説明

梱包材及びこれを用いた梱包体

【課題】被梱包部品をコンパクトに保持し、安価に成形できる梱包材を提供する。
【解決手段】複数の板状の被梱包部品2を一単位の被梱包部品群として、複数の被梱包部品群W1,W2を隣り合う位置に配置し、被梱包部品群W1を構成する第1の被梱包部品2の端部2Tと、他の被梱包部品群W2を構成する第2の被梱包部品2の端部2Tとが前記一方向に重なった状態で複数の被梱包部品群W1,W2を収納するケーシング6内に用いられる梱包材1であって、被梱包部品群の各被梱包部品2の板面を一方向に向けて配列されるように各被梱包部品2の周端部を複数箇所において保持する保持部材5と、第1の被梱包部品2の端部と前記第2の被梱包部品の端部との間に亘って配置され、これらの端部の所定位置に係止される介挿部材とを備え、介挿部材が所定位置に係止されると被梱包部品群W1と他の被梱包部品群W2とが連結された状態となることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボンネット等、板状の被梱包部品を梱包するのに用いられる梱包材及びこれを用いた梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用のボンネット等、板状の被梱包部品を損傷から保護しつつ効率良く複数まとめて運搬するための梱包材として、従来より下記特許文献1に開示された梱包材が提案されている。
【0003】
図9に示す特許文献1に記載された梱包材100は、2枚のボンネットW,Wをその前端部W1を一方向に向けて併置した状態で、これら2枚のボンネットW,Wの互いに対向する端部間を支持する中央支持部材101と、この中央支持部材101によって保持された2枚のボンネットW,Wの4隅を支持する支持部材102A,102A,102B,102Bとを備え、これら中央支持部材101と4隅を支持する支持部材102A,102Bとをそれぞれ上下方向に段積みできるようになっている。
【0004】
中央支持部材101は、その上面にボンネットWの前端部W1と後端部W2とを対向させて嵌合させる2つの凹所104,105を有している。これらの凹所104,105は、ボンネットWの端部同士が接触しないように間を隔てて形成され、中央支持部材101が一方のボンネットWの前端部W1と他方のボンネットWの後端部W2との間に跨って配置されるようになっている。また、4隅に配置される支持部材102A,102A,102B,102Bは、併置された一方のボンネットWの前端部の2隅を支持する前端側支持部材102Aと、他方のボンネットWの後端部側の2隅を支持する後端側支持部材102Bからなり、前端側支持部材102Aと後端側支持部材102BとはそれぞれボンネットWの形状に合わせて異なる形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−30589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1の梱包材100によれば、一の中央支持部材101が水平方向に併置された2枚のボンネットW,Wの互いに対向する前端部W1と後端部W2とをそれぞれ支持するものであるため、その部材が大型化し、この中央支持部材101を成形する金型も大型化するため、金型費用が嵩み、梱包材100がコスト高になるという問題があった。
【0007】
また、ボンネットWの前端部W1を嵌合させる中央支持部材101の凹所104とボンネットWの後端部W2を嵌合させる凹所105とは、ボンネットWの端部同士が接触しないように間を隔てて形成されているため、ボンネットWを梱包した際の梱包体100Aの長さ方向の寸法が大きくなり梱包材100の収納効率が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みて、被梱包部品を梱包材でコンパクトに保持するとともに、金型の大型化を抑えて安価に成形できる梱包材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を提供している。
請求項1の発明は、複数の板状の被梱包部品を一単位の被梱包部品群として、複数の前記一単位の被梱包部品群を隣り合う位置に配置し、前記一単位の被梱包部品群を構成する第1の被梱包部品の端部と、これに隣り合う他の一単位の前記被梱包部品群を構成する第2の被梱包部品の端部とが前記一方向に重なった状態でこれら複数の被梱包部品群を収納するケーシング内に用いられる梱包材であって、前記一単位の被梱包部品群の各被梱包部品の板面が一方向に向けられて所定の間隔で配列されるように各被梱包部品の周端部を複数箇所において保持する保持部材と、前記保持部材によって保持された第1の被梱包部品の端部と前記第2の被梱包部品の端部との間に亘って配置されるとともに、前記第1の被梱包部品の端部と前記第2の被梱包部品の端部の所定位置に係止される介挿部材とを備え、
