説明

梱包装置

【課題】シートパッキン材をシワやよじれ無く安全に搬送する梱包装置を提供する。
【解決手段】搬送対象のシートパッキン材(製品)500を所定の高さに形成した製品台210上の緩衝材212の上に積層載置し、最上部のシートパッキン材の上に製品押え部材230を載置し、さらにその上にベルト下地部材240を載置する。ラッシングベルト300の両端部を第1のベルト係止部及び第2のベルト係止部252に係合させ、ラッシングベルト300をベルト下地部材240の上面を通過させ、ベルト下地部材240の上面でラチェットによりこれらのベルトを締め付ける。ラッシングベルト300の緊締状態は、長手側板120の覗き窓125から確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートパッキン材等の薄板状の製品を収容し、適切に安全に搬送等することのできる梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートパッキン材等の薄板状(シート状)の製品を搬送等する場合、従来は、数十枚のシートパッキン材を束ねてラップし、段ボールケース内に収納し梱包し搬送等していた。特許文献1には、シート状物の包装形態として、シート状物を積層して結束し、シート束単位で梱包する形態が開示されている。
【特許文献1】特開2007−91339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来そのような梱包方法では、搬送途中の振動等により、薄板状の製品がズレて、シワ等の不良を生じる場合があり、製品を安全に輸送、搬送することができない場合があるという問題がある。
特に、ある種のシートパッキン材は、1梱包あたりの価格が約1000万円程度もする高価な薄板状製品であり、このような製品の搬送の際には、より一層安全に適切に製品を収容し輸送等をすることが要望されている。
【0004】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、シートパッキン材等の薄板状の製品を、滑り、ずれ、よじれ等が生じることなく、またその結果シワが発生して製品不良となることがなく、品質を維持した状態で適切かつ安全に搬送等することが可能な梱包装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の梱包装置は、パレットと、前記パレット上面から所定高さ上方に形成されて収容対象の製品がその上方に積載される製品台と、前記製品台の上方に積載される前記製品の位置を規定する製品位置決め部材と、前記製品台の上方に積載された製品の上面を覆う製品押え部材と、上面に緊締ベルトが配される部材であって、両端部が前記製品押え部材の対向する辺縁より各々外側に出るように前記製品押え部材上に載置されるベルト下地と、前記パレットの上面の、前記製品押え部材上に載置される前記ベルト下地の前記両端部に略対応する位置に各々設けられた係止部と、一端が前記係止部の一方に係止されたスプリングと、一端が前記係止部の他方に係止され、他端が前記スプリングの他端に係止され、中間部が前記ベルト下地の上面に配され、前記ベルト下地及び前記製品押え部材を介して前記製品台との間で前記製品を緊締する緊締ベルトとを有する。
【0006】
好適には、前記スプリングは、所望される前記緊締力に応じて交換可能である。
【0007】
また好適には、本発明の梱包装置は、前記パレットの辺縁に沿って当該パレットの上部空間を囲むように設けられた側板と、前記側板により囲まれた前記パレットの上部空間の上部開口を閉塞する上蓋と、前記緊締ベルトの前記他端を含む前記スプリングの前記他端近傍に設置され、前記スプリングの伸縮に応じて移動する前記スプリングの前記他端の位置を実質的に指示する指示部材と、前記スプリングの伸縮に応じた前記指示部材の移動範囲に沿って、当該指示部材の位置に応じた前記スプリングの伸縮状態を示す目盛が形成された目盛部材と、前記指示部材及び前記目盛部材を外部から視認可能に前記側板に形成された透明の覗き窓とをさらに有する。
【0008】
また好適には、本発明の梱包装置は、長方形で薄板状の製品を梱包する前記梱包装置であって、前記製品台は前記製品形状と略同じ長方形であって、前記製品位置決め部材は、前記製品台の長手方向の辺縁に沿って立設され前記製品の短手方向の位置を規定する複数の位置決め支柱と、前記製品台の短手方向に沿った前記側板の内側に設置され前記製品の長手方向の両端部の位置を規定する端部押え材とを有し、前記製品台の上面にはさらに緩衝材が設置されているものである。
