説明

梱包材およびこれを用いた梱包体

【課題】梱包用トレイを上下に段積みし、上位に位置する上位梱包用トレイに収納された被梱包物を、下方からの衝撃から保護することができる梱包材を提供する。
【解決手段】少なくとも一方の前記被梱包部Paを収納する収納凹部11,21が形成された梱包用トレイ10A,20Aを備え、梱包用トレイを上下方向に段積みすることにより、被梱包物Pを梱包する梱包材1である。段積みされた梱包用トレイのうち、下位梱包用トレイ20Aには、上位梱包用トレイ10Aの各収納凹部の周りを下方から支持する複数の支持部23,24が形成されている。下位梱包用トレイ20Aの支持部23,24は、上位梱包用トレイ10Aに形成された少なくとも1つの収納凹部11に対して、収納凹部11の前記周りの四方のうち、連結部Pbが収容される側の少なくとも一方が非支持状態となるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品等の被梱包物を梱包するための一対の梱包用トレイを少なくとも備えた梱包材に係り、特に、これらの梱包用トレイを上下に段積みして、被梱包物を保護するに好適な梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業機械の部品、車両部品、または電子部品などの被梱包物は、複数の梱包用トレイを梱包材として用いて、梱包されて搬送される。各梱包用トレイには、被梱包物の少なくとも一部の形状に応じて被梱包物を収納するための収納凹部が形成されている。そして、梱包用トレイの収納凹部に被梱包物が収納された状態で、上下方向に段積みして、これを梱包体として搬送する。このようにして、複数の被梱包物を一度に搬送することができる。
【0003】
このような梱包材を構成する梱包用トレイの収納凹部に、被梱包物を収納した状態で、段積みした場合には、下位に位置する下位梱包用トレイは、上位に位置する上位梱包用トレイ及びこれに収容された被梱包物の自重が作用することになる。そして、この自重と搬送時における振動とが相俟って、下位梱包用トレイに局所的に荷重が作用した場合には、下位の梱包用トレイがその箇所で予期せぬ変形するおそれがあった。
【0004】
このような点を鑑みて、例えば、下位梱包用トレイには、上位梱包用トレイの荷重を支持するための支持部(スタック部)に形成した梱包材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この支持部は、上位梱包用トレイの収納凹部の周りを支持するように形成されている。これにより、上位梱包用トレイの収納凹部からの被梱包物の荷重を分散して受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−273333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の如き梱包用トレイは、例えば、電子部品等の軽量の部品を収納するには好適である。しかしながら、電子部品よりもはるかに重量のある精密部品等を被梱包物とした場合、電子部品の場合に比べて、下位梱包用トレイに作用する荷重は、大きくなる。これにより、搬送時に、振動などにより梱包体の底部から受ける衝撃は、下位梱包用トレイから直接的に、上位梱包用トレイに収納された被梱包物に伝わり易い。このような結果、上位梱包用トレイに収納された被梱包物を充分に保護することができない場合がある。
【0007】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子部品などに比べて重量のある被梱包物を梱包用トレイにより上下に段積みした場合であっても、上位に位置する上位梱包用トレイに収納された被梱包物を、下方からの衝撃から保護することができる梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決すべく、発明者は、鋭意検討を重ねた結果、下方からの衝撃が作用したときに、上位に位置する上位梱包用トレイを積極的に撓ませることにより、衝撃エネルギを撓みエネルギに変換し、上位梱包用トレイに収納された被梱包物を前記衝撃から保護することができると考えた。
