hilden, DE)。加えて、シリカビーズは、それ自体、DNA結合をさらに増強するするように改変し得る。
【0015】
シリカマトリックス/非カオトロピック剤.また、シリカマトリックスは、カオトロープ不存在下で利用できる。1つのアプローチは、それらが所与のpHにて正味の正電荷を有し、結合するDNAを結合できるように、シリカビーズを改変することである(Baker, M.J., U.S. Patent No. 6,914,137)。その改変はイオン基を含み、DNA結合は、(イオン化基は中性であるか、または陰性に帯電している場合)高pHにて、時々、高温にて逆転する。pHにおける広範囲のスイングがDNAを損傷しかねないので、このアプローチの非常に重要な特徴は、比較的狭いpH範囲内のDNAの可逆的な結合を可能にする改変を選定することである。このタイプの広範囲に用いられたアプローチは、ChargeSwitchビーズに基づいている(Life Technologies, Inc. Carlsbad, CA)。
【0016】
磁気ビーズ.DNA結合特性は主として所与のビーズの表面構造によって決定されるが、磁気ビーズの使用はDNA精製プロトコールにおいてますます重要になってきている。これらの粒子は一般的に常磁性であり;磁界に曝露される場合、それらは自ら磁気性でないが、双極子を形成する。これらのビーズの有用性は自動化システムへの取り扱いおよび適用のそれらの容易さに関する。例えば、ビーズは、磁石の存在下で懸濁液から容易に取り除くことができ、それらが効率的に洗浄および輸送されるのを可能にする。一般的に用いる2つの磁気ビーズは、前記のChargeSwitchおよびDNAIQのビーズである。
【0017】
イオン交換.イオン交換は、DNA分子が固定化ビーズと可逆的に結合することを可能にする。ビーズは、一般的に、あるイオンが所与のイオン強度にてもう一つのものにより置換されるのを可能にする帯電部位を持つ多孔性の有機または無機のポリマーよりなる。実際上、DNAおよび他の高分子を含有する溶液は、イオン交換樹脂に曝露される。負に帯電したDNA(そのリン酸骨格による)は、所与の塩濃度またはpHにて樹脂に比較的強く結合する。タンパク質、炭水化物および他の不純物は、(仮にあったとしても)比較的弱く結合し、(例えば、カラム形式または遠心分離により)ビーズから洗浄される。次いで、精製されたDNAは、高イオン強度緩衝液中で溶出できる。今日用いられる商業的に入手可能な陰イオン交換樹脂は、DEAE改変シリカビーズ(Genomic-tip, Qiagen) に基づいている。
【0018】
Chelex.Chelex-100(Bio-Rad, Hercules, CA)は、効率的に多価性の金属陽イオンを結合する改質樹脂である。かかる陽イオンがDNAを分解する酵素に必要とされ、それ自体がPCR酵素を抑制するので、この方法は本質的にDNA精製工程を回避するものの代表である(Walsh P.S.ら, Chelex 100 as a medium for simple extraction of DNA for PCR-based typing from forensic material. Biotechniques 10(4):506-13)。
【0019】
物質を収集するために綿スワブを用いる場合、綿マトリックスから生物学的物質を取り出す問題が存在しかねない;収集後に綿スワブを乾燥させると、生物学的物質はスワブに付着しかねない。例えば、精母細胞膜の糖組成により、精母細胞は固体担体、特に綿に付く(Lazzarino, M. F.ら, (2008) DNA Recovery from Semen Swabs with the DNA IQ System. Forensic Science Communications 10(1))。スワブから最大量の物質を放出するために、種々の緩衝剤を試験し、標準的な差動(differential)抽出緩衝剤と比較した。1〜2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のごとき洗浄剤の使用は、精細胞の回収率を増加させることを示した(Norris, J. V.ら, (2007) "Expedited, chemically enhanced sperm cell recovery from cotton swabs for rape kit analysis." J Forensic Sci 52(4): 800-5)。また、少量のセルラーゼの添加は緩衝液溶出単独より綿スワブマトリックスからより多くの上皮および精細胞を放出することを示した(Voorhees, J. C.ら, (2006). "Enhanced elution of sperm from cotton swabs via enzymatic digestion for rape kit analysis." J Forensic Sci 51(3): 574-9)。
【0020】
少量または低品質のDNAを含む生物学的物質から法医学的な短鎖縦列反復配列(STR)プロフィールを得ることに対する多数の課題が存在しかねない。低コピー数試料(50〜100ピコグラム未満のDNAを含む)ならびに、低品質の分解した試料は、非常に効率的な収集、抽出および増幅手順を必要とする。これらの試料は、接触証拠および古い試料を含めた種々の法医学的証拠において見られる。Life Technologies Minifiler(商標)のごとき増幅キットはより小さなアンプリコンサイズを有し、そのサイズは、これらの難しい試料からSTRプロフィールを得る能力を増加させることが示されている。
【0021】
PCR抑制剤はもう一つの負荷であり、下流適用を行なうことができる前に除去されなければならない。共通の抑制剤はデニムからのインジゴ色素、血液からのヘム、植物および土壌中に見出されたフミン酸、および種々の組織中で見出されたコラーゲンである。大多数のこれらの抑制剤は、電荷またはサイズの排除カラムで、シリカベースのDNA抽出方法またはさらなる精製を用いて、効率的に除去される。抑制剤の存在は、内部陽性対照でPCRを行なうことにより検出できる。存在するならば、いくつかの抑制剤は、水酸化ナトリウム洗浄剤またはMillipore Microcon YM(商標登録)カラムでのさらなる精製を含めた種々の処置によって中和できる。
【0022】
試料収集の「現実世界」の要件と、十分に統合されたマイクロ流体DNA処理バイオチップのマイクロ流体要件とを一致させる必要性は、「マイクロ−対−マイクロインターフェイス」または「世界−対−チップインターフェイス」ということができる (Fredrickson, C.およびFan, Z. (2004) "Macro-to-micro interfaces for microfluidic devices," Lab Chip 4(6): 526-33)。このインターフェイスに対処する多数の研究報告は、マクロ流体およびマクロ流体体積要件との間のミスマッチの解決に対して集中するが、マイクロ流体デバイスでの特定の法医学的サンプリング要件および様式の調和に関する研究はほどんどまたは全く報告されていない。
【0023】
(非法医学的)体積測定のミスマッチは、試料をマイクロタイタープレートから酵素アッセイ用チップに吸引するための毛細管の使用によりBioanalyzer 2100におけるAgilent (Santa Clara, CA)によって商業的に対処された(Lin 2003)。同様に、Gyros (Uppsala, SE)は、試料がウェルプレートから分注ノズルへ吸引されて、次いで、回転デバイスに上方に指令されるLabCDシステム用の毛細管ディスペンサーを開発した(Jesson 2003)。しかしながら、これらのデバイスは、特にスワブに基づいて一般的に用いられている収集デバイス上での収集した法医学的試料の形式不適合性に対処しない。
【0024】
E.部分的自動化DNA精製
種々の実験機器は核酸の部分的自動化精製につき開発された。例えば、Maxwell 16機器(Promega)は、法医学的試料から核酸を精製するように設計されている。頬側スワブからDNAを精製するために、操作者は、綿収集部分を半分に切断し、それを1.5mL遠心分離管に入れて、溶解試薬を準備および添加し、熱ブロック中で試料をインキュベートし、チューブを撹拌し、試薬およびスワブ試料をスピンバスケットに移し、次いで、バスケットを遠心分離することを含む多数の工程を行う。次に、プランジャーはMaxwellカートリッジに入れ、試料はカートリッジにピペットで移し、次いで、カートリッジは核酸精製用の機器に入れられる。
【0025】
また、iPrep機器(Life Technologies)は、核酸を精製するために法医学的および臨床的試料の処理に用いる。例えば、頬側スワブの先端を1.5mL遠心分離管に入れ、Maxwell 16に必要なものに類似する一連のマニュアル工程に付す。マニュアルの試料調製後、粗製溶解物は、機器内で処理するために1mL溶出チューブに移される。Qiagen EZ1、BioRobot M48およびQiacube systems (Qiagen)は、部分的に核酸精製を自動化する。頬側スワブを収集し、2時間乾燥させ、前記の機器でのようにマニュアルで本質的に処理される。Innuprep (analytikJena, Itzehoe, DE)、 LabTurbo (Taigen, Taipei, TW)、Xiril 150 (Xiril AG, Hombrechtikon, CH)およびQuickgene (FujiFilm Corp., Tokyo, JP) システムは、実質的な使用者の操作および介在を必要とする部分的な自動化機器である。米国特許出願公開第20080003564号(Chenら)は、マクロ流体特徴およびフレキシブルチューブを用いて機械的にスワブを受け入れ、試薬を輸送するマクロ流体試料処理チューブを記載する。米国特許出願公開第20070092901号(Ligler, F.ら)は、半自動化核酸精製用の液体生物学的試料を受け入れるシステムを記載した。
【0026】
Landers (Wolfe, K.A.ら, (2002) Toward a microchip-based solid phase extraction method for isolation of nucleic acids. Electrophoresis 23 (5):727-33; Wen, J.ら, (2006) DNA extraction using a tetramethyl orthosilicate-grafted photopolymerized monolithic solid phase. Anal Chem. 78(5):1673-81; Easley, C.J.ら,(2006) A fully integrated microfluidic genetic analysis system with sample-in-answer-out capability. Proc Natl Acad Sci USA 103(51):19272-7); Hagan K.A.ら (2008) Microchip-based solid-phase purification of RNA from biological samples, Anal Chem 80:8453-60), Locascio (Becker, H.ら, (2002) Polymer microfluidic devices Talanta 56(2):267-287; Martynova, L.ら, (1997) Fabrication of plastic microfluid channels by imprinting methods. Anal Chem. 69(23):4783-9.), Mathies (Lagally, E.T.