説明

案内情報配信システム

【課題】駅員の所在地に応じて情報に優先順位をつけて配信する案内情報配信システムを提供する。
【解決手段】複数の駅員がそれぞれ携帯する携帯端末50a〜50xと、携帯端末の識別情報が書き込まれた無線ICタグ(携帯端末(RFタグ))50qと、駅構内の管理区域境界に設置され当該管理区域を出入りする駅員が所持する無線ICタグから携帯端末の識別情報を読み込む複数のタグリーダ40a〜40sと、列車の運転情報を管理する運行状況管理サーバ20と、タグリーダからの情報を収集して携帯端末の所在地を把握すると共に、運転情報を得て、この運転情報を携帯端末の所在地に基づく所定の優先順位に基づいて重み付けをして管理区域毎の表示データに編集し、これを携帯端末に配信する所在地管理サーバ30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータのデータベース管理技術、無線ICタグ(Radio Frequency Identification Tug、以下“RFIDタグ”と称す)と無線LAN制御通信技術を鉄道分野に適用し、鉄道の駅に散在する複数の駅員に対し旅客案内に必要な種々な情報を各駅員の所在位置に応じて重み付けしたものを配信する案内情報配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の運行に乱れがある場合などに、駅員が旅客から列車の運転状況について質問を受けることがある。この場合、実際の運行状況に合致した案内を適切に行うために駅員に対しリアルタイムな運行状況を与える必要がある。従来、駅員に携帯端末を持たせ、案内サーバからその携帯端末に運行状況などの情報を送信し、当該携帯端末画面に表示させることにより旅客に対する案内情報の提供をスムーズに行い、サービス向上を図る案内情報配信システムが提案されている。このシステムにおいては、駅特定手段により輸送手配に関する伝達情報の配信先とする駅社員携帯端末が決定され配信されることにより、駅員は自分に必要な情報のみを知ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−123780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の案内情報配信システムは、駅特定手段により配信先を決定し各駅毎に使用価値の高い情報を配信している。そのため、同一の駅においても駅員の位置する場所(以下、“所在地”と称す)により必要となる情報の優先度が異なるにもかかわらず、全ての駅員に対して均一な情報しか提供できないという問題があった。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、駅員の所在地により提供する情報の優先順位を決定し、適切な情報を優先的に表示することができる案内情報配信システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の案内情報配信システムは、駅構内にて駅員の携帯端末に表示データを配信する案内情報配信システムであり、複数の駅員がそれぞれ携帯する携帯端末と、携帯端末と共に移動し携帯端末の識別情報が書き込まれた無線ICタグと、駅構内の管理区域境界に設置され当該管理区域を出入りする駅員が所持する無線ICタグから携帯端末の識別情報を読み込む複数のタグリーダと、列車の運転情報を管理する運行状況管理サーバと、タグリーダからの情報を収集して携帯端末の所在地を把握すると共に、運転情報を得て、この運転情報を、携帯端末の所在地に基づく所定の優先順位に基づいて重み付けをして管理区域毎の表示データに編集して携帯端末に配信する所在地管理サーバとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、所在地管理サーバは、タグリーダからの情報を収集して携帯端末の所在地(すなわち、駅員の所在地)を把握しており、また、運行状況管理サーバから運転情報を得て、この運転情報を、携帯端末の所在地に基づく所定の優先順位に基づいて重み付けをして管理区域毎の表示データに編集して携帯端末に配信するので、駅員の所在地により提供する情報の優先順位が決定され、適切な情報を優先的に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる案内情報配信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における案内情報配信システムのシステム構成図である。図1において、運行管理システム10(A線用システムを10a、B線用を10b、以下同様にN線用システムを10nとする。以下、総称して用いる場合、単に“10”、どれか一つ、特に特定せず運行管理システムとして用いる場合“10i”とする。)は、列車の運行を管理する制御用コンピュータを中心に構成されている。この運行管理システム10は、列車の在線位置を追跡し、信号機等を制御する計算機システムである。
