説明

格闘技ゲーム機

【課題】入賞内容抽選テーブルを交換しても、ペイアウト率の著しい変動が生じない格闘技ゲーム機の提供。
【解決手段】複数種類の中から一のパンチ効力を抽選するための入賞内容抽選テーブルと、この入賞内容抽選テーブルを利用してパンチ効力を抽選する入賞内容抽選手段43と、パンチのアタリ/ハズレを抽選するための当選抽選テーブルと、この当選抽選テーブルを利用してパンチのアタリ/ハズレを抽選する当選抽選手段46とを設け、パンチが命中するか否かの抽選と、パンチの効力を設定するための抽選とを別々に行う。これにより、パンチ効力の当選割合を変更するために、入賞内容抽選テーブルを交換しても、当選抽選テーブルはそのままなので、ペイアウト率が著しく変動することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画面に表示されるコンピュータ側のキャラクタに対して、遊技者が所定の操作を行うことにより打撃技を繰り出し、この打撃技で前記キャラクタをノックアウトするゲームを行う格闘技ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲームセンター等の遊技場では、コンピュータに操られたキャラクタと遊技者が対戦を行うコンピュータ格闘技ゲーム機が利用されている。
このようなコンピュータ格闘技ゲーム機としては、表示装置の画面に、左右に揺動する敵キャラクタを表示し、この敵キャラクタの動きに合わせて、パンチ発射ボタンを押圧操作することにより、敵キャラクタにパンチを当て、遊技者に敵キャラクタをノックアウトさせる打撃系格闘技ゲーム機が知られている。
また、打撃系格闘技ゲーム機としては、敵キャラクタの動きに合わせて、単にパンチ発射ボタンを操作するだけでは、ゲームに面白味が欠ける。そこで、パンチ発射ボタンが押圧操作された際に、当該パンチ発射ボタンに加わる押圧力を検出するセンサを設け、その押圧力に応じてパンチ力を設定できるようにしたものが知られている。
【0003】
このような打撃系格闘技ゲーム機によれば、パンチ発射ボタンの押圧力が強い程、パンチが命中した際における敵キャラクタへのダメージがより大きくなるので、パンチ発射ボタンを強く押圧操作すれば、それだけ早く敵キャラクタをノックアウトでき、ゲームの面白味を増すことができる(例えば、特許文献1参照)。
ここで、パンチ発射ボタンの押圧力を検出するセンサの代わりに、パンチ発射ボタンが押圧操作された際に、パンチ効力抽選テーブルを利用して、パンチの効力を抽選で設定するパンチ効力抽選手段を打撃系格闘技ゲーム機に設け、パンチ効力抽選手段により抽選されたパンチの効力に応じて、敵キャラクタへのダメージを設定し、これにより、ゲームの面白味をさらに増すことも考えられる。
【0004】
すなわち、設定されたパンチ効力及びその抽選確率が互いに異なる複数種類のパンチ効力抽選テーブルを用意し、敵キャラクタがノックアウトされた後、新たな敵キャラクタと対戦するにあたり、パンチ効力抽選テーブルを別のものに交換すれば、パンチが当たっても倒れない等、新たな敵キャラクタの強さを変更することができ、これにより、ゲームの面白味を更に増すことができる。
【特許文献1】特開平9−276548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パンチ等の打撃技が命中する毎に、メダル等の遊技媒体を遊技者に払い出す打撃系格闘技ゲーム機においては、パンチ効力抽選テーブルは、遊技者が当選した入賞の内容、換言すると、遊技者に払い出される遊技媒体の数量を抽選で決める入賞内容抽選テーブルに該当する。
このため、パンチ効力抽選テーブルである入賞内容抽選テーブルを別のものに交換すると、遊技者に払い出される遊技媒体の数量がゲーム毎に大きく異なり、ペイアウト率が著しく変動して安定しなくなるので、健全な打撃系格闘技ゲーム機の運営が困難となってしまう、という問題が発生する。
【0006】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入賞内容抽選テーブルを交換しても、ペイアウト率の著しい変動が生じない格闘技ゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、表示装置(2)の画面に表示されるコンピュータ側のキャラクタ(6)に対して、遊技者が所定の操作を行うことにより打撃技を繰り出し、この打撃技で前記キャラクタ(6)をノックアウトするゲームを行う格闘技ゲーム機(1)であって、ゲームに必要な各種のデータが記憶可能な記憶手段(30)と、遊技者が的確なタイミングで所定の操作を行ったか否かを検知する打撃技タイミング検知手段(21)と、遊技者が対戦相手のキャラクタに向かって繰り出された打撃技が命中するか否かを決める抽選、及び、その打撃技の効力を決める抽選とを行う打撃技効力抽選手段(22)とを備え、前記記憶手段(30)には、遊技者に払い出されるポイントを示す複数種類の入賞内容毎に設定された複数の入賞内容領域を有するとともに、前記複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容が所定の抽選確率で抽選されるように、前記複数の入賞内容領域の各々に、その抽選確率に応じた領域幅が設定されている入賞内容抽選テーブルと、前記複数種類の入賞内容毎に設定されたアタリ領域及びハズレ領域をそれぞれ有するとともに、各入賞内容について、所定の当選確率でアタリ及びハズレの一方が抽選されるように、そのアタリ領域及びハズレ領域のそれぞれに、その当選確率に応じた領域幅が設定されている当選抽選テーブルとが記憶され、前記打撃技効力抽選手段(22)には、前記入賞内容抽選テーブルを利用して、前記複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容を抽選することにより、打撃技の効力を決定する入賞内容抽選手段(43)と、前記当選抽選テーブルを利用して、抽選された入賞内容について、アタリ及びハズレの一方を抽選することにより、打撃技が命中するか否かを決定する当選抽選手段(46)とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、前述した請求項1に記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項2記載の発明は、前記記憶手段(30)に、各入賞内容についての抽選確率が互いに異なる複数種類の入賞内容抽選テーブルが記憶され、前記入賞内容抽選手段(43)は、一の入賞内容抽選テーブルを利用して行われたゲームでキャラクタがノックアウトされると、次のゲームを行うにあたり、前記記憶手段(30)に記憶されている複数の入賞内容抽選テーブルのうち、前のゲームで用いた入賞内容抽選テーブルを除いた残りの入賞内容抽選テーブルの中から一の入賞内容抽選テーブルを新たに抽選し、当該次のゲームでは、新たに抽選した入賞内容抽選テーブルを利用するものとなっていることを特徴とする。
