説明

梱包材

【課題】覗き窓としての開口部を備えながら、段積みにも耐えることのできる強度を備えた梱包材を得る。
【解決手段】蓋30と、底部11と側壁部12〜15とからなる本体10とからなる梱包材Aにおいて、蓋と本体との側壁部に覗き窓として機能する本体開口部18、38を形成し、そこに透明な硬板50を取り付ける。本体10には透明な硬板50の下部を支える下支え部(スリット19)を形成し、蓋30にも透明な硬板の上部50を支える上支え部(スリット39)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包材に関し、特に梱包した物品の輸送および保管の機能に加えて、覗き窓を有していて梱包した物品を梱包したままで外から見ることができ、それにより、展示用容器としての機能も果たすことができるようにした梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡樹脂やプラスチック段ボールを含む段ボールなどを素材とした梱包材は多くのものが知られている。物品を梱包した梱包材は、通常、上下方向に多段に段積みされた状態で輸送や保管に供される。また、輸送時に梱包した物品を安定させるために、物品の形状に相応した形状の支持部材や支持パッドを梱包材の内部に組み込むことも行われる。さらに、そのような支持部材を多段に段積みしたものを梱包材内に収容することも行われる。
【0003】
特に、自動車用エンジンや小型農耕用エンジン、トランスミッションあるいはその構成部品、ディファレンシャルあるいはその構成部品、回転電機などの物品は、通常重量物であり、それらを梱包して、輸送あるいは保管のために段積みしたときに、梱包材が潰れたりしないように、種々の工夫がとられている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の梱包装置では、段積み用のトレーを発泡樹脂材料で成形すると共に、各トレーは、段積みしたときに上下方向の荷重を支承する領域を、トレー周囲の側壁部のみでなく、物品の収容空間内にも形成し、段積みしたときの大きな圧縮強度に耐え得るようにしている。
【0005】
特許文献2の重量物梱包材では、大きな強度のパレットの上に段ボール製の外箱を載置すると共に、外箱の角部に断面L字状の支柱を沿わせることによって、重量物を梱包し、かつ段積みしたときの圧縮強度に耐え得るようにしている。
【0006】
特許文献3に記載の回転電機の包装装置では、包装した回転電機の上に上部包装部材を取り付け、それを包装箱の上部蓋と回転電機との間の荷重支持材として機能させることにより、段積みしたときの全体の耐性を大きくしている。また、水平断面形状が八角形の中枠を同時に使用することによって、さらに、段積みに対する強度を向上させている。
【0007】
【特許文献1】実開平7−40579号公報
【特許文献2】実公平7−34870号公報
【特許文献3】実開平7−6170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
梱包材が単に物品の輸送と保管を目的とする場合には、前記特許文献1〜3に記載されるような技術手段を施した梱包材でもって、十分に所期の目的を達成することができる。しかし、例えば梱包物品が小型農耕用エンジンのような場合、普通の自動車用エンジンとは異なり、エンジン工場で梱包されたものがそのまま町の販売店に輸送されてそこで保管されると共に、該販売店からユーザーである農家の人たちに直に販売されることが多い。
【0009】
そのために、梱包を解かない状態で梱包された小型農耕用エンジンを外から見ることができるような梱包材、すなわち、物品の輸送および保管の機能に加えて、梱包した物品の展示用容器としての機能も果たすことのできる梱包材が望まれるが、覗き窓として機能する開口部を側壁部に形成すると、側壁部が切除された分だけ上からの荷重に対する耐性が低下して壊れやすくなることから、満足できるものは存在しない。
【0010】
前記特許文献2には、重量物梱包材において、段ボール製の外箱の一部をフリーの状態で保持させておき、内部を点検したいときには、外箱の前記フリーとなっている部分を外側に開くようにすることが記載されている。しかし、この梱包材は上蓋をした状態では、前記フリーとなっている部分を外側に開くことができない不都合がある。さらに、前記断面L字状の支柱など、梱包に多くの部材を必要とし、構成が複雑となっている。