【0010】
運行状況管理サーバ20は、鉄道事業者が有する各路線の運行管理システム10iから得られる管理対象列車の運転情報を全路線分受信し管理する計算機である。同時に、運行状況管理サーバ20は、各線区の運行管理システム10iが保持しているダイヤ情報を入手して管理し、そのダイヤ情報をもとに列車の遅延状況を管理する機能を有する。
【0011】
駅構内には、所在地管理サーバ30、タグリーダ40及び携帯端末50が配置されている。所在地管理サーバ30は本発明の中心的な計算機システムであり、サーバ機またはパーソナルコンピュータで構成される。タグリーダ40は、予め論理的に決められた駅構造における閉区間の境界上に設けられた出入り口に複数設置され、所在地管理サーバ30に駅構内ネットワーク60を介して接続される。携帯端末50は、無線LAN通信モジュールとRFIDタグを内蔵して駅員に運転に関する情報を表示する。
【0012】
図2は運行状況管理サーバ20の論理構造略図である。図2において、運行状況管理サーバ20は、受信処理部20a、データ整形処理部20b、統合予測ダイヤ生成処理部20c、駅(所在地管理サーバ30)への運転情報配信処理部20d、駅(所在地管理サーバ30)からの要求受信処理部20e、及び運行管理システムに対する情報要求処理部20fの各処理部を有している。
【0013】
また、運行状況管理サーバ20は更に各種データベースを管理しており、DB1a〜DB1nは図1で示される10a〜10nの各路線列車運行管理システムから得られる路線ごとのダイヤデータベース、DB2a〜DB2nは同様にして得られる路線毎の列車運転状況データベース、DB1はデータ整形処理部20bでデータ整形され統合された全路線ダイヤデータベース(全路線データベース)、DB2はデータ整形処理部20bでデータ整形され統合化された全路線運転状況データベース(全路線データベース)、DB3は統合された全路線予測ダイヤのデータベース、DB4は全路線分の緊急情報データベース、さらにDB5は運行状況管理サーバに接続される機器の情報を管理する接続相手先管理データベースである。
【0014】
図3は所在地管理サーバ30の論理構造略図である。図3において、所在地管理サーバ30は、所在地データ受信処理部30a、運行状況管理サーバ20からの運転情報受信処理部30b、携帯端末50用の表示データ編集処理部30c、携帯端末50への表示情報送信処理部30d、携帯端末50からの要求データ受信処理部30e、及び携帯端末50からの要求の内、中央の運行状況管理サーバ20に入手に行く情報に対する要求発信処理部30fの各処理部を有している。
【0015】
また、所在地管理サーバ30は各種データベースを管理しており、DB6は駅員の所在地を管理する所在地管理データベース、DB7は運行状況管理サーバ20から得られる全路線全列車の運転情報データベース、DB8は同様に運行状況管理サーバ20から得られる全路線に対する緊急情報のデータベース、DB9は各携帯端末で表示させる情報を保存する携帯端末表示情報データベース、及びDB10は携帯端末からの問合せを管理するデータベースである。
【0016】
次に動作について説明する。図4は運行管理システム10と運行状況管理サーバ20の情報授受と概略処理内容を示すフローチャートである。図2を参照しながら図4に沿っての処理の流れについて説明する。図4において、運行管理システムは代表線区Iのシステム10iでのみ示されているが、同一処理が他の運行管理システム10a〜10nにおいても同様に行われる。まず、各線区の運行管理システム10iがダイヤ情報を生成したとき、あるいは列車運行途中でダイヤが乱れダイヤが変更したときに、ダイヤ情報またはダイヤ変更情報が運行状況管理サーバ20に対し送信される(ステップS101)。
【0017】
これに対して、運行状況管理サーバ20では受信処理部20a(図2)でこれを入手し、補助記憶装置上に配置されたダイヤデータベースDB1iに保存する(ステップS201)。ここでダイヤデータベースはDB1a、DB1b、・・・・DB1nと路線数分だけ設けられており、例としている“i路線”のデータベースはDB1iである。運行状況管理サーバ20は同様な方法で他の運行管理システム10a〜10nからもダイヤ情報を入手し、それぞれのダイヤデータベースDB1a、DB1b、・・・・DB1nに同じように格納し管理する。ここで、ダイヤ情報が線区により異なる形式を持つことがあるので必要に応じてデータ整形処理部20b(図2)の処理により全線分統一した情報項目と様式に変換し、各運行管理システムの分を合わせた全路線分の全路線ダイヤデータベースDB1を生成し、統合して管理する(ステップS202)。