【0009】
そして、発明者は、さらなる検討を重ねた結果、下方からの衝撃時に、上述した上位梱包用トレイの積極的な撓みを生じさせるためには、上位梱包用トレイを支持する下位梱包用トレイの支持部の位置が重要であるとの新たな知見を得た。
【0010】
本発明は、発明者の前記新たな知見に基づくものであり、本発明に係る梱包材は、1対の被梱包部と、被梱包部同士を連結する連結部と、を有した被梱包物のうち、少なくとも一方の前記被梱包部を収納する1以上の収納凹部が形成された梱包用トレイを備え、該梱包用トレイを上下方向に段積みすることにより、前記被梱包物を梱包する梱包材であって、前記段積みされた梱包用トレイのうち、下位に位置する下位梱包用トレイには、上位に位置する上位梱包用トレイを支持する複数の支持部が形成されており、前記下位梱包用トレイの前記支持部は、前記上位梱包用トレイに形成された少なくとも1つの前記収納凹部に対して、該収納凹部の前記周りの四方のうち、前記連結部が収容される側の少なくとも一方が非支持状態となるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、梱包用トレイの収納凹部に、少なくとも一方側の被梱包部の一部を収納し、梱包用トレイを上下方向に段積みすることにより、被梱包物を収納することができる。この際に、下位梱包用トレイには、上位梱包用トレイの収納凹部の周りを下方から支持する複数の支持部が形成されているので、この支持部により上位梱包用トレイ及びこれに収納された被梱包物の荷重を支持することができる。
【0012】
そして、この複数の支持部は、前記上位梱包用トレイの収納凹部の周りの四方のうち、前記連結部が収容される側の少なくとも一方が非支持状態となるように形成されているので、例えば、梱包材により梱包された梱包体に下方から衝撃が作用した場合、この非支持状態となった上位梱包用トレイの一部が被梱包部の自重により撓み、下方からの衝撃を吸収することができる。
【0013】
このようにして、電子部品などに比べて重量のある被梱包物を梱包用トレイにより上下に段積みした場合であっても、上位に位置する上位梱包用トレイに収納された被梱包物(被梱包部)を、下方からの衝撃から保護することができる。
【0014】
このように、被梱包部を衝撃から保護するべく、上位梱包用トレイの一部が撓むように、上位梱包用トレイに形成される収納凹部少なくとも一方が、非支持状態となるのであれば、支持部の位置は特に限定されるものではない。
【0015】
しかしながら、より好ましい態様としては、前記上位梱包用トレイの前記支持状態となる位置が、前記上位梱包用トレイの隅部となるように、前記支持部が形成されている。
【0016】
この態様によれば、上位梱包用トレイの中央側に比べて、その隅部側の方が撓みやすい。そして、下位梱包用トレイに対して、上位梱包用トレイの隅部側を非支持状態とすることにより、上位梱包用トレイに収納された被梱包物(被梱包部)に作用する衝撃を、上位梱包用トレイの撓みにより確実に吸収することができる。
【0017】
このように、下位梱包用トレイが上位梱包用トレイを安定して支持することができ、さらには、衝撃を吸収することができるように、その一部を上位梱包用トレイに対して非支持状態にすることができるのであれば、複数ある支持部の形状は特に限定されるものではない。
【0018】
しかしながら、より好ましい態様としては、少なくとも1つの前記支持部には、前記上位梱包用トレイに係止するための係止凹部が形成されており、該係止凹部を形成する少なくも1つの係止側壁面は、前記非支持状態となる位置に対して反対側を向くように形成されている。
【0019】
この態様によれば、下位梱包用トレイにおいて、支持状態となる位置に形成された支持部に、上位梱包用トレイに係止するための係止凹部が形成されているので、下位梱包用トレイは、上位梱包用トレイを係止し、両者が位置ずれすることを抑えることができる。
【0020】