【0009】
(請求項3)
(特徴点)
請求項3記載の発明は、前述した請求項1又は2に記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
すなわち、請求項3記載の発明は、前記記憶手段(30)に、そのアタリ領域の領域幅が互いに異なるように設定されることにより、互いに異なるペイアウト率を達成するように設定された複数種類の当選抽選テーブルが記憶されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容を抽選するための入賞内容抽選テーブルと、この入賞内容抽選テーブルを利用して入賞内容を抽選する入賞内容抽選手段と、抽選した入賞内容のアタリ及びハズレの一方を抽選するための当選抽選テーブルと、この当選抽選テーブルを利用して当該入賞内容のアタリ/ハズレを抽選する当選抽選手段とを設けたので、打撃技が命中するか否かの抽選と、打撃技の効力を設定するための抽選がと別々のものとなる。
【0011】
ここで、打撃技が命中するか否か確率は、直接ペイアウト率に関与するので、打撃技が命中するか否かを抽選するための当選抽選テーブルの内容を変更しなければ、入賞内容抽選テーブルの内容を変更しても、ペイアウト率が著しく変動することはない。
従って、抽選確率が互いに異なる複数種類の入選内容抽選テーブルを用意し、敵キャラクタがノックアウトされた後、新たな敵キャラクタと対戦するにあたり、パンチ効力抽選テーブルを別のものに交換するようにしても、ペイアウト率が著しく変動することがなく、パンチ効力抽選テーブルの交換により、ゲームの面白味を更に増大することができる。
(請求項2の効果)
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0012】
すなわち、請求項2記載の発明によれば、遊技者がキャラクタをノックアウトする毎に、入賞内容抽選手段が自動的に入賞内容抽選テーブルを新しいものと交換するので、記憶手段に記憶されている入賞内容抽選テーブルが全部利用済みとなるまで、遊技者は、常に新しい入賞内容抽選テーブルでゲームが行える、換言すると、常に新しいキャラクタと対戦でき、この点からも、ゲームの面白味を更に増大することができる。
(請求項3の効果)
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0013】
すなわち、請求項3記載の発明によれば、異なるペイアウト率を達成する当選抽選テーブルを必要な数だけ用意することにより、遊技場において格闘技ゲーム機を利用するにあたり、複数の当選抽選テーブルの中から所望のペイアウト率を達成する当選抽選テーブルを選択することができるようになる。これにより、所望のペイアウト率を達成する当選抽選テーブルを利用して、当選抽選手段がアタリ/ハズレの抽選を行うようになるので、所望のペイアウト率で格闘技ゲーム機を運用することができ、健全な格闘技ゲーム機の運営が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態である一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1から図5までの図は、本実施形態を示すものである。図1は、本実施形態に係るコンピュータ格闘技ゲーム機を示す斜視図、図2は、本実施形態に係る遊技制御装置の概略構成を示すブロック図、図3は、本実施形態に係る入賞内容抽選テーブルの構成を説明するための概略構成図、図4は、本実施形態に係る当選抽選テーブルの構成を説明するための概略構成図、図5は、本実施形態に係るパンチ効力抽選手段の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、本実施形態に係るコンピュータ格闘技ゲーム機(以下、「格闘技ゲーム機」と略す。)1は、コンピュータに操られるキャラクタ相手に遊技者がボクシングゲームを行うものである。なお、格闘技ゲーム機1は、図1の如く、遊技者が立ったままゲームを行う縦型に形成されている。
この格闘技ゲーム機1は、CRTや液晶パネル等を含んで構成された表示装置2を備え、表示装置2に映し出されるゲーム画像を見ながら、遊技者が押しボタン装置3を操作することにより遊技が進行するものとなっている。
また、格闘技ゲーム機1に設けられた押しボタン装置3の下方には、メダルが投入されるスロット4Aと、投入したメダルを返却させるための返却レバー4Bと、返却されるメダルの取り出し口である返却口4Cと、遊技の賞品として払い出されるメダルの取り出し口である払い出し口4Dとが設けられている。
【0016】
さらに、格闘技ゲーム機1の内部には、スロット4Aの裏側に配置されるとともに、スロット4Aに投入されたメダルの真贋を判別するメダルセレクタ5Aと、遊技の賞品としてメダルを払い出し口4Dに払い出するメダル払出装置5Bと、ボクシングの臨場感を演出するための音声を発生する音声出力装置5Cと、格闘技ゲーム機1の遊技動作を制御するための遊技制御装置5とが設けられている。なお、図1には図示されていないが、格闘技ゲーム機1には、当該格闘技ゲーム機1のペイアウト率を設定するために、表示装置2に表示可能となったペイアウト率設定画面が設けられている。
表示装置2の画面には、コンピュータに操られるキャラクタ6(図1では「熊」となっている。)と、キャラクタ6に残っている体力を示す体力ゲージ6Aと、押しボタン装置3の操作によりキャラクタ6へ繰り出されるパンチとなるグローブ7と、遊技者の対戦結果が反映されるトーナメント表8とが映し出されるようになっている。
【0017】
ここで、格闘技ゲーム機1には、トーナメント方式によるボクシングゲームの勝ち抜き戦が設定されている。すなわち、格闘技ゲーム機1は、表示装置2に表示されるとともにコンピュータに操られているキャラクタ6を相手にするボクシングゲームを遊技者が行い、優勝を目標に、トーナメント方式の勝ち抜き戦を勝ち抜くことができれば、遊技者の優勝となる対戦ゲームを行うものとなっている。
そして、格闘技ゲーム機1は、所定時間内(例えば5秒間)に、遊技者が、キャラクタ6にパンチを命中させ、これにより、キャラクタ6をノックアウトすれば、遊技者に次の対戦を行わせるとともに、ミニボーナスが与えられるようになっている。
【0018】
また、格闘技ゲーム機1は、ボクシングゲームにジャックポットゲームを組み合わせたゲームを行うものとなっている。すなわち、格闘技ゲーム機1は、ゲーム中にジャックポット用のポイントを適宜積み立てていき、遊技者がトーナメント方式の勝ち抜き戦で優勝すると、積み立てられた全ポイントに相当するメダルが当該遊技者に払い出されるようになっている。
キャラクタ6は、表示装置2に左右に揺動しながら表示されるものであり、パンチが命中すると次第に体力ゲージ6Aに示される体力が減少していくものとなっている。