ら, (2001) Fully integrated PCR-capillary electrophoresis microsystem for DNA analysis. Lab Chip 1(2):102-7: Yeung, S.H.,ら, (2006) Rapid and high-throughput forensic short tandem repeat typing using a 96-lane microfabricated capillary array electrophoresis microdevice. J Forensics Sci. 51(4):740-7)、および他者(Liu R.H.ら, (2004) “Self-contained, fully integrated biochip for sample preparation, polymerase chain reaction, amplification, and DNA microarray detection Anal Chem 76(7):1824-31)のいくつかのグループは、DNA精製および分析用のマイクロ流体に関して研究してきた(Liu, P.およびMathies, R.A., (2009), “Integrated microfluidicystems for high-performance genetic analysis.” Trends in Biotechnology 27(10):572-81に概説されている)。Easleyは、グアニジウム溶解/シリカビーズ精製プロトコールを用いて750ナノリットルの全血および1マイクロリットルの鼻吸引液からのDNA単離を示した(Easley, C.J.ら, Proc Natl Acad Sci 前記)。全血試料は、750nL試料中にmL1500〜2000cfu当たり250万個の細菌(炭疽菌(Bacillus anthracis))を含み、これは余りにも濃度が高く臨床検査薬には適切ではない。米国特許出願US2008/0014576A1は、溶液、ビーズ、コロイドまたは複数相溶液中の精製用の試料を受け入れ、熱サイクラーおよび分離機器のごとき下流の調製デバイスと統合し得る核酸精製モジュールを記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本開示の発明は、未処理試料から核酸、細胞溶解物および細胞懸濁液を単離するための装置、方法および機器を含む。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本開示の発明は、未処理試料から核酸、細胞溶解物および細胞懸濁液を単離するための装置、方法および機器を含む。1つの発明において、装置は未処理試料から核酸を単離するための自己完結型(self-contained)装置を含み、該装置は機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから未処理試料を受け取るためのチャンバーおよび少なくとも1つの充填液体精製試薬貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分、ここに、該マイクロ流体成分は、さらに少なくとも1つの核酸精製マトリックスを含み;
(iii)該マイクロ流体要素および該核酸精製マトリックスを介して該液体精製試薬を駆動する該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している。
【0029】
もう一つの本発明において、装置は未処理試料から核酸を単離するための自己完結型装置を含み、該装置は、機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから該未処理試料を受け取るためのチャンバー;
少なくとも2つの事前充填した溶解試薬貯蔵リザーバー;
事前充填した洗浄試薬貯蔵リザーバー;および
事前充填した溶出試薬貯蔵リザーバー
を含むマクロ流体成分;ならびに
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分、ここに、該マイクロ流体成分はさらに、少なくとも1つの核酸精製マトリックスを含み;
(iii)該第1および第2溶解試薬、該洗浄試薬および該溶出試薬を駆動し、引き続いて、該マイクロ流体要素および該核酸精製マトリックスを介して駆動するための該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している。
【0030】
関連発明において、特許請求した装置は、標識された収集デバイスおよび/またはチャンバーを有することもでき、該標識は、バーコードまたは、RFIDを含む。他の関連発明において、駆動機構は、空気圧的、機械的、磁気的または流体的であり得る。さらに他の関連発明において、未処理試料は、(i)鼻スワブ、鼻咽頭スワブ、頬側スワブ、口腔流体スワブ、糞便スワブ、扁桃スワブ、膣スワブ、子宮頚部スワブ、血液スワブ、創傷スワブまたは血液、唾液、膿性物質もしくは吸引液を含有するチューブ;(ii)法医学的スワブ、切断、粘着テープリフトもしくはカード;または(iii)環境的エアフィルター、浄水フィルターもしくはスワブを含む。
【0031】
他の関連発明において、特許請求された装置の精製マトリックスは、シリカ膜、シリカビーズ、シリカ磁気ビーズ、イオン交換樹脂またはイオン交換ビーズを含む。さらに他の関連発明において、特許請求された装置のマイクロ流体成分は、チャネル、リザーバー、可変バルブ、パッシブバルブ、空気圧始動バルブ、反応チャンバー、混合チャンバー、ベント要素、アクセスホール、ポンプ、計測要素、混合要素、加熱要素、磁気要素、反応チャンバー、濾過要素、精製要素、駆動ラインおよび作動ラインを含む。
【0032】
本開示のもう一つの発明は、未処理試料からの核酸の精製方法であり、
特許請求された装置のチャンバーに核酸を含む試料を提供し;
少なくとも一部の第1の溶解試薬を、該第1の溶解試薬チャンバーからの前記のチャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の第2の溶解試薬を、該第2の溶解試薬チャンバーから前記のチャンバーに駆動して、第2の混合物を提供し;
精製膜を介して少なくとも一部の該第2の混合物を駆動して、濾液および保持物(retentate)を提供し、ここに、その保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製膜を介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、洗浄した保持物および廃棄物を提供し;
所望により、洗浄した保持物を乾燥し;次いで
少なくとも一部の溶出試薬を精製マトリックスを介して溶出試薬チャンバーから駆動することにより、洗浄した保持物から少なくとも一部のその核酸を収集する
ことを含む。
【0033】
本開示のさらにもう一つの発明は、未処理試料からの核酸の精製方法であり、
特許請求された装置のチャンバーへ核酸を含む試料を提供し;
少なくとも一部の第1の溶解試薬を、該第1の溶解試薬チャンバーから前記のチャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
第1の混合物を介して気体を通気して、撹拌した第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の第2の溶解試薬を、該第2の溶解試薬チャンバーから前記のチャンバーに駆動して、第2の混合物を提供し;次いで
精製マトリックスを介して少なくとも一部の撹拌した第1の混合物を駆動して、濾液および保持物を提供し、ここに、保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製マトリックスを介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、洗浄した保持物および廃棄物を提供し;
所望により、洗浄した保持物を乾燥し;
精製マトリックスを介して少なくとも一部の溶出試薬を溶出試薬チャンバーから駆動して、溶出した核酸溶液を提供し;次いで
溶出した核酸溶液を介して気体を通気して、均質化された溶出した核酸溶液を提供する
ことを含む。
【0034】
本開示の依然としてもう一つの発明は、全血中の病原体からの核酸の精製方法であり、
血液収集チューブ中の抗凝固処理した全血および病原体を含む試料を特許請求された装置の試料収集チャンバーに提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の血液を駆動して、白血球低下濾液を提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の白血球洗浄試薬を駆動して、洗浄した白血球低下濾液を提供し;
病原体捕捉膜を介して少なくとも一部の白血球低下濾液を駆動し;
捕捉膜を横切って少なくとも一部の病原体懸濁液を駆動して、濃縮病原体懸濁を提供し;
少なくとも一部の濃縮病原体懸濁液を、該第1の溶解試薬を含有する第1の溶解試薬チャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の溶解試薬を第2の溶解試薬チャンバーから第1の溶解試薬チャンバーに駆動して、第2の混合物を提供し;
精製膜を介して少なくとも一部の第2の混合物を駆動して、濾液および保持物を提供し、ここに、保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製膜を介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、保持物および廃棄物を提供し;
所望により、洗浄した保持物を乾燥し;次いで
少なくとも一部の溶出試薬を精製マトリックスを介して溶出試薬チャンバーから駆動することにより、洗浄した保持物から少なくとも一部のその核酸を収集する
ことを含む。
【0035】
本開示のもう一つの発明は、全血中の病原体からの核酸の精製方法であり、
血液収集チューブ中の抗凝固処理した全血および病原体を含む試料を特許請求された装置の試料収集チャンバーに提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の血液を駆動して、白血球低下濾液を提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の白血球洗浄試薬を駆動して、洗浄した白血球低下濾液を提供し;
保持フィルターを横切って少なくとも一部の白血球再懸濁溶液を駆動して、濃縮白血球懸濁を提供し;
少なくとも一部の濃縮白血球懸濁液を、該第1の溶解試薬を含有する第1の溶解試薬チャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の第2の溶解試薬を、該第2の溶解試薬チャンバーから第1の溶解物試薬チャンバーに駆動して第2の混合物を提供し;
精製膜を介して少なくとも一部の該第2の混合物を駆動して、濾液および保持物を提供し、ここに、保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製膜を介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、洗浄した保持物を提供し;
所望により、洗浄した保持物を乾燥し;次いで
少なくとも一部の溶出試薬を精製マトリックスを介して溶出試薬チャンバーから駆動することにより、洗浄した保持物から少なくとも一部のその核酸を収集する
ことを含む。
【0036】
関連発明において、方法は、さらに、
白血球溶解溶液を濃縮白血球懸濁液に駆動して、差動的に溶解された懸濁液を提供し;病原体保持フィルターを介して差動的に溶解された少なくとも一部の懸濁液を駆動し;病原体保持フィルターを介して少なくとも一部の保持フィルター洗浄試薬を駆動して、洗浄された病原体保持物を提供し;次いで、核酸を再懸濁、溶解し、次いで、病原体保持物から精製する。
【0037】
本開示のもう一つの発明は、未処理試料からの細胞溶解物を生成するための自己完結型装置であり、該装置は、機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから該未処理試料を受け取るチャンバー、および少なくとも1つの充填した試薬貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分;および
