説明

棒状野菜の皮剥き装置

【課題】生産性に優れると共に、設置面積が少なくて良い。
【解決手段】垂直に配設された回転円板13には、人参Wを保持する対となる保持アーム25、40が内側より外側に伸びて8対等間隔に設けられ、保持アーム25、40には人参Wを保持する棒状野菜保持部材33、42が設けられ、保持アーム25は回転円板13に固定され、保持アーム40は回転円板13に揺動自在に設けられて保持アーム25の方向に付勢され、棒状野菜保持部材33は、回転円板13の回転により回転伝達手段を介して回転駆動され、回転円板13に対向して垂直に配設された刃物手段保持板70A、70Bの側方の棒状野菜供給部の下方には、一対の棒状野菜保持部材33、42に保持された人参Wを開放する棒状野菜開放部となっており、人参Wの皮を剥く刃物手段80は、棒状野菜供給部の上方部から棒状野菜開放部の前方までに等間隔に7個配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参、大根、薩摩芋等の棒状野菜の皮剥き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状野菜の皮剥き装置として、例えば特許文献1が挙げられる。この構造は、棒状野菜を支持して該棒状野菜を回転させる根菜支持機構部と、上下駆動されて棒状野菜の皮を剥く皮剥き機構部とを備えている。根菜支持機構部は、棒状野菜の下端を支持して該棒状野菜を間歇回転させる根菜支持回転部と、棒状野菜の上部を押圧する根菜押さえ部とからなっている。そこで、根菜支持機構部に棒状野菜を支持させ、皮剥き機構部が上下動作をして棒状野菜の対向した外周部が一定幅皮剥きされる。即ち、皮剥き機構部が上下に1往復させられる毎に根菜支持回転部を間歇回転させて棒状野菜を一定量回転させる動作を行い、この動作を数回行って棒状野菜が180度回転させられると、棒状野菜の周辺全体の皮が剥かれる。
【0003】
また棒状野菜の皮剥き装置として特許文献1が挙げられる。この構造は、回転駆動される回転円板と、この回転円板に等角度に設けられ棒状野菜を支持する復数個の根菜支持機構部とを備え、前記回転円板の回転によって前記根菜支持機構部が回転して位置するステーションとして、少なくとも1個の根菜供給ステーション、復数個の根菜皮剥きステーション、根菜排出ステーションを設け、前記復数個の根菜皮剥きステーションには、上下動してそれぞれ棒状野菜の異なる周辺の皮剥きを行う前記皮剥き機構部を設けてなり、前記回転円板が1ステーション回転する毎に棒状野菜の皮剥きが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−262845号公報
【特許文献2】特開2008−278807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、機構部の数が少なく、また簡単な構造よりなるので、装置が安価であり、少量生産には適する。しかし、1個の棒状野菜の皮剥きを行うのに、1個の根菜支持機構部による棒状野菜の一定量の回転動作と、相対向して配設された一対の刃物を有する1個の皮剥き機構部の上下動作の組合せの動作を数回行って皮剥きを行うので、生産性が悪く、多量生産には適さない。
【0006】
これに対して特許文献2は、根菜皮剥きステーションに配設された皮剥き機構部は上下に1往復するのみであり、回転円板の1ピッチ(1ステーション)回転する毎に加工済の棒状野菜が完了するので、生産性に優れている。しかし、回転円板が平面的に配設されているので、設置面積が広くなる。また生産性は引用文献1より優れているが、回転円板は間歇回転し、回転円板が停止中に皮剥き機構部が上下動作を行って皮剥きするので、やはり生産性が悪いという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、生産性に優れると共に、設置面積が少なくて良い棒状野菜の皮剥き装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、棒状野菜を保持して回転する回転円板を有する棒状野菜保持回転部と、前記回転円板に保持された棒状野菜の皮を剥く複数個の刃物手段を有する刃物保持部とを備えた棒状野菜の皮剥き装置において、前記棒状野菜保持回転部は、前記回転円板が垂直に配設され、棒状野菜を保持する対