前記介挿部材が前記所定位置に係止されると前記一単位の被梱包部品群と前記他の一単位の被梱包部品群とが連結された状態となることを特徴とする。
本発明では、被梱包部品群を複数並べて梱包する場合であっても、被梱包部品群ごとにその被梱包部品の周端部を保持部材により保持する構成とされているため、保持部材をコンパクトすることができる。また、第1の被梱包部品を保持する保持部材の金型と第2の被梱包部品を保持する保持部材の金型とを共通化させることができる。よって、金型の寸法を抑えたり、金型の種類の増加を抑えたりすることで梱包材製造のコストを低減することができる。
また、本発明では、第1の被梱包部品の端部と、第2の被梱包部品の端部とを一方向に重ねた状態で梱包することができるため、被梱包部品を収納効率よく梱包することができる。
また、本発明では、前記第1の被梱包部品の端部と前記第2の被梱包部品の端部との間に亘ってこれら第1の被梱包部品の端部及び第2の被梱包部品の端部の所定位置に係止させる介挿部材が配置されるため、隣り合う被梱包部品群の間での相対的な移動を規制することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の梱包材において、前記第1の被梱包部品間及び前記第2の梱包部品間のいずれか一方又は双方の間に介挿されて、第1の被梱包部品間及び前記第2の梱包部品間のいずれか一方又は双方を位置決めする緩衝部材を備えていることを特徴とする。
本発明では、第1の被梱包部品間及び第2の梱包部品間のいずれか一方又は双方の間に緩衝部材が配されているため、隣り合う被梱包部品群同士の相対的な移動をより確実に規制することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の梱包材において、前記緩衝部材は、前記第1の被梱包部品又は前記第2の被梱包部品の板面に設けられた突起部を内部に収容させる穴部を有することを特徴とする。
本発明では、緩衝部材が被梱包部品に設けられた突起部を収容させる穴部を有しているため、緩衝部材の穴部に突起部を収容して被梱包部品間に緩衝部材を介挿させることにより、突起部及びこれに対向する被梱包部品の板面を保護することができるとともに、被梱包部品を突起部に係止させて被梱包部品間における緩衝部材の相対的な変位を防止することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の梱包材において、前記介挿部材は、前記緩衝部材と一体的に設けられていることを特徴とする。
本発明では、介挿部材が緩衝部材と一体的に設けられているので、緩衝部材の穴部に突起部を収容させることにより、被梱包部品間において介挿部材を一定の位置に保持させることができる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の梱包材により前記被梱包部品を梱包したものであることを特徴とする。
本発明では、被梱包部品を梱包した梱包体の収納効率がよく、かつ被梱包部品を安定的に梱包することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る梱包材によれば、上記した解決手段によって以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る梱包材によれば、複数の被梱包部品群を隣り合わせに配置して梱包する場合であっても、一単位の被梱包部品群ごとにその被梱包部品の周端部を保持部材により保持する構成とされているため、保持部材をコンパクトに製作することができる。また、一単位の被梱包部品群を保持する保持部材の金型と他の一単位の被梱包部品群を保持する保持部材の金型を共通化させることができる。