説明

梱包箱

【課題】嵩張ることなく、安定して積み上げられ、保形性に優れた梱包箱を提供する。
【解決手段】底板11、側板12及び天板13を連設して横筒体1を形成し、横筒体1の端面を端板15,16,17により閉止し、底板11に山折線11aを、天板13に谷折線13aをそれぞれ両端に亘って2本平行に入れ、底板11を山折線11aに沿って下面が突き出すように折り曲げると共に、天板13を谷折線13aに沿って上面が窪むように折り曲げ、積上状態で、下段側の箱の天面に上段側の箱の底面が嵌まり込むようにする。また、底板11の一端に連設した外立板21を起立させ、外立板21の両側に連設した側立板22の下部を側板12の外面に重ね、側立板22に連設した内立板23を外立板21に対向させて縦筒体2を形成し、側板12の柱片12aを縦筒体2で巻き込み、側立板22の下部に設けたロック片26を側板12の下部のロック穴12cに差し込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のバンパー等、湾曲した立体物を収納して、積み上げた状態で輸送し、保管できる梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のバンパーは、ボディーの前面又は後面から両側面に回り込む形状とされているが、ボディーの前面又は後面の中央部分用と、左右のコーナー部分用とに三分割されたバンパーを採用する車種も存在し、コーナー部分用のバンパーは、ボディーに沿って屈曲し、上下方向にも湾曲した形状とされている。
【0003】
このようなコーナー部分用のバンパーを輸送し、また保管しておく際には、段ボールのブランクを折り曲げて、底面及び天面が平板状の横筒体と、その一端から立ち上がる縦筒体とを内部が連通するように形成した梱包箱を使用することが考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような梱包箱では、輸送・保管のために積み上げると、嵩が高くなるほか、上下の箱がずれて不安定になりやすいという問題があり、また、組立形状を維持するのが難しいという問題もある。
【0005】
そこで、この発明は、嵩張ることなく、安定して積み上げられ、保形性に優れた梱包箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するため、この発明に係る梱包箱は、底板、側板及び天板を連設して横筒体を形成し、底板に山折線を、天板に谷折線をそれぞれ両端に亘って複数本平行に入れ、底板を山折線に沿って下面が突き出すように折り曲げると共に、天板を谷折線に沿って上面が窪むように折り曲げ、積上状態で、下段側の箱の天面に上段側の箱の底面が嵌まり込むようにしたのである。
【0007】
また、前記底板、側板及び天板からそれぞれ端板を延出し、これらを噛み合わせて横筒体の端面を閉止すると共に、横筒体の形状を維持するようにし、さらに、前記側板から延びる端板に突片を設け、この端板と天板から延びる端板とを突片により噛み合わせた状態で、底板から延びる端板を噛み合わせるようにしたのである。
【0008】
そして、前記底板の一端に連設した外立板を起立させ、外立板の両側に連設した側立板の下部を側板の外面に重ね、側立板に連設した内立板を外立板に対向させて縦筒体を形成し、側板の柱片を縦筒体で巻き込み、側立板の下部に設けたロック片を側板の下部のロック穴に差し込むようにしたのである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る梱包箱では、横筒体の底面を下方へ突出させ、天面を窪ませて、積上状態で下段側の箱の天面に上段側の箱の底面が嵌まり込むようにしたので、物品を収納して輸送し、保管する際、積上高さを抑制することができ、上下の箱のずれによる荷崩れを防止することができる。
【0010】
また、横筒体の端面を閉止する端板の噛み合わせにより、横筒体の形状を維持すると共に、その過程で、端板の突片により端板を噛み合わせて仮組みできるようにしたので、梱包時の組立作業を容易に行うことができる。
【0011】
さらに、横筒体の柱片を縦筒体で巻き込み、ロック片をロック穴へ差し込んで、横筒体と縦筒体とを、角度が堅固に維持されるように連設したので、コーナー部分用のバンパー等の収納物を確実に保護できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
