説明

棒状照明具の搬送処理装置

【課題】 使用済みの照明管(廃蛍光灯)や製造現場で発生する不良品の照明管(不良照明管)等の棒状照明具が搬送工程に含まれていたとしても、これを自動的に取り除くことができるとともに、所定方向に揃えて切断等の処理が可能な棒状照明具の搬送処理装置を提案する。
【解決手段】 棒状照明具1が一本ずつ収納される収納凹部11が設けられるとともに、該収納凹部11を斜め上方に向けて搬送するように搬送路が設けられた収納搬送コンベヤC1を備え、この搬送コンベヤC1の斜めの搬送路途中には、前記収納凹部11に収納されることなく搬送される棒状照明具1を落下させる落下手段15、又は、棒状照明具からはみ出た不要な内部配線をカッティングする切断するカッティング手段15が前記収納凹部11の上面よりも突出して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの照明管(廃蛍光灯)や製造現場で発生する不良の棒状照明具(不良照明管)等の棒状照明具を切断等の処理を行うために所定箇所まで搬送する棒状照明具の搬送処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みの廃棄処理する照明管(棒状照明具)は、内部の水銀等の回収が問題となることや、口金や内部配線とガラスとを分別処理する必要があることから、不良照明管を所定の長さに切断したり洗浄したり粉砕したりする装置が開発されている。このような不良照明管の処理装置において、切断処理や洗浄処理や粉砕処理などを一本ずつ行う場合、その処理位置まで不良照明管を一本ずつ搬送する搬送コンベヤが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一対のスプロケットに巻き掛けられたチェーン20の外周側に、間欠送りピッチでフック部材22が取り付けられ、隣り合うフック部材22,22の間に照明管1が収納されて搬送され、口金除去処理、内部洗浄処理、破砕処理の各処理位置に照明管を一本ずつ送り出して各処理を行う棒状照明具の搬送処理装置が開示されている(特許文献1の図2参照)。また、特許文献2には、ピン29付きチェーンコンベヤ25の隣り合うピン29,29の間に蛍光灯が収納されて搬送され、切り込み手段30、破砕機51のある各処理位置に照明管を一本ずつ送り出して各処理を行う棒状照明具の搬送処理装置が開示されている(特許文献2の図1参照)。また、特許文献3には、二本のチェーンコンベヤ13,13が並行して配され、各チェーンコンベヤ13の上面に形成されたプレート13cの収納凹部13bに照明管を配置して搬送し、回転刃23のある処理位置に照明管を一本ずつ送り出して切断処理する処理装置が開示されている(特許文献3の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−156330号公報
【特許文献2】特開2001−187378号公報
【特許文献3】特開2010−36146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蛍光灯を製造する現場では、製造過程で不良となってしまい内部配線がはみ出た蛍光灯(通称、内部配線の飛び出た蛍光管や、ヒゲのある蛍光灯や、口金部分がない未完成の照明灯とも呼ばれる不良照明管)の処理が問題となっている。
一方、市販の棒状照明具(蛍光灯等)においても、蛍光灯の両端部分を破損させたとき等には、内部配線がはみ出てしまい上記ヒゲのある状態になることがある。このような棒状照明具は、ガラス等が破損しているので、手で触ることは危険であるが、その長さを揃えないと、口金が付いている部分を正確な位置で除去できず、他方、処理装置側でも、蛍光灯の長さに対応させて、切断手段の数や配置を考慮して配置しなければならないといった問題を有する。また、破損した棒状照明具は、内部配線がはみ出ているものが多くあり、蛍光管のはみ出た内部配線と他の蛍光管のはみ出た内部配線とが絡み合ってしまい、一本ずつ搬送することを妨げることがある。