説明

栽培装置

【課題】 熱交換体からの熱をできるだけ均一に培地に伝達できるようにして熱伝達効率を向上させるとともに、培地による腐食などの影響をできるだけ抑止し、しかも、製造や組み立てを容易にできるようにした。
【解決手段】 底壁3及び側壁4を有し内側に植物の根を生育させる培地2が入れられる栽培槽1を備えるとともに培地3を加温若しくは冷却する管状の熱交換体10を備え、培地2が載置される金属製の載置板20を備えて構成し、熱交換体10を載置板20に熱を伝達可能になるように載置板20の裏側に接触させて配置し、底壁3に載置板20を支持するとともに熱交換体10を埋没させて保持する凹所24を有した保持部25を設け、培地2を受ける非透水性シート27を付設し、栽培槽1の開口5を塞ぎ植物を貫通させて保持する複数の貫通孔32を有した蓋30を設け、培地2に水を散布する多数の孔を有した散水管35を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウス栽培などで用いられ野菜や果物などの植物を生育させる栽培装置に係り、特に、植物の根を生育させる培地を加温若しくは冷却する熱交換体を備えた栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の栽培装置としては、例えば、特開2003−71号公報(特許文献1)に記載された技術が知られている。
この栽培装置は、ハウスなどに設置されて用いられるもので、図7に示すように、底壁101及び側壁102を有し内側に植物の根を生育させる培地103が入れられる栽培槽100を備えるとともに培地103内に埋設され培地103の加温若しくは冷却する管状のヒートパイプからなる熱交換体104を備えている。栽培槽100は発泡プラスチックなどの断熱材で一体形成されており、栽培槽100の内側面に非透水性シート105が付設され、この非透水性シート105の上に培地103を収納し、培地103の上側に水あるいは液肥を散布する散水管106を敷設している。
【0003】
そして、冬季など比較的外気温が低いときには、熱交換体104に温水等を供給して培地103を加温し、夏期など比較的外気温が高いときには、熱交換体104に冷水等を供給して培地103を冷却し、培地103の温度を常時適正に保って、植物の育成環境を良好に保持して、冬季,夏季の季節にかかわらず、野菜などの植物を安定して栽培できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−71号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の栽培装置にあっては、熱交換体104を培地103内に直接埋設しているので、熱交換体104は管状であることから熱の発生が培地103の中央に集中して分散性が悪く、培地103内に熱が均一に伝達されないという問題があった。また、熱交換体104は培地103に直接接触しているので、製造や組み立ては容易であるが、腐食し易いなど耐用性が悪くなっているという問題もあった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、熱交換体からの熱をできるだけ均一に培地に伝達できるようにして熱伝達効率を向上させるとともに、培地による腐食などの影響をできるだけ抑止し、しかも、製造や組み立てを容易にできるようにした栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の栽培装置は、底壁及び側壁を有し内側に植物の根を生育させる培地が入れられる栽培槽を備えるとともに培地を加温若しくは冷却する管状の熱交換体を備えた栽培装置において、上記培地が載置される金属製の載置板を備えて構成し、上記熱交換体を上記載置板に熱を伝達可能になるように該載置板の裏側に接触させて配置した構成としている。
【0008】