さらに、係止凹部を形成する少なくも1つの係止側壁面は、非支持状態となる位置に対して反対側を向くように形成されているので、上位梱包用トレイのうち非支持状態の部分が撓んで沈み込み、これにより、この部分を中心に上位梱包用トレイにモーメントが作用したとしても、この係止側壁面が、上位梱包用トレイに対して回動しないように係止するので、上位梱包用トレイが、モーメントにより持ち上がることを抑えることができる。
【0021】
また、上述した被梱包物は、連結部が、剛体であってもよいが、この連結部が可撓性を有する場合には、以下の態様が好ましい。すなわち、前記上位梱包用トレイに形成された収納凹部は、被梱包部を収納する部分が、前記連結部の一部を収納する部分よりも高い位置で前記被梱包部を受けるように形成されている。
【0022】
この態様によれば、被梱包部を収納する部分が、前記連結部収納凹部よりも高い位置で被梱包部を受けるので、梱包状態で連結部が撓んだとしても、前記連結部の一部を収納する部分には連結部の荷重が作用し難い。これにより、下方からの衝撃が作用しないときには、上位梱包用トレイのうち非接状態となる部分の撓みを抑え、衝撃時には、この部分を撓ませて、被梱包部に作用する衝撃を吸収することができる。
【0023】
このようにして、上述した梱包用トレイの前記収納凹部に、前記被梱包物を収納し、梱包用トレイを段積みすることにより、梱包体とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電子部品などに比べて重量のある被梱包物を梱包用トレイにより上下に段積みした場合であっても、上位に位置する上位梱包用トレイに収納された被梱包物を、下方からの衝撃から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る梱包用トレイを段積みしたときの梱包材の模式的斜視図。
【図2】図1に示す梱包用トレイの拡大斜視図。
【図3】図2に示す梱包用トレイに被梱包物を梱包したときの断面図であり、(a)は、図2のA−A線矢視断面図、(b)図2のB−B線矢視断面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る梱包用トレイを段積み梱包材したときの部分的な模式的斜視図。
【図5】本発明の第3実施形態に係る梱包用トレイを段積みした梱包材の部分的な模式的斜視図。
【図6】図5に示す梱包用トレイに被梱包物を梱包したときの断面図であり、(a)は、図5のC−C線矢視断面図、(b)図5のD−D線矢視断面図。
【図7】本発明の第4実施形態に係る上位梱包用トレイの模式的図であり、(a)は、上位梱包用トレイの模式的斜視図、(b)は、被梱包物を梱包した状態を示す模式的斜視図。
【図8】本発明の第5実施形態に係る梱包用トレイを段積み梱包材したときの部分的な模式的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面に基づき、本発明に係る梱包用トレイを備えた梱包材のいくつかの実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る梱包用トレイを段積みしたときの梱包材の模式的斜視図、図2は、図1に示す梱包用トレイの拡大斜視図である。図3は、図2に示す梱包用トレイに被梱包物を梱包したときの断面図であり、(a)は、図2のA−A線矢視断面図、(b)図2のB−B線矢視断面図である。
【0027】
なお、図1では、2つの異なる種類の梱包用トレイ10A、20Aを上下方向に、段積みしているが、これらは、上下方向に交互に段積みされており、ここでは、例示として、そのうちの2段を図示している。したがって、図1に示す10Aを以下に上位梱包用トレイとし、20Aを下位梱包用トレイとするが、これは、説明のために便宜的にそのように定義したものであり、一義的に、上位および下位を決めるものではない。
【0028】
図1〜図3に示すように、第1実施形態に係る梱包材1を構成する梱包用トレイ10A,20Aは、被梱包物Pを収納するためのトレイである。本実施形態では、梱包対象となる被梱包物Pは、1対の被梱包部Pa,Paと、被梱包部Pa,Pa同士を連結する連結部Pbとを有した被梱包物である。
【0029】
