説明

梯子

【課題】梯子を装着対象部位に装着した状態での掛止板の回動を規制する手段を提供する。
【解決手段】梯子1は、掛止板2を掛止位置に保持した状態で、マンホール内に挿入するとともに、掛止板2をマンホールの開口縁に引っ掛けることによって、マンホール内に装着される。このとき、梯子1の重量とスプリングSの付勢力とが凹部31と横杆32との嵌合力として作用するので、梯子1の使用中において掛止板2の回動を規制することができる。前記掛止板の回動規制について、前記スプリングを使用しないものも含まれるが、この場合でも梯子の重量が凹部と横杆との嵌合力として作用するので、梯子の使用中において掛止板の回動を規制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着対象部位に対して着脱可能に装着される梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の梯子に関連する先行技術文献としては下記のものがある。(特許文献1参照)
この梯子は、装着対象部位であるマンホールの開口縁に掛止する掛止板(ストッパーアーム)を水平回動可能に備えてあり、マンホールに装着する際には、前記掛止板を回動させてマンホールの開口縁に引っ掛けて、マンホールの側壁に沿って吊り下げるように装着するものである。
【特許文献1】特公平3−12820号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記の梯子における掛止板は、その回動に対して規制する構成が無く、マンホールに装着した際に、梯子または掛止板に何らかの力が加わると掛止板が回動する可能性がある。
【0004】
そこで、本発明は、装着対象部位に装着した状態での掛止板の回動を規制することを課題とし、この課題を解決する梯子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明が採用した技術的手段は、梯子を装着対象部位に対して着脱可能に装着するための掛止板を備え、当該掛止板は、前記装着対象部位の上方縁に掛止するとともに、水平回動可能な構造とする梯子において、前記掛止板の水平回動を規制することによって、当該掛止板の掛止状態を保持する保持手段を備えた梯子にしたことである。(請求項1)
【0006】
また、前記掛止板の収納状態を確実に保持するとともに、当該収納状態と使用状態相互間の切り替えを迅速、かつ確実に行うという観点から、前記保持手段が、前記掛止板の水平回動を規制することによって、当該掛止板の収納状態を保持する構成を含むことが好ましい。(請求項2)
前記保持手段は、掛止板の掛止状態および/または収納状態を保持可能なものすべてを包含し、たとえば、保持手段を、掛止板を梯子と係合させることによって、当該掛止板の水平回動を規制する構成が挙げられる。(請求項3)
この場合、前記掛止板を梯子に対して上下スライド可能に配し、当該掛止板が上昇したときに梯子に係合するような構成が挙げられる。(請求項4)
また、この場合、前記掛止板を上昇方向へ付勢する構成が挙げられる。(請求項5)
【発明の効果】
【0007】
本発明の梯子によれば、梯子が装着された状態において掛止板の水平回動を規制することができる。
また、請求項2の発明によれば、掛止板の収納状態を確実に保持するとともに、当該収納状態と使用状態相互間の切り替えを迅速、かつ確実に行うことができる。
また、請求項3および請求項4の発明によれば、掛止板の回動規制を迅速、かつ容易に行うことができる。
また、請求項5の発明によれば、掛止板の回動規制をより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図1および図2に基づいて説明する。
なお、本形態では、装着対象部位をマンホールとして例示するが、本発明の梯子の装着対象部位は、マンホールに限定するものではない。
【0009】
本形態の梯子1は、基本的には、上段梯子部11と下段梯子部12とを、上下方向に伸縮可能に連結し、前記上段梯子部11に掛止板2を備えてなる公知の構成のものである。
掛止板2は、マンホールMの開口縁M1に掛止される板状のものであり、その後端部に上段梯子部11の縦杆11A,11Bに嵌合する筒体21を固着してなる。
筒体21は、前記縦杆11A,11Bの軸心を中心として回動可能、かつ上下スライド可能に嵌合され、さらにスプリングSによって常時上昇方向へ付勢されている。
スプリングSは、前記縦杆11A,11Bに設けられた突片S1,S2と前記筒体21の間に圧縮状に配設されている。
【0010】
また、前記筒体21と上段梯子部11とに亘って、掛止板2の掛止状態を保持する保持手段3が設けられている。
保持手段3は、筒体21の上端縁に形成された嵌合凹部31と、当該嵌合凹部31に嵌合される前記上段梯子部11の横杆32とから構成されている。
嵌合凹部31は、前記横杆32の径以上の深さとし、当該横杆32に対してスムースにスライド可能な幅として、筒体21の軸線方向に沿って、当該筒体21の外周を切り欠くように形成されている。
【0011】
前記嵌合凹部31と横杆32との嵌合動作を説明すると、掛止板2の位置が非掛止位置(横杆32と平行)にあるときには、前記筒体21の上端縁が横杆32に接触状態にあって、筒体21がスプリングSの付勢力に抗して下降している。
前記の非掛止位置から掛止板2が筒体21の回動により掛止位置(横杆32と直交)に至ると、筒体21の上端縁が横杆32から離れるとともに、前記凹部31が横杆32と正対する。
そして、筒体21が前記スプリングSの付勢力によって上昇するとともに、凹部31が横杆32に嵌合することによって、掛止板2の掛止位置が保持される。
