説明

梱包用緩衝材

【課題】梱包用緩衝材の底部又は側壁部に複数の緩衝効果調整用の舌片を形成し、それらを利用することにより、緩衝効果を調整できるようにした梱包用緩衝材を提供する。
【解決手段】本発明の梱包用緩衝材は、紙板材から形成され、底部30及び底部30に連なる前方及び後方側壁部40a,40bを有する。前方及び後方側壁部40a,40bは、底部30から起立する面500,600を有する。底部30又は面500,600は、対向する面300,800,400,700に向かって折れ曲がり可能であり面300,800,400,700に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片1〜16を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包箱に商品を収容する際に、商品と共に梱包箱内に収容され、商品が梱包箱内でがたつかないようにすると共に、外部からの衝撃又は振動を吸収して商品を保護する梱包用緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ又は液晶プロジェクタ等の電気製品は、製造後に梱包箱に収容され、卸売り又は小売店等に出荷され、最終的には梱包箱に収容された状態のままユーザの元へ届けられる。製造工場からユーザの元へ電気製品が届けられる間に、梱包箱に収容された電気製品は各種の物流手段により搬送される。このときに外部からの振動又は衝撃によって梱包箱内の電気製品が破損する虞がある。このため、梱包箱内には例えば発泡スチロール製の梱包用緩衝材が電気製品と梱包箱との間に設けられる。梱包用緩衝材は、外部からの振動又は衝撃を吸収する緩衝効果を奏し、電気製品の故障又は破損を防止している。
【0003】
特許文献1には、各種商品の梱包時に商品と共に梱包箱内に収容され、外部からの衝撃又は振動から商品を保護する商品保護緩衝材が記載されている。この商品保護緩衝材は、例えば、段ボール紙板材から成る四角形状の底板、底板の前後一方の側辺に起立するように形成された紙板材から成る起立壁体、及び、底板の左右両側辺に起立壁体と同じ側に起立するように形成された紙板材から成る起立壁体を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−13766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、梱包する商品の形状、構造、材質、強度、重心の位置等に変更がある場合、別部品を追加して緩衝効果調整を行う必要があるため、緩衝効果調整に要する時間及びコストがかかる虞がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、梱包用緩衝材の外壁部に、対向する内壁部に向かって折り曲げ可能であり内壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片を形成することにより、梱包用緩衝材の各部位に適合した緩衝効果調整を行うことができる梱包用緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の梱包緩衝材は、被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、該梱包箱の内面に当接可能な外壁部、及び前記被梱包物の外面に当接可能であって該外壁部と対向する内壁部を備える梱包用緩衝材において、前記外壁部は、前記内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該内壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、梱包用緩衝材の外壁部に複数の緩衝効果調整用の舌片を有し、それらの緩衝効果調整用の舌片は折り曲げ可能であり内壁部に当接可能であるため、梱包される個々の商品の形状、構造、材質、重心の位置等の諸条件に応じて複数の緩衝効果調整用の舌片を外壁部に適宜形成することにより緩衝効果の調整を行うことができる。
【0009】
本発明の梱包用緩衝材は、被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、底部及び該底部と連なる側壁部を備える梱包用緩衝材において、該側壁部は、前記梱包箱の内面に当接可能であって前記底部から起立する外壁部と、前記被梱包物の外面に当接可能であって前記外壁部と対向する内壁部とを備え、前記外壁部は、前記内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該内壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、梱包用緩衝材の側壁部の外壁部に複数の緩衝効果調整用の舌片を有し、それらの緩衝効果調整用の舌片は折り曲げ可能であり内壁部に当接可能であるため、梱包される個々の商品の形状、構造、材質、重心の位置等の諸条件に応じて複数の緩衝効果調整用の舌片を外壁部に適宜形成することにより緩衝効果の調整を行うことができる。
