説明

棒状物品の供給装置

【課題】棒状物品の供給速度も比較的速く、簡単かつ廉価に製造することができる棒状物品の供給装置を提供する。
【解決手段】コンベアユニット10と、このコンベアユニット10の上方側に配設された、棒状物品Mを、その長手方向がコンベアユニット10の幅方向を向くように、横に寝かせた状態で収容するストッカ20とを備えており、ストッカ20は、前後一対の門型フレーム14を介して、コンベアユニット10の支持台13に固定設置されている。ストッカ20の底面は完全に解放されており、多数の棒状物品Mを同時に排出することができる物品排出口が形成されている。ストッカ20の物品排出口とコンベアユニット10における棒状物品Mの載置面との間には、所定の隙間が形成されており、この隙間の高さ寸法Hは、横に寝かせた棒状物品Mの高さをhとしたときに、1.5h〜1.7hに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筆記用具等の棒状物品を順次供給する棒状物品の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筆記用具等の棒状物品を順次供給しようとする場合、パーツフィーダが採用されることがあり、その場合は、パーツフィーダによって、棒状物品を、その長手方向に整列させながら供給することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−045733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こういった棒状物品の供給装置として、パーツフィーダーを採用する場合は、パーツフィーダーに棒状物品を供給するために、高価なリフトコンベアが必要となり、供給装置全体としてのイニシャルコストが高くなるといった問題がある。
【0005】
また、上述したように、棒状物品をパーツフィーダーによって供給する場合は、棒状物品を、その長手方向に整列させながら供給することになるので、筆記用具のようにある程度の長さを有している棒状物品の場合、その供給速度は50BPM程度が限界であり、棒状物品を効率よく供給することができないという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、棒状物品の供給速度も比較的速く、簡単かつ廉価に製造することができる棒状物品の供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ベルトコンベアと、前記ベルトコンベアの上方側に配設された、棒状物品を、その長手方向が前記ベルトコンベアの幅方向を向くように、横に寝かせた状態で収容するストッカとを備え、前記ストッカの下面には、2本以上の棒状物品を同時に排出可能な物品排出口が形成されており、前記ベルトコンベアと前記ストッカにおける下面との間には、横に寝かせた棒状物品の高さをhとしたときに、h以上2h未満の隙間が形成されていることを特徴とする棒状物品の供給装置を提供するものである。なお、この棒状物品の供給装置には、その断面形状が、円形や楕円形以外に、四角形、五角形、六角形、八角形といった多角形等の種々の形状の棒状物品を適用することができ、断面形状が多角形の棒状物品の場合、横に寝かせた棒状物品の高さhというのは、棒状物品の外周面を構成している一つのフラット面が載置面に面接触している状態での高さを意味している。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、請求項1に係る発明の棒状物品の供給装置は、棒状物品を、その長手方向がベルトコンベアの幅方向を向くように、横に寝かせた状態で収容する、下面に物品排出口が形成されたストッカを、ベルトコンベアの上方側に配設しているので、ベルトコンベア上に落下した棒状物品が、その長手方向がベルトコンベアの搬送方向に直交する方向を向くように整列した状態で順次搬送される。従って、棒状物品を、その長手方向に整列させながら搬送するパーツフィーダーに比べて、棒状物品の供給速度が大きくなり、棒状物品を効率よく供給することができる。
【0009】
また、ストッカの下面に形成された物品排出口は、2本以上の棒状物品を同時に排出することができるので、ストッカ内に収容された棒状物品間にブリッジが生じにくく、棒状物品を円滑かつ確実にベルトコンベア上に落下させることができる。
【0010】
また、ベルトコンベアとストッカの下面との間には、横に寝かせた棒状物品の高さをhとしたときに、h以上2h未満の隙間が形成されているので、ストッカの下流側に複数の棒状物品が同時に送出されにくく、棒状物品が、常時、略所定間隔を開けた状態で順次搬送される。
【0011】