【0018】
列車が対象線区上に在線すると運行管理システム10iはその情報を、連動装置等鉄道信号を直接制御する機器(本発明の構成には直接関与しないため図1上での図示を省略)より入手する(ステップS102)。入手した在線情報は単にどの軌道に列車がいるかというだけの情報であるが、それを元に運行管理システム10iは、ダイヤデータと照らし合わせどの軌道にどの列車いるのか特定し、その列車の動きを追跡(「列車追跡」という。)し、列車が進む進路を制御(「進路制御」という)する(ステップS103)。なお、この列車追跡によって得られた情報を本明細書では運転状況情報と呼ぶ。運行管理システム10iは列車追跡・進路制御を行った後、運転状況情報を運行状況管理サーバ20に送信する(ステップS104)。
【0019】
運行状況管理サーバ20は、受信処理部20a(図2)で“路線i”の運行管理システム10iから送られて来る情報を受信し列車運転状況データベースDB2iにてこれを保存する(ステップS203)。運行状況管理サーバ20は同様に全線の列車運転状況データベースDB2a〜DB2nを随時更新し保存する。このようにして随時更新される列車運転状況データベースDB2a〜DB2nは路線によってコード体系、情報項目、情報項目の並びが異なっていることもあり得るため、データ整形処理部20b(図2)でデータ整形を行って他線区の運行状況情報と合わせて全路線運転状況データベースDB2で統合し管理する(ステップS204)。
【0020】
運行状況管理サーバ20の統合予測ダイヤ生成処理部20c(図2)は統一形式で管理されている全路線ダイヤデータベースDB1のダイヤ情報と全路線運転状況データベースDB2の運行状況情報より全線区の遅延予測を行い、予測遅延時分を含んだ予測ダイヤを算出し、全線予測ダイヤデータベースDB3を更新し管理する(ステップS205)。これにより、列車の運行に対する乱れの有無やその程度、またその乱れが対象線区内の他線区に及ぼす影響の範囲や度合いを一元管理することが可能になる。
【0021】
次に本発明の中核をなす個別の駅における案内情報配信方法について2つのステップに分けて説明する。図5は所在地登録の動作を示すフローチャートである。図5に沿って、駅における所在地管理サーバ30、RFIDのタグリーダ40、駅員が持つ携帯端末50の間のデータ授受と処理の概略について説明する。
【0022】
図5において、携帯端末50に内蔵されるRFIDタグには、その携帯端末固有の識別番号(Identification Number、以下、単に“ID”と略す。)を初めとする携帯端末を特定することが可能な識別情報が予め設定されていて常時電波を発信している(ステップS501)。なお、本実施の形態においては、「所在地管理サーバ30は駅員の所在地を把握する」と表現しているが、RFIDタグには上記にように携帯端末50の識別情報が記録されており、所在地管理サーバ30はタグリーダ40からの情報を収集することにより、正確には「携帯端末50の所在地を把握する」ものである。なお、RFIDタグには、多くの場合、駅員の識別情報も載せることが可能であり、このように駅員の識別情報も同時にタグリーダ40にて読み込むようにすれば、文字通り駅員の所在地を把握することもできる。RFIDタグは、必ずしも携帯端末50に内蔵されるものでなくともよく、常に駅員が所持して携帯端末50と共に移動するものであればよい。
【0023】
ここで、動作説明のために鉄道における駅の構造の一例として図6を用い説明する。各駅は通常、駅員がいる事務室、コンコース、エレベータ、エスカレータ及びプラットフォーム等の物理的あるいは建築的構造を有するが、ここでは駅員が乗客に対応する単位をコンコースとプラットフォームの単位で考える。以下、「論理的に分割された管理区域」と言う。論理的に分割された管理区域境界の要所40a〜40jにRFIDのタグリーダが設置される。
【0024】
RFIDタグの情報は、携帯端末(ここでは50q)を持った駅員が、この論理的に分割された管理区域に入るとき、または出るときにタグリーダ(ここでは40q)にかざされることによってタグリーダ40qに読み取られる(ステップS401)。例えば、駅員事務所がコンコース側40aにあって、駅員が事務所に入る際には所有するRFIDタグをタグリーダ40aに読み取らせる。また、その駅員が事務所を出てA線プラットフォームに移動する場合には、A線プラットフォームに入ったときにタグリーダ40cで再び読み込ませる。こうして読み込まれる情報は、読み込まれる都度タグリーダ40から駅構内ネットワーク60を経由して所在地管理サーバ30に送られる(ステップS402)。
【0025】