(iii)該マイクロ流体要素を介して該試薬を駆動するための該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している。
【0038】
さらにもう一つの発明は、未処理試料からの細胞を溶解するための自己完結型装置であり、該装置は、機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから該未処理試料を受け取るためのチャンバーおよび少なくとも1つの事前充填した溶解貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分;および
(iii)該マイクロ流体要素を介して該貯蔵リザーバー中の試薬を駆動するための該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している。
【0039】
試料からの細胞を溶解する関連発明方法において、少なくとも1つの入力を含む装置を用い、次いで、細胞を含む試料をチャンバーに提供し;該溶解試薬をチャンバーに導入して、混合物を提供し;混合物を介して気体を通気して、撹拌された混合物を提供し;ここに、撹拌された混合物は、溶解した細胞を含むことを特徴とする。
【0040】
依然としてもう一つの発明は、未処理試料からの細胞の懸濁液を生成するための自己完結型装置であり、該装置は、機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i) 収集デバイスから該未処理試料を受け取るチャンバーおよび実質的に等張の試薬を貯蔵する少なくとも1つの充填した試薬貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分;および
(iii)該マイクロ流体要素を介して、貯蔵リザーバー中の該試薬を駆動するための該機器上の駆動機構、ここに、該装置に対する入力のみは、該チャンバーおよび該駆動機構を介する、
を含む。
【0041】
また、もう一つの発明において、特許請求された本発明装置を含む機器は、熱サイクリング、キャピラリー電気泳動、マイクロ流体電気泳動、核酸断片サイジング、短鎖縦列反復配列(STR)、Y−STRおよびミニSTR、一塩基変異多型、PCR、高度多重化PCR、リアルタイムPCR、逆転写PCR、配列決定、ハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、VNTR、免疫測定法、質量分光法およびRFLP分析の少なくとも1つを行う。
【0042】
依然としてもう一つの発明において、本発明の装置は、熱サイクリング、キャピラリー電気泳動、マイクロ流体電気泳動、核酸断片サイジング、短鎖縦列反復配列(STR)、Y−STRおよびミニSTR、一塩基変異多型(PCR)は、高度多重化PCR、リアルタイムPCR、逆転写PCR、配列決定、ハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、VNTR、免疫測定法、質量分光法およびRFLP分析の少なくとも1つを行うもう一つの機器に配置または連動できる。
【0043】
また、輸送ならびに両極端の少なくとも1つの温度、湿度および空気中浮遊微粒子に耐えるように特許請求された装置および機器が高耐久化されることも、本開示の発明である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、血液試料からの生物脅威検出に適する装置を示す。
【図2】図2は、精製カートリッジを用いて、枯草菌(B. subtilis)のほぼ定量的な回収を示す電気泳動図である。
【図3】図3は、血液試料用精製カートリッジの側面図である。血液収集チューブは1と標識され、カバーは2と標識され;マクロ流体成分は3と標識され;マイクロ流体成分は4と標識され;空気圧インタフェースポートは5と標識されている。
【図4】図4は、血液試料用精製カートリッジのマクロ流体成分の側面図である。マクロ流体成分は3と標識され;第1の洗浄リザーバーは6と標識され;溶出液均質化チャンバーは7と標識され;廃棄物チャンバーは8と標識され;溶出液リザーバーは9と標識され;再懸濁溶液リザーバーは10と標識され;溶解チャンバーは11と標識され;エタノールリザーバーは12と標識され;溶解リザーバーは13と標識され;保持チャンバーは14と標識され;第2の洗浄リザーバーは15と標識され、また、血液収集チューブ空洞は16と標識されている。
【図5】図5は、血液試料用精製カートリッジの空気圧層の平面図である。空気圧チャネルは17と標識され;マクロ流体成分の試薬リザーバーおよびチャンバーまでの穴部は18と標識され、また、空気圧インタフェースポートは19と標識されている。
【図6】図6は、血液試料用精製カートリッジのマイクロ流体層の平面図である。流体チャネルは20と標識され;トラックエッチ(track etch)膜は21と標識され;Leukosorbフィルターは22と標識、また、精製フィルターは23と標識されている。
【図7】図7は法医学的カートリッジの側面図である。スワブキャップは24と標識され;カバーは25と標識され;マクロ流体成分は26と標識され;マイクロ流体成分は27と標識され、また、空気圧インタフェースポートは28と標識されている。
【図8】図8は、法医学的カートリッジのマクロ流体成分の側面図である。マクロ流体成分は26と標識され;洗浄リザーバーは29と標識され;溶出液均質化チャンバーは30と標識され;溶出液リザーバーは31と標識され;スワブチャンバーは32と標識され;エタノールリザーバーは33と標識され;溶解リザーバーは34と標識され、また、保持チャンバーは35と標識されている。
【図9】図9は、法医学的カートリッジの空気圧層の平面図である。空気圧チャネルは36と標識され;試薬リザーバーまでの穴部は37と標識され、また、空気圧インタフェースポートは38と標識されている。
【図10】図10は、法医学的カートリッジのマイクロ流体成分の平面図である。流体チャネルは39と標識され;微粒子のフィルターは40と標識され、また、精製フィルターは41と標識されている。
【図11】図11は、頬側スワブから精製されたDNAから得たSTRプロフィールである。
【図12】図12は、乾燥した血痕試料から精製されたDNAから得たSTRプロフィールである。
【図13】図13は、唾液から単離された唾液から精製されたDNAから得たSTRプロフィールである。
【図14】図14は、接触試料から精製されたDNAから得たSTRプロフィールである。
【図15】図15は、子宮頚部スワブカートリッジの側面図である。スワブキャップは42と標識され;カバーは43と標識され;マクロ流体成分は44と標識され;マイクロ流体成分は45と標識され、また、空気圧インタフェースポートは46と標識されている。
【図16】図16は、子宮頚部スワブカートリッジのマクロ流体部分についての側面図である。洗浄リザーバーは47と標識され;溶出液均質化チャンバーは48と標識され;溶出液リザーバーは49と標識され;スワブチャンバーは50と標識され;エタノールリザーバーは51と標識され;溶解リザーバーは52と標識され;保持チャンバーは53と標識されている。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、種々の生物学的試料タイプから核酸の迅速で効率的な精製を提供するために用いることができる一連の装置、機器装備および方法を提供する。本明細書の実施例に示されるように、核酸は、マクロ流体およびマイクロ流体特徴の双方を含むデバイス、および付随する機器装備に基づいて精製できる。一般的に、本発明の装置のマクロ流体成分は、1〜1000mLまたはそれを超える総計体積および1mL以上の個々の体積を持つ(試料、試薬リザーバー、反応、保持、均質化および廃棄物チャンバーを含めた)チャンバーを含む。1〜250mLの範囲の総計の体積が特に好ましい。また、マクロ流体成分は、所望により、20〜1000μLの体積を持つチャンバーを含み得る。マイクロ流体成分は、マイクロリットルおよびナノリットル体積を持つマイクロ流体要素を含む。マイクロ流体要素が0.1〜1000μLの範囲の個々の体積を有することが好ましく、個々の要素は、0.1〜100μLの体積を有することが特に好ましい。
【0046】
本発明の教示は、核酸生成物を別々に取り出し分析できるか、または核酸を統合機器中で分析モジュールに直接的に移すことができるように、核酸精製に適用できる。かかる統合に対する分析およびアプローチのタイプは、Tanら, Integrated Nucleic Acid Analysis、PCT/US08/04462(ここに出典明示して完全に本明細書の一部とみなす)に記載されたものを含む。
【0047】
本発明の装置および機器装備は、核酸が未処理生物学的試料から精製されることを可能にする。未処理の生物学的試料は、個体によって収集され、次いで中間処理工程がなく、装置の試料受入れチャンバーに挿入されるものである(試料収集デバイスは処理に先立ち、標識および/または貯蔵し得る)。操作者は単に試料を収集するか、そうでなければ試料を得て、装置に試料を挿入し、機器に装置を挿入し(装置が従前に機器に配置されるならば必要がない)、次いでスタートボタンを押す必要がある。試料の処理、操作または改変は、装置中の挿入に先立ち必要ではなく−−操作者はスワブを切断し、血液チューブを開き、組織または生物学的流体を収集する、もう一つのホルダーに試料を移すか、または試料を試薬または条件(例えば、熱、冷却、振動)に曝露させる必要がない。したがって、操作者は生物科学または実験技術における広範囲なトレーニングを受ける必要はない。
【0048】
本発明の装置は、装置への入力のみが試料の受入れチャンバーおよび駆動機構を介するという点で自己完結型である。すべての必要な試薬が事前充填した試薬貯蔵リザーバーの装置内に存在するので、操作者は装置に処理試薬を添加することは必要とされない。装置が装置に内蔵したすべての試薬を含むという事実は、操作の容易さの重要な因子である。同様に、機器が精製工程試薬を含有しないので、操作者は機器に試薬を加える必要はない。装置の自己完結型の性質は、操作手順、維持手順および操作者の要件を最小化する。総合すれば、自己完結型装置および未処理試料の使用は、核酸精製の処理を劇的に単純化する。本発明の自己完結型装置のもう一つの有利さは、この形式が、試料コンタミネーションならびに、試料、試薬および処理廃棄物への操作者曝露の双方の可能性を低減させるということである。
【0049】
さらに、本発明の装置および機器装備は、従来の実験環境の外部で操作可能であるように設計されている。それらは、適用に依存して、輸送ならびに、両極端な温度、湿度および空気中浮遊微粒子に耐えるように高耐久化できる。オフィス、屋外、戦場、空港、国境および港、ポイントオブケアにおける専門外の操作者による本発明の使用は、社会における遺伝子工学の非常に広範囲の適用を可能にするであろう。さらに、自己完結型装置中の未処理試料の使用は、本発明の方法の広範囲の適用を支持する。
【0050】
実際上、生物学的試料は、無数の収集デバイスを用いて収集され、そのすべては、本発明の装置で使用できる。収集デバイスは一般的には商業的に入手可能であるが、所与の適用のためにも具体的に設計および製造できる。臨床的試料については、鼻、鼻咽頭、頬側、口腔流体、糞便、扁桃、膣、子宮頚部および創傷のスワブを含めて、種々の商業的スワブタイプが利用可能である。試料収集デバイスの寸法および材料は変化し、デバイスは特殊化したハンドル、キャップ、スコアを含み、切断および収集マトリックスを促進および指令し得る。血液試料は、種々の体積の非常に広範囲の商業的に入手可能なチューブに収集し、そのいくらかは、(ヘパリン、クエン酸塩およびEDTAのごとき抗凝血剤を含めた)添加剤、試料入場を促進する吸引、針挿入を促進するストッパー、および試料に対する曝露から操作者を保護するための被覆を含む。また、組織および生物学的流体(例えば、唾液、化膿性物質、吸引液)が、チューブ(一般的に血管とは区別される)に収集される。これらの臨床的試料収集デバイスは、試験のための精巧な病院または商業的臨床検査室に一般的に送られる(迅速な連鎖球菌試験用の咽喉/扁桃腺スワブの評価のごときある種の試験をポイントオブケアで行なうことができるが)。環境的試料は、フィルターまたは、フィルターカートリッジ(例えば、エアーブリーザー、エアゾールまたは水の濾過デバイスから)、スワブ、粉末または流体として存在し得る。
