説明

框組パネル

【課題】見栄えを向上し得る框組パネルを提供する。
【解決手段】左右の縦框10,10と上下の横框40,40とを框組した框組体2を備えた框組パネル1であって、前記横框は、厚さ寸法T1が前記縦框よりも薄く形成され、幅方向両端部に幅方向外方側に向けて開口した凹溝部45,45を上下方向に沿って有する一方、前記縦框は、その幅方向内方側端部に、前記凹溝部に嵌合する突条部12,12を有しており、前記縦框の突条部は、前記横框の凹溝部に嵌合させて前記框組体を形成した状態で、前記縦框の表面11と前記横框の表面41との間に溝状部3,3が形成されるように、前記凹溝部の深さ寸法W1よりも突出寸法W2が大きく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の縦框と上下の横框とを框組した框組体を備えた框組パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
扉パネルなどの建具や各種の内装材として利用される内装パネルとしては、扁平の板状とされたパネルの他、框材を用いた框組のパネルが知られている。
例えば、下記特許文献1では、左右の縦框とこれら縦框の間に組まれる鏡板とを備えた框組引戸が提案されている。この框組引戸は、縦框の端面部に他の部位よりも厚さの薄い挿入片を長さ方向に沿って形成し、鏡板の左右両側端部の長さ方向の全長にわたって上記挿入片の横幅より短い深さの挿入溝を形成し、この挿入溝に縦框の挿入片を挿入して縦框と鏡板とを框組する構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−90176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような左右の縦框の間に鏡板を設けた構造とした框組パネルの他、左右の縦框と上下の横框とによってパネルの四周を框材によって構成した框組パネルも知られている。
このような框組パネルでは、一般的に上下の横框と左右の縦框とを互いの係合部を係合させて接合して框組する構造とされているが、その接合部において、隙間や組みズレが生じ易いという問題があった。つまり、縦框の表面と横框の表面との間に不均一な幅の隙間や散在的に隙間が生じたり、厚さ方向に不均一な段差が生じたりし易いという問題があり、見栄えが悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、見栄えを向上し得る框組パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る框組パネルは、左右の縦框と上下の横框とを框組した框組体を備えた框組パネルであって、前記横框は、厚さ寸法が前記縦框よりも薄く形成され、幅方向両端部に幅方向外方側に向けて開口した凹溝部を上下方向に沿って有する一方、前記縦框は、その幅方向内方側端部に、前記凹溝部に嵌合する突条部を有しており、前記縦框の突条部は、前記横框の凹溝部に嵌合させて前記框組体を形成した状態で、前記縦框の表面と前記横框の表面との間に溝状部が形成されるように、前記凹溝部の深さ寸法よりも突出寸法が大きく形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記縦框の突条部を、当該縦框の上下方向の略全長に亘って設ける一方、前記横框の上下方向内方側端部に、前記縦框の突条部の厚さ寸法及び突出寸法と概ね同寸法とされた突条部を当該横框の幅方向の略全長に亘って設け、前記框組体の内方側に形成される開口に鏡板を設け、この鏡板の四周を、前記縦框及び前記横框のそれぞれの突条部の厚さ方向両側に額縁材を固定して挟持する構造としてもよい。
また、本発明においては、前記額縁材を、当該額縁材の表面と前記框組体の表面との間に、溝状間隙が形成されるように固定する構造とし、この溝状間隙及び前記溝状部の溝幅を、略同寸法としてもよい。
また、本発明においては、前記縦框及び前記横框を、基材に表面化粧材を貼着した構造とし、この表面化粧材を、これら縦框及び横框のそれぞれの表面からそれぞれの突条部の厚さ方向両側表面に至るように設けるようにしてもよい。
また、本発明においては、前記横框の表面化粧材を、当該横框の表面から前記凹溝部の溝縁に至るように設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る框組パネルは、上述のような構成としたことで、見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明の一実施形態に係る框組パネルを模式的に示し、(a)は、図2(a)におけるX1−X1線矢視に対応させた一部破断概略拡大横断面図、(b)は、図2(a)におけるX2−X2線矢視に対応させた一部破断概略拡大横断面図である。