【0009】
また好適には、前記緊締ベルトは、前記ベルト下地の上面に配される中間部に当該緊締ベルトを締め付ける締付部を有し、当該締付部により前記ベルト下地及び前記製品押え部材を介して前記製品台との間で前記製品を緊締する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートパッキン材等の薄板状の製品を、滑り、ずれ、よじれ等が生じることなく、またその結果シワが発生して製品不良となることがなく、品質を維持した状態で適切かつ安全に搬送等することが可能な梱包装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態のシートパッキン材搬送装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したシートパッキン搬送装置の主に内部構成を示す図であり、図2(A)は上面図であり、図2(B)は正面図であり、図2(C)は側面図である。
【図3】図3は、図1に示したシートパッキン搬送装置の主に外部構成を示す図であり、図3(A)は上面図であり、図3(B)は正面図であり、図3(C)は側面図である。
【図4】図4は、図1に示したシートパッキン搬送装置の第2のベルト係止部の構成を示す図であり、図4(A)は上面図であり、図4(B)は側面図であり、図4(C)は背面図である。
【図5】図5は、図4に示した第2のベルト係止部の使用形態を示す図である。
【図6】図6は、図1に示したシートパッキン搬送装置のダム掛け金及び平蝶番を説明する図であり、図6(A)は平蝶番が開放されている状態を示す図であり、図6(B)は平蝶番ダム掛け金に係合されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
本実施形態においては、シートパッキン材(製品)を収容し搬送等するためのシートパッキン材搬送装置を例示して本発明を説明する。
本実施形態のシートパッキン材搬送装置は、長手方向長さ1500〜1520mm、短手方向長さ300〜310mmの薄板状のシートパッキン材を積層し、80〜100mmの厚みを単位として収容し搬送等する梱包装置である。
【0013】
図1は、そのシートパッキン材搬送装置1の構成を説明するための模式的な分解斜視図であり、図2は、そのシートパッキン材搬送装置1の主に内部構成を示す図であり、図3は、そのシートパッキン材搬送装置1の主に外部構成を示す図である。
まず、図1〜図3を参照してシートパッキン搬送装置1の構成について説明する。
図1に示すように、シートパッキン材搬送装置1は、パレット110、側板120,130、上蓋140、製品台210、製品位置決め部220、製品押え部材230、ベルト下地部材240、ベルト掛け250及びラッシングベルト300を有する。
【0014】
パレット110は、シートパッキン材搬送装置1の基台であって、金属製角管を溶接して構成した土台部分の上部全面に床板が設置されて構成されているスキット式のパレットである。パレット110の平面形状は矩形で、また所定の高さを有し、土台部分の側面は、フォークリフトの爪部が差し込み可能なリフト用開口111に形成されている。本実施形態のパレット110においては、角管及び床板ともにスチール製である。
【0015】
側板120,130は、パレット110の上面の辺縁に沿って立設され、シートパッキン材搬送装置1の収容空間の側面を形成する板部材である。
側板は、各々2枚の長手側板120及び短手側板130からなる。一対の長手側板120は、平面形状が長方形のパレット110の長手方向の辺縁に沿って対向するように設置される。また、一対の短手側板130は、パレット110の短手方向の辺縁に沿って対向するように、また、対向設置される長手側板120の対向する両側縁を各々連結するように設置される。
【0016】
図示のごとく、長手側板120及び短手側板130は、各々、面部と、面部の周囲に形成された枠部とを有する構成であり、長手側板120においては、さらにその長手方向に沿って、柱状の補強部が配設された構成である。本実施形態の長手側板120及び短手側板130においては、面部、枠部及び補強部はいずれもスチール製である。これら長手側板120及び短手側板130は、その下縁がパレット110の辺縁に溶接され、また隣接する長手側板120及び短手側板130の側辺同志が順次溶接され、パレット110の上面辺縁に固定設置される。
【0017】