【0051】
犯罪現場からの生物学的証拠の収集は、種々の表面から多数の細胞を収集し、収集した細胞を保存して分子的分解を最小化し、次いで、下流の処理のために収集した物質の放出を可能にするプロセスである。血液、精液、上皮細胞、尿、唾液、糞便、種々の組織、および骨は、犯罪現場と関連でき、注意深くかつ有効な収集を必要とする (Lee, H. C.ら, (1998) "Forensic applications of DNA typing: part 2: collection and preservation of DNA evidence." Am J Forensic Med Pathol 19(1): 10-8)。
【0052】
法医学的証拠についての通常の収集技術は、綿スワブを用いて行われる。単一のスワブは区域から採取されるか、または湿潤−乾燥の2重のスワブ技術を用いることができる。2重のスワブ技術は、最も普及し、水、緩衝食塩水または溶解緩衝剤を含めた多数の異なる流体を用いて、第1のスワブを湿らせることができる(Leemans, P. 2006. "Evaluation and methodology for the isolation and analysis of LCN-DNA before and after dactyloscopic enhancement of fingerprints." Int Congress Ser 1288: 583-5)。この技術は、乾燥試料が再水和されるのを可能にし、主要な物質を第1のスワブで収集し、乾燥した第2のスワブは、試料の残りを収集する。綿に加えて、スワブ収集マトリックスは、天然繊維(綿)および合成マトリックス(修飾セルロース、フォーム、ナイロン、ポリエステルおよびレーヨン)のごとき種々の物質を含むことができる。スワブは、Bode (Lorton VA)、Puritan (Guilford, ME) 、Fitzco (Spring Park, MN) 、Boca (Coral Springs, FL) 、Copan (Murrieta, CA)およびStarplex (Etobicoke, ON, Canada)から商業的に入手可能である。また、スワビングは、ガーゼ用物質、使い捨てブラシまたは商業的に入手可能な生物学的サンプリングキットを用いて行うことができる(Lauk, C. および Schaaf, J. 2007. “A new approach for the extraction of DNA from postage stamps” Forensic Science Communications 9(1))。
【0053】
もう一つの法医学的な収集技術は、衣類からの生物学的流体のごとき注目する区域の衣類を採取することを含み;しかしながら、これは、証拠の完全性を破壊する。また、粘着テープリフトを種々の表面上に用いて、ヒトDNAを含有し得る痕跡証拠を収集する。また、FTAカード (Whatman plc, Kent, UK)のごときカードを用いて、試料を収集する。
【0054】
ヒトに存在する個体からの生物学的証拠は、頬側スワブを用いてしばしば収集される。広範囲に用いられる商業的頬側スワブは、SecurSwab (The Bode Technology Group, Lorton, VA)である。頬側試料は、対象または操作者に指示して、口の内部の頬表面上にスワブを入れて、1回以上上下にスワブを移動させることにより収集される。
【0055】
本発明の未処理試料を収集した後、直ちに処理されないならば、それらは真菌または細菌増殖を防止するために時々乾燥させる。証拠試料は、一般的にプラスチック中に直ちには密閉されなく、その結果、微生物の増殖を生じさせ、DNAの分解を引き起こす。典型的には、スワブまたは切断は、紙またはボール紙で作製された通気性容器に配置される。また、冷却して収集した証拠を貯蔵すれば、乾燥環境は、試料劣化を最小化する(Lee, H. C.およびLadd, C. (2001) “Preservation and Collection of Biological Evidence” Croat Med J 42(3): 225-8)。法医学コミュニティーに本当に有用であるために、核酸精製装置、機器装備および方法は、商業的に入手可能な収集デバイスから高度に精製された核酸を得ることができるべきで、容認された法医学的な収集および分析プロトコールと適合すべきである。
【0056】
試料のタイプに拘らず、装置の試料受入れチャンバーおよびカバー(存在するならば)は、試料収集デバイスを受け入れ、ぴったりと適合するように設計される。布または粘着テープ(例えば、ハンドルやキャップを有しない試料収集デバイス)のごとき試料の場合には、チャンバーへのそれらの配置に続いて、ぴったり適合するキャップをカバーに配置して、チャンバーを閉じる。適用に依存して、試料収集デバイスは装置に(可逆的または不可逆的に)ロックできる。さらに、デバイスおよび装置はシール(気密および防水)を形成できる;この場合、ベントまたはベント膜は、チャンバーへの流体の流れを可能にするように配置し得る。特記しない限りは、装置上の他の場所から流体を受け入れる装置のチャンバーは、空気がチャンバー充填中に逃げることを可能にするベントまたはベント膜を含まなければならない。
【0057】
本発明の装置は、相互に連通するマクロ流体成分およびマイクロ流体成分を含む。マクロ流体成分は、試料収集デバイスから生物学的試料を受け入れるための試料チャンバー、および精製試薬用貯蔵リザーバー、保持チャンバー、均質化チャンバー、計測チャンバー、反応チャンバー、混合チャンバーおよび廃棄物チャンバーを含み得る他のチャンバーを含む。マイクロ流体成分は、核酸精製媒体を含むチャンバーおよび少なくとも1つのマイクロ流体特徴および1つの空気圧的駆動ラインを含む。マクロ流体チャンバーは、マイクロ流体特徴と連通し、マクロ流体チャンバーはマイクロ流体成分を介して相互に連通する。流体は、1つのマクロ流体チャンバーからマイクロ流体成分を介して通過し、もう一つのマクロ流体チャンバーに戻る。チャンバーの体積は、精製された核酸の使用によって決定される。例えば、溶出リザーバー体積を選定して、精製された核酸の最終濃度が引き続いての反応に最適であることを可能にする。
【0058】
本発明の装置中の精製工程に続いて、提供された核酸溶液は、さらなる分析工程に移すこともできる。核酸溶液は、同一機器内の他の分析的モジュールに自動的に移すこともできるか、または、装置自体を互換性のある機器に移すこともできる。別法として、精製された核酸試料を収集するチャンバーは、除去可能な核酸貯蔵チューブを含み得る。本発明により処理される試料は、限定されるものではないが、制限核酸断片サイジング、短鎖縦列反復配列(STR)、Y−STRおよびミニSTR、一塩基変異多型、PCR、高度多重化PCR、リアルタイムPCR、逆転写PCR、配列決定、ハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、VNTRおよびRFLP分析を含めた広範囲の種々の分析方法に対する前駆体であり得る。また、同様に、本発明の装置、方法および機器は、一般的には免疫測定法ならびにタンパク質およびに質量分光法、ならびにに当業者によく知られた他の分析方法に適用できる。
【0059】
また、本発明の装置は、機器の駆動機構と個々の各チャンバーとの間のチャネルを送るための所望のカバーを有し得る。また、加えて、カバーは、環境へのチャンバー内に気体を放出し、挿入に続いて試料収集デバイスをロックする所望の機能を提供する。カバーは、好ましくはプラスチックから調製された少なくとも1つの層を含む。空気圧的チャネル数またはルーティングの複雑さ、他の特徴を増加させるように、さらなる層を加えることができる。層特徴は、マクロ流体またはマイクロ流体であることができ、特徴は、プラスチックシートのCNC機械加工、熱エンボスパターン、ダイス切断、もしくはレーザー切断、または熱可塑性樹脂の射出成形により調製できる。加えて、ベント膜の層中への組込みは溶着および結合により達成できる。2以上の層が必要な場合、個々の層を一緒に結合して、単一の部分を形成する。カバーの調製のための結合方法は、熱結合、溶剤結合、超音波結合、接着剤およびレーザー結合を含む。
【0060】
装置のマイクロ流体成分は、チャネル(独立、接続またはネットワークし得る)、リザーバー、バルブ、反応チャンバー、液体および凍結乾燥された試薬貯蔵チャンバー、混合チャンバー、混合要素、ベント要素、アクセスホール、ポンプ、計測要素、加熱要素、磁気要素、反応チャンバー、濾過要素、精製要素、駆動ライン、作動ライン、光学的励起および検出領域、光学ウィンドウを含めた種々の細かな特徴またはマイクロ流体要素を含み得る。装置のマイクロ流体成分は、チャネル内の流体のフローを停止または可能にするためのフロー制御バルブを用い得る。バルブはパッシブまたは、最も好ましくはアクティブであることができ、マイクロ流体デバイスについてのバルブアプローチは、当該技術分野においてよく知られている(Zhang, C.ら (2007) "Micropumps, microvalves, and micromixers within PCR microfluidic chips: Advances and trends." Biotechnol Adv 25(5): 483-514に概説されている)。アクティブバルブ構造は、機械的(熱空気圧的および形状記憶合金)、非機械的(ヒドロゲル、ゾルーゲル、パラフィンおよび氷)および外部的(モジュラービルトイン、空気圧的および非空気圧的マイクロバルブを含む。また、空気圧的および機械的なマイクロバルブ構造は、エラストマーまたは非エラストマーの膜のいずれも適用できる。パッシブバルブは、インライン重合ゲル、パッシブプラグおよび疎水性バルブを含む。
【0061】
本発明の方法に必要とされる流体は、核酸精製試薬および気体(例えば、空気、窒素または酸素)である。精製試薬および媒体は、シリカマトリックス/カオトロピック剤(Boom, R. ら, (1990), 前記)、シリカマトリックス/非カオトロピック剤、イオン交換および当該技術分野においてよく知られた多数の他のものを含めた文献のよく特徴付けられた方法のいずれかに基づくことができる。多数のかかる方法は、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubelら編, John Wiley and Sons, 2010)に要約されている。同様に、多数のタイプの精製媒体を装置に用いることができる。シリカ核酸結合膜は、例えば、サイズ、細孔径、流量、保持体積、試薬適合性および結合能力において異なり;適切な膜は所与の適用に基づいて選定される。また、細胞分離媒体は、分離される細胞物質の物理的および化学的特性に基づいて選択される。最後に、いくらかの場合、粒子除去フィルターを用いて、好ましくは、下流の分離または精製処理を抑制、減速またはそうでなければ干渉し得る粒子を除去し得る。多数の法医学的な具体例において、粒子除去フィルターが好ましい。
【0062】