【0011】
本発明の梱包用緩衝材は、被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、底部及び該底部と連なる側壁部を備える梱包用緩衝材において、該側壁部は、前記被梱包物の外面に当接可能であって前記底部と対向する内壁部を備え、前記底部は、前記内壁部に向かって折り曲げ可能であり該内壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、梱包用緩衝材の底部に複数の緩衝効果調整用の舌片を有し、それらの緩衝効果調整用の舌片は折り曲げ可能であり内壁部に当接可能であるため、梱包される個々の商品の形状、構造、材質、重心の位置等の諸条件に応じて複数の緩衝効果調整用の舌片を底部に適宜形成することにより緩衝効果の調整を行うことができる。
【0013】
本発明の梱包用緩衝材において、前記舌片には、各舌片を識別するための識別表示が付されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、緩衝効果調整用の舌片に識別表示が付されているため、緩衝効果調整用の舌片を識別表示に従って折り曲げることができ、緩衝材の組み立て作業を正確に行うことができる。
【0015】
本発明の梱包用緩衝材において、前記舌片及び各舌片が当接可能な部位には各舌片に対応する識別表示が付されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、識別表示が付されている緩衝効果調整用の舌片が折り曲げられることにより緩衝効果調整用の舌片に付けられた識別表示の視認が困難になった場合でも、その緩衝効果調整用の舌片が当接する部位には各舌片に対応する識別表示が付されているため、折り曲げた緩衝効果調整用の舌片の識別表示を認識できる。
【0017】
本発明の梱包用緩衝材において、前記舌片の先端部には突片が形成され、前記舌片が当接可能な部位には、前記突片と係合するスリットが形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、緩衝効果調整用の舌片の先端部には、緩衝効果調整用の舌片が当接する部位に設けられたスリットと係合する突片が形成されているため、折り曲げられた舌片と内壁部とを結合できる。
【0019】
本発明の梱包用緩衝材において、前記舌片が当接可能な部位に設けられたスリットの個数は、該舌片の個数よりも多いことを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、緩衝効果調整用の舌片が当接する部位に設けられたスリットの個数が、緩衝効果調整用の舌片の個数よりも多いため、緩衝効果調整用の舌片を固定できるスリットの候補が多くなり、そのため、緩衝効果調整用の舌片の折り曲げ角度を柔軟に変更でき、きめ細かな緩衝効果調整を行うことができる。
【0021】
本発明の梱包用緩衝材において、前記舌片の先端部には、1又は複数の切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、切り取る切欠部の個数を緩衝効果調整用の舌片毎に変えることにより緩衝効果調整用の舌片の柔軟度も変わるため、緩衝効果調整用の舌片を形成する箇所に応じて緩衝効果を微調整することができる。
【0023】
本発明の梱包用緩衝材は、被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、底部及び該底部と連なる側壁部を備える梱包用緩衝材において、該側壁部は、前記梱包箱の内面に当接可能であって前記底部から起立する外壁部と、前記被梱包物の外面に当接可能であって該外壁部と対向する第一内壁部と、前記被梱包物の外面に当接可能であって前記底部と対向する第二内壁部とを備え、前記外壁部は、前記第一内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該第一内壁部に当接可能な複数の緩衝効果調整用の第一舌片を備え、前記底部は、前記第二内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該第二内壁部に当接可能な複数の緩衝効果調整用の第二舌片を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、梱包用緩衝材の底部及び外壁部に複数の緩衝効果調整用の舌片を有し、それらの舌片は折り曲げ可能であり内壁部に当接可能であるため、梱包される個々の商品の形状、構造、材質、重心の位置等の諸条件に応じて複数の緩衝効果調整用の舌片を底部及び外壁部に適宜形成することにより緩衝効果の調整を行うことができる。