押しボタン装置3は、表示装置2に左右に揺動しながら表示されるキャラクタ6に向かってパンチを繰り出すためのパンチ発射ボタンとなっている。
【0019】
なお、グローブ7は、遊技者がスロット4Aに投入したメダルの枚数に応じて、換言すると、ベット数に応じて、表示装置2に表示される表示態様が異なるものとなっている。
より詳しく説明すると、グローブ7は、例えば、遊技者がスロット4Aに1枚のメダルを投入すると、その表示態様として通常のグローブが表示され、2枚のメダルを投入すると、その表示態様として雷の稲光を伴う放電状態のグローブが表示され、3枚のメダルを投入すると、その表示態様として炎に包まれたグローブが表示されるようになっている。
前述の遊技制御装置5は、その主要構成部品としてマイクロコンピュータを備え、このマイクロコンピュータに専用の制御プログラムをインストールし、これにより、格闘技ゲーム機1の遊技動作を制御するようにしたものである。
【0020】
遊技制御装置5には、図2に示すように、メダルセレクタ5A、押しボタン装置3及びペイアウト率設定画面により設定されたペイアウト設定値に基づき処理を行う入力信号処理手段9と、トーナメント表8を作成するためのトーナメント表作成部10と、格闘技ゲーム機1のゲームそのものの動作を制御する遊技制御部20と、コンピュータに操られる複数のキャラクタについての各データを記憶している記憶手段30と、音声出力装置5Cを制御するための音声制御手段31と、表示装置2を制御するための表示画像制御手段32と、メダル払出装置5Bを制御するためのメダル払出制御手段33と、ジャックポットゲームを実行するための処理を行うジャックポット処理手段34とが設けられている。
【0021】
このうち、トーナメント表作成部10は、遊技者及び複数のキャラクタの対戦に係る組み合わせを抽選で決定し、この決定した組み合わせに基づいて、トーナメント表を作成するものとなっている。
すなわち、トーナメント表作成部10には、遊技者及び複数のキャラクタにより行われるトーナメント方式による対戦の組み合わせである対戦割を抽選で決定する対戦割決定手段11と、遊技者がコンピュータと実際に対戦を行う実対戦以外の仮想対戦の結果を抽選で決定する、換言すると、トーナメントにおける遊技者の次の対戦相手を決定することとなる対戦結果抽選手段12と、対戦割決定手段11が決定したトーナメント方式による対戦割に対応したトーナメント表8を作成し、且つ、実対戦の終了後に、前述の実対戦の結果をトーナメント表8に反映して表示していく対戦結果表示手段13とが設けられている。
【0022】
記憶手段30は、ゲームに必要な各種のデータをすべて記憶可能な大容量の記憶素子を含んで構成されたものである。この記憶手段30には、コンピュータに操られる複数のキャラクタについての各データの他に、遊技者に払い出されるポイントを示す入賞内容の抽選を行う際に利用される複数種類の入賞内容抽選テーブルと、抽選で選んだ入賞内容について、アタリ及びハズレの一方を抽選する際に利用される複数種類の当選抽選テーブルとが記憶されている。
このうち、入賞内容抽選テーブルの各々は、遊技者に払い出されるポイントとしてのメダル枚数を示す複数種類の入賞内容毎に設定された複数の入賞内容領域を有するとともに、前述した複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容が所定の抽選確率で抽選されるように、前述した複数の入賞内容領域の各々に、その抽選確率に応じた領域幅が設定されているものとなっている。
【0023】
以下に、入賞内容抽選テーブルについて更に詳しく説明する。記憶手段30には、入賞内容抽選テーブルとして、図3に示すように、複数種類の入賞内容毎に設定された抽選確率(以下、「当選割合」という。)が互いに異なるAテーブル、Bテーブル、及び、Cテーブルの3種類が記憶されている。
Aテーブル、Bテーブル、及び、Cテーブルには、メダルの当選枚数が1枚の「ストック」、メダルの当選枚数が1枚の「ヒット」、メダルの当選枚数が2枚の「ヒット」、メダルの当選枚数が4枚の「クリーンヒット」、メダルの当選枚数が6枚の「クリーンヒット」、メダルの当選枚数が14枚の「KO」が入賞内容として設定されている。
【0024】
なお、入賞内容「ストック」に当選すると、そのときにはメダルの払い出しがなく、ジャックポットゲームのポイントとして、当選枚数のメダルを積み立てておく処理が行われるようになっている。このようにジャックポットゲームのポイントとして積み立てられたメダルは、トーナメントに優勝したときにまとめて払い出されるビッグボーナスの一部を構成するものである。
そして、Aテーブルは、入賞内容「KO」の当選割合が90.0%と他のものよりも著しく高く設定されたKO用のテーブルである。このAテーブルにおいては、入賞内容「ストック」の当選割合が0.0%とされ、残りの入賞内容「ヒット」及び入賞内容「クリーンヒット」の当選割合がすべて2.5%に設定されている。
【0025】
Bテーブルは、入賞内容「KO」及び入賞内容「クリーンヒット」の入賞内容の当選割合が著しく低い連続はずれ時用のテーブルである。このBテーブルにおいては、入賞内容「KO」の当選割合が0.1%、入賞内容「クリーンヒット」のうち、当選枚数が4枚のものの当選割合が0.5%、及び、入賞内容「クリーンヒット」のうち、当選枚数が6枚のものの当選割合が0.4%と低く設定されている。残りについては、入賞内容「ヒット」のうち、当選枚数が1枚のものの当選割合が50.0%、及び、入賞内容「ヒット」のうち、当選枚数が2枚のものの当選割合が49.0%と高く設定され、また、入賞内容「ストック」の当選割合が0.0%とされている。
【0026】
Cテーブルは、使用される頻度の高い通常用のテーブルである。このCテーブルにおいては、入賞内容「KO」の当選割合が3.0%、入賞内容「クリーンヒット」のうち、当選枚数が4枚のものの当選割合が20.0%、及び、入賞内容「クリーンヒット」のうち、当選枚数が6枚のものの当選割合が15.0%にそれぞれ設定されている。残りについては、入賞内容「ヒット」のうち、当選枚数が1枚のものの当選割合が35.0%、及び、入賞内容「ヒット」のうち、当選枚数が2枚のものの当選割合が14.0%、入賞内容「ストック」の当選割合が13.0%にそれぞれ設定されている。
一方、当選抽選テーブルの各々は、前述した複数種類の入賞内容毎に設定されたアタリ領域及びハズレ領域をそれぞれ有するとともに、各入賞内容について、所定の当選確率でアタリ及びハズレの一方が抽選されるように、そのアタリ領域及びハズレ領域のそれぞれに、その当選確率に応じた領域幅が設定され、これにより所定のペイアウト率を達成するように構成されたものである。
【0027】
