説明

梱包箱及び梱包構造

【課題】折り曲げた表面板同士の係合を簡単・確実に行うことができ、きれいな梱包状態を保つことのできる梱包箱を提供する。
【解決手段】長方形の裏面板1と、裏面板の各対向辺に順次折目A1、B1、A2、B2を介して連設された第1側面板2、第1表面板3、第2側面板4、第2表面板5と、第1表面板3上の、梱包時に第2表面板5と重なる部分の近くに形成された矩形の係止孔7と、第2表面板5の外縁部に突設され、係止孔7より大きな幅を有し、梱包時に係止孔7に向けて上から押し込まれることで、幅方向の中央部で折れ曲がりながら係止孔7を潜り抜けて第1表面板3の裏側に入り込み、裏側で表面板と略平行な姿勢に復元することで係止孔7に抜け止め係止され、それにより両表面板3、5を連結する係止突片8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルなどの長方形の大型の物品を梱包するのに適した梱包箱、及び、その梱包箱を用いた梱包構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ソーラーパネル用の梱包箱として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この梱包箱は、図5に示すように、ソーラーパネルのパネル枠300の長手方向の両側面を被覆してコーナーを保護するための左右一対のシートからなるものである。ソーラーパネルは多数枚を使用することが通常であるので、輸送の際には、梱包箱200でそれぞれソーラーパネルを梱包したものを多段に積み重ね、全体をテープ220で結束することにより、輸送用の荷としている。
【0004】
図6は特許文献1に記載された従来の梱包箱の要部の構成と組立手順を示す斜視図である。
【0005】
この梱包箱200は、図6(a)に示すように、各シートに、梱包時にパネル枠300の底面の周縁部を覆う裏面板201と、裏面板201の長手方向に沿った側縁に順次折目を介して連設され、梱包時にパネル枠300の側面を覆う第1側面板202及びパネル枠300の表面の周縁部を覆う第1表面板203と、裏面板201の長手方向の両端の側縁に順次折目を介して連設され、梱包時にパネル枠300の側面を覆う第2側面板204及びパネル枠300の表面の周縁部を覆う第2表面板205とを設け、梱包時に第1表面板203の下側になる第2表面板205に、差し込みスリット207を設けると共に、梱包時に第2表面板205の上側になる第1表面板203に、前記差し込みスリット207に差し込むことで係止される抜け止め突部208a付きの係止片208を設けたものである。
【0006】
この梱包箱200でパネル枠300を梱包する場合は、図6(b)に示すように、裏面板201でパネル枠300の底面を覆った状態で、第2側面板204、第2表面板205を順次折り曲げて、パネル枠300の側面と表面の周縁部を覆う。次いで、図6(c)に示すように、第1側面板202と第1表面板203を順次折り曲げながら、係止片208を垂直に折り曲げて、図6(d)に示すように、差し込みスリット207に垂直に差し込む。こうすることで、抜け止め突部208aがスリット207の縁に引っ掛かるので、係止片208が係止され、第1表面板203と第2表面板205が係合される。
【特許文献1】実用新案登録第3097147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述の梱包箱200では、係止片208を垂直に折り曲げながらスリット207に差し込む必要があるので、差し込みづらいという問題があった。また、係止片208を垂直に差し込んだ状態で抜け止め突部208aがスリット207の縁に引っ掛かることにより、係止片208が係止されるようになっているので、係止力が弱く、そのため第1表面板203が浮き上がって、係止片208がスリット207から抜けてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮し、折り曲げた表面板同士の係合を簡単・確実に行うことができ、きれいな梱包状態を保つことのできる梱包箱、及び、その梱包箱を使用した梱包構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、外周形状が長方形の物品を梱包するための梱包箱において、梱包時に前記物品の底面の少なくとも周縁部を覆う長方形の裏面板と、該裏面