【0025】
本発明の梱包用緩衝材において、前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片には、各舌片を識別するための識別表示が付されていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、底部及び外壁部に形成された緩衝効果調整用の舌片に識別表示が付けられているため、緩衝効果調整用の舌片を識別表示に基づいて折り曲げることができ、緩衝材の組み立て作業を正確に行うことができる。
【0027】
本発明の梱包用緩衝材において、前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片及び各舌片が当接可能な部位には各舌片に対応する識別表示が付されていることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、底部及び外壁部に形成され識別表示が付されている緩衝効果調整用の舌片が折り曲げられることにより緩衝効果調整用の舌片に付けられた識別表示の視認が困難になった場合でも、その緩衝効果調整用の舌片が当接する部位には各舌片に対応する識別表示が付されているため、折り曲げた緩衝効果調整用の舌片の識別表示を認識できる。
【0029】
本発明の梱包用緩衝材において、前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片の先端部には突片が形成され、該舌片が当接可能な部位には、前記突片と係合するスリットが形成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明にあっては、底部及び外壁部に形成された緩衝効果調整用の舌片の先端部には、緩衝効果調整用の舌片が当接する部位に設けられたスリットと係合する突片が形成されているため、折り曲げられた緩衝効果調整用の舌片と内壁部とを結合できる。
【0031】
本発明の梱包用緩衝材において、前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片が当接可能な部位に設けられたスリットの個数は、該舌片の個数よりも多いことを特徴とする。
【0032】
本発明にあっては、底部及び外壁部に形成された緩衝効果調整用の舌片が当接する部位に設けられたスリットの個数が、緩衝効果調整用の舌片の個数よりも多いため、緩衝効果調整用の舌片を固定できるスリットの候補が多くなり、そのため、緩衝効果調整用の舌片の折り曲げ角度を柔軟に変更でき、きめ細かな緩衝効果調整を行うことができる。
【0033】
本発明の梱包用緩衝材において、前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片の先端部には、1又は複数の切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0034】
本発明にあっては、切り取る切欠部の個数を舌片毎に変えることにより、底部及び外壁部に形成された緩衝効果調整用の舌片の柔軟度も変わるため、緩衝効果を微調整することができる。
【0035】
本発明の梱包用緩衝材は、被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、該梱包箱の内面に当接可能な外壁部、及び前記被梱包物の外面に当接可能であって該外壁部と対向する内壁部を備える梱包用緩衝材において、前記内壁部は、前記外壁部側に向かって折り曲げ可能であり該外壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片を備えることを特徴とする。
【0036】
本発明にあっては、梱包用緩衝材の内壁部に複数の緩衝効果調整用の舌片を有し、それらの舌片は折り曲げ可能であり外壁部に当接可能であるため、梱包される個々の商品の形状、構造、材質、重心の位置等の諸条件に応じて複数の緩衝効果調整用の舌片を内壁部に適宜形成することにより緩衝効果の調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、梱包用緩衝材の外壁部に、対向する内壁部に向かって折り曲げ可能であり内壁部に当接可能な複数の緩衝効果調整用の舌片が形成されているため、梱包される個々の商品の形状、構造、材質、強度、重心の位置等の諸条件に応じて緩衝効果を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1に係る梱包用緩衝材の展開図である。
【図2】梱包用緩衝材の上面方向からの斜視図である。