したがって、保持部材の金型を大型化させたり、金型の種類を増やしたりすることを回避することにより、成形コストを抑えた安価な保持部材を提供することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る梱包材によれば、被梱包部品を、一単位の被梱包部品群を構成する第1の被梱包部品の端部と、これに隣り合う他の一単位の前記被梱包部品群を構成する第2の被梱包部品の端部とを前記一方向に重ねた状態で梱包することができるため、被梱包部品を収納効率よく梱包することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る梱包材によれば、被梱包部品を、一単位の被梱包部品群を構成する第1の被梱包部品の端部と、これに隣り合う他の一単位の前記被梱包部品群を構成する第2の被梱包部品の端部とを前記一方向に重ねた状態で梱包しても、隣り合う被梱包部品間に亘って介挿部材が配置され被梱包部品群同士が連結されるため、隣り合う被梱包部品群の間での相対的な移動を規制して、安定した状態で被梱包部品を梱包することができるとともに、被梱包部品群間で相対的な移動が生じて被梱包部品同士が接触することによる損傷を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】は、本発明の一実施形態として示した梱包材を用いて被梱包部品を梱包した梱包体の平面図である。
【図2】は、本発明の一実施形態として示した梱包材の正面図である。
【図3】は、本発明の一実施形態として示した梱包材に梱包される被梱包部品を示す図であり、(a)は該被梱包部品の下面図であり、(b)は被梱包部品の平面図である。
【図4】は、本発明の一実施形態として示した梱包材の保持部材を示す斜視図である。
【図5】は、本発明の一実施形態として示した梱包材の保持部材同士を対向させた状態を示す図である。
【図6】は、本発明の一実施形態として示した梱包材の介挿部材を示した斜視図である。
【図7】は、本発明の一実施形態として示した梱包材の緩衝部材を示した斜視図である。
【図8】(a)は、本発明の一実施形態として示した梱包材に梱包された被梱包部品の一部を示す平面図であり、同図(b)は本発明の一実施形態の変形例として示した梱包材に梱包された被梱包部品の一部を示す平面図である。
【図9】は、従来の梱包材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態として示した梱包材1により被梱包部品2を梱包した梱包体Aを示す平面図、図2は、図1に示された梱包材1の正面図である。
本発明の梱包材1は、板状部材であればどのようなものでも梱包できるが、本実施形態においては、梱包する被梱包部品2として自動車のボンネットを例示して説明する。
【0019】
図3(a)は、ボンネットを下面21側から視た図であり、同図(b)はボンネットを平面視した図である。ここで、本実施形態において、被梱包部品2の短手方向をX1−X2方向とし、長手方向をY1−Y2方向とし、板面間方向をZ1−Z2方向とする。この図に示すように、被梱包部品2は、矩形形状の互いに対向する2つの端縁2a,2cのうち一方の端縁2aを矢印X2方向に膨らむように湾曲させ、他方の端縁2cを矢印X2方向に凹むように湾曲させた形状となっており、これら端縁2a、2cの各端部間に跨る対向する他の2つの端縁2b,2dは、これらの端縁2b、2d間の寸法が矢印X2方向に漸次幅狭になっている。
【0020】
端縁2aと端縁2bとにより形成された角部及び端縁2aと端縁2dとにより形成された角部は、線対称に形成され円弧状に湾曲した角部R1,R1を形成している。また端縁2cと端縁2bとにより形成される角部及び端縁2cと端縁2dとにより形成された角部は、線対称に形成され、矢印X1方向に突出した角部R2,R2を形成している。
図3(b)に示すように、被梱包部品2は、平面視で上面20側が凸曲面となるよう緩やかに湾曲する形状となっており、同図(a)に示すように下面21の端縁2a側の幅方向中央部には突起部3が形成されている。
【0021】
図2に示すように、梱包材1は、複数の板状の被梱包部品2を一単位の被梱包部品群Wとして、これら複数の被梱包部品2の周端部を保持する保持部材5と、この保持部材5に保持された2つの被梱包部品群W1,W2を収納するケーシング6と、ケーシング6に収納された被梱包部品群W1,W2の第1の被梱包部品2の端部2Tとこれに対向する第2の被梱包部品2の端部2Tとの間に亘って介挿される介挿部材7と、各被梱包部品群W1,W2の各被梱包部品2,2・・同士の間に介挿される緩衝部材8とを備えている。
【0022】
図4に示すように、被梱包部品群W1を保持する保持部材5,5・・は、壁部5A,5Bにより正面視略L字状に形成された長尺の部材であり、その長手方向に所定の間隔で切欠9,10,9,10・・が形成されている。
壁部5Aは、略鉛直に立ち上がる壁面5hと、壁面5hの一端縁から水平に延在する壁面5iと、壁面5iの端縁から延在し壁面5hに対向する壁面5jとに囲まれて形成されている。