所在地管理サーバ30においては、所在地データ受信処理部30a(図3)は、タグリーダ40qから送られてくるID情報を受信して(ステップS301)、その都度、RFIDタグのID情報と所在地コードを所在地管理データベースDB6に登録し管理する(ステップS302)。
【0026】
図7は運行状況管理サーバ20から得られる情報を所在地管理サーバ30で携帯端末情報に編集し携帯端末50に表示させるまでの手順を示すフローチャートである。統合予測ダイヤ生成処理部20c(図2)が働いた結果得られる、列車の各駅における着発の実績と予測時刻、及び各駅における着発に関する実績と予測遅延を併せて運転情報とすると、運転情報が所在地管理サーバで編集され駅員の持つ携帯端末に配信される動作を、図7に沿って説明する。
【0027】
運行状況管理サーバ20は、駅への運転情報配信処理部20d(図2)を働かせて統合された全線予測ダイヤデータベースDB3で管理している運転情報を定期的に接続相手先管理データベースDB5を参照しながら各駅の所在地管理サーバを含む関連装置に配信している(ステップS211)。
【0028】
駅に設置される所在地管理サーバ30では、運転情報受信処理部30b(図3)がこれを受信し運転情報データベースDB7を更新する(ステップS320a)。表示データ編集処理部30c(図3)では当該駅のコンコース、ホームという管理区域の単位に運転情報を編集処理する。この処理においてはコンコース、ホームの単位で案内する情報の重み付けがなされ優先度順に配列される。こうして得られる運転情報(表示データ)に対し、さらに緊急情報データベースDB8の内容を検索して必要に応じて重畳し、携帯端末表示情報データベースDB9が更新される(ステップS321)。
【0029】
携帯端末表示情報編集処理を終えると携帯端末への表示情報送信処理部30d(図3)が働き、所在地管理データベースDB6を参照して携帯端末表示情報データベースDB9の情報が携帯端末に送り出される(ステップS322)。この場合の情報転送は常時一定周期で行われ、登録されている全携帯端末に対して送り出される。
【0030】
以上の情報を受け取った携帯端末50は、情報受信をブザー等で報知し、携帯端末の画面にその内容を表示する(ステップS511)。
【0031】
ここで、携帯端末50では得られた情報に基づき、例えば図8及び図9に示す画面を表示する。図8で、当該駅はA路線とB路線という複数の鉄道路線が出入りしている。携帯端末50は表示部と操作部が画面上に設けられている。その内、操作部には「他線区」、「他社線」、「全線」等の情報入手用押しボタンが設けられている。「他線区」とは、仮に駅員がA線ホームにいればB線のことであり、A線ホームにいればB線のことである。「他社線」とは当該鉄道路線がその運転先において別の鉄道路線と軌道が連結されており、双方の車両が相互に乗り入れ運転を行っているような場合の当該路線から見た他社線のことである。「全線」とは当該鉄道会社が所有する全路線のことである。
【0032】
駅員は自ら存在する位置により必要な情報が異なっている。例えば、A線区のホームにいる場合には、A線区の運行状況や先着列車情報などがもっとも重要な情報となり、次に重要な情報は、同じ駅に出入りするB線の情報である。当該駅に出入りしていない他線区に関する情報の優先度は相対的に低くなる。同様にB線区のホームにいる場合には、B線区の運行状況や先着列車情報などがもっとも重要な情報となり、次に重要な情報は、同じ駅に出入りするA線の情報である。また各線区にいる駅員とコンコースなど共通の設備にいる駅員の間でも必要な情報が異なることが考えられる。このように駅員の所在位置に対応して重み付けされた案内情報が駅員の持つ携帯端末に送られて携帯端末画面に表示される。
【0033】
図9はB路線のホームにいる駅員に対する表示例であり、メッセージ表示部分のみを示している。列車位置のグラフィック表示部分はこの例の場合、一画面で両路線分表現でき同一としている。緊急情報がA線用と共通な情報が表示され、B線運転情報が表示されている。
【0034】
以上のように、本実施の形態の案内情報配信システムによれば、この発明によれば、所在地管理サーバは、タグリーダからの情報を収集して携帯端末の所在地(すなわち、駅員の所在地)を把握しており、また、運行状況管理サーバから運転情報を得て、この運転情報を、携帯端末の所在地に基づく所定の優先順位に基づいて重み付けをして管理区域毎の表示データに編集して携帯端末に配信するので、駅員の所在地により提供する情報の優先順位が決定され、適切な情報を優先的に表示することができ、これを見た駅員はコンコースやプラットフォームにおいて、旅客に対する案内情報の提供をスムーズに行い、サービス向上を図ることができる。
【0035】
実施の形態2.