しかし、これら廃蛍光管のガラス等が破損しているために、手作業でこれを除去することは危険である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、使用済みの照明管(廃蛍光灯)や製造現場で発生する不良品の照明管(不良照明管)等の棒状照明具が搬送工程に含まれていたとしても、これを自動的に取り除くことができるとともに、所定方向に揃えて切断等の処理が可能な棒状照明具の搬送処理装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の棒状照明具の搬送処理装置は、使用済みの照明管(廃蛍光管)や製造現場で発生する不良品の照明管(不良照明管)等の棒状照明具を切断等の処理を行うために所定箇所まで搬送する棒状照明具の搬送処理装置であり、前記棒状照明具が一本ずつ収納される収納凹部が設けられるとともに、該収納凹部を斜め上方に向けて搬送するように搬送路が設けられた収納搬送コンベヤを備え、この搬送コンベヤの斜めの搬送路途中には、前記収納凹部に収納されることなく搬送される棒状照明具を落下させる落下手段、又は、棒状照明具からはみ出た不要な内部配線をカッティングする切断するカッティング手段が設けられていることを特徴とする。ここで、切断等の処理としては、棒状照明具を切断する切断処理の他、棒状照明具を粉砕する粉砕処理や、棒状照明具を洗浄する洗浄処理等も含まれる。
この発明によれば、搬送コンベヤに設けられる収納凹部に棒状照明具が一本ずつ収納されて搬送される仕組みであるが、棒状照明具の内部配線により他の棒状照明具が絡まったり、内部配線が搬送コンベヤに引っかかったり、収納凹部に収納されて配列する棒状照明具の間に挟まったり、収納凹部に一部分しか収納されなかったりしても、上記落下手段やカッティング手段により、内部配線により絡まった棒状照明具を落下させたり、又、内部配線を切断することで、搬送コンベヤの搬送過程で搬送の邪魔になることを防止する。
【0008】
本発明としては、前記棒状照明具の搬送処理装置の左右両側に落下手段又はカッティング手段を取り付ける端部側フレームを有し、前記落下手段又はカッティング手段は、前記端部側フレームにその基端側が取り付けられ、その先端側が前記収納搬送コンベヤの幅方向に進退動可能な構造であることが好ましい。ここで、進退動可能な構造は、前記収納搬送コンベヤの幅方向に移動して停止した状態におく構造の他、所定時間ごとに連続的に移動する構造でも良い。
本発明によれば、前記落下手段又はカッティング手段の位置を変更可能であり、後述する調整用側板との関係で位置を変更したり、長さの異なる棒状照明具の長さに応じて位置を変更させたり、又、所定時間ごとに連続的に移動する構造であることにより、前記落下手段を機能させたり、又、前記カッティングの機能を有効ならしめることとなる。
【0009】
本発明としては、前記棒状照明具を載置するとともに前記収納搬送コンベヤに供給する供給側搬送コンベヤを備え、この供給側搬送コンベヤの搬送方向の左右のうちの片側側面には、前記棒状照明具の前後端のうちの一方側端部を当接させて位置を揃える調整用側面板が配されていることが好ましい。
この発明によれば、棒状照明具を供給側搬送コンベヤの上に供給すると、供給側搬送コンベヤにより水平方向又は下方傾斜方向に搬送され、斜め上方に搬送する搬送コンベヤの収納凹部に収まり、処理位置まで搬送される。このとき、収納凹部に収納されることなくイレギュラーに搬送される棒状照明具は収納搬送コンベヤにて落下手段により落下させられるが、この棒状照明具は供給側搬送コンベヤの上に落下するため、再度、上記収納搬送コンベヤにまで搬送される。
【0010】
本願発明としては、前記棒状照明具を載置するとともに前記収納搬送コンベヤに供給する供給側搬送コンベヤを備え、この供給側搬送コンベヤの搬送方向の左右の片側側面には、前記棒状照明具の前後端のうちの一方側端部を当接させて位置を揃える調整用側面板が配されていることが好ましい。
棒状照明具には様々な長さのものが存在するが、この発明によれば、落下手段又はカッティング手段は、搬送コンベヤの幅方向に位置調整が可能であるため、どのような長さの棒状照明具にも棒状照明具の片側を揃えて(口金部分を揃えて)搬送でき、上記落下手段又はカッティング手段との位置調整ができる。
【0011】
本発明としては、前記収納搬送コンベヤから棒状照明具を送り出す切断側搬送コンベヤを備え、この切断側搬送コンベヤに棒状照明具を切断する切断手段を備え、この切断手段は、前記調整用側面板の位置を基準として間隔をあけて複数配されていることが好ましい。
本発明によれば、長さが異なる照明管であっても、調整用側面板に端部を押し当てて、位置決めするので、棒状照明具の長手方向の一方側端部を揃えて搬送することとなる。調整用側面板により棒状照明具の端部を揃えて供給側搬送コンベヤに置くと、このように一方側端部が揃えられた棒状照明具は収納搬送コンベヤにより処理位置、すなわち切断手段の位置まで搬送される。切断手段は、棒状照明具の長さ方向に複数配されるが、調整用側面板の位置を基準として間隔をあけて複数配されるので、複数の切断手段の数を少なく配置することができる。