対向配置される2枚の長手側板120のうち、一方の長手側板120の板面の一部には、内部が視認可能なように覗き窓125が形成されている。覗き窓125からは、後述するように、内部の製品の緊締状態を示す指示棒291及び目盛板292(いずれも図5参照)が外部から視認できるようになっている。
【0018】
上蓋140は、パレット110上に立設された長手側板120及び短手側板130により形成されるシートパッキン材搬送装置1の収容空間の上部開口を閉塞する部材である。図示のごとく、上蓋140は、側板120,130と同様に、面部と、面部の周囲に形成された枠部とを有する構成であり、さらにその長手方向の両端部及び中央部に補強部が配設された構成である。本実施形態の上蓋140を構成する部材はいずれもスチール製である。
【0019】
上蓋140の上面の4隅には、各々ずれ防止凸部145が形成されている。ずれ防止凸部145は、シートパッキン材搬送装置1を段積みした際に、各々、上蓋140の上に積載されるシートパッキン材搬送装置1のパレット110の下面の角部の内側に配置される。これにより、4隅の各箇所においてずれ防止凸部145がパレット110の下面の角部に係合することとなり、上下に積載されたシートパッキン材搬送装置1の水平方向のずれが防止される。
【0020】
製品台210は、製品を載置、積載するための台である。製品台210は、スチール製の箱状部材であり、シートパッキン材搬送装置1の収容空間内であって、パレット110の床板上に固定設置される。これにより、箱状部材の上面である製品載置面はパレット110の床板から所定の高さに形成されることとなる。なお、製品台210は、製品が載置される上面が平板状に形成されていればよく、底面あるいは側面は、開口が形成されている形態、あるいは、柱状部材により形成されている形態等であってもよい。
【0021】
製品台210の平面形状は、収容対象の製品の平面形状と略同一である。本実施形態のシートパッキン材搬送装置1は、前述したように、長手方向長さが1500〜1520mm、短手方向長さが300〜310mmの長方形形状のシートパッキン材(製品)500を収容対象とする。これに対して製品台210は、平面形状が、長手方向長さが1524mm、短手方向長さが314mmの長方形形状に形成されている。
【0022】
製品台210の上面(製品積載面)には、緩衝材212が装着されている。本実施形態において緩衝材212は、ポリプロピレンを約3倍に押出発泡成形した独立気泡構造のシートであるパロニア(パロニアは、三井化学株式会社の登録商標)である。緩衝材212は、製品台210の上面と同じサイズ、すなわち、長手方向長さが1524mm、短手方向長さが314mmの長方形形状である。
【0023】
製品位置決め部220は、製品台210に載置される製品500の水平面(製品台210の上面及びパレット110の床面に平行な面)内の位置を規定する部材であり、製品位置決め支柱221及び端部押え材222を有する。
【0024】
製品位置決め支柱221は、製品台210の短手方向の両側各々において長手方向に沿って複数立設された部材であり、製品台210の上方であり緩衝材212上に載置された製品500の水平面内短手方向の位置を規定する部材である。製品位置決め支柱221は、金属製のチャンネル(断面「コ」字状の棒状(柱状)部材)を、底面が製品台210側となり、パレット110の床面及び製品台210の上面に対して垂直となるようにパレット110の床板に立設したものである。製品位置決め支柱221は、パレット110の床板に溶接により固定設置されるが、必要に応じて製品台210の側面にも溶接等により固定してもよい。
【0025】
本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、製品位置決め支柱221は、製品台210の両側(短手方向の両側)に各々2本、合計4本設置する。また、その長手方向の位置は、概ね、製品台210の長手方向を4等配した境界のうち1/4及び3/4の境界となる箇所(製品台210の両端部から各々略1/4の箇所)とする。製品台210の短手方向の両側の製品位置決め支柱221は、各々対向設置されることとなり、その間隔は、製品台210の短手方向の長さに略等しいが、後述するように製品500及び製品位置決め部220よりも若干幅広の製品押え部材230により製品最上部を押えること等のために、製品台210の幅(短手方向長さ)より若干長く確保する。前述したように、本実施形態のシートパッキン材搬送装置1において製品台210及び緩衝材212の短手方向長さは314mmであるが、製品位置決め支柱221の間隔は324mmである。