以上の実施の形態では駅員の持つ携帯端末に定期的に情報配信し携帯端末で表示するが、本実施の形態は、駅員からの照会応答も可能とする。携帯端末からの要求に応じて他の線区の情報を提供したい場合には、他線区に対しても送信することができる。このとき、複数の線区の運転情報を含め様々な情報を配信する場合には、各携帯端末の所在地に応じて優先度を付加した上で情報配信する。従って駅員の持つ携帯端末の位置を全て把握している所在地管理サーバが図10に示すフローチャートの処理を行って、各携帯端末の位置に応じた情報を編集し、さらに緊急情報表示部に示すように限られた情報スペースを用いて全線区における情報を重畳し表示する。この場合の動作を図10を用いて説明する。
【0036】
駅員が図8の携帯端末画面に示される「他線区」、「他社線」あるいは「全線」等いずれかのボタンを押すと携帯端末が表示情報受信要求処理を行ない、無線LANと駅構内ネットワーク60を介して所在地管理サーバ30に表示情報の受信要求をする(ステップS510)。
【0037】
所在地管理サーバ30は、携帯端末からの要求データ受信処理部30e(図3)で要求内容を分析し、登録すると共に携帯端末からの受信要求情報にある携帯端末IDを見て所在地管理データベースDB6を検索し、どこの場所にいる駅員から要求があったものか判断し、これを携帯端末からの問合せを管理する問合せ管理データベースDB10に登録する(ステップS310)。
【0038】
所在地管理サーバ30は、既に入手している情報で要求に対応できれば(ステップS321)の処理フローで示されるように要求携帯端末に最適な情報に編集し与えれば良いが、例えば他社線の情報を求められたときのように、対応できなければ要求発信処理部30f(図3)が働き最新の運行状況情報を得ようと運行状況管理サーバ20に要求する(ステップS311)。
【0039】
運行状況管理サーバ20はこの要求に対応した運行状況情報を自ら有する全路線予測ダイヤデータベースDB3を検索し(ステップS210)、要求元の所在地管理サーバ30に送信する(ステップS211)。
【0040】
所在地管理サーバ30は最新の運行状況情報を受け取った後、一旦これを運転情報データベースDB7に登録し(ステップS320a)、実施の形態1と同じように運転情報データベースDB7の情報に緊急情報データベースDB8を重畳して要求元の駅員の所在地に対して最適な情報に編集し、携帯端末表示情報データベースDB9を更新する(ステップS321)。こうして編集された情報は、携帯端末からの問合せを管理する問合せ管理データベースDB10を見て要求元の携帯端末に送られ(ステップS322)、携帯端末の画面に内容が表示される(ステップS511)。
【0041】
以上のように本実施の形態では、駅員は通常時常時一定間隔で自己の所在地において優先度の高い情報を受け取っている傍ら、列車乗客等の鉄道利用者からの担当範囲外の運行状況に係る問合せにも対応でき、最新の的確な案内を行うことが可能になるという効果が
得られる。
【0042】
実施の形態3.