【図2】(a)は、同框組パネルを模式的に示す概略正面図、(b)は、(a)におけるY−Y線矢視に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。
【図3】(a)は、図2(a)におけるV部に対応させた概略拡大正面図、(b)は、同框組パネルが備える縦框の一例の製造工程の一例を説明するための説明図であり、一部破断概略拡大横断面図である。
【図4】(a)は、同框組パネルが備える横框の一例を構成する表面化粧材の一例を模式的に示す一部破断概略裏面図、(b)は、同横框の製造工程の一例を説明するための説明図であり、一部破断概略拡大底面(平面)図、(c)は、(b)に対応させた一部破断概略拡大側面図、(d)は、(c)におけるZ−Z線矢視に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。
【図5】(a)、(b)は、いずれも同框組パネルの製造工程の一例を説明するための説明図であり、一部破断概略拡大正面図である。
【図6】(a)、(b)は、いずれも同製造工程の一例を説明するための説明図であり、一部破断概略拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本実施形態に係る框組パネルについて説明するための概念的な説明図である。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0011】
本実施形態に係る框組パネル1は、図2(a)に示すように、上下(縦方向)に長尺の略矩形板状とされ、左右一対の縦框10,10と上下一対の横框40,40とを框組した框組体2を備えている。
この框組パネル1は、折戸を構成する戸板や、開閉扉、引戸等の扉パネル(建具)として施工されるものとしてもよく、その他、家具材の扉パネルとして家具材に組み付けられるものとしてもよい。さらには、その他の内装材として用いられるものとしてもよい。
【0012】
一対の縦框10,10は、図2(a)に示すように、それぞれ上下に長尺の略細長板状とされており、これらの幅方向内方側(当該框組パネル1の幅方向中心側)端部のそれぞれには、図1に示すように、突条部12,12が内方側に向けて突設されている。これら突条部12,12は、各縦框10,10の上下方向(当該框組パネル1の上下方向と同方向)の略全長に亘って設けられている。また、これら突条部12,12は、当該縦框10の表面(当該框組パネル1の手前側の面及び背面側の面)11,11から厚さ方向中心側に向けて略同寸法の段差が形成されるように設けられている。
【0013】
縦框10は、その外周表面の少なくとも露出する部位(当該框組パネル1が施工された状態または他部材と組み付けられた状態で露出する部位)が化粧面とされている。図例では、当該縦框10の表面11,11、この表面11,11に連なる段壁面13,13、この段壁面13,13に連なり段底面となる突条部12の厚さ方向両側表面14,14、及び表面11,11に連なる当該縦框10の幅方向外方側端面15が化粧面とされている。
この縦框10の化粧面は、基材に塗装や樹脂シートのラッピング等を施すことにより形成するようにしてもよいが、本実施形態では、基材20に薄板状の表面化粧材30を貼着して縦框10を構成し、この表面化粧材30の表面31(図3(b)参照)が化粧面となる。
【0014】
基材20は、図3(b)に示すように、基材本体部21の幅方向内方側端部に突条部12を構成する突条基部22を有している。この基材20は、略角柱状に加工された複数の枠材や桟材等を枠組みして形成し、これら部材間の空間に、厚さ方向に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるハニカムコアなどのコア材を配設した、いわゆるフラッシュ構造の基材としてもよい。この場合、繊維方向を上下に沿わせるように配置したLVL(単板積層材)等から製された一対の縦枠を枠材としてもよい。このようなフラッシュ構造の基材とすることで、軽量でありながらも適度な強度を有したものとなり、内装建材、特に、建具として好適なものとなる。
なお、基材20としては、上記したようなフラッシュ構造のものに限られず、合板やLVL等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、またはインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系板材を、上記形状に加工したものとしてもよい。