【0026】
端部押え材222は、製品台210の長手方向両端部の近傍に設置される短手側板130の内側に設置された部材であり、製品台210上に載置された製品500の長手方向両端部の位置を規定する部材である。本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、端部押え材222は、製品台210上に載置した緩衝材212と同様の緩衝材である。すなわち、製品台210の長手方向端部のすぐ外側近傍に位置する短手側板130の内側に緩衝材を設置しておくことにより、製品台210上に載置した製品500が仮に長手方向に移動したとしても、製品500は短手側板130の内側の緩衝材に当接してその移動は停止される。
【0027】
製品押え部材230は、製品台210上に載置された製品500の上部に、製品500の上面の全面を覆うように配置される硬質の平板上部材である。本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、製品台210上には、製品500としての薄板状のシートパッキン材が複数積層載置される。製品押え部材230は、その積層載置された収容対象のシートパッキン材(製品)500の最上部に載置される。
【0028】
製品押え部材230は、シートパッキン材(製品)500あるいはシートパッキン材(製品)500を載置する製品台210及び緩衝材212よりも僅かに大きく形成する。前述したように、本実施形態のシートパッキン材搬送装置1は、長手方向長さが1500〜1520mm、短手方向長さが300〜310mmの長方形形状のシートパッキン材を収容対象とし、製品台210及び緩衝材212は長手方向長さが1524mm、短手方向長さが314mmに形成されているが、製品押え部材230は、これらよりさらに若干大きく、長手方向長さを1530mm、短手方向長さを320mmに形成する。
このように製品押え部材230のサイズを製品500のサイズより若干大きくしておくことにより、積層載置した製品500の上面の全面を適切にカバーして押えることができる。換言すれば、そのように製品押え部材230を積層載置した製品500の上面に載置することが容易に行えるようになる。
【0029】
本実施形態のシートパッキン材搬送装置1において、製品押え部材230は、緩衝材212と同様のポリプロピレンを発泡成形した独立気泡構造のシートである。
【0030】
ベルト下地部材240は、製品台210上に緩衝材212を介して積層載置されさらに最上部に製品押え部材230が載置された製品500にベルトを掛ける際に、ベルトと製品押え部材230との間に介在される部材である。本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、積層載置した製品500に対して2本のベルトを掛けるため、ベルト下地部材240も2個使用する。
ベルト下地部材240は、平面形状が長方形の金属部材であり、短手方向の両側の縁部(長手方向に沿った縁部)は、押え荷重が平均的に掛かるように、所定の幅で垂直に折り曲げられており、ラッシングベルト300がズレない係止壁に形成されている。
【0031】
ベルト下地部材240は、長手方向が製品押え部材230(製品500)の短手方向となるように製品押え部材230の上面に載置される。ベルト下地部材240の長手方向長さは、製品押え部材230(製品500)の短手方向長さよりも長く形成されており、ベルト下地部材240は、その両端部が製品押え部材230の短手方向の両側に均等に突出するように配置される。本実施形態においては、製品押え部材230の短手方向長さが前述したように320mmであるのに対して、ベルト下地部材240の長手方向長さは460mmである。従って、ベルト下地部材240の両端部は、製品押え部材230の短手方向両側に各々70mm突出することとなる。
【0032】
また、ベルト下地部材240の製品台210(製品500、ベルト下地部材240)の長手方向に対する位置は、概ね、製品台210の長手方向を3等配した境界のうち1/3及び2/3の境界となる箇所(製品台210の両端部から各々略1/3の箇所)とする。すなわち、製品位置決め支柱221よりも少し中央よりの位置である。