これにより、冬季など比較的外気温が低いときには、熱交換体に温水等を供給して培地を加温し、夏期など比較的外気温が高いときには、熱交換体に冷水等を供給して培地を冷却し、培地の温度を常時適正に保つようにする。この場合、熱交換体は金属製の載置板に接触しており、培地は載置板に載置されているので、熱交換体の熱は載置板に伝達され、この載置板を通して培地の下側から培地に伝達される。そのため、載置板は面状になって放熱面積も大きくなっており、しかも、培地下面に介在しているので、熱交換体からの熱が均一に培地に伝達されていき、熱伝達効率が向上させられる。この結果、植物の育成環境を良好に保持して、冬季,夏季の季節にかかわらず、野菜などの植物を安定して栽培できるようになる。
また、熱交換体は載置板の裏面側に配置されるので、培地から隔離されており、そのため、培地による腐食などの影響が抑止され、耐用性が向上させられる。また、載置板を設けその裏面に熱交換体を配置する簡易な構造なので、製造や組み立ても容易にすることができる。
【0009】
この場合、上記熱交換体を、熱交換媒体を充填した断面円形の外管及び該外管内に設けられ該熱交換媒体を気化もしくは液化させる熱伝達管を備えて構成し、該熱交換体の外管を上記載置板に接触させ、該熱交換体の外管が接触する上記載置板の接触部を、該外管の外周に沿った円弧面に形成したことが有効である。熱交換体が単に載置板と接触する場合に比較して接触面積が拡大するので、それだけ、熱伝達効率を向上させることができる。
【0010】
より具体的には、本発明の栽培装置は、底壁及び側壁を有し内側に植物の根を生育させる培地が入れられる栽培槽を備えるとともに培地を加温若しくは冷却する管状の熱交換体を備えた栽培装置において、上記培地が載置される金属製の載置板を備えて構成し、上記熱交換体を上記載置板に熱を伝達可能になるように該載置板の裏側に接触させて配置し、上記底壁に上記載置板を支持するとともに上記熱交換体を埋没させて保持する凹所を有した保持部を設け、上記載置板の表面を含み上記栽培槽の内側面に培地を受ける非透水性シートを付設し、上記栽培槽の開口を塞いで上記培地との間に空間を形成するとともに植物を貫通させて保持する複数の貫通孔を有した蓋を設け、上記培地の上側に該培地に水を散布する多数の孔を有した散水管を設けた構成としている。
【0011】
これにより、植物は培地に根付くとともに蓋の貫通孔を通して外部に育成していく。水は散水管から培地に供給される。そして、冬季など比較的外気温が低いときには、熱交換体に温水等を供給して培地を加温し、夏期など比較的外気温が高いときには、熱交換体に冷水等を供給して培地を冷却し、培地の温度を常時適正に保つようにする。この場合、熱交換体は金属製の載置板に接触しており、培地は載置板に載置されているので、熱交換体の熱は載置板に伝達され、この載置板を通して培地の下側から培地に伝達される。そのため、載置板は面状になって放熱面積も大きくなっており、しかも、培地下面に介在しているので、熱交換体からの熱が均一に培地に伝達されていき、熱伝達効率が向上させられる。また、蓋があるので、保温性に優れる。この結果、植物の育成環境を良好に保持して、冬季,夏季の季節にかかわらず、野菜などの植物を安定して栽培できるようになる。
また、熱交換体は載置板の裏面側に配置され、載置板は非透水性シートにより被覆されているので、培地から防水されて隔離されており、そのため、培地による腐食などの影響が確実に抑止され、耐用性が大幅に向上させられる。また、熱交換体を底壁に設けた保持部の凹所に埋没させて載置板を設けるので、この点でも、熱交換体の隔離性がよく、また、載置板の支持も安定するとともに、構造も簡易なので、製造や組み立ても容易にすることができる。
【0012】
この場合も、上記熱交換体を、熱交換媒体を充填した断面円形の外管及び該外管内に設けられ該熱交換媒体を気化もしくは液化させる熱伝達管を備えて構成し、該熱交換体の外管を上記載置板に接触させ、該熱交換体の外管が接触する上記載置板の接触部を、該外管の外周に沿った円弧面に形成したことが有効である。熱交換体が単に載置板と接触する場合に比較して接触面積が拡大するので、それだけ、熱伝達効率を向上させることができる。
【0013】
そして、必要に応じ、上記保持部を底壁に一体に設けた構成としている。底壁と一体形成できるので、それだけ、製造や組み立てが容易に行われる。