以下に、当選抽選テーブルについて更に詳しく説明する。記憶手段30には、当選抽選テーブルとして、図4に示すように、互いに異なる、具体的には、15%から95%まで5%ずつシフトするようにペイアウト率(以下、「P/O率」という。)がそれぞれ設定された17種類のテーブルが記憶されている。なお、図4には、紙面の都合上、15%テーブル、55%テーブル及び95%テーブルの三つのみが示されている。
前述のペイアウト率設定画面は、所定段階のペイアウト設定位置、例えば、17段階よりも多くの設定位置を有するものとなっている。このペイアウト率設定画面により、17種類の当選抽選テーブルに対応して、15%から95%までの範囲内において、5%ずつシフトさせてP/O率を設定することができるようになっている。
【0028】
95%テーブルは、P/O率が95%となるように、メダルの当選枚数が1枚の入賞内容「ストック」及び「ヒット」、2枚の入賞内容「ヒット」、4枚の入賞内容「クリーンヒット」、6枚の入賞内容「クリーンヒット」、及び、14枚の入賞内容「KO」の各々について、当選確率(以下、「入賞率」という。)がそれぞれ95.0%、47.5%、23.8%、15.9%及び6.8%に設定されている。
55%テーブルは、P/O率が55%となるように、メダルの当選枚数が1枚の入賞内容「ストック」及び「ヒット」、2枚の入賞内容「ヒット」、4枚の入賞内容「クリーンヒット」、6枚の入賞内容「クリーンヒット」、及び、14枚の入賞内容「KO」の各々について、入賞率がそれぞれ55.0%、27.5%、13.8%、9.2%及び3.95%に設定されている。
【0029】
15%テーブルは、P/O率が15%となるように、メダルの当選枚数が1枚の入賞内容「ストック」及び「ヒット」、2枚の入賞内容「ヒット」、4枚の入賞内容「クリーンヒット」、6枚の入賞内容「クリーンヒット」、及び、14枚の入賞内容「KO」の各々について、入賞率がそれぞれ15.0%、7.5%、3.8%、2.5%及び1.1%に設定されている。
図2に戻って、遊技制御部20は、遊技者の押しボタン装置3への操作が適切なタイミングで行われたか否かに基づいて、パンチがキャラクタ6に命中したか否かを判定し、その判定結果に基づいてゲームを進行させるものとなっている。
【0030】
すなわち、遊技制御部20には、遊技者が的確なタイミングで押しボタン装置3を操作したか否かを検知する打撃技タイミング検知手段としてのパンチタイミング検知手段21と、遊技者が対戦相手のキャラクタ6に向かって繰り出したパンチが命中するか否かを決めるとともに、命中したパンチの効力を決めるための抽選を行う打撃技効力抽選手段としてのパンチ効力抽選手段22と、キャラクタ6を表示装置2の画面に左右に揺動させながら表示するとともに、キャラクタ6にパンチが命中した際には、パンチの効力に応じた動作をするように、キャラクタ6の動きを制御するキャラクタ動作制御手段23とが設けられている。
【0031】
このうち、キャラクタ動作制御手段23は、キャラクタ6にパンチが命中した際のキャラクタ6の動きについては、パンチの効力が強い程、より大きなダメージをキャラクタ6が受けたように、キャラクタの動作を制御するものとなっている。
また、キャラクタ動作制御手段23は、対戦相手となるキャラクタ6だけでなく、グローブ7や対戦の審判をするレフェリー等を含む、表示装置2の画面に映し出されるすべての像のイメージデータ信号と、その動きを制御する制御信号とを表示画像制御手段32へ送り出すようになっている。
さらに、キャラクタ動作制御手段23は、画面に映し出されるすべての像及びその動きに対応した音声データ信号を、音声制御手段31へ送り出すようになっている。
【0032】
表示画像制御手段32には、対戦結果表示手段13からトーナメント表8を作成するためのトーナメント表データ信号が送られるようになっている。
そして、表示画像制御手段32は、対戦結果表示手段13からのトーナメント表データ信号に基づいてトーナメント表8を作成し、このトーナメント表8を、キャラクタ動作制御手段23からのイメージデータ信号及び制御信号に基づいて作成した動画の角隅部分の上に重ねて表示するものとなっている。
メダル払出制御手段33には、パンチが命中するたびに、パンチ効力抽選手段22から、命中したパンチの効力の大きさについての効力データ信号が送られるようになっている。
【0033】
ここで、メダル払出制御手段33は、パンチ効力抽選手段22からの効力データ信号に基づいて払い出すべきメダルの枚数を示す払出値を設定し、この払出値に応じた枚数のメダルを払い出すように、メダル払出装置5Bを制御するようになっている。
パンチ効力抽選手段22は、遊技者が的確なタイミングで押しボタン装置3を操作したことをパンチタイミング検知手段21が検知したときのみ、パンチ効力の抽選を行うものであり、遊技者の操作タイミングが不的確な場合には、パンチ効力の抽選を行わないように構成されている。
このパンチ効力抽選手段22が、本発明に基づく打撃技効力抽選手段となっている。換言すると、パンチ効力抽選手段22は、遊技者が対戦相手のキャラクタに向かって繰り出された打撃技が命中するか否かを決める抽選と、その打撃技の効力を決める抽選とを行うものとなっている。
【0034】
そして、パンチ効力抽選手段22には、図5に示すように、入賞内容の抽選を行う入賞内容抽選部22A と、打撃技が命中するか否かを抽選する当選抽選部22B と、優勝までのノックアウト回数を計数する計数部22C とが設けられている。
入賞内容抽選部22A には、記憶手段30に記憶された複数の入賞内容抽選テーブルの中から、一の入賞内容抽選テーブルを読み込む入賞内容抽選テーブル読み込み手段41と、この入賞内容抽選テーブル読み込み手段41が読み込んだ入賞内容抽選テーブルを保持する入賞内容抽選テーブル保持手段42と、この入賞内容抽選テーブル保持手段42が保持している入賞内容抽選テーブルを利用して入賞内容の抽選を行う入賞内容抽選手段43とが設けられている。
【0035】
入賞内容抽選テーブル読み込み手段41は、記憶手段30に記憶されている一の入賞内容抽選テーブルを読み込むと、当該入賞内容抽選テーブルの読み込み済みフラグを立てるようになっている。
また、入賞内容抽選テーブル読み込み手段41は、一の入賞内容抽選テーブルを利用したゲームでキャラクタがノックアウトされると、次のゲームを行うにあたり、記憶手段に記憶されている複数の入賞内容抽選テーブルのうち、読み込み済みフラグの立っていない入賞内容抽選テーブルを抽選して読み込むようになっている。
これにより、入賞内容抽選テーブル読み込み手段41は、一の入賞内容抽選テーブルを利用して行われたゲームでキャラクタがノックアウトされると、次のゲームを行うにあたり、記憶手段30に記憶されている複数の入賞内容抽選テーブルのうち、前のゲームで利用した入賞内容抽選テーブルを除いた残りの入賞内容抽選テーブルの中から一の入賞内容抽選テーブルを新たに抽選するようになっている。
【0036】
このような入賞内容抽選テーブル読み込み手段41により、入賞内容抽選手段43は、新たなゲームでは、それまで利用していない新しい入賞内容抽選テーブルを利用して入賞内容の抽選が行えるようになっている。