【0012】
本形態の梯子1は、前記したように掛止板2を掛止位置に保持した状態で、マンホールM内に挿入するとともに、掛止板2をマンホールMの開口縁M1に引っ掛けることによって、マンホールM内に装着される。
このとき、梯子1の重量とスプリングSの付勢力とが凹部31と横杆32との嵌合力として作用するので、梯子1の使用中において掛止板2の回動を規制することができる。
本発明では、前記掛止板の回動規制について、前記スプリングを使用しないものも含まれるが、この場合でも梯子の重量が凹部と横杆との嵌合力として作用するので、梯子の使用中において掛止板の回動を規制することができる。
【0013】
図3に示す梯子1は、前記構成に加えて、掛止板2の収納状態を確実に保持するとともに、当該収納状態と使用状態相互間の切り替えを迅速、かつ確実に行うために、前記掛止板2の水平回動を、収納状態と使用状態の両方で規制するようにしているものである。
本形態の梯子1の基本的な構成としては、前記で例示した形態の梯子と同様のものであるので、重複する部位についての説明は、図面に同符号を付すことにより省略する。
【0014】
本形態の梯子1を詳述すると、筒体21と上段梯子部11とに亘って、掛止板2の掛止状態および収納状態を保持する保持手段3が設けられている。
本形態の保持手段3は、筒体21の上端縁から下方に向けて形成された掛止用凹部33と、当該掛止用凹部33の上方に連設された収納用凹部34と、これら両凹部に嵌合される上段梯子部11の横杆32とから構成されている。
前記掛止用凹部33は、筒体21の軸線方向に沿って、当該筒体21の外周を切り欠き、下端縁を略半円状の円弧状部331として形成されている。
前記収納用凹部34は、筒体21の上端縁から、前記掛止用凹部33の片側縁を長手方向に沿い、前記円弧状部331の基端部付近まで切り欠き、下端縁を水平状部341として形成されている。
前記収納用凹部34の掛止用凹部33に対する位置関係は、掛止板2が90度の角度で回動規制される位置関係としており、すなわち、掛止板2が横杆32に対して直交方向となる掛止状態から、横杆2に対して平行となる収納状態までの水平回動に規制される。
【0015】
前記掛止用凹部33および収納用凹部と横杆32との嵌合動作を説明すると、掛止板2の位置が収納位置(前記で例示した形態における「非掛止位置」)にあるときには、前記収納用凹部34がスプリングSの上方への付勢力の作用によって横杆32に嵌合し、掛止板2の収納状態が保持されている。
前記の収納位置から掛止板2が筒体21の回動により掛止位置に至ると、掛止用凹部33がスプリングSの上方への付勢力の作用によって上昇して横杆32に嵌合し、掛止板2の掛止状態が保持される。
また、掛止板2の掛止位置から収納位置への復帰動作は、掛止板2を収納方向へ回動すると、その回動力は、掛止用凹部33の円弧状部331の横杆32への接触によって、筒体21を押し下げる方向へと作用し、当該方向の力によってスプリングSの付勢力に抗して前記筒体21が下降するとともに、収納用凹部34の水平状部341に横杆32が嵌合して掛止板2が収納位置に復帰する。
【0016】
なお、本発明は、例示した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲で実施することは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る梯子の側面図(a)および正面図(b)。
【図2】図1の要部斜視図。
【図3】本発明に係る梯子の他の形態を示す要部斜視図。
【符号の説明】
【0018】
1:梯子
2:掛止板
3:保持手段
11:上段梯子部
12:下段梯子部
21:筒体
11A:縦杆
11A:縦杆
31:嵌合凹部
32:横杆
33:掛止用凹部
34:収納用凹部
M:マンホール
M1:開口縁
S:スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梯子を装着対象部位に対して着脱可能に装着するための掛止板を備え、当該掛止板は、前記装着対象部位の上方縁に掛止するとともに、水平回動可能な構造とする梯子において、
前記掛止板の水平回動を規制することによって、当該掛止板の掛止状態を保持する保持手段を備えていることを特徴とする梯子。
【請求項2】
前記保持手段が、前記掛止板の水平回動を規制することによって、当該掛止板の収納状態を保持する構成を含むことを特徴とする請求項1に記載の梯子。
【請求項3】
保持手段が、掛止板を梯子と係合させることによって、当該掛止板の水平回動を規制する構成のものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の梯子。
【請求項4】
前記保持手段が、前記掛止板を梯子に対して上下スライド可能に配し、当該掛止板が上昇したときに梯子に係合するようにしている請求項3に記載の梯子。
【請求項5】
前記掛止板を上昇方向へ付勢していることを特徴とする請求項4に記載の梯子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−112216(P2006−112216A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150929(P2005−150929)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000105981)サッポロ産機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】