また、この棒状物品の供給装置は、ベルトコンベアとストッカとから構成されているだけなので、簡単かつ廉価に製造することができ、装置全体のイニシャルコストを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る棒状物品の供給装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は同上の棒状物品の供給装置を示す正面図、(b)は同上の棒状物品の供給装置を示す側面図である。
【図3】棒状物品を補充するために、同上の棒状物品の供給装置の正面上部板を取り外した状態を示す正面図である。
【図4】同上の棒状物品の供給装置におけるストッカとベルトコンベアとの間に設けられる隙間の高さ寸法を説明するための説明図である。
【図5】(a)〜(c)はストッカ直下の棒状物品の段積み状態を説明するための説明図である。
【図6】(a)は他の実施形態である棒状物品の供給装置を示す正面図、(b)は同上の棒状物品の供給装置を示す側面図である。
【図7】(a)は同上の棒状物品の供給装置におけるストッカを設置した状態を示す正面図、(b)は同上の側面図である。
【図8】同上の棒状物品の供給装置におけるストッカを取り外した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、筆記用具のマーカー等の棒状物品Mを順次供給する棒状物品の供給装置1を示している。この棒状物品の供給装置1は、同図に示すように、コンベアユニット10と、このコンベアユニット10の上方側に配設された、棒状物品Mを、その長手方向がコンベアユニット10の幅方向を向くように、横に寝かせた状態で収容するストッカ20とを備えており、コンベアユニット10は、ストッカ20が設置される上流側ベルトコンベア11と、この上流側ベルトコンベア11によって搬送されてくる棒状物品Mを次工程の処理装置に供給する下流側ベルトコンベア12と、上流側ベルトコンベア11及び下流側ベルトコンベア12を支持する支持台13とから構成され、ストッカ20は、前後一対の門型フレーム14を介して、支持台13に固定設置されている。
【0014】
前記ストッカ20は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、木質板からなる上面板21、一対の側面板22、22、背面板23と、一対の側面板22、22の前端下半部に固定された透明のアクリル樹脂板からなる正面下部板24及び一対の側面板22、22の前端上半部に、上下方向にスライド自在に支持された、透明のアクリル樹脂板からなる正面上部板25とから構成された直方体形状であり、下面には、長手方向が側面板22の幅方向を向くように収容された多数の棒状物品Mを同時に排出可能な物品排出口が解放されている。
【0015】
前記上部開閉板25は、その下端が正面下部板24の上端に当接した状態で、その上部が上面板21よりも上方側に張り出しており、その張出部に取手孔25aが形成されている。従って、取手孔25aに指を入れて正面上部板25の上端部を掴んで引き上げると、図3に示すように、ストッカ20の正面側の上半部が開口され、その開口部分からストッカ20内に棒状物品Mを補充することができる。
【0016】
前記ストッカ20の物品排出口と上流側ベルトコンベア11における棒状物品Mの載置面との間には、所定の隙間が形成されており、図4に示すように、この隙間の高さ寸法Hは、横に寝かせた棒状物品Mの高さをhとしたときに、1.5h〜1.7hに設定されている。隙間の高さ寸法Hの1.5h〜1.7hは、隙間の高さ寸法Hを変えて実際に運転を行うことによって導き出されたものである。上流側ベルトコンベア11上に載置されている最下段の隣接する棒状物品Mが相互に接触した状態では、図5(a)に示すように、相互に接触している棒状物品M、Mの間の窪み部分にその上の棒状物品Mが載置されることになり、その場合、下から2段目の棒状物品Mの高さは1.87hになるが、実際には、上流側ベルトコンベア11上に載置されている最下段の隣接する棒状物品Mが相互に離間する状態もあり得るので、隙間の高さ寸法Hは、1.87を下回る1.5h〜1.7hになったものと考えられる。例えば、棒状物品Mの下から2段目までの高さが1.5hの場合というのは、同図(b)の状態であり、棒状物品Mの下から2段目までの高さが1.7hの場合というのは、同図(c)に示す状態である。
【0017】
前記下流側ベルトコンベア12側には、図1に示すように、棒状物品Mを検出する光電センサ15が設置されており、この光電センサ15が所定時間以上遮光されると、次工程での処理が滞っているため、下流側ベルトコンベア12に棒状物品Mが滞留していると判断して、上流側ベルトコンベア11の運転を停止するようになっており、光電センサ15の遮光時間が短くなると、上流側ベルトコンベア11の運転を再開するようになっている。
【0018】
以上のように、この棒状物品の供給装置1は、棒状物品Mを、その長手方向がコンベアユニット10の幅方向を向くように、横に寝かせた状態で収容する、下面に物品排出口が形成されたストッカ20を、コンベアユニット10の上方側に配設しているので、上流側ベルトコンベア11上に落下した棒状物品Mが、その長手方向が上流側ベルトコンベア11及び下流側ベルトコンベア12の幅方向を向くように整列した状態で順次搬送される。従って、棒状物品を、その長手方向に整列させながら搬送するパーツフィーダーに比べて、棒状物品Mの供給速度が大きくなり、棒状物品Mを効率よく供給することができる。
【0019】
また、ストッカ20の下面に形成された物品排出口は、多数の棒状物品Mを同時に排出することができるので、ストッカ20内に収容された棒状物品M間にブリッジが生じにくく、棒状物品Mを円滑かつ確実にコンベアユニット10上に落下させることができる。
【0020】
また、ストッカ20の物品排出口と上流側ベルトコンベア11における棒状物品Mの載置面との間に形成された隙間の高さ寸法Hは、横に寝かせた棒状物品Mの高さをhとしたときに、1.5h〜1.7hに設定されているので、ストッカ20の下流側に複数の棒状物品Mが同時に送出されることがなく、棒状物品Mを、常時、略所定間隔を開けた状態で順次搬送することができる。
【0021】
また、この棒状物品の供給装置1では、上流側ベルトコンベア11上に固定設置されたストッカ20は、その正面上部板25を上方にスライドさせて、正面側の上半部を開口させることができるので、その開口部分からストッカ20内に棒状物品Mを適宜補充することによって、棒状物品Mを連続的に供給することができる。
【0022】
また、この棒状物品の供給装置1は、コンベアユニット10とストッカ20とから構成されているだけなので、簡単かつ廉価に製造することができ、装置全体のイニシャルコストを最小限に抑えることができる。
【0023】
図6〜図8は、他の実施形態を示している。この棒状物品の供給装置2は、棒状物品Mを収容するストッカ20Aが、着脱自在のカートリッジタイプを採用している点で、上述した棒状物品の供給装置1とは相違している。同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる構成要素について詳細に説明する。
【0024】
このストッカ20Aは、図7(a)、(b)に示すように、木質板からなる上面板21A、一対の側面板22A、22A及び背面板23Aと、一対の側面板22A、22Aの前端部に固定された透明のアクリル樹脂板からなる正面板24Aと、一対の側面板22A、22Aの下端部に、側面板22Aの幅方向にスライド自在に支持された、前端部に取手25Aaを有する底面板25Aとから構成されており、上下を逆にした状態で、底面板25Aを取り外すことで、物品排出口となる底面開口から棒状物品Mを充填することができるようになっている。
【0025】
また、ストッカ20Aの各側面板22Aには、取手26及び切欠部を有する固定金具27がそれぞれ取り付けられており、コンベアユニット10の支持台13に固定設置された前後一対の門型フレーム14Aには、ストッカ20Aに取り付けた固定金具27を載せる掛止片14Aaがそれぞれ固着されていると共に、背面固定板28が支持部材16を介して連結されている。
【0026】
それぞれの掛止片14Aaには、固定金具27に形成された切欠部に係合する係止ピン14Abが立設されており、ストッカ20Aの固定金具27の切欠部を係止ピン14Abに係合させた状態で掛止片14Aaに載せることで、ストッカ20Aの背面板23Aが背面固定板28に面接触し、ストッカ20Aが位置決めされた状態で一対の門型フレーム14A、14Aに保持されている。なお、ストッカ20Aが一対の門型フレーム14A、14Aに保持された状態では、上述した棒状物品の供給装置1と同様に、ストッカ20Aの底面と上流側ベルトコンベア11における棒状物品Mの載置面との間に、横に寝かせた棒状物品Mの高さをhとしたときに、1.5h〜1.7hの高さ寸法を有する隙間が形成されている。
【0027】
従って、図7(a)、(b)に示すように、多数の棒状物品Mが収容された状態で、物品排出口となる底面開口が底面板25Aによって閉塞されたストッカ20Aを一対の門型フレーム14Aに保持した後、底面板25Aを取り外すと、図6(a)、(b)に示すように、物品排出口となる底面開口から棒状物品Mが上流側ベルトコンベア11上に落下し、上述した棒状物品の供給装置1と同様に、長手方向が上流側ベルトコンベア11及び下流側ベルトコンベア12の幅方向を向くように整列した状態で順次搬送される。
【0028】
ストッカ20A内の棒状物品Mがなくなると、図8に示すように、取手26を掴んで持ち上げることによって、空のストッカ20Aを一対の門型フレーム14A、14Aから取り外し、多数の棒状物品Mが充填された新たなストッカ20Aに交換すればよい。
【0029】
また、この棒状物品の供給装置2におけるコンベアユニット10の動作は、上述した棒状物品の供給装置1の場合と同様であり、上述した棒状物品の供給装置1と同様の作用効果を有している。