壁部5Bは、壁面5hの他端縁から延在し壁面5iに対向する壁面5kと、壁面5kの端縁から鉛直に立ち上がる壁面5mと、壁面5mの端縁から水平に延在し壁面5jと連接する壁面5nとに囲まれて形成されている。
【0023】
切欠9,10は、保持部材5の長手方向の一端p1側から所定寸法他端p2側寄りの位置から形成され、所定の間隔で切欠9,10,9,10・・と他端p2側向かって交互にそれぞれ同数形成されている。
【0024】
切欠9は、保持部材5の長手方向に直交する方向に形成されたものであり、壁部5Aの壁面5h側から壁面5jの手前に至るまで切り欠かれ、壁面5h側と壁面5i側とに向かって開口している。この切欠9は、湾曲した角部R1,R1が係止する寸法に合わせて形成されている。
【0025】
切欠10は、切欠9と所定の間隔をおいて切欠9に平行にかつ切欠9よりも大きな切欠となるよう形成されたものであり、壁面5h側から切り欠かれて壁部5Aを貫通し、壁部5Bの壁面5mの手前に至るまで切り欠かれ、壁部5Aの壁面5h,5i,5j及び壁面5n側に開口している。この切欠10の深さは、切欠9よりも深く、すなわち壁面5k側寄りに切り欠かれ、突出した角部R2が十分に収まるように形成されている。
【0026】
この構成の下に、保持部材5,5・・は、図2に示すように互いに離間させ、壁面5h同士が対向するように配置した場合、図5に示すように切欠9と切欠10とが互いに対向し、それぞれに被梱包部品2の周端部、すなわち本実施形態においては角部R1,R2を保持させることができるようになっている。
【0027】
また、一の保持部材5には切欠9,10が一方向に交互に形成されているため、被梱包部品2,2・・は、対向する一対の保持部材5,5にその角部R1,R2の向きを180度交互に変えながら同じ板面を前記一方向に向けて所定の間隔で保持され、角部R1及び角部R2が1対の保持部材5,5に保持された一単位の被梱包部品群W1を構成するようになっている。
【0028】
また更に、図2に示すように、被梱包部品2,2・・は、保持部材5,5・・に保持された状態で、端縁2a中央部の端部2Tが保持部材5,5の壁面5m,5mを結んだ線Lよりも外方へはみ出るように保持されるようになっている。
【0029】
被梱包部品群W2を保持する保持部材5,5・・についても、上記保護部材5と同様に形成されているが、これらの保持部材5,5・・の切欠9,10,9,10・・は、互いに壁部5A,5Aを対向させて被梱包部品群W1を保持する保持部材5,5・・と並べた場合、被梱包部品群W1を保持する保持部材5,5・・に形成された切欠9,10と、その形成位置が切欠9,10間のピッチの1/2寸法分ずれるように形成されている。
【0030】
被梱包部品群W1を保持する保持部材5及び被梱包部品群W2を保持する保持部材5としては、いずれも型内発泡成形された熱可塑性樹脂の発泡成形体であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテフタレート、ポリブチレンテフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが望ましい。
【0031】
ケーシング6は、保持部材5,5・・に保持された被梱包部品2を図3に示すY1−Y2方向を上下方向にして立ち上がり姿勢とし、X1−X2方向をケーシング6の長手方向に向けた状態で、2つの被梱包部品群W1,W2をX1−X2方向に隣り合わせて収容する部材である。
図2に示すように、このケーシング6は、底板15と、対向する1対の側板16,16と、側板16,16の上部間に亘って固定された上部枠17とを備えて構成されている。
【0032】
底板15は、外形が矩形に形成された網目状部材であり、その外周縁には上方に立ち上がった外周枠を有して保持部材5を底板15上の内側に位置決めできるようになっている。
側板16,16は、底板15の短手方向(すなわち図2の紙面奥行き方向)の端縁から被梱包部品2の高さ方向中間部まで垂直に立ち上がった矩形の網目状部材であり、図1に示す底板15の短手方向の端縁15a,15aの両端部から立ち上がる2本の外枠16a,16aを有している。
【0033】
上部枠17は、対向する側板16,16の外枠16a,16a同士の間に跨って該外枠16a,16aの上部に水平方向に固定された矩形の枠体であり、保持部材5,5を上方において支持するものである。
【0034】
図2に示すように、このケーシング6に、被梱包部品群W1,W2を隣り合わせて2単位分収容した場合、被梱包部品群W1の第1の被梱包部品2と、被梱包部品群W2の第2の被梱包部品2とは、それぞれの端部2Tが保持部材5からはみ出た状態で保持されているので、図1に示すようにケーシング6の長手方向中央部において互いに対向する端部2T同士が重なり合っている。
