説明

梱包用保持部材

【課題】
重量の重い被梱包物を梱包するための作業性を向上させた梱包用保持部材を提供する。
【解決手段】
梱包用保持部材100の長さBは、梱包箱500の奥行の内寸法に比べて、隙間にガタが生じない程度に短い長さである。梱包用保持部材100の長さCは、梱包箱500の幅の内寸法に比べて、隙間にガタが生じない程度に短い長さである。梱包用保持部材100の長さAは、梱包箱500の高さの内寸法に比べて、隙間にガタが生じない程度に短い長さである。梱包用保持部材100の凹状側の反対面(230、330)の長さAは、A>C/2である。これにより、梱包箱500の天面内フラップ521の内面上で接触する面積を大きく有することで被梱包物が倒れ難くなり、上下の梱包用保持部材100を抑えながら梱包箱500の奥に移動させて収納する作業に対しても、安定して被梱包物10を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量の重い被梱包物を梱包するための作業性を向上させた梱包用保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被梱包物を梱包する作業方法として、図8のように展開状態の梱包用保持部材100を図9のように組み立てる。そして、図10に示されるように、梱包箱の開口部を上にして、梱包用保持部材で被梱包物を両側から挟んだ状態で、上から梱包箱の内部に入れて収納されている。しかし、重量の重い被梱包物の場合は、梱包用保持部材で被梱包物を両側から挟んだ状態を保つことが困難で入れづらい問題がある。そこで、梱包用保持部材で被梱包物を両側から挟んだ状態を保たなくてもよい方法がある。
【0003】
この方法は、梱包箱を横に倒して梱包箱の開口部を横向きにして被梱包物を収納するものである。これは、横に倒した梱包箱の内フラップが床面に置かれ、その内フラップの上面に梱包用保持部材の一方を凹状側の面を上向きに置いて、そこに被梱包物を立てにした状態で入れる。さらにもう一方の梱包用保持部材を凹状側の面を下向きにして被梱包物の上側に被せる。その状態で上下の梱包用保持部材を抑えながら、梱包箱の奥に移動させて収納するものである。しかし、被梱包物が直立した方向になるので不安定となり、被梱包物の収納作業がしずらいため、改良した使用が求められている。代替品として段ボール製の梱包材には、安定した固定ができるものがある。なかでも被梱包物を確実に保持できる段ボール製緩衝材がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、特許文献1においては、基板の両側縁に順次連設した外側板、頂板及び内側板を巻き込んで側壁を形成し、各外側板の両側縁に連設した外側板から順次繋がる頂板及び内端板を巻き込んで端壁材を形成し、各端の端壁材を重ね合わせ、基板に順次連設した外覆板、頂覆板及び内覆板で巻き込むことにより端壁を形成するものとしたことを特徴とする構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−48162号公報(第4頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の梱包材では、被梱包物を直立した方向にした場合は、梱包材の底面となる面積が小さいため不安定な状態となり、安定しづらい。
【0007】
そこで、本発明においては、被梱包物を直立させた作業状態に置いても安定性があり、収納作業を向上させた梱包用保持部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の梱包用保持部材は、梱包箱に被梱包物とともに収納される梱包用保持部材として、三枚の段ボール材に折り目(山折り、谷折り)を付け、型抜きして組立てて、嵌合わせて形成される凹状の梱包用保持部材により、被梱包物を両側から挟んで抑えて梱包箱に入れることで保持機能を有するものである。
【0009】
梱包箱の底面が垂直になるように横に倒して、梱包箱の内フラップに梱包用保持部材の凹状側の反対面を載せて、凹状側に被梱包物を立てて入れる。さらに被梱包物を立てた上側にもう一方の梱包用保持部材を凹状側の面を下向きにして被せた状態で、上下の梱包用保持部材を抑えて梱包箱内の奥に移動させて収納するものである。
【0010】
このような作業において、梱包用保持部材の凹状側の反対面が、梱包箱の内フラップの上で接触する面積を大きく有していることにより、被梱包物を安定して保持するものである。
【0011】
また、梱包用保持部材の凹状側の上部に形成された三角柱状の突起部が、梱包箱の内側四隅に位置することで、同梱物が被梱包物の上部に収納される場合でも三角柱状の突起部が梱包箱の内側四隅で付き当たり、被梱包物の荷重が同梱物に直接係らないようにするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の梱包用保持部材に比べて、以下の効果が得られる。
【0013】
梱包箱の底面が垂直になるように横に倒して、梱包箱の内フラップに梱包用保持部材の凹状側の反対面を載せて、凹状側に被梱包物を立てて入れる。さらに被梱包物を立てた上側にもう一方の梱包用保持部材を凹状側の面を下向きにして被せた状態で、上下の梱包用保持部材を抑えて梱包箱内の奥に移動させて収納する作業において、梱包用保持部材の凹状側の反対面が梱包箱の内フラップの上で接触するための面積を大きく有しているため、被梱包物を安定して保持することができ、収納の作業性を向上することができる。
【0014】
また、梱包用保持部材の凹状側の上部に形成された三角柱状の突起部が梱包箱の内側四隅に位置することで、同梱物が被梱包物の上部に収納される場合でも三角柱状の突起部が梱包箱の内側四隅で付き当たり、被梱包物の荷重が同梱物に直接係らないようになるため、同梱物を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態に係る梱包用保持部材の展開図である。