となる保持アームが前記回転円板の内側より外側に伸びて複数対等間隔に設けられ、前記対の保持アームの外側の対向部には棒状野菜を保持する棒状野菜保持部材が設けられ、前記対の保持アームは、一方が前記回転円板に固定され、他方が前記回転円板に揺動自在に設けられて前記一方の保持アームの方向にばねで付勢され、前記一方の保持アームの棒状野菜保持部材は、前記回転円板の回転により回転伝達手段を介して回転駆動され、前記刃物保持部は、前記回転円板の少なくとも一方側に該回転円板に対向して垂直に配設された刃物手段保持板を有し、この刃物手段保持板の側方の棒状野菜供給部の下方には前記一対の棒状野菜保持部材に保持された棒状野菜を開放する棒状野菜開放部となっており、前記刃物手段は、前記棒状野菜供給部の上方部から前記棒状野菜開放部の前方までに等間隔に複数個配設されていることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の請求項2は、上記請求項1において、前記刃物手段保持板は、前記回転円板に対して開閉自在に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1によれば、棒状野菜保持回転部の回転円板は垂直に配設され、また刃物保持部の刃物手段保持板も垂直に配設されているので、設置面積が少なくて済む。また回転円板が連続回転し、この回転によって回転伝達手段を介して棒状野菜保持部材が緩やかに回転して棒状野菜が回転する。即ち、回転円板が回転して棒状野菜が複数個の刃物手段に順次送られ、この場合、棒状野菜の回転によって次に剥かれる部分が次の刃物手段に位置するようになる。このように、回転円板を連続回転して皮剥きが行われるので、生産性に優れている。
【0011】
請求項2によれば、刃物手段保持板は開閉自在に設けられているので、刃物手段や棒状野菜保持回転部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の棒状野菜の皮剥き装置の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】図1の左側面図の略図である。
【図4】図1の右側面図である。
【図5】棒状野菜保持回転部の拡大斜視図である。
【図6】図1における表側の刃物手段保持板を開けた状態の正面図である。
【図7】棒状野菜の開放構造部分の拡大正面図である。
【図8】図5の背面図である。
【図9】一対の保持アームを示し、(a)は拡大正面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図10】図9(a)のB−B線矢視図である。
【図11】一対の保持アームと刃物手段との関係を示す拡大正面図である。
【図12】刃物手段を示し、(a)は拡大正面図、(b)は拡大側面図である。
【図13】図12(a)の縦断面図である。
【図14】本発明の棒状野菜の皮剥き装置の他の実施の形態の回転円板駆動機構部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の棒状野菜の皮剥き装置の一実施の形態を図1乃至図13により説明する。本実施の形態は、棒状野菜を保持して回転する棒状野菜保持回転部10(図9乃至図10参照)と、この棒状野菜保持回転部10を回転駆動する回転駆動部60(図2乃至図4参照)と、棒状野菜保持回転部10の前方及び後方に配設され、複数個の刃物手段80が取付けられた前方側の刃物保持部70A(図1参照)及び後方側の刃物保持部70B(図2及び図7参照)とから構成されている。まず、枠体の構造について説明した後、前記各部及び手段について説明する。
【0014】
〔枠体の構造〕(図1乃至図4参照)
ベース板1の一方側には、上方に伸びた2個の固定板2が一定間隔離れて固定されており、ベース板1の他方側には、固定板3が固定されており、固定板2と3の上端には天板4が固定されている。またベース板1の一方の固定板2側には、棒状野菜保持回転部10の回転軸11を支持する回転軸支持枠5が固定されている。なお、図 における固定板2と2間における各部の構成部品は省略して図示した。
【0015】
〔棒状野菜保持回転部10の構造〕(図5乃至図10参照)