そしてまた、必要に応じ、上記保持部を底壁の一般部から分離可能な板状に形成し、上記載置板,熱交換体及び保持部からなる熱交換パネルを構成し、上記底壁に該熱交換パネルが嵌合するパネル嵌合凹部を形成した構成としている。熱交換パネルを予め作成しておき、これを栽培槽のパネル嵌合凹部に嵌め込むだけで組み立てができるので、組み立てが極めて容易に行われる。
【0014】
また、必要に応じ、上記培地を板状に形成し、上記底壁に該板状の培地が嵌合する培地嵌合凹部を形成した構成としている。培地を板状に集約しておき、これを栽培槽の培地嵌合凹部に嵌め込むだけで組み立てができるので、組み立てが極めて容易に行われる。
【0015】
更に、上記側壁に、上記散水管を支持する支持段部を設けた構成としている。散水管を側壁の支持段部に支持するので、組付けが容易であり、また、支持が安定するとともに、培地全体に散水することができるようになる。
【0016】
更にまた、上記蓋の上面に、上記熱交換体とは別の外部熱交換体が載置可能な載置凹部を形成した構成としている。これにより、外部熱交換体を蓋の載置凹部に載置して設置し、例えば、冬季など比較的外気温が低いときには、外部熱交換体に温水等を供給して植物の周囲を加温し、夏期など比較的外気温が高いときには、外部熱交換体に冷水等を供給して植物の周囲を冷却することができる。そのため、植物の培地のみならず、植物の外気温度も適正に保持できるようになり、それだけ、植物の栽培環境をより良いものにすることができる。また、外部熱交換体は、蓋の載置凹部から取り外しておくことができる。外部熱交換体を載置凹部に載置しあるいはこれから取り外すだけでよいので、着脱が極めて容易に行われ、汎用性に富む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の栽培装置によれば、冬季など比較的外気温が低いときには、熱交換体に温水等を供給して培地を加温し、夏期など比較的外気温が高いときには、熱交換体に冷水等を供給して培地を冷却し、培地の温度を常時適正に保つようにすることができる。この場合、熱交換体は金属製の載置板に接触しており、培地は載置板に載置されているので、熱交換体の熱は載置板に伝達され、この載置板を通して培地の下側から培地に伝達され、そのため、載置板は面状になって放熱面積も大きくなっており、しかも、培地下面に介在しているので、熱交換体からの熱が均一に培地に伝達されていき、熱伝達効率を向上させることができる。この結果、植物の育成環境を良好に保持して、冬季,夏季の季節にかかわらず、野菜などの植物を安定して栽培できるようになる。
また、熱交換体は載置板の裏面側に配置されるので、培地から隔離されており、そのため、培地による腐食などの影響が抑止され、それだけ、耐用性を向上させることができる。また、載置板を設けその裏面に熱交換体を配置する簡易な構造なので、製造や組み立ても容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る栽培装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る栽培装置を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る栽培装置の熱交換体の構造を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る栽培装置の設置例を示す図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態に係る栽培装置を示す断面図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態に係る栽培装置を示す分解斜視図である。
【図7】従来の栽培装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る栽培装置について詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る栽培装置は、ハウス栽培(図4)などで用いられ、例えば、トマト,パプリカ,ゴーヤ,キュウリ,ナス,イチゴ等の所謂果菜類を初め各種野菜や果物などの植物を生育させるものである。
【0020】
