説明

核酸複合体、及び核酸送達用組成物

本発明の目的は、低毒性で高い安全性を示し、siRNA等の核酸を細胞内で持続的に保持できる核酸複合体、並びに該核酸複合体を効率的に細胞内に送達できる核酸送達用組成物を提供することにある。細胞内に導入する核酸と高度分岐環状デキストリンを用いて複合体を形成させることによって、低毒性で高い安全性を示し、且つ細胞内で核酸を持続的に保持できる核酸複合体が得られる。更に、当該核酸複合体を細胞内に導入するための核酸送達用キャリアーとして、(A)ジアシルホスファチジルコリン、(B)コレステロール及び/又はその誘導体、並びに(C)脂肪族第1級アミンを含有するキャリアーを用いることによって、安全性、細胞内送達の有効性、及び細胞内での核酸の持続性を更に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞内に持続的に滞留することが可能であり、低毒性で安全性が高い核酸複合体、及び核酸送達用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のバイオテクノロジーの発展により、細胞内で生理活性機能を発揮する核酸が種々明らかにされている。例えば、siRNA (small interfering RNA)は、細胞に存在する標的遺伝子のmRNAの分解を惹起し、標的遺伝子の発現を阻害すること (RNA interference, RNA干渉)が知られている。このRNA干渉による標的遺伝子の発現阻害機能は、特定の遺伝子又は遺伝子群の異常な発現が原因となって生じる疾患症状を軽減乃至治療する上で有用であり、siRNAを利用した治療剤の開発が期待されている。しかしながら、核酸が水溶性負電荷高分子であるため細胞内への遺伝子送達効率が非常に低いため、siRNA治療を含む遺伝子治療では、有効な治療効果が得られない。
【0003】
遺伝子を細胞内に効果的に送達するために、キャリアー(ベクター)の利用が知られている。ベクターには、ウイルスベクターと非ウイルスベクターがある。ウイルスベクターは、高い核酸導入効率を示すが、病原性、免疫原生、及び細胞毒性の安全性の面で不明点が多い。そのため、臨床的な応用には非ウイルスベクターの使用が望まれている。
【0004】
非ウイルスベクターには、既に市販されているLipofectamineTM2000がある。更に、特定構造のカチオン性脂質(特許文献1参照)、両親媒性化合物及びポリカチオンを含む組成物(特許文献2参照)が報告されている。非ウィルスベクターを用いて核酸を細胞内に送達するには、送達すべき核酸と非ウイルスベクターとを混合して複合化し、これを標的細胞と接触させることによって行われている。非ウィルスベクターがリポソームを形成可能である場合には、リポソーム内に核酸が封入された状態で、ベクターが細胞内に取り込まれることによって、核酸が細胞内に送達される。
【0005】
しかしながら、siRNA等の核酸は、安定性が低く、強い電荷を示すという特有の性質がある。そのため、非ウイルス性ベクターと混合されると、核酸は安定性を損なうことが問題となって、持続的な核酸の細胞内への導入が阻害される。これまでに、siRNAをカチオン性ポリマーと複合体化させて封入した例が知られているものの(非特許文献1参照)、カチオン性ポリマーの細胞毒性の観点で、実用的には有用なものではない。更に、従来の非ウイルスベクターと核酸を用いて安定な複合体を形成できても、細胞内への送達能が低かったり、細胞内に急速に送達されることがある。そのため、従来の非ウイルス性ベクターでは、細胞内で核酸を持続的に保持できず、核酸に基づく所望の有用効果を保持できない。
【0006】
この従来技術の観点から、低毒性で安全性が高く、効率的に核酸(例えばsiRNA)を細胞内に送達し、核酸を持続的に保持するための技術の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−529439号公報
【特許文献2】特表2005−508394号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kentaro Kogure et al., Development of a non-viral-multifunctional-envelope-type nano device by a novel lipid film hydration method, J. Control. Release, 98 (2004) 317-323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題を解決することを目的とする。具体的には、本発明の目的は、低毒性で高い安全性を示し、siRNA等の核酸を細胞内で持続的に保持できる核酸複合体、並びに該核酸複合体を効率的に細胞内に送達できる核酸送達用組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、核酸送達用組成物を含む医薬組成物、及び核酸送達用組成物と細胞を接触させることにより細胞内に核酸を送達する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、細胞内に導入する核酸と高度分岐環状デキストリンを用いて複合体を形成させることによって、低毒性で高い安全性を示し、且つ細胞内で核酸を持続的に保持できる核酸複合体が得られることを見出した。更に、当該核酸複合体を細胞内に導入するための核酸送達用キャリアーとして、(A)ジアシルホスファチジルコリン、(B)コレステロール及び/又はその誘導体、並びに(C)脂肪族第1級アミンを含有するキャリアーを用いることによって、安全性、細胞内送達の有効性、及び細胞内での核酸の持続性が更に改善されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
【0011】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する:
項1.核酸、及び高度分岐環状デキストリンを含有する、核酸複合体。
項2.核酸1重量部当たり、高度分岐環状デキストリンが1〜4000重量部である、項1に記載の核酸複合体。
項3.核酸が、siRNAである、項1又は2に記載の核酸複合体。
項4.高度分岐環状デキストリンが、α-1,4-グルコシド結合と少なくとも1種のα-1,6-グルコシド結合から形成される内分岐環状構造部分を有し、外分岐構造部分が内分岐環状構造部分に結合している、重合度5〜5000のグルカンである、項1乃至3のいずれかに記載の核酸複合体。
項5.核酸と、高度分岐環状デキストリンを水溶液中で混合することにより得られる凝集物である、項1乃至4のいずれかに記載の核酸複合体。
項6.項1乃至5のいずれかに記載の核酸複合体、及び核酸送達用キャリアーを含有する、核酸送達用組成物。
項7.核酸送達用キャリアーが、(A)ジアシルホスファチジルコリン、(B)コレステロール及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(C)脂肪族第1級アミンを含有する組成物である、項6に記載の核酸送達用組成物。
項8.核酸送達用キャリアーに含まれる(A)成分が、アシル基部分の炭素数が4〜23のジアシルホスファチジルコリンである、項7に記載の核酸送達用組成物。
項9.核酸送達用キャリアーに含まれる(B)成分が、コレステロールである、項7に記載の核酸送達用組成物。
項10.核酸送達用キャリアーに含まれる(C)成分が、炭素数が10〜20のアルキルアミンである、項7に記載の核酸送達用組成物。