上記図5乃至図10参照以外の図及び特に構成が明らかに図示されている図を参照する場合には、その図を記載して説明する。以下、同様である。図2乃至図4に示す回転軸11は、回転軸支持枠5上に固定された軸受12に回転自在に支承されている。回転軸11には回転円板13が固定されており、回転円板13には、回転軸11を中心として等間隔に回転円板13を貫通して8個の支軸14(特に図8及び図9参照)が配設されており、各支軸14は回転円板13及び回転円板13の表面側に固定された支持枠15に回転自在に支承されている。各支軸14の裏面側にはそれぞれギア16が固定されており、ギア16はリング状のギア17に噛合している。ギア17には固定棒18が固定されており、固定棒18は回転軸支持枠5に固定された内側固定板19に固定されている。各支軸14の表面側にはそれぞれベベルギア20が固定されている。
【0016】
8個のベベルギア20に対応して回転円板13には外側に伸びたU字形の保持アーム25が固定されており、保持アーム25内には、回転軸26が配設されており、回転軸26の両端部分は図9に示すように保持アーム25に固定された支軸板27に回転自在に支承されている。回転軸26の内側及び外側の端部には、ベベルギア28、29が固定されており、ベベルギア28はベベルギア20に噛合している。保持アーム25のベベルギア29側には、回転軸26に直角に回転軸30が配設されており、回転軸30は保持アーム25に固定された軸受31に回転自在に支承されている。回転軸30には、ベベルギア29に噛合するベベルギア32が固定されており、回転軸30の保持アーム25の外側には、針33aが設けられた棒状野菜保持部材33が固定されている。
【0017】
8個の保持アーム25に対応して棒状野菜保持部材33側には、それぞれ保持アーム40が配設されており、保持アーム40は回転円板13に固定された支柱41に回転自在に支承されている。保持アーム40には棒状野菜保持部材33に対向して針42aが設けられた棒状野菜保持部材42が配設され、棒状野菜保持部材42は保持アーム40に固定されている。保持アーム40の内側部分の端部は、該保持アーム40を開放させる開放部40aとなっている。隣接する保持アーム25、25同志にはガイド板44が固定されており、図5に示すようにガイド44には保持アーム40をガイドするガイド溝44aが形成されている。ガイド板44に保持アーム40の閉じ位置を規制する規制ピン45を挿入するピン穴44bが形成されている。回転円板13及び保持アーム40にはばね掛けピン46、47が固定されており、ばね掛けピン46、47には針42aを棒状野菜保持部材33側に付勢するようにばね48が掛けられ、保持アーム40が閉じた時は、規制ピン45に圧接するようになっている。
【0018】
保持アーム40には、図10に示すように棒状野菜保持部材33と42に保持された人参Wに後記する図11に示す刃物手段80のカッター89を導く舟形の刃物進入ガイド部材50が固定されている。刃物進入ガイド部材50の表側のテーパ部50aは表側の刃物手段80を導く部分となっており、裏側のテーパ部50bが裏側の刃物手段80を導く部分となっている。保持アーム25には、刃物手段80のカッター89を退避させる刃物退避ガイド部材51が固定されている。刃物退避ガイド部材51の表側のテーパ部51aは表側の刃物手段80を退避させる部分となっており、裏側のテーパ部51bは裏側の刃物手段80を退避させる部分となっている。
【0019】
〔回転駆動部60の構造〕(図2乃至図4参照)
ベース板1及び固定板2の後方側に固定された回転軸支持枠5の下方にはモータ固定板61が固定されており、モータ固定板61にはモータ62が固定されている。回転軸11の後端部にはギア63が固定されており、モータ62の出力軸にはギア63に噛合するギア64が固定されている。
【0020】
〔刃物保持部70A、70Bの構造〕(図1、図2及び図6参照)
前方側の刃物保持部70Aの構造と後方側の刃物保持部70Bは同じ構造よりなっている。そこで、同じ部材には同一番号を付し、両者を区別する必要がある時は、刃物保持部70Aの部材には符号Aを付し、刃物保持部70Bの部材には符号Bを付して説明する。回転円板13の前方及び後方には刃物手段保持板71A、71Bが配設されており、刃物手段保持板71A、71Bは、蝶番72を介して固定板3に開閉自在に取付けられている。また刃物手段保持板71A、71Bは、固定板2、天板4及び固定板2と3に固定された固定板6にロック部材73でロックするようになっている。