【図3】梱包用緩衝材の底面方向からの斜視図である。
【図4】梱包用緩衝材に商品を収容する様子を示す斜視図である。
【図5】実施の形態2に係る梱包用緩衝材の展開図の一部である。
【図6】前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
【図7】実施の形態3に係る梱包用緩衝材の展開図の一部である。
【図8】前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
【図9】実施の形態4に係る梱包用緩衝材の展開図の一部である。
【図10】前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
【図11】実施の形態5に係る梱包用緩衝材の展開図の一部である。
【図12】前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
実施の形態1
以下、図面を参照して実施の形態を具体的に説明する。
図1は実施の形態1に係る梱包用緩衝材の展開図、図2は梱包用緩衝材の上面方向からの斜視図、図3は梱包用緩衝材の底面方向からの斜視図、図4は梱包用緩衝材に商品を収容する様子を示す斜視図である。図1において、梱包用緩衝材の展開紙板100は段ボール原紙を裁断して形成したものである。
尚、展開紙板100は単層の原紙を裁断して形成したものであってもよい。
【0040】
図1に示すように、梱包用緩衝材の展開紙板100は、その略中央部に底部30、底部30の前後方向に折り曲げ線3a,3bを介して連設された前方及び後方側壁部40a,40b、底部30の左右方向に折り曲げ線3c,3dを介して連接された左方及び右方側壁部50a,50b、前方側壁部40aの左右方向に折り曲げ線4c,4dを介して連設された第一及び第二の四隅用側壁部60a,60b、及び、後方側壁部40bの左右方向に折り曲げ線7c,7dを介して連設された第三及び第四の四隅用側壁部70a,70bを有する。
前方及び後方側壁部40a,40b及び底部30は、緩衝効果調整用の舌片1〜16を有する。
前方及び後方側壁部40a,40bの先端には係止突片80a,80bが形成され、底部30には係止スリット90a,90bが形成されている。係止スリット90a,90bは、舌片5〜12よりも底部30の中心側に形成され、夫々、係止突片80a,80bと係合する。
【0041】
底部30は、梱包用緩衝材の土台となる部分であり、梱包用緩衝材に収容される商品を底面側から支持する。
左方及び右方側壁部50a,50b及び前方及び後方側壁部40a,40bは、底部30の周縁に設けられた折り曲げ線3a,3b,3c,3dに沿って折り曲げられることにより、底部30を基準面にして略垂直に起立するように形成されている。
【0042】
第一及び第二の四隅用側壁部60a,60bは、折り曲げ線4c,4dに沿って折り曲げられることにより、前方側壁部40aを基準面にして略垂直に起立するように形成されている。第三及び第四の四隅用側壁部70a,70bは、折り曲げ線7c,7dに沿って折り曲げられることにより、後方側壁部40bを基準面にして略垂直に起立するように形成されている。
【0043】
前方及び後方側壁部40a,40bと左方及び右方側壁部50a,50bとは、それぞれ折り曲げ線3a,3b及び3c,3dに沿って折り曲げられることにより、底部30を基準面にして略垂直に起立するように形成されている。更に、第一〜第四の四隅用側壁部60a,60b,70a,70bは、それぞれ折り曲げ線4c,4d,7c,7dに沿って折り曲げられることにより、前方及び後方側壁部40a,40bを基準面にして略垂直に起立するように形成されている。第一〜第四の四隅用側壁部60a,60b,70a,70bは、折り曲げ線に沿って折り曲げられ起立することによって、左方及び右方側壁部50a,50bに当接する。
【0044】
以上の通り、前方及び後方側壁部40a,40bを折り曲げ線3a,3bに沿って折り曲げて底部30を基準面にして略垂直に起立させ、且つ、左方及び右方側壁部50a,50bを折り曲げ線3c,3dに沿って折り曲げて底部30を基準面にして略垂直に起立させる。更に、第一〜第四の四隅用側壁部60a,60b,70a,70bを折り曲げ線4c,4d,7c,7dに沿って折り曲げて前方及び後方側壁部40a,40bを基準面にして略垂直に起立させる。これらの側壁部を折り曲げ起立させることによって、前方及び後方側壁部40a,40bは底部30の前後方向の長さの間隔をおいて対向し、左方及び右方側壁部50a,50bは底部30の左右方向の長さの間隔をおいて対向する。
【0045】