項11.核酸送達用キャリアーにおける(A)成分:(B)成分:(C)成分のモル比が、5〜9:1〜5:1である、項7に記載の核酸送達用組成物。
項12.核酸送達用キャリアーが、(A)〜(C)成分によりリポソーム膜が形成されたリポソーム製剤である、項7に記載の核酸送達用組成物。
項13.項6乃至12のいずれかに記載の核酸送達用組成物を含む、医薬組成物。
項14. 核酸が、siRNAである、項13に記載の医薬組成物。
項15.細胞内に核酸を送達する医薬の製造のための、項6乃至12のいずれかに記載の核酸送達用組成物の使用。
項16.核酸が、siRNAである、項15に記載の使用。
項17.細胞内に核酸を送達する方法であって、項6乃至12のいずれかに記載の核酸送達用組成物を細胞に接触させる工程を含む方法。
項18.核酸が、siRNAである、項17に記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の核酸複合体は、高度分岐環状デキストリンを用いて核酸を複合化することによって得られ、これによって、安全性が高く、しかも細胞内で核酸が長期間安定に保持され、当該核酸に基づく有用効果を持続的に奏することが可能になる。また、本発明の核酸複合体は、核酸送達用キャリアーと複合化され易く、リポソーム形態の核酸送達用キャリアーであっても封入され易くなっている。そのため、本発明の複合体は、核酸送達用組成物の調製容易性の点からも優れている。更に、本発明の核酸送達用組成物は、当該核酸複合体を細胞内に導入することが可能である。
【0013】
また、本発明の核酸複合体を細胞内に送達するのに、細胞送達用キャリアーとして、(A)ジアシルホスファチジルコリン、(B)コレステロール及び/又はその誘導体、並びに(C)脂肪族第1級アミンを含有するキャリアーの使用は、核酸複合体の細胞内への送達効率を高め、更に細胞内送達の持続性及び安全性をより更に向上させることもできる。
【0014】
このように、本発明の核酸複合体及び核酸送達用組成物は、当該核酸に基づく有用効果を有効且つ持続的に奏させることができ、しかも高い安全性をも備えているので、特に、遺伝子治療に使用される医薬として有用である。従って、本発明の医薬組成物又は核酸を細胞内へ送達する方法によれば、より効果的に核酸を細胞内に送達することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、高度分岐環状デキストリンの例を示す図である。
【図2】図2は、試験例2の結果、即ち、核酸送達用組成物の細胞安全性を評価した結果を示す図である。
【図3】図3は、試験例3において、各核酸送達用組成物におけるsiRNAの細胞内への取り込み量を評価した結果を示す図である。図3の縦軸は、1細胞当たりの蛍光強度の平均値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)核酸複合体
本発明の核酸複合体は、核酸及び高度分岐環状デキストリンを含有する。
【0017】
本発明の核酸複合体に用いられる核酸は、細胞内への送達が必要とされているものであれば、その種類や構造については特に制限されない。当該核酸の具体例として、siRNA、mRNA、tRNA、rRNA、cDNA、miRNA (マイクロRNA)、リボザイム、アンチセンスオリゴ、デコイオリゴヌクレオチド、プラスミドDNA、ペプチド核酸、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド (Triplex Forming Oligonucleotide, TFO)、アプタマー、遺伝子等が例示される。これらの中でも、siRNAが好ましい。siRNAは、従来の非ウイルスベクターとの共存下では安定性が低くなるという欠点があるが、本発明の核酸複合体の形態にすると、優れた安定性と共に細胞内への持続的な送達性を兼ね備えることができる。本発明の核酸複合体に用られる核酸は、ヒト、動物、植物、細菌、ウイルス等に由来するものであってもよく、また化学合成により製造されたものであってもよい。更に、これらの核酸は、1本鎖、2本鎖、3本鎖のいずれでもよく、更にその分子量についても特に制限されない。また、本発明において、核酸は化学、酵素又はペプチドで修飾されたものであってもよい。更に、本発明において、核酸は、1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを適宜組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明の核酸複合体に用いられる高度分岐環状デキストリンとは、枝作り酵素をアミロペクチン等の、α-1,4,-グルコシド結合と少なくとも1種のα-1,6-グルコシド結合を有する糖に作用させて生産されるものであり、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する重合度50〜5000のグルカンである。内分岐環状構造部分は、α-1,4-グルコシド結合とα-1,6-グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、そして外分岐構造部分は、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である。外分岐構造部分は、少なくとも1つのα-1,6-グルコシド結合を介して内分岐環状構造部分に結合している。高度分岐環状デキストリンの好適な形態として、内分岐環状構造部分の重合度が10〜100である上記のグルカン、外分岐構造部分の重合度が40以上である上記のグルカン、上記外分岐構造部分の単位鎖の重合度が平均で10から20である上記のグルカンが例示される。高度分岐環状デキストリンは図1に例示され、図中、内分岐環状構造部分は(i)で示され、外分岐構造部分は(ii)で示される。
【0019】
重合度は、示差屈折率検出器を用いたゲル濾過によって、既知の重合度を有する物質の溶出位置より測定することができる。この測定において、示差屈折率検出器の出力はグルカンの濃度に比例し、低角レーザー光散乱光度計(low-angle laser light scattering photometer)の出力は製品の重合度及びグルカンの濃度に比例する。従って、グルカンの重合度は、二つの検出器(すなわち、示差屈折率検出器と低角度レーザー光散乱光度計)の出力の比率を計測することにより測定できる。具体的な測定条件はUS6248566B1(日本国特許第3107358号)に記載されている。
【0020】
当該高度分岐環状デキストリン及びその製造方法は、US6248566B1(日本国特許第3107358号)に記載されており、また、当該高度分岐環状デキストリは、江崎グリコ株式会社からクラスターデキストリン(登録商標)として販売されている。
【0021】
本発明の核酸複合体において、上記核酸と上記高度分岐環状デキストリンとの比率については、特に制限されないが、通常、核酸1重量部当たり、高度分岐環状デキストリンが1〜4000重量部、好ましくは10〜1000重量部、更に好ましくは100〜400重量部であっる。また、モル比の観点からは、当該比率としては、例えば、核酸1モル当たり、高度分岐環状デキストリンが0.1〜1000モル、好ましくは1〜100モル、更に好ましくは10〜20モルである。このような比率を充足することによって、核酸送達用キャリアーによる細胞内への核酸送達の持続性、並びに安全性をより一層顕著ならしめることができる。
【0022】
本発明の核酸複合体の平均粒径は、通常6〜60nm、好ましくは8〜30nm、更に好ましくは10〜20nmである。核酸複合体の平均粒径は、レーザー動的光散乱法を用いて体積平均粒径として測定される。