【0021】
本実施の形態においては、刃物手段保持板71A、71Bには、それぞれ回転軸11の上方より23度の間隔に7個の刃物手段80が配設されている。また刃物手段保持板71A、71Bの外側面には、刃物手段80で剥かれた皮を下方にガイドする皮ガイド板74A、74Bが固定されている。
【0022】
〔刃物手段80の構造〕(図12及び図13参照)
揺動板81の両側部には上方に立ち上がった立ち上がり部81aが形成され、立ち上がり部81aの後方側は軸受82を介して支軸83に回転自在に支承されている。支軸83の両端部は、それぞれ支持板84に固定されており、支持板84は固定板85に固定されている。立ち上がり部81aの前方側の外側には、それぞれ支柱86を介してカッター支持板87が固定されており、カッター支持板87の前方側にはそれぞれ支軸88が固定されている。支軸88には刃先が支軸88の中心に向くようにカッター89が固定されたカッター固定板90の両端部90aが揺動自在に支承されており、カッター固定板90のカッター89の刃先部の前方は棒状野菜当接部90bとなっている。この棒状野菜当接部90bのカッター89の刃先部には、カッター89で剥いた皮を導く皮ガイド穴90cが形成されている。
【0023】
カッター固定板90の棒状野菜当接部90b側には、該棒状野菜当接部90bに人参Wを案内するガイド板95が立ち上がり部81aに固定されている。ガイド板95の前端部には、剥いた皮を案内するガイド部95aが下方に伸びて形成されている。またカッター固定板90の前端にも剥いた皮を案内するガイド部96が固定されている。揺動板81の前端部の下面には、ガイド部95a、96に案内された剥いた皮を刃物手段保持板71A、71Bの外側に排出するように形成されたガイド板97が固定されている。カッター支持板87の前端部外側には、ローラ軸98が固定されており、ローラ軸98にはガイドローラ99が回転自在に支承されている。ここで、ガイドローラ99の外周はカッター89より外側になるように設けられている。そして、図11に示すように、保持アーム25に設けられた刃物進入ガイド部材50及び保持アーム40に設けられた刃物退避ガイド部材51はガイドローラ99に対応するように刃物手段80は配設されている。揺動板81の後端の下面には、ゴム材よりなるストッパ100が固定されている。
【0024】
揺動板81の後方下面の一方の立ち上がり部81a側には、下方に伸びたばね支持部110が固定されており、ばね支持部110にはばね掛け111が固定されている。刃物手段保持板71A、71Bの外側面には、ばね掛け111に対応してばね掛け112が固定されたばね掛け支持部113が固定され、ばね掛け111と112にはばね114が掛けられている。このばね114の付勢力により、揺動板81は支軸83を中心として2点鎖線で示すように、ストッパ100が固定板85に当接、即ちカッター89が回転円板13側に回動するようになっている。また揺動板81の一方の立ち上がり部81aにはばね掛け115が固定されており、このばね掛け115とカッター固定板90の支軸88に支承された部分の端部にはばね116が掛けられている。
【0025】
図6及び図11に示すように、各刃物手段80は、一対の棒状野菜保持部材33と42で支持された人参Wの軸心にカッター89が直角に当接するように配設されている。刃物手段保持板71A、71Bには、揺動板81及びカッター支持板87が揺動できるように、刃物手段保持板71A、71Bに固定される固定板85の両端を除いて窓71aが形成されている。固定板85及びばね掛け支持部113は、刃物手段保持板71A、71Bの外側面に固定されている。
【0026】
〔棒状野菜の開放構造〕(図6、図7参照、特に図7参照)
回転円板13の表側の固定板2の内側及びベース板1に固定された図1に示す内側固定板120には、固定板121が固定されている。固定板121には図9に示す保持アーム40の開放部40aに作用して棒状野菜保持部材42を開放するようにローラ122、123、124が回転自在に支承されている。
【0027】
次に作用について説明する。モータ62の出力軸が図2に示すように矢印C方向に回転すると、ギア64、63を介して回転軸11が回転する。これにより、回転円板13は図2においては矢印D方向に、図1におては矢印E方向に回転する。回転円板13が回転すると、図8に示すギア17に噛合しているギア16が回転する。ギア16の回転は、図9に示すように、支軸14、ベベルギア20、28、回転軸26、ベベルギア29、32、回転軸30を介して棒状野菜保持部材33が回転する。