【0035】
一方、ケーシング6の側板16側を向く端部2Tも保持部材5からはみ出た状態で保持されている。よって、図1,図2に示すように、側板16側に配置された保持部材5の長手方向中央部と、側板16との間には、端部2Tのはみ出し寸法よりも大きい幅寸法を有する直方体形状のスペーサ19が配置され、端部2Tがケーシング6の側板16に接触して損傷又は変形しないようになっている。
【0036】
図6に示すように、介挿部材7は、逆L字状部材17Aと直方体部材17Bとを連結させて一体的に形成した部材である。
逆L字状部材17Aは、略直方体形状の壁部22と壁部23とが直交した部材であり、これら壁部22と壁部23とが交叉する角部は、面取りされ傾斜面24を形成している。
直方体部材17Bには、その厚さ方向に貫通した穴部18,18が互いに離間して形成され、被梱包部品2の突起部3が収容できるようになっている。
【0037】
介挿部材7は、壁部23と直方体部材17Bとが同じ高さ寸法tとなるように形成され、壁部22が直方体部材17Bと段差を形成しつつ側方に延びた形状となっている。
【0038】
この介挿部材7は、図8(a)に示すように、第1の被梱包部品2と第2の被梱包部品2との間に亘って配置されている。すなわち、介挿部材7は、穴部18に被梱包部品2の突起部3を収容させて直方体部材17Bが被梱包部品W2の第2の被梱包部品2,2の対向する上下面20,21間に介挿されるとともに、これら上下面20,21の間に位置する第1の被梱包部品2の端部2T上に逆L字状部材17Aの壁部22が当接するように形成されている。
【0039】
図7に示すように、緩衝部材8は、介挿部材7の直方体部材17Bと同様の構成をなしており、図1に示すように、介挿部材7が介挿された突起部3以外の全ての突起部3を穴部18に収容して嵌着される。
【0040】
次に、梱包材1への被梱包部品2の梱包方法について説明する。
図1に示すように、ケーシング6の底板15の長手方向の半分側に壁部5Aの壁面5hを対向させた保持部材5,5を底板15の短手方向に延在するように配置する。この際、側板16と保持部材5との間にスペーサ19を配置しておく。
【0041】
また、底板16の長手方向の他の半分側に壁部5Aの壁面5hを対向させた保持部材5,5を配置する。これらの保持部材5,5についても側板16と保持部材5との間にスペーサ19を配置しておく。
【0042】
このようにして、ケーシング6の半分側に図5に示すように切欠9,10をそれぞれ対向させて第1の被梱包部品2,2・・を保持する保持部材5,5と、第2の被梱包部品2,2・・を保持する保持部材5,5とを配置すると、これら2組の保持部材5,5の切欠9,10が互いに半ピッチ分ずれて位置する。
【0043】
そこで、図1に示すように、被梱包部品2、介挿部材7及び緩衝部材8をケーシング6の背面側6bすなわちケーシング6の奥側から順に載置していく。この際、第1の被梱包部品2,2・・は、その上面20を正面側に向け、角部R1と角部R2の向きを入れ替えながら配置していく。また、第2の被梱包部品2,2・・は、その下面21を正面側に向け、角部R1と角部R2の向きを入れ替えながら配置していく。
【0044】
具体的には、(1)第1の被梱包部品2(被梱包部品群W1側)を保持する保持部材5,5の最奥側、すなわちケーシング6の背面6b側に一番近い切欠9,10に被梱包部品2を被梱包部品2の上面20が正面側を向くように嵌入する。そして次に、(2)第2の被梱包部品(被梱包部品群W2側)を保持する保持部材5,5の最奥側の切欠9,10に第2の被梱包部品2をその下面21が正面側を向くように嵌入する。次に、(3)被梱包部品群W1側の保持部材5,5の切欠9,10に、予め緩衝部材8を突起部3に嵌着させた被梱包部品2を上面20が正面側を向くように配置する。(4)この状態で、(2)の被梱包部品2の突起部3に介挿部材7の穴部18を嵌着させるとともに、壁部22を被梱包部品群W1側の直近の(3)の被梱包部品2の上面20に当接させて介挿部材7を配置する。次に、(5)被梱包部品群W2側の保持部材5,5の切欠9,10に、予め緩衝部材8を突起部3に嵌着させた第2の被梱包部品2を下面21が正面側を向くように配置する。そして、(6)再び被梱包部品群W1側の保持部材5,5の切欠9,10に予め緩衝部材8を突起部3に嵌着させた被梱包部品2をその上面20が正面側を向くように嵌入し、以降(2)から(6)を繰り返して被梱包部品2を全ての切欠9,10に嵌入し、被梱包部品群W1,W2を形成する。