【0030】
なお、上述した各実施形態では、ストッカ20、20Aの底面と上流側ベルトコンベア11における棒状物品Mの載置面との間に形成する隙間の高さ寸法Hを、横に寝かせた棒状物品Mの高さをhとしたときに、1.5h〜1.7hに設定しているが、これに限定されるものではなく、h≦H<2hの範囲で適宜設定すればよい。
【0031】
また、上述した各実施形態では、ストッカ20、20Aの底面全面を開放することによって物品排出口を形成しているが、これに限定されるものではなく、物品排出口は、2本以上の棒状物品Mを同時に排出することができる大きさであればよい。ただし、物品排出口の幅(棒状物品Mの搬送方向の長さ)がストッカの最大幅よりも小さい場合は、収容された棒状物品を物品排出口に導くために、ストッカを、側面板を傾斜させたホッパー形状にする必要があり、その場合は、ストッカ内に収容された棒状物品間にブリッジが生じ易くなるので、物品排出口の幅は、少なくとも5本、好ましくは10本以上の棒状物品Mを同時に排出することができる大きさに設定しておくことが望ましい。
【0032】
また、上述した棒状物品の供給装置1では、正面上部板25を持ち上げてストッカ20の正面上部を開放し、そこから棒状物品Mを補充するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、上面板を開閉可能に取り付け、ストッカの上端に物品補充口を形成するようにしてもよい。
【0033】
また、上述した棒状物品の供給装置2では、ストッカ20Aの底面板25Aを取り外すことで、物品排出口となる底面開口から棒状物品Mを充填するようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、ストッカの上面を開閉できるように、上面板を取り付けておき、その上面板を開くことによって開放させた上面開口から棒状物品Mを充填するようにしてもよい。
【0034】
また、上述した棒状物品の供給装置2では、前後一対の門型フレーム14Aに、ストッカ20Aの背面板23Aが面接触する背面固定板28が連結されているが、前後一対の門型フレーム14Aに固着された掛止片14Aaと、ストッカ20Aに取り付けた固定金具27とによって、ストッカ20Aを安定して取り付けることができるのであれば、背面固定板28は、必ずしも設ける必要はない。
【0035】
また、上述した各実施形態では、ストッカ20、20Aを木質板及び透明のアクリル樹脂板によって形成しているが、これに限定されるものではなく、種々の素材からなる板材によって形成することができることは言うまでもない。
【0036】
また、上述した各実施形態では、筆記用具のマーカー等の棒状物品Mを供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、種々の棒状物品の供給に適用することができ、その断面形状も、円形、楕円形、四角形、五角形、六角形、八角形といった多角形等の種々の形状の棒状物品に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
種々の棒状物品を供給する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1、2 棒状物品の供給装置
10 コンベアユニット
11 上流側ベルトコンベア
12 下流側ベルトコンベア
13 支持台
14、14A 門型フレーム
14Aa 掛止片
14Ab 係止ピン
15 光電センサ
16 支持部材
20、20A ストッカ
21、21A 上面板
22、22A 側面板
23、23A 背面板
24 正面下部板
24A 正面板
25 正面上部板
25a 取手孔
25A 底面板
25Aa 取手
26 取手
27 固定金具
28 背面固定板
M 棒状物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアの上方側に配設された、棒状物品を、その長手方向が前記ベルトコンベアの幅方向を向くように、横に寝かせた状態で収容するストッカと
を備え、
前記ストッカの下面には、2本以上の棒状物品を同時に排出可能な物品排出口が形成されており、
前記ベルトコンベアと前記ストッカにおける下面との間には、横に寝かせた棒状物品の高さをhとしたときに、h以上2h未満の隙間が形成されていることを特徴とする棒状物品の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−51655(P2012−51655A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193367(P2010−193367)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】