【0023】
本発明の核酸複合体は、上記核酸と上記高度分岐環状デキストリンが凝集することにより形成される複合体である。本発明の核酸複合体は、上記核酸と上記高度分岐環状デキストリンを安定に分散可能な溶液中で、両者を混合することによって製造される。上記核酸と上記高度分岐環状デキストリンを安定に分散可能な溶液としては、具体的には、Tris等の緩衝液が挙げられる。これらの緩衝液には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤を含んでいてもよい。また、上記核酸と上記高度分岐環状デキストリンとの混合条件としては、上記溶液中で、例えば、0.1μM〜100μM程度、好ましくは1μM〜10μM程度の核酸と、1μM〜1000μM程度、好ましくは10μM〜100μM程度の高度分岐環状デキストリンとの共存下、室温で1〜100分程度、好ましくは5〜10分程度の混合が挙げられる。斯くして製造された本発明の核酸複合体は、溶液中に分散した状態で存在するが、これをそのまま核酸送達用キャリアーとの混合に使用することができるが、必要に応じて希釈又は濃縮した後に核酸送達用キャリアーとの混合に使用してもよい。
【0024】
(2)核酸送達用組成物
上記核酸複合体は、核酸送達用キャリアーと混合されることによって、核酸送達用キャリアーに取込まれ、当該核酸の細胞内への送達が可能な状態になる。即ち、本発明は、更に、上記核酸複合体と、核酸送達用キャリアーとを含有する核酸送達用組成物を提供する。
【0025】
ここで、核酸送達用キャリアーとは、核酸を細胞内に送達(導入)するために、核酸のキャリアーとして使用される非ウイルスベクターである。また、核酸送達用組成物とは、該組成物内に含まれる核酸を送達対象となる細胞内に導入するために、送達対象となる細胞に接触させる組成物である。
【0026】
核酸送達用キャリアーの組成
本発明の核酸送達用組成物に使用される核酸送達用キャリアーとしては、核酸を細胞内に取り込ませることが可能である限り、特に制限されない。当該核酸送達用キャリアーとしては、例えば、LipofectamineTM 2000等の従来公知のものを使用することができる。
【0027】
上記核酸複合体に含まれる核酸の細胞内での持続性を一層向上させ、更に、細胞内への送達効率及び安全性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、例えば、(A)ジアシルホスファチジルコリン、(B)コレステロール及び/又はその誘導体、並びに(C)脂肪族第1級アミンを含有するキャリアー(以下、「キャリアー-1」と表記する)が使用される。
【0028】
キャリアー-1に使用されるジアシルホスファチジルコリン(以下、「(A)成分」と表記することもある)としては、薬理学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、アシル基部分の炭素数が4〜23のものが挙げられる。なお、当該ジアシルホスファチジルコリンを構成する2つのアシル基の炭素数は同一又は異なっていても良い。
【0029】
ジアシルホスファチジルコリンの具体例としては、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン、ミリストイルステアロイルホスファチジルコリン、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン、ジブチロイルホスファチジルコリン、ジヘキサノイルホスファチジルコリン、ジヘプタノイルホスファチジルコリン、ジデカノイルホスファチジルコリン、ジフタノイルホスファチジルコリン、ジドデシルホスファチジルコリン、ジイコセノイルホスファチジルコリン、ジヘニコサノイルホスファチジルコリン、ジエルコイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、ビス(トリコサジノイル)ホスファチジルコリン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アシル基部分の炭素数が12〜18のジアシルホスファチジルコリンが挙げられ;更に好ましくは、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン、ミリストイルステアロイルホスファチジルコリン、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン等のアシル基部分の炭素数が13〜17のジアシルホスファチジルコリンが挙げられ;特に好ましくはジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、及びジステアロイルホスファチジルコリンが挙げられ;最も好ましくはジステアロイルフホスファチジルコリンが挙げられる。これらのジアシルホスファチジルコリンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
キャリアー-1に使用されるコレステロール及び/又はその誘導体(以下、「(B)成分」と表記することもある)としては、薬理学的に許容されることを限度として特に制限されない。コレステロールの誘導体は、コレステロール骨格を有するカチオン性脂質であり、具体的には、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、3β-[N’,N’,N’-トリメチルアミノエタン]ヨウ化コレステロール(TC-Chol)、ビス(グアニジウム)-トレン-コレステロース(BGTC)、N-コレステリルオキシカルボニル-3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、β-アラニン-ジエタノールアミン-コレステロール、N4-スペルミンコレステリルカルバメート(GL-67; N4-spermine cholesteryl carbamate)、N[N4-3-アミノプロピルスペルミジン]コレステリルカルバメート(GL-78; N[N4-3-aminopropylspermidine] cholesteryl carbamate)、N4-スペルミンコレステリルカルボキシアミド(GL-90; N4-spermine cholesteryl carboxamide)、N1,N8-ビス(アルギニンカルボキシアミド)-N4-スペルミジンコレステリルカルバメート(GL-95; N1,N8-Bis(arginine carboxamide)-N4-spermidine cholesteryl carbamate)及びN-[N1,N4,N8-トリス(3-アミノプロピル)スペルミジン] コレステリルカルバメート(GL-96; N-[N1,N4,N8-Tris(3-aminopropyl)spermidine]cholesteryl carbamate)が例示される。好適な(B)成分として、コレステロールが挙げられる。キャリアー-1において、(B)成分として、コレスレロール及びその誘導体の中から、1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。
【0031】
キャリアー-1に使用される脂肪族第1級アミン(以下、「(C)成分」と表記することもある)としては、薬理学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、アルキル基部分の炭素数が10〜20のアルキルアミンが挙げられる。
【0032】