このような位置にベルト下地部材240を載置し、この位置で製品500にラッシングベルト300を掛けることになるが、このように決められたラッシングベルト300を掛ける位置のパレット110の床板には、ラッシングベルト300を係止させるベルト掛け250が予め設置されている。従って、実際にベルト下地部材240を製品押え部材230の上に載置する際には、ベルト下地部材240の長手方向の位置は、パレット110の床板に設置されているベルト掛け250の位置に合わせることとなる。
【0033】
ベルト掛け250は、パレット110の床面に設置されており、ラッシングベルト300の両端部が係止される係止部である。ベルト掛け250は、製品台210に緩衝材212を介して製品500が積層載置され、さらにその上に製品押え部材230及びベルト下地部材240が載置された状態において、ベルト下地部材240の両端部に略対応する位置(その両端部からパレット110の床面に垂線をひいた位置)に設置される。すなわち、そのような状態の製品500等をベルト下地部材240の上面にラッシングベルト300を掛けてパレット110に固定するために、ベルト下地部材240の両端部の真下にラッシングベルト300を掛ける(係止する)ベルト掛け250を設けるものである。
【0034】
前述したように、シートパッキン材搬送装置1においては製品500等は2本のラッシングベルト300により固定されるので、その両端部を各々係止するために4箇所にベルト掛け250が設置される。また、ベルト掛け250の設置位置は、前述したようにベルト下地部材240の両端部の真下の位置であるが、そもそもラッシングベルト300を掛ける位置のパレット110の床板上にベルト掛け250が設置されるので、実際の使用時には、ベルト掛け250の位置に合わせてベルト下地部材240を載置することとなる。
【0035】
ベルト掛け250は、ラッシングベルト300の一方の端部が係止される第1のベルト係止部251と、ラッシングベルト300の他方の端部が係止される第2のベルト係止部252を有する。前述したように、長手側板120には覗き窓125が形成されているものとされていないものとがあるが、覗き窓125が形成されていない長手側板120側のパレット110の床板には第1のベルト係止部251が設置され、覗き窓125が形成されている長手側板120側のパレット110の床板には第2のベルト係止部252が設置される。
【0036】
第1のベルト係止部251は、図2(C)に示すように、単にラッシングベルト300の一方の端部のフック301が係止されるD管がパレット110の床板に固定設置されているものである。
【0037】
第2のベルト係止部252は、ラッシングベルト300の他方の端部がスプリングを介してパレット110の床板に接続される構造となっているものである。
第2のベルト係止部252について、図4及び図5を参照して詳細に説明する。
第2のベルト係止部252は、円管260、係止ピン270、割ピン272、スプリング280、指示棒291及び目盛板292を有する。
【0038】
円管260は、第2のベルト係止部252のケースに相当する部材であって、管軸方向が鉛直方向(パレット110の床板に対して垂直な方向)となるようにパレット110の床板上に垂直に設置される。
円管260の軸方向中間よりやや下方には、径方向に円管260を貫通する開口261が形成されている。開口261には、一方の側(外側)から係止ピン270が挿入される。係止ピン270は、円管260の内部においてスプリング280の一方の端部の係合環281の内部を通過し、すなわち、スプリング280の係合環281を係止し、他方の側(外部)に突出する。そして、他方の側において、係止ピン270の先端の孔271に割ピン272が挿入され、割ピン272の先端が割られて抜け防止状態とされる。これにより、スプリング280の一方の端部が円管260の下方において係合保持された状態となる。
【0039】
このような状態において、またスプリング280に何ら負荷が掛かっていない状態(スプリング280が縮んだ状態)において、スプリング280の他方の端部は、図4(B)及び図4(C)に示すように、係合環282が円管260の上端部よりちょうど突出した状態が適当である。換言すれば、このような状態となるようにスプリング280あるいは円管260の長さを調整、選択するものである。
【0040】
そして、図5に示すように、このような第2のベルト係止部252のスプリング280の他方の端部の係合環282に、ラッシングベルト300の他方の端部のフック302が係合される。