【0012】
本発明としては、前記切断手段には、前記切断側搬送コンベヤの幅方向に移動可能な位置調整機構が配されていることが好ましい。
この発明によれば、前記間隔調整機構により切断手段の位置を調整できるので、長さの異なる棒状照明具であっても、口金の位置に合わせて切断手段を位置させて、口金部分を切断することができ、又、長さの異なる棒状照明具であっても、揃えた状態にして複数の切断手段で等間隔等の所定間隔で切断することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納凹部に収納された棒状照明具の端部からはみ出た内部配線に引っかかっている他の棒状照明具は、落下手段又はカッティング手段により搬送路下流への移動が落下させられることにより、両棒状照明具の端部からはみ出した内部配線同士の絡まりが解かれ、他の棒状照明具は落下し、収納凹部に収納された棒状照明具のみが残されて搬送される。これにより、端部から内部配線がはみ出た棒状照明具を搬送する場合において、人手による作業を介することなく、一本ずつの収納搬送が阻害される事態を防止できる。
また、本発明によれば、長さの異なる棒状照明具を調整用側面板で揃えて搬送して切断等の処理を行なうために、棒状照明具の口金部分を切断することができ、切断手段の位置も調整可能であるので長さの異なる棒状照明具を揃えて所定間隔で切断できる切断手段の数を少なくした状態でも効率よく切断して、棒状照明具の切断等の処理を高速で処理することが可能になる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態の棒状照明具の搬送処理装置の収納搬送コンベヤを示す正面図である。
【図2】上記実施の形態の棒状照明具の搬送処理装置の断面図である。
【図3】上記実施の形態の棒状照明具の搬送処理装置の上面図である。
【図4】上記実施の形態の棒状照明具の搬送処理装置に用いられる棒状照明具の搬送処理装置の収納凹部を説明する説明図である。
【図5】(a)は上記実施の形態の落下手段を説明する説明図であり、(b)は収納搬送コンベヤによる棒状照明具の搬送状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は上記実施の形態における切断側搬送コンベヤを示す斜視図であり、(b)は切断手段の配置状態とその位置調整機構を側面の側から説明する説明図である。
【図7】(a)は上記実施の形態における廃証明間処理装置にて、内部配線が絡まりあった二つの棒状照明具を落下手段が落下させる状態を正面の側から説明する説明図であり、(b)はその状態を側面の側から説明する説明図である。
【図8】(a)は本発明の棒状照明具の搬送処理装置の落下手段の他の例を説明する説明図であり、(a)は他の例1を説明する図であり、(b)は他の例2を説明する説明図である。
【図9】棒状照明具が1本ずつ搬送されない原因を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を引用しながら本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は棒状照明具の搬送処理装置S1の収納搬送コンベヤの正面図、図2は棒状照明具の搬送処理装置S1の断面図、図3はその上面図である。搬送される棒状照明具は、製造現場で発生する不良の棒状照明具(不良照明管や未完成品)であり、ここでは使用済みで廃棄されるものとは意味合いが異なる。種類としては、各種長さの異なる蛍光灯やLED灯であり、内部から内部配線がはみ出ているものが含まれているか、又、このような内部から配線が飛び出したものだけを搬送処理するものとする。ただし、廃棄処理やリサイクル処理等のための装置にも本発明を適用可能である。
棒状照明具の搬送処理装置S1は、搬送コンベヤにて棒状照明具を処理位置まで搬送して所定長に切断する装置であり、収納搬送コンベヤC1と、収納搬送コンベヤC1の上流側に配される供給側搬送コンベヤC2と、収納搬送コンベヤC1の下流側に配される切断側搬送コンベヤC3を備える。棒状照明具1は、供給側ユニットS2の供給側搬送コンベヤ21にて搬送され、傾斜姿勢ユニットS1に引き渡されて収納搬送コンベヤ11の傾斜面を上昇方向に搬送され、更に、切断側ユニットS3に引き渡されて切断処理される。
【0017】