装置の全体にわたる流体輸送を可能にする駆動機構は、空気圧的、機械的、磁気的、流体的、または流体輸送の正確な制御を可能にするいずれかの他の手段であることができる。空気圧駆動は、1以上の駆動ラインを介して装置に対して、空気(または他の気体)の制御されたフローまたは制御された圧力または制御された体積的置換を可能にする。空気圧駆動ラインを利用して、液体を移動させ、泡を創製し、ホイルを破裂させ、機械的な特徴を始動させ、および所与の核酸精製法に必要ないずれの他の動作も行うことができる。機器の駆動は、装置の駆動ラインと干渉しなければならない。空気圧駆動について、インターフェースは、装置の1以上のマクロ流体またはマイクロ流体領域に位置し得る。駆動は機器内に含まれ、機器は、さらに電源、装置を受け入れる筺体、環境暴露からの高耐久化および保護を可能にする特徴、オンボード・コンピュータ、プロセス制御器、モニター、および行われる核酸分析に基づいた他の特徴を含み得る。空気圧駆動系は、下記成分:ポンプ、電気機械バルブ、圧力調節器、圧力タンク、チュービング、空気圧多様体、ならびにフローおよび圧力センサーを含み得る。空気圧駆動系は、装置の各空気圧ラインに対する規定されたフロー、圧力または体積の生成および送達を可能にする。プロセス制御器は、装置への未処理試料の挿入に続いて、プログラムされたスクリプトを実行できる。1を超えるクラスの駆動機構が、装置で利用できる。しかしながら、単一の駆動機構、好ましくは空気圧の使用は、機器および装置の双方の複雑さを低下させる。
【0063】
試料チャンバーで一度に、生物学的試料は多数の方法によって溶解し得る。無秩序な通気は、マクロ流体成分のチャンバーへ流体、好ましくは空気のフローによって引き起こされる。フローは混乱でき、これは細胞溶解に寄与する剪断力を与えることもでき、試薬の混合または均質化に適当であり得る。溶解を増強する他のアプローチは、振動、超音波作動および加熱による機械的作動を含む。
【0064】
本発明の1つの具体例において、精製される核酸はDNAである。他の具体例はRNAおよび合計の核酸の精製に基づく。DNA、RNAおよび合計の核酸を精製するのに必要な試薬は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、Gjerde, D.T.ら, RNA Purification & Analysis: Sample Preparation, Extraction, Chromatography (2009 Wiley-VCH Pub.); Ausubel, F.M. ら, (Eds)参照。本発明のもう一つの具体例において、装置は、細胞分離を可能にするマクロ流体およびマイクロ流体要素を含む。これらの要素は、赤血球から分離される白血球(WBC)、宿主細胞から分離される細菌またはウイルス、膣上皮細胞から分離される精細胞およびそれらの哺乳動物宿主から分離される細胞内のウイルスおよび細菌を含めた種々の細胞分離を可能にし得る。
【0065】
本発明の装置は、いくつかの方法で作製できる。組立てのために割当られた時間およびコストならびに作製される装置数に基づいて、種々の方法が利用可能である。装置は、ガラス、またはより好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状オレフィンポリマーおよび環状オレフィン共重合体のごとき熱可塑性ポリマーから作製し得る。装置は、マクロ流体およびマイクロ流体の1以上の部分で作製し得る。装置がプラスチック部分で作製されるならば、成分は、クランピング、熱結合、超音波結合、溶剤結合、レーザー結合または接着結合を用いて一緒に結合し得る(結合方法は、TsaoおよびDeVoe, Microfluid Nanofluid (2009) 6:1-16に概説されている)。作製の迅速でかつ直接的な方法は、計算機数値制御機械工作(computer-numerical-controlled machining)による。他の方法は、吹込み成形、押出しおよびエンボスを含む。
【0066】
作製の好ましい方法は射出成形による。本発明の装置のマクロ流体部分は、一緒に射出成形して単一部分を形成し得る1組の管状構造のチャンバーから構成される。各チャンバーの頂部表面は、カバーに好ましくは空気圧的に連結されて、個々の各チャンバーへの空気圧駆動を供給する。各チャンバーの底面は、好ましくは、マイクロ流体成分に空気的または流体的に連結される。単一部分として射出成形されたチューブ様構造は、96、384および1536ウェルを持つマイクロタイタープレートを含む。直径8.4mmおよび深さ16mmの12×8配置の96ウェルを持つ微量遠心プレートは、Turner(米国特許第6,340,589号)により記載されている。これらのプレートは高充填密度で高密度の管状構造を有しているが、これらのチューブの深さは、16mm以下である。8または12のチューブを含むPCRチューブ−チューブストリップを射出成形によりインラインで作製して、各チューブは、0.2mLを保持する能力を持つ直径8.65mm、および深さ30mmであった。これらは、Gerken (米国特許第4,713,219号)により記載されたプラスチック反応槽のすべての連結バージョンである。これらのストリップチューブは、低充填密度を有し、インラインで配向されている。最後に、2つの長い連結チューブの射出成形は、Spehar(米国特許第4,753,536号)に記載されている。
【0067】
マクロ流体部分の管状構造は、薄壁を有する。射出成形される場合、マクロ流体部分は、実質的にドリルアウトしたチューブを含む固体ブロックとは対照的に、一緒に保持された一連の薄壁で囲まれたチューブである。チューブは、0.1〜5.0mm、好ましくは、0.3〜3.0mm、より好ましくは0.5〜1.5mm、さらに好ましくは0.7〜1.3mm、最も好ましくは0.9〜1.2mmの壁厚を有する。
【0068】
マクロ流体部分の射出成形された管状構造は、16mm、18mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm、60mm、70mm、80mm、90mmまたは100mmを超えるチューブ長を有する。管状構造は、2次元配置で配向されている。管状構造の頂部は、所望のカバーに強い空気圧連結を達成するように平らでなければならず、また、管状構造の底部は、マイクロ流体部分への強い空気圧的および流体連結を達成するように平らでなければならない。管状構造の間隔は正確にマイクロ流体部分のフットプリントと一致するように維持されなければならない。管状構造は頂部から底部に先細になり、マイクロ流体成分との正確な干渉を促進し得る。同様に、管状構造の形態は、特定の目的、例えば、無秩序な通気および混合を促進する狭い底部部分、または試料収集デバイスの位置を維持する狭い中央または上部の部分に適合し得る。
【0069】
マクロ流体成分の管状構造は高密度に詰められ、成分の頂部にて約200mm表面積当たりに1チューブ、より好ましくは、150mm当たりに1チューブが存在する。他の適用では、1つのチューブが、好ましくは成分の頂部にて約100mm表面積当たりに存在し、また、最も好ましくは、1つのチューブが、成分の頂部にて約50mm表面積当たりに存在する。同様に、マクロ流体成分の頂部での合計面積と比較した管状構造によって占有された表面積は、30%を超え、より好ましくは40%を超える。他の適用では、50%を超える、他の適用では、依然として、より好ましくは60%を超え、最も好ましくは90%を超える。
【0070】
装置の合計体積は、部分的に、チャンバーの数および体積ならびに同時に処理される試料数に基づいている。体積は少なくとも2mLであり、45mL、65mL、100mL、500mL、1000mL、1500mLまたはそれを超えることもでき、好ましくは、45〜1500mLの範囲、さらにより好ましくは、65〜1500mLの範囲である。
【0071】
本発明の装置は1以上の試料を受け入れて処理できる。いくつかの具体例については、装置は2、4、8、16、24、36、48、96、192または384個の試料を受け入れるように配置し得る。ユニット数が増加すると、生産へのアプローチは変化し得る。例えば、射出成形によって作製された単一試料単位は、5サンプル装置の基礎として使用し得る。5つの試料装置の組を結合でき、10試料、15試料の装置を生成できる。別法として、15の試料装置は、単一の大きなユニットとして製造できる。本発明の装置、機器および方法は、核酸の迅速な精製を可能にする。未処理試料の挿入に続いてそのプロセスを開始した時間から、試料から精製された核酸が生成される時間までは、好ましくは30分間未満、より好ましくは20分間未満、さらにより好ましくは10分未満、最も好ましくは、5分未満である。
【実施例】
【0072】
実施例I.血中に存在する細胞外細菌
ブドウ球菌、連鎖球菌および腸炎エルシニア(Yersinia enterocolitica)のごとき病原体は血液中に存在し得る。いくらかの場合、ヒト(または他の動物宿主)血液の細胞要素から細胞外病原体を単離することが有利である。例えば、マイクロ流体デバイスの有利さの最良の使用を行うために、DNA抽出/精製モジュールの最終生産物である、精製されたDNAについての理想的な体積は、25μL以下である。この体積は、マイクロ流体チップ上で迅速に移動させ操作できる。しかしながら、この体積の制限によって、類似する制限もその体積内に存在できる最大量のDNAに置かれる。3mLの全血において、合計1500万個の白血球および150個の細菌(mL当たり50)を仮定する。この試料中の合計DNAは、約90μgであり、実質的にこのすべてが白血球DNAによる。このDNAが25μLの溶液中で100%の効率で精製および回収されるならば、DNA濃度は3.6mg/mLとなり、PCRにほとんど確かに抑制的であり (F.B. Cogswell, C.E. Bantar, T.G. Hughes, Y. Gu, およびM.T. Philipp (1996) “Host DNA can interfere with detection of Borrelia burgdorferi in skin biopsy specimens by PCR” J Clin Microbiology 34:980-982)、マイクロ流体操作にはあまりにも粘着性である。対照的に、25μL中に存在する少量の細菌DNA−約5Mbp/ゲノムの250個のゲノムだけ−は、約1pgになるであろう。合計の10分の1だけのDNAをマイクロ流体反応に用いるならば、検出限界は定義により、10倍減少するであろう。血液量が増加すると、ユニット血液量当たりの白血球数が増加し、マイクロ流体溶液体積が減少し、試料当たりの生物体数が減少し、この問題はさらに厳しくなる。この分析からの結論は、ある適用(特に、それらの細菌負荷が感染において早期には低い)において、最終的なマイクロ流体体積が達成される前に、大部分の白血球DNAが除去されるべきであることである。これは、病原体DNAの大部分またはすべてが精製に続いて分析されるのを可能にする。同様に、エアーブリーザーのフィルターに蓄積するもののごとき背景の環境的DNAは、病原体同定の感度および特異性に干渉されかねない。
【0073】
3mLの新鮮なヒト全血中の白血球の除去は、8μm(Leukosorb B media, Pall Corporation, Port Washington, NY)の通常の細孔径を持つ結合媒体の13の層を積み重ねることにより達成され、0.25psiの最初の減圧を用いて濾過し、次いで、濾液の最終収集のために25psiに増加させた。結合媒体の有用な細孔径は、細胞、ビリオン、細菌、真菌および単離される微粒子のタイプに依存して、1ミクロン未満から100ミクロンを超えるまで変動できる。回収された体積は、約1.5mLでり、濾過は1分間で完了した。濾液のWBCカウントは、99%を超える白血球がフィルターによって保持されることを示した。
【0074】
3mLの新鮮なヒト全血試料に、各100μLが試料当たりの変化する濃度の枯草菌(B. subtilis)を含む100μLの枯草菌(ATCC(登録商標)7003(商標))を加える。この実験において、枯草菌は病原性生物および生物脅威病原体(例えば、B. anthracis)用モデルとして用いた。これらの血液細菌試料を図1の装置を使用して、積み重ねた媒体を通過させた。試料適用に引き続いて、3mLのTSB(Tryptic Soy Broth 媒体)で洗浄し、結合マトリックスを最初に通過しなかった細菌の検索を可能とした。収集した流通型の約4.5mLを0.2μmポリカーボネートトラックエッチ膜の単一層に通過させて(SPI-Pore(商標) Track-Etch Membrane, Structure Probe, Inc., West Chester, PA)、膜に対する捕捉を介して細菌を濃縮した。この濃縮法は試薬体積、精製カートリッジ貯蔵リザーバーチャンバーのサイズ、および処理時間を低下させた。捕捉した生物体を100μLのPBS(燐酸塩緩衝食塩水)で再懸濁することにより膜の表面から収集した。
【0075】
この具体例において、細菌細胞の溶解はDNAおよびRNA用のカオトロピック塩抽出方法に基づいた。特に、好ましい溶解緩衝液は、4Mグアニジウム塩酸塩、80mMトリスHCl(pH7.5)、20mM EDTAおよび5%トリトンX−100(他の有用な溶解緩衝剤は、Ausubelら,前記、に記載されている)を含んだ。100μLの再懸濁された生物体に、1mg/mLの最終濃度のプロテイナーゼKを含む450μLの溶解緩衝剤を移し、空気圧スクリプトに規定された無秩序な通気方法を介して精製カートリッジ中で十分に混合した。これに、550μLの無水(200プルーフ)エタノールを添加し、再度通気により混合した。溶解物を精製装置のマイクロ流体部分中のDNA結合のためのシリカベースの膜をマイクロ流体的に通過させた。全溶解物を濾過下した後、膜を1単位体積の200mM NaCl溶液、0.5単位体積の200プルーフのエタノールおよび0.5単位体積の>99%イソプロパノールを混合することにより調製した2mlの1×洗浄溶液で洗浄する。次いで、洗浄工程後、膜を空気圧系からの空気への曝露によって1分間乾燥させた。DNAを最終的に20μLのTE緩衝液。pH8.0に溶出した。溶解物濾過、膜洗浄および乾燥ならびに溶出のための圧力は、約5psiであった。マイクロ流体バイオチップ中のglnA(グルタミンシンセターゼ)プライマーを用いる速いPCR増幅(Giese, H.ら, (2009), “Fast multiplexed polymerase chain reaction for conventional and microfluidichort tandem repeat analysis” J Forensic Sci 54(6): 1287-97)、ならびに血液試料中の入力コピーに比例した単一強度を持つ枯草菌glnA遺伝子の予期された343塩基対の断片特性における分離および検出のマイクロ流体的結果。PCRは、ここに出典明示して本明細書の一部とみなす“Methods for Rapid Multiplexed Amplification of Target Nucleotides,”(PCT/US08/04487)に記載されたバイオチップおよび高速熱サイクラーを用いて行った。分離および検出は、“Plastic microfluidiceparation and Detection Platforms, PCT/US08/04405および “Integrated Nucleic Acid Analysis,” PCT/US08/04462(これらの双方をここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載されたGenebenchで行った。図2は、枯草菌の約2のゲノム等価物を示す電気泳動図を示し;これは、33cfu/mL血液試料から回収され、40%の電気泳動法用PCR生成物を用いて合計物質の約6%だけの増幅を表わす。細菌の回収はほぼ定量的である。
【0076】
定量のための別法の方法は、Petroff-Hausserチャンバーを用いることであった。収集した流通型をTSB寒天平板上に蒔き、細菌の回収に対する積み重ねられた媒体を介して濾過の影響を決定する。回収した細菌を未処理対照試料中に回収したコロニーに基づいた平板培養効率を用いて標準化し得る。血液中の細菌の臨床的な適切な濃度では、約100%の細菌を回収した。
【0077】
【表1】

【0078】
図3は、血液試料用の統合精製カートリッジを示す。図4、5および6は、統合精製カートリッジの各々、マクロ流体成分、マイクロ流体成分の空気圧層、マイクロ流体成分のマイクロ流体層を示す。装置のマクロ流体部分[3]は、[6]から[16]の11のチャンバーを含み、それらは事前負荷された試薬液を保持するか、またはDNA精製処理中の保持/反応チャンバーとして機能する。1つのチャンバーを用いて、血液収集チューブを受け入れ;6つのチャンバーを3mLの洗浄緩衝剤、100μLの再懸濁溶液、450μLの溶解溶液、550μLの無水エタノール、2mLの洗浄緩衝液および20μLのTE(pH8)溶出緩衝液で事前充填する。
【0079】
装置は、標準的な3ccのバキュテーナー・チューブを受け入れる(分離実験では、血液は適切な抗凝血剤を含むチューブに収集すべきである。血液収集チューブ[1]をゴム止めエンドダウンを持つカートリッジに挿入する。ユーザがスタートボタンを押す場合に精製工程が開始される。機器と一緒の装置は、自動スクリプトを実行し、精製されたDNAを生成する。機器内では、血液収集チューブを、血液収集チューブ空洞[16]の基部に位置した2つの中空ピンに押しつけられる。中空ピンは、ゴム栓を貫通して、装置に血液収集チューブを流体的におよび空気圧的に連結する。血液収集チューブ[16]は、5psiまで空気圧的に加圧して、血液を血液収集チューブ[16]から、白血球吸収(leukosorb)フィルター[22]およびトラックエッチ膜[21]を介して、廃棄物チャンバー[8]に駆動する。白血球吸収フィルターを通過する濾液は、分析用の生物学的物質(例えば、細菌病原体、ウイルス病原体、または真菌病原体)、白血球が低減された濾液を含む。次いで、この濾液をトラックエッチ膜を介して駆動し、注目する病原体を膜によって保持する(病原体捕捉膜の細孔径は分析される病原体の寸法に基づいて選択される)。洗浄リザーバー2[15]からの洗浄溶液は、白血球吸収フィルター[22]およびトラックエッチ膜[21]を介して廃棄物チャンバー[8]に空気圧的に駆動する。再懸濁溶液リザーバー[4〜10]からの再懸濁溶液をトラックエッチ膜[6〜21]の表面に適用する。この溶液は、トラックエッチ膜上で保持された病原体を再懸濁し、濃縮病原体懸濁液(残余の白血球も含み得る)を生成するであろう。この懸濁を溶解/廃棄物チャンバー[11]に空気圧的に駆動する。溶解試薬を空気圧的に溶解チャンバー[11]に駆動する。空気を溶解/廃棄物チャンバー[11]に空気圧的に駆動して、溶解/廃棄物チャンバー[11]内で溶解物の無秩序な通気を達成する。この通気は溶解物のフローを創製して、細胞溶解を媒介する。エタノールリザーバー[12]からのエタノールを溶解/廃棄物チャンバー[11]に駆動する。すべてのエタノールが分配された後にエタノールリザーバー[12]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、溶解物およびエタノール溶液を介して空気を送って、無秩序な通気によって混合を達成する。溶解物およびエタノールの混合物のすべては、保持チャンバー[11]に空気圧的に駆動する。保持チャンバー[11]からの溶解物およびエタノールの混合物は、精製膜[23]を介して、溶解/廃棄物チャンバー[11]に空気圧的に駆動される。洗浄リザーバー1[6]からの洗浄溶液は、精製膜[23]を介して、溶解/廃棄物チャンバー[11]へ空気圧的に駆動される。この洗浄は、未結合物質および残余の溶解溶液を除去する。すべての洗浄溶液が分配された後に、洗浄チャンバー[6]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、精製フィルターを介して空気を送り、フィルターを乾燥するであろう。溶出溶液を溶出液リザーバー[9]から精製膜[6〜23]を介して溶出液均質化チャンバー[7]まで空気圧的に駆動する。すべての溶出溶液を分配した後に、溶出液リザーバー[9]を介する空気圧駆動の継続的適用は、溶出液均質化チャンバー[7]を介して空気を送って、無秩序な通気により混合を達成する。溶出液均質化チャンバー[7]中の均質化された精製されたDNA溶液を引き続いての分析のために使用できる。
【0080】
実施例II.血液中に存在する細胞内細菌。
Francisella tularenisおよびChlamydia trachomastisのごときある種の細菌は、哺乳動物細胞内の生活環のかなりの部分を費やす。いくらかは、必須の細胞内の生物体であり、他のものは所望により細胞内のものである。公知のヒト病原体の包括的な要約は、Gorbach, S.L. (ら編) Infectious Disease (3rd Ed), (2004 Lippincott Williams & Wilkins Pub)によって提供されている。血液中のかかる細胞内の細菌についてのDNA精製処理は、主要な例外を除いて細胞外の細菌のそれに類似している。細胞分離フィルター上およびそのフィルターを介する全血適用に続いて、フィルターによって捕捉された白血球は、注目するDNAを含む。フィルターを洗浄し、100μLに再懸濁し、実施例Iで記載したグアニジウムベースの精製に付し、対応する低下は試薬体積である。
【0081】
所望ならば、装置は、最初に(例えば、浸透させて)白血球を溶解し、細菌と比較して、哺乳動物細胞の溶解の比較的な容易さを利用するように設計できる。この設定において、無傷の細胞内の細菌を放出し、捕獲フィルターを介して細胞抽出液に基づき、洗浄する。次いで、細菌DNAを実施例Iに記載したように精製する。同様に、全血を細胞分離の不存在下で溶解でき、細胞外または細胞内の細菌性またはウイルスDNAが精製されることを可能にする。
【0082】
実施例III.有効な法医学的収集スワブによって収集した生物学的試料からのDNAの精製
法医学的試料は、2つのタイプに広く分けることができ、ケースワーク試料は、犯罪現場または調査に関して収集されるものであり、参照試料は個体から直接的に収集される。いくつかの収集方法が分析される特定のタイプの試料に基づいて利用可能であり、犯行現場からの生物学的な証拠を獲得および保護するように設計される。スワブビングはよく確立された法医学的な試料収集方法であり、商業的に入手可能なスワブは、綿、修飾セルロース、フォーム、ナイロン、ポリエステルおよびレーヨンのごとき種々の物質よりなる収集マトリックスを有する。
【0083】
図7は、法医学的なスワブ試料用の精製カートリッジを示す。図8〜10は、精製カートリッジのマクロ流体成分、マイクロ流体成分の空気圧層、およびマイクロ流体成分のマイクロ流体層を示す。精製カートリッジのマイクロ流体部分[27]は、マクロ流体部分[26]、粒子フィルター[40]および精製フィルター[41]へおよびそれらからの溶液のフローを制御するためのバルブを含む。
【0084】
法医学的なスワブ試料からDNAを精製するために、BodeSecurスワブを精製カートリッジの試料収集チャンバーにマニュアルで挿入し、試料処理用の場所へロックした。スワブを受け入れるチャンバーをスワブキャップがぴったりと合うことを可能にするように設計した。カートリッジは、操作者がチャンバーにスワブを挿入し、さらなるユーザ操作なくしてDNA精製を開始するのを可能にするように設計した。
【0085】
精製カートリッジのマクロ流体部分は、事前負荷した試薬液を保持するか、DNA精製処理中に保持/反応チャンバーとして機能する7つのチャンバーから構成された。1つのチャンバーを用いて、DNA試料を含む綿スワブを保持し;4つのチャンバーを、550μLの溶解溶液、550μLの無水アルコール、2mLの洗浄緩衝剤および100μLのTE(pH8)溶出緩衝剤で事前充填した。精製カートリッジのマイクロ流体部分は、マクロ流体部分、粒子フィルターおよび精製フィルターおよびそれらからの溶液のフローを制御するバルブを含んだ。
【0086】