【0011】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、小型農耕用エンジンのような重量物である物品を、梱包したままで外から見ることができる開口部を側壁部に備えながら、上からの荷重に対して十分な耐性を備え、そのために、段積み状態での輸送および保管はもちろん、店頭などにおいて、そのまま物品の展示用容器として用いることのできる、梱包材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による梱包材は、蓋と、底部と側壁部とからなる本体とからなる箱形の梱包材であって、側壁部の少なくとも一部には覗き窓として機能する本体開口部が側壁部の上縁から下方に向けて形成されており、少なくとも本体開口部を閉じるようにして透明な硬板が取り付けてあり、本体は透明な硬板の下部を支える下支え部を有し、蓋は透明な硬板の上部を支える上支え部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明による梱包材では、本体の側壁部に覗き窓として機能する本体開口部が形成されており、その部分には側壁部を構成する素材がないので、上からの荷重に対して側壁部の強度が低下する。しかし、開口部には、透明な硬板が取り付けてあり、その下端は本体により、上端は蓋により、それぞれ支持されているので、段積みしたときに蓋を介して側壁部に作用する上からの荷重は、透明な硬板によっても支持されることとなり、本体開口部を形成しないと場合と同じ、あるいはそれ以上の耐圧縮強度を、本体側壁部は持つことができる。また、荷重を支持する硬板は透明であり、本体開口部が持つ覗き窓としての機能が損なわれることはない。
【0014】
そのために、本発明による梱包材を用いて、例えば小型農耕用エンジンをエンジン工場において梱包した場合、それをそのまま段積みして販売店に輸送し、販売店では、そのまま保管することができ、必要な場合には、梱包を解くことなく輸送されたままの状態で店頭に展示することができる。すなわち、本発明による梱包材は、簡単な構成のものでありながら、展示用容器としての機能も果たすことができる。本体開口部は1つの側壁部にのみ形成されていてもよく、強度が確保されることを条件に、対向する2つの側壁部に、または、3つあるいはすべての側壁部に形成されていてもよい。
【0015】
なお、本発明による梱包材において、本体に形成される透明な硬板の下部を支える下支え部、および蓋に形成される透明な硬板の上部を支える上支え部は、本体および蓋を構成する素材が透明な硬板の下部端面および上部端面と当接する領域そのものであってもよいが、透明な硬板が薄いものであるときに、当接する領域に集中応力が生じて素材に亀裂が入る恐れがある。それを回避するために、本体および蓋の透明な硬板の下部端面および上部端面が当接する領域に、応力を分散させる目的で、透明な硬板の板厚よりは幅の広い適宜のシートや板材、例えば非発泡樹脂シートや非発泡樹脂板、さらには、発泡樹脂のような材料からなるシートや板材を配置することが望ましい。
【0016】
本発明による梱包材の他の態様では、蓋も天井部と共に蓋側壁部を有して、蓋側壁部における本体開口部に対向する位置に、蓋側壁部の下縁から上方に向けて蓋開口部が形成され、透明な硬板は本体開口部に加えて蓋開口部をも閉じるようにして取り付けられる。
【0017】
この形態の梱包材では覗き窓として機能する開口部を蓋の側壁部にも形成したので、さらに広い面積の覗き窓を得ることができ、展示用容器としてより好適なものとなる。この場合も、2つの開口部を覆うようにして取り付ける透明な硬板の下端は本体に、上端は蓋にそれぞれ支承されているので、側壁部の耐圧縮強度が損なわれることはない。
【0018】
本発明による梱包材において、透明な硬板は嵌め殺しのような形で側壁部に取り付けられていてもよいが、好ましくは、着脱できるようにして取り付けられる。着脱自在としておくことにより、本体あるいは蓋と、透明な硬板の再使用や分別回収が可能となる。開口部にスライド溝を形成するなどの手段により、開口部に透明な硬板を着脱できるように容易に取り付けることができる。