ここで、梱包用トレイ10A,20Aは、シート状の例えば熱可塑性樹脂を素材として、これを真空成形等の熱成形手段により一体成形してなる。素材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HiPS)等のポリスチレン(PS)系樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる発泡材、又は非発泡材からなるシート状の樹脂を挙げることができ、熱成形が可能な樹脂であれば、素材は特に限定されない。
【0030】
ここで梱包用トレイ10A,20Aの構造について以下に説明する。上述したように、図1に示す梱包用トレイ10A,20Aは、上位梱包用トレイ10Aと、下位梱包用トレイ20Aとを、それぞれ一対備えている。本実施形態では、一対の上位梱包用トレイ10Aは同じ形状であり、一対の下位梱包用トレイ20Aは同じ形状である。
【0031】
以下の説明の便宜上、一対の上位梱包用トレイ10Aおよび一対の下位梱包用トレイ20Aは、それぞれ対向する縁側を内側とし、一対の上位(下位)梱包用トレイ10A(20A)の配置方向であって対向しない縁側を外側とする。
【0032】
図2に示すように、上位梱包用トレイ10Aは、被梱包物Pの被梱包部Paと連結部Pbの一部を収納する収納凹部11が2つ並んで形成されている。各収納凹部11は、被梱包部Paを収納する第1の収納凹部11aと、連結部Pbの一部を収納する第2の収納凹部11bとからなり、第1および第2の収納凹部11b,11bは、連結している。また、上位梱包用トレイ10Aには、後述する下位梱包用トレイ20Aの各支持部を受けるための受け部15A,16Aが形成されている。
【0033】
一方、下位梱包用トレイ20Aも、上位梱包用トレイ10Aと同様に、被梱包物Pの被梱包部Paと連結部Pbの一部を収納する収納凹部21が2つ形成されている。各収納凹部21は、被梱包部Paを収納する第1の収納凹部21aと、連結部Pbの一部を収納する第2の収納凹部21bとからなり、第1および第2の収納凹部21b,21bは、連結している。
【0034】
また、下位に位置する下位梱包用トレイ20Aには、上位に位置する上位梱包用トレイ10Aを支持するための中央支持部23Aと一対の隅支持部24A,24Aとがほぼ同一の高さに形成されており、これらの支持部23A,24A,24Aにより、上位に位置する上位梱包用トレイ10Aの収納凹部11,11の周りを下方から支持するように形成されている。
【0035】
より具体的には、図2に示すように、中央支持部23Aは、2つの第2の収納凹部21b,21bの間(下位梱包用トレイ20Aの内側の中央)において上方に突出して形成されている。また、一対の隅支持部24A,24Aは、下位梱包用トレイ20Aの四隅のうち、一対の下位梱包用トレイ20Aの外側の隅部に形成されている。下位梱包用トレイ20Aの内側の隅部には、上位梱包用トレイ10Aを支持しないように、中央支持部23A、一対の隅支持部24A,24Aの高さよりも低い低壁部22A,22Aが形成されている。
【0036】
これにより、上位梱包用トレイ10Aの支持状態となる位置p1が、上位梱包用トレイ10Aの内側の中央および外側の両隅にあり、上位梱包用トレイ10Aの非支持状態となる位置p2が、上位梱包用トレイ10Aの外側の中央および内側の両隅にあるように、中央支持部23Aと、一対の隅支持部24A,24Aとが形成されることになる。これにより、下位梱包用トレイ20Aの中央支持部23Aおよび隅支持部24Aが、上位梱包用トレイ10Aに形成された各収納凹部11の周りの四方のうち、連結部Pbが収容される側(内側)の一方(隅部)と、外側の一方(中央)が非支持状態となるように、形成されることになる。
【0037】
以下に、本実施形態に係る梱包材1の作用について説明する。上位梱包用トレイ10Aと、下位梱包用トレイ20Aとを上下方向に段積みしたときに、下位梱包用トレイ20Aの中央支持部23Aは、上位梱包用トレイ10Aの受け部15Aの底面を受け、隅支持部24A,24Aは、上位梱包用トレイ10Aの受け部16A,16Aの底面を受ける。これにより、上位梱包用トレイ10Aは、下位梱包用トレイ20Aに対して、上位梱包用トレイ10Aの内側の中央が支持状態となり、内側の両隅が非支持状態となる。