脂肪族第1級アミンの具体例としては、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、デカノイルアミン、フタノイルアミン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アルキル基部分の炭素数が12〜18のアルキルアミンが挙げられ;更に好ましくは、ステアリルアミン、オレイルアミン、及びパルミトイルアミンが挙げられ、特に好ましくはステアリルアミンが挙げられる。これらのジ脂肪族第1級アミンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
キャリアー-1は、上記(A)〜(C)成分を組み合わせて含有する。核酸の細胞内への送達効率を更に上場させ、低毒性を更に低減させるために、以下に例示する組み合わせが好適である;
(A)アシル基部分の炭素数が4〜23のジアシルホスファチジルコリン、(B)コレステロール及び/又はその誘導体であり、及び(C)炭素数が10〜20のアルキルアミンの組み合わせ;更に好ましくは(A)ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、及び/又はジステアロイルホスファチジルコリン、(B)コレステロール、及び(C)ステアリルアミンの組み合わせ。
【0034】
また、キャリアー-1において、(A)〜(C)成分の配合比率については、特に制限されないが、例えば、(A)成分:(B)成分:(C)成分のモル比が、5〜9:1〜5:1、好ましくは6〜9:1〜4:1、更に好ましくは7〜8:2〜3:1が例示される。このような比率を充足することにより、核酸の細胞内への送達効率、及び低毒性をより一層向上せしめることができる。
【0035】
また、キャリアー-1の総量に対する(A)〜(C)成分の合計量は、例えば1〜100重量%、好ましくは20〜90重量%、更に好ましくは30〜70重量%である。
【0036】
キャリアー-1は、上記(A)〜(C)成分に加えて、他のカチオン性脂質を含んでいても良い。使用可能なカチオン性脂質として、具体的には、スクアラミン(Squalamine)、3a, 7a, 12a-トリス(3-アミノプロポキシ)-5β-コラン-24-(N,N-ビス(3-アミノプロピル)アミン(3a, 7a, 12a-tris(3-aminopropoxy)-5β-cholan-24-(N,N-bis(3-aminopropyl)amine)、3a, 7a, 12a-トリス(3-アミノプロポキシ)-5β-コラン-24-(N-(N-(3-アミノプロピル))-3-アミノプロピル)-アミン(3a, 7a, 12a-tris(3-aminopropoxy)-5β-cholan-24-(N-(N-(3-aminopropyl))-3-aminopropyl)amine)、3a,7a,12a-トリス(3-アジドプロポキシ)-5β-コラン-24-(N,N-ビス(2-シアノエチル)アミン)(3a, 7a, 12a-tris(3-azidopropoxy)-5β-cholan-24-(N,N-bis(2-cyanoethyl)amine))、3a, 7a, 12a-トリス(3-アジドプロポキシ)-5β-コラン-24-(N-(ベンジルオキシカルボニル)-N-(ヒドロキシプロピル)-アミン)(3a, 7a, 12a-Tris(3-azidopropoxy)-5b-cholan-24-(N-(benzyloxycarbonyl)-N-(3-hydroxypropyl)-amine))等のステロイドが結合しているカチオン性脂質;アンブレラ−スペルミン複合体(Umbrella-spermine conjugates)等のコール酸が結合しているカチオン性脂質;ステロールグリコシドが結合しているカチオン性脂質;ステロイドサポニンが結合しているカチオン性脂質;ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド塩(DDAB)、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパンメチル硫酸塩、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン、1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン、N-(1-(2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩酸塩(DOTMA)、ジミリストイルオキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロマイド塩(DMRIE)、ジオレオイルオキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロマイド(DORIE)、ジメチルジドデシルアンモニウムブロマイド、N-(a-トリメチルアンモニオアセチル)-ジドデシル-D-グルタミン塩酸塩、N-(a-トリメチルアンモニオアセチル)-O, O’-ビス-(1H, 1H, 2H, 2H-パーフルオロデシル)-L-グルタミン塩酸塩、O, O’-ジドデカノイル-N-(a-トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミン塩酸塩、メチルアリルジドデシルアンモニウムブロマイド、N-{p-(w-トリメチルアンモニオブチルオキシ)-ベンゾイル}-ジドデシル-L-グルタミン塩酸塩、9-(w-トリメチルアンモニオブチル)-3, 6-ビス(ドデカノイル)カルバゾールブロマイド、ジメチルジオクタデシルアンモニウム塩酸塩、N-w-トリメチルアンモニオデカノイル-ジヘキサデシル-D-グルタミンブロマイド、N-{p-(w-トリメチルアンモニオヘキシルオキシ)-ベンゾイル}-ジテトラデシル-L-グルタミンブロマイド、p-(w-トリメチルアンモニオデシルオキシ)-p’-オクチルオキシアゾベンゼンブロマイド塩 (MC-1-0810)、p-{w-(b-ヒドロキシエチル)ジメチル-アンモニオ-デシルオキシ}-p’-オクチルオキシアゾベンゼンブロマイド塩 (MC-3-0810)、O,O’,O’’-トリドデカノイル-N-(w-トリメチル-アンモニオデカノイル)-トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンブロマイド塩(TC-1-12)、1,2-ジラウリル-グリセロ-3-エチルホスフォコリン、1,2-ジミリストイル-グリセロ-3-エチルホスフォコリン、1,2-ジパルミトイル-グリセロ-3-エチルホスフォコリン、1,2-ジステアロイル-グリセロ-3-エチルフォスフォコリン、1,2-ジオレオイル-グリセロ-3-エチルホスフォコリン、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-エチルホスフォコリン等の第4級アンモニウム塩型のカチオン性脂質等が挙げられる。
【0037】
キャリアー-1が(A)〜(C)成分以外の他のカチオン性脂質を含有する場合、該カチオン性脂質の割合としては、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、上記(A)〜(C)成分の総量100重量部に対して、該カチオン性脂質が1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは4〜6重量部となる割合が例示される。
【0038】