【0019】
本発明による梱包材において、本体と蓋の素材に特に制限はないが、軽量性、耐圧縮強度、緩衝性、加工容易性などの観点から、発泡樹脂またはプラスチック段ボールであることが望ましい。発泡樹脂は、特に軽量性と緩衝性の点から好ましく、中でもビーズ型内発泡成形などで得られる発泡樹脂一体成形品は好ましい。プラスチック段ボールは、軽量性と機械的強度の点から好ましい。プラスチック段ボールを用いる場合は、本体およびまたは蓋の底部と側壁部とを別々に作り、プラスチックビスなどを用いて本体あるいは蓋として一体に組み立てることが好ましい。
【0020】
発泡樹脂の樹脂種としては、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などを挙げることができ、耐圧縮強度が高く成形性もよく、リサイクル性に優れ、低コストであるなどの理由から、ポリスチレン系樹脂の発泡体は特に好ましい。プラスチック段ボールは、構造的には、ハニカム板、中空構造版、中空積層板などのプラスチック段ボールも含まれる。樹脂種としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などが挙げられる。
【0021】
本発明による梱包材で用いる透明な硬板は、梱包した物品を外から見ることができる程度に透明であることと、縦方向の圧縮強度が本体側壁部あるいは蓋側壁部の縦方向の圧縮強度とほぼ等しいかそれよりも大きいこと、の条件を満たせば任意の素材を用いることができるが、加工性、耐衝撃性などの観点から、非発泡樹脂板であることが望ましく、樹脂種としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。無色透明でもよく、有色透明でもよい。厚さは、求められる縦方向の圧縮強度を考慮して適宜設定すればよいが、非発泡樹脂板の場合で3〜10mm程度である。3mmより薄いと必要な縦方向の圧縮強度が得られない場合があり、10mmを超えるものはオーバースペックとなる。同種樹脂板あるいは異種樹脂板の成層体であってもよい。さらに、透明な硬板を本体および蓋と同じ樹脂種で作ることは、分別処理を容易化する観点から好ましい。
【0022】
本発明による梱包材は、全体として箱形であり、容易に段積みができるように上面と底面が実質的に平行な面であることを条件に、水平断面形状は任意である。しかし、水平断面が正方形あるいは長方形である本体の各コーナー部に面取りを行って、側壁部が全体として八面体形状をなす梱包材は、縦方向の圧縮に対してより強い耐性を持つことから好ましい。また、上面および下面のいずれか一方に凹溝を形成し、他方に該凹溝に嵌入する凸条を形成することは、段積み時の安定性が得られることから好ましい。
【0023】
本発明による梱包材において、梱包する物品の安定性を高めるために、収容する物品の形状に応じた凹陥部を持つ包装部材を本体底部あるいは蓋天井部に配置することは望ましい。そのような包装部材は本体あるいは蓋との一体成形品であってもよく、別部材として作りそれを物品の梱包時に、組み込むようにしてもよい。本体および蓋が発泡樹脂成形品の場合には、前記包装部材を一体成形することが望ましく、本体および蓋をプラスチック段ボールで作る場合には、包装部材を発泡樹脂成形品として別途作り、それを組み込むようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明による梱包材を用いることにより、工場で梱包した重量物である物品の輸送と保管と店頭での展示とを、最初に梱包したままの状態で行うことができるので、本発明による梱包材は、特に、小型農耕用エンジンのように、店頭で展示しまた保管することが求められるような物品の梱包材として有効に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の梱包材を説明する。図1は本発明による梱包材の第1の形態を分解して示す斜視図であり、図2はその組み立て後の状態を示す斜視図、図3は図2のa−a線による断面図である。図4は本発明による梱包材の第2の形態を分解して示す斜視図である。図5は本発明による梱包材の第3の形態を分解して示す斜視図であり、図6はその組み立て後の状態を示す斜視図、図7は図6のb−b線による断面図である。