【0038】
このように、上位および下位の梱包用トレイ10A,20Aの収納凹部11,21に、一対の被梱包部Paおよびこれに連結された連結部Pbの一部を収納し、上位および下位の梱包用トレイ10A,20Aを、交互に上下方向に段積みすることにより、被梱包物Pを収納することができる。この際に、下位梱包用トレイ20Aには、上位梱包用トレイ10Aを支持する中央支持部23Aと、一対の隅支持部24A,24Aとが形成されているので、これらにより、上位梱包用トレイ10Aおよびこれに収納された被梱包物Pの荷重を、下位梱包用トレイ20Aで支持することができる。
【0039】
そして、各収納凹部11の周りの四方のうち、内側の一方(隅部)が非支持状態となるように、形成されることになるので、例えば、梱包材1により梱包された梱包体に下方から衝撃が作用した場合、この非支持状態となった上位梱包用トレイ10Aの一部が被梱包部Paの自重により撓み、下方からの衝撃を吸収することができる。
【0040】
このようにして、電子部品などに比べて重量のある被梱包物Pを上位および下位梱包用トレイ10A,20Aにより上下に段積みした場合であっても、上位に位置する上位梱包用トレイ10Aに収納された被梱包物P(被梱包部Pa)を、下方からの衝撃から保護することができる。
【0041】
特に、本実施形態では、上位梱包用トレイ10Aの内側の中央に比べて、内側の隅部の方が撓みやすいので、下位梱包用トレイ20Aに対して、上位梱包用トレイ10Aの隅部側を非支持状態とすることにより、上位梱包用トレイ10Aに収納された被梱包物P(被梱包部Pa)の作用する衝撃を、上位梱包用トレイ10Aの撓みにより確実に吸収することができる。
【0042】
また、図1では示していないが、上位梱包用トレイ10Aの上方にさらに下位梱包用トレイ20Aが段積みされ、下位梱包用トレイ20Aの下方にさらに上位梱包用トレイ10Aが段積みされる。
【0043】
そして、上位梱包用トレイ10Aも、下位梱包用トレイ20Aと同じように、中央支持部13Aと、一対の隅支持部14A,14Aがほぼ同一の高さに形成されている。中央支持部13Aは、2つの第2の収納凹部11bの間(内側)(一対の上位梱包用トレイ10Aの内側の中央)において上方に突出して形成されている。一方、一対の隅支持部14A,14Aは、上位梱包用トレイ10Aの四隅のうち、上位梱包用トレイ10Aの外側の隅部において上方に突出して形成されている。また、上位梱包用トレイ10Aと同様に、内側の隅部には、中央支持部13A、一対の隅支持部14A,14Aの高さよりも低い一対の低壁部12A,12Aが形成されている。
【0044】
また、下位梱包用トレイ20Aには、段積みのときに、下位に位置する上位梱包用トレイ10Aの各支持部を受けるための受け部25A,26Aが形成されている。これにより、上位梱包用トレイ10Aの上に配置される下位梱包用トレイ20Aは、各隅支持部14Aにより、収納凹部21の周りの四方のうち、連結部11bが収容される側(内側)の両隅部が非支持状態となる。
【0045】
このようにして、上位梱包用トレイ10Aの上方に段積みされた下位梱包用トレイ20Aに収納された被梱包物Pも、上述したのと同様に、下方からの衝撃が作用した場合であっても、同じくその衝撃を吸収することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係る梱包用トレイを段積み梱包材したときの部分的な模式的斜視図である。第2の実施形態に係る梱包用トレイが、第1の実施形態の梱包用トレイと異なる点は、支持部の位置である。したがって、第1の実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、符号の末尾のAをBに変更し、その詳細な説明を一部省略する。
【0047】
図4に示すように、本実施形態に係る上位および下位梱包用トレイ10B,20Bは、第1実施形態に示した被梱包物と同じ被梱包物Pを収納するための梱包用トレイであり、この被梱包物Pを梱包した状態で梱包体とされる。
【0048】