更に、キャリアー-1は、必要に応じて、油性基剤を含んでいても良い。油性基剤の特性を利用するための油性基剤の配合は、キャリアー-1による核酸の導入効率の制御を可能にする。例えば、油性基剤を配合してキャリアー-1の比重を調整すると、細胞とキャリアー-1の接触を制御し、これによってin vitroでの導入効率をを向上させる。また、例えば、油性基剤として温度感受性機能を有するものを配合すると、所定の温度条件下で核酸キャリアーのコアを崩壊させて細胞表面での揺らぎを誘引し、これによって核酸の導入効率を向上させる。更に、例えば、油性基剤として外部刺激崩壊性を有するものを配合すると、外部刺激によりキャリアー-1のコアを崩壊させて細胞表面での揺らぎを誘引し、これによって核酸の導入効率を向上させる。
【0039】
上記キャリアー-1に配合される油性基剤としては、例えば、パーフルオロカーボン、パーフルオロペンタン、パーフルオロオクチルブロマイド、パーフルオロヘキサン、パーフルオロトリブチルアミン、大豆油、精製大豆油、ダイズ硬化油、大豆油不けん化物、スクアレン、ひまし油、チョウジ油、トリオレイン酸ソルビタン、テレビン油、サフラワー油、サフラワー油脂肪酸、オレイン酸、ヤシ油、ナタネ油、フーゼル油、オリブ油、アマニ油、ゴマ油、クロロフィル油、ハズ油、ベルガモット油、シーダー油、オレンジ油、ウイキョウ油、ユーカリ油、トウモロコシ油、ラベンダー油、マヨラナ油、レモン油、綿実油、やし油、卵黄油、ローズ油、パインオイル、アルモンド油、ラッカセイ油、ツバキ油、樟脳白油、カミツレ油、ケイヒ油、ハッカ油、エステル化トウモロコシ油、ショウキョウ油、ローマカミツレ油、蛇油、スペアミント油、ヒマワリ油、カカオ脂、小麦胚芽油、チンク油、硬化油、水素添加植物油、軽質流動パラフィン、流動パラフィン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ミンク油、トウヒ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオ
キシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシル35ヒマシ油、プロセス油等が挙げられる。これらの油性基剤の内、パーフルオロペンタンには温度感受性があり、29.5℃で沸騰によりガス化する特性がある。また、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクチルブロマイド、及びパーフルオロトリブチルアミンは、外部刺激によって崩壊する特性があり、超音波照射による刺激等の外部からの刺激を受けると、キャリアー-1のコアにキャビテーションを発生させて崩壊させるという特性がある。
【0040】
当該油性基剤を含有する場合、該油性基剤の割合としては、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、上記(A)〜(C)成分の総量100重量部に対して、該油性基剤が0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは5〜20重量部となる割合が例示される。
【0041】
更に、キャリアー-1には、必要に応じて膜融合性脂質(ヘルパー脂質)を含んでいてもよい。かかる膜融合性脂質を含有すると、キャリアー-1は更に向上した細胞内への核酸の送達効率を備える。このような膜融合性脂質としては、例えば、ジオレオイルフォスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルフォスファチジルコリン、トランスフォスファチジルフォスファチジルエタノールアミン、1,2-ビス(10, 12-トリコサジノイル)-フォスフォエタノールアミン、1,2-ジエライドイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジヘキサデシルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジヘキサノイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジラウロイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジリノレオイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジミリストイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジパルミトレオイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジフィタノイルフォスフォエタノールアミン、1,2-ジステアロイルフォスフォエタノールアミン、1-パルミトイル-2-オレオイルフォスフォエタノールアミン、1-パルミトイル-2-(10,12-トリコサジノイル)フォスフォエタノールアミン、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-カプロイルアミン、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-カプロイルアミン、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N,N-ジメチル、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N,N-ジメチル、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-ドデカノイル、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-ドデカノイル、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-ドデカニルアミン、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-ドデカニルアミン、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-グルタリル、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-グルタリル、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-ラクトース、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-[4(p-マレイミドメチル)サイクロヘキサン-カルボン酸塩]、ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-[4(p-マレイミドメチル)サイクロヘキサン-カルボン酸塩]、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-[4(p-マレイミドフェニル)ブチラミド]、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-[4(p-マレイミドフェニル)酪酸塩]、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-メチル、ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-メチル、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩]、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩]、1,2-ジオレオイルフォスフォエタノールアミン-N-(サクシニル)、1,2-ジパルミトイルフォスフォエタノールアミン-N-(サクシニル)等が挙げられる。中でも、ジオレオイルフォスファチジルエタノールアミンは、キャリアー-1において好適に使用される。