【0026】
図1に示す梱包材A1は、本体10と、蓋30と、透明な硬板50とからなり、全体として箱形形状をなしている。蓋30と本体10は発泡樹脂の一体成形品であり、透明な硬板50は同じ樹脂材料の非発泡樹脂板である。この例において、樹脂としてはポリスチレン系樹脂を用いている。
【0027】
本体10は、底部11と側壁部を構成する4つの側壁12,13,14,15とからなり、側壁部の4つのコーナー部は面取りがされていて、全体として八面体形状をなしている。底部11の内側面には、梱包する物品の形状に合わせた凹陥部16が包装部材として一体成形されており、外側面には所要形状に凹溝17が形成されている。なお、底部11の内側面を平坦面に成形し、前記凹陥部16を備えた包装部材を別途成形して、それを本体10内に収容するようにしてもよい。
【0028】
この例において、対向する2つの側壁12,14には、その上縁から下方に向けてほぼ矩形状である本体開口部18,18が形成されており、各本体開口部18,18の左右と底部の周縁部にはスリット19が形成されている。また、他の対向する2つの側壁13,15の外側面には、取手として機能する凹陥部20が形成されている。
【0029】
蓋30は、本体10と同じ水平断面形状(八面体形状)であり、天井部31と蓋側壁部を構成する4つの蓋側壁32,33,34,35とからなる。天井面31の内側面には、梱包する物品の形状に合わせた凹陥部36(図3)が包装部材として一体成形されており、外側面には、本体10の底部11の外側面に形成した凹溝17に対応する形状の凸条37が形成されている。なお、この場合も、天井面の31の内側面を平坦面に成形し、前記凹陥部36を備えた包装部材を別途成形して、それを蓋30内に収容するようにしてもよい。
【0030】
本体10の側壁部に形成した本体開口部18,18に対向するようにして、対向する2つの蓋側壁32,34には、その下縁から上方に向けてほぼ矩形状である蓋開口部38,38が形成されており、各蓋開口部38,38の周縁部にも、本体10側に形成したスリット19と同じスリット39が形成されている。なお、図1と図2には、蓋側壁34側の蓋開口部38は現れない。また、他の対向する2つの蓋側壁33,35の外側面には、肉盗みを兼ねた取手として機能する凹陥部40が、また天井部31の上面にも肉盗み部としての凹陥部41が、それぞれ形成されている。
【0031】
透明な硬板50は、本体10に形成した本体開口部18と蓋30に形成した蓋開口部38の双方を覆うことのできる大きさと形状であり、厚さは、双方の開口部の周縁部に形成したスリット19,39に嵌合できる厚さである。
【0032】
物品の梱包に際し、本体10を置き、透明な硬板50を本体開口部18の周縁部に形成したスリット19内に差し込むようにして挿入する。それにより、本体開口部18は閉じられる。なお、その状態で、透明な硬板50の上方域は本体10の上縁よりも上方に飛び出ている。次ぎに、梱包しようとする物品を凹陥部16を利用して安定的に本体10内に設置する。
【0033】
物品を収容した後、蓋をする。そのときに、蓋30の蓋側壁32,34に形成した蓋開口部38の周縁部に形成したスリット39内に、透明な硬板50の上方に飛び出ている領域が入り込むようにして、蓋30を上から次第に落とし込んでいく。そのようにして一体化された状態の斜視図が図2に示され、その断面図が図3に示される。図示のように、梱包材A1は対向する2つの側壁に広い開口域を備え、そこに透明な硬板50が取り付けられているので、そのままの状態で、梱包されている物品を外から容易に視認することができる。
【0034】
この梱包材A1を輸送しあるいは保管するときは、通常多段に段積みされるので、下位に位置する梱包材には上位に位置する梱包材の荷重がかかるようになる。その荷重は、蓋30の天板部31を介して、主に、蓋側壁32,33,34,35および本体側壁12,13,14,15に垂直荷重として作用する。本発明による梱包材A1では、2つの蓋側壁および本体側壁に開口部が作られており、開口部を有しない他の2つの側壁と較べて、垂直荷重に対する耐性が小さくなる。しかし、開口部には、透明な硬板50が配置され、図3の断面図によく示すように、その下端部は本体10に形成した前記スリット19の底部部分で本体により支持されており、また、上端部は蓋30に形成した前記スリット3の上部部分により支持されている。すなわち、本体10は透明な硬板50の下部を支える下支え部を有し、蓋30は透明な硬板50の上部を支える上支え部を有することとなるので、透明な硬板50はその側壁部と共に上からの加重(垂直加重)を支持する部材として機能することとなり、開口部を形成したことによって生じる垂直加重に対する構造的な弱さは解消される。