また、入賞内容抽選手段43は、入賞内容抽選テーブルを利用した抽選により、パンチの効力を決定する、より詳しく言えば、入賞内容抽選テーブルを利用して、複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容を抽選し、抽選した入賞内容により遊技者に払い出されるメダル枚数である当選枚数に基づいてパンチの効力を決定するものとなっている。
なお、入賞内容抽選テーブルとしては、例えば、所定範囲のおいて多数の整数値が配列されたテーブルであって、これらの整数値の配列を適宜区画することにより、複数の入賞内容領域が形成されたものが採用できる。
【0037】
そして、入賞内容抽選手段43としては、乱数発生処理により、所定範囲で乱数を発生させ、発生させた乱数が入賞内容抽選テーブルのどの領域に属しているかを参照することにより、入賞内容の抽選を行うものが採用できる。
当選抽選部22B には、記憶手段30に記憶された複数の当選抽選テーブルの中から、一の当選抽選テーブルを読み込む当選抽選テーブル読み込み手段44と、この当選抽選テーブル読み込み手段44が読み込んだ当選抽選テーブルを保持する当選抽選テーブル保持手段45と、この当選抽選テーブル保持手段45が保持している当選抽選テーブルを利用して、入賞内容抽選手段43が抽選で選んだ入賞内容について、そのアタリ/ハズレの抽選を行う当選抽選手段46とが設けられている。
【0038】
当選抽選テーブル読み込み手段44は、電源投入操作、所定のリセット操作、あるいは、図示しないリセットスイッチの操作の何れかが行われると、ペイアウト率設定画面によって設定されたペイアウト率を読み込み、記憶手段に記憶されている複数の当選抽選テーブルのうち、読み込んだペイアウト率に対応する当選抽選テーブルを読み込むようになっている。
当選抽選手段46は、当選抽選テーブルを利用して、入賞内容抽選手段43が抽選で選んだ入賞内容について、アタリ及びハズレの一方を抽選することにより、パンチが命中するか否かを決定するものである。
【0039】
そして、当選抽選手段46が抽選でアタリを選ぶと、入賞内容抽選手段43が抽選で選んだ入賞内容に設定された当選枚数のメダルを遊技者に払い出すように指令する払出指令信号が、パンチ効力抽選手段22からメダル払出制御手段33へ送出されるようになっている。
なお、当選抽選テーブルとしては、例えば、所定範囲のおいて多数の整数値が配列されたテーブルであって、これらの整数値の配列を適宜区画することにより、アタリ領域及びハズレ領域が複数形成されたものが採用できる。
そして、当選抽選手段46としては、乱数発生処理により、所定範囲で乱数を発生させ、発生させた乱数が当選抽選テーブルのどの領域に属しているかを参照することにより、アタリ/ハズレを抽選するものが採用できる。
【0040】
ここで、入賞内容抽選手段43が入賞内容「ストック」を抽選で選んだ場合には、当選抽選手段46の抽選により、アタリ及びハズレのいずれが選ばれても、表示装置2の画面においては、パンチがハズレとなるように演出されるようになっている。
この場合、当選抽選手段46は、アタリを抽選すると、メダルの払い出しを行わずに、ジャックポットゲームのポイントとして、入賞内容「ストック」に設定された当選枚数分のメダルを積み立てておくように指令する積立指令信号をジャックポット処理手段34へ送出するようになっている。
反対に、当選抽選手段46は、ハズレを抽選すると、払出指令信号及び積立指令信号の何れも送出しないようになっている。
【0041】
また、当選抽選手段46は、アタリを抽選すると、アタリとなった入賞内容に設定された当選枚数に応じて、単にパンチの効力を示す通常効力データ信号、ノックアウトには至らないがキャラクタ6のダウンを奪える程度の効力を示すダウン効力データ信号、及び、キャラクタ6をノックアウトさせる程の効力を示すノックアウト効力データ信号のうちのいずれかをキャラクタ動作制御手段23へ送出するようになっている。
さらに、当選抽選手段46は、アタリを抽選するとともに、アタリとなった入賞内容が「KO」の場合、ノックアウト信号をノックアウト回数計数手段47へ送出するようになっている。ノックアウト回数計数手段47は、ノックアウト信号に基づいて、ノックアウトの回数を計数する、具体的には、ノックアウト信号を受信する毎に、ノックアウト回数を示す変数Nに1を加算していくものとなっている。
【0042】
このノックアウト回数計数手段47は、ノックアウト回数が所定回数に達すると、例えば、ノックアウト回数が3回になると、優勝信号を当選抽選手段46及びリセット手段48へ送出するようになっている。
リセット手段48は、遊技者がトーナメントに優勝した後、トーナメント方式の勝ち抜き戦を最初の状態に戻して開始できるように、優勝信号を受信すると、勝ち抜き戦の進行にともない変化していった変数等を初期値にリセットするものである。例えば、リセット手段48は、優勝信号を受信すると、入賞内容抽選テーブル読み込み手段41の読み込み時に立てられた入賞内容抽選テーブルの読み込み済みフラグをすべてリセットするように構成されている。
【0043】
図2に戻って、ジャックポット処理手段34は、ジャックポットゲームに必要なポイントの積み立てを行うとともに、必要に応じて、積み立てたポイントに相当したメダルの枚数に関する貯留値データ信号をメダル払出制御手段33へ送出する機能を有するものとなっている。
このジャックポット処理手段34は、パンチ効力抽選手段22の当選抽選手段46から積立指令信号を受信すると、積立指令信号に示されている当選枚数分のメダルを積み立てていくように構成されている。
また、ジャックポット処理手段34は、当選抽選手段46を経由して、ノックアウト回数計数手段47からの優勝信号を受信するようになっており、この優勝信号を受信すると、貯留値データ信号をメダル払出制御手段33へ送出するようになっている。
【0044】
メダル払出制御手段33は、貯留値データ信号を受信すると、この貯留値データ信号に含まれる枚数のメダル、すなわち、それまでに積み立ててきたポイントに相当する枚数のメダルをすべて払い出すように、メダル払出装置5Bを制御するようになっている。
次に、本実施形態に係る格闘技ゲーム機1の動作について、図6〜図9のフローチャートを参照しながら説明する。なお、これらの図6〜図9において、円の内部に数字(丸数字)が記された部位は、各ステップの接続点を表している。
まず、メダルが格闘技ゲーム機1の電源が投入されると、図6の如く、ステップS100から始まるゲーム準備処理が実行される。
【0045】
このゲーム準備処理が完了すると、遊技者がメダルを投入するまで、ステップS200で待機し、遊技者がメダルを投入すると、次のステップS300からゲーム処理が開始され、所定のゲーム時間が経過するまでの間、遊技者は、格闘技ゲーム機1のゲームを楽しむことができる。