板の一方の対向辺に順次折目を介して連設され、梱包時に物品の側面を覆う第1側面板及び物品の表面の周縁部を覆う第1表面板と、前記裏面板の他方の対向辺に順次折目を介して連設され、梱包時に物品の側面を覆う第2側面板及び前記第1表面板の上から物品の表面の周縁部を覆う第2表面板と、前記第1表面板上の、梱包時に前記第2表面板と重なる部分の近くに形成された矩形の係止孔と、前記第2表面板の外縁部に突設され、前記係止孔より大きな幅を有し、梱包時に前記係止孔に向けて上から押し込まれることで、幅方向の中央部で折れ曲がりながら前記係止孔を潜り抜けて前記第1表面板の裏側に入り込み、裏側で前記第1表面板及び第2表面板と略平行な姿勢に復元することで前記係止孔に抜け止め係止され、それにより前記第1表面板と第2表面板を連結する係止突片と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の梱包箱であって、前記係止突片は、前記第2表面板の外縁部に連結された基部の幅が前記係止孔の幅と同じかそれより小さく、且つ、先端部の幅が前記係止孔の幅よりも大きくなった、先広がりの台形状をなしていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載の梱包箱であって、前記係止突片は、前記第2表面板の外縁部に連結された基部の幅が前記係止孔の幅と同じかそれより小さく、且つ、先端部側に行くに従いその幅が徐々に大きくなり、基部と先端部の中間付近でその幅が前記係止孔の幅よりも大きくなった後、更に先端部に行くに従いその幅が徐々に小さくなった、略菱形状をなしていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の梱包箱を用いた梱包構造であって、前記物品が、長方形のパネルを長方形の枠材に嵌めたものであり、その枠材の4つの辺と4つのコーナーを、前記梱包箱の裏面板と第1、第2側面板と第1、第2表面板とで覆い、その状態で、前記各係止孔に前記各係止突片を嵌め込んで係合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、梱包時に下側となる第1表面板と上側となる第2表面板にそれぞれ互いに係合する矩形の係止孔と係止突片を設け、係止突片を上から係止孔に重ねた状態で係止孔に対し押し込むだけで、係止突片が、自分から折れ曲がりながら係止孔を潜り抜けて下側の表面板の裏側に入り込んで、その状態で表面板と略平行な姿勢に復元して係止孔に抜け止めされるようになっているので、一旦係止孔に係止突片を押し込むと、簡単に抜けない状態に保つことができる。特に係止突片を、表面板に垂直な向きに折り曲げて相手側に差し込む形式ではなく、表面板と略平行な姿勢のまま係止孔の裏側に潜り込ませる形式であるから、折り曲げながらスリットに差し込むのと違って係合を簡単に行えると共に、係止力を強く保つことができる。従って、一旦係合させた状態で表面板が浮き上がったり抜けたりする心配がなく、きれいな梱包状態を保つことができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、係止突片の形状を先広がりの台形状に形成してあるので、一旦係合させると抜けにくくすることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、係止突片の形状を略菱形状に形成してあるので、幅の狭くなった先端部分を先に係止孔に入れた状態で係止突片を上から押し込むことで、安定した姿勢で容易に係止突片を係止孔に押し入れることができる。しかも、一旦係合させると抜けにくくすることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、長方形の枠材の4つの辺と4つの角を梱包箱の裏面板と側面板と表面板とで覆うので、枠材の全ての外周部を保護することができ、安全な荷造りが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は梱包箱の展開図、図2(a)〜(c)は梱包箱の要部の構成と組立手順を示す斜視図、図3は別の実施形態の梱包箱の要部の構成と組立手順を示す斜視図、図4は梱包品を多段積みして荷造りした状態を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、実施形態の梱包箱50は、外周形状が長方形の物品(ここではソーラーパネル)を梱包するためのものであり、梱包時に物品の底面の少なくとも周縁部を覆う長方形の裏面板1と、裏面板1の両長辺の外側に順次直線状の折目A1、B1を介して連設され、梱包時に物品の側面を覆う第1側面板2及び物品の表面の周縁部を覆う第1表面板3と、裏面板1の短辺の外側に順次直線状の折目A2、B2を介して連設され、梱包時に物品の側面を覆う第2側面板4及び第1表面板3の上から物品の表面の周縁部を覆う第2表面板5と、第1表面板3上の、梱包時に第2表面板5と重なる部分の近くに形成された矩形の係止孔7と、第2表面板5の外縁部に突設され、係止孔7より大きな幅を有し、梱包時に係止孔7に向けて上から押し込まれることで、幅方向の中央部で折れ曲がりながら係止孔7を潜り抜けて第1表面板3の裏側に入り込み、裏側で第1表面板3及び第2表面板5と略平行な姿勢に復元することで係止孔7に抜け止め係止され、それにより第1表面板3と第2表面板5を連結する係止突片8と、を有している。
【0020】
裏面板1の中央部には、外周形状と相似形の矩形の開口1aが形成されている。また、第1側面板2の長手方向の両端には、梱包時に第2側面板4の下側に折り込まれることで、両側面板2、4の端縁間に隙間ができないようにして物品のコーナー部を保護するフラップ6が連結されている。
【0021】
図2に示すように、係止突片8は、第2表面板5の外縁部に連結された基部8aの幅が係止孔7の幅と同じかそれより小さく、且つ、先端部8bの幅が係止孔7の幅よりも大きくなった、先広がりの台形状をなしており、先端部の幅方向の両側には抜け止め突部8cが設けられている。
【0022】
このように構成された梱包箱50で、例えば、長方形のソーラーパネル本体(パネル)11を長方形のパネル枠(枠材)10の溝12に嵌めた物品(ソーラーパネル)を梱包する場合は、図2(a)に示すように、裏面板1でパネル枠10の底面を覆った状態で、第1側面板2及び第1表面板3を順次折り曲げて、パネル枠10の長辺方向の側面と表面の周縁部を覆う。次いで、第2側面板4と第2表面板5を順次折り曲げてパネル枠10の短辺方向の側面と表面の周縁部を覆う。
【0023】
次いで、図2(b)に示すように、第2表面板5の係止突片8を第1表面板3の係止孔7の上に重ねた状態にし、そのまま係止突片8を矢印Xで示すように単純に上から係止孔7に対し押し込む。そうすると、係止突片8が、自分から中央部分で折れ曲がりながら係止孔7を潜り抜けて、下側の第1表面板3の裏側に入り込む。裏側に入り込むと、係止孔7の周縁による拘束がなくなるので、図2(c)に示すように、係止突片8は、第1、第2表面板3、5と略平行な姿勢に復元して係止孔7に抜け止めされる。
【0024】
従って、一旦係止孔7に係止突片8を押し込むことにより、簡単に抜けない状態に保つことができる。特に係止突片8を、第2表面板5に垂直な向きに折り曲げて相手側に差し込む形式ではなく、第2表面板5と略平行な姿勢のまま係止孔7の裏側に潜り込ませる形式であるから、従来のように折り曲げながらスリットに差し込むのと違って、係合を簡単に行えると共に、係止力を強く保つことができる。その結果、一旦係合させた状態で第2表面板5が浮き上がったり抜けたりする心配がなく、きれいな梱包状態を保つことができる。また、本実施形態の場合、係止突片8の形状を、先広がりの台形状に形成してあるので、一旦係合させると確実に抜けにくくすることができる。
【0025】
また、上述の台形状の係止突片8の代わりに、図3(a)〜(c)に示す梱包箱50Bのような係止突片18を採用してもよい。この係止突片18は、第2表面板5の外縁部に連結された基部18aの幅が係止孔7の幅と同じかそれより小さく、且つ、先端部18b側に行くに従いその幅が徐々に大きくなり、基部18aと先端部18bの中間付近でその幅が係止孔7の幅よりも大きくなった後、更に先端部8bに行くに従いその幅が徐々に小さくなった、略菱形状をなしている。従って、中間部の幅方向の両側に抜け止め突部18cが設けられている。
【0026】
このように係止突片18の形状を略菱形状に形成した場合は、図3(b)に示すように、幅の狭くなった先端部18bを先に係止孔7に差し込んだ状態で係止突片8を上から押し込むことができるので、安定した姿勢で容易に係止突片8を係止孔7に押し入れることができ、一旦係合させると抜けにくくすることができる。
【0027】