【0028】
そこで、図1及び図2における固定板2、2間より外側に突出した棒状野菜供給部において、一対の保持アーム25と40の内の上方の保持アーム40を手でばね48(図6及び図7参照)の付勢力に抗して上方に押し上げ、保持アーム25側の針33aに人参Wの根元の太い部分を押し付ける。これにより、人参Wの一端は棒状野菜保持部材33に保持される。そして、保持アーム40を保持している手を離すと、保持アーム40側の針42aが人参Wの先端に突き刺さり、人参Wの他端は棒状野菜保持部材42に保持される。以下、同様の操作により、一対の保持アーム25と保持アーム40が棒状野菜供給部に送られてくると、順次人参Wを保持させる。
【0029】
前記したように回転円板13が回転して一対の棒状野菜保持部材33と42に保持された人参Wが最初の刃物手段80の前方に送られてくると、図12に示すばね114の付勢力によりガイドローラ99が図10及び図11に示す刃物進入ガイド部材50のテーパ部50a、50bに圧接しながら刃物手段80のカッター89側が人参Wの方に案内され、図12及び図13に示すカッター固定板90の棒状野菜当接部90bが支軸83を中心として回動して人参Wの先端の周面に圧接し、カッター89によって人参Wの皮が一定幅剥かれる。この場合、揺動板81はばね114で回転円板13側に付勢されているので、人参Wの太さに応じて揺動板81が支軸83を中心として揺動し、カッター89が人参Wの周面に追従して皮を向く。剥かれた皮は、皮ガイド穴90c、ガイド部95a、96間を通ってガイド板97に導かれて皮ガイド板74A、74Bに落下し、皮ガイド板74A、74Bより下方に排出される。カッター89が人参Wの頭部の皮を剥くと、ガイドローラ99が刃物退避ガイド部材51のテーパ部51a、テーパ部51bに案内されて外側に退避させられる。
【0030】
回転円板13が回転すると同時に棒状野菜保持部材33も回転させられて人参Wも回転させられてカッター89で皮が剥かれるので、僅かであるが斜め方向に皮が剥かれる。このようにして一定幅皮が剥かれた人参Wは棒状野菜保持部材33の回転によって次に剥かれる部分が次の刃物手段80に送られ、前記と同様の作用によって一定幅皮が剥かれる。本実施の形態においては、刃物保持部70A、70Bにそれぞれ7個の刃物手段80が設けられ、人参Wは両側より皮が剥かれるので、前方側の刃物保持部70Aの7個の刃物手段80で人参Wの180度の皮が剥かれ、後方側の刃物保持部70Bの7個の刃物手段80で人参Wの残りの180度の皮が剥かれる。
【0031】
回転円板13が回転して皮剥きが終了した人参Wを保持した一対の保持アーム25、40が図6及び図77において真下の棒状野菜開放部に送られてくると、保持アーム40の開放部40aがローラ122、123、124に順次押され、保持アーム40はばね48の付勢力に抗して時計針回転方向に回転させられる。これにより、保持アーム40の棒状野菜保持部材42が開き、皮剥きが終了した人参Wは保持アーム25、40より開放されて落下する。
【0032】
このように、棒状野菜保持回転部10の回転円板13は垂直に配設され、また刃物保持部70A、70Bの刃物手段保持板71A、71Bも垂直に配設されているので、設置面積が少なくて済む。また回転円板13が連続回転し、この回転によって回転伝達手段を介して棒状野菜保持部材33が緩やかに回転して人参Wが回転する。即ち、回転円板13が回転して人参Wが複数個の刃物手段80に順次送られ、この場合、人参Wの回転によって次に剥かれる部分が次の刃物手段80に位置するようになる。このように、回転円板13を連続回転して皮剥きが行われるので、生産性に優れている。また刃物手段保持板71A、71Bは開閉自在に設けられているので、刃物手段80や棒状野菜保持回転部10のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0033】