収納搬送コンベヤC1は、棒状照明具1が一本ずつ収納される収納凹部11が設けられている(図5(b))。詳しくは、複数本(ここでは4本)のチェーン12が幅方向a1に間隔を設けて並行に配され、各々が上流側スプロケット13aと下流側スプロケット13bに巻き掛けられ、駆動モータによって周転動作するようになっている。複数本のチェーン12には、周転するチェーン12の外周側に複数の収納部材14が互いに間隔を設けて並行に架け渡されている。図4は、収納凹部11を説明する説明図である。収納凹部11は、隣り合う収納部材14,14とチェーン12とにより載置面16に形成される断面凹形状の空間により構成されている。これにより、収納凹部11は、棒状照明具1がその長手方向が収納搬送コンベヤC1の幅方向a1に向く姿勢にて収納可能となっている。収納凹部11は、図5(b)に示すように、木製の角材を二つで挟み込むように構成しても良く、合成樹脂製やゴム製で構成するものでも良い。なお、図1〜3において、収納部材14は周転するチェーン12の外周の一部にのみ示されているが、実際には外周全域に設けられている。
【0018】
この収納搬送コンベヤC1は、棒状照明具1を斜め上方に向かって搬送するように搬送路が傾斜している。すなわち、収納搬送コンベヤC1は、収納搬送コンベヤC1の外周側に配される取付フレームF1に取り付けられ、支持フレームF2により傾斜姿勢に支持され、これにより収納凹部11を斜め上方に向けた状態の搬送路になっている。収納搬送コンベヤC1の傾斜角度αは、棒状照明具1が収納凹部11から脱落せず、且つ、後述する落下手段15により落下させられた棒状照明具2が滑落する角度が好ましく、本実施の形態では約80度であるが、これに限られるものではない。また、収納搬送コンベヤC1と供給側搬送コンベヤC1とのなす角度βは、ほぼ90度に設定されている。すなわち、収納搬送コンベヤC1は、供給側搬送コンベヤC1に向かうに従って下方傾斜しており、この下方傾斜により供給側搬送コンベヤC1に供給される棒状照明具1を強制的に収納搬送コンベヤC1に送り込むことができる角度β、つまり落下しない安定した姿勢で上方搬送可能に設定されている。
【0019】
収納搬送コンベヤC1の搬送路途中には、収納搬送コンベヤC1の搬送方向の左右両端に、落下手段15,15、又は、カッティング手段が設けられている。落下手段15は、収納凹部11に収納されることなく搬送される棒状照明具2を落下させる機能を備えるもので、前記収納凹部11の上面よりも突出して設けられている。本実施の形態では、収納凹部11に収納されることなく搬送される棒状照明具2(例えば図7(a)参照)の搬送路下流への移動を堰き止めることにより、棒状照明具2を落下させる。カッティング手段としては、上記落下手段13の表面を鋭利なものとしたり、カッターを備え、前記収納凹部112の上面よりも突出して設けられていれば、上記棒状照明具2からはみ出た内部配線をカッティングすることで、落下させる。
【0020】
図5(a)は、落下手段15を説明する説明図である。落下手段15は、断面三角形状のプレート151と、そのプレート151を取付フレームF1に取り付ける取付手段152とを備える。断面三角形状のプレート151は、三角形の一辺に相当する傾斜面151aが搬送方向に対抗する面となる姿勢にて、取付手段152の先端に取り付けられている。すなわち、プレート151は、断面二等辺三角形状であり、この二等辺三角形の底辺側である底面151bが収納搬送コンベヤC1の載置面16の側に位置する向きにて、載置面16に対して垂直姿勢とされ、且つ、その垂直方向において載置面16との間に間隙が設けられるように、取付フレームF1の収納搬送コンベヤC1の左右両端の側に対応する位置に取付手段152を介して取り付けられている。これにより、収納搬送コンベヤC1の搬送方向に対向する面が傾斜面151aとなっている。
【0021】
この落下手段15は、収納搬送コンベヤC1の幅方向a1に位置調整が可能となっている。位置調整の機構の例としては、取付手段152は、支持部材152aとスライド部材152bを備える。支持部材152aは取付フレームF1に取り付けられており、スライド部材152bは支持部材152aに対して収納搬送コンベヤC1の幅方向a1にスライド可能に取り付けられている。三角形のプレート151はスライド部材152bの先端に取り付けられており、スライド部材152bが支持部材152aに対して幅方向a1にスライドすることにより、プレート151の位置調整が可能となっている。
【0022】
供給側搬送コンベヤC2は、収納搬送コンベヤC1の上流側に配され、棒状照明具1を収納搬送コンベヤC1まで搬送して、収納搬送コンベヤC1の収納凹部15に一本ずつ収納させるようにして受け渡す。供給側搬送コンベヤC2は、その外周側に配される取付フレームF3に取り付けられ、支持フレームF4にて上流側より下流側が低くなる傾斜姿勢にて支持されている。詳しくは、複数本のチェーン22が幅方向a1に間隔を設けて並行に配され、各々が上流側スプロケット23aと下流側スプロケット23bに巻き掛けられ、駆動モータによって周転動作するようになっており、このチェーン22の上に棒状照明具1が載置される。