【0015】
表面化粧材30は、上記同様の木質系板材を基板とし、その表面31が化粧面とされている。本実施形態では、MDF等の木質繊維板の表面に、合成樹脂化粧シート(フィルム)を積層させた構造とし、その表面31を化粧面としている。なお、このような態様に代えて、基板の表面に化粧紙を積層させた構造としてもよく、または、基板の表面に、防汚性塗料や耐光性塗料、撥水性塗料等の塗布によるコーティング処理を施す態様としてもよい。
この表面化粧材30の裏面には、図3(b)に示すように、基材20の形状に対応させて、折り曲げ用の複数本の折曲溝32,33,34が上下方向に沿って形成されている。
図例では、一対の第1折曲溝32,32と、一対の第2折曲溝33,33と、一対の第3折曲溝34,34とが、当該表面化粧材30を展開した状態で、その幅方向外方側から内方側に向けてこの順に設けられている。
【0016】
第1折曲溝32,32は、基材20の突条基部22の表面(段底面)と基材本体部21の段壁面との両角部(入隅部)に対応させて設けられており、それぞれ断面略V字形状とされた単一の折曲溝とされている。
第2折曲溝33,33は、基材本体部21の段壁面と表面との両角部(出隅部)に対応させて設けられており、それぞれ断面略V字形状とされた単一の折曲溝とされている。
第3折曲溝34,34は、基材本体部21の幅方向外方側端部の両角部(出隅部)に対応させて設けられており、それぞれが断面略V字形状の複数条の折曲溝によって構成されている。これら第3折曲溝34,34は、基材20に折り曲げられて貼着された際に、図1に示すように、縦框10の幅方向外方側端部の両角部がR面取り形状となるように形成されている。
【0017】
これら各折曲溝32,33,34は、例えば、表面化粧材30の表面層の一部、つまり、合成樹脂化粧シートを少なくとも残存させるように、裏面側からルーター等の切削工具等によって切削することで、形成するようにしてもよい。このように、基板の表面に化粧シートを積層した構造の表面化粧材30とし、上記のように折曲溝を形成することで、折り曲げた部位において表面側の化粧シートによって割裂等が発生し難く、見栄えを向上させることができる。なお、基板の表面に化粧シートを積層する構造に代えて、基板の表面にコーティング処理を施して塗膜層を形成する場合には、折曲溝で折り曲げた際に、表面側に割裂等が生じないような塗膜層とすることが好ましい。
【0018】
この表面化粧材30の厚さは、例えば、1.0mm〜5.0mm程度としてもよい。
上記構成とされた表面化粧材30の基材20への貼着は、基材20の表面及び表面化粧材30の裏面の両方または一方に接着剤等を塗布し、各折曲溝32,33,34で折り曲げて、ローラープレス等によってプレスして貼着するようにしてもよい。
このように基材20に表面化粧材30が貼着された縦框10は、その外周表面のうち、内方側端面(突条部12の先端面)及び上下端面以外の面が、継ぎ目等が形成されることなく一連の化粧面となる。
なお、図例では、縦框10の幅方向外方側端部の両角部がR面取り形状となるように第3折曲溝34を形成しているが、この両角部がC面取り形状となるように第3折曲溝を形成してもよく、または、上記両角部が略直角となるように第3折曲溝を形成してもよい。
【0019】
一対の横框40,40は、図2(a)に示すように、一対の縦框10,10の上端部間及び下端部間に架設されるように設けられており、略矩形板状とされている。各横框40,40の幅方向(当該框組パネル1の幅方向と同方向)両端部には、図1(a)に示すように、幅方向外方側に向けて開口した凹溝部45,45が上下方向に沿って形成されている。この凹溝部45の溝幅(当該框組パネル1の厚さ方向に沿う幅)寸法T3は、縦框10の突条部12の厚さ寸法T3と概ね同寸法とされ、この凹溝部45に、縦框10の突条部12が嵌合される。
【0020】
また、この凹溝部45は、縦框10の突条部12を嵌合させて框組体2を形成した状態で、縦框10の表面11と横框40の表面41との間に溝状部3が形成されるように、縦框10の突条部12の突出寸法W2よりも深さ(当該框組パネル1の幅方向に沿う深さ)寸法W1が小さく形成されている。換言すれば、縦框10の突条部12の突出寸法W2が、上記のように溝状部3が形成されるように、横框40の凹溝部45の深さ寸法W1よりも大きく形成されている。
