説明

梱包部材の底板

【課題】出荷前に被梱包物(例えば、ヒートポンプユニット)の試運転を行い、再度梱包部材で被梱包物を梱包しても、被梱包物から排水される水分の影響を低減し、商品価値を失うことの無い梱包部材の底板を提供する。
【解決手段】梱包部材の底板は、トレイ状に形成された外箱3と、外箱の内側に挿入した緩衝材とを備え、緩衝材の一部に凹形状の水受け部5a・5bを形成したことにより、被梱包物1から排水された水分を緩衝材の水受け部に溜めることができ、ダンボール材で構成されている外箱へ水分を伝達させることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ給湯機や空気調和機のヒートポンプユニットのように、排水口を有する被梱包物を支持する梱包部材の底板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の梱包部材の底板は、ヒートポンプ給湯機や空気調和機などのヒートポンプユニットを緩衝材により支持していた(例えば、特許文献1参照)。図4は、従来の被梱包物を梱包する梱包部材の底板を示すものである。
【0003】
図6に示すように、従来から被梱包物a(本実施の形態ではヒートポンプ給湯機のヒートポンプユニットを例にとって示す)を載置する梱包部材の底板bがある。そして従来の梱包部材の底板bは、材料にダンボール等を使用しトレイ状に形成された外箱eの中に、被梱包物aを左右で支持する緩衝材cおよび緩衝材dが挿入されていた。そして緩衝材cおよび緩衝材dの上方部より被梱包物aを載置していた。なお、被梱包物aを梱包する梱包部材は底板bの他に、上方部を梱包する梱包部材天板(図示せず)を有し、底板bと天板とをバンドなどで固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−217307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、工場で生産されたヒートポンプユニットの中には品質をチェックするために試運転をした後、梱包部材で梱包されて市場へ出荷されるものがある。ところが、試運転を行うとヒートポンプユニット内では除霜水などの水分が発生し、ヒートポンプユニットの底部に設けられている排水口から外部へと排水されてしまう。そのため、試運転をしたヒートポンプユニットを梱包した後、工場内で製品を積み上げて管理すると、排水口から排水された水分が梱包部材の底板に染み込んでしまい、ひいては、積み上げている他の商品へも水分が伝わってしまい、美観性を損なった結果、商品価値を失ってしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、出荷前に被梱包物(例えば、ヒートポンプユニット)の試運転を行い、再度梱包部材で被梱包物を梱包しても、被梱包物から排水される水分の影響を低減し、商品価値を失うことの無い梱包部材の底板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の梱包部材の底板は、トレイ状に形成された外箱と、外箱の内側に挿入した緩衝材とを備え、緩衝材の一部に凹形状の水受け部を形成したことにより、被梱包物(例えば、ヒートポンプユニット)から排水された水分を緩衝材の水受け部に溜めることができ、ダンボール材で構成されている外箱へ水分を伝達させることがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、出荷前に被梱包物(例えば、ヒートポンプユニット)の試運転を行い、再度梱包部材で被梱包物を梱包しても、被梱包物から排水される水分の影響を低減し、商品価
値を失うことの無い梱包部材の底板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における被梱包物および底板の展開斜視図
【図2】同実施の形態1における緩衝材の平面図
【図3】同実施の形態1におけるX部拡大図
【図4】同実施の形態1におけるX部拡大図
【図5】同実施の形態1におけるYY断面図
【図6】従来の被梱包物および底板の展開斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明の梱包部材の底板は、トレイ状に形成された外箱と、外箱の内側に挿入した緩衝材とを備え、緩衝材の一部に凹形状の水受け部を形成したことにより、被梱包物(例えば、ヒートポンプユニット)から排水された水分を緩衝材の水受け部に溜めることができ、ダンボール材で構成されている外箱へ水分を伝達させることがない。
【0011】
第2の発明の梱包部材の底板は、特に第1の発明において、梱包部材の底板の上に被梱包物を載置した際に、水受け部の端部は、被梱包物の端部よりも外方にはみ出して構成することにより、被梱包物の端部よりも水受け部の端部の方が外方へ突出しているので、そこから水受け部に溜まっている水分を蒸発しやすくさせることができる。
【0012】
第3の発明の梱包部材の底板は、特に第1または第2の発明において、水受け部は、第1の水受け部と第2の水受け部とを連続して構成され、第1の水受け部は被梱包物の排水口の下方部に設けるとともに、第2の水受け部の端部は、被梱包物の端部よりも外方にはみ出して構成することにより、被梱包物の構造に合わせて第1の水受け部と第2の水受け部を設ける場所を適宜変更することができ、被梱包物の構造に応じて容易に緩衝材の形状を変更することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における被梱包物と、梱包部材の底板との関係を示した斜視図である。図1に示すように被梱包物1(本実施の形態では、ヒートポンプ給湯機のヒートポンプユニットを例にとる)を、梱包部材の底板2の上に載置して、被梱包部材の天板(図示せず)を被梱包物1の上方部から被せ、底板2と天板(図示せず)とをバンドなどで固定することで、被梱包物1を梱包している。
【0015】