【図2】この実施の形態に係る梱包用保持部材の組立て斜視図である。
【図3】この実施の形態に係る梱包用保持部材の斜視図である。
【図4】この実施の形態に係る梱包箱の展開図である。
【図5】この実施の形態に係る梱包箱へ被梱包物を収納する際の梱包用保持部材で保持するまでの全体構成斜視図である。
【図6】この実施の形態に係る梱包用保持部材で被梱包物を保持して梱包箱へ収納する全体構成斜視図である。
【図7】この実施の形態に係る梱包用保持部材で被梱包物を梱包箱へ収納して、梱包箱を正位置にした全体構成斜視図である。
【図8】従来の梱包用保持部材の展開図である。
【図9】従来の梱包用保持部材の斜視図である。
【図10】従来の梱包用保持部材で被梱包物を梱包箱へ収納する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1に、この実施の形態に係る梱包用保持部材100の組立て前の展開図を示す。
【0018】
図1において、三枚の段ボール材(200、300、400)各々に折り目をつける。段ボール材200(山折り211、221、231、241、261、271)、段ボール材300(山折り311、321、331、341、361、371)、段ボール材400(山折り410L、411L、412L、413L、414L、415L、416L、417L、418L、419L、谷折り421L、422L)に各々折り目を付け、展開図のように型抜きする。
【0019】
段ボール材400の抜き穴(401a 、402a 、403a 、404a )は、段ボール材200の嵌合片(222、223)と嵌合される。段ボール材400の抜き穴(405c 、406c )は、段ボール材200の嵌合片(272、273)と嵌合される。
【0020】
段ボール材400の抜き穴(401b 、402b 、403b 、404b )は、段ボール材300の嵌合片(322、323)と嵌合される。段ボール材400の抜き穴(405d 、406d )は、段ボール材300の嵌合片(372、373)と嵌合される。
【0021】
段ボール材400の面411、418、420は、梱包用保持部材100の凹状の内面を形成するもので、段ボール材200と300の嵌合により、段ボール材200の面270と段ボール材300の面370が内側面を形成して、梱包用保持部材100の凹状(270、370、411、418、420で構成)が形成される。
【0022】
段ボール材400の面412、417は、梱包用保持部材100の凹状の枠面を形成するもので、段ボール材200と300の嵌合により、段ボール材200の面260と段ボール材300の面360が枠面を形成して、梱包用保持部材100の凹状枠面(260、360、412、417で構成)が形成されるものである。
【0023】
段ボール材400の面410、419は、面410は面414と重なり、面419は面415と重なることで、梱包用保持部材100の凹状の枠面を補強するものである。
【0024】
図2は、段ボール材400に対して、段ボール材200と段ボール材300の嵌合する
組立て図を示すものである。
【0025】
図2において、段ボール材200の面210と面250は、面210の抜き穴212と面250の嵌合片252を嵌合して三角柱状の突起部(面210、230、240、250で構成)を形成するものである。この三角柱状の突起部(面210、230、240、250で構成)の上端部201は、梱包箱500の天面内フラップ(521または、541)に突き当たる部分である。
【0026】
また、段ボール材300の面310と面350は、面310の抜き穴312と面350の嵌合片352を嵌合して三角柱状の突起部(面310、330、340、350で構成)を形成するものである。この三角柱状の突起部(面310、330、340、350で構成)の上端部301は、梱包箱500の天面内フラップ(521または、541)に突き当たる部分である。
【0027】
段ボール材200の面224、274は、段ボール材400の面420に対して前後から重なり、梱包用保持部材100の凹状の枠面を補強するものである。
【0028】
また、段ボール材300の面324、374は、段ボール材400の面420に対して前後から重なり、梱包用保持部材100の凹状の枠面を補強するものである。
【0029】
図3は、段ボール材400に対して、段ボール材200と段ボール材300の嵌合された状態を示すもので梱包用保持部材100の斜視図である。
【0030】
図4は、この実施の形態に係る梱包箱500の組立て前の展開図を示す。
【0031】
図4において、1枚の段ボール板材に折り目(山折り510L、511L、512L、520L、521L、522L、530L、531L、532L、540L、541L、542L)を設けて、側面(510、520、530、540)、天面(511、531)、天面内フラップ(521、541)と底面(512、532)、底面内フラップ(522、542)に対して山折りして、貼り合せ面550と側面540の端部を接着する。
【0032】
底面512と底面532の突き当たり部を接着テープで貼り付けて、梱包箱底面を形成し、天面(511、531)、天面内フラップ(521、541)が開放された梱包箱500を設ける。
【0033】
図5は、この実施の形態に係る梱包箱500へ被梱包物10を収納する際の梱包用保持部材100で保持するまでの全体構成斜視図である。
【0034】