この溝状部3の溝幅寸法(当該框組パネル1の幅方向と同方向の幅寸法)W3は、1mm〜10mm程度、好ましくは1mm〜5mm程度としてもよい。この溝幅寸法W3を小さくすれば、框組した際に、縦框10と横框40との隙間幅の差が目立ち易くなる傾向がある一方、溝幅寸法W3を大きくすれば、溝状部3が目立ち易くなり、すっきりとした印象を与え難くなる傾向がある。
【0021】
また、各横框40,40の上下方向内方側(当該框組パネル1の上下方向中心側)端部のそれぞれには、図2(b)に示すように、突条部42,42が内方側に向けて突設されている。これら突条部42,42は、各横框40,40の幅方向の略全長に亘って設けられている。この横框40の突条部42の厚さ寸法T3及び突出寸法W2は、縦框10の突条部12の厚さ寸法T3及び突出寸法W2と概ね同寸法とされている。つまり、この横框40の突条部42は、当該横框40の凹溝部45の溝幅寸法T3と厚さ寸法T3が概ね同寸法とされて、凹溝部45の深さ寸法W1に相当する寸法分、幅方向内方側に控えた幅寸法とされている(図5(a)参照)。
また、横框40の厚さ寸法T1は、図1(a)及び図2(b)に示すように、縦框10の厚さ寸法T2よりも薄く形成されている。これら横框40と縦框10との厚さ寸法差は、当該框組パネル1の厚さ寸法が20mm〜40mm程度とされている場合には、2mm〜20mm程度、好ましくは2mm〜10mm程度としてもよい。この厚さ寸法差を小さくすれば、框組した際に、厚さ方向の組みズレが目立ち易くなる傾向がある一方、上記厚さ寸法差を大きくすれば、横框の重厚感を得難くなる傾向がある。
【0022】
横框40は、縦框10と同様、その外周表面の少なくとも露出する部位が化粧面とされている。図例では、当該横框40の表面41,41、この表面41,41に連なる段壁面43,43、この段壁面43,43に連なり段底面となる突条部42の厚さ方向両側表面44,44が化粧面とされている。また、当該横框40の表面41,41に連なる幅方向両側端面の凹溝部45の溝縁までが化粧面とされて化粧端面46,46とされている。
この横框40の化粧面は、基材に塗装や樹脂シートのラッピング等を施すことにより形成するようにしてもよい。本実施形態では、縦框10と同様、基材50に薄板状の表面化粧材60を貼着して横框40を構成し、この表面化粧材60の表面69(図4(b)、(c)参照)が上記化粧面となる。
【0023】
基材50は、縦框10の基材20と概ね同様の構成とされ、基材本体部と突条基部とを有している。本実施形態では、この基材50の厚さ方向両側に、図4(b)、(c)に示すように、二枚の表面化粧材60,60を折り曲げるようにして貼着し、上記化粧面を構成している。
表面化粧材60は、縦框10の表面化粧材30と概ね同様の積層構造とされている。この表面化粧材60は、図4(a)に示すように、第1板状部61と、この第1板状部61の幅方向両外方側に延設された第2板状部62,62と、第1板状部61の上下方向内方側に延設された第3板状部63とを備えている。図4(a)〜(c)に示すように、第1板状部61は基材50の表面51に対応させて形成され、第2板状部62,62は基材50の幅方向両端面52,52のそれぞれに対応させて形成され、第3板状部63は基材50の段壁面53及び突条基部の表面54に対応させて形成されている。
【0024】
また、表面化粧材60の裏面には、複数本の断面略V字形状とされた折曲溝が設けられている。図例では、第1板状部61と、第2板状部62,62との境界部位に、基材50の表面51と基材50の幅方向両端面52,52とが交差する第1稜線に対応させた第1折曲溝64,64をそれぞれに設けている。また、第1板状部61と、第3板状部63との境界部位に、基材50の表面51と基材50の段壁面53とが交差する第2稜線に対応させた第2折曲溝66を設けている。また、本実施形態では、この第3板状部63の裏面に、基材50の段壁面53と基材50の突条基部の表面54との角部(入隅部)に対応させた第3折曲溝68を設けている。
【0025】
また、第2板状部62,62の上下方向内方側の各側端部及び第3板状部63の幅方向両側端部には、突き合わせ面部65,65,67,67が設けられている。これら突き合わせ面部65,67は、当該表面化粧材60が第1折曲溝64,64及び第2折曲溝66の部位で折り曲げられて基材50に貼着され、互いに突き合わせられた状態で、第2板状部62,62の表面(46,46)と第3板状部63の表面(43)とが連なるような略連続面となるように形成されている。つまり、これら突き合わせ面部65,67の表面側の縁部が、突き合わせられた状態で、互いに近接乃至は当接する構成とされている。また、これら突き合わせ面部65,67の裏面側の縁部は、突き合わせられた状態で、互いに近接乃至は当接するとともに、基材50の幅方向両端面52,52と基材50の段壁面53とが交差する稜線に近接乃至は当接する構成とされている。