そして、遊技者がトーナメントに優勝すると、ゲーム処理は終了し、この後、ステップS400から始まる優勝処理が実行される。
ステップS100では、入賞内容抽選テーブル読み込み手段41により、図7に示すように、記憶手段30に記憶された複数の入賞内容抽選テーブルのうち、デフォルトとして設定された一の入賞内容抽選テーブルが読み込まれて入賞内容抽選テーブル保持手段42に保持されるとともに、読み込まれた入賞内容抽選テーブルの読み込み済みフラグが立てられ、この後、次のステップS110へ進む。
【0046】
ステップS110では、当選抽選テーブル読み込み手段44により、ペイアウト率設定画面により指定されているのP/O率が読み取られ、記憶手段30に記憶された複数の当選抽選テーブルのうち、ペイアウト率設定画面の指定するP/O率に該当する一の当選抽選テーブルが読み込まれて当選抽選テーブル保持手段45に保持される。この当選抽選テーブルの保持が完了したら、次のステップS120へ進む。
ステップS120では、ノックアウト回数計数手段47により、ノックアウト回数Nが初期器設定される。この初期設定が完了すると、ゲーム準備処理は終了し、次のステップS200へ進む。
【0047】
図6に戻って、ステップS200では、遊技者がメダルを投入するまで待機し、遊技者がメダルを投入したら、次のステップS300に進む。このステップS300からゲーム処理が開始され、遊技者によってゲームが行われる。
ゲーム処理が開始されるステップS300からステップS360までの間で、遊技者が押しボタン装置3を押圧操作する毎に放たれる一のパンチについて、命中するか否か、及び、どのくらいの効力をあるのか等の、当該パンチについての効力判定が行われる。
すなわち、ステップS300では、図8に示すように、ゲーム開始から所定時間、例えば、5秒間の時間が経過したか否かの判断が行われる。ここで、所定時間が経過したと判断されると、当該ゲームが終了となり、ステップS200へ戻る。一方、ステップS300で、所定時間が経過していないと判断されると、当該ゲームが継続されることとなり、次のステップS310へ進む。
【0048】
ステップS310では、遊技者による押しボタン装置3の押圧操作の検出が行われ、この押圧操作の検出が完了したら、次のステップS320へ進む。
ステップS320では、ステップS310における検出結果に基づいて所定の判断がなされる。すなわち、ステップS310における検出結果が、「押圧操作されなかった」である場合には、ステップS300へ戻り、ステップS300からステップS320を繰り返し、所定時間が経過するまでの間、遊技者による押しボタン装置3の押圧操作を待つ。
一方、ステップS310における検出結果が、「押圧操作された」である場合には、次のステップS330へ進む。
【0049】
ステップS330では、遊技者による押しボタン装置3の押圧操作タイミングが適切であったか否かが判断される。このステップS330で、押しボタン装置3の押圧操作タイミングが不適切であると判断された場合には、今回のパンチは、キャラクタ6に命中せずにハズレとなり、次のパンチについての効力判定を行うべくステップS300へ戻る。
一方、ステップS330で、押しボタン装置3の押圧操作タイミングが適切であると判断された場合には、今回のパンチがキャラクタ6に命中したとの判断が下される可能性があるので、次のステップS340へ進む。
ステップS340では、ステップS100で読み込んだ入賞内容抽選テーブルを利用して、入賞内容抽選手段43が入賞内容の抽選を行い、この後、ステップS350へ進む。
【0050】
ステップS350では、当選抽選手段46が、ステップS110で読み込んだ当選抽選テーブルを利用して、ステップS340で抽選した入賞内容について、アタリ/ハズレの抽選を行う。このアタリ/ハズレの抽選が完了したら、ステップS360へ進む。
ステップS360では、ステップS310で当選抽選手段46が抽選した抽選結果がアタリであるか否かが判断される。ここで、当選抽選手段46による抽選結果がアタリでなく、ハズレの場合には、今回のパンチは、キャラクタ6に命中せずにハズレとなるので、次のパンチについての効力判定を行うべくステップS300へ戻る。
一方、当選抽選手段46による抽選結果がアタリである場合には、ステップS300で入賞内容抽選手段43が抽選した入賞内容を獲得することとなり、この後、次のステップS370へ進む。
【0051】
ステップS370では、ステップS300で入賞内容抽選手段43が抽選した入賞内容が「KO」であるか否かが判断される。ここで、入賞内容抽選手段43により入賞内容が「KO」でない場合には、ステップS380へ進み、当該入賞内容が「KO」である場合には、ステップS390へ進む。
ステップS380では、ステップS370で獲得した入賞内容に応じた処理が行われる。
すなわち、入賞内容が「ヒット」又は「クリーンヒット」である場合には、当該入賞内容に設定された当選枚数に応じた枚数のメダルが遊技者に払い出される。一方、入賞内容が「ストック」である場合には、当該入賞内容に設定された当選枚数に応じた枚数のメダルがジャックポットゲームの賞品として積み立てられる。
【0052】
ステップS380において、このような入賞内容に応じた処理が完了すると、今回のパンチに係る処理が全部終了するので、次のパンチについての効力判定を行うべくステップS300へ戻る。
ステップS390では、入賞内容の「KO」に応じた処理が行われる。
すなわち、表示装置2の画面にキャラクタ6がダウンしている画像を映し出し等の「KO」演出が行われる。これと同時に、当該入賞内容の「KO」に設定された当選枚数に応じた枚数のメダルが、ミニボーナスとして遊技者に払い出される。
これら「KO」演出処理及びミニボーナス払出処理が完了すると、ゲーム処理は終了し、次のステップS400からトーナメント優勝処理が開始される。
【0053】
トーナメント優勝処理が開始されるステップS400では、今回の「KO」により遊技者がトーナメントに優勝したか否かが判断される。すなわち、ステップS400では、ノックアウト回数Nが優勝までに遊技者が行わなければならない試合の回数L、例えば、「3」に達したか否かの判断がおこなわれる。
ステップS400で、ノックアウト回数Nが回数Lに達していない場合には、遊技者が未だ優勝していないと判断され、ステップS410へ進む。
ステップS410では、ノックアウト回数Nの更新処理、具体的には、ノックアウト回数Nに「1」を加える処理を行い、この更新処理が完了したら、ステップS430へ進む。
【0054】
一方、ステップS400で、ノックアウト回数Nが回数Lに達している場合には、遊技者がトーナメントに優勝したと判断され、ステップS421へ進み、ステップS421〜S423において、優勝処理が行われる。
すなわち、ステップS420では、ジャックポット処理手段34により、それまでに積み立てられていた全ポイントに相当する枚数のメダルを、遊技者にボーナスとして払い出す優勝ボーナス払出処理が行われる。