本実施形態では、下位梱包用トレイ20Bには、上位に位置する上位梱包用トレイ10Bを支持する複数の支持部23B,24B,24Bがほぼ同じ高さに形成されている。より具体的には、支持部23B,24Bは、一対の下位梱包用トレイ20Bの外側の中央に形成された中央支持部23Bと、下位梱包用トレイ20Bの四隅のうち、下位梱包用トレイ20Bの内側の隅部に形成された一対の隅支持部24B,24Bとからなる。すなわち、本実施形態では、隅支持部24B,24Bの間、および、一対の下位梱包用トレイ20Bのさらに外側の隅部には、上位梱包用トレイ10Bを支持しないように、中央支持部23B、および一対の隅支持部24B,24Bの高さよりも低い低壁部22B,22Bが形成されている。
【0049】
また、上位梱包用トレイ10Bも、下位梱包用トレイ20Bと同様に、中央支持部13Bが、上位梱包用トレイ10Bの外側の中央側に形成され、一対の隅支持部14B,14Bが、上位梱包用トレイ10Bの内側の隅部に形成される。すなわち、上位梱包用トレイ10Bに形成され各収納凹部の周りの四方のうち、連結部Pbが収容される側(内側)の一方(中央)が非支持状態となる。
【0050】
このようにして、上下方向に、交互に段積みされた一対の上位および下位の梱包用トレイ10B,20Bの内側の中央は非支持状態となるので、この部分(トレイ中央部分)が撓みやすくなり、この撓みにより、被梱包物に作用する衝撃を吸収することができる。
【0051】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係る梱包用トレイを段積みした梱包材の部分的な模式的斜視図であり、図6は、図5に示す梱包用トレイに被梱包物を梱包したときの断面図であり、(a)は、図5のC−C線矢視断面図、(b)図5のD−D線矢視断面図である。
【0052】
第3実施形態に係る梱包用トレイが、第1の実施形態の梱包用トレイと異なる点は、各支持部に係止部を設けた点である。したがって、第1の実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、符号の末尾のAをCに変更し、その詳細な説明を一部省略する。
【0053】
図5および図6(a),(b)に示すように、本実施形態に係る下位梱包用トレイ20Cの中央支持部23Cの上端に係止凹部27が形成されている。また、一対の隅支持部24C,24Cの上端隅部(下位梱包用トレイ20Cの外側隅部)に、係止凹部28,28が、それぞれ形成されている。
【0054】
具体的には、各係止凹部27,28は、上位梱包用トレイ10Cを受ける底面27a,28aと、上位梱包用トレイ10Cに係止する係止側壁面27b,28b等の側壁面により形成される。そして、中央支持部23Cの係止凹部27に形成された係止側壁面27bは、前記非支持状態となる位置p2に対向するように(これ対して反対側を向くように)形成されている(図6(a)参照)。一方、隅支持部24Cの係止凹部28に形成された係止側壁面28bは、非支持状態となる位置p2に対向するように(これ対して反対側を向くように)形成されている(図6(b)参照)。
【0055】
図5に示すように、上位梱包用トレイ10Cには、段積み時に、中央支持部23Cの係止凹部27に係止する係止受け部15Cと、一対の隅支持部24C,24Cの係止凹部28に係止する係止受け部16Cが形成されている。
【0056】
このように、下位梱包用トレイ20Cにおいて、支持状態となる位置p1に形成された中央支持部23Cと、一対の隅支持部24Cには、それぞれ上位梱包用トレイ10Cに係止するための係止凹部27,28が形成されているので、これらは係止受け部15Cおよび16Cに係止する。このようにして、下位梱包用トレイ20Cは、上位梱包用トレイ10Cに係止し、両者が位置ずれすることを抑えることができる。
【0057】
さらに、係止凹部27,28を構成する係止側壁面27b,28bは、非支持状態となる位置p2に対向するように(これ対して反対側を向くように)形成されているので、上位梱包用トレイ10Cのうち非支持状態となる位置p2にある部分が撓んで沈み込み、これにより、この部分を中心に上位梱包用トレイ10Cにモーメントが作用したとしても、各係止側壁面27b,28が、上位梱包用トレイ10Cに係止するので、上位梱包用トレイ10Cが、モーメントにより持ち上がることを抑えることができる。