ラッシングベルト300の他方の端部のフック302には、図5に示すように、指示棒291が装着されている。指示棒291は、図示のごとく、一方の端部がラッシングベルト300のフック302に接続されており、他方の端部は、例えば矢印などの指示部に形成されている。従って、指示棒291は、ラッシングベルト300のフック302とともに、換言すればスプリング280の他方の端部の係合環282とともに、さらに換言すればスプリング280の伸縮状態に応じて、上下に移動する。
【0041】
指示棒291の他方の端部の指示部が配置される円管260の外部には、指示部の移動状態が定量的に計測し理解できるように目盛板292が装着されている。
そして、このような構成の第2のベルト係止部252は、指示棒291及び目盛板292が長手側板120の覗き窓125を介して外部より視認可能なように、指示棒291及び目盛板292が設置されている面が外側に向くように、パレット110に設置される。従って、作業者はシートパッキン材搬送装置1を閉じた状態で、内部の製品500の緊締状態を容易に確認することができる。
【0042】
また、シートパッキン材搬送装置1においては、図3(A)及び図6(A)に示すように、上蓋140の長手方向中央部の両側面に、ダム掛け金146が設置されている。また、図3(B)及び図6(B)に示すように、長手側板120の長手方向中央部の上辺部には、上蓋140のダム掛け金146が貫通する開口148を有し回動可能な平蝶番147が設置されている。
【0043】
側板120,130の上部開口を閉塞するように上蓋140を装着した際には、この平蝶番147を回動させて、図6(B)に示すように開口148がダム掛け金146に係合する状態として、ダム掛け金146に例えば南京錠350を装着することにより、上蓋140は開放不能となる。
【0044】
ラッシングベルト300は(図1及び図2参照)、製品台210上に積層載置した製品500を緊締し移動不能に保持するためのベルトである。
ラッシングベルト300は、各々端部にフック301、302が接続されたベルトを第1のベルト係止部251及び第2のベルト係止部252に各々係合させ、ベルト下地部材240の上面中央部に配置されるラチェット(締め付け具)310により、これらのベルトの他方の端部を結合し緊締する。その結果、ラッシングベルト300は締め付けられていくが、ラッシングベルト300が十分に締め付けられると、その後はラッシングベルト300の締め付けに応じてスプリング280が伸長していくこととなり、製品500を緊締する力はスプリング280の伸縮力に応じた力に維持される。従って、過度に製品500を締め付けることがなく、常に適切な緊締力で製品500を締め付けることができる。
シートパッキン材搬送装置1は以上のような構成を有する。
【0045】
このような構成のシートパッキン材搬送装置1によりシートパッキン材(製品)500を搬送等する際には、まず、搬送対象のシートパッキン材(製品)500を製品台210の緩衝材212の上に順次積層載置する。シートパッキン材搬送装置1においては、80〜100mmの高さにシートパッキン材(製品)500を積層できるように構成されている。
シートパッキン材(製品)500の積層載置が終了したら、最上部のシートパッキン材(製品)500の上に製品押え部材230を載置し、さらにその上にベルト下地部材240を載置する。
そして、ラッシングベルト300の両端部を第1のベルト係止部251及び第2のベルト係止部252に係合させ、ラッシングベルト300をベルト下地部材240の上面を通過させ、ベルト下地部材240の上面でラチェット310によりこれらのベルトを締め付ける。
ラッシングベルト300を掛けたら、上蓋140で上部を被覆し、平蝶番147をダム掛け金146に係合させて南京錠350等で施錠をすれば製品500の収容が完了する。
【0046】
このような本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、積層載置したシートパッキン材(製品)500の最上部の全面を製品押え部材230により覆い、製品押え部材230の上から、製品押え部材230も一体的に、2本のラッシングベルト300によりこれらシートパッキン材(製品)500を緊締している。また、ラッシングベルト300と製品押え部材230との間には、製品押え部材230の幅より長いベルト下地部材240を介在させ、このベルト下地部材240を介してラッシングベルト300を緊締している。
従って、シートパッキン材等の製品500が搬送途中の振動等により移動することがなく、ずれやよじれ等が生じることもなく、これらに起因するシワ等の製品不良が生じることもなく、これらの製品を適切に安全に搬送等することができる。