この払い出す優勝ボーナス払出処理が完了したら、ステップS421へ進む。そして、このステップS421でノックアウト回数Nのリセット処理、具体的には、ノックアウト回数Nを「1」に戻す処理を行う。
【0055】
ステップS421のリセット処理が完了したら、ステップS422へ進む。このステップS422では、パンチ効力抽選手段22のリセット手段48により、記憶手段30に記憶されている入賞内容抽選テーブルのすべてについて、その読み込み済みフラグをリセットするフラグリセット処理が行われる。このフラグリセット処理が完了したら、次のステップS430へ進む。
ステップS430では、入賞内容抽選手段43により、記憶手段30に記憶された複数の入賞内容抽選テーブルのうち、読み込み済みフラグが立っていないものが抽選候補として抽出され、この後、次のステップS440へ進む。
ステップS440では、入賞内容抽選手段43により、入賞内容抽選テーブルの抽選候補の中から一の入賞内容抽選テーブルを抽選する。この抽選が完了したら、次のステップS450へ進む。
【0056】
ステップS450では、入賞内容抽選テーブル読み込み手段41により、ステップS440で抽選された入賞内容抽選テーブルが読み込まれて入賞内容抽選テーブル保持手段42に保持されるとともに、読み込まれた入賞内容抽選テーブルの読み込み済みフラグが立てられ、以上により、トーナメント優勝処理が終了し、この後、ステップS200へ戻り、遊技者がメダルと投入すると、ステップS300からゲームが再び開始される。
そして、以上のような動作は、格闘技ゲーム機1の電源が落とされるまで、何度も繰り返し行われる。
次に、本実施形態に係る格闘技ゲーム機1で行われるボクシングゲームついて、図面を参照しながら説明する。
【0057】
本実施形態に係る格闘技ゲーム機1では、スロット4Aにメダルが投入されると、押しボタン装置3による操作が機能するようになる。具体的には、遊技者は、押しボタン装置3の操作により、キャラクタ6に向かってパンチを放つことが可能となる。
そして、格闘技ゲーム機1の表示装置2の画面には、図10(A)に示すように、キャラクタ動作制御手段23により、キャラクタ6が画面に左右に揺動しながら表示される。この左右に揺動するキャラクタ6は、図10(B)に示すように、演出のためパンチを所定の頻度で繰り出してくる。
このようなキャラクタ6に対し、遊技者は、遊技者が押しボタン装置3を押圧操作して、キャラクタ6にパンチを命中させようとする。
【0058】
ここで、キャラクタ6の揺動速度に応じたタイミングで、遊技者が押しボタン装置3を押圧操作することができ、且つ、パンチ効力抽選手段22が抽選により、パンチが命中したという抽選結果を引き当てたとすると、図10(C)に示すように、表示装置2の画面には、キャラクタ6にパンチが命中するとともに、メダルMが発生して空中を舞う画像とが映し出される。
そして、遊技者には、実際に、パンチ効力抽選手段22の抽選によって得られたパンチの効力に応じた枚数のメダルがメダル払出装置5Bから払い出される。
また、パンチが命中するたびに、表示装置2の画面角隅に映し出される体力ゲージ6Aが示す体力値は減少していく。
【0059】
この際、パンチ効力抽選手段22が、ノックアウトには至らないがキャラクタ6のダウンを奪える程度のパンチ効力を抽選により決定すると、表示装置2の画面には、図10(D)に示すように、パンチのダメージにより、ふらつくキャラクタ6がゲームの演出として映し出される。
そして、ゲームが開始されてから所定時間が経過しても、キャラクタ6をノックアウトすることができない場合には、図11(E)に示すように、表示装置2の画面中央にレフェリー14が登場して、ゲームの終了を宣言し、表示装置2の画面の右側に設定されたメダル枚数表示領域15に、この対戦で払い出されたメダルの枚数を表示した後、遊技者がトーナメント戦に優勝することなく、ボクシングゲームが終了する。
【0060】
一方、パンチ効力抽選手段22が、キャラクタ6をノックアウトさせる程のパンチ効力を抽選により決定すると、表示装置2の画面には、図11(F)に示すように、ダウンしたキャラクタ6と、その右側に立ってカウントするレフェリー14が映し出され、レフェリー14がカウントし終わると、図11(G)に示すように、レフェリー14が消え、その代わりにノックアウトを示す「KO」のマーク16が表示され、以上により本対戦が終了する。
ここで、キャラクタ6がトーナメント戦における最後の対戦者である場合には、遊技者がトーナメント戦に優勝することとなり、キャラクタ6が最後の対戦者でない場合には、トーナメント戦における次の対戦へ遊技者が進むこととなる。
【0061】
続いて、本実施形態に係る表示装置2の画面に映し出されるトーナメント表8の動きについて、図面を参照しながら説明する。
まず、遊技者が最初の対戦である第1回戦を開始すると、図12(A)に示すように、トーナメント表8の図中最下段左端の線分8Aが太くなるとともに、点滅表示される。
そして、遊技者が最初の対戦相手であるキャラクタをノックアウトすると、図12(B)に示すように、トーナメント表8の図12(B)における中段左端の線分8Bが太くなるとともに、前述の線分8Aと連結され、相互に連結された線分8A及び線分8B全体が太くなる。
【0062】
この後、遊技者が次の対戦である第2回戦を開始すると、図12(C)に示すように、トーナメント表8の太い状態で連結している線分8A及び線分8B全体が点滅表示される。
そして、遊技者が第2回戦のキャラクタをノックアウトすると、図12(D)に示すように、トーナメント表8の図12(D)における上段左端の線分8Cが太くなるとともに、前述の線分8A,8Bと連結され、相互に連結された線分8A〜8C全体が太くなる。
次いで、遊技者が最後の対戦である第3回戦、換言すると、決勝戦を開始すると、図12(E)に示すように、トーナメント表8の太い状態で連結している線分8A〜8C全体が点滅表示される。
【0063】
そして、遊技者が決勝戦のキャラクタをノックアウトすると、遊技者がトーナメント戦の優勝者となるので、図12(F)に示すように、太くなっている線分8A〜8Cの上端部分が、トーナメント表8の頂上に設けられた王冠マーク8Dまで延び、これと同時に、王冠マーク8Dが点滅表示される。この王冠マーク8Dの点滅開始とほぼ同時に、遊技者には、メダル払出制御手段33により、それまでに積算されてきた貯留値の合計値に応じた枚数のメダルが払い出され、以上により、ボクシングゲームが終了する。
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容を抽選するための入賞内容抽選テーブルと、この入賞内容抽選テーブルを利用して入賞内容を抽選する入賞内容抽選手段43と、抽選した入賞内容のアタリ及びハズレの一方を抽選するための当選抽選テーブルと、この当選抽選テーブルを利用して当該入賞内容のアタリ/ハズレを抽選する当選抽選手段46とを設けたので、打撃技が命中するか否かの抽選と、打撃技の効力を設定するための抽選とを別々に行うことができる。