この供給側搬送コンベヤC2は水平姿勢でもよいが、下方に傾斜する姿勢としている。この傾斜により、大量に棒状照明具1が収納搬送コンベヤC1に供給されても、これを一本ずつの搬送姿勢に、傾斜姿勢の収納搬送コンベヤC1の収納凹部15との位置を合わせをし(90度になるようにし)、更に、落下手段15による落下した棒状照明具1であっても、滞留することなく、再度収納凹部15に収納させ易くしている。
【0023】
供給側搬送コンベヤC2の搬送方向の左右の片側側面には、棒状照明具1の長手方向の端部を当接させて位置を揃える調整用側面板24が配されている。調整用側面板24は、供給側搬送コンベヤC2の搬送方向の左右の一方の端部に沿って立設配置されるプレートであり、供給側搬送コンベヤC2の左右両側のいずれか一方の側のみに設けられ、収納搬送コンベヤC1まで及ぶように設けられている。これは、作業者が棒状照明具1を載置するときに、左右両側のうち調整用側面板24が配されていない側に立って(図3の立ち位置A参照)、調整用側面板24に棒状照明具1の先端を当接させるようにして載置することにより、棒状照明具1の位置を揃えるためである。調整用側面板24は、供給側のカバー部材として、大量に投入される棒状照明具1を隠す働きもしている。調整用側面板24が収納搬送コンベヤC1まで及ぶように設けられている理由は、落下手段15等により落下した棒状照明具1も揃えるようにするためである。なお、調整用側面板24は、供給側搬送コンベヤC2や収納搬送コンベヤC1の一方側側面端に垂直に立設するが、この垂直姿勢位置の上方側ではこれよりも幅の広くするテーパ状(傾斜部)を設けて、垂直部に落下する過程で揃えるものでも良い。
【0024】
切断側搬送コンベヤC3は、収納搬送コンベヤC1の下流側に配され、棒状照明具1を収納搬送コンベヤC1から受け取り、切断処理位置まで棒状照明具1を搬送する。切断側搬送コンベヤC3は、外周側に配される取付フレームF5に取り付けられ、支持フレームF6にて収納搬送コンベヤC1の上流側端部に近接する位置に水平姿勢にて支持されている。切断側搬送コンベヤC3の下方には、切断した棒状照明具を排出する排出管36がホッパ形状に配されている。
切断側搬送コンベヤC3は、二対のチェーン32の間に掛け渡された二つのコンベヤベルト33,33が幅方向a1に間隔を設けて並行に配され、これらの二対の各チェーン32が上流側スプロケット33aと下流側スプロケット33bに巻き掛けられ、駆動モータによって周転動作するようになっている。切断側搬送コンベヤC3は、凹部材35cが所定間隔で設けられ、収納搬送コンベヤC1から受け渡された棒状照明具1は、コンベヤベルト33,33の上に載置される。切断側搬送コンベヤC3は、棒状照明具1が上記凹部材35cに入るようにする押し下げ部材35dが吊り下げ状態で配されている。
【0025】
この切断側搬送コンベヤC3には搬送路途中に複数の切断手段35が設けられ、この切断手段35の下方には排出管36がホッパ型に配され、棒状照明具1を切断して排出管36から排出する。切断手段35は、円盤状の回転刃を有するカッター35aと、カッター35aを回転駆動させるモータ35bを備える。この切断手段35は、供給側搬送コンベヤC2に設けられている調整用側面板24の位置を基準にして所定間隔で複数配されている。棒状照明具1は、調整用側面板24により位置が揃えられることから、切断手段35を調整用側面板24の位置を基準にして所定間隔で配する。すなわち、内部配線Hが飛び出した側を棒状照明具1の先端側とすると、この先端側から所定間隔の長さで切断するために、複数の切断手段35を調整用側面板24の位置を基準にして所定間隔で配している。これにより、長さが異なる棒状照明具1であっても、切断手段35の数をできるだけ少なくすることができる。なお、先端側とは逆側の口金の部分(他端側)を切断するために、棒状照明具1の他端側を基準となるように切断手段35を配することも可能である。なお、排出管36としては、その入り口が所定長さに切断された棒状照明具1のみを排出するような開口を設けることも可能である。
【0026】