【0047】
さらにまた、第2のベルト係止部252にはスプリング280を配設し、ラッシングベルト300のラチェット310による締め付け力とスプリング280の張力とにより製品500を緊締している。従って、製品500を一定の十分な力で緊締しつつ、過度の力が掛かることは防ぐことができる。その結果、より一層シートパッキン材等の製品500の搬送途中の移動等を防止することができ、ずれ、よじれ、シワ等を防ぎ、これらの製品を適切に安全に搬送等することができる。
【0048】
また、ベルト下地部材240は、製品押え部材230の両端部より十分に突出する長さを有するように構成されており、製品500をラッシングベルト300で緊締する際には、このベルト下地部材240にラッシングベルト300を掛けて緊締する。従って、製品押え部材230の短手方向においてムラなく均一に緊締力が作用することとなり、ラッシングベルト300が角部等に屈曲して掛けられて緊締力が集中して作用する状態を防ぐことができる。その結果、製品500にシワが生じる可能性を一層低くすることができる。
【0049】
また、上蓋140の閉塞状態を維持するためには平蝶番147及びダム掛け金146が設置されており、南京錠350等により施錠可能に構成されているので、高価な製品も安全に収容し搬送等をすることができる。
【0050】
また、製品500の緊締状態は、スプリング280の伸縮状態として指示棒291及び目盛板292により表示され、この表示は長手側板120の覗き窓125を介して外部から目視で確認可能に構成されている。従って、製品500の緊締状態を容易に確認することができ、不具合等があれば直ちに修正(締め付け直し等)をすることができる。
【0051】
また、本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、製品500を、パレット110の床板から所定の高さ高く形成した製品台210の上方に緩衝材212を介して積載収容しているので、製品500の取り出し、収容を容易に行うことができる。すなわち、側板120、130が着脱自在な構成でなくとも、シートパッキン材搬送装置1の上部開口のみからでも容易に製品500を取り出し、また、収容することができる。
【0052】
また、スプリング280は、前述したように係止ピン270及び割ピン272により円管260に装着されており、これら割ピン272の係合状態を解除すれば、スプリング280は容易に取り外し可能であり、換言すれば、スプリング280を容易に交換することができる。従って、スプリング280をバネ定数の異なるスプリングに交換することにより、製品500の緊締状態を変更することができる。すなわち、所望の緊締圧力が異なる場合には、スプリング280を交換することにより対応することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0054】
例えば、本実施形態においては、シートパッキン材(製品)500を収容し搬送等するシートパッキン材搬送装置1を例示したが、収容対象物(製品)はこれに限られるものでなく、任意の製品でよい。
【0055】
また、本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、製品500の緊締状態を確認するための指示棒291は、ラッシングベルト300の端部のフック302に装着されていた。しかしながら、ラッシングベルト300のフック302が係合されるスプリング280の端部(係合環282等)に指示棒291を装着するようにしてもよい。そのような構成とすれば、ラッシングベルト300を外すごとに指示棒291を取り外し等しなくてよいので利便性が高まる。
【0056】
また、本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、製品位置決め支柱221を製品台210の短手方向両側に各々2箇所ずつ、各々、長手方向両端部から略1/4の箇所に設置した。しかしながら、製品位置決め支柱221の設置数及び設置位置はこれに限られるものではなく、適宜好適に変更してよい。
【0057】