この梱包箱は、自動車のコーナー部分用バンパーを収納するものであり、図1に示すような段ボール製ブランクから組み立てられる。このブランクは、横筒体1を形成する部分と、縦筒体2を形成する部分とを連設したものとされている。
【0014】
横筒体1を形成する部分では、底板11の両側に側板12が連設され、一方の側板12の外側に天板13が、他方の側板12の外側に継代片14がそれぞれ連設されている。側板12の縦筒体2側の端部には、底板11の反対側に傾斜した柱片12aが設けられ、継代片14と柱片12aの境界の切目に臨んで、折曲部12bが設けられている。
【0015】
底板11には、その両側縁から同一の間隔をあけて、2本の山折線11aが両端に亘って平行に入れられ、天板13には、その両側縁から同一の間隔をあけて、2本の谷折線13aが両端に亘って平行に入れられている。山折線11aは通常の押罫とされ、谷折線13aは、断続する切目を入れたリード罫とされている。
【0016】
底板11の2本の山折線11aの外側では、縦筒体2に臨む端縁が傾斜し、側板12の底板11との稜部には、縦筒体2側にスリット状のロック穴12cが設けられている。
【0017】
天板13の縦筒体2に臨む端縁において、谷折線13aに挟まれた部分には、折曲片13bが連設され、その基端は、断続する切目を入れたリード罫とされている。折曲片13bの基部及びその外側の端縁には、係合切込13cが設けられている。
【0018】
また、横筒体1に付属して、縦筒体2の反対側には、底板11の山折線11aに挟まれた部分に端板15が、側板12の端縁に端板16が、天板13の谷折線13aに挟まれた部分に端板17がそれぞれ連設されている。
【0019】
端板15の基端両側部及び端板16の両側には傾斜縁がそれぞれ形成され、端板16の先端部には、端板15から離れる方向へ延びる突片16aが設けられている。
【0020】
一方、縦筒体2を形成する部分では、底板11の山折線11aに挟まれた部分に外立板21が繋がり、外立板21の一側に側立板22及び内立板23が、他側に側立板22及び重合板24がそれぞれ順次連設されている。
【0021】
外立板21及び内立板23の横筒体1に臨む端縁両側部は傾斜し、側立板22の上下端縁も傾斜している。
【0022】
内立板23の上端には、蓋板25及び差込片25aが順次連設され、差込片25aの基端中央部には、ロック穴25bが設けられている。内立板23の下端には、係合突起23aが設けられている。
【0023】
一対の側立板22の下部には、ロック片26が設けられ、ロック片26の先端側には差込部が設けられている。外立板21の上端中央部には、ロック片26と同様のロック片27が設けられている。
【0024】
このようなブランクを組み立ててバンパーを収納する際には、図2に示すように、底板11、一対の側板12及び天板13を角筒状に折り曲げ、底板11を山折線11aに沿って下面が突き出すように折り曲げると共に、天板13を谷折線13aに沿って上面が窪むように折り曲げ、継代片14を天板13に貼り付けて横筒体1を形成する。
【0025】
次に、天板13から延びる端板17を下方へ折り曲げ、側板12から延びる端板16を内側へ折り曲げて、突片16aを端板17に噛み合わせる。この噛合により、端板16,17は、反発による開きが防止されて仮組み状態となり、横筒体1の形状が維持される。
【0026】
その後、図3に示すように、底板11から延びる端板15を上方へ折り曲げ、その先端の突出部を端板17の裏側に差し込むと、横筒体1の縦筒体2とは反対側に位置する端面が隙間なく閉止される。
【0027】
次に、横筒体1にバンパーBの片側部分を差し込み、外立板21を起こし、一対の側立板22の下部を側板12の外面に重ね、重合板24及び折曲部12bを内側へ、折曲片13bを上方へ折り曲げ、内立板23を外立板21に対向するように折り曲げて、バンパーBの他の部分を縦筒体2で包み込む。
【0028】
このとき、係合突起23aを係合切込13cに係合させ、ロック片26の差込部をロック穴12cに差し込むと、横筒体1と縦筒体2のなす角度は、縦筒体2による柱片12aの巻込及びロック片26のロック穴12cへの差込により堅固に維持される。
【0029】
そして、最後に、蓋板25を閉じて、差込片25aを縦筒体2の内側に差し込み、ロック片27の差込部をロック穴25bに差し込むと、縦筒体2の上端面が閉止され、バンパーBの梱包が完了する。
【0030】