【0035】
そのために、内部に重量物を梱包した梱包材A1を段積みした場合にも、側壁部に破損が生じることを効果的に回避することができる。また、図示の例では、蓋30の上面に凸条37を形成し、本体の底部下面に凸条37に対応する形状の凹溝17を形成しているので、段積み姿勢の安定化も図られる。店頭で、輸送されてきた梱包材A1を梱包を解くことなくそのまま展示しても、購買者は透明な硬板50を通して梱包された物品を容易に見ることができるので、梱包材A1はそのままで展示用容器としての機能も果たすことができる。
【0036】
図4は本発明による梱包材の第2の形態を示しており、図1に相当する図である。この梱包材A2は、蓋30が側壁開口部38を有しない点で、上記の梱包材A1と相違している。他の構成は、図1に示したものと実質的に同じであるので、同じ機能を奏する部材には同じ符号付し、説明は省略する。この梱包材A2において、透明な硬板50の高さは、本体10の側壁部に形成した本体開口部18に取り付けたときに、その上縁が本体10の上縁にほぼ一致する高さとなっている。この梱包材A2においては、透明な硬板50の下部を支える本体の下支え部は梱包材A1と同様にスリット19の底部部分となるが、上部を支える上支え部は蓋30の下面部、すなわち、蓋をしたときに蓋30が本体10の側壁部の上縁と当接する領域となる。
【0037】
図5〜図7に示す梱包材A3は本発明による梱包材の第3の形態であり、素材にプラスチック段ボールを使用している。この梱包材A3も、本体10Aと、透明な硬板50と、蓋30Aで構成される。ただし、ここでは、本体10Aは、分離した底部60と側壁部70とで構成され、両者はプラスチックビス80(図6,図7)などを用いて一体化される。すなわち、底部60は底板61とその側縁からの立ち上がり片62を有し、立ち上がり片62にはビス透過孔63が形成されている。側壁部70は、4つの側壁72,73,74,75と角部の面取り域とで構成され、対向する2つの側壁72と74には所要の大きさの開口部78,78が形成されている。また、開口部78の左右側縁に沿うようにして垂直方向に透明な硬板50のためのガイド部材79が一体に取り付けてある。側壁部70の下縁には、底部60を取り付けたときに、底部60の立ち上がり片62に形成したビス透過孔63が対向することとなる位置に、ビス透過孔76が形成されている。また、側壁部70の上縁にも同様なビス透過孔77が形成されている。
【0038】
蓋30Aは、天板部31Aとその側縁から垂下する蓋側壁32Aとで構成され、各蓋側壁32Aには、蓋をしたときに前記側壁部70の上縁に形成したビス透過孔77と対向する位置に、やはり、ビス透過孔33Aが形成されている。
【0039】
透明な硬板50は、前記した梱包材A1,A2で用いられると同じのものである。しかし、その横幅は、本体10Aの側壁部70に形成した開口部78の左右側縁に沿うようにして配置した左右のガイド部材79の間に透明な硬板50が入り込むことができ、かつそこに着脱できる姿勢で支持される横幅とされ、また、縦方向の長さは、図7によく示すように、梱包材として組み立てたときに、その下端は本体10Aの底板61の内面側に当接し、その上端は蓋30Aの天板部31Aの内面側に当接するような長さとされている。
【0040】
梱包に際しては、最初に側壁部70の下端側に底部60を配置し、双方のビス透過孔63,76にプラスチックビス80を通して一体化して、本体10Aとする。次ぎに、側壁部70に形成した開口部78に沿うようにして配置した左右のガイド部材79の間に透明な硬板50を差し込む。透明な硬板50は、その下端が底板61の内面側に当接したときに移動を停止し、そのとき、透明な硬板50の上端は側壁部70の上縁とほぼ同じ位置となる。
【0041】