本発明の別の実施の形態、強制的に特定の携帯端末に対して情報を送りつけて表示をさせることも可能である。この代表例として列車運行に乱れが生じている場合などがあり、ここではこのようにして送られる情報を緊急情報と称する。以下、緊急情報が個々の駅員の携帯端末にまで伝わる処理の流れを図11を用いて説明する。
【0043】
“路線i”で列車の運行が乱れたものとする。その際にI線運行管理システムで列車の運行に関する指令に携わる輸送指令員は運行管理システム10iの携帯端末を用いて各種の情報入力を行うがその一つに緊急情報があり、情報入力があると運行状況管理サーバがこれを得るものとする。この場合、当然、運行管理システム10iと運行状況管理サーバ20の間で情報授受が行われるが図11では図示を省略している。
【0044】
緊急情報の与え方の一例として“路線i”において、列車がA駅、B駅、C駅、・・・Z駅と進んでいくものとして途中のS駅から先で列車が不通になった場合、S駅の行路手前のL駅で乗客を“路線j”に迂回誘導する場合がある。この場合、“路線i”の輸送指令携帯端末から緊急情報として「Z駅方向路線でS駅―Z駅が不通、L駅で“路線j”に迂回」と与えると、この情報は少なくとも“路線i”のA駅からL駅までのコンコースにいる駅員とZ駅方向路線のプラットフォームにいる駅員に知らしめておく必要がある。
【0045】
運行状況管理サーバ20は緊急情報を得ると各駅の所在地管理サーバにこれを送る(ステップS110)。所在地管理サーバ30では運行状況管理サーバ20から緊急情報が送られてきたとき通常処理に対し割り込み優先的に、運転情報受信処理部30b(図3)が内容分析を行って緊急情報と判別し緊急情報データベースDB8に登録する(ステップS320b)。
【0046】
その後、緊急情報データベースDB8に登録された情報と所在地管理データベースDB6に登録されている携帯端末の所在地情報を元に携帯端末所在地検索を行って携帯端末毎に表示させる情報編集を行って携帯端末表示情報を作成(ステップS321)し、複数の携帯端末50a,50b,・・・,50lの内、コンコースや該当するプラットフォームにいる駅員の持つ携帯端末に対し、駅内のネットワーク60と無線LANを経由し一斉送信する(ステップS322)。
【0047】
以上のように本実施の形態では輸送指令員が運行管理システム10iの指令員携帯端末を用いて伝達したい情報を入力すれば、所在地管理サーバ30が該当情報を受けて優先的に処理を行ない配信が必要な携帯端末を選びだし、当該携帯端末に対してリアルタイム情報の配信を行うので、これを受けた駅員はコンコースや該当するプラットフォームにいる鉄道利用客に対し、より適切な案内を行えるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる案内情報配信システムは、鉄道の駅に散在する複数の駅員に対し旅客案内に必要な各種情報を各駅員の所在位置に応じて重み付けしたものを配信するシステムに有用であり、特に、複数の鉄道会社の車両が相互に乗り入れ運転を行っているような駅において各駅員に必要な各種情報を配信するシステムに適している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態1における案内情報配信システムのシステム構成図である。
【図2】図1に示す運行状況サーバの論理構造略図である。
【図3】図1に示す所在地管理サーバの論理構造略図である。
【図4】運行管理システムと運行状況サーバの情報授受と概略処理内容を示すフローチャートである。
【図5】所在地登録の動作を示すフローチャートである。
【図6】タグリーダの分布の例を示す模式図である。
【図7】運行状況管理サーバ20から得られる情報を所在地管理サーバで携帯端末情報に編集し携帯端末に表示させるまでの手順を示すフローチャートである。
【図8】A路線携帯端末の場合の画面構成例を示す図である。
【図9】B路線携帯端末の場合の画面構成例を示す図である。
【図10】実施の形態2における携帯端末から情報要求した場合の携帯端末が情報を入手する手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態3における緊急情報送信の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10 運行管理システム
20 運行状況管理サーバ
20a 受信処理部
20b データ整形処理部
20c 統合予測ダイヤ生成処理部
20d 運転情報配信処理部
20e 要求受信処理部
20f 情報要求処理部
30 所在地管理サーバ
30a 所在地データ受信処理部
30b 運転情報受信処理部
30c 表示データ編集処理部
30d 表示情報送信処理部
30e 要求データ受信処理部
30f 要求発信処理部
40 タグリーダ
50 携帯端末
60 駅構内ネットワーク
DB1 全路線ダイヤデータベース(全路線データベース)
DB1i ダイヤデータベース
DB2 全路線運転状況データベース(全路線データベース)
DB2i 列車運転状況データベース
DB3 全線予測ダイヤデータベース
DB5 接続相手先管理データベース
DB6 所在地管理データベース
DB7 運転情報データベース
DB8 緊急情報サーバ
DB8 緊急情報データベース
DB9 携帯端末表示情報データベース
DB10 問合せ管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅構内にて駅員の携帯端末に表示データを配信する案内情報配信システムであり、