【0045】
このように、第1及び第2の被梱包部品2,2・・間に介挿部材7を配置することにより、この介挿部材7を介して被梱包部品群W1と被梱包部品群W2とが連結された状態となる。そして、介挿部材7及び緩衝部材8を配置することにより、介挿部材7が、被梱包部品群W1の被梱包部品2の矢印Z1方向への移動及び被梱包部品群W2の矢印Z2方向の相対移動を規制し、緩衝部材8が、介挿部材7が介挿された突起部3以外の他の全ての突起部3に嵌着され被梱包部品2,2の上下面20,21間を相対的に位置決めすることにより、被梱包部品群W1の矢印Z2方向への移動及び被梱包部品群W2の矢印Z1方向への移動を規制する。
【0046】
次に、図2に示すように、底板16上の保持部材5,5・・に対向させて、第1及び第2の被梱包部品2の上方に位置する角部R1,R2に保持部材5,5・・を嵌着させ、ケーシング6を含めた上下の保持部材5,5の周にポリプロピレンバンド(不図示)を巻回して固定し、被梱包部品2の梱包材1への梱包が完了し梱包体Aができる。
【0047】
以上のように、梱包材1によれば、複数の被梱包部品群W1,W2を水平方向に配置して梱包する場合であっても、一単位の被梱包部品群Wごとにその被梱包部品2の角部R1,R1,R2,R2を保持部材5,5・・により保持するため、保持部材5,5・・をコンパクトに製作することができる。
また、第1の被梱包部品2,2・・を保持する保持部材5,5・・の金型と第2の被梱包部品2,2・・を保持する保持部材5,5・・の金型を共通化させることができる。
更に、介挿部材7の直方体部材17Bと緩衝部材8は、同形状で形成されているため直方体部材17Bと緩衝部材8の金型を共通化させることができ、また、介挿部材7はこの直方体部材17Bに逆L字状部材17Aを連結させて用いることができるシンプルな構成であるため、成形コストを抑えた安価な保持部材5,介挿部材7及び緩衝部材8を提供することができるという効果を奏する。
【0048】
また、本発明に係る梱包材1によれば、第1の被梱包部品2の端部2Tとこれに隣り合う第2の被梱包部品2の端部2Tとを一方向に重ねた状態でケーシング6に収納させることができるため、被梱包部品2を収納効率よく梱包することができるという効果を奏する。
【0049】
また、本発明に係る梱包材1によれば、第1の被梱包部品2の端部2Tとこれに隣り合う第2の被梱包部品2の端部2Tとを一方向に重ねた状態で被梱包部品2をケーシング6内に収納させても、被梱包部品2,2間に介挿部材7及び緩衝部材8が介挿されるため、隣り合う被梱包部品群W1,W2とが連結されることにより、被梱包部品群W1,W2の間での相対移動を規制して、安定した状態で被梱包部品2を梱包することができるとともに、被梱包部品2,2・・同士が接触することによる損傷を防止することができるという効果を奏する。
【0050】
また、被梱包部品群W1と被梱包部品群W2との間で、凹曲面をなす下面21側を対向させて被梱包部品2を保持するため、湾曲形状の板状の被梱包部品2を収納効率よく梱包することができるという効果を奏する。
【0051】
また更に、被梱包部品群W1,W2を隣り合わせた際の対向する端部2Tのうち、ケーシング6の正面側6aに向かって突出する突起部3に介挿部材7を嵌着させ、それ以外の突起部3には緩衝部材8を嵌着させているため、被梱包部品2をケーシング6の背面6b側から順に配置することができるとともに、配置された被梱包部品2の全ての突起部3に介挿部材7及び緩衝部材8を漏れなく嵌着させることができる。
【0052】
なお、上記の実施形態においては、2つの被梱包部品群W1,W2を梱包する例を示したが、被梱包部品群Wは2以上併置されるものであってもよい。
また、介挿部材7は、直方体部材17Bが第1の被梱包部品2の端部2Tに隣り合う第2の梱包部品2の端部2Tの突起部3に嵌着され、該介挿部材7の壁部22が前記第1の被梱包部品2の端部2Tと第2の被梱包部品2の端部2Sとの間に配される例を示したが、これに限られるものではなく、壁部22が第1の被梱包部品2の端部2Tと第2の被梱包部品2の端部2Tとの間に介挿される介挿部材であってもよい。
【0053】
または、壁部22が第1の被梱包部品2の端部2Tと第2の被梱包部品2の端部2Sとの間に介挿される介挿部材7と、壁部22が第1の被梱包部品2の端部2Tと第2の被梱包部品2の端部2Tとの間に介挿される介挿部材とを併用し、緩衝部材8の嵌着を省いたものであってもよく、要は、第1の被梱包部品2と第2の被梱包部品2との間に亘って介挿され、被梱包部品群W1と被梱包部品群W2とを連結してこれらの間で矢印Z1,Z2方向への相対移動を規制するものであればよい。