このように前方及び後方側壁部40a,40b及び左方及び右方側壁部50a,50bを、底部30を基準面にして略垂直に起立させ、第一〜第四の四隅用側壁部60a,60b,70a,70bを折り曲げ線4c,4d,7c,7dに沿って折り曲げて前方及び後方側壁部40a,40bを基準面にして略垂直に起立させる。これによって、図2〜図4に示すように、梱包用緩衝材200の略中央部には商品18を収容するための空間が形成される。
【0046】
前方及び後方側壁部40a,40bを折り曲げ線8a〜8hに沿って折り曲げることによって、面450,400(第一内壁部),300(第二内壁部)から成る階段形状の部位が底部30の上部に形成され、且つ、面650,700(第一内壁部),800(第二内壁部)から成る階段形状の部位が底部30の上部に形成される。
【0047】
前方及び後方側壁部40a,40bが底部30の上部に形成されるのに伴い、前方及び後方側壁部40a,40bの先端に形成されている係止突片80a,80bが係止スリット90a,90bの上部に配置される。そのため、係止突片80a,80bと係止スリット90a,90bとを係合することによって、前方及び後方側壁部40a,40bを底部30に固定することができる。
【0048】
実施の形態1に係る梱包用緩衝材にあっては、底部30、及び前方及び後方側壁部40a,40bには、収容する商品18を外部からの衝撃又は振動から保護するための緩衝効果を奏する複数の緩衝効果調整用の舌片1〜16が形成されている。実施の形態1にあっては、底部30には8つの緩衝効果調整用の舌片5〜12が形成され、前方側壁部40aの面500(外壁部)には4つの緩衝効果調整用の舌片1〜4が形成され、後方側壁部40bの面600(外壁部)には4つの緩衝効果調整用の舌片13〜16が形成されている。
【0049】
具体的には、底部30の前後方向の後部には、左右方向に間隔をおいて4つの緩衝効果調整用の舌片9〜12が形成され、前後方向の前部には、同じく左右方向に間隔をおいて4つの緩衝効果調整用の舌片5〜8が形成されている。
また、前方側壁部40aの面500の前後方向の後部には、左右方向に間隔をおいて4つの緩衝効果調整用の舌片1〜4が形成され、後方側壁部40bの面600の前後方向の前部には、左右方向に間隔をおいて4つの緩衝効果調整用の舌片13〜16が形成されている。
【0050】
緩衝効果調整用の舌片1〜16は、材料となる段ボール原紙に例えばミシン目で略コ字形状の切り込み線を入れることで形成することができる。緩衝効果調整用の舌片1〜16は、切り込み線によって底部30、及び前方及び後方側壁部40a,40bから区画されている。各切り込み線は左右方向に離れており、これらの間に緩衝効果調整用の舌片の付け根が形成されている。ミシン線を切り、緩衝効果調整用の舌片1〜4、5〜8、9〜12、13〜16それぞれを面400、面300、面800、面700に向かって折り曲げることにより、各舌片は各面に当接可能になる。すなわち、緩衝効果調整用の舌片1〜16は、その段ボール原紙の屈曲弾性によって変形できる状態になる。
【0051】
梱包緩衝材200が組み立てられると、図2及び図3に示すように、面500において折り曲げられた緩衝効果調整用の舌片1,4は面400に当接可能になり、一方、図示しないが、面600において折り曲げられたいずれかの緩衝効果調整用の舌片は面700に当接可能になる。また、図3に示すように、底部30において折り曲げられた緩衝効果調整用の舌片5,8は面300に当接可能になり、同じく底部30において折り曲げられた緩衝効果調整用の舌片10,12は面800に当接可能になる。こうして、折り曲げられた緩衝効果調整用の舌片は、その弾性変形を利用して梱包用緩衝材が側部及び下部から受ける衝撃又は振動を吸収して商品を保護する。
【0052】
図4に示すように、商品18は組み立てられた梱包用緩衝材200に収容され、さらに、商品18を収容する梱包用緩衝材200は段ボール箱19に収容される。
【0053】
以上の通り、実施の形態1に係る梱包用緩衝材には、緩衝効果調整用の舌片が形成されている。そして、収納する商品18の形状、構造、材質、重心の位置等の諸条件に応じて適宜、緩衝効果調整用の舌片の開閉を行うことによって緩衝効果の調整を行うことができる。具体的には、梱包用緩衝材を組み立てる場合、前方及び後方側壁部40a,40b及び底部30に形成された複数の緩衝効果調整用の舌片1〜16の中から適切な緩衝効果を発揮する緩衝効果調整用の舌片を選択し、選択した緩衝効果調整用の舌片を折り曲げて面400,300,700,800に当接可能な状態にする。これによって、外部から梱包用緩衝材に振動又は襲撃が加わった場合、それらの振動又は衝撃は緩衝効果調整用の舌片に吸収され、商品18は保護される。
【0054】
実施の形態2
図5は実施の形態2に係る梱包用緩衝材の展開図の一部、図6は前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