図1及び図2には、本発明の第一の実施の形態に係る栽培装置Sが示されている。この第一の実施の形態に係る栽培装置Sは、内側に植物の根を生育させる培地2が入れられる栽培槽1を備えているとともに培地2を加温若しくは冷却する管状の熱交換体10を備えている。
詳しくは、栽培槽1は、発泡スチロールなどの断熱材で一体成形されており、底壁3及び側壁4を有して上に開口5を形成してなり、細長状に形成されている。
【0021】
熱交換体10は、図3に示すように、熱交換媒体Wを充填した断面円形の外管11と、外管11内に熱交換媒体Wを気化もしくは液化させる熱伝達管12とを備えている。外管11に充填する熱交換媒体Wは、気化または液化を容易に行なうものであれば良く、水を利用することができる。ここでは、外管11内部を常圧より減圧した状態にすることにより水の沸点を下げ、低温で気化させることができる。熱伝達管12は、熱交換媒体Wに熱を供給することができる。この場合、熱源は、所望の温度を熱交換媒体Wに供給できる流体であればよく温水または蒸気を利用できる。これにより、熱交換体10は、放熱作用を奏する。また、熱伝達管12は、熱交換媒体Wから熱を吸収することができる。この場合、熱源は、所望の温度を熱交換媒体Wに供給できる流体であればよく冷水を利用できる。これにより、熱交換体10は、吸熱作用を奏する。
【0022】
また、本栽培装置Sは、培地2が載置されるアルミニウム等の金属製の載置板20を備えて構成され、熱交換体10は、この載置板20に熱を伝達可能になるように、載置板20の裏側に接触させて配置されている。載置板20は、平板状の板本体21と、板本体21の中央に長手方向に沿って溶接等で連設され熱交換体10の外管11に接触する接触部22を形成する伝熱体23とを備えて構成されている。熱交換体10の外管11が接触する載置板20の接触部22は円弧面に形成されている。即ち、伝熱体23は外管11の外周に沿う円弧面を有した半円弧状部と板本体21に接合する平板部とで形成されている。
そして、栽培槽1の底壁3には、載置板20を支持するとともに、その中央に長手方向に沿って熱交換体10を埋没させて保持する凹所24を有した保持部25が一体形成されている。載置板20の伝熱体23の接触部22も凹所24に埋没される。保持部25を底壁3と一体形成したので、それだけ、製造や組み立てが容易に行われる。
【0023】
また、培地2は、例えば、多孔性のウレタンや綿などで板状に形成されている。そして、底壁3には、板状の培地2が嵌合する培地嵌合凹部26が形成されている。この培地嵌合凹部26の底面26aは、上記の保持部25で形成されており、この底面26aには載置板20が嵌合して設置される。培地2を板状に集約しておき、これを栽培槽1の培地嵌合凹部26に嵌め込むだけで組み立てができるので、組み立てが極めて容易に行われる。
更に、載置板20の表面を含み栽培槽1の内側面には培地2を受ける非透水性シート27が付設される。栽培槽1の側壁4上部には、非透水性シート27の側縁部が挿入される溝28が形成されており、この溝28に押え部材29を嵌入して、非透水性シート27を止着している。
【0024】
更にまた、栽培槽1の開口5を塞ぐ蓋30が設けられている。蓋30は、栽培槽1と同じ発泡スチロール等の断熱材で成形されており、培地2との間に空間31を形成するとともに植物を貫通させて保持する複数の貫通孔32を有している。
更に、蓋30の上面であって長手方向に沿う両側には、熱交換体10とは別の外部熱交換体33が載置可能な載置凹部34が形成されている。
【0025】
また、培地2の上側に培地2に水を散布する多数の孔を有した一対の散水管35が設けられている。栽培槽1の側壁4には、散水管35を支持する支持段部36が形成されている。散水管35はこの支持段部36に設置される。散水管35を側壁4の支持段部36に支持するので、組付けが容易であり、また、支持が安定するとともに、培地2全体に散水することができるようになる。
【0026】