【0042】
当該膜融合性脂質を含有する場合、該膜融合性脂質の割合としては、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、上記(A)〜(C)成分の総量100重量部に対して、該膜融合性脂質が1〜500重量部、好ましくは10〜250重量部、更に好ましくは25〜100重量部となる割合が例示される。
【0043】
キャリアー-1は、使用形態に応じて、等張化剤、賦形剤、希釈剤、増粘剤、安定化剤、緩衝剤、保存剤等の種々の添加剤;精製水、糖水溶液、緩衝液、生理食塩水、高分子水溶液、RNase free水等の水性担体を含有してもよい。これらの添加剤や水性担体の配合量は、核酸送達用キャリアーの使用形態に応じて適宜設定することができる。
【0044】
核酸送達用キャリアーの形態
上記核酸送達用キャリアーは、細胞内への送達対象となる核酸を包含できる限り、その形態については特に制限されないが、リポソームの形態であることが望ましい。例えば、キャリアー-1をリポソームの形態にする場合、上記(A)〜(C)成分及び必要に応じて添加される他の脂質は、リポソーム膜を形成する。
【0045】
上記核酸送達用キャリアーをリポソームの形態にする場合、小さな1枚膜リポソーム(small unilamellar vesicles: SUV)、大きな1枚膜リポソーム(large unilamellar vesicles: LUV)、又は多重層リポソーム(multilamellar vesicles: MLV)であり得る。また、核酸送達用キャリアーの粒子径については、送達対象の細胞の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、SUVでは20〜100nm、LUVでは200〜1000nm、MLVでは400〜3500nm程度が例示される。リポソームの粒子径は、レーザー動的光散乱法を用いて測定される。
【0046】
リポソームの製造及びその粒子径の調節は、当業界で公知の方法が用いられる。例えば、キャリアー-1の場合であれば、上記(A)〜(C)成分を含む油相と、水相(水性担体)とを用い、薄膜法、逆相蒸発法、エーテル注入法、界面活性剤法、加温法等により、リポソームを形成させることができる。また、エクストルージョン法、フレンチプレス法、ホモジナイゼーション法等により、粒子径を調節することができる。
【0047】
核酸送達用組成物の形態、組成、使用方法
核酸送達用キャリアーがリポソーム形態である場合、本発明の核酸送達用組成物において、核酸複合体は、リポソームの内水相に封入された状態で、又はリポソーム膜の内側又は外側にイオン結合若しくは疎水結合により結合した状態で、存在し得る。また、核酸送達用キャリアーがリポソーム以外の形態である場合、本発明の核酸送達用組成物において、上記核酸複合体が核酸送達用キャリアーの成分とイオン結合若しくは疎水結合により複合体を形成する。
【0048】
本発明の核酸送達用組成物は、上記核酸複合体と核酸送達用キャリアーとを混合し、その混合物を所望の形態に調製する、又は、上記核酸複合体及び上記の核酸送達用キャリアー組成物の成分を任意の順で混合し、その混合物を所望の形態に調製することによって製造される。
【0049】
本発明の核酸送達用組成物において、上記核酸複合体と核酸送達用キャリアーとの配合比率としては、上記核酸複合体の種類、核酸送達用キャリアーの種類、核酸の送達対象となる細胞の種類等に依存するが、例えば、核酸送達用キャリアーの総量100重量部に対して、上記核酸複合体が1〜100重量部、好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは20〜100重量部となる比率が挙げられる。より具体的には、核酸送達用キャリアーとしてキャリアー-1を使用する場合、キャリアー-1に含まれる(A)〜(C)成分の総量100重量部に対して、上記核酸複合体が1〜100重量部、好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは20〜100重量部となる割合が挙げられる。
【0050】
また、核酸送達用キャリアーとして、キャリアー-1を使用する場合、該キャリアー-1に含まれる(A)〜(C)成分の合計量としては、核酸送達用組成物総量に対して、例えば10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜60重量%が挙げられる。
【0051】
本発明の核酸送達用組成物は、使用形態に応じて、等張化剤、賦形剤、希釈剤、増粘剤、安定化剤、緩衝剤、保存剤等の種々の添加剤;精製水、グルコース水溶液、緩衝液、生理食塩水等の水性担体を含有することができる。これらの添加剤や水性担体の配合量は、核酸送達用組成物の使用形態に応じて適宜設定することができる。
【0052】
本発明の核酸送達用組成物は、それ自身を遺伝子治療用薬剤、すなわち医薬組成物として使用することができる。本発明の核酸送達用組成物を医薬組成物として使用する場合、薬理学的に許容される核酸送達用キャリアー、基剤、担体等が選択される。本発明の医薬組成物は、種々の医薬形態に調製することができる。本発明の医薬組成物の形態としては、溶液(シロップ等を含む)、点滴剤、注射剤等の液体製剤;錠剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル(ソフトカプセルを含む)等の固形製剤が例示される。本発明の医薬組成物が液体製剤である場合、凍結又は凍結乾燥等によって水分を除去し、保存することができる。凍結乾燥製剤、ドライシロップ等は、使用時に注射用蒸留水、滅菌水等に再度溶解させることができる。本発明の医薬組成物が固形製剤である場合、使用時に注射用蒸留水、滅菌水等に再度溶解させることができる。
【0053】
本発明において、核酸が送達される細胞(すなわち、本発明の医薬組成物が適用される細胞)としては、培養細胞、生体から単離された細胞(株化した細胞を含む)、生体内に存在する細胞(cell in vivo)等が挙げられ、ヒト又は非ヒト動物由来のいずれでもよい。本発明の医薬組成物は、in vitro又はin vivoのいずれにも適用し得る。
【0054】
本発明においては、本発明の医薬組成物を細胞に接触させる工程を介して細胞内に核酸を送達することができる。当該医薬組成物を細胞に接触させる方法は、核酸が導入される細胞に適当な量の核酸送達用組成物が接触される限り特に限定されない。例えば、接触させる方法や接触させる量については、遺伝子治療において従来公知の方法と同様であってもよく、方法及び量は適宜選択される。従って、本発明の医薬組成物の細胞への適用は、核酸の細胞内送達を容易ならしめ、送達された核酸を細胞内に安定且つ持続的に保持することができる。
【0055】
例えば、本発明の医薬組成物をin vitroで細胞に接触させるため、適当な量の医薬組成物の存在下で細胞を培養することができる。本発明の医薬組成物をin vitro で培養細胞又は生体から単離された細胞と接触させるため、血清の存在下で接触を行うことができる。本発明の医薬組成物をin vivoで細胞に接触させる場合、例えば、組織への直接注入;静脈、皮下、筋肉、腹腔又は眼内注射、消化器官内、歯内等への注入;鼻腔、口腔、肺等への吸入投与;経口投与;経皮投与;口腔粘膜、膣粘膜、眼粘膜、直腸粘膜、子宮粘膜等を介した経粘膜投与等により、本発明の医薬組成物を細胞と接触させることができる。
