桟木へのパネル固定構造、釘抜き方法とその方法において用いるスクリュー釘及び釘抜き用治具

【課題】木製コンクリート型枠等を形成する際の桟木へのパネル固定構造において、桟木とパネルとが分離された際の釘の取り外し作業が容易になされるようにして作業効率を向上する。
【解決手段】桟木３上にパネル５を配置しパネル上から釘打ちにより固定を行う桟木へのパネル固定構造において、その固定を無頭のスクリュー釘７により行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、桟木へのパネル固定構造、釘抜き方法とその方法において用いるスクリュー釘及び釘抜き用治具に関する。
【背景技術】
【０００２】
ビル建築等において木製のコンクリート型枠を使用する場合があり、コンクリート型枠は桟木にコンクリートパネルが釘打ちにより取り付けられて組み立てられる（図１参照）。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記コンクリート型枠はコンクリート固化後の解体時には桟木とコンクリートパネルとに分離され再使用される。その際にはコンクリートパネルを桟木から引きはがし、コンクリートパネルに残る多数本の釘を取り外す。その取り外しは建築現場もしくはそこから持ち帰られて行われるが、コンクリートパネルが大形であるのでその取扱いが難しい問題があった。また、コンクリートパネルからの取り外しは、コンクリートパネルの裏面に突出する釘先端をたたき、これにより表面において持ち上がった釘の頭に釘抜きを係止して引き抜くもので、このようにして多数本の釘を抜くのには非常に手間がかかり作業効率が悪かった。
【０００４】
この発明は上記の点に鑑みて行ったもので、桟木へのパネル固定構造において桟木とパネルとが分離された際の釘の取り外し作業が容易になされるようにして、作業効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
この発明では、桟木上にパネルを配置しパネル上から釘打ちにより固定を行う桟木へのパネル固定構造において、前記固定を無頭のスクリュー釘により行ってなることを特徴とする桟木へのパネル固定構造を提供する。
【０００６】
上記構成によれば、スクリュー釘におけるスクリュー部の桟木への固定強度が上部のパネルへの固定強度に比して大きく、かつ、スクリュー釘が無頭でパネル面に係止していないことで、パネルを桟木から引きはがす際にスクリュー釘は桟木側にその上部を突出する状態に残る。このようにパネルに比べ小形で取り扱いが容易な桟木側にスクリュー釘が残り、かつ、桟木面からの引き抜き動作のみによりスクリュー釘の抜き取り作業が行えるので、その作業がパネルより抜き取る場合に比して明らかに容易となる。この桟木へのパネル固定構造をコンクリート型枠の組み立てに採用することで、その解体の際の釘の抜き取り作業が容易になされて、その作業効率が格段に向上される。
【０００７】
また、この発明では、被打ち込み面に突出する無頭のスクリュー釘の上部に釘抜き用治具を装着し、その釘抜き用治具を回転駆動することで抜くことを特徴とする釘抜き方法を提供する。
【０００８】
上記方法によれば、被打ち込み体に残る無頭のスクリュー釘が釘抜き用治具を用いることで、スクリュードライバ等の回転駆動機を使用して容易に引き抜かれる。
【０００９】
また、この発明では、無頭であり、かつ、スクリュー部を備える釘棒の上部がその水平断面形状を非真円とするスクリュー釘を提供する。
【００１０】
上記構成のスクリュー釘は、無頭であってその上部が水平断面形状を非真円となっていることでその上部と対応する連結構成を持つ釘抜き用治具に一体回転するように連結でき、これにより、その釘抜き用治具を介してのスクリュードライバなどの回転駆動機による抜き取りが可能となる。
【００１１】
また、この発明では、下部に上記発明のスクリュー釘の上部が嵌合される嵌合穴を備え、上端を回転駆動機に把持される被把持部とする釘抜き用治具を提供する。
【００１２】
上記構成の釘抜き用治具を用いることで、無頭であり、かつ、スクリュー部を備える釘棒の上部がその水平断面形状を非真円とするスクリュー釘が、スクリュードライバ等の回転駆動機により抜き取ることができる。
【発明の効果】
【００１３】
この発明の桟木へのパネル固定構造によれば、桟木とパネルとが分離された際に桟木側に釘が残り、かつ、その抜き取り作業が簡略となることで、その抜き取り作業が容易になされるようになり、これにより木製コンクリート型枠解体時等における釘の抜き取りの作業効率が大幅に向上される。
【００１４】
また、この発明の釘抜き用治具が用いられることで、被打ち込み体に残る無頭のスクリュー釘がスクリュードライバ等の回転駆動機を使用して容易に引き抜かれ、作業効率が向上される。
【００１５】