【0026】
図例では、これら突き合わせ面部65,67は、図4(d)に示すように、互いに突き合わせられた状態で、一平面状に当接する傾斜面とされ、それぞれの側端部を斜め略45度に切削して形成されている。第2板状部62,62の上下方向内方側の各側端部の突き合わせ面部65,65は、第2折曲溝66を切削加工する際に、同工程で切削加工して形成するようにしてもよい。また、第3板状部63の幅方向両側端部の突き合わせ面部67,67は、第1折曲溝64,64を切削加工する際に、同工程で切削加工して形成するようにしてもよい。
上記構成とされた表面化粧材60の基材50への貼着は、基材50の表面及び表面化粧材60の裏面の両方または一方に接着剤等を塗布し、各折曲溝64,66,68で折り曲げ、各突き合わせ面部65,67を突き合わせて、貼着するようにしてもよい。そして、必要に応じて、幅方向両端部に凹溝部45を形成するようにしてもよい。
【0027】
このように基材50に表面化粧材60が貼着された横框40は、その外周表面のうち、上下方向両端面及び凹溝部45以外の面が、概ね継ぎ目等が形成されることなく略連続した一連の化粧面となる。
つまり、基材50の上記第1稜線に対応する横框40の両縁部は、表面化粧材60の第1板状部61の表面(41)と第2板状部62,62の表面(46,46)とによって連なる連続面となり、継ぎ目が形成されることがない。また、基材50の上記第2稜線に対応する横框40の縁部は、表面化粧材60の第1板状部61の表面(41)と第3板状部63の表面(43)とによって連なる連続面となり、継ぎ目が形成されることがない。さらに、基材50の段壁面の幅方向両端の稜線に対応する横框40の両縁部は、第2板状部62,62及び第3板状部63に設けられた突き合わせ面部65,67が突き合わせられて、これら第2板状部62,62の表面(46,46)と第3板状部63の表面(43)とが連なるような略連続面となる。
【0028】
上記のように基材50の外周表面に薄板状の表面化粧材60を貼着する構造としては、縦框10のように、表面化粧材の裏面に互いに平行な複数本の折曲溝を設け、基材に一方向に巻回するようにして貼着する構造が一般的である。また、その巻回して貼着された面に直交する端面(縦框の上下端面、横框の幅方向端面)を化粧面とする必要がある場合は、端面用の表面材(エッジシート)を貼着する構造が一般的である。このようなエッジシートを貼着する構造では、貼着工程が煩雑になり、基材に貼着された表面材と端面に貼着されたエッジシートとの継ぎ目が隣接する各縁部において発生し、各継ぎ目における品質管理が必要となり、生産性が悪くなる傾向がある。また、各縁部における継ぎ目の発生により、見栄えが悪くなる傾向がある。一方、本実施形態における横框40の基材50への表面化粧材60の貼着構造によれば、継ぎ目が少なくなることから、継ぎ目における貼着ズレ等の品質管理を容易に行え、生産性を向上させることができ、また、見栄えを向上させることができる。さらに、上記のようなエッジシート貼り構造とされたものと比べて、継ぎ目が少なくなることから、剥がれ等の問題も低減することができる。また、基材に塗装や樹脂シートのラッピング等を施すことにより化粧面を形成する場合には、端面への塗装工程が煩雑となったり、樹脂シートが伸びて化粧面の模様が変形したりする場合があるが、本実施形態によれば、このような問題も防止することができる。
【0029】
上記構成とされた一対の縦框10,10と、一対の横框40,40とは、図1(a)、図2(a)及び図5(a)に示すように、縦框10,10の各内方側端面及び横框40の幅方向両端面に形成されたダボ穴にダボ7を圧入して框組される。また、縦框10の突条部12を横框40の凹溝部45に嵌合させて框組される。この際、接着剤を用いるようにしてもよい。
このように框組された框組体2は、図1(a)及び図2(b)に示すように、上記した縦框10と横框40との厚さ寸法差により、縦框10の表面11よりも横框40の表面41が凹んだ形状とされる。また、これら左右の縦框10,10の各表面11,11と上下の横框40,40の各表面41,41との間には、図2(a)に示すように、上下方向に沿う左右に二本の溝状部3,3がそれぞれ形成される(図3(a)及び図5(b)も参照)。
【0030】