従って、本実施の形態に係る栽培装置Sを用いて植物を栽培するときは、例えば、以下のようにして行う。図4には、本実施の形態に係る栽培装置Sを用いて植物を栽培するハウスHが示されている。ハウスHは、栽培空間を形成する骨組40に、透光性の樹脂シート41を被覆して構築されており、天井側及び側面部に沿って開閉可能に設けられ閉時に光を遮断可能なカーテン42を備えている。本実施の形態に係る栽培装置Sは、ハウスH内の地面に複数列、適宜の間隔を隔てて設置される。また、カーテン41の内側であって天井側には、外部熱交換体33を吊下しておくためのワイヤー43が張設されている。
【0027】
このハウスHにおいて、植物を栽培するときは、予め、植生塊44に根を生えさせた植物の苗を蓋30の貫通孔32から挿入して、植物を栽培槽1の培地2に設置する。そして、散水管35から水あるいは液肥を散布するとともに、適時に熱交換体10を作動させる。これにより、植物は培地2に根付くとともに蓋30の貫通孔32を通して外部に育成していく。
この栽培においては、例えば、冬季など比較的外気温が低いときには、熱交換体10に温水等を供給して培地2を加温し、夏期など比較的外気温が高いときには、熱交換体10に冷水等を供給して培地2を冷却し、培地2の温度を常時適正に保つようにする。
【0028】
この場合、熱交換体10は金属製の載置板20に伝熱体23の接触部22において接触しており、培地2は載置板20に載置されているので、熱交換体10の熱は載置板20に伝達され、この載置板20を通して培地2の下側から培地2に伝達される。そのため、載置板20は面状になって放熱面積も大きくなっており、しかも、培地2の下面に介在しているので、熱交換体10からの熱が均一に培地2に伝達されていき、熱伝達効率が向上させられる。特に、熱交換体10の外管11が接触する載置板20の接触部22が外管11の外周に沿った円弧面に形成されているので、熱交換体10が単に載置板20と接触する場合に比較して接触面積が拡大するので、それだけ、熱伝達効率を向上させることができる。この結果、植物の育成環境を良好に保持して、冬季,夏季の季節にかかわらず、野菜などの植物を安定して栽培できるようになる。
【0029】
この際、冬季など比較的外気温が低いときには、外部熱交換体33に温水等を供給して植物の周囲を加温するようにする。また、夏期など比較的外気温が高いときには、外部熱交換体33に冷水等を供給して植物周囲を冷却することができる。あるいはまた、外部熱交換体33を蓋30の載置凹部34から取り外し、ハウスH内のワイヤー43に吊下し、この状態で外部熱交換体33に冷水等を供給してハウスH内全体を冷房することができる。そのため、植物の培地2のみならず、植物の外気温度も適正に保持できるようになり、それだけ、植物の栽培環境をより良いものにすることができる。
【0030】
また、熱交換体10は載置板20の裏面側に配置され、載置板20は非透水性シート27により被覆されているので、培地2から防水されて隔離されており、そのため、培地2による腐食などの影響が確実に抑止され、耐用性が大幅に向上させられる。また、熱交換体10を底壁3に設けた保持部25の凹所24に埋没させて載置板20を設けるので、この点でも、熱交換体10の隔離性がよく、また、載置板20の支持も安定するとともに、構造も簡易なので、製造や組み立ても容易にすることができる。
【0031】
図5及び図6には、本発明の第二の実施の形態に係る栽培装置Sが示されている。この第二の実施の形態に係る栽培装置Sは、第一の実施の形態に係る栽培装置Sと略同様に構成されるが、第一の実施の形態に係る栽培装置Sと異なって、熱交換体10を埋没させて保持する保持部25が底壁3の一般部から分離可能な板状に形成されている。そして、この栽培装置Sにおいては、載置板20,熱交換体10及び保持部25からなる熱交換パネルPを構成し、底壁3に該熱交換パネルPが嵌合するパネル嵌合凹部45を形成した構成としている。熱交換パネルPを予め作成しておき、これを栽培槽1のパネル嵌合凹部45に嵌め込むだけで組み立てができるので、組み立てが極めて容易に行われる。他の作用,効果は上記と同様である。
【0032】
尚、上記の実施の形態において、培地2を板状にしたが必ずしもこれに限定されるものではなく、砂利や土などでもよく適宜変更して差支えない。また、上記実施の形態において、栽培装置SをハウスH内の地面に設置したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、地面より高い位置に支持枠で支持して、所謂高設栽培を行うようにしても良く、適宜変更して差支えない。