なお、上記実施の形態においては、人参Wを保持する対の保持アーム25、40を8対の設け、刃物手段80は刃物手段保持板71A、71Bにそれぞれ7個設けたが、保持アーム25、40の対及び刃物手段80の数は特に限定されるものではない。また棒状野菜保持回転部10の両側に刃物保持部70A、70Bを設けたが、片側のみに刃物保持部70A又は70Bを設けてもよい。しかし、本実施の形態のように刃物保持部70A、70Bを棒状野菜保持回転部10の両側に設けると、生産性が良いことは言うまでもない。また本実施の形態においては、棒状野菜保持部材42を支持部43に固定したが、回転自在に設けてもよい。また本実施の形態においては、人参Wに適用した場合について説明したが、大根、薩摩芋等の棒状野菜にも適用できることは言うまでもない。
【0034】
本発明の棒状野菜の皮剥き装置の他の実施の形態を図14により説明する。本実施の形態は、回転円板13の回転駆動の他の実施の形態を示す。なお、前記実施の形態と同じ又は相当部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。回転軸11には大ギア130が固定されており、回転軸11の両端部は、回転軸支持枠5に固定された軸受131に回転自在に支承されている。なお、図13には、回転円板13の後方側のみを図示したが、回転円板13の前方側にも回転軸支持枠5と同じように支持板が配設され、この支持板に固定された軸受に回転軸11は回転自在に支承されている。大ギア130には小ギア132が噛合しており、小ギア132はモータ133の出力軸に固定され、モータ133はモータ固定板61に固定されている。回転軸支持枠5及びモータ固定板61はベース板1に固定されている。
【0035】
本実施の形態は、回転円板13に大ギア130を固定し、この大ギア130に噛合する小ギア132をモータ133で駆動するので、装置の幅方向(回転軸11の方向)を更に小さくすることができる。また回転円板13に固定された大ギア130に噛合する小ギア132を直接モータ133で駆動するので、噛合するギア130、132のがたによる影響がなく、人参Wの皮剥きの品質が向上する。
【符号の説明】
【0036】
W 人参
10 棒状野菜保持回転部
11 回転軸
13 回転円板
16、17 ギア
20 ベベルギア
25 保持アーム
26 回転軸
27 支軸
28、29、32 ベベルギア
33 棒状野菜保持部材
40 保持アーム
42 棒状野菜保持部材
44 ガイド板
48 ばね
50 刃物進入ガイド部材
52 刃物退避ガイド部材
60 回転駆動部
62 モータ
63、64 ギア
70A、70B 刃物保持部
71A、71B 刃物手段保持板
74A、74B 皮ガイド板
80 刃物手段
81 揺動板
87 カッター支持板
89 カッター
90 カッター固定板
114、116 ばね
130 大ギア
132 小ギア
133 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状野菜を保持して回転する回転円板を有する棒状野菜保持回転部と、前記回転円板に保持された棒状野菜の皮を剥く複数個の刃物手段を有する刃物保持部とを備えた棒状野菜の皮剥き装置において、前記棒状野菜保持回転部は、前記回転円板が垂直に配設され、棒状野菜を保持する対となる保持アームが前記回転円板の内側より外側に伸びて複数対等間隔に設けられ、前記対の保持アームの外側の対向部には棒状野菜を保持する棒状野菜保持部材が設けられ、前記対の保持アームは、一方が前記回転円板に固定され、他方が前記回転円板に揺動自在に設けられて前記一方の保持アームの方向にばねで付勢され、前記一方の保持アームの棒状野菜保持部材は、前記回転円板の回転により回転伝達手段を介して回転駆動され、前記刃物保持部は、前記回転円板の少なくとも一方側に該回転円板に対向して垂直に配設された刃物手段保持板を有し、この刃物手段保持板の側方の棒状野菜供給部の下方には前記一対の棒状野菜保持部材に保持された棒状野菜を開放する棒状野菜開放部となっており、前記刃物手段は、前記棒状野菜供給部の上方部から前記棒状野菜開放部の前方までに等間隔に複数個配設されていることを特徴とする棒状野菜の皮剥き装置。
【請求項2】
前記刃物手段保持板は、前記回転円板に対して開閉自在に設けられていることを特徴とする請求項1記載の棒状野菜の皮剥き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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