試料収集スワブ(Bode SecurSwab)[24]は、キャップ、綿スワブヘッド、および2つを接続するシャフトで構成され;この試料収集デバイスの合計の長さは、約9.1cmである。スワブヘッドは、直径5mmから5.1mmの通常の寸法を有し、約12mmの長さである。SecurSwabが装置に挿入される場合、スワブヘッドは試料チャンバーの管状区域に入場し、試料チャンバーの底部から0mmから1.5mm間に位置する。管状区域は直径5.85mmおよび長さ24mmである。直径1mmである空気吸気ポートは管状区域の底部に位置する。吸気ポートの直径(0.1mm〜2.5mm、好ましくは0.7mm〜1.3mm)、および試料チャンバーの管状区域の寸法を改変して、流体の流れおよび無秩序な通気を最適化できる。
【0087】
精製処理は、空気圧駆動を制御する自動スクリプトを開始するボタンを単に押すことにより開始する。空気圧駆動は、ユーザ介在なくして、自動的にすべての生産工程を行うことができる必要時間に必要な圧力および真空を適用する。溶解溶液を溶解試薬リザーバー[34]からスワブチャンバー[32]に空気圧的に駆動し、スワブに接触させる。すべての溶解試薬が分配された後の溶解リザーバー[34]を介する空気圧駆動の継続的適用は、スワブチャンバー効力の「無秩序な通気」を介して空気を送った。これは60秒間の5.7psiの圧力の適用によって実行した。この通気は、スワブヘッドの周囲の乱流を創製し、細胞溶解を媒介し、スワブヘッドから細胞物質を除去する。エタノールリザーバー[33]からのエタノールをスワブチャンバー[32]に駆動した。すべてのエタノールを分配した後のエタノールリザーバー[32]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、溶解物およびエタノール溶液を介して空気を送り、30秒間の無秩序な通気による混合を達成する。すべての溶解物およびエタノール混合物を粒子フィルター[40]を介して空気圧的に保持チャンバー[35]に駆動した。保持チャンバー[35]から、溶解物およびエタノールの混合物を精製膜[41]を介して、スワブチャンバー[32]に空気圧的に駆動した。スワブチャンバーは今や、使用済みの処理試薬用の廃棄物チャンバーとして機能した。洗浄リザーバー[29]からの洗浄溶液を精製膜[41]を介して、スワブチャンバー[32]に空気圧的に駆動した。洗浄緩衝剤での精製膜の洗浄を行い、未結合物質(タンパク質を含む)および残余の溶解溶液を除去した。洗浄リザーバー[29]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、すべての洗浄溶液を分配した後に、精製フィルター[41]を介して空気を送り、105秒間フィルターを乾燥させた。溶出溶液を溶出液リザーバー[31]から精製膜[41]を介して溶出液均質化チャンバー[30]に空気圧的に駆動した。溶出液リザーバー[31]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、すべての溶出溶液を分配した後に、溶出液均質化チャンバー[30]を介して空気を送って、無秩序な通気により混合を達成した。溶出液均質化チャンバー[30]中の均質化され精製されたDNA溶液を、引き続いての分析のために使用できた。
【0088】
精製カートリッジによって生成したDNAを評価するために、約17分間で7μLの体積にてAmpFlSTR(登録商標)Identifiler(登録商標)プライマー (Life Technologies)を用いてGeiseら 2009 (前記)に記載されたごとく迅速な多重PCR反応を行った。増幅生成物を分離し、NetBio’s Genebenchを用いて検出した。2.7μLの各増幅された生成物に、10.2μLのHi-Diフォルムアミドおよび0.1μLのGenescan 500 LIZ内部レーン標準(双方ともLife Technologies)を添加した。3分間の95℃の変性および氷上で急冷後に、試料を分離バイオチップのウェルに負荷し、350V/cmの電場を90秒間印加することにより、分離チャネルに電気泳動的に移動した。これに続いて、分離チャネルに沿って150V/cmを印加して、DNA断片を分離した。すべての分離は50℃にて行った。生データは、GeneMarker(登録商標) HID STR Human Identification Software, Version 1.51 (SoftGenetics LLC, State College, PA)で分析した。
【0089】
種々のスワブ試料(頬側スワブ、スワブ中の乾燥および湿潤の全血、唾液および細胞接触)からの十分な対立遺伝子のプロフィールを生成した。頬側細胞試料を、ヒト対象の内部の頬に軽くスワブをこすりつけることにより得る(図11)。乾燥した血液試料は、乾燥した血痕を拭き取ることにより調製する(図12)。唾液試料はセラミックタイル上に存在する唾液を拭き取ることにより収集する(図13)。接触試料(図14)は1名のドナーによって扱われたセラミックタイルを拭き取ることにより調製する。スワブヘッドは無菌蒸留水で事前に湿らせた。
【0090】
実施例IV.膣スワブからの細菌DNA
膣スワブをクランピングポートを介して精製カートリッジ試料チャンバーに挿入して、適所にスワブを保持する。精製は、実施例IIIにおける法医学的なスワブにつき記載されたものと実質的に同一であり;主な差異は、試料チャンバーを改変して、膣スワブを受け入れおよび保証するということである。スワブチャンバーの幾何学を改変して、スワブ取扱いまたはスワブの収集領域の寸法に拘らず、いずれのスワブタイプも本質的に提供できる。処理のための精製カートリッジに直接スワブを挿入できるように、試料チャンバーが設計されている。スワブのキャップを改変して、試料間のコンタミネーションの可能性を最小化するように不可逆的にロックでき、また、スワブアセンブリーを改変して、(例えば、バーコードまたはRFIDチップにより)試料同定を可能にし得る。
【0091】
図15は、膣または子宮頚部スワブ試料用の精製カートリッジを示し、図16は、そのカートリッジのマクロ流体部分を示す。マイクロ流体層は図9および10のものと本質的に同じである。
【0092】
精製カートリッジのマクロ流体部分は、事前負荷した試薬液を保持するか、またはDNA精製処理中の保持/反応チャンバーとして機能する7つのチャンバーより構成される。1つのチャンバーを用いて、DNA試料を含む綿スワブを保持し;4つのチャンバーは、550μLの溶解溶液、550μLの無水アルコール、2mLの洗浄緩衝剤および100μLのTE(pH8)溶出緩衝剤で事前充填される。
【0093】
精製処理は、空気圧駆動を制御する自動スクリプトを開始するボタンを単に押すことにより開始する。空気圧駆動は、ユーザ介在なくして、すべての処理工程を自動的に行うことを可能にする必要時間に必要な圧力および真空を適用する。溶解溶液を溶解試薬リザーバー[52]からスワブチャンバー[50]に空気圧的に駆動し、スワブと接触させる。その溶解リザーバー[52]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、すべての溶解試薬が分配された後に、5psiにて60秒間スワブチャンバー効力の「無秩序な通気」を介して空気を送であろう。この通気はスワブヘッドの周囲に乱流を創製し、細胞溶解を媒介し、スワブヘッドから細胞形質成分を除去する。エタノールリザーバー[51]からのエタノールをスワブチャンバー[50]に駆動する。エタノールリザーバー[51]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、エタノールがすべて分配された後に、溶解物およびエタノール溶液を介して空気を送り、30秒間無秩序な通気によって混合を達成するであろう。すべての溶解物およびエタノールの混合物を、粒子フィルター[40]を介して空気圧的に保持チャンバー[35]に駆動する。保持チャンバー[35]からの溶解物およびエタノールの混合物を、精製膜を介してスワブチャンバー[50]に空気圧的に駆動する。スワブチャンバーは今や、使用済みの処理試薬用の廃棄物チャンバーとして機能する。洗浄リザーバー[47]からの洗浄溶液を精製膜を介して、スワブチャンバー[50]に空気圧的に駆動する。洗浄緩衝剤での精製膜の洗浄を行い、未結合物質(タンパク質を含む)および残余の溶解溶液を除去する。洗浄リザーバー[47]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、すべての洗浄溶液が分配された後に、精製フィルターを介して空気を送り、105秒間フィルターを乾燥するであろう。溶出溶液は、溶出液リザーバー[49]から精製膜を介して溶出液均質化チャンバー[48]まで空気圧的に駆動する。溶出液リザーバー[49]を介する空気圧駆動の継続的な適用は、すべての溶出溶液が分配された後に、溶出液均質化チャンバー[48]を介して空気を送り、無秩序な通気による混合を達成する。溶出液均質化チャンバー[48]中の均質化され精製されたDNA溶液を引き続いての分析に使用できる。
【0094】
合計の核酸濃度を260nmでの吸収度によって定量する。性感染症(クラミジア・トラコマティス(Chylamdia trachomatis)、ヒト免疫不全ウイルス、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)を含む)に特異的な蛍光標識プライマー・セットを用いるバイオチップにおける速いPCR増幅、およびGenebenchにおける電気泳動の分離および検出は、症状的または無症状的な感染のいずれかを引き起こす病原体に特徴的なバンドを生成する。
【0095】
これらの発明がその好ましい具体例を参照して特に示され記載されるが、添付した特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲に逸脱することなく、形態および詳細に種々の変更が本明細書になし得ることは当業者ならば理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未処理試料から核酸を単離するための自己完結型装置であって、該装置は機器と共に用いられ、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから未処理試料を受け取るためのチャンバーおよび少なくとも1つの充填液体精製試薬の貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分、ここに、該マイクロ流体成分は、さらに少なくとも1つの核酸精製マトリックスを含み;
(iii)該マイクロ流体要素および該核酸精製マトリックスを介して該液体精製試薬を駆動する該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している該装置。
【請求項2】
未処理試料から核酸を単離するための自己完結型装置であって、該装置は、機器と共に用いられ、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから該未処理試料を受け取るためのチャンバー;
少なくとも2つの事前充填した溶解試薬貯蔵リザーバー;
事前充填した洗浄試薬貯蔵リザーバー;および
事前充填した溶出試薬貯蔵リザーバー
を含むマクロ流体成分;ならびに
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分、ここに、該マイクロ流体成分はさらに、少なくとも1つの核酸精製マトリックスを含み;
(iii) 該第1および第2溶解試薬、該洗浄試薬および該溶出試薬、引き続いて、該マイクロ流体要素および該核酸精製マトリックスを介して駆動するための該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している該装置。
【請求項3】
該収集デバイスおよび/またはチャンバーが標識され、該標識がバーコードまたはRFIDを含む請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
該駆動機構が、空気圧的、機械的、磁気的または流体的である請求項1または2記載の装置。
【請求項5】