また、本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、ラッシングベルト300による緊締状態を確認するために、円管260の外部に目盛板292を装着するようにしていたが、円管260の外面に目盛を直接記載、刻印等し表示するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態のシートパッキン材搬送装置1においては、パレット110、長手側板120、短手側板130及び上蓋140はいずれもスチール製としたが、ステンレスやアルミニウム等の他の金属製でもよい。また、適切な強度を確保できるのであれば、樹脂製のパレット、あるいは、金属製の枠材と樹脂性の板材からなる側板等でもよく、これらは任意の材料で構成してよい。
本発明は、例えばこのような形態で実現してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…シートパッキン材搬送装置
110…パレット
111…リフト用開口
120…長手側板
125…覗き窓
130…短手側板
140…上蓋
145…ずれ防止凸部
146…ダム掛け金
147…平蝶番
148…開口
210…製品台
212…緩衝材
220…製品位置決め部
221…製品位置決め支柱
222…端部押え材
230…製品押え部材
240…ベルト下地部材
250…ベルト掛け
251…第1のベルト係止部
252…第2のベルト係止部
260…円管
261…開口
270…係止ピン
271…割ピン用孔
272…割ピン
280…スプリング
281、282…係合環
291…指示棒
292…目盛板
300…ラッシングベルト
301,302…フック
310…締め付け具(ラチェット)
350…南京錠
500…シートパッキン材(製品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、
前記パレット上面から所定高さ上方に形成されて収容対象の製品がその上方に積載される製品台と、
前記製品台の上方に積載される前記製品の位置を規定する製品位置決め部材と、
前記製品台の上方に積載された製品の上面を覆う製品押え部材と、
上面に緊締ベルトが配される部材であって、両端部が前記製品押え部材の対向する辺縁より各々外側に出るように前記製品押え部材上に載置されるベルト下地と、
前記パレットの上面の、前記製品押え部材上に載置される前記ベルト下地の前記両端部に略対応する位置に各々設けられた係止部と、
一端が前記係止部の一方に係止されたスプリングと、
一端が前記係止部の他方に係止され、他端が前記スプリングの他端に係止され、中間部が前記ベルト下地の上面に配され、前記ベルト下地及び前記製品押え部材を介して前記製品台との間で前記製品を緊締する緊締ベルトと
を有する梱包装置。
【請求項2】
前記スプリングは、所望される前記緊締力に応じて交換可能である請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
前記パレットの辺縁に沿って当該パレットの上部空間を囲むように設けられた側板と、
前記側板により囲まれた前記パレットの上部空間の上部開口を閉塞する上蓋と、
前記緊締ベルトの前記他端を含む前記スプリングの前記他端近傍に設置され、前記スプリングの伸縮に応じて移動する前記スプリングの前記他端の位置を実質的に指示する指示部材と、
前記スプリングの伸縮に応じた前記指示部材の移動範囲に沿って、当該指示部材の位置に応じた前記スプリングの伸縮状態を示す目盛が形成された目盛部材と、
前記指示部材及び前記目盛部材を外部から視認可能に前記側板に形成された透明の覗き窓と
をさらに有する請求項1又は2に記載の梱包装置。
【請求項4】
長方形で薄板状の製品を梱包する前記梱包装置であって、
前記製品台は前記製品形状と略同じ長方形であって、
前記製品位置決め部材は、前記製品台の長手方向の辺縁に沿って立設され前記製品の短手方向の位置を規定する複数の位置決め支柱と、前記製品台の短手方向に沿った前記側板の内側に設置され前記製品の長手方向の両端部の位置を規定する端部押え材とを有し、 前記製品台の上面にはさらに緩衝材が設置されている
請求項3に記載の梱包装置。
【請求項5】
前記緊締ベルトは、前記ベルト下地の上面に配される中間部に当該緊締ベルトを締め付ける締付部を有し、当該締付部により前記ベルト下地及び前記製品押え部材を介して前記製品台との間で前記製品を緊締する請求項1〜4のいずれかに記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254826(P2012−254826A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130412(P2011−130412)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】