ここで、複数の切断手段35は、切断位置を調整可能とする位置調整機構35Tが設けられている。図6(b)は、位置調整機構35Tを説明する説明図である。位置調整機構35Tは、切断側搬送コンベヤC3の左右のフレームFに掛け渡された桟F7にレール部材を介して移動可能に取り付けられている。したがって、位置調整機構35Tにより各々独立して切断可能であると共に、切断側搬送コンベヤC3の幅方向に移動調整が可能となっている。
【0027】
次に、本発明の棒状照明具の搬送処理装置S1の動作説明を行う。
処理対象である棒状照明具1は、口金が装着された完成形のままの状態のものもあれば、口金のないもの、途中で切断されたり折れたりした状態のもの、内部配線が飛び出たもの等もある。内部配線が飛び出した不良の棒状照明具1としては、例えば、製造工程においてガラス管の両端に口金が取り付けられる前に、不良品としてリサイクル処理や廃棄処理されるものや、所定箇所で切断されたり破損されたりしたものであり、内部配線同士が絡まりあったり、搬送コンベヤに引っかかったりしやすいので、このような状態の棒状照明具が含まれる場合で説明する。
【0028】
まず、棒状照明具の搬送処理装置S1の初期設定として、処理対象の棒状照明具1の長さに合わせて落下手段15の位置調整を行う。落下手段15のスライド部材152bを幅方向a1にスライドさせ、三角形のプレート151が処理対象の棒状照明具1の両端部付近に位置するように調整する。また、処理対象の棒状照明具1の長さに合わせて切断手段35の位置設定を行う。位置調整機構により、回転軸35cを伸縮させて、カッター35aの位置を調整する。
【0029】
作業者は、図3の業位置(立ち位置)Aに立って、棒状照明具1を供給側搬送コンベヤC2に載置する。このとき、作業者は、立ち位置Aと反対側に配される調整用側面板24に棒状照明具1の端部を当接させるようにして載置する。これにより、簡単に棒状照明具1の位置が揃えられる。特に棒状照明具1を大量処理する場合に好適であり、作業者は、棒状照明具1を大量処理する場合にも、この調整用側面板24に棒状照明具1の先端が当たるような力加減で、滑るように投げ入れるようにして、大量の棒状照明具1を位置を揃えながらすばやく供給する。
【0030】
このようして載置された棒状照明具1は、供給側搬送コンベヤC2により収納搬送コンベヤC1まで搬送される。供給側搬送コンベヤC2の下流側(供給側搬送コンベヤC1の側)は、緩やかな下方傾斜になっているので、棒状照明具1を強制的に収納搬送コンベヤC1に送り込む。下流側スプロケット23bの外周に沿って表側から裏側へ反転するタイミングで収納搬送コンベヤC1の側に落下し、収納搬送コンベヤC1の収納凹部11に収納される(図5(b))。
【0031】
棒状照明具1が供給側搬送コンベヤC2から収納搬送コンベヤC1に受け渡される際においては、例えば棒状照明具が斜め姿勢になるなど(図9(d)参照)、受け渡しの状態によっては、収納凹部11に上手く収納されないことがある。しかし、収納搬送コンベヤC1は搬送路が前記α角度で傾斜しているので、収納凹部11に収納されなかった棒状照明具1は傾斜により落下する。これにより、収納搬送コンベヤC1では収納凹部11に収納された棒状照明具1のみが搬送される。落下した棒状照明具は、供給側搬送コンベヤC2の上に載り、再度、収納搬送コンベヤC1に搬送され、それが繰り返されるため、落下した棒状照明具が残ることなく、最終的には全ての棒状照明具が搬送される。
【0032】
収納凹部11に収納された棒状照明具1は、収納搬送コンベヤC1の上方に傾斜した搬送路に沿って上昇方向に搬送され、切断側搬送コンベヤC3まで搬送される。このとき、収納凹部11に収納されなかった棒状照明具であっても、搬送路の傾斜によっては落下せずに搬送されてしまうものがある。たとえば、棒状照明具から飛び出た内部配線同士が絡まり合った状態となっており、一方の棒状照明具は収納凹部11に収納されたが、他方の棒状照明具は収納凹部11に収納されることなく引きずられるように搬送されてしまう事態(図9(a)参照)や、内部配線が収納搬送コンベヤC1の収納部材14や、その他の部品に引っかかった状態にて収納凹部11に収納されることなく搬送されてしまう事態(図9(b)参照)や、収納凹部11に収納された隣り合う二つの棒状照明具1の間に挟まって搬送される事態(図9(c))などである。この場合は、収納凹部11に収納されなかった棒状照明具が搬送されて落下手段15に到達すると、落下手段15により落下させられる。これにより、収納凹部11に収納された棒状照明具1のみが搬送され、棒状照明具1がイレギュラーに搬送される事態が防止される。
【0033】