【0056】
本発明の医薬組成物は、必要に応じて、薬学的に許容される担体又は基剤をさらに含んでいてもよい。担体及び基剤は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、使用形態に応じて適宜選択される。担体及び基剤は上記に例示される。この場合において、医薬組成物、担体及び基剤の割合も、本発明の効果が損なわれない限り限定されず、使用形態に応じて適宜選択される。
【0057】
本発明の医薬組成物の適用においては、その有効量が適用される。例えば、医薬組成物に含まれる核酸複合体の細胞あたりの量が0.001〜10pM、好ましくは0.001〜1pM、より好ましくは0.01〜0.1pMになるように医薬組成物を適用する。
【0058】
本発明の医薬組成物は、特定の核酸を細胞内に送達することができる。すなわち、本発明の医薬組成物は、これを細胞に接触させることによって、当該医薬組成物中に存在して核酸複合体を形成している特定の核酸を細胞内に送達するのに有効である。
【0059】
また、本発明は、核酸を細胞内に送達する方法を提供する。本発明による核酸を細胞内に送達する方法は、上述の核酸複合体又は核酸送達用組成物を細胞と接触させる工程を含む。核酸複合体又は核酸送達用組成物と細胞間の接触については、核酸複合体又は核酸送達用組成物の適当量が、核酸が導入される細胞と接触する限りにおいて限定されない。例えば、接触させる方法や接触させる量については、遺伝子治療において従来公知の方法と同様であってもよく、接触方法及び量は適宜選択される。
【0060】
核酸複合体又は核酸送達用組成物を上記方法で細胞に接触させることにより、核酸が細胞内に安定且つ持続的に保持される。細胞との接触のため、核酸複合体を単独で、又は上記担体又は基剤と組み合わせて使用してもよい。核酸送達用組成物も、それ自身を単独で、又は前述する担体又は基剤と組み合わせて使用してもよい。さらに効果的な細胞内核酸送達のため、核酸送達用組成物を細胞と接触させることが好ましい。
【0061】
前述するように、本発明において、核酸が送達される細胞は限定されず、培養細胞、生体から単離された細胞(株化した細胞を含む)、生体内に存在する細胞(cell in vivo)等が挙げられ、ヒト又は非ヒト動物由来のいずれでもよい。上記接触は、in vitro又はin vivoのいずれにおいても実施できる。
【0062】
例えば、核酸複合体又は核酸送達用組成物をin vitroで細胞に接触させるため、適当な量の核酸複合体又は核酸送達用組成物の存在下で細胞を培養することができる。核酸複合体又は核酸送達用組成物をin vitro で培養細胞又は生体から単離された細胞と接触させるため、血清の存在下で接触を行うことができる。核酸複合体又は核酸送達用組成物をin vivoで細胞に接触させる場合、例えば、組織への直接注入;静脈、皮下、筋肉、腹腔又は眼内注射、消化器官内、歯内等への注入;鼻腔、口腔、肺等への吸入投与;経口投与;経皮投与;口腔粘膜、膣粘膜、眼粘膜、直腸粘膜、子宮粘膜等を介した経粘膜投与等により、核酸複合体又は核酸送達用組成物を細胞と接触させることができる。
【0063】
本発明による細胞内に核酸を送達する方法において、細胞内に核酸を導入するため、核酸複合体又は核酸送達用組成物の有効量を細胞に接触させる。例えば、0.001〜10pM、好ましくは0.001〜1pM、より好ましくは0.01〜0.1pMの核酸複合体が細胞あたりに投与されるように、投与する核酸複合体又は核酸送達用組成物の量を選択する。
【0064】
本発明による細胞内に核酸を送達する方法は、細胞に上記医薬組成物を接触させることにより行ってもよい。上記医薬組成物を使用する場合、前述と同様の方法で本発明の方法が実施される。
【実施例】
【0065】
以下、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、以下の実施例及び試験例では、siRNAとして、GL3-siRNA (ホタルルシフェラーゼに対するsiRNA;Dharmacon社, Boulder, CO, USA;sense:5’-CUUACGCUGAGUACUUCGAdTdT、antisense:5’-UCGAAGUACUCAGCGUAAGdTdT)を用いた。また、高度分岐環状デキストリンとしては、クラスターデキストリン(江崎グリコ株式会社製)を用いた。
【0066】
実施例1 siRNAと高度分岐環状デキストリンを含む複合体の調製
Tris-EDTA(TE)緩衝液(Fluka社製)を用いて、2μMの濃度のsiRNAを含む溶液(siRNA溶液)を調製した。また、Tris-EDTA(TE)緩衝液(Fluka社製)を用いて、25μMの濃度の高度分岐環状デキストリンを含む溶液(高度分岐環状デキストリン溶液)を調製した。これらの溶液の等量を1分間混合することによりsiRNA複合体を調製した。得られたsiRNA複合体の物性を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例2 siRNA複合体を含む核酸送達用組成物の調製
モル比で、ジステアロイルフォスファチジルコリン(DSPC):コレステロール:ステアリルアミン=7:3:1となるように秤量し、これらをナス型フラスコを身とお手クロロホルム中に溶解させた。この溶液をロータリーエバポレーターにより減圧乾燥させ、脂質薄膜層を形成した。次いで、得られた脂質薄膜層に対してDSPC濃度で30mg/mLとなるように、実施例1で得られたsiRNA複合体を0.028mg/ml含む溶液を添加し、混合した。その後、エクストルーダーを用いて孔径800nm及び200nmの膜に通して溶液の粒子径を揃え、カチオン性リポソーム形態であるsiRNA送達用組成物(実施例2)を調製した。得られたsiRNA送達用組成物は、粒子径は約200 nmを示し、粒度の均一な粒子のリポソーム形態であった。その組成物のゼータ電位は約50 mVを示した。粒子径は、ZETASIZER 3000HSA (MALVERN INSTRUMENT)(レーザー光回折法を用いて体積平均粒径を測定)によって測定した平均粒径(nm)を示す。ゼータ電位は、ZETASIZER 3000HSA (MALVERN INSTRUMENT)を用いて測定した。
【0069】
実施例3 siRNA複合体を含む核酸送達用組成物の調製
DSPC:コレステロール:ステアリルアミン=7:3:2とすること以外は、上記実施例2と同様の方法で、カチオン性リポソーム形態の核酸送達用組成物を調製した。得られたsiRNA送達用組成物は、実施例2と同様に、粒子径は約200 nmを示し、粒度の均一な粒子のリポソーム形態であった。また、その組成物のゼータ電位は約50 mVを示した。
【0070】
試験例1 siRNAの封入率の評価
siRNAに予めFITC標識をしたものを用いて、上記実施例1と同様の方法で、FITC標識siRNA複合体を調製した。このFITC標識siRNA複合体を用いて、上記実施例2及び3と同条件で、カチオン性リポソーム形態の核酸送達用組成物を調製した。調製直後のsiRNA送達用組成物を遠心処理(75,000 rpm、1時間)により沈殿させ、その上清に存在するFITC標識siRNAの蛍光強度を測定することによりsiRNAの封入率(全siRNAに対するリポソーム内に封入されたsiRNAの割合:%)を算出した。
【0071】