必要な場合には、梱包する物品の姿勢を安定させるための発泡樹脂などからなる包装部材(不図示)を本体10Aの底面に置いた後、梱包すべき物品を本体10A内に収容する。そして、蓋をする。蓋30Aの蓋側壁32Aに形成したビス透過孔33Aと側壁部70の上縁に形成したビス透過孔77とにプラスチックビス80を差し込み、本体10Aと蓋30Aとを一体化することにより、梱包は終了する。
【0042】
この梱包材A3の場合も、本体10Aの側壁部70は2か所において開口部78が形成されており、該開口部78を有する側壁72,74は、他の側壁73,75と比較して、垂直荷重に対する耐性が小さくなっている。しかし、開口部78を有する側壁72,74には透明な硬板50が配置されており、図7の断面図によく示すように、梱包時には、その下端部は本体10Aを構成する底板61の内面側に当接し、その上端は蓋30Aの天板部31Aの内面側に当接しているので、前記した梱包材A1,A2の場合と同様、本体10Aは透明な硬板50の下部を支える下支え部として機能し、蓋30Aは透明な硬板50の上部を支える上支え部として機能することができる。結果として、透明な硬板50はその側壁部と一体となって上からの加重(垂直加重)を支持する部材として機能するようになり、この形態の梱包材A3でも、開口部を形成したことによる垂直加重に対する構造的な弱さは解消される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による梱包材の第1の形態を分解して示す斜視図。
【図2】図1に示す梱包材の組み立て後の状態を示す斜視図。
【図3】図2のa−a線による断面図。
【図4】本発明による梱包材の第2の形態を分解して示す斜視図。
【図5】本発明による梱包材の第3の形態を分解して示す斜視図。
【図6】図5に示す梱包材の組み立て後の状態を示す斜視図。
【図7】図6のb−b線による断面図。
【符号の説明】
【0044】
A1,A2…本発明による梱包材、10…本体、11…底部、12,13,14,15…側壁部を構成する4つの側壁、18…本体開口部、19…スリット、30…蓋、31…天井部、32,33,34,35…蓋側壁部を構成する4つの蓋側壁、38…蓋開口部、39…スリット、50…透明な硬板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋と、底部と側壁部とからなる本体とからなる箱形の梱包材であって、側壁部の少なくとも一部には覗き窓として機能する本体開口部が側壁部の上縁から下方に向けて形成されており、少なくとも本体開口部を閉じるようにして透明な硬板が取り付けてあり、本体は透明な硬板の下部を支える下支え部を有し、蓋は透明な硬板の上部を支える上支え部を有することを特徴とする梱包材。
【請求項2】
蓋も天井部と蓋側壁部とからなり、蓋側壁部における本体開口部に対向する位置には蓋側壁部の下縁から上方に向けて蓋開口部が形成されており、透明な硬板は蓋開口部をも閉じるようにして取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
透明な硬板は着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の梱包材。
【請求項4】
本体と蓋の素材は発泡樹脂であり、透明な硬板は非発泡樹脂板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包材。
【請求項5】
本体と蓋の素材はプラスチック段ボールであり、透明な硬板は非発泡樹脂板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包材。
【請求項6】
各コーナー部の面取りを行うことにより側壁が八面体とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の梱包材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−22628(P2007−22628A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211240(P2005−211240)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】