ここで、内部配線同士が絡まりあった棒状照明具1,2を例に挙げて、落下手段15の作用を詳しく説明する。図7(a)は、内部配線が絡まった二つの棒状照明具1,2を落下手段15が落下させる状態を正面の側から説明する説明図であり、図7(b)はその状態を側面の側から説明する説明図である。収納凹部11に収納されることなく搬送されてきた棒状照明具2は、落下手段15に到達するとプレート151により斜め上方への移動が堰き止められる。この状態にて収納搬送コンベヤC1が動作し続けるため、収納凹部11に収納された棒状照明具1は上流へ移動するが、棒状照明具2は、堰き止められると、引き離されて内部配線の絡まりが解かれ、棒状照明具2は落下する。このとき、棒状照明具2はプレート151の傾斜面151aに当接するため、傾斜面151aを滑りながら、搬送路から離れる方向に向かってから、棒状照明具2はゆっくりと引き離されて落下する。なお、内部配線が収納搬送コンベヤC1の収納部材14などに絡まって搬送される場合(図9(b)参照)や、収納凹部11に収納された隣り合う二つの棒状照明具1の間に挟まって搬送される場合(図9(c))も同様である。
【0034】
また、収納凹部11には、棒状照明具1がその長手方向が収納搬送コンベヤC1の幅方向a1に向く姿勢にて収納されるため、内部配線同士の絡まり箇所は収納搬送コンベヤC1の搬送方向の左右両端の側に位置することとなるが、落下手段15がこの左右両端の側に設けられているため、この絡まり箇所に位置することになり、確実に落下させることができる。そして、落下手段15は、収納搬送コンベヤC1の幅方向a1に位置調整が可能であり、棒状照明具1がどのような長さであってもその位置を棒状照明具1の端部に合わせることができるため、確実に落下させることができる。なお、落下手段15としては、前記カッティング手段を備え、最初は落下手段15で落下させようとするが、それでもなお落下できないものを、その落下手段15の所定箇所に設けた前記カッティング手段でカッティングさせることも可能である。
【0035】
また、落下手段15は、図7(a)に示すように、棒状照明具2が落下するときに棒状照明具2の端部が供給側搬送コンベヤC1に接地した状態である程度に上流側に設けられている。落下手段15が下流側に設けられると、棒状照明具2は端部が供給側搬送コンベヤC2に接地することなく吊り下げられた状態となり、落下したときの衝撃が大きくなるが、上流側に設けられることにより端部が接地した状態で落下するため、落下の衝撃を小さくすることができる。
【0036】
このように、棒状照明具の搬送処理装置S1によれば、収納凹部11に収納されなかった棒状照明具2は収納搬送コンベヤC1の搬送路の傾斜により落下し、更に、内部配線Hの絡まり等により引っかかった状態にて搬送されてしまう棒状照明具2は落下手段15により落下させられるため、収納凹部11に収納された棒状照明具2のみが搬送される。供給搬送コンベヤC2の前記下方傾斜により、上記落下した棒状照明具2は、収納搬送コンベヤC1の下方で滞留することなく、再度収納凹部11に収納される。
【0037】
収納凹部11に収納された棒状照明具1は、収納搬送コンベヤC1の下流側端部である上方側に到達すると、下流側スプロケット14bの外周を周って反転するため、収納凹部11から落下して切断側搬送コンベヤC3に引き渡される。このとき、受け渡される棒状照明具1が浮き上がるような状態になることがあるが、押し下げ部材35dにより棒状照明具1が凹部材35cに入れられる。
切断側搬送コンベヤC3に引き渡された棒状照明具1は、コンベヤベルト33,33の載置面に載置されて搬送され、処理位置である切断手段35まで搬送され、所定長に切断される。
ここで、棒状照明具1は、供給側搬送コンベヤC2に載置されるときに調整用側面板24により位置が揃えられており、切断手段35はこの調整用側面板24を基準にして配列されているため、棒状照明具1は揃えられた先端を基準にして所定長に切断されることとなる。例えば、図6(a)において、最も手前に位置する切断手段35eの側において、棒状照明具1の口金部分を除去する方法や、図6(a)において、最も奥に位置する切断手段35zの側において棒状照明具1の口金部分を除去する方法がある。なお、はみ出した内部配線Hがあるものでも、調整用側面板24により内部配線Hがある側を揃えることは可能である。
また、この切断手段35は、位置調整機構35Tにより予め処理対象の棒状照明具1の長さに合わせて位置調整がなされている。すなわちカッター35aの位置)を調整しておくことにより、長さの異なる棒状照明具であっても、それらの一方側を揃えて所定長に切断することができる。他方、口金付きの棒状照明具1の口金部を切り落とす場合にも、この位置調整機構35Tにより予め切断位置(すなわちカッター35aの位置を口金部の位置に調整しておくこととすると、長さの異なる棒状照明具の口金部を揃えて切断することができる。