【符号の説明】
【0033】
S 栽培装置
1 栽培槽
2 培地
3 底壁
4 側壁
5 開口
10 熱交換体
W 熱交換媒体
11 外管
12 熱伝達管
20 載置板
21 板本体
22 接触部
23 伝熱体
24 凹所
25 保持部
26 培地嵌合凹部
27 非透水性シート
30 蓋
31 空間
32 貫通孔
33 外部熱交換体
34 載置凹部
35 散水管
36 支持段部
H ハウス
40 骨組
41 樹脂シート
42 カーテン
43 ワイヤー
44 植生塊
P 熱交換パネル
45 パネル嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び側壁を有し内側に植物の根を生育させる培地が入れられる栽培槽を備えるとともに培地を加温若しくは冷却する管状の熱交換体を備えた栽培装置において、
上記培地が載置される金属製の載置板を備えて構成し、上記熱交換体を上記載置板に熱を伝達可能になるように該載置板の裏側に接触させて配置したことを特徴とする栽培装置。
【請求項2】
上記熱交換体を、熱交換媒体を充填した断面円形の外管及び該外管内に設けられ該熱交換媒体を気化もしくは液化させる熱伝達管を備えて構成し、該熱交換体の外管を上記載置板に接触させ、該熱交換体の外管が接触する上記載置板の接触部を、該外管の外周に沿った円弧面に形成したことを特徴とする請求項1記載の栽培装置。
【請求項3】
底壁及び側壁を有し内側に植物の根を生育させる培地が入れられる栽培槽を備えるとともに培地を加温若しくは冷却する管状の熱交換体を備えた栽培装置において、
上記培地が載置される金属製の載置板を備えて構成し、上記熱交換体を上記載置板に熱を伝達可能になるように該載置板の裏側に接触させて配置し、上記底壁に上記載置板を支持するとともに上記熱交換体を埋没させて保持する凹所を有した保持部を設け、
上記載置板の表面を含み上記栽培槽の内側面に培地を受ける非透水性シートを付設し、上記栽培槽の開口を塞いで上記培地との間に空間を形成するとともに植物を貫通させて保持する複数の貫通孔を有した蓋を設け、
上記培地の上側に該培地に水を散布する多数の孔を有した散水管を設けたことを特徴とする栽培装置。
【請求項4】
上記熱交換体を、熱交換媒体を充填した断面円形の外管及び該外管内に設けられ該熱交換媒体を気化もしくは液化させる熱伝達管を備えて構成し、該熱交換体の外管を上記載置板に接触させ、該熱交換体の外管が接触する上記載置板の接触部を、該外管の外周に沿った円弧面に形成したことを特徴とする請求項3記載の栽培装置。
【請求項5】
上記保持部を底壁に一体に設けたことを特徴とする請求項3または4記載の栽培装置。
【請求項6】
上記保持部を底壁の一般部から分離可能な板状に形成し、上記載置板,熱交換体及び保持部からなる熱交換パネルを構成し、上記底壁に該熱交換パネルが嵌合するパネル嵌合凹部を形成したことを特徴とする請求項3または4記載の栽培装置。
【請求項7】
上記培地を板状に形成し、上記底壁に該板状の培地が嵌合する培地嵌合凹部を形成したことを特徴とする請求項3乃至6いずれかに記載の栽培装置。
【請求項8】
上記側壁に、上記散水管を支持する支持段部を設けたことを特徴とする請求項3乃至7いずれかに記載の栽培装置。
【請求項9】
上記蓋の上面に、上記熱交換体とは別の外部熱交換体が載置可能な載置凹部を形成したことを特徴とする請求項3乃至8いずれかに記載の栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−207176(P2010−207176A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59277(P2009−59277)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(500250644)颯爽工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】