次に、梱包部材の底板2の構成について説明する。底板2は、四辺を折り曲げ立ち上がり形状としたトレイ状に形成された外箱3と、外箱3の内側に挿入した緩衝材4とで構成されている。つまり、梱包時には緩衝材4で被梱包物1を支持することになる。また、外箱3にはダンボール材を用いており、緩衝材4には発泡材を用いている。また、緩衝材4は複数の緩衝材に分割されており、本実施の形態では、緩衝材4a〜4dの4つの部材に分割されている。なお、緩衝材4の分割数は、本実施の形態に限定されることは無く、被梱包物の形状や大きさに応じて適宜変更しても問題ない。
【0016】
そして、緩衝材4において、被梱包物1の排水口に対向する緩衝材に水受け部を設けており、本実施の形態では緩衝材4bが排水口に対向する緩衝材に当たるため、次に、緩衝材4bの構成について説明する。なお、本実施の形態では、被梱包物1の排水口に対向する緩衝材が緩衝材4bとして説明するが、これに限定されることはない。
【0017】
図2は、緩衝材4bの平面図であり、図3は、図2のX部拡大図である。図2および図3を用いて緩衝材4bの構成について説明する。緩衝材4bの一部には、被梱包物1の排水口6に対向する位置に水を溜めることができるように凹形状の第1の水受け部5aが設けられている。図3には、被梱包物1の排水口6を点線で示し、第1の水受け部5aとの位置関係を示している。このように構成することによって、被梱包物1であるヒートポンプユニットを試運転した後に、梱包部材で梱包しても、排水口6を通って排水される水分は第1の水受け部5aに溜められることになるので、外箱3への水分の浸入を防ぎ、外箱3の外観性を損ねてしまうことを防ぐことができる。
【0018】
また、図2、図3に示すように、第1の水受け部5aと連通するように第2の水受け部5bを設けている。第1の水受け部5aと第2の水受け部5bとは連通路7で連結しており、連通路7を通って第1の水受け部5aに溜まっている水分が、第2の水受け部5bへと移動することが可能に構成されている。図3には、被梱包物1を底板2に載置した時の被梱包物の外郭部La(最外方部)を点線にて示している。図3に示すように、第2の水受け部5bの端部(最外方部)が、外郭部Laよりも外方にはみ出していることが分かる。つまり、第2の水受け部5bの一部は、被梱包物1を載置しても上方が開けたままの状態(開口状態)となる。
【0019】
図4を用いて説明する。図4は、底板2に被梱包物1を載置した時の上方から見た要部平面図である。図4において、第2の水受け部5bの端部(最外方部)Lbは、被梱包物1の外郭部Laよりも外方にはみ出しており、第2の水受け部5bの一部が開口状態となっている。その結果、第1の水受け部5aに溜まった水が蒸発しやすくなっており、残留した水分により被梱包物1の錆び発生を抑制したり、輸送中の水漏れを抑制することができる。
【0020】
また、本実施の形態では水受け部を、第1の水受け部5aと第2の水受け部5bとを連通路7で連結して構成している。これは連通路7を特定箇所に配置しておくことで、被梱包物1の種類・機種に応じて第1の水受け部5aおよび第2の水受け部5bを変更して設けることができるため、あらゆる機種に対応することができる。無論、第1の水受け部5aと第2の水受け部5bとが一体的に構成されていても問題はない。
【0021】
図5は、YY断面図である。図5に示すように、第1の水受け部5aと第2の水受け部5bとが連通路7で連通していることが分かる。そして、矢印で示す流路のように第1の水受け部5aが大気に開放されているので、第1の水受け部5aが被梱包物1を載置することで密閉状態となるよりも、水分が蒸発しやすい構成となっている。
【0022】
以上のように、本実の形態の梱包部材の底板2は、被梱包物1を製造時に運転検査などを行ったときに発生する除霜水等の水分が、被梱包物1内に残留しても、梱包時に底板2を構成する外箱3へ漏洩することを防ぐことで、美観性を保ち商品価値を損なうことは無く、さらに、倉庫保管中に積み上げて保管していても外箱3への水分の漏洩を防いでいるので、他の梱包物にまで影響を及ぼすことを低減することができる。
【0023】
また、被梱包物1を底板2に載置後において、被梱包物1から水が排水されても、水受け部は大気に開放しているため、蒸発しやすくなり、残留した水により被梱包物1に錆びなどが発生することを防いだり、輸送中に外部へ漏れたりすることを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る梱包部材の底板は、ヒートポンプ給湯機のヒートポンプユニットの他に、空気調和機等の室外ユニット等においても適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 被梱包物
2 梱包部材の底板
3 外箱
4 緩衝材
5a 第1の水受け部
5b 第2の水受け部
6 排水口
7 連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ状に形成された外箱と、前記外箱の内側に挿入した緩衝材とを備え、前記緩衝材の一部に凹形状の水受け部を形成したことを特徴とする梱包部材の底板。
【請求項2】
前記梱包部材の底板の上に被梱包物を載置した際に、前記水受け部の端部は、前記被梱包物の端部よりも外方にはみ出して構成することを特徴とする請求項1に記載の梱包部材の底板。
【請求項3】
前記水受け部は、第1の水受け部と第2の水受け部とを連続して構成され、前記第1の水受け部は前記被梱包物の排水口の下方部に設けるとともに、前記第2の水受け部の端部は、前記被梱包物の端部よりも外方にはみ出して構成することを特徴とする請求項1または2に記載の梱包部材の底板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−105328(P2011−105328A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260590(P2009−260590)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】