【0038】
このように、本発明の棒状照明具の搬送処理装置S1によれば、収納凹部11に収納されることなく搬送される棒状照明具1は、落下手段又はカッティング手段35により落下させられるので、収納凹部11に収納された棒状照明具1のみが搬送される。これにより、人手による作業を介さずとも確実に切断側搬送コンベヤC3に搬送することができる。
【0039】
なお、本発明の棒状照明具の搬送処理装置S1は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば、図8(a)に示すように、収納搬送コンベヤC1を跨ぐように取付フレームF1にゲート17を設け、このゲート17を落下手段15としても良いし、図8(b)に示すように、落下手段15を取付フレームF1に取り付けることなく、別途設けられる台座153に取り付け手段154を介してプレート151を取り付け、独立して立設可能としても良い。
【0040】
また、処理位置での処理は切断処理に限るものではなく、例えば、洗浄手段が配されており、棒状照明具を一本ずつ洗浄する洗浄処理がなされても良いし、粉砕手段が設けられており、棒状照明具を一本ずつ粉砕する粉砕処理がなされても良いし、その他、様々に応用可能である。
【符号の説明】
【0041】
S1 棒状照明具の搬送処理装置、
C1 収納搬送コンベヤ、
C2 供給側搬送コンベヤ、
C3 切断側搬送コンベヤ、
1,2 棒状照明具、
11 収納凹部、
12,22,32 チェーン、
13a,23a,33a 上流側スプロケット、13b,23b,33b 下流側スプロケット、
14 収納部材、
15 落下手段(又はカッティング手段)、
16 載置面、
24 調整用側面板、
33 コンベヤベルト、
35,35a 切断手段(カッター)、35T 位置調整機構、
36 排出管、
F1,F3,F5 取付フレーム、F2,F4,F5 支持フレーム、
A 作業者の立ち位置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの棒状照明具(廃蛍光管)や製造現場で発生する不良の棒状照明具(不良照明管)等の棒状照明具を切断等の処理を行うために所定箇所まで搬送する棒状照明具の搬送処理装置であり、
前記棒状照明具が一本ずつ収納される収納凹部が設けられるとともに、該収納凹部を斜め上方に向けて搬送するように搬送路が設けられた収納搬送コンベヤを備え、この搬送コンベヤの斜めの搬送路途中には、前記収納凹部に収納されることなく搬送される棒状照明具を落下させる落下手段、又は、棒状照明具からはみ出た不要な内部配線をカッティングする切断するカッティング手段が設けられていることを特徴とする棒状照明具の搬送処理装置。
【請求項2】
前記棒状照明具の搬送処理装置の左右両側に落下手段又はカッティング手段を取り付ける端部側フレームを有し、前記落下手段又はカッティング手段は、前記端部側フレームにその基端側が取り付けられ、その先端側が前記収納搬送コンベヤの幅方向に進退動可能な構造であることを特徴とする請求項1に記載の棒状照明具の搬送処理装置。
【請求項3】
前記棒状照明具を載置するとともに前記収納搬送コンベヤに供給する供給側搬送コンベヤを備え、この供給側搬送コンベヤの搬送方向の左右の片側側面には、前記棒状照明具の前後端のうちの一方側端部を当接させて位置を揃える調整用側面板が配されていることを特徴とする請求項1に記載の棒状照明具の搬送処理装置。
【請求項4】
前記収納搬送コンベヤから棒状照明具を送り出す切断側搬送コンベヤを備え、この切断側搬送コンベヤに棒状照明具を切断する切断手段を備え、この切断手段は、前記調整用側面板の位置を基準として間隔をあけて複数配されていることを特徴とする請求項3に記載の棒状照明具処理装置。
【請求項5】
前記切断手段には、前記切断側搬送コンベヤの幅方向に移動可能な位置調整機構が配されていることを特徴とする請求項4に記載の棒状照明具の搬送処理装置。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−96922(P2012−96922A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248681(P2010−248681)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(302054442)株式会社サワヤ (22)
【Fターム(参考)】