【0058】
また、上位梱包用トレイ10Cも、下位梱包用トレイ20Cと同様に、非支持状態となる位置p2に対して反対側を向くように、係止側壁面17bが形成された係止凹部17を設けてもよい。これにより、上位梱包用トレイ10Cの上方に、下位梱包用トレイ20Cを段積みしても、同様に、衝撃に対して下側梱包用トレイ10Cの梱包状態を安定させることができる。
【0059】
〔第4実施形態〕
図7は、本発明の第4実施形態に係る上位梱包用トレイの模式的図であり、(a)は、上位梱包用トレイの模式的斜視図、(b)は、被梱包物を梱包した状態を示す模式的斜視図である。第4実施形態に係る梱包用トレイが、第1の実施形態の梱包用トレイと異なる点は、被梱包物の連結部の素材と、各梱包用トレイの収納凹部の構造である。したがって、第1の実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、符号の末尾のAをDに変更し、その詳細な説明を一部省略する。
【0060】
図7(a),(b)に示すように、本実施形態に係る被梱包物P’の連結部Pb’は、樹脂製またはゴム製の可撓性を有した材料からなり、本実施形態に係る梱包材は、このような連結部Pb’を有した被梱包物P’を梱包する。
【0061】
具体的には、上位梱包用トレイ10Dの被梱包部を収納する第1の収納凹部11aには、底上げ部11cが形成されており、これにより、第1の収納凹部11aは、前記連結部の一部を収納する第2の収納凹部11bよりも高い位置で、被梱包部Paを受けるように形成されている。また、図示していないが下位梱包用トレイも同様の底上げ部11cを有している。
【0062】
このようにして、第1の収納凹部11aが、第2の収納凹部11bよりも高い位置で被梱包部を受けるので、連結部Pb’が図7(b)のように撓んだとしても、第2の収納凹部11bには連結部Pb’の荷重が作用し難い。これにより、下方からの衝撃が作用しないときには、上位梱包用トレイ10Dのうち非接状態の部分の撓みを抑え、衝撃時にはこの部分を撓ませて、被梱包部に作用する衝撃を吸収することができる。
【0063】
〔第5実施形態〕
図8は、本発明の第5実施形態に係る梱包用トレイを段積み梱包材したときの部分的な模式的斜視図である。第5の実施形態に係る梱包用トレイが、第1の実施形態の梱包用トレイと異なる点は、支持部の位置と収納凹部の形状である。したがって、第1の実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、符号の末尾のAをEに変更し、その詳細な説明を一部省略する。
【0064】
図8に示すように、本実施形態にかかる下位梱包用トレイ20Eは、第1実施形態に比べて、内側の両隅部のうち1つの隅部に、隅支持部24E’がさらに形成され、外側の中央に、中央支持部23E’がさらに形成されている。これらの支持部23E’,24E’は、他の支持部14E,13Eと同じ高さとなっている。また、上側梱包用トレイ10Eにも同様に、隅支持部14E’と中央支持部13E’が形成されている。
【0065】
さらに、上側梱包用トレイ10Eには、収納凹部11E,11Fを仕切る仕切り部19が形成されており、下側梱包用トレイ10Eにも、同様に、収納凹部21E,21Fを仕切る仕切り部19が形成されている。
【0066】
このようにして、上位梱包用トレイ10Eの2つの収納凹部11E,11Fのうち、1つの収納凹部11Eの周りの四方のうち、三方が支持状態となり、連結部Pbが収容される側(内側)の一方(中央)が非支持状態となる。また、残りの収納凹部11Fの周りの四方は、支持状態となる。したがって、このような場合には、収納凹部11Eに収納された被梱包物への衝撃を吸収することができ、下位梱包用トレイ20Eの場合も同様である。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0068】