また、框組体2は、その縦框10,10及び横框40,40の突条部12,42が内方側に形成される開口4(図5(b)参照)側に向くように配置されるとともに、厚さ方向に概ね一致されて開口4の四周に配置される。
この框組体2の開口4(図5(b)参照)には、本実施形態では、鏡板5が設けられている。
鏡板5は、図1(b)及び図2(b)に示すように、その厚さ寸法が縦框10及び横框40の各突条部12,42の厚さ寸法T3よりも薄い薄板状とされており、例えば、ガラス板や透光性樹脂板等としてもよい。または、表面を化粧面とした木質系板としてもよい。
この鏡板5は、その四周が縦框10及び横框40の各突条部12,42の厚さ方向両側に固定された額縁材70,70によって挟持される。
額縁材70は、長尺棒状とされており、各突条部12,42の開口側端面(先端面)及び鏡板5の四周端部の表面に当接される固定基部72とこの固定基部72に連成され、各突条部12,42の表面14,44に当接される突片部73とを有している。この額縁材70は、合成樹脂系材料や木質系材料を加工して形成されており、その表面が化粧面とされている。
【0031】
また、額縁材70は、開口4の四周の辺部に対応させて切断され、長手方向両端面の傾斜面を突き合わせて固定される(図5(b)及び図6(a)参照)。また、この額縁材70は、図1(b)及び図2(b)に示すように、その固定基部72にピンタッカーや隠し釘などの固定止具8が打入されて各突条部12,42に固定される。なお、額縁材70は、このような固定止具8による固定に代えて、または加えて、接着剤によって固定するようにしてもよい。また、額縁材70の固定基部72は、図例では、断面略矩形状としたものを示しているが、開口側かつ厚さ方向外方側の角部に、面取り部や段部を有した断面形状としてもよい。また、鏡板5の四周端面と各突条部12,42の開口側端面との間や、額縁材70の固定基部72と鏡板5の四周端部表面との間の適所に、鏡板5のガタツキ等を防止するための緩衝材(クッション材、パッキン材)を介在させるようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、額縁材70は、当該額縁材70の表面71と框組体2の表面(縦框10の表面11及び横框40の表面41)との間に、溝状間隙6が形成されるように固定される構造とされている。つまり、開口4の四周辺部の各突条部12,42に固定された額縁材70の左右、上下の四周の全周に亘って溝状間隙6が形成される(図2(a)及び図3(a)参照)。図例では、額縁材70の突片部73の外方側への突出寸法を、横框40の凹溝部45の深さ寸法W1と概ね同寸法とし、この突片部73と縦框10及び横框40の各段壁面13,43との間に、溝状間隙6を形成している。
また、本実施形態では、この溝状間隙6の溝幅W3と、上記した横框40の表面41と縦框10の表面11との間に形成された溝状部3の溝幅W3とを、略同寸法としている。
このような構成により、上下の横框40,40のそれぞれの幅方向両側に設けられた左右の溝状部3,3と、左右の溝状間隙6,6とは、縦框10の表面11の内方側縁部に沿うように連通し、当該框組パネル1の上下方向の全長に亘って、左右に二本の化粧溝が形成される。
また、額縁材70は、本実施形態では、図2(b)に示すように、取り付けられた状態で、その表面71と、横框40の表面41とが略同一平面状となるように形成されている。
【0033】
上記構成とされた額縁材70を用いて鏡板5を開口4に配設する際には、上述のように框組体2を形成した後、図5(b)及び図6(a)に示すように、当該框組体2の各突条部12,42の一方の表面側に、開口4の四周に沿わせるようにして、額縁材70を固定する。なお、図5(b)及び図6(a)では、当該框組体2の各突条部12,42の図示裏面側に額縁材70を固定した例を示しているが、図示表面側に固定した後、表裏を反転させるようにしてもよい。
そして、各額縁材70の固定基部72に鏡板5の四周を載置するようにして、図6(a)、(b)に示すように、鏡板5を開口4内に嵌め込む。
次いで、框組体2の各突条部12,42の他方の表面側(図示手前側の表面側)に、開口4の四周に沿わせるようにして、額縁材70を固定する。これにより、鏡板5の四周が、両表面側に固定された額縁材70,70によって挟持される(図1(b)及び図2参照)。
このような組み付け手順により、図1及び図2に示すように、框組体2の開口4に鏡板5を設けた框組パネル1が形成される。
なお、上記組み付け手順は、一例であり、各部の機能を阻害しない限りにおいて、別手順でなされるようにしてもよい。
【0034】
以上のように、上記構成とされた本実施形態に係る框組パネル1によれば、見栄えを向上させることができる。