【0064】
ここで、打撃技が命中するか否か確率は、直接P/O率に関与するので、打撃技が命中するか否かを抽選するための当選抽選テーブルの内容を変更しなければ、入賞内容抽選テーブルの内容を変更しても、ペイアウト率が著しく変動することはない。
従って、抽選確率が互いに異なる複数種類の入選内容抽選テーブルを用意し、敵キャラクタがノックアウトされた後、新たな敵キャラクタと対戦するにあたり、パンチ効力抽選テーブルを別のものに交換するようにしても、ペイアウト率が著しく変動することがなく、パンチ効力抽選テーブルの交換により、ゲームの面白味を更に増大することができる。
また、遊技者がキャラクタをノックアウトする毎に、入賞内容抽選手段43が自動的に入賞内容抽選テーブルを新しいものと交換するようにしたので、記憶手段30に記憶されている入賞内容抽選テーブルが全部利用済みとなるまで、遊技者は、常に新しい入賞内容抽選テーブルでゲームが行える、換言すると、常に新しいキャラクタと対戦でき、この点からも、ゲームの面白味を更に増大することができる。
【0065】
さらに、異なるP/O率を達成する当選抽選テーブルを必要な数だけ用意するとともに、P/O率を設定するペイアウト率設定画面を設け、格闘技ゲーム機1の電源を投入する際に、ペイアウト率設定画面で指定されたP/O率を達成する当選抽選テーブルが自動的に読み込まれ、抽選に利用されるようにしたので、所望のP/O率で格闘技ゲーム機1を運用することができ、格闘技ゲーム機1の健全な運営を行うことができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
例えば、コンピュータ格闘技ゲーム機としては、ボクシングゲームを行うものに限らず、レスリング、フェンシング、剣道、柔道及び空手等の他の格闘技を行うものでもよく、要するに、遊技者がコンピュータを相手に一対一で格闘するゲームであれば、ゲームの具体的な内容は、実施にあたり適宜選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータ格闘技ゲーム機を示す斜視図である。
【図2】前記実施形態に係る遊技制御装置を示すブロック図である。
【図3】前記実施形態に係る入賞内容抽選テーブルの構成を説明するための概略構成図である。
【図4】前記実施形態に係る当選抽選テーブルの構成を説明するための概略構成図である。
【図5】前記実施形態に係るパンチ効力抽選手段の概略構成を示すブロック図である。
【図6】前記実施形態の全体的な動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】前記実施形態のゲーム準備処理における動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】前記実施形態のゲーム処理における動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】前記実施形態のトーナメント優勝処理における動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】前記実施形態に係る表示装置に表示される一連の画面を示す模式図である。
【図11】図3に示した模式図の後に続いて表示される一連の画面を示す模式図である。
【図12】前記実施形態の表示装置に表示される一連のトーナメント表を示す模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1 格闘技ゲーム機
2 表示装置
6 キャラクタ
30 記憶手段
21 打撃技タイミング検知手段としてのパンチタイミング検知手段
22 打撃技効力抽選手段としてのパンチ効力抽選手段
43 入賞内容抽選手段
46 当選抽選手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の画面に表示されるコンピュータ側のキャラクタに対して、遊技者が所定の操作を行うことにより打撃技を繰り出し、この打撃技で前記キャラクタをノックアウトするゲームを行う格闘技ゲーム機であって、
ゲームに必要な各種のデータが記憶可能な記憶手段と、
遊技者が的確なタイミングで所定の操作を行ったか否かを検知する打撃技タイミング検知手段と、
遊技者が対戦相手のキャラクタに向かって繰り出された打撃技が命中するか否かを決める抽選、及び、その打撃技の効力を決める抽選を行う打撃技効力抽選手段とを備え、
前記記憶手段には、遊技者に払い出されるポイントを示す複数種類の入賞内容毎に設定された複数の入賞内容領域を有するとともに、前記複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容が所定の抽選確率で抽選されるように、前記複数の入賞内容領域の各々に、その抽選確率に応じた領域幅が設定されている入賞内容抽選テーブルと、
前記複数種類の入賞内容毎に設定されたアタリ領域及びハズレ領域をそれぞれ有するとともに、各入賞内容について、所定の当選確率でアタリ及びハズレの一方が抽選されるように、そのアタリ領域及びハズレ領域のそれぞれに、その当選確率に応じた領域幅が設定されている当選抽選テーブルとが記憶され、
前記打撃技効力抽選手段には、前記入賞内容抽選テーブルを利用して、前記複数種類の入賞内容の中から一の入賞内容を抽選することにより、打撃技の効力を決定する入賞内容抽選手段と、
前記当選抽選テーブルを利用して、抽選された入賞内容について、アタリ及びハズレの一方を抽選することにより、打撃技が命中するか否かを決定する当選抽選手段とが設けられていることを特徴とする格闘技ゲーム機。
【請求項2】
前記記憶手段には、各入賞内容についての抽選確率が互いに異なる複数種類の入賞内容抽選テーブルが記憶され、
前記入賞内容抽選手段は、一の入賞内容抽選テーブルを利用して行われたゲームでキャラクタがノックアウトされると、次のゲームを行うにあたり、前記記憶手段に記憶されている複数の入賞内容抽選テーブルのうち、前のゲームで用いた入賞内容抽選テーブルを除いた残りの入賞内容抽選テーブルの中から一の入賞内容抽選テーブルを新たに抽選し、当該次のゲームでは、新たに抽選した入賞内容抽選テーブル利用するものとなっていることを特徴とする請求項1記載の格闘技ゲーム機。
【請求項3】
前記記憶手段には、そのアタリ領域の領域幅が互いに異なるように設定されることにより、互いに異なるペイアウト率を達成するように設定された複数種類の当選抽選テーブルが記憶されていることを特徴とする請求項1又は2記載の格闘技ゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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