その結果、siRNAの封入率は、実施例2と同条件では97.2%、実施例3と同条件では99.8%と非常に高い値であった。このことから、本発明の核酸複合体は、リポソーム状の核酸送達用キャリアーに効率的に取り込まれる特性を有していることが明らかとなった。限定的な解釈を望むものではないが、これは高度分岐環状デキストリンがsiRNAとコンパクトな複合体を形成することによるものと推察される。
【0072】
試験例2 細胞安全性の評価試験
MTS試験法を用いて評価を行った。MTS試験は、Promega社製のCellTiter96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assayを用いて行った。具体的には、96穴プレートにA594細胞(ATCC, USA)を3.16×104cells/wellで10容量%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)200μL中に播種し、37℃下24時間培養した。ハンクスバランスドサルトソリューション(HBSS)で3回洗浄後、FBSを含まないDMEMに替え、上記実施例1及び2の核酸送達用組成物をそれぞれ1穴当たり20μL添加し、37℃、5%CO2条件下で4時間インキュベートした。次いで、穴中の培養上清を10容量%FBS含有DMEMに替え、更に37℃、5%CO2条件下で20時間インキュベートした。次いで、各穴にMTS(テトラゾリウム塩)試薬20μL及びFBS10容量%含有DMEM培地100μLを加え、2時間インキュベートした。その後、492nmにおける吸光度を測定し、細胞生存率を算出した。なお、細胞生存率は、核酸送達用組成物を添加せずに上記条件でインキュベートした際に測定された492nmにおける吸光度を100%として算出した。
【0073】
得られた結果を図2に示す。図2に示すように、実施例2及び3の核酸送達用組成物のいずれでも、細胞毒性が低く、安全性が高いことが明らかとなった。特に、実施例2及び3の核酸送達用組成物では、安全性が顕著に高いことが確認された。
【0074】
試験例3 siRNAの細胞内への送達効率の評価試験
フローサイトメトリーを用いてsiRNAに標識したFITCの蛍光強度を測定することにより細胞内取り込みを評価した。本試験では、siRNAに予めFITC標識をしたものを用いて調製した核酸送達用組成物を利用した。具体的には、24穴プレートにA594細胞(ATCC, USA)を5×105cells/wellで10容量%FBSを含むDMEM 500μL中に播種し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。HBSSで3回洗浄後、各穴にFBSを含まないDMEM 0.95mLを加え、更に上記実施例1及び2の核酸送達用組成物をそれぞれ1穴当たり0.05mL添加し、37℃、5%CO2条件下で4時間インキュベートした。次いで、穴中の培養上清を10容量%FBS含有DMEMに替え、更に37℃、5%CO2条件下で20時間インキュベートした。各穴をHBSSで1回洗浄後、CellScrubBuffer(Gene Therapy Systems, Inc.製)を0.2mL添加した。そして、37℃、5%CO2条件下で15分間インキュベートした。更に、HBSSで2回洗浄後、トリプシンを用いて、穴底部に付着している細胞を剥がし取り、遠心分離により細胞を回収した。得られた細胞をHBSSに懸濁させた。その懸濁液を孔径41μmの膜に通過させた。核酸送達用組成物の添加2時間後、12時間後及び24時間後の細胞の蛍光強度をフローサイトメトリーを用いて測定した。また、コントロールとして、市販で遺伝子ベクターとして頻用されているLipofectamine2000TM(Invitrogen社製)をOptiMEM培地で0.1mg/mLに希釈した溶液と、TE緩衝液にsiRNAを2μMの濃度で希釈したsiRNA溶液とを容量比1:1で混合して得られた比較用核酸送達用組成物を用いて、上記と同様に細胞の蛍光強度を測定した。
【0075】
得られた結果を図3に示す。この結果から、実施例1及び2の核酸送達用組成物のいずれでも、siRNAが一定の濃度を保持するように細胞内に持続的に維持されていることが確認された。これに対して、比較用核酸送達用組成物の場合では、初期の細胞内へのsiRNAの送達率が低いだけでなく、細胞内のsiRNAが経時的に減少し、添加12時間後及び24時間後では、siRNAが十分に細胞内に存在していなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸、及び高度分岐環状デキストリンを含有する、核酸複合体。
【請求項2】
核酸1重量部当たり、高度分岐環状デキストリンが1〜4000重量部である、請求項1に記載の核酸複合体。
【請求項3】
核酸が、siRNAである、請求項1又は2に記載の核酸複合体。
【請求項4】
高度分岐環状デキストリンが、α-1,4-グルコシド結合と少なくとも1種のα-1,6-グルコシド結合から形成される内分岐環状構造部分を有し、外分岐構造部分が内分岐環状構造部分に結合している、重合度5〜5000のグルカンである、請求項1乃至3のいずれかに記載の核酸複合体。
【請求項5】
核酸と、高度分岐環状デキストリンを水溶液中で混合することにより得られる凝集物である、請求項1乃至4のいずれかに記載の核酸複合体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の核酸複合体、及び核酸送達用キャリアーを含有する、核酸送達用組成物。
【請求項7】
核酸送達用キャリアーが、(A)ジアシルホスファチジルコリン、(B)コレステロール及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(C)脂肪族第1級アミンを含有する組成物である、請求項6に記載の核酸送達用組成物。
【請求項8】
核酸送達用キャリアーに含まれる(A)成分が、アシル基部分の炭素数が4〜23のジアシルホスファチジルコリンである、請求項7に記載の核酸送達用組成物。
【請求項9】
核酸送達用キャリアーに含まれる(B)成分が、コレステロールである、請求項7に記載の核酸送達用組成物。
【請求項10】
核酸送達用キャリアーに含まれる(C)成分が、炭素数が10〜20のアルキルアミンである、請求項7に記載の核酸送達用組成物。
【請求項11】
核酸送達用キャリアーにおける(A)成分:(B)成分:(C)成分のモル比が、5〜9:1〜5:1である、請求項7に記載の核酸送達用組成物。
【請求項12】
核酸送達用キャリアーが、(A)〜(C)成分によりリポソーム膜が形成されたリポソーム製剤である、請求項7に記載の核酸送達用組成物。
【請求項13】
請求項6乃至12のいずれかに記載の核酸送達用組成物を含む、医薬組成物。
【請求項14】
細胞内に核酸を送達する医薬の製造のための、請求項6乃至12のいずれかに記載の核酸送達用組成物の使用。
【請求項15】
細胞内に核酸を送達する方法であって、請求項6乃至12のいずれかに記載の核酸送達用組成物を細胞に接触させる工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−504457(P2011−504457A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517212(P2010−517212)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/JP2008/070642
【国際公開番号】WO2009/061003
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【出願人】(507369626)
【Fターム(参考)】