また更に、上記実施形態の介挿部材7は、直方体部材17B(緩衝部材8)と逆L字状部材が一体化された態様のものであるが、これに限られるものではなく、複数の被梱包部品群Wの各被梱包部品2,2間に亘って介挿され該複数の被梱包部品群W,Wを連結するものであれば、直方体部材17B(緩衝部材8)を必ずしも有するものでなくてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、介挿部材7及び緩衝部材8として、図8(a)に示すように、上下に対向する第1の被梱包部品2,2の端部2S,2T間、又は第2の被梱包部品2,2の端部2S,2T間に配される例を示したが、本発明の介挿部材及び緩衝部材はこの態様のものに限られず、例えば被梱包部品2の端部2Sを飛ばして端部2Sの両側に配置された被梱包部品2,2の端部2T,2T間に跨って配されるものであってもよい。すなわち、介挿部材7及び緩衝部材8は、図2に示す被梱包部品2の端縁2T,2T同士が対向し、端部2Tに端部2Sが重ならない部分に配置されて、図8(b)に示すように端部2S側が向けられた被梱包部品2を飛ばして被梱包部品2,2の一方の端部2T,2T同士の間に配されるようにするものであってもよい。介挿部材7及び緩衝部材8がこのように介挿される場合であっても、第1の被梱包部品2,2・・同士及び第2の被梱包部品2,2・・同士の間が維持され、介挿部材7によって被梱包部品群W1,W2が連結される限り上記実施態様の場合と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0055】
1 梱包材
2 被梱包部品
3 突起部
5 保持部材
6 ケーシング
7 介挿部材
8 緩衝部材
18 穴部
20 被梱包部品の上面(板面)
21 被梱包部品の下面(板面)
A 梱包体
2T 端部
R1,R2 被梱包部品の角部(周端部)
W,W1,W2 被梱包部品群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状の被梱包部品を一単位の被梱包部品群として、複数の前記一単位の被梱包部品群を隣り合う位置に配置し、前記一単位の被梱包部品群を構成する第1の被梱包部品の端部と、これに隣り合う他の一単位の前記被梱包部品群を構成する第2の被梱包部品の端部とが前記一方向に重なった状態でこれら複数の被梱包部品群を収納するケーシング内に用いられる梱包材であって、
前記一単位の被梱包部品群の各被梱包部品の板面が一方向に向けられて所定の間隔で配列されるように各被梱包部品の周端部を複数箇所において保持する保持部材と、
前記保持部材によって保持された第1の被梱包部品の端部と前記第2の被梱包部品の端部との間に亘って配置されるとともに、前記第1の被梱包部品の端部と前記第2の被梱包部品の端部の所定位置に係止される介挿部材とを備え、
前記介挿部材が前記所定位置に係止されると前記一単位の被梱包部品群と前記他の一単位の被梱包部品群とが連結された状態となることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包材において、
前記第1の被梱包部品間及び前記第2の梱包部品間のいずれか一方又は双方の間に介挿されて、第1の被梱包部品間及び前記第2の梱包部品間のいずれか一方又は双方を位置決めする緩衝部材を備えていることを特徴とする梱包材。
【請求項3】
請求項2に記載の梱包材において、
前記緩衝部材は、前記第1の被梱包部品又は前記第2の被梱包部品の板面に設けられた突起部を内部に収容させる穴部を有することを特徴とする梱包材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の梱包材において、
前記介挿部材は、前記緩衝部材と一体的に設けられていることを特徴とする梱包材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の梱包材により前記被梱包部品を梱包したことを特徴とする梱包体。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210952(P2012−210952A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76739(P2011−76739)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】