上記のような梱包箱では、バンパーを輸送し、保管しておく際、図4に示すように積み上げると、下段側の箱の天面に上段側の箱の底面が嵌まり込むので、積上高さを抑制することができ、上下の箱のずれによる荷崩れを防止することができる。
【0031】
また、横筒体1の端面を仮組みした後、閉止することができるので、梱包時の組立作業を容易に行うことができ、このように端面を閉止すると、箱内への塵埃や水滴の侵入を阻止できるので、バンパーの塗装面の汚れを防止することができる。
【0032】
また、横筒体1と縦筒体2の角度を所定の角度に維持することができるので、コーナー部分用バンパーを確実に保護することができ、この角度は、柱片12aの傾斜等を変更することにより、収納するバンパーの形状に応じて、適宜設定することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、横筒体1と縦筒体2とが連設された梱包箱を例示したが、自動車の前面又は後面の中央部分用バンパーを収納する場合等においては、横筒体1だけの梱包箱を使用することとしてもよい。この場合、横筒体1の両端面に端板15,16,17を設けるとよい。
【0034】
また、横筒体1の端面を、端板15,16,17の噛み合わせにより閉止するものを例示したが、タックエンドカートンのように、底板11又は天板13から延びる端板15,17のいずれかで端面全体を覆い、その端縁に連設した差込片を箱内に挿入して、横筒体1の端面を閉止すると共に、横筒体1を保形するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施形態に係る梱包箱のブランクを示す図
【図2】同上の組立過程を示す斜視図
【図3】同上の組立状態を示す斜視図
【図4】同上の積上状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0036】
1 横筒体
2 縦筒体
11 底板
11a 山折線
12 側板
12a 柱片
12b 折曲部
12c ロック穴
13 天板
13a 谷折線
13b 折曲片
13c 係合切込
14 継代片
15,16,17 端板
16a 突片
21 外立板
22 側立板
23 内立板
23a 係合突起
24 重合板
25 蓋板
25a 差込片
25b ロック穴
26,27 ロック片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(11)、側板(12)及び天板(13)を連設して横筒体(1)を形成し、底板(11)に山折線(11a)を、天板(13)に谷折線(13a)をそれぞれ両端に亘って複数本平行に入れ、底板(11)を山折線(11a)に沿って下面が突き出すように折り曲げると共に、天板(13)を谷折線(13a)に沿って上面が窪むように折り曲げ、積上状態で、下段側の箱の天面に上段側の箱の底面が嵌まり込むようにした梱包箱。
【請求項2】
前記底板(11)、側板(12)及び天板(13)からそれぞれ端板(15,16,17)を延出し、これらを噛み合わせて横筒体(1)の端面を閉止すると共に、横筒体(1)の形状を維持することを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記側板(12)から延びる端板(16)に突片(16a)を設け、この端板(16)と天板(13)から延びる端板(17)とを突片(16a)により噛み合わせた状態で、底板(11)から延びる端板(15)を噛み合わせることを特徴とする請求項2に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記底板(11)の一端に連設した外立板(21)を起立させ、外立板(21)の両側に連設した側立板(22)の下部を側板(12)の外面に重ね、側立板(22)に連設した内立板(23)を外立板(21)に対向させて縦筒体(2)を形成し、側板(12)の柱片(12a)を縦筒体(2)で巻き込み、側立板(22)の下部に設けたロック片(26)を側板(12)の下部のロック穴(12c)に差し込んだことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−137598(P2009−137598A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313439(P2007−313439)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】