つまり、左右の縦框10,10の各表面11,11と上下の横框40,40の各表面41,41との間に溝状部3,3を設けることで、これらの接合部における見栄えを向上させることができる。すなわち、これら縦框10,10と横框40,40との接合部に溝状部3,3を設けることで、加工誤差や組み付け誤差等に起因して発生する隙間を目立ち難くすることができる。つまりは、このような溝状部を設けずに突き付けて接合する場合には、加工誤差や組み付け誤差等に起因して縦框の表面と横框の表面との間に不均一な幅の隙間や散在的に隙間が生じる場合がある。一方、本実施形態によれば、溝状部3がこれら縦框10及び横框40の間において化粧溝となり、上記のような誤差に起因して発生する隙間を吸収し、見栄えを向上させることができる。
また、横框40の厚さ寸法T1を縦框10の厚さ寸法T2よりも薄くすることで、溝状部3を設けたことと相俟って接合部における見栄えをより向上させることができる。つまり、縦框10の表面11と横框40の表面41との間に、加工誤差や組み付け誤差等に起因して発生する厚さ方向の組みズレを、互いの厚さ寸法差と溝状部3とによって吸収し、目立ち難くすることができ、より見栄えを向上させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、框組体2の内方側に形成される開口4に鏡板5を設け、この鏡板5の四周を、縦框10及び横框40のそれぞれの突条部12,42の厚さ方向両側に額縁材70,70を固定して挟持する構造としている。従って、鏡板5を額縁材70によって見栄え良く框組体2の開口4に配設することができる。また、本実施形態では、鏡板5の四周を額縁材70によって挟持する構造としているので、縦框10及び横框40の開口側端面に、鏡板の四周を嵌め込むための凹溝を設けていない。これによれば、加工コストを低減させることができる。
【0036】
さらにまた、本実施形態では、額縁材70を、当該額縁材70の表面71と框組体2の表面11,41との間に、溝状間隙6が形成されるように固定される構造としている。従って、額縁材70の左右、上下の四周の全周に亘って溝状間隙6が形成され、この溝状間隙6がアクセントとなり見栄えを向上させることができる。また、この溝状間隙6と溝状部3との溝幅W3を略同寸法としているので、組み付けた状態では、左右の縦框10,10の内方側端部に、溝状部3と溝状間隙6とによって上下に沿って連なるような化粧溝が形成される。従って、すっきりとした印象を与えることができ、より見栄えを向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、縦框10及び横框40を、それぞれ基材20,50に表面化粧材30,60を貼着した構造としている。また、各表面化粧材30,60を、これら縦框10及び横框40のそれぞれの表面11,41からそれぞれの突条部12,42の厚さ方向両側表面14,44に至るように設けている。つまり、溝状部3乃至は溝状間隙6の形成により表面側に露出する縦框10及び横框40の各突条部12,42の表面14,44がこれら縦框10及び横框40の各表面11,41と同一の表面化粧材30,60で構成される。従って、各突条部12,42の形成により開口側端部に形成される段壁面13,43及び突条部12,42の表面14,44の見栄えを向上させることができる。
さらに、本実施形態では、横框40の表面化粧材60を、当該横框40の表面41から凹溝部45の溝縁に至るように設けている。従って、溝状部3の形成により露出する横框40の幅方向両端面の見栄えを向上させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、左右一対の縦框と上下一対の横框とによって框組された框組体を例示しているが、上下一対の横框の間に、さらに一枚または複数枚の中間横框(横桟)を設けるようにしてもよい。この場合、各横框間に鏡板を上記同様にして配設するようにしてもよい。このように鏡板を配設する場合には、中間部位に配設される横框の上下方向両端部に上記同様の突条部を設け、この突条部の厚さ方向両側に上記同様の額縁材を固定して、鏡板の四周を挟持する構造としてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、鏡板の四周を、縦框及び横框の各突条部の厚さ方向両側に固定された額縁材によって挟持する構造としているが、このような態様に限られない。例えば、縦框及び横框の各突条部の開口側端面に凹溝を設け、この凹溝に鏡板の四周を嵌め込んで鏡板を固定支持する構造としてもよい。