いずれの場合も、実施形態の梱包箱50、50Bでソーラーパネルを梱包する場合は、パネル枠10の4つの辺と4つのコーナーを梱包箱の裏面板1と第1、第2側面板2、4と第1、第2表面板3、5とで完全に覆うことができる(梱包構造)。従って、パネル枠10の全ての外周部を保護することができて安全な荷造りが可能となる。
【0028】
図4は梱包箱50、50Bで梱包したものを多段に積み重ねて、輸送用の荷を完成させた状態を示している。この図に示すように、梱包品を多段に積み重ねたら、全体を樹脂のバンド102で井形に結束し、外周にフィルム104を巻き付けてパレット100に載せる。この状態で搬送に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態の梱包箱の展開図である。
【図2】(a)〜(c)は同梱包箱の要部の構成と組立手順を示す斜視図である。
【図3】別の実施形態の梱包箱の要部の構成と組立手順を示す斜視図でる。
【図4】梱包品を多段積みして荷造りした状態を示す斜視図である。
【図5】従来の梱包箱を用いた梱包品の多段積みした荷を示す斜視図である。
【図6】(a)〜(d)は従来の梱包箱の要部の構成と組立手順を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
50,50B 梱包箱
1 裏面板
2 第1側面板
3 第1表面板
4 第2側面板
5 第2表面板
7 係止孔
8,18 係止突片
8a,18a 基部
8b,18b 先端部
A1,A2,B1,B2 折目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周形状が長方形の物品を梱包するための梱包箱において、
梱包時に前記物品の底面の少なくとも周縁部を覆う長方形の裏面板と、
該裏面板の一方の対向辺に順次折目を介して連設され、梱包時に物品の側面を覆う第1側面板及び物品の表面の周縁部を覆う第1表面板と、
前記裏面板の他方の対向辺に順次折目を介して連設され、梱包時に物品の側面を覆う第2側面板及び前記第1表面板の上から物品の表面の周縁部を覆う第2表面板と、
前記第1表面板上の、梱包時に前記第2表面板と重なる部分の近くに形成された矩形の係止孔と、
前記第2表面板の外縁部に突設され、前記係止孔より大きな幅を有し、梱包時に前記係止孔に向けて上から押し込まれることで、幅方向の中央部で折れ曲がりながら前記係止孔を潜り抜けて前記第1表面板の裏側に入り込み、裏側で前記第1表面板及び第2表面板と略平行な姿勢に復元することで前記係止孔に抜け止め係止され、それにより前記第1表面板と第2表面板を連結する係止突片と、
を有することを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包箱であって、
前記係止突片は、前記第2表面板の外縁部に連結された基部の幅が前記係止孔の幅と同じかそれより小さく、且つ、先端部の幅が前記係止孔の幅よりも大きくなった、先広がりの台形状をなしていることを特徴とする梱包箱。
【請求項3】
請求項1に記載の梱包箱であって、
前記係止突片は、前記第2表面板の外縁部に連結された基部の幅が前記係止孔の幅と同じかそれより小さく、且つ、先端部側に行くに従いその幅が徐々に大きくなり、基部と先端部の中間付近でその幅が前記係止孔の幅よりも大きくなった後、更に先端部に行くに従いその幅が徐々に小さくなった、略菱形状をなしていることを特徴とする梱包箱。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の梱包箱を用いた梱包構造であって、
前記物品が、長方形のパネルを長方形の枠材に嵌めたものであり、その枠材の4つの辺と4つのコーナーを、前記梱包箱の裏面板と第1、第2側面板と第1、第2表面板とで覆い、その状態で、前記各係止孔に前記各係止突片を嵌め込んで係合させたことを特徴とする梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−308199(P2008−308199A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157838(P2007−157838)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(393020476)東京コンテナ工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】