(i)鼻スワブ、鼻咽頭スワブ、頬側スワブ、口腔流体スワブ、糞便スワブ、扁桃スワブ、膣スワブ、子宮頚部スワブ、血液スワブ、創傷スワブまたは血液、唾液、膿性物質もしくは吸引液を含有するチューブ;(ii)法医学的スワブ、切断、粘着テープリフトもしくはカード;または(iii)環境的エアフィルター、浄水フィルターもしくはスワブを含む請求項1または2記載の装置。
【請求項6】
核酸精製マトリックスが、シリカ膜、シリカビーズ、シリカ磁気ビーズ、イオン交換樹脂またはイオン交換ビーズを含む請求項1または2記載の装置。
【請求項7】
該マイクロ流体成分が、チャネル、リザーバー、可変バルブ、パッシブバルブ、空気圧始動バルブ、反応チャンバー、混合チャンバー、ベント要素、アクセスホール、ポンプ、計測要素、混合要素、加熱要素、磁気要素、反応チャンバー、濾過要素、精製要素、駆動ラインおよび作動ラインを含む請求項1または2記載の装置。
【請求項8】
未処理試料からの核酸の精製方法であって、
請求項2に記載の装置のチャンバーに核酸を含む試料を提供し;
少なくとも一部の第1の溶解試薬を、該第1の溶解試薬チャンバーから前記のチャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の第2の溶解試薬を、該第2の溶解試薬チャンバーから前記のチャンバーに駆動して、第2の混合物を提供し;
精製膜を介して少なくとも一部の該第2の混合物を駆動して、濾液および保持物を提供し、ここに、その保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製膜を介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、洗浄した保持物および廃棄物を提供し;
少なくとも一部の溶出試薬を精製マトリックスを介して溶出試薬チャンバーから駆動することにより、洗浄した保持物から少なくとも一部のその核酸を収集する
ことを含むことを特徴とする該方法。
【請求項9】
未処理試料からの核酸の精製方法であって、
請求項2に記載の装置のチャンバーへの核酸を含む試料を提供し;
少なくとも一部の第1の溶解試薬を、該第1の溶解試薬チャンバーから前記のチャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
第1の混合物を介して気体を通気して、撹拌した第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の第2の溶解試薬を、該第2の溶解試薬チャンバーから前記のチャンバーに駆動して、第2の混合物を提供し;次いで
精製マトリックスを介して少なくとも一部の撹拌した第1の混合物を駆動して、濾液および保持物を提供し、ここに、保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製マトリックスを介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、洗浄した保持物および廃棄物を提供し;
所望により、洗浄した保持物を乾燥し;
精製マトリックスを介して少なくとも一部の溶出試薬を溶出試薬チャンバーから駆動して、溶出した核酸溶液を提供し;次いで
溶出した核酸溶液を介して気体を通気して、均質化された溶出した核酸溶液を提供する
ことを含むことを特徴とする該方法。
【請求項10】
(i)鼻スワブ、鼻咽頭スワブ、頬側スワブ、口腔流体スワブ、糞便スワブ、扁桃スワブ、膣スワブ、子宮頚部スワブ、血液スワブ、創傷スワブまたは血液、唾液、膿性物質もしくは吸引液を含有するチューブ;
(ii)法医学的スワブ、切断、粘着テープリフトもしくはカード;または
(iii)環境的エアフィルター、浄水フィルターもしくはスワブを含む
ことを特徴とする請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
全血中の病原体からの核酸の精製方法であって、
血液収集チューブ中の抗凝固処理した全血および病原体を含む試料を請求項2に記載の装置の試料収集チャンバーに提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の血液を駆動して、白血球低下濾液を提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の白血球洗浄試薬を駆動して、洗浄した白血球低下濾液を提供し;
病原体捕捉膜を介して少なくとも一部の白血球低下濾液を駆動し;
捕捉膜を横切って少なくとも一部の病原体懸濁液を駆動して、濃縮病原体懸濁を提供し;
少なくとも一部の濃縮病原体懸濁液を、該第1の溶解試薬を含有する第1の溶解試薬チャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の第2の溶解試薬を第2の溶解試薬チャンバーから第1の溶解試薬チャンバーに駆動して、第2の混合物を提供し;
精製膜を介して少なくとも一部の第2の混合物を駆動して、濾液および保持物を提供し、ここに、保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製膜を介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、保持物および廃棄物を提供し;
所望により、洗浄した保持物を乾燥し;次いで
少なくとも一部の溶出試薬を精製マトリックスを介して溶出試薬チャンバーから駆動することにより、洗浄した保持物からの少なくとも一部のその核酸を収集する
ことを含むことを特徴とする該方法。
【請求項12】
全血中の病原体からの核酸の精製方法であって、
血液収集チューブ中の抗凝固処理した全血および病原体を含む試料を請求項2に記載の装置の試料収集チャンバーに提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の血液を駆動して、白血球低下濾液を提供し;
白血球保持フィルターを介して少なくとも一部の白血球洗浄試薬を駆動して、洗浄した白血球低下濾液を提供し;
保持フィルターを横切って少なくとも一部の白血球再懸濁溶液を駆動して、濃縮白血球懸濁を提供し;
少なくとも一部の濃縮白血球懸濁液を、該第1の溶解試薬を含有する第1の溶解試薬チャンバーに駆動して、第1の混合物を提供し;
少なくとも一部の第2の溶解試薬を、該第2の溶解試薬チャンバーから第1の溶解物試薬チャンバーに駆動して、第2の混合物を提供し;
精製膜を介して少なくとも一部の該第2の混合物を駆動して、濾液および保持物を提供し、ここに、保持物は、少なくとも一部のその核酸を含み;
精製膜を介して少なくとも一部の洗浄試薬を駆動して、洗浄した保持物を提供し;
所望により、洗浄した保持物を乾燥し;次いで
少なくとも一部の溶出試薬を精製マトリックスを介して溶出試薬チャンバーから駆動することにより、洗浄した保持物から少なくとも一部のその核酸を収集する
ことを含むことを特徴とする該方法。
【請求項13】
さらに、
白血球溶解溶液を濃縮白血球懸濁液に駆動して、差動的に溶解された懸濁液を提供し;
病原体保持フィルターを介して差動的に溶解された少なくとも一部の懸濁液を駆動し;
病原体保持フィルターを介して少なくとも一部の保持フィルター洗浄試薬を駆動して、洗浄された病原体保持物を提供し;次いで、
請求項12に記載のごとく、核酸を再懸濁、溶解し、次いで、病原体保持物から精製することを含む
ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
未処理試料からの細胞溶解物を生成するための自己完結型装置であって、
該装置は、機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから該未処理試料を受け取るチャンバー、および少なくとも1つの充填した試薬貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分;および
(iii)該マイクロ流体要素を介して該試薬を駆動するための該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している該装置。
【請求項15】
試薬が溶解試薬を含む請求項14記載の装置。
【請求項16】
未処理試料からの細胞を溶解するための自己完結型装置であって、
該装置は、機器と共に用いられ、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i)収集デバイスから該未処理試料を受け取るためのチャンバーおよび少なくとも1つの事前充填した溶解貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分;および
(iii)該マイクロ流体要素を介して該貯蔵リザーバー中の試薬を駆動するための該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している該装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置を用いる試料からの細胞の溶解方法であって、
細胞を含む試料をチャンバーに提供し;
該溶解試薬をチャンバーに導入して、混合物を提供し;次いで
混合物を介して気体を通気して、撹拌された混合物を提供し;
ここに、撹拌された混合物は、溶解した細胞を含む
ことを特徴とする該方法。
【請求項18】
未処理試料からの細胞の懸濁液を生成するための自己完結型装置であって、
該装置は、機器と共に用いられ、該装置は、少なくとも1つの入力、ならびに:
(i) 収集デバイスから該未処理試料を受け取るチャンバーおよび実質的に等張の試薬を貯蔵する少なくとも1つの充填した試薬貯蔵リザーバーを含むマクロ流体成分;および
(ii)少なくとも1つのマイクロ流体要素を介して該マクロ流体成分と連通するマイクロ流体成分;および
(iii)該マイクロ流体要素を介して、該試薬を駆動するための該機器上の駆動機構を含み、
ここに、該装置への入力のみが、該チャンバーと該駆動機構とを介している該装置。
【請求項19】
機器が、熱サイクリング、キャピラリー電気泳動、マイクロ流体電気泳動、核酸断片サイジング、短鎖縦列反復配列(STR)、Y−STRおよびミニSTR、一塩基変異多型、PCR、高度多重化PCR、リアルタイムPCR、逆転写PCR、配列決定、ハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、VNTR、免疫測定法、質量分光法およびRFLP分析の少なくとも1つを行う請求項1または2記載の装置。
【請求項20】
装置が、熱サイクリング、キャピラリー電気泳動、マイクロ流体電気泳動、核酸断片サイジング、短鎖縦列反復配列(STR)、Y−STRおよびミニSTR、一塩基変異多型(PCR)は、高度多重化PCR、リアルタイムPCR、逆転写PCR、配列決定、ハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、VNTR、免疫測定法、質量分光法およびRFLP分析の少なくとも1つを行うもう一つの機器に配置または連動できる
請求項1または2記載の装置。
【請求項21】
装置および機器が、輸送ならびに両極端の少なくとも1つの温度、湿度および空気中浮遊微粒子に耐えるように、高耐久化される請求項19記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−517020(P2012−517020A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549235(P2011−549235)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/023045
【国際公開番号】WO2010/091080
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(507382050)ネットバイオ・インコーポレーテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】NetBio, Inc.
【Fターム(参考)】