第1〜第4実施形態では、一対の上位梱包用トレイのそれぞれの形状は同じであり、一対の下位梱包用トレイのそれぞれの形状は同じであった。これは、被梱包物を構成する一対の梱包部が同一形状であるからであり、これらが異なる形状であってもよく、この形状に応じて、各梱包用トレイの収納凹部の形状を選定すればよい。また、この少なくとも一方側(衝撃を吸収させたい側)の被梱包部のみを、第1〜第4のいずれかの実施形態の梱包用トレイを用いて梱包材としてもよい。さらに、第1〜第4の各梱包用トレイは、2つの被梱包物を収納するように2つの収納凹部を形成していたが、衝撃を吸収することができるのであれば、この個数に限定されるものではない。
【0069】
また、第1〜第4の実施形態では、梱包用トレイの段積み状態のみを説明したが、この段積みされたものを、さらに筐体等に収容して、梱包体としてもよいのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0070】
1:梱包材、10A〜10E:上位梱包用トレイ、11,11E,11F:収納凹部、11a:第1の収納凹部、11b:第2の収納凹部、11c:底上げ部、12A,12B:低壁部、13A〜13E:中央支持部、14A〜14E:隅支持部、15:受け部、15C:係止受け部、16:受け部、16C:係止受け部、17:係止凹部,17a:底面、17b:係止側壁面、19:仕切り部、20A,20B,20C:下位梱包用トレイ、21:収納凹部、21a:第1の収納凹部、21b:第2の収納凹部、22A,22B:低壁部、23A,23B,23C:中央支持部、24A,24B,24C:隅支持部、25,26:受け部、27:係止凹部,27a:底面、27b:係止側壁面、28:係止凹部、28a:底面、28b:係止側壁面、29:仕切り部、P,P’:被梱包物、Pa:被梱包部、Pb:連結部,p1:支持状態となる位置、p2:非支持状態となる位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の被梱包部と、被梱包部同士を連結する連結部と、を有した被梱包物のうち、少なくとも一方の前記被梱包部を収納する1つ以上の収納凹部が形成された梱包用トレイを備え、該梱包用トレイを上下方向に段積みすることにより、前記被梱包物を梱包する梱包材であって、
前記段積みされた梱包用トレイのうち、下位に位置する下位梱包用トレイには、上位に位置する上位梱包用トレイの各収納凹部の周りを下方から支持する複数の支持部が形成されており、
前記下位梱包用トレイの前記支持部は、前記上位梱包用トレイに形成された少なくとも1つの前記収納凹部に対して、該収納凹部の前記周りの四方のうち、前記連結部が収容される側の少なくとも一方が非支持状態となるように、形成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記上位梱包用トレイの前記非支持状態となる位置が、前記上位梱包用トレイの隅部となるように、前記支持部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
少なくとも1つの前記支持部には、前記上位梱包用トレイに係止するための係止凹部が形成されており、該係止凹部を形成する少なくも1つの係止側壁面は、前記非支持状態となる位置に対して反対側を向くように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記連結部は、可撓性を有しており、前記上位梱包用トレイに形成された収納凹部は、被梱包部を収納する部分が、前記連結部の一部を収納する部分よりも高い位置で、前記被梱包部を受けるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包材。
【請求項5】
請求1〜4のいずれかに記載の梱包材により梱包された梱包体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−246052(P2012−246052A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121947(P2011−121947)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】