【0055】
緩衝効果調整用の舌片1〜4が形成された面500及び面500と対向する面400の形状、配置等並びに他の部位の形状、配置等は実施の形態1と同様であるから、ここではそれらの説明を省略する。
図5及び図6に示すように、緩衝効果調整用の舌片1〜4の表面には1〜4の識別番号が付されている。図5では、説明の便宜上、面400に対向する舌片1〜4の面に識別番号が付されているが、実際は、図6に示すように、緩衝効果調整用の舌片1〜4の外側の面、即ち、外部から視認できる面に識別番号は付されている。一方、面400にも1〜4の識別番号が付されている。図6に示すように、面400には、左右方向に沿って、緩衝効果調整用の舌片1〜4に付されている識別番号と同じ識別番号、即ち1〜4が描かれている。
尚、図6は模式図であるため、緩衝効果調整用の舌片1〜4が形成されている面500から離れた場所に面400が投影されているように表しているが、実際は、面400は前方側壁部40aに含まれる面であって、面500に近接した場所に設けられている。
【0056】
また、図示しないが、前方側壁部40aと同様に、後方側壁部40bに形成された緩衝効果調整用の舌片13〜16の表面には13〜16の識別番号が描かれ、緩衝効果調整用の舌片13〜16に対向する面700には13〜16の識別番号が付されている。同様に図示しないが、更に、底部30に形成された緩衝効果調整用の舌片5〜8の表面には5〜8の識別番号が付され、緩衝効果調整用の舌片5〜8に対向する前方側壁部40aの面300には5〜8の識別番号が付されている。同様に、底部30に形成された緩衝効果調整用の舌片9〜12の表面には9〜12の識別番号が付され、緩衝効果調整用の舌片9〜12に対向する後方側壁部40bの面800には番号9〜12が付されている。
【0057】
実施の形態2によれば、緩衝効果調整用の舌片1〜16及びそれら緩衝効果調整用の舌片1〜16と対向する面に識別番号が予め付されているため、緩衝効果の調整が必要と考えられる部分の舌片を容易に特定することができる。
尚、識別番号の代わりに、アルファベット、特殊な記号、色等の識別表示を舌片及びその舌片に対応する部位に付してもよい。
【0058】
実施の形態3
図7は実施の形態3に係る梱包用緩衝材の展開図の一部、図8は前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
緩衝効果調整用の舌片1〜4を有する面500及び面500と対向する面400の形状、配置等並びに他の部位の形状、配置等は実施の形態1と同様であるから、ここではそれらの説明を省略する。
【0059】
図7及び図8に示すように、緩衝効果調整用の舌片1〜4の先端に係止突片11a〜14aが形成され、前方側壁部40aの面400には、緩衝効果調整用の舌片1〜4が折り曲げられた場合に係止突片11a〜14aと係合する係止スリット11b〜14bが形成されている。
尚、図8は模式図であるため、緩衝効果調整用の舌片1〜4が形成されている面500から離れた場所に面400が投影されているように表しているが、実際は、面400は前方側壁部40aに含まれる面であって、面500に近接した場所に設けられている。
【0060】
また、図示しないが、緩衝効果調整用の舌片13〜16の先端に係止突片が形成され、後方側壁部40bの面700には、緩衝効果調整用の舌片13〜16が折り曲げられた場合に係止突片と係合する係止スリットが形成されている。同様に図示しないが、更に、緩衝効果調整用の舌片5〜8,9〜12の先端に係止突片が形成され、前方側壁部40a及び後方側壁部40bの面300及び800には、緩衝効果調整用の舌片5〜8,9〜12が折り曲げられた場合にその折り曲げられた係止突片と係合する係止スリットが形成されている。
【0061】
実施の形態3によれば、緩衝効果調整用の舌片1〜4に係止突片11a〜14aが形成され、前方側壁部40aの面400には係止突片11a〜14aと係合する係止スリット11b〜14bが形成されているため、緩衝効果調整用の舌片1〜4を折り曲げて緩衝効果調整を行う場合に、緩衝効果調整用の舌片1〜4を面400に固定させることができる。
【0062】
実施の形態4
図9は実施の形態4に係る梱包用緩衝材の展開図の一部、図10は前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
緩衝効果調整用の舌片1〜4を有する面500及び面500と対向する面400の形状、配置等並びに他の部位の形状、配置等は実施の形態1と同様であるから、ここではそれらの説明を省略する。
【0063】
図9及び図10に示すように、緩衝効果調整用の舌片1〜4の先端部には係止突片11a〜14aが形成されている。前方側壁部40aの面400には、緩衝効果調整用の舌片1〜4が折り曲げられた場合に係止突片11a〜14aと係合する係止スリット11b〜18bが形成されている。実施の形態3では、係止スリットの数は4であるが、実施の形態4では8である。