複数の駅員がそれぞれ携帯する携帯端末と、
前記携帯端末と共に移動し前記携帯端末の識別情報が書き込まれた無線ICタグと、
駅構内の管理区域境界に設置され当該管理区域を出入りする駅員が所持する前記無線ICタグから前記携帯端末の識別情報を読み込む複数のタグリーダと、
列車の運転情報を管理する運行状況管理サーバと、
前記タグリーダからの情報を収集して前記携帯端末の所在地を把握すると共に、前記運転情報を得て、当該運転情報を、前記携帯端末の所在地に基づく所定の優先順位に基づいて重み付けをして前記管理区域毎の前記表示データに編集し、該表示データを前記携帯端末に配信する所在地管理サーバと
を備えたことを特徴とする案内情報配信システム。
【請求項2】
前記運行状況管理サーバは、乗り入れを行っている複数の路線の運行管理システムからダイヤ情報を入手してこれを統合し、統合された前記ダイヤ情報から運行状況情報に基づいてダイヤの遅延予測をして、当該遅延予測を含む前記ダイヤ情報から前記運転情報に基づいて前記表示データを生成して前記所在地管理サーバに送信する
ことを特徴とする請求項1記載の案内情報配信システム。
【請求項3】
前記運行状況管理サーバは、運行管理の指令員が適宜与える緊急情報を入手すると、即座に当該緊急情報を前記所在地管理サーバに送信し、
前記所在地管理サーバは、前記緊急情報を受信すると当該緊急情報に優先順位の高い重み付けをして前記表示データに重畳して関連する前記携帯端末に一斉に配信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の案内情報配信システム。
【請求項4】
前記運行状況管理サーバは、
前記複数の運行管理システムから前記運転情報としてダイヤ情報及び運行状況情報を受信してダイヤデータベース及び運行状況情報データベースに記憶する受信処理部と、
異なる形式の複数の前記ダイヤ情報及び前記運行状況情報を統一的に整形して全路線データベースに記憶するデータ整形処理部と、
整形された前記ダイヤ情報及び前記運行状況情報をもとに運転中の各列車の遅延予測を含む統合された予測ダイヤを生成して予測ダイヤデータベースに記憶する統合予測ダイヤ生成処理部と、
前記統合予測ダイヤを含む前記ダイヤ情報及び前記運行状況情報を前記運転情報として前記所在地管理サーバに配信する運転情報配信処理部と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の案内情報配信システム。
【請求項5】
前記運行状況管理サーバは、前記所在地管理サーバからの情報要求を受信する要求受信処理部と、当該情報要求を前記運行管理システムに送信する情報要求処理部とを
さらに備えたことを特徴とする請求項2または4に記載の案内情報配信システム。
【請求項6】
前記管理区域は、駅構内の各コンコース及び各ホームという単位で区分され、前記所在地管理サーバは、各管理区域毎に駅員にとって最も有用な情報となるように前記運転情報に重み付けをして前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の案内情報配信システム。
【請求項7】
前記所在地管理サーバは、
前記タグリーダからの情報を収集して前記携帯端末の所在地を所在地管理データベースに記憶する所在地受信処理部と、
前記運行状況管理サーバからの統合予測ダイヤを含むダイヤ情報及び運行状況情報を前記運転情報として受信して運転情報データベースに記憶する運転情報受信処理部と、
前記携帯端末の所在地に基づいて前記運転情報に重み付けをして前記携帯端末に対する表示データに編集して携帯端末表示情報データベースに記憶する表示データ編集処理部と、
前記編集された表示データを前記携帯端末毎に配信する表示データ配信処理部と
を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の案内情報配信システム。
【請求項8】
前記所在地管理サーバは、前記携帯端末からの問い合せ要求を受信して問い合せ管理データベースに記憶する要求データ受信処理部と、前記問い合せ要求を前記運行状況管理サーバに送信する要求発信処理部とをさらに備え、前記表示データ配信処理部は、前記問い合せ管理データベースを参照して前記問い合せ要求に対応する情報を前記携帯端末に配信する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の案内情報配信システム。
【請求項9】
前記携帯端末は、表示する情報を切り替える選択ボタンを備え、該選択ボタンによる表示切り替えの動作により必要となる情報は、前記携帯端末から発せられた情報要求により、前記所在地管理サーバから前記携帯端末に配信され、該所在地管理サーバに要求する情報がないとき、前記所在地管理サーバを介して前記運行状況管理サーバから前記携帯端末に配信される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の案内情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−113601(P2009−113601A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287654(P2007−287654)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】