また、この発明のスクリュー釘が用いられることで、釘抜き用治具を介してのスクリュードライバなどの回転駆動機による抜き取りが可能となり、作業効率が向上される。
【００１６】
また、この発明の釘抜き用治具が用いられることで、無頭であり、かつ、スクリュー部を備える釘棒の上部がその水平断面形状を非真円とするスクリュー釘がスクリュードライバ等の回転駆動機により抜き取ることができ、作業効率が向上される。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】この発明の桟木へのパネル固定構造の斜視図
【図２】この発明のスクリュー釘の斜視図
【図３】この発明のスクリュー釘の平面図
【図４】この発明の桟木へのパネル固定構造の拡大部分斜視図
【図５】この発明の桟木へのパネル固定構造におけるパネル分離時の桟木拡大部分斜視図
【図６】この発明の釘抜き用治具の斜視図
【図７】この発明の釘抜き用治具の底面図
【図８】この発明の釘抜き用治具の断面図
【図９】この発明の釘抜き方法の工程説明図
【図１０】この発明の釘抜き方法の工程説明図
【図１１】この発明の釘抜き方法の工程説明図
【図１２】この発明の釘抜き方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【００１８】
図１は木製コンクリート型枠におけるパネル固定構造を示す。コンクリート型枠１は複数本の桟木３上に複数枚のコンクリートパネル５がかけ渡され、多数本のスクリュー釘７により打ち付け固定されて形成される。スクリュー釘７としては、図２、図３に示すように、スクリュー部８を備える釘棒９の上部１０の水平断面形状が扁平な楕円となったものを使用している。スクリュー釘７は専用打ち付け機により打ち付けられる。
【００１９】
スクリュー釘７は、図４に示すように、スクリュー部８が桟木３内に係入固定され、水平断面形状が扁平楕円となった上部１０の両端がコンクリートパネル５に食い込み固定され、このようにスクリュー釘７がそれぞれの部位で固定されることで桟木３へのコンクリートパネル５の固定がなされる。
【００２０】
その固定状態においては、スクリュー部８の桟木３への固定強度が上部１０のコンクリートパネル５への固定強度に比して大きい。したがってコンクリート型枠１の解体時にコンクリートパネル５を桟木３から引きはがす際には、無頭でコンクリートパネル５面に係止していないことで全てのスクリュー釘７は、図５に示すように、桟木３側にその上部１０を突出する状態に残る。
【００２１】
以下、上記桟木３に残るスクリュー釘７の釘抜き方法を説明する。図６、図７、図８のそれぞれは釘抜きに際して用いる釘抜き用治具１１を示す。釘抜き用治具１１は鉄製でスクリュー釘７の上部１０が嵌合される嵌合穴１２を備えたスクリュー釘７への装着部１４と、その装着部１４の上部から上方に延び出す円柱軸１６とからなる。嵌合穴１２はスクリュー釘７の上部と同様にその水平断面形状を扁平楕円とし、その下端の両端は広く開く嵌合の際のガイド部１７となっており、円柱軸１６の上端がスクリュードライバに把持される被把持部１８となる。
【００２２】
スクリュー釘７の釘抜きは、図９に示すように、スクリュードライバ２０の把持部２１に円柱軸１６上端の被把持部１８を挿入して把持させて釘抜き用治具１１をスクリュードライバ２０に取り付け、図１０に示すように、その嵌合穴１２内にスクリュー釘７の上部１０が嵌合するよう釘抜き用治具１１の装着部１４をスクリュー釘７の上部１０に装着する。次に、図１１に示すように、スクリュードライバ２０を逆回転駆動することでスクリュー釘７はその上部１０が逆回転され、これに伴ってスクリュー釘７は回転上昇して桟木３より抜ける。桟木３より抜けたスクリュー釘７は、図１２に示すように、その上部１０が釘抜き用治具１１の嵌合穴１２から抜け落ちることで桟木３上に落下する。
【符号の説明】
【００２３】
１コンクリート型枠
３桟木
５コンクリートパネル（パネル）
７スクリュー釘
１１釘抜き用治具
２０スクリュードライバ（回転駆動機）

【特許請求の範囲】
【請求項１】
桟木上にパネルを配置しパネル上から釘打ちにより固定を行う桟木へのパネル固定構造において、
前記固定を無頭のスクリュー釘により行ってなることを特徴とする桟木へのパネル固定構造。
【請求項２】
請求項１記載の桟木へのパネル固定構造を用いて組み立てられたコンクリート型枠。
【請求項３】
被打ち込み面に突出する無頭のスクリュー釘の上部に釘抜き用治具を装着し、その釘抜き用治具を回転駆動することで抜くことを特徴とする釘抜き方法。
【請求項４】
無頭であり、かつ、スクリュー部を備える釘棒の上部がその水平断面形状を非真円とするスクリュー釘。
【請求項５】
下部に請求項４記載のスクリュー釘の前記上部が嵌合される嵌合穴を備え、上端を回転駆動機に把持される被把持部とする釘抜き用治具。

【図１】