【0064】
実施の形態4によれば、係止スリットの数を増やすことにより、緩衝効果調整用の舌片1〜4の折り曲げ角度の範囲を広くすることができる。つまり、実施の形態1〜3の場合、緩衝効果調整用の舌片の折り曲げ角度は概ね90度になるが、実施の形態4によれば、係止突片11a〜14aと係合可能な係止スリットの数は8つあるため、緩衝効果調整用の舌片1〜4の係止突片11a〜14aと係合可能な係止スリットの数は増える。このため、緩衝効果調整用の舌片1〜4の折り曲げ角度を変化させることができ、緩衝効果調整用の舌片1〜4の弾性変形の度合いを商品18に合わせてきめ細かく設定できる。
尚、他の緩衝効果調整用の舌片5〜16に係止スリットを形成すると共にそれらと係合可能な係止スリットを形成してもよい。
【0065】
実施の形態5
図11は実施の形態5に係る梱包用緩衝材の展開図の一部、図12は前方側壁部における緩衝効果調整用の舌片を有する面とその面と対向する面との関係を模式的に表した図である。
緩衝効果調整用の舌片1〜4を有する面500及び面500と対向する面400の形状、配置等並びに他の部位の形状、配置等は実施の形態1と同様であるから、ここではそれらの説明を省略する。
【0066】
図11に示すように、緩衝効果調整用の舌片1〜4の先端部には切欠部1m,1n,2m,2n,3m,3n,4m,4nが形成されている。具体的には、緩衝効果調整用の舌片1には切欠部1m,1nが、緩衝効果調整用の舌片2には切欠部2m,2nが、緩衝効果調整用の舌片3には切欠部3m,3nが、緩衝効果調整用の舌片4には切欠部4m,4nが形成されている。図12は、全ての切欠部を切り取った状態を示すが、切り取る切欠部を緩衝効果調整用の舌片毎に異ならせてもよい。
【0067】
実施の形態5によれば、緩衝効果調整用の舌片1〜4に切欠部を形成することにより緩衝効果を微調整することができる。
尚、緩衝効果調整用の舌片1〜4に形成される切欠部の個数、緩衝効果調整用の舌片における切欠部の位置、又は切欠部の形状は本実施の形態に限定されない。また、他の緩衝効果調整用の舌片5〜16に切欠部を形成してもよい。
【0068】
変形例
実施の形態では、16個の緩衝効果調整用の舌片を所定の場所に形成し、且つ、緩衝効果調整用の舌片1〜4,13〜16を緩衝効果調整用の舌片5〜12よりも大きく形成している。また、緩衝効果調整用の舌片の形状をコ字形状に形成している。しかし、緩衝効果調整用の舌片の数、大きさ、形状、形成場所はそれらに限定されるものではない。即ち、梱包される商品18の形状、構造、材質、強度、重心の位置等の諸条件に応じて衝撃調整の効果が十分に発揮されるように、緩衝効果調整用の舌片の個数、大きさ等を調節してよい。また、実施の形態では、全ての緩衝効果調整用の舌片を外壁部に形成したが、少なくとも一部の緩衝効果調整用の舌片を内壁部に形成してもよい。
【0069】
尚、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1〜16 緩衝効果調整用の舌片
18 商品
19 段ボール箱
1m〜4m,1n〜4n 切欠部
40a 前方側壁部
40b 後方側壁部
50a 左方側壁部
50b 右方側壁部
60a、60b、70a、70b 四隅用側壁部
80a,80b 係止突片
90a,90b 係止スリット
100 梱包用緩衝材の展開紙板
200 梱包用緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、該梱包箱の内面に当接可能な外壁部、及び前記被梱包物の外面に当接可能であって該外壁部と対向する内壁部を備える梱包用緩衝材において、
前記外壁部は、
前記内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該内壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片
を備えることを特徴とする梱包用緩衝材。
【請求項2】
被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、底部及び該底部と連なる側壁部を備える梱包用緩衝材において、
該側壁部は、
前記梱包箱の内面に当接可能であって前記底部から起立する外壁部と、
前記被梱包物の外面に当接可能であって前記外壁部と対向する内壁部と
を備え、
前記外壁部は、
前記内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該内壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片