この場合においても、補強や接合部の目隠しのために上記同様の額縁材を設けるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、額縁材の表面と框組体の表面との間に、溝状間隙を設けた例を示しているが、このような溝状間隙を設けないようにしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、框組体の開口に鏡板を設けた例を示しているが、このような鏡板を設けないようにしてもよい。また、鏡板や額縁材を設けない場合には、縦框及び横框の開口側端面を上記同様の化粧面としてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、横框の上下方向外方側端面及び縦框の上下端面を化粧面としていない例を示しているが、必要に応じて、これらの面を化粧面としてもよい。この場合、縦框については、その基材の上下端面に貼着される板状部を表面化粧材にさらに設け、上記横框と同様にして、折曲溝や突き合わせ面部を適所に設けて縦框の上下端面を化粧面とする態様としてもよい。また、横框については、上記した両表面側の二枚の表面化粧材に代えて、上下方向外方側端面に貼着される板状部をさらに設けた一枚のものとし、上記同様にして、折曲溝や突き合わせ面部を適所に設けて横框の上下方向外方側端面を化粧面とする態様としてもよい。
さらに、本実施形態では、横框の表面化粧材に設けた突き合わせ面部を、互いに突き合わせられた状態で、一平面状に当接する傾斜面としているが、このような態様に限られず、互いに噛み合うように突き合わせられる段差状乃至は多面形状の突き合わせ面部としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 框組パネル
2 框組体
3 溝状部
4 開口
5 鏡板
6 溝状間隙
10 縦框
11 縦框の表面(框組体の表面)
12 縦框の突条部
14 突条部の表面
20 縦框の基材
30 縦框の表面化粧材
40 横框
41 横框の表面(框組体の表面)
42 横框の突条部
44 突条部の表面
45 凹溝部
50 縦框の基材
60 縦框の表面化粧材
70 額縁材
71 額縁材の表面
T1 横框の厚さ寸法
T3 縦框の突条部の厚さ寸法
W1 横框の凹溝部の深さ寸法
W2 縦框の突条部の突出寸法
W3 溝幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦框と上下の横框とを框組した框組体を備えた框組パネルであって、
前記横框は、厚さ寸法が前記縦框よりも薄く形成され、幅方向両端部に幅方向外方側に向けて開口した凹溝部を上下方向に沿って有する一方、前記縦框は、その幅方向内方側端部に、前記凹溝部に嵌合する突条部を有しており、
前記縦框の突条部は、前記横框の凹溝部に嵌合させて前記框組体を形成した状態で、前記縦框の表面と前記横框の表面との間に溝状部が形成されるように、前記凹溝部の深さ寸法よりも突出寸法が大きく形成されていることを特徴とする框組パネル。
【請求項2】
請求項1において、
前記縦框の突条部は、当該縦框の上下方向の略全長に亘って設けられる一方、前記横框の上下方向内方側端部には、前記縦框の突条部の厚さ寸法及び突出寸法と概ね同寸法とされた突条部が当該横框の幅方向の略全長に亘って設けられており、
前記框組体の内方側に形成される開口に鏡板を設け、この鏡板の四周を、前記縦框及び前記横框のそれぞれの突条部の厚さ方向両側に額縁材を固定して挟持する構造としたことを特徴とする框組パネル。
【請求項3】
請求項2において、
前記額縁材は、当該額縁材の表面と前記框組体の表面との間に、溝状間隙が形成されるように固定される構造とされており、この溝状間隙及び前記溝状部の溝幅を、略同寸法としたことを特徴とする框組パネル。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記縦框及び前記横框は、基材に表面化粧材を貼着した構造とされており、この表面化粧材は、これら縦框及び横框のそれぞれの表面からそれぞれの突条部の厚さ方向両側表面に至るように設けられていることを特徴とする框組パネル。
【請求項5】
請求項4において、
前記横框の表面化粧材は、当該横框の表面から前記凹溝部の溝縁に至るように設けられていることを特徴とする框組パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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