図5において、梱包箱500の底面512と底面532が垂直になるように梱包箱500を横に倒して、梱包箱500の天面内フラップ521の内面上に梱包用保持部材100の凹状側の反対面(230、330)を載せて、凹状側内面(270、370、411、418、420で構成)に被梱包物10を立てて入れる。
【0035】
さらに被梱包物10を立てた上側にもう一方の梱包用保持部材100の凹状側内面(270、370、411、418、420で構成)を下向きにして被せた状態にする。
【0036】
この際に、梱包用保持部材100の凹状側の反対面(230、330)が、梱包箱500の天面内フラップ521の内面上で接触する面積を大きく有していることにより、梱包用保持部材100で保持された被梱包物10が、安定して保持されるものである。
【0037】
図6は、この実施の形態に係る梱包用保持部材100で被梱包物10を保持して梱包箱500へ収納する全体構成斜視図である。
【0038】
図6において、梱包用保持部材100の長さBは、梱包箱500の奥行の内寸法に比べて、隙間にガタが生じない程度に短い長さである。梱包用保持部材100の長さCは、梱包箱500の幅の内寸法に比べて、隙間にガタが生じない程度に短い長さである。梱包用保持部材100の長さAは、梱包箱500の高さの内寸法に比べて、隙間にガタが生じない程度に短い長さである。
【0039】
梱包用保持部材100の凹状側の反対面(230、330)の長さAは、A>C/2である。
【0040】
これにより、梱包箱500の天面内フラップ521の内面上で接触する面積を大きく有することになり、上下の梱包用保持部材100を抑えながら梱包箱500の奥に移動させて収納する作業に対しても、安定して被梱包物10を保持することができる。
【0041】
図7は、この実施の形態に係る梱包用保持部材100で被梱包物10を梱包箱500へ収納して、梱包箱500を正位置にした全体構成斜視図である。
【0042】
図7において、梱包箱500の側面(510、520、530、540)、天面(511、531)、天面内フラップ(521、541)と底面(512、532)、底面内フラップ(522、542)により、梱包用保持部材100が抑えられる。
【0043】
この際に、梱包用保持部材100の凹状側の反対面(230、330)に形成された三角柱状の突起部(面210、230、240、250及び面310、330、340、350で構成)が梱包箱500の四隅に位置して、この三角柱状の突起部(面210、230、240、250及び面310、330、340、350で構成)の上端部(201、301)が梱包箱500の天面内フラップ(521、541)に突き当たり抑えられる。
これにより、同梱物を被梱包物10の上部に収納する場合においても、被梱包物10の荷重が同梱物に直接係らないようになるため、同梱物を保護することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 被梱包物
100 梱包用保持部材
200 梱包用保持部材を構成する段ボール材
201 梱包用保持部材100の三角柱状の突起部(面210、230、240、250で構成)の端部
301 梱包用保持部材100の三角柱状の突起部(面310、330、340、350で構成)の端部
230、330 梱包用保持部材100の凹状側の反対面
260、360、412、417 梱包用保持部材100の凹状側枠面
270、370、411、418、420 梱包用保持部材100の凹状側内面
300 梱包用保持部材を構成する段ボール材
400 梱包用保持部材を構成する段ボール材
401a 、402a 、403a 、404a 段ボール材400の抜き穴で段ボール材200と嵌合
401b 、402b 、403b 、404b 段ボール材400の抜き穴で段ボール材300と嵌合
405c 、406c 段ボール材400の抜き穴で段ボール材200と嵌合
405d 、406d 段ボール材400の抜き穴で段ボール材300と嵌合
500 梱包箱
510、520、530、540 梱包箱の側面
511、531 天面
521、541 天面内フラップ
512、532 底面
522、542 底面内フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包箱に被梱包物とともに収納される梱包部材として、三枚の段ボール材に折り目(山折り、谷折り)を付け、型抜きして組立てて、嵌合わせて形成される凹状の梱包部材により、被梱包物を両側から挟んで抑えて梱包箱に入れることで保持機能を有する梱包用保持部材であって、
梱包箱の底面が垂直になるように横に倒して、梱包箱の内フラップに梱包用保持部材の凹状側の反対面を載せて、凹状側に被梱包物を立てて入れる。さらに被梱包物を立てた上側にもう一方の梱包用保持部材を凹状側の面を下向きにして被せた状態で、上下の梱包用保持部材を抑えて梱包箱内の奥に移動させて収納する作業において、
梱包用保持部材の凹状側の反対面が、梱包箱の内フラップ内面上で接触する面積を大きく有していることを特徴とする梱包用保持部材。
【請求項2】
梱包箱に被梱包物とともに収納される梱包部材として、三枚の段ボール材に折り目(山折り、谷折り)を付け、型抜きして組立てて、嵌合わせて形成される凹状の梱包部材により、被梱包物を両側から挟んで抑えて梱包箱に入れることで保持機能を有する梱包用保持部材であって、
梱包用保持部材の凹状側の上部に形成された三角柱状の突起部を梱包箱の四隅に位置することを特徴とする梱包用保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−76795(P2012−76795A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223826(P2010−223826)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】