を備えることを特徴とする梱包用緩衝材。
【請求項3】
被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、底部及び該底部と連なる側壁部を備える梱包用緩衝材において、
該側壁部は、
前記被梱包物の外面に当接可能であって前記底部と対向する内壁部を備え、
前記底部は、
前記内壁部に向かって折り曲げ可能であり該内壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片
を備えることを特徴とする梱包用緩衝材。
【請求項4】
前記舌片には、各舌片を識別するための識別表示が付されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の梱包用緩衝材。
【請求項5】
前記舌片及び各舌片が当接可能な部位には各舌片に対応する識別表示が付されていることを特徴とする請求項4記載の梱包用緩衝材。
【請求項6】
前記舌片の先端部には突片が形成され、
前記舌片が当接可能な部位には、前記突片と係合するスリットが形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の梱包用緩衝材。
【請求項7】
前記舌片が当接可能な部位に設けられたスリットの個数は、該舌片の個数よりも多いことを特徴とする請求項6記載の梱包用緩衝材。
【請求項8】
前記舌片の先端部には、1又は複数の切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の梱包用緩衝材。
【請求項9】
被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、底部及び該底部と連なる側壁部を備える梱包用緩衝材において、
該側壁部は、
前記梱包箱の内面に当接可能であって前記底部から起立する外壁部と、
前記被梱包物の外面に当接可能であって該外壁部と対向する第一内壁部と、
前記被梱包物の外面に当接可能であって前記底部と対向する第二内壁部と
を備え、
前記外壁部は、
前記第一内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該第一内壁部に当接可能な複数の緩衝効果調整用の第一舌片を備え、
前記底部は、
前記第二内壁部側に向かって折り曲げ可能であり該第二内壁部に当接可能な複数の緩衝効果調整用の第二舌片
を備えることを特徴とする梱包用緩衝材。
【請求項10】
前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片には、各舌片を識別するための識別表示が付されていることを特徴とする請求項9記載の梱包用緩衝材。
【請求項11】
前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片及び各舌片が当接可能な部位には各舌片に対応する識別表示が付されていることを特徴とする請求項10記載の梱包用緩衝材。
【請求項12】
前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片の先端部には突片が形成され、
該舌片が当接可能な部位には、前記突片と係合するスリットが形成されていることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載の梱包用緩衝材。
【請求項13】
前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片が当接可能な部位に設けられたスリットの個数は、該舌片の個数よりも多いことを特徴とする請求項12記載の梱包用緩衝材。
【請求項14】
前記第一及び第二舌片の少なくとも一方の舌片の先端部には、1又は複数の切欠部が形成されていることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載の梱包用緩衝材。
【請求項15】
被梱包物及び該被梱包物を収容する梱包箱の間に介在し、該梱包箱の内面に当接可能な外壁部、及び前記被梱包物の外面に当接可能であって該外壁部と対向する内壁部を備える梱包用緩衝材において、
前記内壁部は、
前記外壁部側に向かって折り曲げ可能であり該外壁部に当接可能である複数の緩衝効果調整用の舌片
を備えることを特徴とする梱包用緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−51595(P2012−51595A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194242(P2010−194242)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】